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紅葉に包まれる秋の京都──びわ湖疏水船で味わう静かな時間

2025.11.06
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紅葉に包まれる秋の京都──びわ湖疏水船で味わう静かな時間
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.11.06

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2025.11.6

紅葉に包まれる秋の京都──びわ湖疏水船で味わう静かな時間

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今年8月27日、琵琶湖と京都を結ぶ「琵琶湖疏水」の諸施設が国宝・重要文化財に指定されました。明治時代に建設されたこの人工水路は、今もなお現役で活躍中。春と秋には、期間限定で観光船「びわ湖疏水船」が運航されています。とくに紅葉が見頃を迎える11月下旬〜12月上旬頃には、風情ある疏水沿いの景色と秋の京都を“水の上から”味わう贅沢なひとときを満喫できます。




蹴上乗下船場の周辺には、南禅寺水路閣や蹴上インクライン、ねじりまんぽなど、疏水関連の見どころが満載。この秋は、いつもと少し違った角度から京都を楽しんでみませんか。





京都の近代化の礎を築いた「琵琶湖疏水」




四季折々に美しい神社仏閣や手入れの行き届いた庭園、まちに息づく伝統文化など、今でこそ国内外の人々を惹きつけてやまない京都ですが、明治期には事実上の東京遷都によって衰退の一途をたどっていました。




この危機を打開するべく計画された策のひとつが、滋賀の琵琶湖から京都に水を引き入れるための水路「琵琶湖疏水」の建設。人々の暮らしや産業、文化を支える水源の確保のほか、水力発電などにも活用され、京都の近代化に大きく貢献しました。




かつては舟運も盛んで、人や貨物を運ぶための船などで賑わっていたそう。しかし交通網の発達とともに利用が減少し、1951(昭和26)年を最後にその姿は見られなくなりました。その後、明治150年を迎えた2018(平成30)年、67年ぶりに観光船として復活したのが「びわ湖疏水船」です。




蹴上乗下船場に隣接するレンガ建築は、1912(明治45)年に竣工された「旧御所水道ポンプ室(重要文化財)」。防火用水を京都御所へ送るために九条山山頂の貯水池に水を圧送するポンプを収めた建物で、京都国立博物館の旧館などを手掛けた片山東熊と内匠寮技師・山本直三郎によって設計された。




今年国宝に指定された3つのトンネル(第一、第二、第三隧道)や、重要文化財に指定された日本最初期の鉄筋コンクリート橋(第11号橋)、琵琶湖と疏水の水位差を克服するための大津閘門(こうもん)など、近代建築が物語る歴史ロマンと風情ある疏水沿いの風景に出合える、人気のアクティビティとなっています。




船上から見上げる、モミジのトンネル




運航期間中は、滋賀の大津港/三井寺発の下り便と京都発の上り便が運航。水の流れに沿ってゆったり進む下り便ではのんびりとしたクルーズを、水の流れに逆らう上り便ではエンジンを使った爽快な船旅と、それぞれに異なる感覚で楽しむことができます。




大津閘門(こうもん)の電動化改修工事完了に伴って、昨年から琵琶湖内の大津港までルートを延伸。2025年秋季は11月20日〜24日、27日〜30日の8日間限定で、大津港〜蹴上間を遊覧する「びわ湖・大津便」が運航。疏水船に乗ったまま、閘門の開閉による水位変化の体験や、狭い水路から琵琶湖へと進む景色の広がりなどを楽しめます。




上り便・下り便とも、大津閘門で一時停止。水門を開閉し、閘室内の水位を調整することで、疏水と琵琶湖の行き来が可能に。




琵琶湖から疏水への玄関口となる琵琶湖築地。上り便では狭い疏水を抜け、琵琶湖へと出る瞬間の開放感が味わえる。




また、例年11月下旬〜12月上旬は疏水沿いのモミジが一斉に色づく、紅葉のベストシーズン。トンネルを抜けた先に見える色鮮やかな木々、両岸を覆うモミジが生み出す“紅葉のトンネル”など、赤や橙が重なり合う秋ならではの景色に思わず見惚れてしまいます。




秋の風を受けて進むびわ湖疏水船。木々の紅葉と疏水が見事に調和した美しい景色に魅了される。




船には専門ガイドが同乗し、沿線の景色や関連施設などの見どころを解説。いかにも関西らしいジョークを交えた面白トークで、建設時の逸話や豆知識などを教えてくれるので、十二分に楽しめること間違いなしです。




【びわ湖疏水船】
2025年秋季 運航期間:12月7日(日)まで  ※運休日あり
料金:片道2,500円〜14,000円(完全予約制)※小人も同一料金
公式サイト:https://biwakososui.kyoto.travel/
時期によって運航ダイヤやルートが異なるため、詳細は公式サイトでご確認ください




乗船前後に立ち寄りたい周辺の見どころ




蹴上乗下船場がある岡崎・蹴上エリアにも、豊かな水を活用した日本初の事業用水力発電所や、疏水から引き入れた水の流れが美しい庭園を持つ無鄰菴など、琵琶湖疏水に関連する施設がたくさん点在しています。なかでも南禅寺水路閣やインクラインは、紅葉の名所としても知られるスポット。疏水船の乗船前後に立ち寄ってみてはいかがでしょう。




南禅寺水路閣




レンガ造りのアーチが連なる南禅寺水路閣。橋の裏手にある坂道から橋の上部に登れば、今もなお琵琶湖の水を京都に運ぶ様子が見られる。




南禅寺の境内を横切る「南禅寺水路閣」は、疏水の一部として明治時代に建設されたレンガ造りの水路橋。琵琶湖疏水の第一、第二、第三隧道とともに国宝に指定されました。




古代ローマを思わせるアーチ型デザインは、言わずと知れた美しさ。紅葉シーズンには、真っ赤に色づいたモミジに彩られ、よりいっそうの情緒を増した景色が楽しめます。




【南禅寺水路閣】
住所:京都市左京区南禅寺福地町86




蹴上インクライン




現在は、線路の上を自由に歩けるようになっている。春の桜、初夏の新緑など、四季折々の景色が美しい。




こちらも国宝に指定された貴重な遺構。かつて疏水上流と下流の高低差を克服するため、疏水船を台車に乗せ、船ごと坂を上下させていた傾斜鉄道跡で、建設当時世界最長といわれる約582mのレールが形態保存されています。




桜の名所として知られていますが、実は秋の紅葉もキレイなんですよ。紅葉する木々の数は少ないものの、色鮮やかなモミジと廃線跡が織りなすノスタルジックな風景が印象的です。




【蹴上インクライン】
住所:京都市東山区東小物座町339




ねじりまんぽ




1888(明治21)年に竣工したねじりまんぽ。入口には、琵琶湖疏水事業を主導した当時の府知事・北垣国道の揮毫による扁額が。




蹴上インクラインの下を通る歩行者用のトンネル「ねじりまんぽ」。このユニークな名前は、古い言葉でトンネルを“まんぽ”と言うこと、そしてらせん状に積まれたレンガがねじれたように見えることに由来しています。




ねじれた構造の理由は、トンネルがインクラインに対して斜めに貫通しているから。強度を確保するために、レンガをらせん状に積む工法が採用されました。このようなトンネルはほかでも見られますが、現在も残っているのは全国でも20数カ所ほどだとか。




【ねじりまんぽ】
住所:京都市東山区東小物座町




びわ湖疏水船の魅力は、ただ景色を眺めるだけではありません。
先人たちの高い志と情熱によって成し遂げられた、明治の偉業。そこに息づく歴史ロマンにふれる船旅をぜひ満喫してくださいね。




Text by Erina Nomura

 

野村枝里奈
京都在住のライター。大学卒業後、出版・広告・WEBなど多彩な媒体に携わる制作会社に勤務。2020年に独立し、現在はフリーランスとして活動している。とくに興味のある分野は、ものづくり、伝統文化、暮らし、旅など。Premium Japan 京都特派員ライターとして、編集部ブログ内「京都通信」で、京都の“今”を発信する。







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「星のや竹富島」宿泊記の第3回は、「種子取祭」を迎え、竹富島の文化を最も色濃く感じることができる秋に実施される「ミーニシ島時間」を紹介。竹富島の畑文化に触れる貴重な体験をはじめ、秋限定の特別な朝食や、祭事でしか耳にすることのできない音楽など、秋ならではの島時間を満喫する充実プログラムが、訪れる人を待っています。

 

「星のや竹富島」宿泊記 その1 島に伝わる「ウツグミ」の精神と、流れる時間に身をゆだねる はこちらをクリック

「星のや竹富島」宿泊記 その2 降り注ぐ無数の星に見守られながら味わう極上フレンチ、「群星(むりかぶし)ディナー」のひととき はこちらをクリック


降り注ぐ太陽の光は煌めき、樹々の緑は鮮やかに輝いていますが、ふと気がつくと北風が吹いています。竹富島に秋がやってきました。季節の変わり目を島に告げるこの北風は、島言葉で「ミーニシ」。この「ミーニシ」が吹くと、島の最大の伝統行事、「タナドゥイ」と呼ばれる「種子取祭」が近づいてきたことを、島の人々は実感します。




「星のや竹富島」では、9月1日から11月30日までの間、「ミーニシ島時間」と名付けた滞在プログラムを実施。「種子取祭」に向け、次第に色濃くなっていく竹富ならではの島文化を肌で感じることができる貴重な体験が、訪れる人を待っています。



「ミーニシ島時間」を味わうには、まず「種子取祭」のことを知っておく必要があります。国の重要無形民俗文化財にも指定されているこの祭は、毎年旧暦9月(新暦では10月から11月)の間、干支(えと)では甲申(きのえさる)から癸巳(みずのとみ)にあたる10日間に開催される、五穀豊穣と子孫繁栄を願う竹富島の伝統行事です。とりわけ奉納芸能が執り行われる2日間は、竹富を離れた人々も数多く帰郷し、島は一年で最も賑わいます。600年の歴史を持つといわれる「種子取祭」を迎える秋は、いわば竹富島に流れる島時間が、祭に向けて次第に凝縮されていく時期。そんな秋の竹富島を堪能する滞在、それが「ミーニシ島時間」です。


五穀豊穣を願う神事の一端で、特別なお出迎え



チェックイン後、「ミーニシ島時間」を考案したスタッフの一人の與那城 日南楽(よなしろ ひなた)さんに案内していただき、施設内の一画へ向かいます。その一画にはなんと畑が広がっていました。竹富島特有の畑文化を継承するために設けられたその畑では、粟をはじめとして、「ヌチグサ」と呼ばれるさまざまな薬草や、小浜大豆などが栽培されているそうです。



この畑に、「サン」と呼ばれる、魔除けの意味を込めて先端を結わえた、ススキの葉を3本立てます。與那城さんが、「サン」の前で手を合わせ祈り始めました。

「サン」の前で端座した與那城さんの敬虔な姿は、畑を清浄な“気”で包みこみ、見る者の心まで豊かになったかのような気分にさせてくれます。

畑にススキの葉の先端を結わえた、3本の「サン」を挿して土を清め、五穀豊穣を願う。

「ミーニシ島時間」は、種子取祭にちなむ、特別なお出迎えから始まる。




お出迎えを終えた與那城さんに話をうかがいました。

「沖縄本島で生まれ育った私が、スタッフとして竹富島に住むようなり、最初に感じたのは沖縄と竹富の文化の違いでした。もちろん、沖縄にも独自の文化が残っていますが、竹富島の方が残っている文化の色合いが濃く、それが日常生活の中にしっかりと根付いているような気がします。『星のや竹富島』に足を運んでくださる方々に、こうした竹富独自の文化を少しでも味わっていただければと思い、種子取祭が行われる秋ならではの『ミ―ニシ島時間』を考えてみました」

 



「島のお祭の準備を手伝わせていただくことで、少しづつ、島に迎え入れられているような気がします」と、與那城さん。


「今年(2025年)の種子取祭は、干支の関係で11月11日から20日までですが、その前からさまざまな神事が始まります。いま私が行ったのは、種子取祭の期間中に行われる、『種子下ろし』という儀式の一部です。結んだすすきの葉の右は地の神に、左は天の神に、真ん中は病魔から竹富を救ったという伝説の漁師、アールマイにそれぞれ捧げられています。こうして清められた土地に粟の種を蒔き、その豊かな収穫を祈るのが、種子取祭の起源といわれています」


「サン」を作る際に用いるススキの葉と、種籠。籠のなかには、粟の種が入っている。


「私自身、竹富で暮らし始めた直後は、右も左も分かりませんでしたが、数多くある島の祭事のお手伝いを何度かさせていただくと、逆に『今度はちょっとここを手伝って』と声をかけていただけるようになりました。そうなると、少しづつ島の暮らしに溶けこんでいるような気がして、嬉しくなります。種子取祭を迎える秋は、もしかしたら竹富島がもっとも竹富島らしくなる季節かもしれません。『ミーニシ島時間』で体験することができる幾つかのプログラムで、お客様が少しでも多く竹富の文化に触れていただければ、と思います」


祭事にちなんだ唄と踊り、そして三線の音色を楽しむ



部屋で少し寛いだ後、「ゆんたくラウンジ」へ。ラウンジでは「ミーニシ島時間」のプログラムのひとつとして、竹富島出身の唄い手と踊り手による「夕凪の唄~秋の調べ~」が開催されます。秋の祭事や、種子取祭でしか見ることのできない奉納芸能が演目となるこの30分の公演で、種子取祭の雰囲気を一足先に味わうこともできます。



陽も次第に傾き、窓の外に見えるプールの水面が少し陰り始めたころ、唄と踊りが始まりました。揺蕩(たゆた)うような三線の音色に合わせ、ゆったりとした、そして、どことなくユーモアを感じさせる動きの踊りが続きます。


竹富島に伝わる古謡の調べにのった、ゆったりとした踊りに酔いしれる。種子取祭の際にしか見ることのできない演目が演じられることも。


唄われるのは主に「古謡」。竹富島の暮らしの中から生まれ、唄い継がれてきた、まさに土地の歴史そのものが刻み込まれた唄です。種子取祭ならではの五穀豊穣を願う唄から、長寿を願う唄、あるいは恋愛を題材にした唄など、内容はさまざま。「ゆんたくラウンジ」のソファーで寛いでいるゲストの誰もが、ゆったりとした島時間に包まれています。気が付くと、空は藍色から茜色に変わり、夕闇が少しづつ迫ってきていました。



踊を披露してくださった、宮良次子(みやらつぐこ)さんと、三線と唄を担当してくださった、花城敏明(はなしろとしあき)さん。



八重山の島々特産の豚や海の幸、そして命草(ヌチグサ)と呼ばれる野菜やハーブをふんだんに用い、そこにフレンチのエッセンスを駆使して美しく仕上げられた「星のや竹富島」の夕食は、「島テロワール」と名付けられています。この独創的な「島テロワール」を、お薦めのワインで堪能したあとは、再び「ゆんたくラウンジ」へ。八重山の焼酎をナイトキャップ代わりにいただき、部屋へ戻ります。夜空を見上げると、零れ落ちてくるかのような星空でした。


八重山の食材をふんだんに用い、そこにフレンチの手法を組み込んだ「島テロワール」は、ワインとも好相性。この日のメインは「熟成牛サーロインとマグロの炭火焼き 島醬油と黒糖のアクセント」©Hoshino Resort

種子取祭にちなんだ食材をふんだんに用いた「種子取祭朝食」



翌朝は爽快な目覚め。箒目も鮮やかに掃き清められた庭に小鳥が降りたち、囀っています。「ミーニシ島時間」の朝食が待っています。名付けて「種子取祭朝食」。その名の通り、種子取祭にゆかりのある食材をふんだんに取り入れた、竹富島の食文化を目と舌で味わう、楽しく美味しい朝食です。



まずは、「ミシャク」と呼ばれるお神酒の一種をいただきます。甘酒にも似たほのかな甘みと微かな酸味が、食欲を搔き立ててくれます。ノンアルコールなので、お酒が苦手な人でも平気。9つの升目に区切られた器には、9種類の料理が美しく盛り込まれています。ラフテースンシ―煮添え、ピンタク枝豆入りアーサー餡添え、島豆腐の粟味噌のアンダンスー添え……。料理の名前が記された紙片と照らし合わせながら、ひとつひとつ確認。料理名に入っているわからない言葉は、スタッフが教えてくれました。ちなみに、「ピンタク」とはニンニクとタコのこと。ニンニクのことを、竹富島では「ピン」と呼ぶそうです。

9つの升目に入った料理は、どれも身体に優しい味わい。「ラフテースンシ―煮添え」は中央下、「ピンタク枝豆入りアーサー餡添え」は左下。



初めて目にする料理が多いのですが、いずれも優しい味わいで、竹富島に流れる土地の力が、身体に届けられるような気がします。びっくりするくらい大きな車麩が入った味噌汁と、滋味豊かな穀物の混ぜご飯もおいしくいただきました。


竹富島は珊瑚礁が隆起してできた島で、土壌が豊かではないために米作りには適さず、島の人々は粟や麦などの穀物を大切に育ててきたそうです。「種子取祭朝食」は、五穀豊穣を願った島人の暮らしと、そこから生まれた「種子取祭」が持つ意味を、改めて思い起こさせてくれます。


神司(かんつかさ)の祈りが込められたお守りを作る



「ゆんたくラウンジ」には、約100年以上前に作られた、はた織り機が置かれています。このはた織り機でお守りの外袋を作るのも「ミーニシ島時間」のプログラムのひとつ。予め経糸(たていと)がセットされている織り機に向かい、緯糸(よこいと)を左右に通しながら打ち込んでいきます。打ち込む度に、ほんの少しづつ、布が織りあがってくるのが分かり、嬉しくなります。


昔ながらのはた織り機で織っていく。根気のいる作業だが、少しづつ織りあがる様子を目の当たりするのは楽しい。


祈祷を受けた五穀と塩を、織りあげた外袋で包んでお守りは完成。はた織りに仕組まれている糸は、竹富島の植物で染めたもの。


與那城さんにお守りの意味を説明していただきました。

「祭事の衣裳を織る際に使われていたはた織り機で織った外袋で、祭事にちなんだ五穀と魔除けの塩と詰めた小瓶をくるみます。このお守りは、竹富島の伝統的な祭事で、神様と人をつなぎ、人々の気持ちを神様に届ける役割を担う、神司(かんつかさ)と呼ばれる女性の祈祷を受けています。神様とともに生きている島の人々の思いが込められたお守りなのです」


「種子取祭」を迎える秋の竹富島で過ごす時間は、それ以外の季節より色濃く、島ならではの文化に触れることができます。五穀豊穣を願う祭事の一端を目の当たりにし、祭事でしか耳にすることができない音楽を聴き、祭事ゆかりの食材を用いた食事を味わう。そんな「ミーニシ島時間」で、島時間を五感で堪能することができました。

 


「星のや竹富島」宿泊記 その1 島に伝わる「ウツグミ」の精神と、流れる時間に身をゆだねる はこちらをクリック

「星のや竹富島」宿泊記 その2 降り注ぐ無数の星に見守られながら味わう極上フレンチ、「群星(むりかぶし)ディナー」のひととき はこちらをクリック



◆星のや竹富島「ミーニシ島時間」

 

・島の暮らしを始める特別なお出迎え

2025年9月1日~11月30日

・夕凪の唄~秋の調べ~

無料/2025年9月1日~11月30日 火曜日/16時45分~17時15分/ゆんたくラウンジ

・種子祭朝食

2025年9月1日~11月30日/1名4,961円(税・サ込)/7時~10時/ダイニング

・五穀のお守り作り

2025年9月1日~11月30日 火曜日・土曜日/1名4,000円(税・サ込)/10時30分~、11時30分~/ゆんたくラウンジ/

各回1組2名/当日10時までに予約

 

内容が変動する場合もあります。

 

 

photos by Nathuko Okada(Studio Mug)

text by Sakurako Miyao

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伊勢神宮の三節祭の一つ、最も重要なおまつり神嘗祭(かんなめさい)
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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る

2025.10.30

伊勢神宮の三節祭の一つ、最も重要なおまつり神嘗祭(かんなめさい)

外宮の由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)の儀のため、斎館を出る黒田清子祭主。

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静謐、かつ清浄な空気が、夜の神域を満たしている。頭上には星。時折、カカカカカ、と鳴くムササビの声が、木立の中でひときわ響いて聞こえてくる。

 



年間に、約1500ものおまつりが行われる伊勢の神宮。なかでも三節祭と呼ばれる10月の神嘗祭(かんなめさい)と、6月・12月の月次祭(つきなみさい)は、浄闇(じょうあん)と呼ばれる清らかな闇の中で行われる。昼間のざわついた空気は一掃され、明かりも、手や足元を照らすごくわずかな松明やかがり火だけ。

 

今回は、そんな非日常の神域で行われる夜のおまつりの、なかでも神嘗祭についてご紹介しよう。






天照大御神に新穀を奉り、収穫の感謝を捧げる祭典、神嘗祭(かんなめさい)

 

毎年10月に行われる神嘗祭は、その年に収穫された新穀を、何よりまず天照大御神をはじめとする神々にお供えし、その恵みに対して感謝を捧げる、神宮で最も重要視されてきたおまつり。




この日は由貴大御饌(ゆきのおおみけ)と呼ばれる特別な神饌がお供えされ、米を蒸して作るという御飯(みいい)や小判型の御餅(みもち)、さらに御酒(みき)も新穀が用いられる。

 

神々が新穀をお召し上がりになり、新しいエネルギーを得ることによって、その威光が大いに高まると信じられてきたのである。



神様の衣も新調。榊も一新され、神嘗祭当日を迎える。

 

神嘗祭では、新穀だけでなく、さまざまなものが新調されるという。

 

たとえば、神饌やお祓いに不可欠な御塩(みしお)もその1つ。夏の間、御塩浜と呼ばれる塩田で、日本の伝統的な製塩法によって精製された荒塩(あらじお)は、毎年10月と3月に土器に詰めて焼き固められ、堅塩(かたしお)に仕上げられて保存される。




10月5日の御塩殿祭(みしおどのさい)では、御塩がうるわしく奉製されるように祈願された後、荒塩を土器に入れて焼き固める作業が行われる。




昔ながらの織機で10日ほどをかけて織られる和妙(にぎたえ=絹)。





また、神御衣(かんみそ)と呼ばれる神様の衣も、毎年10月1日から約10日間、昔ながらの織機(おりき)を用いて和妙(にぎたえ=絹)と荒妙(あらたえ=麻)が織られ、神嘗祭前日の神御衣祭(かんみそさい)で、天照大御神に奉られる。

 

さらに、神嘗祭の前日には、神職たちによって御正殿の御掃除も行われ、鳥居や御門、神垣などを飾るすべての榊と、榊に付けられた和紙製の紙垂(しで)も一新されるという。

神々の衣食住すべてを清らかな状態にして、おまつり当日を迎えるのだ。

一方、奉仕する神職たちも、心身を清浄にしておまつりに臨む。まず前月の晦日、つまり9月30日に、大祓(おおはらえ)で各自の罪や穢れを祓い清め、その後、神嘗祭の前々日から斎館に籠るという。

 

神宮を訪れるたび、心身ともに清らかですがすがしい心持ちになるのは、1000年以上もの長い間、神職や奉仕員たちが手をかけ、心を尽くして神々の衣食住を整え、自らも清浄さを心がけておまつりを続けてきた、その積み重ねによるのだろう。





神御衣祭に奉る和妙(にぎたえ=絹)が美しく織り上がったことに感謝を捧げる神御衣奉織鎮謝祭(かんみそほうしょくちんちゃさい)の様子。布のほか、針や糸なども奉納される。






おまつりに先駆けて行われる、伊勢市民による初穂曳

神嘗祭の中心となるのは、神々にご馳走をお供えする由貴大御饌(ゆきのおおみけ)の儀。外宮は10月15日と16日、内宮は16日と17日、それぞれ2度行われる。神宮のおまつりは、すべて外宮先祭(げくうせんさい)、つまり外宮から先に行われるのだ。

 

もっとも、夜のおまつりに先駆けて、10月15日の午前中には、ハッピ姿の伊勢市民が奉曳車に初穂を乗せ、木遣歌(きやりうた)やかけ声もにぎやかに伊勢市街を練り歩いた後、外宮の宮域内に曳き入れる陸曳(おかびき)という市民行事が行われる。






神嘗祭では、天皇陛下が皇居内の水田でお手植えされ、また収穫された御初穂をはじめ、全国の一般農家からも初穂が奉献されるのだ。これらの稲束は懸税(かけちから)と呼ばれ、感謝を込めて神々へ捧げられる。

 

さらに、翌10月16日の午前中には、やはり奉献された初穂を、今度は初穂舟と呼ばれる舟に乗せ、五十鈴川を遡って内宮の宮域内に曳き入れる川曳が行われる。



全国の農家から奉献された懸税(かけちから)は、御正殿から2番目の垣に当たる内玉垣(うちたまがき)に掛けられる。古くは年貢のようなものだった考えられている。








内宮の宮域内に初穂を曳き入れる初穂曳きの様子。伊勢市民たちが五十鈴川を遡る形で、初穂舟を曳いていく。途中、橋の下を舟が通るときは、橋を渡る人や車を一時通行停止にする場面も。稲魂(いなだま)が宿る尊いお米の上をまたがないという、日本人独特の心遣いが感じられる。




神嘗祭のはじまりは、地主神への祈りと、
奉仕する神職一人ひとりが神の御心にかなうかを占う神事から

 

神嘗祭のはじまりは、夕刻5時。

夜に行われる由貴大御饌(ゆきのおおみけ)の儀に先立って、まず内宮の御正宮で、興玉神祭(おきたまのかみさい)と御卜(みうら)の儀が行われる。





興玉神は、天照大御神がご鎮座される場所である大宮処(おおみやどころ)の地主神。御正殿の周囲をぐるりと囲む垣の内側、つまり、御垣内(みかきうち)の西北の隅に祀られている。その神前で、奉仕する神職全員が、これから始まる神嘗祭が支障なく行えるように、祈りを捧げるのだ。

 

その後、やはり御垣内(みかきうち)の中重(なかのえ)と呼ばれる、清浄な石が敷き詰められた上に、祭主以下、すべての神職たちが着座。その1人ひとりが神の御心にかなうかを占う、御卜(みうら)の儀が行われる。




古式の姿をとどめる庭上座礼(ていじょうざれい)

 

神宮の祭祀は、他の神社のように社殿などの殿内の床上ではなく、すべてこの中重(なかのえ)のように、屋外の白石が敷き詰められた上に、薄い敷物(舗設=ふせつ)を敷いて座る、庭上座礼(ていじょうざれい)という作法で行われる。

 



おまつりの一場面。拝礼をする神職たち。





社殿がなかった時代の古代の祭祀は、神は人々の招きや願いに応じて天から降り来たり、しばし巨岩や大木を依代として人間界で過ごした後、再び天へ戻ると考えられていた。神宮の庭上座礼には、そんな古式の祭祀の姿がうかがえるのだ。





神慮にかなうかを、音で知らせる日本独特の音への感性

 

さて、御卜の儀は、3人の神職によって進められる。まず1人が、今回奉仕する神職1人ひとりの名前を読み上げ、そのつど、別の神職が息を吸って、まず「うそぶき」と呼ばれる口笛のような音を、続けて別の神職が、笏(しゃく)で箏板を叩き、コンという音を鳴らす。無事両方の音が鳴れば、名前を呼ばれた神職の奉仕は、神意にかなったとみなされる。





なかでも注目したいのは、「うそぶき」が、息を「吐く」のではなく、「吸う」ことによって音が鳴らされること。これについては、鎌倉時代に書かれた『皇太神宮年中行事』に、以下の一文が記されている。

 

『音の鳴るをもってきよらかとしる、鳴らざるをもって不浄としるなり』。

 

「つまりうそぶきの音が、清浄か不浄かを知らせるということです」。神宮の広報室次長の音羽悟さんは言う。

 

「神慮にかなうか」という判断に、「清浄か不浄か」が重視され、その告知を音が担うということに、日本独特の音への感性を垣間見る思いがする。

 

 




30品目ものご馳走が並ぶ豪華な由貴大御饌。心を尽くしてお供えされる神饌

 

そして、夜。

太鼓が3度打ち鳴らされ、いよいよ由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)の儀が始まる。由貴大御饌の儀は、宵(午後10時)と暁(午前2時)の2度行われ、宵を夕(ゆうべ)、暁を朝(あした)と表現されているのだ。




ほどなく、太鼓が再び3度鳴らされ、遠くから神職が参進する音が聞こえてきた。玉砂利を踏みしめ歩く一糸乱れぬその音は、途中修祓(しゅはつ)を行うために祓所(はらえど)に参入したときにしばし止み、その後は御正宮を目指してひたすら近づいてくる。



間近に迫ってくる参進の音。それに伴って聞こえてくる、ひそやかな「おー」という警蹕(けいひつ=先祓い)の声。静かな、だがたしかな存在感を放つ音とともに、純白の斎服を身につけた神職たちが、かがり火の中に浮かび上がる。その姿は、ほどなく白い御幌(みとばり)の向こうに消えていった。

ここから先は、時折聞こえるさまざまな音と文献を頼りに、祭祀の様子を想像することになる。




外宮の御幌(みとばり)の向こうに姿を消す神職たち。





大正時代の神職、阪本廣太郎の著書『神宮祭祀概説』によれば、由貴大御饌は、御正殿の前に置かれた素木(しらき)の案と呼ばれる大きな机の上にお供えされるという。

 





ちなみに、由貴とは「神聖でこの上なく尊い」、大御饌は「立派なお食事」という意味。その言葉通り、神饌には、神宮御園(みその)と呼ばれる菜園で収穫された野菜や果物のほか、海川山野の旬の食材が30品目も並ぶという。

 

特にアワビは、内宮の由貴大御饌の儀の直前に、御正宮正面の石階段の下にある御贄調舎(みにえちょうしゃ)で、生のアワビを調理する儀式が行われる。

この儀式では、天照大御神のお食事を司どる御饌都神(みけつかみ)であり、外宮の御祭神でもある豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお迎えし、その神前で、神職が清浄な小刀と御箸を用いて、アワビに3度切り込みを入れ、御塩で和えるという。

いかに心を尽くして神饌をお供えするか、この儀式1つからもうかがい知ることができる。





外宮の御正宮へ向けて参進する祭主以下神職たち。




内宮の別宮、荒祭宮で行われる由貴大御饌の儀。神嘗祭は、内宮、外宮の両正宮だけでなく、別宮、摂社、末社、所管社に至るまで、125社すべてで行われる。



さらに、神饌をお供えする際は、龍笛(りゅうてき)や篳篥(ひちりき)などの楽の音に合わせて、神楽歌が歌われる。

ちなみに由貴大御饌の儀では、御酒は3献差し上げることになっていて、その1献ごとに、言葉や節を変えて楽が奏でられ、神楽歌が歌われるのだ。

 







神宮独特の拝礼作法である八度拝と八開手(やひらで)、そして楽の音や神楽歌
清らかな音に満ちた夜のおまつり

 

大宮司が微音(=神様だけに聞こえるような微かな声)で祝詞を奏上するのは、1献目の御酒を差し上げた後。続いて、神宮独特の拝礼作法である八度拝、八開手(やひらで)が行われる。

 

この拝礼作法は、座した状態から立ち上がる「起拝(きはい)」という所作を、まず4度繰り返し、次に伏した姿勢で柏手(かしわで)を8つ打つ。そして、座したままで一拝。再び同じ順序で、4度の起拝と8つの柏手を繰り返すという流れになっている。




八度拝の様子。2025年9月に行われた遷宮関係のおまつり御船代祭の一場面。八度拝と八開手という一連の作法を神職全員で行うことにより、個の存在が消え去り、自ずと全員の呼吸が1つになっていく感覚が生まれると、先の『神宮祭祀概説』には書かれている。




浄闇の中、時折聞こえる楽の音と神楽歌。そして、しめやかな八開手の音。年に1度の新穀をお供えする神嘗祭の夜のおまつりは、真心の奉納と表現したくなるような、清らかな音に満ちていた。




天皇陛下から奉献される幣帛を、勅使が奉る奉幣の儀
最後を締めくくる御神楽(みかぐら)の儀

 

翌10月16日は、外宮で正午から(内宮は17日)、天皇陛下が奉献される幣帛(へいはく)を、勅使が奉る「奉幣の儀」が行われる。幣帛とは、神饌以外のお供え物のこと。貨幣がなかった時代は、絹織物などが最も貴重な品とされていたことから、神宮では今もその伝統を受け継いで、五色の絹など、数種の織物を奉献していただくという。

 

最後は、神宮の楽師による御神楽(みかぐら)の儀。夕刻から夜にかけて、4時間にわたり奉納される楽と舞で、神嘗祭は締めくくられる。



「夜は神様が活動される時間です。日が暮れて暗くなると1日が終わり、新たな1日が始まる。そのもっとも大切な1日のはじまりのときに、神様の御心をお慰めさし上げる。そんな古代人の考え方が今に受け継がれています」と音羽さん。

 

古式をとどめた神宮の祭祀には、日本人が大切にしてきた心が詰まっている。



おまつりの間中、焚かれるかがり火。



Photograph by Akihiko Horiuchi
Text by Misa Horiuchi

伊勢神宮

皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1

豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279

文・堀内みさ

文筆家

クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。

 

写真・堀内昭彦

写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。

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    2025.10.30

    伊勢神宮は、なぜ日本人の「心のふるさと」と呼ばれるのか?

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鹿児島が誇る工芸、薩摩切子を手掛ける二つの工房を訪ねて

2025.10.28
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鹿児島が誇る工芸、薩摩切子を手掛ける二つの工房を訪ねて
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鹿児島の「宝」を巡る旅

2025.10.28

鹿児島が誇る工芸、薩摩切子を手掛ける二つの工房を訪ねて

「幻の工芸品」とされてきた薩摩切子は40年前、職人たちの努力により「島津薩摩切子」として蘇った。なかでも江戸時代当時の姿を再現した「復元」シリーズは、圧倒的な存在感を放つ。「薩摩ガラス工芸」にて。(価格は後述)

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どうすれば、こんな美しいグラスができるのだろう? 切子に出会った人は、誰しもその美しさに心を奪われ、そして不思議に思う。切子とはカットガラスの日本での呼び名である。日本各地に残る切子のなかでも、名が知られているのは薩摩切子と江戸切子。とりわけ薩摩切子は、厚めのガラスに施された精緻なカッティングが生みだす文様と、光を受けて煌めく艶やかなグラデーション、手に持ったときにずしりと感じる重厚感を特徴とする。「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅、今回はこうした薩摩切子を手掛ける二つの工房「薩摩ガラス工芸」と「ART DESHIMARU」を訪れた。


薩摩ガラス工芸

100年以上も製造が途絶えた薩摩切子を復元



薩摩切子は、島津家28代当主の島津斉彬が、近代化事業の一環としてガラス製造を進めたことに端を発するものの、明治維新やそれに続く西南戦争の混乱により、100年以上も製造が途絶えてしまった。そのため「幻の工芸品」とも称されてきた。


薩摩の紅硝子(びーどろ)と呼ばれ、かつては島津家から公家や大名家への贈答品として珍重されてき薩摩切子を、なんとか復元させたい。人々のそんな熱い思いがかない、1985年から「薩摩ガラス工芸」として、復元に向けての取り組みが始まった。翌年には工場が完成。場所は島津家ゆかりの地「仙巌園」の隣で、復元の中心となったのは、やはり島津家だった。工場の建設と並行し、残っていた資料などをもとにした試作品製作の試行錯誤が繰り返され、1986年にようやく復元に成功し、商品化も始まった。100年以上の歳月を経て、こうして蘇った薩摩切子は「島津薩摩切子」と名付けられた。



厚さ1㎜前後の薄手の色ガラスにシャープなカットを入れ、全体的に軽やかな仕上がりを特徴とする江戸切子に対し、薩摩切子は、時には5㎜もの厚さの色ガラスへのカッティングと、クリスタルガラスならではの透明感が複雑に入り混じったさまざまな文様が、ひと際華やかな表情を醸し出す。



なかでも、クリスタルガラスと、その外側に被せた色ガラスという2層ガラスの接面点への繊細なカッティングが醸し出す、「ぼかし」と呼ばれる独特のグラデーションの風合いが、文様により深い奥行きをもたらす。

「薩摩ガラス工芸」は「島津薩摩切子」を生み出す工場と、工場に隣接するショップ「磯工芸館」などがあり、見学が可能な工場で、こうした特徴を持つ薩摩切子が出来上がっていく様子を、間近に見ることができる。

「薩摩ガラス工芸」の工場は見学が可能。薩摩切子が生みだされていく様子を間近で見ることができる。


阿吽の呼吸で合体する、高温の色ガラスとクリスタルガラス

「吹き場」と「カット場」。工房は大きく二つに分かれている。「吹き場」は薩摩切子の生地を作る場。文字通り、吹き竿でガラスを吹いて成形していく場だ。二人の職人がそれぞれステンレスの吹き棒を持っている。片方の吹き棒の先端には、窯から巻き取られた色ガラスの塊が、もう片方の先端にも窯から巻き取られたクリスタルガラスの塊がついている。もちろん竿の先のガラスは、窯から取り出したばかりの、ドロドロに溶けオレンジ色に発光している液状の高熱ガラスだ。


色ガラスの吹き棒を持った職人が金型に色ガラスを吹き込んだ後、すぐさま今度はクリスタルガラスの吹き棒を携えた職人がその金型の中へクリスタルガラスを吹き込む。阿吽の呼吸でその二つを合体させることで、外側が色ガラス、内側がクリスタルガラスという生地が作られていく。作業は高温の室内のなか黙々と進む。二人が声をかけあうこともない。お互いの技術を信頼した熟練の職人技がそこにはある。


吹き竿に巻き取られた約1400度の高温のガラスの塊を成形していく。


吹き竿の先の二層となったガラスは、やがて金型の中に吹き込まれ、形が整えられていく。



内側にクリスタルガラス、外側が色ガラスでできた分厚い生地をカッティングすることで生まれる薩摩切子ならではの美しさ。製造現場を見学することで、その美しさの成り立ちを肌で感じることができる。


「色被せ」(いろきせ)と呼ばれるこの工程の後、色ガラスとクリスタルガラスの2層となったガラスの塊は、再び金型の中に吹き込む「型吹き」、16時間かけて冷却する「徐冷」(じょれい)を経て、検査した後に「カット場」へ運ばれる。



「吹き場」が“動”の作業ならば、「カット場」は“静”の作業だ。職人は椅子に座り、各々の作業をこなしていく。金型から取り出された原型に、カット模様の線を油製ペンで描く「当たり」。描かれた線にそっておおまかな模様をグラインダーで削る「荒ずり」。そしてさらに細かな模様を施す「石かけ」と最終工程の「磨き」。集中し、黙々と作業を進める職人の姿は美しい。

文様の下書きとなる縦横の分割線を油性ペンで引く、「当り」(あたり)と呼ばれる作業。


高速で回転するダイヤモンドホイールと呼ばれる工具で、ガラスの表面が削り込まれていく。


「吹き場」ではどろどろに溶け、オレンジ色に発光していた液状の高熱ガラスが、「カット場」では、紅や藍を纏った硬質な薩摩切子へと変貌していく工程を目の当たりにすると、100年以上も前にこの複雑な工法を編みだした人々の知恵と、途絶えていたそれを再現した薩摩の人々の熱意に胸を打たれる。


20年前に再現された、気品あふれる「島津紫」



ショップ「磯工芸館」は工場のすぐ隣の建物だ。足を踏み入れると、煌びやかな色彩の洪水にまず圧倒される。藍、緑、黄、紅、金赤、島津紫。6色の色ガラスを纏った数多くの薩摩切子が一斉に微笑みかけてくる。厚目のガラスが発する重厚な赤や青、軽やかに輝く緑と黄色。精緻なカッティングがこうした色彩をより鮮やかに引き立てている。展示されている商品も豊富だ。花瓶、鉢、タンブラー、小皿、猪口、愛らしいペンダントトップ……。工場で日々行われている大変な作業を目の当たりにしてきただけに、ひとつひとつの商品がより存在感を増してくる。

色とりどりの薩摩切子が並ぶショップは、まるで万華鏡の中を歩いているかのよう。


江戸時代に作られた当時の姿を今に伝える「復元」シリーズは、薩摩切子らしい重厚感と存在感を放つ。右、酒瓶「亀甲」・407,000円 左、丸十花瓶・407,000円(価格は税込)



「復元シリーズ」には、猪口などの小物類も豊富。右から、小付鉢・48,400円、猪口大・33,000円、猪口大・36,300円、脚付杯(中)107,800円。(価格は税込)



なかでも目を引くのが、「島津紫」と呼ばれている、気品溢れる紫だ。島津斉彬が所持していた薩摩切子の茶碗に使われていた優美な紫色をもとに、20年前に再現された紫色が彩る鉢やタンブラーが、薩摩切子の伝統と格式を象徴する。また、2025年は薩摩切子復元の40周年にあたる記念すべき年で、記念作品や限定商品も幾つか作られている。

復元40周年を記念して作られた、大鉢・1,210,000円と、タンブラー・82,500円。(価格は税込)


世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成遺産として登録されている「仙巌園」は、鹿児島を訪れた人の多くが、旅の目的地とするスポット。薩摩藩主の別邸だった御殿と尚古集成館で島津家の歴史や薩摩藩の偉業に触れたあとは、「薩摩ガラス工芸」で、薩摩の人々が育んできた美意識に触れる。こうした充実のひとときを、桜島が静かに見つめている。


薩摩ガラス工芸

鹿児島県鹿児島市吉野町9688ー24

Tel:099⁻247-2111

営業時間:8時30分~17時

定休日:月曜日、第3日曜日

 



 

ART DESHIMARU

試行錯誤して辿り着いた、黒の薩摩切子



「黒豚、黒牛、黒糖、黒酢、そして黒麹を使った本格焼酎。鹿児島は黒の文化が息づく土地です。だとしたら、黒い薩摩切子があってもよいのでは。そう考えたのが始まりです」

「美の匠 ガラス工芸 弟子丸」の代表で、切子師を名乗る弟子丸 努さんは、自身が手掛けた作品を前にそう語る。弟子丸さんは、島津家が中心となって進められた薩摩切子復興事業に当初から関わり、薩摩切子が出来上がるまでのプロセスを当事者としてつぶさに見てきた。その貴重な体験を活かし、自らの技術を磨きながら、2011年に「美の匠 ガラス工芸 弟子丸」を立ち上げた。



黒い薩摩切子を弟子丸さんは「霧島切子」と命名した。工房の所在地が霧島であることもさることながら、黒という色が持つ深みは、神々が住まうといわれてきた聖なる山、霧島にも通じると考えたからだ。漆黒にも近い黒は、薩摩切子独特の重厚感と相まって、荘厳な趣を作品にもたらしている。

「霧島切子」と名付けられた、黒の薩摩切子。黒と透明ガラスのモノトーンの世界は、静謐にして荘厳。



「黒いガラスをカッティングするのは、高度な技術が求められます。なぜならば、黒色は光を通さないので、カットする際に刃がどの深さまで入っているか、目で見えないのです。カッティングの要は、どこまで彫り込むかをミリ単位で調節すること。刃が見えないので、手先の感覚で彫っていくしかありません」

試行錯誤して辿り着いた黒の薩摩切子は、弟子丸さんの代名詞ともなった。

 



悠久の歴史の重みを感じさせる黒と、どこまでも透明なクリスタル。そこに彫り込まれた弟子丸さんならではの独自のカッティング。しんと静まり返った、静謐という言葉が相応しい、気高さが薫る作品だ。また、「霧島切子」には、まったく色を被せず、無色透明なクルスタルの輝きと、そこに施された精緻なカッティングを味わう作品もある。


「霧島切子」には、無色透明なクリスタルに刻み込まれた高度なカッティングが生みだす、美しい文様を味わうシリーズもある。


もちろん、伝統的な「薩摩切子」も弟子丸さんは数多く手がける。修業時代に培ったオーソドックスなカッティングに、独自の技法を組み合わせることによって生まれた文様は、「薩摩切子」ならではの「ぼかし」によるグラデーションと相まって、独特の美しさを醸し出している。さらに、製作の過程で生じてしまうガラス廃材を利用し、ペンダントトップやさまざまなアクセサリーに再生した「eco KIRI」 や、カッティングを施したステンドグラスからの透過光を室内で味わう「fusion」など、弟子丸さんは、これまでの「薩摩切子」の概念にとらわれない、新たな試みに絶えず挑戦している。


右から、繁盛升・150,000円、ハイボールタンブラー彩雲・230,000円、天開タンブラー極黒・110,000円(いずれも税別)

彩も鮮やかな作品が並ぶショップ。さまざまなカッティング技法を見比べるのも楽しい。


体験工房でアクセサリーやグラスなどのカッティングに挑戦


弟子丸さんを中心とした「美の匠 ガラス工芸 弟子丸」のスタッフが手掛けた作品のショップが「ART DESHIMARU」である。店内は「霧島切子」をはじめ、「薩摩切子」「eco KIRI」など、さまざまな作品が並ぶ楽しいスペースとなっている。「ART DESHIMARU」では、カッティングの体験も行われている。作ることができるのは、アクセサリーからタンブラーまでさまざま。

グレーと赤とのコントラストが印象的な「ART DESHIMARU」のたたずまい。

 


瀟洒なショップには、「霧島切子」をはじめ、さまざまなラインの作品が並ぶ。

ショップに併設された体験工房では、所定の料金を払い、アクセサリーやタンブラーなど、さまざまなタイプの切子に挑戦することができる。



アクセサリーに挑戦してみた。コイン状のブルーのガラス片を両手で持ち、高速で回転するダイヤモンドホイールと呼ばれるカット工具に、恐る恐る押し当てる。ギーンという金属音とともに、削られた部分の奥にある透明ガラスが白いラインとなって現れる。縦横斜めと、均等の放射線を4本入れようとするも、線の長さや間隔が揃わず、無様な放射線となってしまった。削る深さが均一でないために、ラインそのものの幅も異なっている。

カッティングを実際に体験し、切子の製作がいかに高度な技術を必要とするか、改めて実感した。

 

「炉火純青」を座右の銘として



「中国には『炉火純青』という言葉があります。炉の炎が青くなった時にもっとも温度が高くなることから転じ、学問や技芸が最高の粋に達することを意味します。この言葉を常に心に抱き続け、新しい煌めきを生み出したいと思います」

切子師、弟子丸さんの切磋琢磨は今日も続く。


薩摩切子の製作に40年近く携わり続けてきた弟子丸さん。まさに切子師と呼ぶにふさわしい。


ART DESHIMARU

鹿児島県霧島市隼人町小浜1817⁻1⁻2

Tel:0995⁻73ー4747

営業時間:10時~18時

定休日:木曜日



豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。

 

 

そんな鹿児島の宝を巡る旅は、これからも続く。これまでの「南の宝箱 鹿児島を巡る旅」は以下から。

第一回 鹿児島の「茶」を巡る旅 はこちら

第二回 鹿児島の「ウイスキー」を巡る旅 はこちら

第三回 鹿児島の「焼酎」を巡る旅 はこちら

第四回 鹿児島の「屋久島」を巡る旅 はこちら

第五回 鹿児島の「自然派化粧品」を巡る旅 はこちら




























































































































































































Text by Masao Sakurai(office clover)
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)

関連リンク

薩摩ガラス工芸
ART DESHIMARU

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新潟「旅館ホテルryugon」井口智裕社長 日本の地方が生きる道を地域全体で実践!

2025.10.27
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新潟「旅館ホテルryugon」井口智裕社長 日本の地方が生きる道を地域全体で実践!
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旅館の矜持 THE RYOKAN COLLECTIONの世界

2025.10.27

新潟「旅館ホテルryugon」井口智裕社長 日本の地方が生きる道を地域全体で実践!

レセプション前の和の空間と井口社長。建物は文政年代のもので、国の重要文化財に指定されている。大きな赤いソファは地域の雪をモチーフにしたもの。

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「ザ・リョカンコレクション」に加盟する旅館の女将や支配人を紹介する連載「旅館の矜持」。今回は「ryugon(龍言)」の社長・井口智裕氏を紹介する。






その宿は上越新幹線の越後湯沢駅から車で30分、上越線の六日町駅からは車で4分ほどの距離にある。東京駅で新幹線に乗れば、たった2時間以内に到着できる。新潟県南魚沼市で異彩を放つ「旅館ホテルryugon(龍言)」は、幕末期の古民家を移築した木造建築の宿だ。






居心地の良い広大なラウンジに感嘆

外観は木造と白壁のコントラストが見事で、その美しさに目を奪われる。誰もが感嘆するのは、レセプション前から、何室にもわたって奥へ奥へと広がるラウンジだ。






「日本の旅館にこうしたラウンジはどこにもないですよね。だからこそ価値があると思って造りました。念頭にあったのは、特に海外のお客さんにくつろいでもらえることでした」

と語るのは「ryugon」の井口智裕社長である。






「旅慣れた外国のお客さんや日本の方が、ここで本を読んでくれていたりすると、狙いにハマってくれたと嬉しくなりますね」






囲炉裏ラウンジにて。秋から春までは火がともされる。丸いクッションも雪のイメージだ。






囲炉裏を囲む一画があり、バーカウンターがあり、趣味の良い本を揃えた図書室があったりする。しかも、アーティスティックな椅子もあれば、昔ながらの座椅子もあり、テーブルもソファも多種多様だ。中にはカップルが座るのに最適な、かまくら型のソファもある。






それでいて雑多な印象はない。窓から見える景色が変わるから、気分も変わる。実際に、夕食が済んだ後に、このラウンジでまったりと過ごす宿泊客が多いのは印象的だった。部屋に帰るよりも、居座りたくなるのだろう。






この部屋も文政年代のもの。しっとりと落ち着くラウンジだ。






重要なのは地域全体のボトムアップ






井口社長が街と宿の関係について語る。






「『ryugon』がある南魚沼市の六日町は、観光客が来るような街じゃありません。宿の外を散歩すれば綺麗な田んぼの風景があって農作業をしている人たちがいる。田舎の日常の暮らしが感じられる土地です。宿から街の中心部も近いので、地元の人が行く居酒屋でご飯を食べるとか、そういう楽しみ方もできます。一方で、坂戸山の裾野に宿はありますから、自然も充分に感じられます。ここは街と自然の両方が堪能できる絶妙な位置なんですね」






確かに、客室やラウンジなど宿の至るところで、山の緑が目前まで迫ってくる。






ヴィラへと続く雪国伝統の雁木(がんぎ)の廊下と池。画面奥の緑は、もう山の裾野だ。






社長は続ける。






「私が望むのは連泊してもらうことです。1泊では、とても地域の文化は分からないからです。この宿に滞在しながら、地域の文化や暮らしを楽しんで欲しいのです。地元の人と触れ合う、そうすることで初めて、文化としての重みを感じることができるのではないでしょうか。連泊すれば、今日の晩御飯は街で食べて、宿に帰ってきて、バーは12時までやっていますから、軽食を食べながら一杯やる。あるいは今日の夜は軽くそばでいいとか、カレーライスでいいとか、ビーフサンドにするとか。そのために館内フードメニューがあるんです。もちろん、ルームサービスでもご利用できます。

そんな風に宿を使ってもらいたいですね。宿はあくまでも街全体を楽しんでもらうための拠点基地にすぎません」






ちなみに、宿泊しなくともラウンジ利用と入浴ができるプランもある。なにしろ、思いつく限りのサービスが用意してある。






宿をリピートする3つの条件

思考はさらに深化してゆく。






「‶地元にいいお店があれば、宿の稼働率は上がる″というのが僕の‶思想″です。自分のところでも料理は頑張りますが、地元にいいレストランが増えることのほうが楽しい。宿を拠点にして2泊3泊したくなりますよね。

僕は世界中を旅行しているので、行きたくなる場所には必ずと言っていいほど‶必勝の法則″があります。

1に泊まりたくなるような宿があり、2に体験したくなるようなアクティビティがあって、最後はいい食文化があること。この3つが掛け算となって、魅力を生み出す。条件が1個でも欠けると、人はリピートしないんじゃないでしょうか」






「ryugon」が多彩なアクティビティを提案するのもそのためだ。恐るべき数のメニューがある。






山菜狩り・きのこ狩り、田んぼを自転車で走るポタリング、坂戸山トレッキング、まちぶらツアー、冬ならば雪かき体験や雪上のガストロノミーや雪原スノーピクニック、施設内なら土間クッキング、煎餅焼き体験、土鍋ごはんで作る絶品おにぎり体験……まだまだ続く。

ちなみに、10台ある電動アシスト自転車はBESV(ベスビー)という台湾製で、連続で90kmの走行が可能だそうだ。どこにでも行けちゃう。

軽トラックをレンタルして野山を走るプログラムもある。






「僕らがアメリカに行ったらピックアップトラックをレンタルして砂漠を走りたいとか、ハワイに行ったらオープンカーに乗りたいという発想と同じです。20代の女子が麦わら帽子をかぶって、軽トラで田んぼ道を運転したら、インスタ映えしませんか」






これはイケてるかも。






玄関前に立つ井口社長。木造と白壁のコントラストが美しい。






宿とは‶思想〟の集積である






井口氏がここに至るには、実は、積み重ねた思考の長い歴史があった。

宿の原型である「温泉旅館 龍言」は、1960年代に出来た。建物は幕末時代に建てられた地元六日町の豪農の館や武家屋敷を移築したものだ。大小16の家の集合体で、本館は重要文化財に指定されている。その経営が井口社長に譲渡されたことを機に、リニューアルが施され、現在の姿になった。それが2019年のことだ。






「私は17年前の2008年から『雪国観光圏』という活動してきました。課題は、地域固有の雪国文化をどうやって地域に根付かせるかでした。ですから、『龍言』をリニューアルする際に主眼を置いたのは、この地域の文化や暮らしを宿の中で表現することです。

日本の文化を体験しながら、ある程度は高品質な時間を過ごしつつ長期滞在できるということ。そのためには、ただ古い建物だけじゃダメですから、現代の快適性も入れ込みました。

目指したのは、フランス・ブルゴーニュ地方のワイナリーのシャトーに1週間連泊するような旅のリテラシーを持った人が、居心地が良いと感じられる宿です。宿というのは、一つ一つの思想の集積なんですね」






門を壊し、地域になじませる






「この土地に高級旅館を造ったという感覚はあまりありません。第一、旅館は門構えが立派で、そこから先は宿泊者しか入れないような‶結界″を感じさせますよね。だから、まず、その立派な門を壊して、名前も『龍言』から『ryugon』に変えました。そうすることで、格式を取っ払って、地域になじませたかったのです。

だから、ここはいわゆる高級旅館ではありません。旅館ホテルなのです」






門を入ってすぐ左手にあるryugon cafeの横で。中は土間スペースになっている。






門をくぐるとすぐ左手にカフェがあり、右手には地元の品々を揃えたかなり大きなセレクトショップを配したのも、人が敷居を越えやすくするためなのだろう。






「日本人は敷地内だけで完結するいい旅館を求めていますよね。だけど、海外から日本のローカルを味わいに来た人にとっては、別にとびきり高級な旅館である必要はありません。4スターぐらいでいいのです。彼らは旅のプロセスがどうあるかを優先させていますから」






そうは言っても、客室は居心地が抜群に良かった。部屋の価格はクラシックルームの2万円余から、新築したヴィラ・スイートの20万円と幅広いところから選択できる。






ヴィラ・スイートのテラスに備わった露天風呂。目の前に雪があったら最高だろう。






「雪国文化」とは何か






では、さきほどから出てくる「雪国文化」とは何なのか。

「雪国文化って言うと、古い建物だとか茅葺屋根とか藁細工とかを想起しやすいですよね。それだと過去の継承のままで終わってしまう。文化というのは、過去・現在・未来の文脈の中にあると思うのです。僕らは雪とともに生きてきたので、そこで育まれた暮らしの知恵みたいなものを、未来に向けて表現したい。例えば、赤い円形の大きなソファや囲炉裏の周囲にある丸いクッションは、この地域の湿度がある重たく丸い雪を表現しているものです。ライブラリーの横にあるソファも、かまくらのイメージです。それらはすべて特注の家具です」

 






いちばん奥にあるラウンジ「図書室」から眺める雪景色。






「雪国観光圏」構想とは何なのか?

「そもそもは新幹線が金沢まで延伸する2014年問題がやって来るということがきっかけでした。それまでは越後湯沢から金沢までは特急だったのですが、新幹線が金沢まで伸びたら、われわれのような途中の街はどうすればいいのか。それで、新潟や群馬などの7町村の有志が集まって雪国観光圏を作ったのです。要は、エリア全体で金沢に匹敵するようなブランドを創らなきゃいけないということでした。

その核心部分はやはり雪国文化なんですね。同じ新潟県からは『里山十帖』の岩佐社長、群馬県みなかみ村からは『仙寿庵』の久保社長なども参加しています。僕らは宿ですから、施設に雪国文化をいかに落とし込むかをずっと考えてきたわけです」






井口氏の雄弁さは17年間に及ぶ思考の帰結だ。






冬の稼働率は、何とほぼ100%!






従って、冬がいちばん分かりやすいのだそうだ。

 

「1階部分は完全に埋まってしまって2階まで雪が積もる。赤ワインを片手に雪を眺めながらボーッと過ごすのがいい。雪そのものに価値があるわけです。冬の稼働率はほぼ100%ですから、お客様も冬の良さを感じていらっしゃるんです。なんか居心地がいいんだよねーってことでしょうね」






ほかに、提案するものは?

 

「新潟と言いますと、米と酒のイメージしかないでしょう。スキーなら長野県のほうがいいよねと思われちゃうし。世界遺産があるわけでも、名所旧跡があるわけでもない。南魚沼は日本の地方のどこにでもあるような街なのです。そこで、地域の文化に根ざした格好をつけない丁寧な旅を提案したいのです。名物料理なんかないけれども、冬の料理には雪国文化が詰まっています」






しかし、食事も相当なものだ。「雪国ガストロノミー」なるフルコースは地域の食材に溢れていてとても良かった。

 

「もちろん、お客さんが求められるレベルのものはお出ししています。一年でメニューは5回変わりますが、3泊ぐらいでしたら、全部のメニューを替えられます。何ならビーガンやベジタリアン対応も100%できます。当日に言われても対応できます。メニュー開発はずっとやっていますから、ビーガンで3泊分も問題なく出せます」






コースの〆に出される炊き立ての魚沼産コシヒカリ塩沢地区限定一等米とけんちん汁。このご飯の甘さ、ねばり、粒立ち、その美味しさと言ったら経験したことがないほどだ。地方の野菜で作ったけんちん汁も凄まじく美味しい。






いちばん食べて欲しいものは、春先の山菜だそうだ。






「山菜の存在を、世界に向けて発信したいですね」

印象深かったのは、朝食のバイキングでご飯をよそってくれる地元のおばちゃんスタッフの言動だ。日本語をまったく解さない白人に向かって、「ご飯はどうする?」「もう少し入れるが?」「味噌汁はどお?」と普通に話しかけていた。こういう触れ合い方は、最高に素晴らしいと思う。






地域が持つ絶対的な価値に紐づいた宿






井口社長の発想は相当に珍しい。というか、宿を街との関係性の中で捉えているところがまったく斬新だ。






そもそも、どういう経歴の人なのか?

「もともとは越後湯沢駅前にある旅館『越後湯澤 HATAGO 井仙』の4代目です。地元の高校を卒業してアメリカの大学に留学しました。ワシントン州のスポケーンにあるイースタン・ワシントン大学の経営学部でマーケティングを専攻しました」






そのままMBAを取ろうと思ったが、社会経験がないことに気づき、実家に戻る。

「当時の実家は駅前の温泉旅館で『湯沢ビューホテル井仙』という名称でした。1泊1万円ぐらい。経営が大変だったので、立て直す必要があり、2005年に『越後湯澤 HATAGO 井仙』としてリニューアルオープンしました。
そんなことをしているうちに、湯沢という土地そのものをリブランドしなきゃダメだと思い始めた。湯沢はスキーと温泉というイメージが強すぎるから、スキー以外の時期は困ってしまう。そこで、17年前に雪国観光圏を自分で立ち上げて、取り組んできました。その経緯の中で、『ryugon』をリニューアルした話につながります」






井口社長はこう締めくくる。

 

「高級旅館だけだったらライバルはいくらでもいるし、お客さんにしてみれば、ウチじゃなくてもいい。ならば、雪国文化というブルーオーシャンで戦いたい。

旅館単体だったらすぐに負けちゃう。でも、地域というものは、他の地域が真似したくともできません。地域が持つ絶対的な価値に紐づいた宿を造れば、とても強固なものになります。この戦いを宿一軒だけで取り組むのならば勝負になりませんが、私たちは地域全体としてそれをやっているのです。他の旅館さんも関連する飲食店さんもそうです。

そこにこそ日本の地方の生きる道があると考えています」






井口智裕(いぐちともひろ)

1973年新潟県南魚沼郡湯沢町生まれ。Eastern Washington University経営学部マーケティング科卒業。旅館の4代目として家業を継ぎ、2005年「越後湯澤HATAGO井仙」をリニューアル。2008年に周辺7市町村で構成する「雪国観光圏」をプランナーとして立ち上げ、運営に尽力し、観光庁の観光産業検討会議の委員も務める。2013年一般社団法人雪国観光圏を設立し、代表理事に就任。観光品質基準、人材教育、CSR事業など広域観光圏事業を中核的に推進している。著書に『ユキマロゲ経営理論(2013年、柏艪舎)』。






【ryugon(龍言)】

住所 新潟県南魚沼市坂戸1-6

電話 025-772-3470

HP https:// ryugon.co.jp/

 

構成/執筆:石橋俊澄  Toshizumi Ishibashi

 

「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。現在、フリーのエディター兼ライターであり、Premium Japan編集部コントリビューティングエディターとして活動している。

photo by Toshiyuki Furuya


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注目の自然派コスメを生み出す、鹿児島のボタニカルガーデンと工房を訪ねて

2025.10.23
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注目の自然派コスメを生み出す、鹿児島のボタニカルガーデンと工房を訪ねて
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.23

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鹿児島の「宝」を巡る旅

2025.10.23

注目の自然派コスメを生み出す、鹿児島のボタニカルガーデンと工房を訪ねて

鹿児島のボタニカルガーデンで栽培されている何種類ものハーブが、自然派コスメの原料となる。写真は「ヴィーナスターオーガニクス」が手掛ける、ダマスクローズや月桃などを用いた化粧水など。(価格等の詳細は後述)

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温暖な気候と豊かな自然が残る鹿児島は、ハーブや花々を栽培するボタニカルガーデン(植物園)が多い。自社農園で栽培したハーブなどを用いてナチュラルコスメやアロマオイルなどを作る工房も幾つか存在する。なかには、自社ブランドのみならず、大手コスメメーカーから委託を受けて生産し原料を提供する、いわゆる「OEM」を行っている工房も。つまり、それだけ鹿児島で作られる製品のクオリティが高いということに他ならない。今回の「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅では、こうした自然派コスメに携わる「開聞山麓香料園」「ヴィーナスターオーガニクス」そして「ボタニカルファクトリー」の3つの工房や自社農園に足を運んだ。





開聞山麓香料園
80年以上の歴史を持つ、日本で最初のハーブ園



薩摩半島の南端に位置し、美しい稜線を見せる開聞岳(かいもんだけ)。薩摩富士とも称される優美な山の麓に広大なハーブ園を構えるのが「開聞山麓香料園」だ。開園は1941年。日本で最初のハーブ園といわれている。

 

ハーブ園の広さは、サッカーグランドのおよそ8面分以上に相当する約6ヘクタール。そこにレモングラス、ローズマリー、レモンユーカリ、ティーツリー、ローズゼラニウムなど50種類ほどのハーブが植えられている。なかでも特筆すべきは、1万本を超す芳樟(ほうしょう)の木だ。芳樟はクスノキ科の植物で台湾が原産地。葉にはリナロールという成分を多く含み、抽出されたリナロールがフルーティで甘い香りを発することから、「開聞山麓香料園」では、1947年からこの芳樟の栽培を始めている。


後方にずらりと並ぶ、薄い茶褐色の幹を持つ木が芳樟。なかには20mほどの高さになるものも。開聞岳がボタニカルガーデンを優しく見守る。


早速、副園長の宮崎利樹さんに園内を案内していただいた。道の両脇に高さ7~8mほどの木が立ち並ぶ。これが芳樟の木だ。

 

「匂いを試してみませんか」

 

宮崎さんが一枚の葉をちぎり、手渡してくれた。そっと嗅いでみる。甘く爽やかであると同時に、どこか懐かしさも感じさせる香気が仄かに立ち上る。樟(くす)から採れる樟脳の、ツンとした香りとはまったく異なる、どこまでも甘く爽やかな香りだ。

 

「この甘く爽やかな香りの素がリナロールで、私どもの工場が生産する芳樟精油の成分のうち80%がリナロールです。これほどリナロール含有率の高い植物由来の精油はなかなか他にはありません」


緑も鮮やかな芳樟の葉。爽やかと同時に柑橘系をも感じさせる複雑な香りを放つ。


1947年に台湾から芳樟が持ち込まれたことを契機に、南薩摩地方では芳樟の栽培が盛んになり、最盛期の1970年前後には、知覧や枕崎でも栽培がおこなわれ、年間5トンもの精油が抽出された。しかし、人工のリナロールが登場し、手間のかかる芳樟からの抽出は行われなくなっていた。



「ところが、近年は自然派志向が高まり、合成リナロールでなはく100%天然由来の精油が再び脚光を浴びるようになりました。そうした流れを受けて、『開聞山麓香料園』でも芳樟精油の抽出を再び始めるようになりました。現在では年間約20㎏の精油を生産しています」



農園の奥では、ちょうど芳樟の葉の収穫が行われていた。チェンソーで幹から伐り落とされた枝を一か所に集め、葉だけを手早く小枝から摘み取っていく。響くのはチェンソーのエンジン音だけ。屋外で黙々と行われる地道な作業だ。

チェンソーで刈り取った小枝から、葉を一枚一枚摘んでいく。精油作りはこうした地道な作業から始まる。



「1㎏の精油を抽出するのは100㎏の葉が必要となります」

 

宮崎さんのこの言葉を聞くと、精油を抽出するのがどれだけ大変な作業であることがよくわかる。しかも一度葉を収穫すると、次の収穫まで3~4年は間を置かなければならないとのこと。1万本もの芳樟は、ある意味では必要な本数だったのだ。


蒸留所では、春と秋に蒸留体験ツアーも実施



蒸留所にも案内していただいた。あいにく、蒸留の作業が行われていない時期だったが、所内に並ぶ3つの蒸留器は、なんとどれも創業時から使われているという年代もの。時代を感じさせる装置が、80年前と同じ精油を生み出しているかと思うと感慨深い。

蒸留所には、丹念にメンテナンスされた蒸留器が3台並ぶ。

 

園長を務める父の宮崎泰さんをサポートし、精油作りに邁進する宮崎利樹さん。


蒸留所の奥には、大きなフラスコなどが並ぶ、まるで理科実験室の様な部屋も設けられている。蒸留された精油を、この部屋で半年から1年ほどねかせ、香りを落ち着かせる。すべてが、極めて手のかかる完全な手作業で、ようやくひとつの商品ができあがる。


「開聞山麓香料園」のシグネチャーアイテムともいえる、「芳樟精油」。7ml、2,200円・3ml、1,000円(いずれも税込)



「芳樟精油」は、やわらかな甘さと清々しいグリーンの香りが調和した、心をほぐすような優しいアロマ。リラックス効果が期待できるため、ドライハーブに数滴垂らして香りを漂わせたり、アロマディフューザーで寝室を満たせば、一日の疲れを静かに癒してくれる。また、他の精油とブレンドすれば、自分だけのオリジナルアロマを楽しむこともできる。

 

 

 


農園で栽培した月桂樹、ローズマリー、オレガノ、タイムをブレンドした「ハーブの香りだし」。7パック入り、1,000円(税込)


「ハーブの香りだし」とは、ブーケガルニのこと。通常はパセリやタイム、ローリエなどを束ねて煮込み料理に加え、素材の臭みを抑えながら、深みのある香りを添えるものだ。この「ハーブの香りだし」は、開聞山麓香料園で育てられた月桂樹、ローズマリー、オレガノ、タイムの4種を贅沢に使用。シチューやロールキャベツ、スープなどのお鍋にひとつ入れるだけで、爽やかな香気がふわりと広がり、旨味をぐっと引き立ててくれる。いつもの家庭料理が、ひとさじの魔法でレストランの味に変わる──そんな上質な香りのひと包みだ。

 

 

匂い袋、お風呂用の香水、石けんなど、ショップにはオンラインでは販売していない園内限定のアイテムも並ぶ。



「開聞山麓香料園」では、芳樟をはじめ、レモンユーカリ、ローズマリーなどの精油、ハーブティや石鹸などの自社製品を併設のショップで販売。広大な農園を散策し、さまざまなハーブが栽培されている様子を実際に見学することもできる。また、定期的に開催される蒸留体験は、予約開始すぐに満席になる人気ぶりだ。80年という長きにわたり、自然派コスメの源流を培ってきた「開聞山麓香料園」。ぜひ足を運んでみたい。



開聞山麓香料園

鹿児島県指宿市開聞川尻5926

Tel:0993-32-3321

開園時間:9時~17時

定休日:火曜日

入園料:無料



ヴィ―ナスターオーガニクス
夫婦二人三脚で手掛ける、高品質の自然派コスメ



月桃、ローズマリー、レモングラス、ローズゼラニウム、レモンバーム……。10種類近くのハーブが植えられたガーデンで、自ら育てたハーブを愛おしそうに眺めるのは、永仮紗彩さん。夫の洋文さんと二人三脚で、「ヴィーナスターオーガニクス」ブランドのオーガニックコスメを手掛ける紗彩さんはカンボジア生まれ。洋文さんと結婚して日本に帰化し、永仮さんの故郷である鹿児島でハーブ栽培を始めた。


自宅兼工房前に設けられたハーブガーデンで、手塩にかけて育でたハーブを見つめる永仮紗彩さん。


ボタニカルガーデンで栽培されているさまざまなハーブ。右上から時計まわりに、レモングラス、ペパーミント、ティーツリー、月桃。



「カンボジアでは、ハーブが日常の食事や医療に深く溶け込んでいます。私自身も幼い頃からハーブに親しんできました。温暖な鹿児島もハーブ栽培には適した気候ですので、ここで何種類ものハーブを栽培し、人工的なものは何も加えない自然派コスメを多くの人にお届けしたいと思います」



自宅兼工房の周囲に設けたハーブガーデンの他に、約2,000坪ほどの農園を持ち、そこでも20種類ほどのハーブを栽培し、それを原料としたさまざまな自然派コスメが作られる。

 



「霧島は豊かな自然だけでなく、シラス台地が濾過したミネラルが豊富な天然温泉水に恵まれた土地です。雨も多いのでハーブが育ち、それを上質な水を用いて化粧水を作ると、肌に優しい素晴しい商品が出来上がります」

 

 

商品開発を担当する洋文さんがリコメンドしてくれたのは化粧水「ジャポニズムローション」シリーズ。ダマスクローズ、ジャスミン、月桃など5種類の商品は、いずれも霧島の天然水に、イチョウ葉エキスやワサビの葉エキスなど4種類の鹿児島産植物エキスを配合し、それぞれのハーブの香りを纏わせたもの。合成香料や合成着色料、鉱物油といったいわゆる人工化合物は一切含まれていない、文字通りの自然派コスメだ。



「ジャポニズムローション」シリーズの中から、「ダマスクローズ」を試してみた。手のひらに取ると、みずみずしくさらりとしたテクスチャーで、驚くほど甘く、華やかなダマスクローズの香りが立ちのぼる。頬や額にそっとなじませれば、潤いとバラの甘い香りで、気分まで上がるようだ。毎日のスキンケアで、この香りに触れるたび、肌だけでなく心までも満たしてくれる、そんな優雅なひとときをもたらしてくれるローションだ。

 

 

 


左から、ジャポニズムローション(ダマスクローズ)、ジャポニズムローション(月桃)いずれも200ml・3,520円(税込)ジャポニズム ツバキマルチオイル 、30ml・3,740円(税込)、ルームミスト(桜島小ミカン×霧島レモングラス)、30ml・1,980円(税込)



鹿児島産椿を用いた「ツバキマルチオイル」もおすすめ。椿油は古くから日本女性のスキンケア、ヘアケアに使われてきたもの。「ツバキマルチオイル」は、低温圧搾法にて圧搾した希少な椿油に、ダマスクバラ花エキス、ダマスクバラ花油、トウキンセンカ花エキス、カミツレ花エキスを配合したマルチオイル。スキンケア、ヘアケアはもちろん、頭皮ケア、爪のお手入れ、ボディオイルとしても優秀。ダマスクローズの香りが素晴らしいので、至福のケアを堪能できる。使い勝手のよいアイテムだ。

 

 

15種類のエッセンシャルオイルを80%以上使用した「ルームミスト」もラインナップは豊富。桜島小ミカンの果皮の精油と、霧島産レモングラス精油をブレンドしたルームミスト「桜島小ミカン×霧島レモングラス」は、爽やかさの中にミカンの甘さがあり、気温や湿度が高い時に使えば、リフレッシュ効果は抜群。

 

 


ドライハーブにすると、水分が抜けて成分が凝縮され、香りが強くなる。右奥から時計まわりに、バタフライピー、カレンデュラ、カモミール、ダマスクローズ。いすれも自家栽培したもの。


「ヴィーナスターオーガニクス」は自社製品だけでなく、抽出した原料を用いた自然派コスメの開発を、化粧品メーカーとともに行っている。また、さらに良質なものを目指し、来年に向けて自社コスメのリニューアルの検討も始まっている。

 

「肌に使うものは、新鮮なものではなくてはなりません。また、植物が持つ本来の力を最大限引き出すには、やはり新鮮な植物が必要となってきます。そのためには素材となる植物は自ら作る、あるいはできる限り近いところ、つまり鹿児島県産のものを使うのがベストだという結論に辿りつきました。」



桜島小ミカン、ティーツリー、タンカン、ヒノキ葉、レモンユーカリ、レモンバーベナ……。洋文さんが語るように、「ヴィーナスターオーガニクス」が手掛けるさまざまな原料は、いずれも自家栽培もしくは鹿児島県産から作られる。


高品質の精油を生み出す、ポルトガル製の銅の蒸溜器



工房には、精油や芳香蒸留水を生産する銅製の蒸留器が2台備わっている。「アランビック」と呼ばれるポルトガル産の蒸留器は、現地の銅職人が胴板から手作業で打ち出した伝統工芸品。

 

「ガラス製やステンレスに比べ、熱伝導率が高いために、植物の生臭さのもととなる硫黄系成分が除去され、高品質の精油や芳香蒸留水を抽出することができます」

 

2台の蒸留器並ぶ工房は、それほど広くはない。でも、この自宅裏に設けられた工房で、夫婦二人で丁寧に作られた数々の原料が、多くのコスメメーカーへと渡り商品となっていく。マニュファクチュール(家内制手工業)の原点がここにはある。


銅製の蒸留器が2台置かれた、こじんまりとした工房。銅イオンの殺菌効果により、保存期間の長い蒸留水を抽出することができる。



ヴィーナスターオーガニクス

お問合せメールアドレス:mail@venustar-organics.com

*現在、見学には対応していません。



ボタニカルファクトリー
大隅半島の大自然が育んだ、注目の自然派コスメ


温帯気候と亜熱帯気候が入り混じる鹿児島県の大隅半島。4,000種類以上の植物が群生する半島は、豊かな緑に覆われた自然豊かな地が広がる。この大隅半島の最南端に位置する南大隅町に本拠を置く化粧品メーカー「ボタニカルファクトリー」の製品や活動に、近年注目が集まっている。


4,000種類を超す植物が生い茂る大隅半島。「ボタニカルファクトリ―」の本社と工場のすぐ裏手も、濃い緑に覆われた景色が広がる。



「生まれたばかりの娘がかなり重いアトピー性皮膚炎となり、食事療法やさまざまなスキンケアを試したのですが、どれも効果はありませんでした」

 

「ボタニカルファクトリー」代表の黒木靖之さんが、ナチュラルコスメへ目を向けるきっかけとなったのは、自身の娘さんへの思いからだった。じつは黒木さんは、それ以前から化粧品の輸入販売などを手掛ける事業に携わり、化粧品に対する知識もある程度持っていた。



「自ら化粧品に携わっていながら、自分の娘のアトピーには何の役にも立っていない」

 

そんな思いを抱いた黒木さんは、肌に優しく、口に入れても安心な化粧品作りへと事業の方向を切り替えていった。

 

黒木さんが最初に取り組んだのは子どものための石けんとフェイスオイルだった。アトピーに効くとされたダチョウの油を用いた手作りの石けんとフェイスオイルが好評となり、2006年には故郷の南大隅町に工場を設立。


「大隅半島の豊かな自然を生かした、自然由来100%の成分にこだわり続けたいと思います」と、代表の黒木靖之さん。


「以前は気づきもしませんでしたが、南大隅という土地は、月桃をはじめさまざまなハーブが自生するという、アロマオイルを作る原料を入手するには最適の地なのです」

 

当初は、自生するハーブや自家栽培したレモングラスなどでアロマオイルを作り、それを石けんの香り付けに用いていたが、やがてアロマオイルや蒸留水を使ったスキンケア商品のラインナップが増え、2016年には「ボタニカルファクトリー」が誕生した。場所はもちろん南大隅だ。


廃校となっていた小学校と中学校の校舎をリノベーションして工場に



廃校となっていた小学校と中学校をリノベーション。それが南大隅の地に誕生した「ボタニカルファクトリー」の本社と工場だ。町の協力で借り受けた校舎は、町の人々にとっても思い出がつまった建物。その活用は、地域の人々にとっても嬉しい知らせとなった。それだけではない。町の特産物であるパッションフルーツの規格外品を買い取ってローションの原材料とし、工場は地元の女性やシニア層の働き場となるなど、「ボタニカルファクトリー」の存在は、地域活性化の大きな拠点となっている。



図書室だった部屋を改装し、ショールーム兼ワークスペースに。窓からは広がる大海原を見渡すことができる。



「ボタニカルファクトリー」が手掛ける化粧品のブランド名は「ボタニカノン」。植物の「ボタニカル」と、音楽用語の「カノン」を組み合わせた造語で、植物本来の成分や香りが、カノン(輪唱)のように重なって届いてくることがイメージされている。

 

地元産のパッションフルーツを用いたローションは、地元の農家から買い取った規格外のパッションフルーツを丸ごと活用。さらりとした付け心地ながらも、気が付くと肌がしっとりし、そのしっとり感は、やがてハリ弾力に変わる。また、南国の太陽を思わせるパッションフルーツ独特の爽やかな香りがほどよく残り、それはいつまでも、まさしくカノンのように嗅覚を心地よく覚醒させてくれる。

 

また、フェイスオイルはベタつかずさらりとしているにもかかわらず肌馴染みがよく、化粧水のブースターとしてオイルマッサージ後に化粧水を重ねることで、水分と油分とのバランスが整う。

右/シトラス スカルプ&ヘアローション、100ml・2,750円(税込) 左/パッションフルーツローション、100ml・1,650円(税込)



左/ホーリーバジル化粧水、150ml・2,420円(税込)右/フェイスオイルEX、30ml・3,410円(税込)


「こちらへどうぞ」

 

黒木さんに導かれるまま辿りついた場所。それはかつて校舎だった建物の屋上をルーフトップテラスに改装したスペースだった。きらめく鹿児島湾の大海原を挟み、開聞岳が優美な稜線を見せている。目を見張るような絶景だ。海から吹き抜ける風が心地よい。

 

「3年ほど前から、リトリートツアーを開催しています。ゲストの方々には、ヨガシークエンスや工場でのオーデコロン作り、その後は天気が良ければこのテラスでランチ、そしてメディテーションと、盛りだくさんのメニューを体験していただきます。最近では県外からお越しになる方も増えてきました」


錦江湾を一望するルーフトップテラスには、ソファが置かれ、流れる時間をゆったりと味わうことができる。


原料から生産までを一貫し、しかも天然成分由来を原料とした化粧品作りをほぼ実現させる一方で、「ボタニカルファクトリー」は、化粧品が出す有害なゴミを減らすために、容器は再生プラスチックへと徐々に移行させている。

 

「私たちは大手メーカが行っている大量生産、大量消費とは距離を置いています。もともと、それができるような規模でもありません。ですので、現在の体制をベースに、鹿児島という地の利を生かし、今まで以上に地元に密着した自然派化粧品作りを目指しています」




「ボタニカルファクトリー」は、海を挟んだ対岸の「開聞山麓香料園」から原料の一部を仕入れている。大隅半島と薩摩半島、二つの半島の間で原料がやりとりされているのだ。また、南大隅町には国の指定史跡の「佐多旧薬園」がある。これは薩摩藩が薬草を採取していた場所。黒木さんの言葉が物語るように、ハーブ栽培に関する独自の歴史を持ち、ハーブを介した工房間の交流が行われている鹿児島は、自然派化粧品づくりには格好の土地といえよう。

 





ボタニカルファクトリー

鹿児島県肝属郡南大隅町根占辺田3222(旧登尾中学校)

Tel:0994-24-3008

 



豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。

 

 

そんな鹿児島の宝を巡る旅は、これからも続く。これまでの「南の宝箱 鹿児島を巡る旅」は以下から。

第一回 鹿児島の「茶」を巡る旅 はこちら

第二回 鹿児島の「ウイスキー」を巡る旅 はこちら

第三回 鹿児島の「焼酎」を巡る旅 はこちら

第四回 鹿児島の「屋久島」を巡る旅 はこちら









































Text by Masao Sakurai(office clover)
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)

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開聞山麓香料園
ヴィーナスターオーガニクス
ボタニカルファクトリー

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2025.10.16
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カール・ハンセン&サンの名作家具と古民家宿が響き合う「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.16

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北欧の名作家具に出会う宿

2025.10.16

カール・ハンセン&サンの名作家具と古民家宿が響き合う「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」

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デンマーク王室御用達の家具メーカー、カール・ハンセン&サンが、瀬戸内の伝統的な日本家屋で北欧のヒュッゲを体感できる、宿泊体験型インスタレーション「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」を開催中。2026年2月15日(日)までの期間限定で宿泊が可能だ。




会場は、香川県丸亀市・本島に佇む一棟貸しの古民家宿「Villa Tomari」。かつて郵便局長が暮らしていた旧松野邸をリノベーションした宿は、当時としては珍しくモダンな造りで、北欧家具との相性も抜群。



伝統的な日本家屋が蓄えてきた「経年の美しさ」が光る空間に、ハンス J. ウェグナーの「CH23」や「CH88P」、ボーエ・モーエンセンの「BM0121 ダイニングテーブル」などの名作家具が自然に溶け込んでいる。



さらに屋外スペースには、カール・ハンセン&サンのアウトドア家具を配したサウナエリアも。風と光、そして静寂に包まれながら“ととのう”ひとときを堪能できる。



館内にはカール・ハンセン&サンの貴重なオリジナルのアーカイブ写真や、デンマークの海の風景、本島の地図などをアートピースとして展示。時の流れとともに深みを増す空間で、時代を超えて受け継がれる名作家具の魅力を体感してみてはいかがだろうか。



◆「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」
【期間】開催中~2026年2月15日(日)(瀬戸内国際芸術祭 秋会期(10月3日~11月9日)と一部重複)
【場所】Honjima Villa「Villa Tomari」(香川県丸亀市本島町泊494-16)
【形式】宿泊体験型インスタレーション(1日1組/4名まで)
【料金】50,000円(税込)~/1泊(食事別途予約制·有料)
【宿泊定員】4名まで

photo: Shinsuke Inoue

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「Villa Tomari」公式サイト
カール・ハンセン&サン 公式サイト

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星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅

2025.10.14
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星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.14

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星のやに泊まる、星のやを知る 

2025.10.10

星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅

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“その瞬間の特等席へ。”をコンセプトとする星のやブランドの始まりの地である「星のや軽井沢」。今年開業20年を迎え、「谷の集落に滞在する」をテーマに、「日本の原風景」を描いた美しい景観と心豊かな時間が過ごせる宿として、多くの人々を魅力し続けています。今回ご紹介する「森林養生」プログラムは、ただ休むための滞在ではありません。森を歩き、湯に浸かり、旬の養生食をいただき、体を調えていく。この体験を繰り返すことで、驚くほどに心身がリセットされていく体験プログラムです。今回は3泊4日のプログラムの一部を体験し、その背景を開発者に伺いました。

 





「星のや軽井沢」宿泊記 その1 新設の「棚田ラウンジ」で、緑と水に抱かれた「棚田アフタヌーンティー」を満喫

 

「星のや軽井沢」宿泊記 その2 2泊3日の特別プログラム「軽井沢 夏の健幸滞在」を体験する

 

 





自然に抱かれ、ゆっくりと深呼吸するように身体が調っていく「森林養生」プログラム

 

チェックインを済ませると、3泊4日のスケジュールの説明と共に、現在の身体の状況をお話するコンサルテーションが行われます。
ただのんびりするだけではなく、身体を見つめ直して、身体を調えることに焦点を合わせた旅。

どんな旅になるのか、果たして効果を実感できるのか、そんな想いを抱きながら、プログラムがスタートします。

 






まずは、「深呼吸入浴法」を学びながら大きく呼吸をして身体の緊張を解していく。
その後は、プログラムの主軸の1つである「森林浴ウォーキング」に向けて、ノルディックウォーキングポールの使い方を敷地内でレッスン。ノルディックウォーキングポールは通常のポールとは使い方が異なり、ポールを身体の前で杖として使うのではなく、身体の後ろでウォーキングをサポートするようにして使います。そのためにウォーキングを後押ししてテンポよく歩けて、姿勢を正して足を出すことで身体が温まっていくようです。

 

 





説明によると、ノルディックウォーキングポールを使うと、普段よりも腕を大きく振ることで全身運動となり、運動量が高くなるとのこと。緑豊かな環境で身体を動かすことの心地よさを感じながら、頭を空っぽにして歩みを進めることに爽快感を感じていきます。




到着後の緊張した身体をゆっくりとほぐしながら、「深呼吸入浴法」を学ぶ。




いざ、森林浴ウォーキングへ出発。コースはその日の体調に合わせて基本3つのコースから選ぶことができます。もちろん相談すれば、別のコースを選択することも可能とのこと。




軽井沢の名瀑「竜返しの滝」と「白糸の滝」、二つをめぐる道を選びました。途中まで車を走らせ、そこからは歩いて森の深みに分け入ります。足を踏み出すごとに、土の柔らかな感触が体に響き、小鳥のさえずりや木々のざわめきが心を優しく撫でていく。静寂に抱かれた世界で感覚がひとつずつ研ぎ澄まされ、絡まっていた思考がほどけていく。気づけば、胸の奥まで風が吹き抜けるように、心がすっと軽やかになっていくのです。




ポールを使うことで足取りが軽くなり、歩くことが楽しくなっていきます。




「竜返しの滝」まで来ると、一気に空気が変わり、気温も下がり、自然と深呼吸がしたくなっていく。




鍼灸・ボディケアの施術で、身体と深く向き合う

 

心地いい疲労感に包まれた後は、楽しみにしていた鍼灸・ボディケアの施術。実は鍼灸ははじめての体験。一度はやってみたいと思っていたものの、信頼できる先生でないと不安ということもあって未だに体験できていませんでしたが、星のや軽井沢が選んだ国家資格を有する、鍼灸・柔道整復師の方であれば安心です。

 




初日のカウンセリングで体調を細かく確認。3日間にわたり、その日の体調に合わせ、丁寧に施術が行われていきます。約150分の施術後は不思議と身体の痛みが和らぎ、さらに血が巡ってきたのか身体はポカポカです。
さらにいえば、朝起きた瞬間から腰痛に悩んでいましたが、翌朝は久しぶりの清々しさに包まれて、「こんなに自分の体は軽かったのか」と効果を実感しました。




完全個室のスパ棟では、水のせせらぎしか聞こえてこない。




施術は痛みを感じることなく、心地いい。







食べることも「森林養生」の大切な要素

 

「森林養生」のさらなる柱となるのは食事です。このプログラムではスポーツ栄養学に基づいた薬膳仕立ての特別食と星のや軽井沢のメインダイニング「日本料理 嘉助」での食事が三食用意されています。つまり滞在中の食事も徹底的に管理。



今回の夕食は「日本料理 嘉助」で『山の懐石』をいただきます。秋の食材である松茸や鮎、信濃雪鱒、薩摩芋などを使った料理はとにかく美しく、そして体に染み入る優しい味わいに仕上がっています。身体が調っていたせいもあるのか、ペロリと完食。

プログラムでは、2日目の夕食は特別食「山の旬菜鍋御膳」です。旬の野菜や薬膳素材が美しく盛られた鍋は、体に優しいだけでなく、食欲を満たす力強さもあるレシピ。




椀盛「中秋月」は、十三夜豆腐とすっぽんの身を入れた白玉は兎に見立てて。




重陽の節句をイメージした、進肴「被綿」。菊花蕪の中に鹿真薯が入り、上には松茸が乗っています。





素晴らしい環境の中での適度な運動、ボディケア、美味しい食事で大満足の1日の終わりは源泉かけ流しの温泉「メディテイションバス」で「深呼吸入浴法」を実践。ただ湯に浸かるのではなく、呼吸を整え、湯の中で軽く体を伸ばす。体が温泉に包まれながら、深い呼吸を繰り返すと、一日の疲れが取れるとともにエネルギーがみなぎっていくようです。温泉の力を“積極的に活かす”入浴法があることを今回はじめて知りました。

心も体も健やかになり、その日の夜はすぐに眠りにつくことができました。

 





朝食は、地元の山の恵みを薬膳の知恵と掛け合わせた「山の旬菜粥朝食」をいただく。滋味深いお粥を口に運ぶと、体がじんわり温まっていきます。朝からしっかり食べることは、新たな一日の始まりを整え、体を養う行為だと実感します。




特別朝食「山の旬菜粥朝食」。右奥の養生粥は戻貝柱ほぐし身、銀杏や百合根、小豆などが入った香り豊かで優しい味わい。




今回は3泊4日のプログラムの一部の体験ではありましたが、自分の身体の内に耳を傾け、自然の中で体を調えていく経験でした。都会でトレーニングをするのとは異なり、まさに心身が調っていくことを実感できます。貴重な休日をどう過ごすかを考えた際、食事や運動、そして鍼灸が調った環境にただ身を置くだけで、心も体も驚くほど軽くなっていきました。




完全個室になっているスパ棟。




星のや軽井沢からはじまった「養生」という発想と取り組み

 

この「森林養生」プログラムの開発背景について、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐さんと、スパ開発を手掛け、さらには今回の「森林浴ウォーキング」のサポートもしてくださった髙橋明日香さんに話を伺いました。

 

 





「養生」とは、自分を養い、健やかに生きるための知恵。そう語るのは、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐さんです。

 

「日本には古来から、食や呼吸、休息を通じて自分を整える文化がありました。星のや軽井沢ではその知恵を現代に置き換えて、軽井沢の自然や温泉の力を借りて心身を調える体験として「森林養生」プログラムを開業して間もないころから提供しています。




星野リゾート入社後、プログラム開発に従事。2015年に「星のや軽井沢」総支配人、2019年に「星のや東京」総支配人を務め、2021年から再度「星のや軽井沢」総支配人を務めている。





「森林養生」プログラムが始まったのは開業当初から

 

「当時はマクロビオティック(マクロビ)が注目されており、健康的な食事への関心が高まっていました。そこで「森林養生」でも食事を中心としたプログラムを行っていましたが、当時は今よりずっとストイックで、玄米を百回噛む、ゴマをすり続けるといった厳格な食事法でした」と赤羽さん。

 

 





「当時は食事の際に横に座って指導をするほど徹底的な指導でした。その甲斐あって、滞在中に減量ができたり、フェイスラインがすっきりしたなど目に見えた効果を感じていただきましたが、いまは無理なく続けられることを重視しています。大切なのはゲストが自分のペースで“心地よさ”を見つけることですから」とプログラムを企画・開発した髙橋さん。





「森林養生」プログクラムのスタート当時から企画に携わっている髙橋さん。ご自身もマラソン大会に出場するほどのアスリートである。




さらに髙橋さんは「森林浴ウォーキング」で新たに採用したノルディックウォーキングポールについても話してくれました。

 

「通常のポールは杖のように使用しますが、このノルディックウォーキングポールは腕を大きく振って、ウォーキングのサポートをしてくれる道具になります。ウォーキングの助けになるとともに、全身運動となることで運動量も増加します。このポールを使ったことで、普段より長い距離を歩けたとおっしゃるお客様もいて、帰宅後にポールを購入されて日常に取り入れているようです。ここでも体験が一時的なものではなく、帰ってからの生活に生かされることは嬉しいですね」と話します。




ウォーキング中は腕に心拍計をつけて、運動による心拍の変化をチェックしていきます。




まずはポールの使い方をレクチャーしていただく。ポールを使うと、姿勢を正して、テンポよく進むことがラクになります。




エビデンスに基づき、あらゆる角度から養生を行っていく

 

もちろん食事を大切にする発想は、スタート当時から変わることなく反映されています。

「薬膳は特別なものに感じられるかもしれませんが、基本は旬の食材を活かすことからはじまります。信州ならではの恵みを取り入れ、運動や施術の効果を高める献立を提供しています。今回より地元で、アスリートの運動や食事指導を行っている公益財団法人『身体教育医学研究所』と『ニッスイ湯の丸アスリート食堂』の力をお借りしたプログラム構成になっているのも特徴です」。






また鍼灸をはじめとする東洋医学のアプローチも、今回から導入したものです。3日間に渡って行われる鍼灸とボディケアの施術は、それぞれの体調を見ながら行われます。連日の施術で、より体の声に耳を澄ませることで、自分に合った回復法を見つけるきっかけとなるはずです。






星のや軽井沢を象徴するランドスケープ「棚田ラウンジ」を背景に。







さらに特徴的なのは、スタッフ全員がプログラムに関わっている点です。外部講師に任せるのではなく、スタッフ自身が知識や技術を学び、ゲストに寄り添っていく。

「だからこそ小さな変化に気づけるのです。ゲストが自分なりの物語を紡ぐ、そのそばに寄り添うのが私たちの役割だと思っています」と赤羽さんは語ります。

 

いまではその発想は他の「星のや」にも広がっています。星のや竹富島では「島時間養生」、星のや東京では「深呼吸養生」といった形で展開され、土地固有の自然や文化を取り入れながら、ゲストが自分を見つめ直すきっかけを提供しています。

 




広大な星のや軽井沢。悪天候の日は、星野温泉 トンボの湯へ続く「イチイの丘」で、軽いランニングなどで身体を慣らすのもおすすめです。




取材を終えて思うのは、このプログラムは「癒し」を超えた存在だということです。森を歩き、湯に浸かり、旬をいただき、ただ休む——。そのシンプルな行為の積み重ねが、自分自身を深いところからリセットしてくれます。

 

赤羽さんが最後に語った言葉が印象的でした。

「ここは“何かをする場所”ではなく、“何もしないことを思い出す場所”なんです」

 

 




森に抱かれながら過ごす3泊4日の滞在は、忙しい時間を過ごす私たちが忘れかけていた“調和・調整”を呼び戻す意味深い時間になりました。











「星のや軽井沢」宿泊記 その1 新設の「棚田ラウンジ」で、緑と水に抱かれた「棚田アフタヌーンティー」を満喫

 

「星のや軽井沢」宿泊記 その2 2泊3日の特別プログラム「軽井沢 夏の健幸滞在」を体験する









◆星のや軽井沢「森林養生」

・実施 通年
・料金 1名270,000円〜(税・サービス料込)*宿泊料別
・含まれるもの  コンサルテーション2回、深呼吸入浴法レクチャー1回、森林浴ウォーキング4回、鍼灸・ボディケア3回・浅間山ストレッチ1回・のびのび深呼吸1回、夕食「日本料理 嘉助・山の懐石」2回、特別夕食「山の旬菜鍋御膳」、朝食「日本料理 嘉助・山の朝食」1回、インルームダイニング朝食1回、特別朝食「山の旬菜粥朝食」1回
・定員 1日1組(2名まで)
・予約 公式サイトで10日前までに受付
・対象 星のや軽井沢宿泊者
・備考 身体バランスや要望、天候に合わせてスケジュールは変更になる場合があります。

仕入れ状況やスケジュールにより食事内容が一部変更になる場合があります。
2名でご予約の場合は一部滞在スケジュールを変更させていただきます。

 

 

 

Text by Yuko Taniguchi
Photography by Natsuko Okada(Studio Mug )

 





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  • 「星のや東京」2泊3日の特別プログラム「深呼吸養生」体験記 その2

    2025.10.10

    「星のや東京」2泊3日の特別プログラム「深呼吸養生」体験記 その2

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  • 「星のや東京」2泊3日の特別プログラム「深呼吸養生」体験記 その1

    2025.10.10

    「星のや東京」2泊3日の特別プログラム「深呼吸養生」体験記 その1

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2024.5.31

「星のや東京」2泊3日の特別プログラム「深呼吸養生」体験記 その2

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星のやに泊まる、星のやを知る 

2024.6.18

「星のや沖縄」宿泊記 その1 太陽と海と自然に触れる「星のや沖縄」の魅力

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2024.9.30

「星のや京都 」宿泊記 その1 1000年前と変わらぬ嵐山の自然に溶け込む、水辺の別邸

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初任給で赤い下着を贈る? 引っ越し祝いにトイレットペーパー!? 韓ドラで不思議な「5つのシーンの謎」

2025.10.07
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初任給で赤い下着を贈る? 引っ越し祝いにトイレットペーパー!? 韓ドラで不思議な「5つのシーンの謎」
All About(オールアバウト) [海外旅行] | 2025.10.07

海外ドラマが面白い理由の1つに、その国ならではの文化が垣間見えるというのがあるでしょう。知らなくてもドラマを見るうえで支障はありませんが、「なぜ?」と思うようなシーンが時々あります。本稿では、韓ドラを見ていて不思議に感じるポイントについて解説します。※画像:amanaimages

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癒やしの島、屋久島へ。豊かな自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップとカフェを訪ねて

2025.10.06
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癒やしの島、屋久島へ。豊かな自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップとカフェを訪ねて
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鹿児島の「宝」を巡る旅

2025.10.2

癒やしの島、屋久島へ。豊かな自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップとカフェを訪ねて

「ヤクスギランド」で出会うことができる屋久杉のひとつ「千年杉」。圧倒的な存在感で訪れる人を出迎える。

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「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅の今回の目的地は屋久島。鹿児島本港から高速フェリーで最短2時間、ほぼ中央に九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)がそびえる周囲約130㎞の島だ。島自体は亜熱帯に属するものの、亜熱帯から亜寒帯までと、多様な植生の垂直分布が見られ、1993年には日本初の世界自然遺産の島に認定された。屋久島の植物といえば、やはり屋久杉。数多くの屋久杉を鑑賞できる島内隋一の森「ヤクスギランド」で、実際に屋久杉を目の当たりにした後は、屋久杉がもたらす豊かな自然と、その自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップ「YAKUSHIMA BLESS」 と、「Plant-based Cafe&Act【ne-】」「やくしま果鈴」の二つのカフェを訪ねた。


海岸沿いのわずかな平地をのぞき、島の大半は山また山。その山々を濃い緑が覆う。



「ヤクスギランド」で数多くの屋久杉に出会う




屋久島を訪れたら、まずは縄文杉へ。だれもがそう思うかもしれないが、縄文杉への道のりは往復約22キロを、10時間前後かけて走破する本格的なトレッキングコースとなり、なかなか困難なことも事実。もう少し手軽に屋久杉に出合うことができる場所、それが「ヤクスギランド」だ。




ちなみに、屋久杉とは樹齢1,000年を越える杉、そして縄文杉とは、標高1,300m付近の山中に根を張る最大級の杉の一個体に付けられた名称で、約2,000年から約7,000年の間の樹齢と想定されている。一方、「ヤクスギランド」にも樹齢2,000年前後の屋久杉が何本か存在し、間近で見ることができる。


30分・約800mの「ふれあいの径」コースは、木道と石張歩道が整備されているので小さな子どもでも歩くことができる。このコースでも、何本かの屋久杉に出会う。




海沿いは晴れていたのに、標高1,000mを超える「ヤクスギランド」に到着すると雨が降ってきた。雨と同時に、樹々も一斉に深呼吸を始めたのだろうか、周囲の緑がより色濃く鮮やかになってきたかのようだ。程よく整備された30分・約0.8㎞の「ふれあいの径」から、210分・約4.4㎞の「天文の森」までコースは5通り。年齢やその日のコンディションに合わせて選ぶことができる。



今回は80分・約2㎞の「つつじ河原」を選択した。「ふれあいの径」と重なる最初の間は比較的に楽な道のりだったが、奥へ入るにしたがってアップダウンも加わり、径も険しくなってくる。しかし、それを補うに余りあるのは、次々と現れる屋久杉の巨木の厳かなたたずまい、そして歩くにしたがって変わっていく周囲の景観だ。

奥へ入るにしたがい、径はやがて狭く険しいものとなる。一歩一歩注意しながら歩きたい。


径沿いの景色は、絶えず変化していく。美しい清流とも何度か出会う。流れる水は驚くほど透明。




「千年杉」「仏陀杉」「双子杉」……。その趣深い名前もさることながら、神々しいまでの存在感を放つ屋久杉を前にすると、思わず頭を垂れたくなる。屋久杉だけではない。生い茂る大小さまざまな樹木、澄み切った水が流れる清流、苔むした岩肌……。立ち止まり、何度も深々と息を吸う。あらゆるものに生命が宿り、そこから放たれるエネルギーが身体を清浄にしてくれる。降る雨も清々しく感じられる。


屋久杉の根をびっしりと苔が覆う。そこに何者かが宿るような神々しいまでの巨木が、訪れる人の心を癒やす。



80分の「つつじ河原」コースを無事踏破した。心地よい疲労はやがて満足感となる。

 

屋久杉に出合うことができる格好のエリア、「ヤクスギランド」。小さな子でも歩くことができる「ふれあいの径」以外は、高低差のあるコースとなる。雨も多い。レインコートやトレッキングシューズなど、ある程度の装備を整えて歩くことがお薦めだ。

 


屋久島レクリエーションの森保護管理協議会

鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦1593

Tel:0997-42-3508

受付時間:8時~17時


豊かな自然に囲まれ、のびのびとすごすヤクザルとヤクシカたち



「ヤクスギランド」のほかにも、屋久島の自然に触れることができるスポットは数多くある。そのひとつが、「大川の滝」。90mほどの断崖から落ちてくる滝の水が作る景観は雄大そのもの。晴れた日には青空と滝水の白、そして周囲の緑とのコントラストが美しい。また島の西側、世界自然遺産エリアの西部林道には、野生のヤクザルとヤクシカが頻繁に出没し、時には道路を我が物顔で歩いていることも。



落差90m近くある「大川の滝」。滝つぼのすぐ側まで近づくことができる。日本の滝百選」にも選ばれている。


道路際から人間をじっと見つめるヤクザルたち。猿が人間に対して狂暴化する原因となる「餌付け」は条例で厳しく禁止されている。



YAKUSHIMA BLESS
貴重な屋久杉を活用し、島の恵みを多くの人に伝える



店内に足を踏み入れると、木箱に積み重なった小さな木片の山が目に入る。そしてどことなく爽やかな香りも。小さな木片は屋久杉だ。屋久杉は、現在では伐採禁止だが、「YAKUSHIMA BLESS」の母体である「武田館」は、古くから屋久島で屋久杉を伐採・搬出する林業を営み、そのころからの伐採済屋久杉を在庫として多く保有していた。店内に置かれていたのは、そうした屋久杉を木片にしたものだ。



屋久杉は小さな木片となっても、1000年という歳月を感じさせる複雑な表情を醸し出す。



手に取り、よく見るとひとつひとつ形が異なり、なかには表面に複雑な模様を持つものもある。ふつうの杉より多くの樹脂を含む屋久杉は、磨けば磨くほど光沢を増し、複雑な表情を醸し出してくる。こうした屋久杉の性質をいかし、ゲストが選んだ木片と、木片を磨く紙やすりなどをセットにしたキットが、「屋久杉を磨こう!」だ。



「単なるお土産にはしたくなかったのです。旅が終ったあとにも屋久島を感じていただきたい。この島の一部を皆様にお届けし、屋久杉がお守りのように、皆様のそばで寄り添えたなら。そんな想いから生まれたプロダクトです」

 

そう語るのは、「YAKUSHIMA BLESS」代表の金田知博さん。


金田知博さんと、店長の幸代さんご夫妻。「YAKUSHIMA BLESS」の母体となった「武田館」は、幸代さんの祖母が始め、屋久杉の家具などを扱う店舗として、「YAKUSHIMA BLESS」に隣接して現在も営業を続けている。



「屋久島に屋久島のままであり続けてほしい。限りある資源を大切に未来へ残すため、島の恵みと新しい感性を融合させ、これまでの『お土産』の枠にとらわれない、屋久島にしかないものづくりを目指しています。そして、『この島に訪れてよかった』と思っていただけるような、心おどる出会いが生まれる場所でありたいと考えています」






金田さんの言葉が物語るように、「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムは、環境に配慮したものばかりだ。「屋久杉を磨こう!」をはじめ、チップ状にした屋久杉を漬け込んだ椿油、アミノ酸が豊富なシルクなどを用いた「屋久杉の石鹸」、屋久島で暮らしたアーティストに手によるバンダナ「ハルモニア」など、どのアイテムも環境への配慮と、そこに関わった人の温かい息遣いが感じられる。


「屋久杉の石鹸」は「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムのなかでも一、二を争う人気。1個3,300円(内税)

「屋久杉の石鹸」の泡は驚くほど滑らかで弾力がある。その肌触りをショップ内で試してみることもできる。



白を基調とした店内には、「屋久杉の石鹸」をはじめ、屋久杉を活用したグッズや、アーティストとコラボした作品などさまざまなアイテムが美しくディスプレイされている。



「自然に感謝、人に感謝。名前の『bless』には、そんな私たちの思いが込められています」

 

樹齢1,000年を越える屋久杉の木質はとても硬く、小さな木片にもその堅牢さは十分感じられる。それは「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムに通底する、環境を大切にしようとする意志の強さそのものでもある。




YAKUSHIMA BLESS

鹿児島県熊毛郡屋久島町安房540-61

Tel:0997-46-2899

営業時間:9時~17時(冬季時間変更あり)

不定休

 

 







Plant-based Cafe&Act【ne-】
森へと誘い、森から還る。森に溶け込む自然派カフェ




「Plant-based Cafe&Act【ne-】」は、屋久島の樹々に囲まれてぽつんと建つ一軒家だ。「ne」とは根っこの根。そして「plant-based」は植物由来の食べもののこと。このネーミングが物語るように、一軒家カフェでの食事、ドリンク、スイーツはすべて植物に由来する。


屋久島の森を通る道がそのまま店内へと誘うような造り。店の反対側から、道は再び森へと続いていく。



ランチの「ブッダボウル」は、無農薬のお米に有機雑穀を加え土鍋炊きし、そこに屋久島産の無農薬野菜がふんだんにトッピングされている。口に含むと、野菜の滋味が広がり、その滋味を土鍋炊きの米のふくよかな味と香りが包む。島の樹々を利用して、屋久島の海水を数日焚いて作る自家製の塩や、こだわりの調味料がオーガニックな食材とともに、味わいをより細やかにしてくれる。


高野豆腐の照り焼き、ナッツ佃煮、塩麹きのこをはじめとして、週替わりで屋久島産の季節の野菜をたっぷり盛り込んだ「ブッダボウル」。1,500円(税込)



マフィンやスコーンなどのスィーツも植物由来ならではの優しい味わいだ。自家焙煎のコーヒーとの相性も抜群で、「これがすべて植物由来で作られているの?」と驚くほど満足感のあるスイーツだ。


屋久島産の素材を使用したスコーンをはじめとする植物由来のスイーツが、愛らしく並ぶ。どれも優しい甘み。



笑顔の絶えない、店主の丸山悟さんと奥様の真実さん。二人とも屋久島へ移住しこの店を立ち上げた。「人間が自然の一部であると感じられる屋久島の在り方。そこに惹かれました。屋久島というと、屋久杉に話題が集まりますが、屋久杉だけでなく森そのものがとても豊かで、その豊かさを一人でも多くの方に味わっていただければ、と思います」



そんな丸山さんの言葉は個性的な建物の造りにも現れている。屋久島の森の小道が、まるで建物の中を通り抜けるかのようになっているのだ。長方形の建物の両側短辺が出入り口となり、小道は店舗の中央を通り、店を出るとその先は森へ繋がっていく。森へと誘う起点であると同時に、森の小道を覆うほっと一息つくことができる場所、それが「Plant-based Cafe&Act【ne-】」だ。


森の緑と一体化したかのような空間。石畳の道が店内を通り抜け、森へと続く。




木の温もりが優しい店内には、屋久島の木材などを用いた木工作家の作品やオーガニック主体の食品などがディスプレイされ、そのディスプレイにも、丸山夫妻の「森への想い」が満ち溢れている。また、木に触れることができるキッズスペースが設けられているので、子連れのゲストも楽しむことができる。


丸山さんは、屋久島の木にまつわる研修も受け入れ、売り上げの一部を植林活動に使うなど、食空間に留まらず、社会に対するアクションも行っている。まさに、「Cafe&Act」の空間だ。


「この少し変わった空間で、人も森のなかの一部であるということを、身体すべてで感じ取っていただければと思います」

 

店内の片側壁面は、窓を多用した開口部の多い造りとなっている。開け放たれた窓から心地よい風が吹き込んでくる。風と同時に、丸山さんが語る「森と人との繋がり」が森からカフェの店内に、そして身体中に注ぎ込まれているような気がした。

笑顔の絶えない二人に囲まれ、生後6カ月の、あおちゃんもいつも笑顔。



Plant-based Cafe&Act【ne-】

鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2739-343

Tel:090-2399-8769

営業時間:11時~16時(木曜日~土曜日)

 

 




やくしま果鈴
「やくしま愛」に満ち溢れた、屋久島素材にこだわるおやつ工房



濃厚な甘さとほどよい酸味、そしてジューシーな果肉が特徴の柑橘類の一種、「たんかん」。鹿児島は「たんかん」の生産量が日本一で、屋久島でも収穫期の2月になると、果樹園ではオレンジ色も鮮やかな「たんかん」がたわわに実る。この「たんかん」を使ったお菓子を中心に、安心でおいしいおやつをつくっているのが「やくしま果鈴」だ。




有機栽培で30 年以上「たんかん」が育てられていた畑を、縁あって鈴木由美さんが引き継いだのは2017年のこと。屋久島に魅入られ、その何年か前から島での生活を始めていた鈴木さんは、もともとお菓子づくりのキャリアを持っていた。そうしたキャリアを活かし、畑を引き継いだと同時に、鈴木さんが代表となって、店舗も兼ねたお菓子工房「やくしま果鈴」が誕生した。

 

「特産の『たんかん』を使ったお菓子をつくろうとしたのですが、当初は『たんかん』に関しては美味しい果実としてしか知らず、お菓子の素材に使うにはその特徴をもっと深く知りたいと思い、そのためには自分たちで栽培もしたほうが良い。そう思い、農業と製造加工が同時にスタートすることになったのです」

 

最初は3名からのスタートだったが、鈴木さんの思いに共感するスタッフが次第に増え、現在では16名の仲間たちが、果樹の栽培やお菓子作りに携わっている。



「工房を始めたのは、『たんかん』のおいしさをたくさんの人に味わってほしい、という想いからです。その想いをかなえるためにも、持続可能な農業を心掛け、『たんかん』栽培に関しては鹿児島県から特別栽培(減農薬・減肥料)の認証を受けています。お菓子をつくる場合にも出来るだけ自然の素材からくる香りや色味を大切に、可能な限り屋久島産のものを用いています」




鈴木さんが栽培しているのは「たんかん」の他に、ぽんかん、レモン、グアバ、バナナ、パイナップルと多種多彩。こうしたフルーツが、さまざまなお菓子となってお店に並ぶ。

自家農園の果物を丸ごと生かしたフルーツバター、フィナンシェ、バスクチーズケーキ、「やくどら」と名付けたどらやきのほか、島の特産品を活かしたお菓子を、丹精込めて手づくりしている。

人気商品のひとつがフルーツバター。それぞれのフルーツの甘味とバターのふくよかな味わいが絶妙なマッチング。各1,380円(税込)




「やくしま果鈴」には、カフェスペースも設けられている。「まるごとたんかんジュース」や「黒糖ジンジャエール」など、ドリンク類も充実。なかでも人気なのが、フルーツ感をダイレクトに味わうことができるスペシャルスムージーだ。「たんかんスムージー」「グアバスムージー」「パッションフルーツスムージー」など、フルーツをふんだんに用いたスムージーのほか、マンゴー、ドランゴンフルーツなどラインナップも豊富。「たんかんスムージー」を口に含む。ぎゅっと濃縮された「たんかん」の風味が、ほどよい冷たさと同時に心地よく喉を通り抜けていく。そして優しい甘みが追いかけてくる。


お店の前にそびえる「モッチョム岳」を眺めながら心ゆくまで味わいたい。たんかんスムージー(左)と、すもも&ポンカンスムージー(右)、各700円(税込)。



愛らしいパッケージのお菓子が整然と並ぶ店内。

店内にはカフェスペースも設けられ、グラタンセットやフルーツバタートーストなどもオーダーすることができる。



「私たちがつくるお菓子は素朴かもしれません。でも、屋久島がもつ自然の豊かさを込めているつもりです。私たちが屋久島に魅せられてお店を続けることで、私たちが大好きな屋久島に少しでも貢献できたら、そんなことを願っています」

 

受け継いだ果樹園で、スタッフの力を合わせて収穫したさまざまな果実に囲まれながら、鈴木さんは今日も工房でお菓子づくりに励んでいる。


「時間をかけて丁寧に、一口食べると思わず屋久島が好きになるようなお菓子を作っています」と、代表の鈴木由美さん。


やくしま果鈴

鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間672-1

Tel:070-8940-6721

営業時間:10時~17時30分

定休日:日、月曜(イレギュラーあり)



豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。

 

 

そんな鹿児島の宝を巡る旅は、これからも続く。これまでの「南の宝箱 鹿児島を巡る旅」は以下から。

第一回 鹿児島の「茶」を巡る旅 はこちら

第二回 鹿児島の「ウイスキー」を巡る旅 はこちら

第三回 鹿児島の「焼酎」を巡る旅 はこちら




























































































































Text by Masao Sakurai(office clover)
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)

関連リンク

屋久島レクリエーションの森保護管理協議会
YAKUSHIMA BLESS
Plant-based Cafe&Act【ne-】
やくしま果鈴

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“日本で婚活する韓国人男性”が増えているのはなぜ? 意外と知らない「日韓の結婚文化の違い」

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“日本で婚活する韓国人男性”が増えているのはなぜ? 意外と知らない「日韓の結婚文化の違い」
All About(オールアバウト) [海外旅行] | 2025.10.06

日本で婚活する韓国人男性が増えているという。韓国人男性が日本で婚活する理由と、日韓の結婚文化の違いについてまとめた。

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南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を

2025.10.04
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南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を
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2025.9.30

南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を

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日本に居ながら、海外のビーチリゾートにいるような時間が楽しめるのが、南紀白浜にある贅を尽くした隠れ家的なホテル「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」である。

 

東京・羽田空港から南紀白浜空港まで約1時間、大阪からは車で約2時間半、南紀白浜の数多いリゾートホテルの中でもひと際目を惹く佇まい。ホテルに足を踏み入れれば、喧騒とは無縁の時間が流れ、究極のプライベート空間が広がっている。

 

2025年9月、世界的なホテルブランドグループ「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)」に日本で19番目のホテルとして迎えられた。世界に比類のない小規模のラグジュアリーホテルの1つであり、特別な滞在を約束されたホテルであることの証である。








目の前には海岸が広がっている。





わずか18室のプライベートステイで心が解き放たれる滞在を

 

 

当ホテルがなぜ贅沢なのか。

わずか18室の客室は、違うタイプの客室が3棟に分かれ並んでいる。
それぞれの棟は“星座”の名前がついており、もっとも広いプレミアスイートオーシャンビューは「GREAT BEAR(おおぐま座)」という名がついている。
テラスを含んで145㎡の広さがあり、ベッドを4台備えた部屋であれば、小さな子どもの添い寝であれば3世代での滞在も可能だろう。

また部屋によってはサウナやジャグジーを備えているので、誰の目を気にすることなく、自分の時間を謳歌することができる。







「GREAT BEAR(おおぐま座)」客室。




120㎡の広さのジュニアスイートデラックスが「GIRAFFE(きりん座)」。テラスへ飛び出す形の半露天風呂が備えついており、公式ホームページからキッズフレンドリープランを選んで予約すれば、室内に子ども用の遊び場スペースを設置し、バスルームには子ども用グッズなどを用意されているので、荷物が多くなりがちな子ども連れの旅でも身軽に移動できるのは嬉しい。



「GIRAFFE(きりん座)」の客室。




キッズフレンドリープランを選ぶと、客室に子ども用に遊び場が備えられている。




洗面所に用意されている、子ども用にグッズの数々。




プールガーデンデラックス「DRAGON(りゅう座)」は、まるで高級ビーチリゾートホテルのように、部屋のテラスからプールへ飛び込める。水着のままプールに飛び込み、部屋のテラスでくつろいでから、またプールへ。

海外の高級ビーチリゾートにいるような滞在が、日本でできるなど驚きの連続。

 

 




「DRAGON(りゅう座)」の客室。




テラスから直接プールへ。



また、全室には電解水素水が備えられており、専用ボトルに入れて、いつでも健康や美に効果的と言われる水素水をいただくことができる。

部屋の冷蔵庫内の飲料ももちろんすべてフリー。足りなくなれば追加でオーダーすることもできる。

 





南紀白浜温泉の「湯」に包まれて。ホテル内から湧き出る源泉掛け流しの純泉体験

 

南紀白浜温泉は、有馬温泉と道後温泉に並び、「日本三古泉」の一つに数えられ、日本書紀や万葉集にも登場する温泉である。古くから天皇をはじめ皇族が湯治に訪れたと言われる由緒ある場所である。




敷地内にある自家源泉。







大浴場には露天風呂も備えられている。浴室にはランドリーがあるほか、湯冷めのアイスキャンディーも。




当ホテルの建設は、まずは温泉を掘り当てることからはじまったと聞く。温泉の掘削が成功しなければホテル建設は断念したというほど、温泉の存在は必須だった。無事に掘り当てた源泉は「純泉」と名付けられ、敷地内地下1,000メートルから汲み上げる自家源泉が施設中央にある。温泉の中でも珍しい深層自然温泉が24時間湧き出ている。なんとも贅沢なことだ。

 

 



部屋のお風呂でゆったりも嬉しいが、やはり大浴場の存在は温泉地では欠かせない。露天と内湯を兼ね備えた大浴場「五光の湯」は、海風に吹かれながら空を見上げ、心の芯まで解きほぐされていくような感覚を味わえる空間だ。

 

 





さらに、宿泊者だけが利用できるプールは、冬は温泉プールになるために年間を通じて利用することができる。

朝は鳥のさえずりとともに、また夜は星空を仰ぎながら、プールに身を委ねる体験は南国のリゾートそのものだ。

 

 

2025年には木樽型の「バレルサウナ」がプールサイドに新設され、ウェルネスリゾートとしての魅力がさらに進化した。プールで冷えた身体を温め、汗を流してからまたプールへ飛び込む。これは海外リゾートでは味わえない贅沢ではないだろうか。



“泊まる”を超える、人生に残る滞在体験

 

 

滞在スタイルはオールインクルーシブ。

食事はもちろん、アルコールを含むドリンク、温泉施設の利用、バーでのカクテルタイムまで、すべてが宿泊費に含まれている。だからこそ、ゲストは時計やお財布のことを忘れ、“本当の意味で自由”な時間を手にすることができる。







ゲストは自由に利用できるバースペース。日本酒やワイン、ビールなどのアルコールから、ノンアルコールドリンクやスナックなどが置いてある。



最後にご紹介するのは南紀の豊かな食材をたらふくいただける食事である。

レストラン棟は仕切りあるスペースと個室があり、まわりを気にすることなく自分たちのペースで食事がいただける。夕食はコース料理になっており、紀州の海と山の恵みを取り入れた会席料理を楽しめる。素材のすべてが選び抜かれた逸品ばかり。料理長が一皿ずつに心を込めた“地産地消の芸術”は、まさに舌の記憶に残る味わいだ。



驚くほど柔らかい、熊野牛の陶板焼き。



新鮮な海の幸はお刺身で。





食事を終え、夜のとばりにプールサイドでくつろいでいると、広大な敷地に映し出されるレーザーマッピングショーがはじまる。
静寂な中、幻想的な光の舞台に目が奪われる。

時折映し出されるメッセージは、チェックイン時に預けたメッセージである。滞在中に、大切な人へ思いを伝える、そんな演出もできそうである。






夜はレーザーマッピングショーがはじまり。宿泊客のメッセージが投影される。






朝食は、レストラン棟で豪華なビュッフェが待っている。

熊野牛や伊勢エビ、鮑、サザエのほか、新鮮な地元野菜が並び、好きなものを網焼きにしていただく。網の上で鮑が躍る姿はなかなか見ることができない、まさに贅沢な食事である。さらには美しいお刺身も並んでいる。朝から遭遇する非日常の風景に来てよかった!という言葉が思わず漏れてしまうはずだ。

 



高級食材が並ぶ朝食。




「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」での滞在は、まさに夢のような時間であった。
「何もしない」ことを、心から楽しむ、都会では忘れている何かをここでは見つけることができるはずだ。
いつかまたここに戻ってきたい、そう心から思えるホテルだ。




 

 

 

 

Text by Yuko Taniguchi





FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)
和歌山県西牟婁郡白浜町300-2

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FIVE SPRINGS RESORT THE SHIRAHAMA 公式サイト

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伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?

2025.10.02
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伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.02

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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る

2025.10.2

伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?

神宮の修祓の様子。黒田清子祭主も奉仕。おまつりに先立ち、奉仕する大宮司以下、神職たちとともに、お祓いを受ける。

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稲が稔りのときを迎える秋は、全国でもおまつりが多い季節。特に農村地帯では、年に1度の大々的なおまつりである例祭がこの季節に行われる神社も多く、おまつりを通して、鎮守の神様である御祭神に、収穫への感謝の祈りが捧げられる。

 



ここ伊勢の神宮でも、令和7年(2025)9月2日に抜穂祭(ぬいぼさい)が行われた。毎年9月初旬に神宮神田で行われる抜穂祭は、神宮のおまつりでお供えする御料米の初穂を収穫するおまつり。以後の約1ヶ月間、稲穂の刈り取りが行なわれ、10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)で、はじめて天照大御神などの神々に奉り、豊かな稔りへの感謝の祈りが捧げられる。






神宮では、多くのおまつりが行われている。その数は、なんと年間約1500回を数えるという。驚きである。




さらに、今年の令和7年(2025)から、令和15年(2033)に行われる式年遷宮に向けてのおまつりも加わり、9月17日と19日には、内宮(17日)、外宮(19日)それぞれで「御船代祭(みふねしろさい)」が行われた。

 

今回は、各地でおまつりが多い季節を迎えるにあたり、知っているようで、実はあいまいな点も多いおまつりに焦点を当ててみよう。



おまつりとは、神様へのお礼と感謝の意味を持つ

 

おまつりと聞いて、まず思い浮かぶのは?

お神輿(みこし)や山車(だし)、それとも、笛や太鼓の囃子の音や踊りだろうか?いずれにしても、おまつりに対してにぎやかなイメージを抱いている人は少なくないだろう。





だが、本来おまつりの中心は祭祀(祭典、祭儀などとも言う)。にぎやかさとは無縁に、神様に向かい、粛々と行われている。

 

そもそもおまつりは、神様に恵みを感謝して、その神様を一定の場にお迎えし、真心を込めてたてまつり、もてなすこと。おまつりの語源である「まつる」は、神様に「奉(たてまつ)る」に由来するという説がある。



もっとも、現在は、神様に奉仕する儀礼のみを指すようになり、たとえば神様に御饌(みけ=お食事)や御酒(みき)、御幣(みてぐら)などのお供えものを献上する「たてまつる」、さらに、神様を称え、感謝を捧げて祈りや願いなどを「告げまつる」意味もあるという。





伊勢神宮のおまつりに奉仕する神職たちは、前日、もしくは前々日から斎館に籠って心身を清め、当日は、斎館からまず修祓を行うため祓所(はらえど)に向かう。広大な神域を、歩調を合わせて進む姿も、神宮のおまつりならではの風景。





抜穂祭では、作丁(さくてい)と呼ばれる奉仕員が稲を刈り、その稲から穂を抜いて神前に奉る。






一般に、神社や町のおまつりを行う目的はさまざまだ。たとえば五穀豊穣を祈るなど、願望の成就を求めたり、収穫の季節は、豊かな恵みに対するお礼や感謝を捧げることに重点が置かれる。さらに、御祭神の鎮座に関わる日に、神様の働きや行いを称えるおまつりもある。






神社や町のおまつりには、所作や作法などの形式が存在している

 

お社の成り立ちや土地ごとの風土、そして、季節や目的によって、一見さまざまに異なるように思える神社のおまつり。だが、その中心である一連の祭祀には、ある一定の形式があり、それに沿って進められている。






祭祀でまず行われるのは、修祓(しゅはつ)と呼ばれるお祓い。大麻(おおぬさ)や御塩の祓い具で、おまつりに奉仕する神職や参列者を清めた後、神様に御饌、つまり神饌(しんせん)を供える。そして、祝詞を奏上して感謝を述べ、祭祀の目的をお伝えし、場合によっては、神楽といった歌舞音曲(かぶおんぎょく)を奉納。神様をおもてなしし、神饌をお下げするという流れになっている。





修祓では、お供えする神饌と奉仕員を祓い清める。








9月に開催されたのは式年遷宮へ向けたおまつりの1つ、「御船代祭(みふなしろさい)」

 

 

年間約1500回にも及ぶ神宮のおまつりが、いずれも落ち着いた静寂の中で、厳かに粛々と進められるのは、おまつりが、修祓、参進、献饌、祝詞奏上、奉楽、撤饌(てっせん)、退下(たいげ)と、一連の形式どおりに行われているから。

 

今年の令和7年(2025)から始まった式年遷宮へ向けたおまつりも、すべて厳かに行われている。9月17日と19日の「御船代祭(みふなしろさい)」も、また然り。


令和7年9月17日に内宮で行われた御船代祭(みふなしろさい)の様子。物忌(ものいみ)と呼ばれる童男が、忌鍬(ゆくわ=清浄な鍬)を捧げ持ち、草木を刈り初める式を行う。祝詞の奏上では、立派な御船代の奉製が祈られた。



御船代とは、新しく造られる御正殿で御神体をお納めする「御樋代(みひしろ)」を、さらにお納めする御器(みうつわ)のこと。今年の6月に伐り出された「御樋代」に続き、今回は御船代の御用材を伐り出すにあたり、「御杣山(みそまやま)の木の本に坐す大神」などに祈る祭祀が行われた。

 

その一方、毎年決められた日時に行われる、いわゆる「祭典ならびに恒例式」も多い。

 



内宮の御船代祭(みふなしろさい)では、皇大神宮、荒祭宮に対してのおまつりの後、内宮の別宮すべてに対してのおまつりが行われる。祭場は風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)近くの宮山祭場で、この日はツクツクボウシの鳴く声が響き渡っていた。なお、当日の同刻には、この内宮のおまつりに合わせて、木曽の御杣山で御船代木の伐木の儀が行われる。





年間に約730回も行われる、
神々に御饌を毎日奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」

 

 

なかでも、毎日朝と夕の2度、外宮の御垣内(みかきうち)にある御饌殿(みけでん)で、内宮と外宮、それに別宮の神々にお食事を奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」は、古式の祭祀のありようを今に伝えるおまつり。





まず前日、奉仕の神職は参籠し、当日早朝に神饌調理をしておまつりを準備する。その後修祓をし、神饌を供えて祝詞を奏上。皇室の安泰と国民の幸福を祈った後、拝礼を行い、御饌を下げる。古式の姿がうかがえる。

 

 

何より、このおまつりは、外宮のご鎮座以来、およそ1500年もの間、年間に約730回、1日も欠かさず続けられてきたという。



内宮の修祓の様子。内宮・外宮とも忌火屋殿(いみびやでん)と呼ばれる建物の前庭、祓所(はらえど)で修祓を行い、その後、参進して正宮へ向かう。



おまつりとは何か、そして、祈りとは何かという問いに対する1つの答えが、このおまつりには秘められているように個人的には思える。

 

 




おまつりのルーツ神話にあり。祈りとは己の姿の在り方にある?

 

 

だが、ここで1つの疑問も湧き起こる。そもそも、おまつりに効力はあるのだろうか。その答えのヒントは、実は神話に示唆されている。

 

おまつりのルーツを辿っていくと、「天の岩戸神話」に行き当たる。
天照大御神のお出ましを願い、神々が取った一連の行動、これが、おまつりの初見とされている。

 

『日本書紀』によれば、天照大御神が弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴に立腹し、天石窟(あめのいわや)に入って岩戸を閉じ、中に籠ってしまわれたとき、天地は闇ばかりの世界になったという。

 




そこで、八百万の神々は会合を開いて相談し、その結果、太玉命(ふとだまのみこと)は、天香具山(あめのかぐやま)に生えている神聖な榊を根ごと掘り取って岩戸の前に立て、その枝に、八咫鏡(やたのかがみ)や八尺瓊(やさかに)の勾玉、さらに、青や白の和幣(にぎて=神に捧げる布を指し、青和幣は麻、白和幣は楮(こうぞ)で織られている)などをかけて装飾を施し、天児屋命(あめのこやねのみこと)は祈りを捧げた。つまり、祝詞を奏上した。さらに、天鈿女命(あめのうずめのみこと)は神楽を舞った。



修祓で用いられる大麻(おおぬさ)。白木の机に置かれた素焼きの土器には、紙を細かく切った「千切(せんぎり)」と、「散米(さんまい)」と呼ばれる米が入っている。ともに祓詞奏上の前後に左右左と祓い清め、奉る。





では、天照大御神は、神々の願いに対し、どのような行動を取られたのだろう。

神話では、外のにぎやかさを不思議に思い、天照大御神が岩戸を少し開けたところ、陰に隠れていた手力雄神(たじからおのかみ)が大御神の御手をお取りして、天石窟から引き出したと伝えている。

こうして、世界は光を取り戻した。つまり願いが叶ったのである。

 

「この神話で重要なのは、神々が祈られたことだと思います」
ある神職は言う。




「しかもその祈りは、叶えたい願いに向かって、それぞれができる役割を果たしたのです。その結果、天照大御神は岩戸からお出ましになり、光ある調和の世界を取り戻した。つまり願いが叶ったのです。

おまつりは、この神々の行為を再現することを基本としているのです」

 

 





おまつりは神話の再現で、願いの実現をもたらす。「天の岩戸神話」から、そんなメッセージを読み解くことができるのだ。

 

もっと言えば、願いを叶えるためには、それぞれが自分なりにできる役割を果たすことが必要だということだ。祈りとは、願いを叶えるために、自分なりに励む姿を神様にお見せする行為とも言えるだろう。



神宮のおまつりに触れられる、2月の「祈年祭」と11月の「新嘗祭」、そして「奉幣の儀」。

 

 

では、神宮のおまつりを、我々一般の参拝者が体感できる機会はあるだろうか?

 

神宮の「大祭」には、10月の「神嘗祭」と、6月、12月に行われる「月次祭(つきなみさい)」の、いわゆる「三節祭」と呼ばれる重要なおまつりがある。だが、「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)祭」と呼ばれる祭祀が行われるのは、いずれも夜間。参拝時間外である。

 



淡々と、そして粛々と進められる修祓。神職たちのたたずまい所作も美しい。



一方、2月に行われる「祈年祭(きねんさい)」と11月の「新嘗祭(にいなめさい)」(この2つのおまつりと「三節祭」を合わせて「五大祭」と呼ばれている)は、内宮、外宮ともに日中に行われ、外玉垣の垣根越しに中重の様子をうかがい見ることができる。加えて、天皇陛下の幣帛を奉る「奉幣の儀」(祈年祭、神嘗祭、新嘗祭は勅使の参向がある)も、「五大祭」ともに(「三節祭」は翌日)日中に行われる。




また、5月と10月の年に2度、古式のままに織り上げられた和妙(にぎたえ=絹)と荒妙(あらたえ=麻)を、御縫糸や御針などとともに天照大御神にお供えする神御衣祭(かんみそさい)も、日中に行われるおまつり。内宮の御正宮と別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)のみではあるものの、祭祀の雰囲気を感じることができるだろう。




神御衣である和妙(絹)を織り始めるにあたって行われる神御衣奉織始祭(かんみそほうしょくはじめさい)の様子。内宮の所管社、神服織機殿(かんはとりはたどの)神社で行われ、織り上がると、皇大神宮と荒祭宮で神御衣祭が行われる。




もっとも、神宮に限らず、すべての神社にとって、祭祀はまつる者とまつられる神とが一体となる神聖な場。神の祝福は、神慮に叶う行為があって、はじめて期待することができるとされている。そのことを肝に銘じ、くれぐれも神聖な場を乱す行動だけは避けたいものである。








Photograph by Akihiko Horiuchi
Text by Misa Horiuchi

伊勢神宮

皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1

豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279

文・堀内みさ

文筆家

クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。

 

写真・堀内昭彦

写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。

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台湾のホテルで「歯ブラシがない」は常識? 2025年、台湾旅行者が知っておくべき2つの大変化
All About(オールアバウト) [海外旅行] | 2025.10.01

2025年、台湾旅行のルールに一部変更がありました。入国カードはオンライン登録になり、ホテルのアメニティグッズは持参が新常識。降機後配られる、あの緑のカードの正体についても解説します。

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