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PHILOCOFFEAを通じて、最高のコーヒー体験を
2025.4.10
世界一のバリスタ PHILOCOFFEA 粕谷哲。コーヒーに愛された男の人生と哲学とは(前編)
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世界一のバリスタ粕谷哲をご存じだろうか。
コーヒーの抽出技術を競う世界的権威の国際大会『ワールド・ブリュワーズ・カップ(World Brewers Cup)2016』において、アジア人初の世界チャンピオンに輝き、誰もが美味しいコーヒーを淹れることができる『4:6メソッド』を提唱した人である。
ファミリーマートの『FAMIMA CAFÉ』カウンターコーヒーの共同開発、および『世界№1バリスタが認めた』シリーズの監修者と言えば、より身近に感じるだろうか。
粕谷はなぜ世界で注目を集めているのか?前編では世界一のバリスタになるまでの道のりを、後編では粕谷が検証するコーヒー業界の課題と未来、さらに粕谷に聞いた「美味しいコーヒーの淹れ方」を紹介していく。
Ⅰ型糖尿病によって人生はより豊かに、自由になる
2025年1月に粕谷へのインタビューを予定していたが、出張先のアメリカで体調を崩して入院したため延期となった。Ⅰ型糖尿病を患っている粕谷だけに体調が心配されたが、今回の不調は糖尿病とは関係はなく、末梢神経に異常が生じる『フィッシャー症候群』だと聞く。3か月の静養後、2025年3月21日のオープンに向けて準備が進む『PHILOCOFFEA(フィロコフィア)表参道』でインタビューを行った。
「病気になると大変なことは多いけれど、得ることも多い。ひどい頭痛に襲われているとき、一杯のコーヒーを飲んで心が落ち着いたんです。今回もコーヒーに救われた気分です」と語った。
PHILOCOFFEEA表参道限定『O11 TOKYO BLEND』。常に同じブレンドではなく、東京のように移ろいゆく日々の変化を感じられるようなブレンド。表参道店のみで購入可能。 200g 3,197円
病を得たことで、後悔のない人生を生きる決意が固まる
「大学と大学院では ファイナンスの勉強をしていました。数字とにらめっこをする日々に少し飽きが来て、就職先には人とコンタクトが取れるITコンサルタント企業を選びました。当時の僕にとってコーヒーは嗜好品という感覚すらないものでした」。
わずか3年で世界一のバリスタに輝いた粕谷だが、特別なコーヒー好きではないのに、どんなきっかけでバリスタの道を目指すことになったのだろうか。
「会社員時代、突然の体調不良で入院し、そこで医師からⅠ型糖尿病であることを告げられました。Ⅰ型糖尿病は一生付き合っていかなければならない病気ですので当然ショックでしたが、明日死ぬ病気ではなかったのでよかったです」。
人生で初めて経験した長い入院生活に、すっかり暇を持て余していた粕谷は、医師からコーヒーなら飲んでいいと言われていたことを思い出し、自分でコーヒーを淹れてみようと思い立つ。病室を抜け、お店でコーヒー道具一式を揃え、ついでに淹れ方も教わってはじめてのドリップ式コーヒーを病室で淹れてみた。
「グラインダーでコーヒー豆を挽き、ドリッパーに挽いたコーヒーの粉を入れてお湯を注ぐ。教わったようにやっているのに、お湯が全然落ちていかない。お店の人には3分を目安に淹れるように言われたけど、湯がなかなか落ちないので3分では到底淹れ終わらず、完成したコーヒーはとんでもなくまずかったんです」。当時の粕谷は、グラインダーに挽き目の調整があることも知らないほど、コーヒーの知識はなかったが、この経験が粕谷の心に火を付けた。
「僕は今まで器用貧乏な方で、なんでも一通りはできてきたんです。なのに、コーヒーだけは美味しく淹れられない。たぶんこれが人生で初めて全くできないことだったと思います。この経験がコーヒーを美味しく淹れる研究のはじまりですね」。
退院して一年ほどITコンサルタントの会社で働いた後、楽しかった会社員生活にピリオドを打ち、退職をした。
「東日本大震災後、石巻で復興支援のボランティアに参加しました。当時は病気になる前でしたが、あの時に見た光景によって僕の死生観は大きく変わりました。今回の病気を機に、死ぬ時に後悔のない生き方をしたいと考えるようになっていました」。
そこで粕谷は、人生最期のとき、やらずに後悔しそうなことは何かと考えたとき、思い浮かんだことが“海外で生活をすること”だったと言う。“あれ?バリスタではないのか”そう思った人は少なくないはずだ。
順風満帆な人生を一度立ち止まり、生き方の方向転換をすることは、やはり勇気がいることだったろう。
最高の一杯のコーヒーを世界へ届けるために多忙な日々を過ごしている。
インタビュー中に何度も感じたことだが、粕谷の口からはポジティブな言葉しか出てこない。普通なら心が波打つだろうときも、粕谷は淡々と困難を切り抜けていく。その冷静さは、トラブルで混乱する周りの人たちを落ち着かせていくほどだ。
「ITコンサルタントの会社で学んだことの一つが、ポジティブと楽観は違うということ。“なんとかなる”が楽観なら、“なんとかする”がポジティブ。何か課題に直面したとき、“どうしたら解決できるのか”を考えるクセのようなものが身につきました。まあ、悲観しても前には進みませんから」と、やはり淡々と語る。
一か八かの決断は、世界のコーヒー業界に一石を投じた「4:6メソッド」
「ワーキングホリデーを利用してイギリスへ行くことを決めて、会社を辞めたのが6月。しかし、その抽選は1月。それまでの半年間、コーヒー好きにもなったし、イギリスへ行ったらバリスタとして働けるし、そんな理由で、COFFEE FACTORYのバリスタとして働くことにしました」。
COFFEE FACTORYは茨城県つくば市に本店を構える自家焙煎のスペシャルティコーヒー専門店である。オーナーである古橋氏から多くの事を学び、粕谷はバリスタとして腕を磨いて、守谷駅店で店長を務めた。
PHILOCOFFEEA表参道でコーヒーを淹れる。
ここに来て、やっと粕谷とバリスタが結びつく。
バリスタとして働いている間、いくつかのコーヒーの大会に出場するも、なかなか勝てない。2年目の抽選でやっとイギリスでのワーキングホリデーの権利を手にした粕谷は、2週間後の『ジャパン エアロプレス チャンピオンシップ』*¹へ出場し、念願の優勝を果たす。「これで箔が付いてイギリスで働きやすくなるかな」そんな感じだったと語る。その後、イギリスへの出発の前に『ジャパン ブリュワーズ カップ』*²へ挑戦すると見事優勝し、世界大会へ出場の権利を獲得した。
各国で勝ち抜いてきたトップバリスタたちが一堂に会する『ワールド・ブリュワーズ・カップ』で、アジア人が優勝したことはない。その中で粕谷はどう勝つか。歴代の優勝者にならったプレゼンテーションか、予選敗退かもしれないが一か八かの賭けに出るか。
「歴代の優勝者たちを見ると、技の競い合い。誰でもできない技が重要視されているようでしたが、僕のプレゼンテーションはまったくの逆。誰でも美味しいコーヒーが淹れられる『4:6メソッド』を提案。それまではご法度であった、レシピの公開を含んだ再現性あるプレゼンテーションで勝てたことは、コーヒー業界の改革につながったように感じます」。
コーヒー豆と湯の分量、注ぐタイミングなどをロジックに落とし込んだ『4:6メソッド』は、世界初の“誰でも美味しくコーヒーを淹れる理論”である。この画期的な提案が評価されたことによって、コーヒーの楽しみ方に拡がりが生まれていったはずだ。また粕谷が優勝した後、アジア人の優勝者も増えたことも大きな変化である。
粕谷がコーヒーを淹れるとなると、世界中で長蛇の列ができる。
粕谷の想いが詰まった、コーヒーの魅力発信の場「PHILOCOFFEA」のスタート
粕谷は世界一になったことでイギリスへの移住を断念し、『ワールド・ブリュワーズ・カップ』世界チャンピオンとして、世界中でセミナーや講師など、コーヒーアンバサダーとして忙しく活動することになる。
と同時に、粕谷がコーヒー農園から買い付けてきたスペシャルティコーヒー豆の輸入や焙煎、販売をはじめ、コーヒーロータリーカフェの第一号店『PHILOCOFFEEAシャポー船橋』を2018年にオープンさせた。
PHILOCOFFEEAのロゴマークであるコウノトリは、コーヒー豆が入っている袋をくわえている。
「優勝してからずっとセミナーやトップバリスタたちのコーチなどの活動を続けていますが、実はセミナーはちょっと苦手です。聞きに来てくれた人たちが一体何を求めてきてくれたのか?僕にとっては当たり前の技術でも、皆さんにとってはどうなのか?など、迷いが生まれてきたんです。それがYouTubeをはじめたきっかけでもあります。YouTubeなら、聞きたい人が聞きに来ればいいし、好き勝手に話せて世界へも配信でき、さらには世界からコメントも届く。効率よく僕の考えを世界に発信できる場として活用しています」。
YouTubeでは、コーヒー豆や焙煎、抽出レシピなどの技術的なことから、コーヒー飲み比べや世界のバリスタの紹介など、粕谷自身の言葉で幅広くコーヒーについて発信しており、チャンネル登録者数は14万人に迫るほどだ。
3つの会社を立ち上げて、仲間と共に夢に向かって走り切る
「PHILOCOFFEAを年商50億、100億の会社にするのが僕の夢です。会社員を辞めてバリスタになったとき、バリスタの給料を見て、家族をつくることは難しいと感じました。バリスタという職業がもっと評価され、相応の収入を得られるビジネスモデルをつくらなければ、コーヒービジネスは成長していかないでしょう」。
現在、粕谷は3つの会社の代表をしている。1つは、千葉県内の3店舗と表参道1店舗のカフェをはじめ、スペシャルティコーヒー豆の輸入、焙煎、販売を行う『PHILOCOFFEEA』。2つ目は粕谷個人の会社である『コーヒーのあるところ』。ここではファミリーマートをはじめとする企業との商品開発やコンサルティング事業、またバリスタへのコーチングなどを行っている。さらに3つ目となるのが近年立ち上げた『PHILOCOFFEA』とオフィスコーヒーサービスの『ダイオーズ』との合弁会社『特別な珈琲体験を』であり、オフィスコーヒー向けのスペシャルティコーヒーの焙煎・製造販売事業を行っている。
「僕の収入は『コーヒーのあるところ』から得て、PHILOCOFFEAの売り上げはできる限る社員へ還元するようにしています。いつかPHILOCOFFEEAを業界最高水準の給料が払える会社にしたいんですよ」。
最高水準の給料を払うためには、儲かるビジネスモデルの構築が必要になる。そのためには社員の協力は欠かせないはずだ。
「うちの会社ではしっかり数字を読む力を身に着けてもらっています。そういった点では他のコーヒー会社よりも厳しいかもしれませんね」と語る。
社員それぞれが各店舗の売り上げ管理ができる、つまりは経営者としてのスキルを身に着けていくということなのだろう。
パッケージの側面には、創業当時の粕谷の想いがつづられている。
そんな粕谷のPHILOCOFFEEAスタート当時の想いがPHILOCOFFEAのコーヒーパッケージにプリントされている。
「極める道にこれでいいということはない。より素晴らしい品質と体験価値を追い求め続け、その実現のために日々精進あるのみ。私たちはただ最高品質のコーヒーを求めるだけでなく、持続可能なコーヒー産業を目指し、生産者への理解と、コーヒーを生み出してくれる偉大な自然への敬意を示す。」
ここにある『極める道においてこれでいいということはない』という言葉は、粕谷がCOFFEE FACTORYでバリスタとして働いていたとき、今は亡き常連さんからもらった言葉だ。
「この言葉があったからこそ世界一になれた。今でも常に心に宿っている」と粕谷は語る。
連日、焼き上がりと同時に完売してしまう『35MM』の特別提供のスコーン。外側サクサク、中しっとりの質感はコーヒーとのペアリングが楽しめる。プレーン280円、ダブルチョコレート390円
PHILOCOFFEEAの1号店をオープンしてから約7年経つが、当時からの熱い思いは今も変わっていない。今後は、世界へのさらなる飛躍に向けた準備に入ると語る粕谷は、「必ずやり遂げる」と力強く語る。PHILOCOFFEAと粕谷の今後の活躍が楽しみだ
*1:抽出器具「エアロプレス」を使用したコーヒー抽出の技術を競う大会。
*2:『ワールド・コーヒー・イベンツ』が執り行うコーヒー競技会『ワールド・ブリュワーズ・カップ』の日本大会が『ジャパン・ブリュワーズ・カップ』。優勝者は『ワールド・コーヒー・イベンツ』への出場権を手にできる。
(敬称略)
Text by Yuko Taniguchi
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Features
シャングリ・ラ 東京×農口尚彦研究所がコラボレーション
2025.4.8
“酒造りの神様”の技を受け継ぐ酒蔵と共作。オリジナル日本酒が誕生
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シャングリ・ラ 東京では、石川県の酒蔵「農口尚彦研究所」が初めてラグジュアリーホテルとコラボレートした「シャングリ・ラ 東京 オリジナル日本酒」の提供を開始。29階日本料理「なだ万」と 28階「ザ・ロビーラウンジ」で味わうことができる。
今回のコラボレーションは、日本酒界の最重要人物の一人であり、“酒造りの神様”とも称される農口尚彦氏の技術と理念を受け継ぐ「農口尚彦研究所」の日本酒に、シャングリ・ラ 東京のホテルスタッフが惚れ込んだことからスタート。
食中酒として食材の味わいを引き立てるものを目指し、杜氏が綿密にブレンドした日本酒を、シャングリ・ラ 東京と農口尚彦研究所のスタッフが話し合い、試飲を重ねて完成した「シャングリ・ラ 東京 オリジナル日本酒」は、農口尚彦研究所の「山廃 大吟醸 2020」「山廃 純米大吟醸 2020」「山廃 大吟醸 2021」の3種類を独自の配合でブレンドしたオリジナル。口当たりは軽やかながらリッチな旨味と凝縮感があり、口に含むと心地よい苦味と共にキレのあるドライな余韻が続く。
ラベルには、ジェームズ・ヒルトン著の「失われた地平線」の舞台となった中国の伝説の地、シャングリ・ラ(桃源郷)がホテルの公式ロゴとともに描かれている。
また、今年中には全客室のミニバーにも二合瓶(375ml)が置かれ、好きなタイミングでオリジナル日本酒を楽しめるようになるという。
◆シャングリ・ラ 東京 x 農口尚彦研究所 オリジナル日本酒
【提供場所】29階「なだ万」および28階「ザ・ロビーラウンジ」
【料金】 四合瓶(750ml) 23,100円(税込・サービス料別)、一合(180ml) 5,775円(税込・サービス料別)
*館内での提供のみ。販売はしていません。
※画像はイメージです。
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Features
日本のすぐれた食材を限定メニューで紹介
2025.4.7
ザ・キタノホテル東京「Kitano Finds Japan」。第1回は<広島>に注目
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東京で唯一のルレ・エ・シャトーのメンバーホテルであるザ・キタノホテル東京にて、日本各地のすぐれた食材を全館で提供する新企画「Kitano Finds Japan」がスタート。
第1回目は、総料理長・加茂健氏の故郷でもある<広島>をフィーチャー。気候にも地形にも恵まれた広島の多彩な食材から厳選した材料を使い、他にない一品にして提供する。
メインダイニング「オランジュリー光庵」に登場するのは、尾道産 春猪(うまず)とグリーンアスパラガスのロティ 揚げニョッキとニラソース(3,900円 ※税込・サービス料別)。罠を使わず自然な方法で捕獲し、個体の状態に合わせた絶妙な熟成状態で名人から直接届けられる希少な猪が主役の一皿はくせがなく、ジビエの概念を覆す味わい。
オールデイダイニング「ティーラウンジ佳風」では、広島県産カキフライ御膳 瀬戸内レモンのタルタルソース(2,500円 ※税込・サービス料別)を提供。肉厚で濃厚な広島湾の牡蠣に、瀬戸内のレモンをふんだんに使ったタルタルソースが酸味とほどよい苦味をプラス。軽やかな味わいが楽しめる。
ルーフトップバー「キタノアームスラウンジ」からは、瀬戸内レモンのレモンジュースとインフューズドウイスキー、自家製ハニージンジャーシロップを使ったオリジナルカクテル 「12」(2,000円 ※税込・サービス料別)が登場。別添えのラガヴーリン(アイラウイスキー)を垂らせば、爽やかだけに終わらない、もうひとつのレモンの味わいがあらわれる。
こちらの限定メニューは5月31日(土)までの提供。6月から始まる第2回では<佐賀>を取り上げる予定だという。
◆Kitano Finds Japan 第1回<広島>
【期間】開催中~2025年5月31日(土)
【場所】店内各店舗
・メインダイニング「オランジュリー光庵」 ザ・キタノホテル東京 2階
・オールデイダイニング「ティーラウンジ佳風」 同上
・ルーフトップバー「キタノアームスラウンジ」 ザ・キタノホテル東京 9階
【内容】広島県産食材による限定メニュー提供
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鹿児島の「宝」を巡る旅
2025.4.4
日本一の荒茶生産地鹿児島で、海外を見据えた挑戦を続ける「池田製茶」と「鹿児島堀口製茶」
美しい緑が続く、南薩地方の茶畑。背後に聳える美しい稜線の山は、薩摩富士とも呼ばれる開聞岳。
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豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。
「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅。今回は荒茶生産量で2024年度に日本一となった鹿児島県で、とりわけ注目を集める2つの製茶舗、「池田製茶」と「鹿児島堀口製茶」を訪ねた。また、クラフトビールのひとつとして試みた「抹茶ビール」が好評な、鹿児島市内のバーを紹介する。
2024年度、鹿児島県が荒茶生産量でついに日本一を達成
2025年2月、嬉しいニュースが鹿児島県に飛び込んできた。2024年度の荒茶の生産量で、ついに鹿児島県が静岡県を抜いて全国一位になったと、農林水産省が発表したのだ。荒茶とは、茶畑で摘んだ茶葉を加工したもので、いわばお茶の一次加工品。
荒茶の生産量が日本一となったことは、鹿児島県が日本一の茶処となったことを物語っている、と言っても過言ではない。また、世界的な抹茶ブームが示すように、日本産の、とりわけ鹿児島産のお茶が世界で広まりつつある。今回訪ねた「池田製茶」と「鹿児島堀口製茶」は、荒茶生産量日本一と鹿児島産のお茶の世界進出の両方に、大きな枠割を果たしている製茶舗といえるだろう。
池田製茶
「茶師十段」の称号を持つ、茶葉の目利きが仕上げる極上の茶
「池田製茶」の池田研太さんが茶葉のテイスティングを行っている。テーブルは、煎茶や碾茶(てんちゃ)など、さまざまな種類の茶葉が用意されている。慣れた手つきでテイスティングを進めながら、池田さんは語る。
「茶葉の優劣を決めるポイントは形状、色沢、香気、水色、滋味の5つです。同じ煎茶でも、浅蒸しか深蒸しかでまったく味わいは違います。また、茶葉そのものも、同じ種類であっても県内の生産地によって味は変わってきます。それを見極めてこそ、品質の高いお茶が出来上がります」
テイスティングを行う池田さん。JR九州が運行するクルーズトレイン「ななつ星」車内でも茶室を担当。スイートのゲストは池田さんが淹れる、極上の茶を味わうことができる。
池田さんが丁寧に淹れた3種類の茶は、確かに香り、色、味すべてが違い、それぞれが特徴を持っていた。日本茶の世界の奥深さが垣間見えた瞬間だった。
池田さんは、「池田製茶」の社長のほか、茶師十段の肩書を持つ。茶師十段とは、「全国茶審査技術競技大会」の結果をもとに授与される、茶審査鑑定技術における最高位の称号で、この制度が開始されてからのおよそ70年の歴史のなかで、若干名しか取得者が出現していない、極めて取得が難易な称号である。
中央の皿に入っているのが、高級抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)。しっとりとした柔らかな茶葉は、一番茶ならではの風合い。
テイスティングの際には、100度近い湯を注ぐことが基本とのこと。茶葉の違いで、水色も大きく異なるのが、一目瞭然。
目利き、ブレンド、焙煎。おいしさを決める3つプロセスに関わるのが「茶師」
「池田製茶」は自前の茶畑を持たず、鹿児島県各地の生産者から茶葉を目利きして仕入れ、ブレンド、焙煎まで手掛ける製茶舗だ。「目利き」に始まり、茶師十段の池田さんの卓抜の技による「ブレンド」と、旨みを最大限に引き出す「焙煎」を自社工場で行うことによって、さまざまな味わいの茶を生み出している。
「どの産地でどのように栽培されたかを確かめながら品質を見分け、それぞれを絶妙の配分でブレンドしていくことも大切ですが、焙煎もとても重要な工程です。焙煎の程度の差で、アミノ酸、カテキン、カフェインそれぞれの引き立ち方がまったく変わってきます。それが、味や香り、水色などに大きく関わってきます」
「このように、仕入れ、ブレンド、焙煎の3つのプロセスで、それぞれ細心の注意を払わないと、よいお茶はできません。『茶師』として茶葉に磨きをかけ、おいしいお茶に仕上げる。それが私たちの仕事です」
「池田製茶」は、海外における抹茶のニーズの高まりに対応すべく、抹茶専用工場も建設。現在では、煎茶工場と抹茶工場のふたつを持つ、鹿児島では唯一の製茶舗となった。抹茶工場では、一般向けの抹茶は巨大な粉砕機が用いられるが、茶道で使われる最高級の抹茶は、石臼を用いて丁寧に挽かれる。
1台の石臼が挽くことができる高級抹茶は、1時間でわずか40グラム。この数字が、抹茶がいかに貴重なものかを物語る。
茶葉を焙煎する香りに包まれて育った幼少時代
「池田製茶」は、鹿児島市の中心地である天文館で1948年から製茶舗を営んでいた。池田さんで三代目にあたる。
「天文館で祖父が開いた製茶舗は、自宅も兼ねていましたから、幼いころから茶葉を焙煎する香りに包まれていました。茶に誇りを持って日々働いている祖父の姿を見て育ち、自分も迷うことなく茶師の道に進みました」
天文館の店舗を大幅リニューアルすると同時に、新ブランド立上げ
2021年、池田さんは「池田製茶」の天文館店舗を大幅リニューアルし、同時に「池田選茶堂」という新たなブランドを立ち上げた。モダンな趣の店内には、池田さんが丹精込めて作り上げた数々のお茶が、洗練されたパッケージとともに、美しくディスプレイされている。
暖簾に描かれたシンボルマークは、その昔、鹿児島の地でオリジナルブレンドティを楽しんでいたであろう異人の姿を空想してイラスト化。
池田さんのスぺシャリテともいえる「知覧 華」はじめ、「玉露」「浅蒸」「深蒸」などから「玄米茶」まで、多種多彩な茶が並ぶ。また、店舗の奥には瀟洒なカウンターが設けられ、そこでは、月毎に茶葉を変えた水出し茶の試飲をすることもできる。
初代から引き継いだ香りをベースに、配合比や火入れ加減など試行錯誤し辿り着いた「知覧 華」は、「池田選茶堂」のフラッグシップ的存在。
店舗奥のカウンターでは、月替わりに茶葉を変えた水出し茶を試飲することができる。一枚板のカウンターはバーのような趣。
「IKEDA」ブランドを広めるために、イタリアにも会社を設立
「茶舗というと、大きな茶箱がずらりと並んだ昔ながらの店構えが普通ですが、新ブランドを立ち上げた際には、ロゴマークなども一新し、店舗もセレクトショツプとカフェが合体したような雰囲気にしました。また、世界的な抹茶需要の増大に対応するために、県内初の抹茶専用工場を建て、2024年にはイタリアに会社を設立しました。今後はヨーロッパで『IKEDA』ブランドを広めていきたいと考えています」
プライベートではトライアスロンにも出場する池田さん。前を向き、泳ぎ、走り続けるトライアスロンレースと同様、池田さんは絶えず前だけを向いている。
池田選茶堂
鹿児島県鹿児島市千日町3-11
Tel:099-226-3381
営業時間:10時~18時
定休日:日曜・祝日
鹿児島堀口製茶
約300ヘクタール。国内では最大規模の茶畑を運営
鹿児島湾の東側に位置し、南北に細長く伸びる大隅半島。豊かな自然に恵まれ、本土最南端にあたる佐多岬で知られるこの半島には、起伏が無く広大な、農業に格好の土地が広がる。「鹿児島堀口製茶」は、この大隅半島を中心に自社と契約農家を含めると約300ヘクタール、東京ドーム64個分に相当する、国内では最大級の規模の茶畑を運営している。
広大な茶畑で効率的な農業を進めるため、「鹿児島堀口製茶」では機械化、省力化が進んでいる。(©鹿児島堀口製茶)
3代目社長が推進する、流通やマーケティングまで視野に入れた「スマート農業」
大規模な茶畑での効率的な農業を行うために、「鹿児島堀口製茶」では茶摘み機や除草機械などの自動化を進める一方で、先端技術を取り入れて生産のみならず流通や販売、マーケティングなども視野に入れた、次世代型農業「スマートIPM農法」を推進している。その先頭となっているのが、3代目社長の堀口大輔さんだ。
「『伊藤園』での経験が、大きな糧になっています」と堀口さん。工場の目に前には、広大な茶畑が広がる。堀口さんは、「鹿児島堀口製茶」が生産した製品の販売を担う「和香園」の社長という肩書も併せ持つ。
堀口さんは、東京の大学を卒業後、大手茶製品メーカーの「伊藤園」に勤めた後、2010年に鹿児島へ戻り、家業の「鹿児島堀口製茶」の業務に加わった。「鹿児島堀口製茶」では化学農薬だけにたよらない茶生産を確立し、機械<wbr />化による省力化を推進していたが、堀口さんが着手したのは、<wbr />更なる品質の向上と新たなブランド開発だった。
海外マーケットを見据え、新商品を開発
「1948年に創業した『鹿児島堀口製茶』が手掛けてきた商品は、それまでも一定の評価をいただいていました。しかし海外マーケットを見据えたとき、このままではいけないと思い、『健康・簡便性・寛ぎ』という新たな価値を付加した新ブランド、『TEAET(ティーエット)』を誕生させました。『TEA』と『DIET』を組み合わせた造語です。パッケージデザインもお洒落にしたところ、アンテナショップなどで好評をいただき、新たな需要の掘り起こしとなりました」
「TEAET」のラインナップには、手軽にお茶を楽しむことができるようにと、パウダーやティーバッグも加わった。パッケージも、従来のお茶の概念を超えた斬新さ。(©鹿児島堀口製茶)
新ブランド「カクホリ」で、30年前に祖父と父が挑戦していた「和紅茶」に再び挑む
「TEAET」に続いて発表したのが「カクホリ」ブランドだった。ロゴマークは、「堀口」の漢字をデザイン化して新たに前面に押し出し、海外マ―ケットも意識した訴求力のあるパッケージデザインとなった。品質にもこだわり、深蒸し煎茶を基軸として、ほうじ茶や烏龍茶、紅茶まで8種類のラインアップが整えられた。
とりわけ注目を集めたのが、和紅茶と称される「カクホリ紅茶べにふうき」だった。
「じつは、30年ほど前に、祖父と父が『ウーロン紅茶』を手掛けていました。とても美味しいお茶でしたが、時代が早すぎたのでしょうか、いつの間にか商品のラインナップから無くなっていました。紅茶に関しても、昔から紅茶を製造する技術は会社として持っていましたが、世界を見据え、日本で製造している紅茶の味とは一線を画す特徴ある商品を目指し、製造技術をさらに進化させて作ったのが『カクホリ紅茶べにふうき』です」
用いられている「べにふうき」は、紅茶や烏龍茶専用の茶葉として品種改良されたもので、国内ではおもに鹿児島が生産の中心となっている。
イギリスの老舗百貨店「フォートナム&メイソン」で販売開始
満を持して発売した「カクホリ紅茶べにふうき」はヨーロッパ、とくに紅茶の本場であるイギリスで高い評価を受け、「ティ―アカデミー」が主催し、「世界最高峰のお茶コンクール」ともいわれる 「THE LEAFIES」で金賞を受賞した。
日本国内でも「日本茶アワード」で2022年から3年連続でプラチナ賞を獲得するなど、高い評価を得た。
とりわけ、「THE LEAFIES」での3年連続受賞を機に、2025年1月からロンドンの英国王室御用達百貨店「フォートナム&メイソン」での取り扱いが始まるという、快挙を成し遂げた。
和紅茶はインドやスリランカ産の紅茶と比べると渋みや苦みがそれほどなく、まろやかとされているが、「カクホリ紅茶べにふうき」は適度な重みや渋みが、紅茶ファンから高い評価を得ている。ティーカップから甘やかな花の香りが微かに立ち上り、口に含むとほのかにマスカットの風味が広がる。
海外で高い評価を得たのは「カクホリ紅茶べにふうき」だけではない。2025年3月には、米国 「Global Tea Championship 2025」にて、「カクホリ深蒸し煎茶 おくみどり」が1カテゴリー、「緑茶伝説 極」が2カテゴリーと、計3カテゴリーで最優秀賞を受賞した。
標高の高い高原地帯の環境を人工的に作り出し、茶葉を広げて萎れさせる独自の製法で、ダージリンのような色味や香りを出すことに成功。そこに「べにふうき」の独特の風味が加わり、まろやかなフレーバーが生みだされた。
和紅茶に注力する一方で、緑茶の新たな楽しみ方も広める
「国産の紅茶は今後大きな可能性を秘め、海外からも注目を集めています。その一方で、昔ながらの急須で入れた緑茶の消費量は残念ながら年々減っています。それを食い止めるためにも、製茶会社として単に茶を造るだけでなく、お茶のおいしさや楽しみ方を提案する場をもっと多くの方に提供していかなければならないと思います」
堀口さんは熱く語る。
工場に併設されたレストラン「茶音の蔵」で、お茶の新たな楽しみを体験する
お茶のおいしさを楽しむ場のひとつが、「茶音の蔵」だ。「鹿児島堀口製茶」の茶工場に隣接したレストランでは、お茶と和の融合をコンセプトに、茶園のお茶と旬の食材を用いたランチコースを味わうことができる。ジャズが流れる空間で、コースの最後を締める薫り高い抹茶をいただいた時、日本の食文化における「お茶」の大切さを改めて感じた。
「茶音の蔵」の食事は、「至れりコース」(税別2,600円)と「尽くせりコース」(税別3,600円)の2つのコース。
食事の締めくくりは、デザートの抹茶ムースと、一服のお薄。抹茶をふんだんに用いたムースは、製茶工場直営のレストランならではの香りと味わい。
©鹿児島堀口製茶
茶音の蔵
鹿児島県志布志市有明町原田1203-7
Tel:0120ー464-300
営業時間:11時30分~15時
定休日:月曜日・第1,第3火曜日(月曜祝祭日の場合は翌日休み)
和香園(原田本店)
鹿児島県志布志市有明町原田1203-7
Tel:0120ー050-424
営業時間:8時~17時
定休日:年中無休(元日のみ休み)
鹿児島市内のバーで、抹茶を用いた新たなテイストのビールを味わう
茶の湯だけでなく、今やさまざまな食の分野で使われているのが抹茶。鹿児島市内には、「池田選茶堂」の抹茶を用いたクラフトビールを手掛けているバーがある。その名も「抹茶ビール」。ビールの泡とともに立ち上がる抹茶の香りを、ぜひ味わいたい。
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)
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投稿 日本一の荒茶生産地鹿児島で、海外を見据えた挑戦を続ける「池田製茶」と「鹿児島堀口製茶」 は Premium Japan に最初に表示されました。
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編集部&PJフレンズのブログ
2025.3.31
伝統と革新が融合する新たな食体験 「和牛懐石 わ美(わび)」オープン
前菜の前に供される懐石膳「東風」。和牛タン、筍、木の芽、魚沼産コシヒカリからなる膳。お品書きには「春の訪れを告げる風が吹き」と書かれているが、同時にこれはここから始まる和牛懐石のプロローグにもなっている。
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3月、大阪に新たな注目スポット、GRAND GREEN OSAKA南館が誕生した。大阪駅の西側に広がる廃線地の再開発プロジェクトの一環で約 4.5ha の広さを誇る都市公園「うめきた公園」や北館は既にオープンしていたが、新たにオープンした南館は、<wbr />インフィニティプールのあるスパ施設や地下の大型フードマー<wbr />ケット「タイムアウトマーケット大阪」があったり、<wbr />JR大阪駅に直結していることでも注目度が高いビル。
<wbr />その3階に日本の食文化と美意識を体現した「和牛懐石 わ美(わび)」がオープンする。創業60周年を迎える食肉小売・外食事業を手がける株式会社1&Dが、<wbr />新たなビジョンのもとで手がける意欲的なレストランだ。
「わ美」の佇まい。壁に大胆に描かれた野口 寛斉の書。和泉屋石材店の石。桜製作所が製作した14脚の椅子。供される料理同様に店の設えも細部まで気配りされていることを感じさせる。
オープンな雰囲気の飲食店が多いフロアにありながら、店全体が窓もない経年変化が楽しめるという白漆喰の壁で覆われ、まるでビルの中に突然、料亭が現れたような雰囲気だ。
日本の美意識が息づく空間で味わう和牛懐石
「わ美」という店名には、わびさびの「わび」、「和」の美、人と人の「輪」という3つの意味が込められている。千利休に代表される日本人特有の美意識「わびさび」を、食という体験を通して伝えることを目指している。
夜は季節の「和牛懐石 -はるの美-」全12品のコース(25,000円・税込)、昼は「わ美の昼餉 和牛と、はるの美」という全7品のコース(6,000円・税込)を提供。カウンター席14席と4名×2室、6名×1室のテーブル個室を備える。夜は完全予約制でカウンターは一斉スタートという形式を採用している(個室は予約時間に合わせてスタートする)。
オープン前に、コースの試食会に参加したので、それを元にレポートをお届けしたい。
最大の特徴は「わび茶」の精神を取り入れたサービススタイル。茶の湯が一服のお茶を中心とした総合芸術であるように、「わ美」では食事だけでなく、最後にお茶を点てて提供するという一連のストーリー性を大切にしており、唐紙の表紙に覆われたお品書きにも一皿一皿に「春の訪れを告げる風が吹き」、「新芽が萌え出る候」と言った具合にストーリーが書かれている。
最初、「和牛に抹茶?」と聞いて、どう考えても合わない取り合わせに聞こえるが、「東風」と名付けられた旬菜と牛タンの先付から九皿を経て、水菓子、主菓子を口にしている頃には、目の前で振る舞われるお点前のお茶を楽しみにしている自分がいた。
自慢は母体が肉屋だからこそ提供できる最高級品質「A5ランク」の特選部位の神戸牛と近江牛の肉。
懐石コースの主役は、この神戸牛イチボと近江牛のヘレだが、どちらも異なる切り方で提供され、静岡さんの本わさび、エジプト産の砂漠塩、あけがらし(醤油麹を使った調味料)、塩おろしポン酢、そして生胡椒といった薬味で楽しむ。
これを異なる切り方や薬味で楽しんだり、(試食では用意がなかったが)ブレザオラと呼ばれる生ハム形式で楽しんだり、弾力のある泡立ちのメレンゲにつけて楽しむすき焼き形式で楽しんだりできることが、同店を訪れる最大の楽しみ。
他にも先付で筍や木の芽と楽しむ牛タンを堪能したかと思えば、前菜では敷き詰めたランプの上にキャビアを載せて楽しんだりと、ひとくちに「和牛」と言っても、これだけの種類を区別し、これだけ多彩な味、食感、食べ応え、そして薬味とのマリアージュの楽しみがあるのかと、舌鼓を打ちつつも感心させられる。
もちろん、肉を使わない椀物や麺物も、斬新さと繊細さが共存した品を丁寧な仕事で目の前で作っており、視覚的にも楽しませてくれる。
美しいガラスの器から現れるキャビア。その下には神戸牛ランプとカリフラワーのピューレが敷かれており、イキ芋のチップスと共に食べる。
強肴は近江牛ロースの「すき焼き」。金鶏の赤彩卵は弾力のあるメレンゲが添えられており、今は無くなってしまった赤坂のすき焼き屋「よしはし」を思い出させる。
こうして祭りのような食体験が終わり、隣人との会話も一段落したところ、おもむろに茶事が始まり、来店者全員が口を紡ぎお点前に視線を注ぎ、その後、そのお茶を一服する。心も整って、「なるほど、これが〆るということか」と納得せずにはいられなかった。
最後はお茶のお点前を見て、抹茶で〆る。満たされたお腹で緩んでいた背筋が伸び、整った状態で店を後にするのは新鮮で心地よい体験だった。
ちなみに食中の飲み物、つまり、ソムリエが選ぶお酒のペアリングも面白かった。次の一品に合わせて、日本酒で始めたかと思うと、キャビアにはシャンパーニュ、メインの肉にはニュージーランドのピノノワール、すき焼きには山梨の赤ワインだったりとお酒の種類も、洋の東西にも縛られずベストな1本を選んでいた。
「未来から選ばれる企業へ」というビジョンで誕生
運営する株式会社1&Dは、今年3月1日に外食事業「株式会社ワン・ダイニング」」、食肉小売事業「ダイリキ株式会社」、持株会社「株式会社1&Dホールディングス」の3社が合併して誕生した会社だ。
創業者の髙橋健次氏が1965年、22歳でクジラ肉販売店から始め、時代の変化とともに事業を拡大してきた歴史を持つ。同社は1993年に「炙屋曽根崎店」をオープンし、居酒屋感覚の焼肉店として成功を収めた。その後、事業が苦境に立った時期に「原点回帰」を決断。精肉店ならではの鮮度の良さを活かした焼肉店に立ち返り、2006年からは焼肉食べ放題、しゃぶしゃぶ食べ放題という業態を展開してきた。
現在の社長である髙橋淳氏によると「手切りのチルド肉を提供するのは時間がかかり非効率だが、その非効率こそが独自価値につながる」と確信。技術と心を磨き、人材育成にも時間とコストをかけることで、差別化を図ってきたという。
「わ美」の運営母体はグループに食肉小売事業も持つ株式会社1&D社。それだけに自慢の近江牛、神戸牛の品質には力を入れている。調達した最高級の和牛は客の前の手で切られ、手焼きされる。
創業60周年を迎えた同社が掲げる新たなビジョンは「未来から選ばれる企業へ」。これには、未来のお客様、未来の仲間、未来の社会という3つの「未来」が含まれている。そして、このビジョンを達成するためのミッションとして「日本ならではの価値を再定義し、日本、そして世界の人々を幸せにする」を掲げている。
「わ美」は、まさにこのビジョンとミッションを体現する第一歩として位置づけられている。
店舗ロゴは“侘び寂び”をテーマに、唐紙作家嘉戸氏(かみ添)と書家加山氏が制作。複合ビルに突如現れる白漆喰の壁に、この唐紙の看板が掲げられている。
“侘び寂び”をテーマに、唐紙作家嘉戸氏(かみ添)と書家加山氏が制作した店の看板や、調理場の壁面に大胆に描かれた牛柄を思わせる陶芸家・書家、野口寛斉の絵や陶芸家、福村龍太による器、調理台は和泉屋石材店が石工をし、椅子などの木彫の家具は桜製作所が製作するなど、料理同様、店のしつらえにもかなりのこだわりが感じられる。
特に注目したいのはにじり口のような狭い入り口に飾られた金で再現された現代芸術家、髙橋大雅のドレープの作品だ。店内の壁はこの作品を最新3Dプリンターを使ってコンクリートで再現した壁になっている。
にじり口のような入り口には髙橋大雅の金色のドレープの作品が飾られている。このドレープが3Dスキャンされ、店内の壁にコンクリートで再現されている(最新のコンクリート用3Dプリンター技術を使って作成したという)。
伝統を未来につなぐ新たな挑戦
「この国の価値で壁を超える」—これが「わ美」そして株式会社1&Dのメッセージだ。日本の美しい価値観を大切にし、それに磨きをかけることで、国内外で日本の美意識と食文化を広めていく。それは単なる「和食」の提供ではなく、「団らんからDANRANへつながる幸せ」の伝播である。
「和牛懐石 わ美」は、伝統を尊重しながらも革新を恐れない、新たな和食体験の場として、多くの人々の記憶に残る「一期一会」の時間を提供してくれるだろう。
万博会場への入り口として世界中の人々が利用する大阪駅。海外の人々にも、和牛を通して日本文化の奥深さを知ってもらうべくぜひ訪れてもらいたい店の1つだ。
株式会社1&Dでは和牛文化を海外にも発信すべく、海外初出店となる焼肉食べ放題業態の店舗を、ベトナムのホーチミンに2025年7月オープンする予定だという。
2025年7月にオープンする海外1号店。
この出店は単なる収益増大のための店舗展開ではなく、日本で働くベトナム人従業員のロイヤリティ向上を推進し、将来的には日本でノウハウを培ったベトナム人従業員が故郷に帰っても活躍していける土壌を育む目的があるという。
和牛懐石 わ美
【住所】 大阪市北区大深町5番54号 グラングリーン大阪 南館3階
【TEL】 06-6485-7590
【席 数】 全28席〈カウンター14席・4名テーブル×2(個室)・6名テーブル×1(個室)〉
【営業時間】 ランチタイム /11:00~16:00(最終入店14:30)
ディナータイム /17:00~22:30(最終入店20:00)
※ディナータイムのみ完全予約制
Profile
林信行 Nobuyuki Hayashi
1990年にITのジャーナリストとして国内外の媒体で記事の執筆を始める。最新トレンドの発信やIT業界を築いてきたレジェンドたちのインタビューを手掛けた。2000年代からはテクノロジーだけでは人々は豊かにならないと考えを改め、良いデザインを啓蒙すべくデザイン関連の取材、審査員などの活動を開始。2005年頃からはAIが世界にもたらす地殻変動を予見し、人の在り方を問うコンテンポラリーアートや教育の取材に加え、日本の地域や伝統文化にも関心を広げる。現在では、日本の伝統的な思想には未来の社会に向けた貴重なインスピレーションが詰まっているという信念のもと、これを世界に発信することに力を注いでいる。いくつかの企業の顧問や社外取締役に加え、金沢美術工芸大学で客員名誉教授に就いている。Nobi(ノビ)の愛称で親しまれている。
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Features
暮らすような滞在と五感を刺激する食体験がセットに
2025.4.3
Zentis Osaka、5周年を記念した特別宿泊プランが登場
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2025年7月15日(火)に開業5周年を迎える大阪・堂島浜のホテル、Zentis Osakaから、限定メニューを含む特別宿泊プラン「Zentis Osaka 5th Anniversary Stay」が登場。
2025 年4月12日(土)~2026年3月31日(火)の期間に利用できる特別宿泊プランでは、ホテル2階「UPSTAIRZ Lounge, Bar, Restaurant」で提供する特別ディナーとオリジナルカクテル、宿泊がセットに。
5周年記念ディナー 前菜イメージ
ディナーは、食材の品質や生産者にこだわった独創的なコースを用意。完全有機栽培の農家より仕入れた有機野菜や、丁寧に再肥育した経産牛を使用した肉料理など、美食とサステナビリティを両立させたオリジナリティあふれるメニューを堪能できる。
「UPSTAIRZ Lounge, Bar, Restaurant」
(左)リモーネ ハイボール (右)ワイン オブ シトラスハート
食後のバータイムでは、美味しさはもちろん、食材のロスを減らすことも追求したバーテンダー渾身のカクテルを提供。レモンを余すことなく使った爽やかな一杯「リモーネ ハイボール」と、抜栓から日が経ち泡立ちが弱くなったシャンパーニュをアップサイクルした優美な香りのカクテル「ワイン オブ シトラスハート」から好みの1杯を選ぶことができる。
Zentis Osakaオリジナルエコバッグ
また開業5周年を記念して、ナチュラル感のあるデザインのホテルオリジナルエコバッグもプレゼント。
Studio
世界中から関心が集まる大阪で、サステナビリティの要素を取り入れた美食と暮らすような滞在が叶うZentis Osaka。友人や家族と、特別な宿泊体験を楽しんでみてはいかが。
◆宿泊プラン「Zentis Osaka 5th Anniversary Stay」
【宿泊対象期間】2025年4月12日(土)~2026年3月31日(火)
【問い合わせ】06-4796-0111(ホテル代表)
【部屋タイプ/料金】1泊2日/1室2名料金
Studio(25㎡)77,610円~
Corner Studio(32㎡) 83,530円~
Suite(57㎡)114,490円~
※消費税、サービス料10%込・宿泊税別
※予約はチェックイン3日前15:00まで可
※1名様利用プランも有り
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