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世田谷文学館で開催。「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」
2026.6.10
アンパンマンの生みの親、その創作の原点に触れる
「やなせうさぎとアンパンマン」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
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『アンパンマン』の生みの親として知られるやなせたかしの創作の軌跡をたどる「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が、6月30日(火)から9月6日(日)まで、東京・世田谷文学館で開催される。
やなせたかし
写真提供:(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団
「詩とメルヘン」1979 年 4 月号表紙絵「陽炎は春がくゆらすパイプのけむり」
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
本展は、漫画家、詩人、絵本作家、イラストレーター、デザイナー、編集者など、多彩な顔を持つやなせたかしの仕事を総合的に紹介する初の大規模巡回展。原画約200点を中心に、「やなせたかし大解剖」「漫画」「詩」「絵本/やなせメルヘン」「アンパンマン」の5つのテーマで構成されている。
「絶望のとなりに」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
「夕陽の決闘」1998 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
やなせたかしは、苛烈な戦争体験や家族との別れ、さまざまな人との出会いを経て、「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」を自分に問い続けた。こうした思索の先に辿り着いたのが、かっこ悪くても、本当に困っている人に一片のパン「あんぱん」を差し出せるヒーロー像だった。
「てのひらを太陽に」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
『アンパンマン伝説』「ばいきんまん登場」1997 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
極上のエンターテイナーであり、「人を喜ばせること」を人生最大の喜びとしていたやなせ。子どもたちに夢や勇気を届けてきた作品の根底に流れる思想や人生観に触れながら、改めてその魅力を見つめ直してみてはいかがだろうか。
「いちごえほん」1976 年 2 月号表紙絵「雪の天使の 2 月号」
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
『やさしいライオン』1975 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
◆やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ
【会期】2026年6月30日(火)~2026年9月6日(日)
【会場】世田谷文学館( 東京都世田谷区南烏山1-10-10 )
【時間】10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
【休館日】毎週月曜日 ※ただし月曜が祝休日の場合は開館し、翌日休館
【入場料】一般1,500円、65歳以上・大学・高校生900円、中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの方は750円 ※ただし大学生以下は無料
※2026年7月3日(金)は65歳以上観覧料無料
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PREMIUM JAPAN AWARD 2026
2026.6.9
世界が注目する銘石「伊達冠石」を用いた「大蔵山スタジオ」の挑戦
「大蔵山スタジオ」を率いる山田能資(たかすけ)さんがデザインを手がけた、ローテーブル「KON PAC」。天板に用いられているのが「伊達冠石(だてかんむりいし)」。「大蔵山スタジオ」の活動を象徴するプロダクトのひとつである。
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「伊達冠石(だてかんむりいし)」。今、とある石が日本のみならず、欧米のアーティストやクリエーターの注目を集めている。この「伊達冠石」を100年以上前から、宮城県の最南端に位置する大蔵山を本拠地として採石してきた会社がある。現在の社名は「大蔵山スタジオ」。日本の風土が育んだ石の価値を世界へ発信する取り組みが高く評価され、「PREMIUM JAPAN AWARD 2026」を受賞した。柔らかな雨が新緑を優しく濡らす5月、単なる採石会社の域を超えた先鋭的な活動を親子2代にわたって続けている「大蔵山スタジオ」を訪れた。
目の前に広がる、不思議な景色。押し寄せるエネルギー
不思議な景色が目の前に広がっている。雨に濡れた緑の草原に、黒褐色の塊が無数に転がっている。鋭利な刃物で削いだかのような断面が、やはり雨に濡れ鈍く光っている。静かだ。しかし、個々の塊が発する圧倒的なまでの存在感と、ひとつとして同じ形のない造形美が、強大なエネルギーとなって押し寄せてくる。気圧(けお)され、言葉を失う。この塊は岩と言えばよいのだろうか、それとも石と呼ぶべきか。ただ立ちすくみ、そんな埒(らち)もないことを考えていた。
大蔵山の山腹に出現する、不思議な光景。黒褐色の塊はどれも「伊達冠石」。その数は無数だ。
ひとつとして同じ形のない「伊達冠石」。2000万年という途方もない時間をかけて地球がもたらした、唯一無二の造形美を宿す。
2000万年以上前の火山活動による地殻変動で形成
東北新幹線白石蔵王駅から車でおよそ20分。人家も疎らになった細い山道を上がると、この光景が出現する。地名は宮城県伊具郡丸森町、標高300mほどの山の名は大蔵山。山腹に転がる無数の石塊は、地質学的な分類では「安山岩」に属するが、ここ大蔵山で産出されるものに限り、「伊達冠石(だてかんむりいし)」と命名されている。名前には理由がある。世界でも唯一という、特異な性質を持っているからだ。「大蔵山スタジオ」を率いる山田能資(たかすけ)さんは、その特異さを次のように語る。
「2000万年以上前の火山活動による地殻変動で『伊達冠石』は形成されました。形成以来、鉄分を多く含んだ泥土に何百万年もの間埋まっていたため、土っぽく丸みを帯びた石や、焼物のような石など、多様な表情を持っています。ところが切削して磨き上げると、黒檀のような深い黒褐色の極めて滑らかな断面となります。また、鉄分を多く含んでいるので、年月を経るに従い、やがて味わい深い鉄錆色へと変化していきます。安山岩は地球上で最も多い岩石ですが、こうした特質をもっているのは、世界中でも大蔵山で採れる『伊達冠石』だけです」
「大蔵山を訪れたアーティストや音楽家の姿を幼いころから見てきました。それが大きな刺激を与えてくれたのだと思います」と、「大蔵山スタジオ」代表取締役の山田能資さん。
「山田採石計画株式会社」から「大蔵山スタジオ」へ
地表から10メートルほど掘り下げると姿を見せる石は、表面が黄色い泥のような土に覆われていたことから、地元では「泥かぶり」と呼ばれていた。その石を「伊達冠石」と命名したのは山田さんの父、山田政博さんだ。また、4代目として政博さんが営んでいた「山田採石計画株式会社」を「大蔵山スタジオ」へと名称変更したのが、5代目の能資さんである。能資さんによると、初代は明治期に兵庫から移り住み、仙台でのいくつかの橋脚工事に関わり、大蔵山で採掘を始めたのは晩年だったそうだ。当時、「伊達冠石」はその特質を見出されることもなく、土石の崩壊を防ぐ「土留め(どどめ)」用の建材等に用いられることが専らだった。
「祖父の代には、太平洋戦争で多くの方が亡くなったこともあり、墓石の需要が国中に広まりました。祖父は全国に何か所も採石場を抱えるだけでなく、海外からも積極的に石材を輸入し、原石販売のほか、自社加工した墓石を製造、販売していました。父が事業を引き継いだ1980年代になると、バブル景気も後押しし、彫刻や公共工事の依頼も増えたため、一時期はモニュメントだけを制作する会社として運営。しかし、景気の落ち込みと共に、モニュメントの制作依頼も減少したため、父は改めて墓石中心の業態に戻していました」
「山に命を還す」。4代目が抱いた信念。
1970年代になると、長年の採掘が続いた大蔵山の採石現場は、他の大半の採石場がそうであるように、山肌が削られ荒涼とした姿を曝け出していた。特異な性質を持つ石が採れるということを除けば、大蔵山は日本各地に点在する採石現場と変わりのない、殺伐とした様相を呈していたかもしれない。しかし、政博さんが抱いた信念がそれを変えた。
その信念とは「山に命を還す」。この信念に基づき、採掘が終わった場所に土を戻し植樹をすることで、大蔵山は豊かな緑に覆われた里山へと姿を変えていく。政博さんの信念を支えたのは、政博さん自身の気質に加え、1970年代初頭から「伊達冠石」の魅力に魅せられて大蔵山に足を運び、作品を制作したイサム・ノグチをはじめとする数多くのアーティストと山田家との交流によるところも大きかった。80年代、政博さんは大蔵山の文化的再生に多くの時間を費やした。「持続可能」「サステナブル」という言葉など、まだ誰も口にしていなかった頃のことだった。
1980年代後半、様々な作家が大蔵山に集い、「大蔵山ランドスケープキャンプ」が発足。旧採石場の再生と活用について連日議論が交わされた。こうした情熱的な活動の結果は現在、「石舞台」や「山堂サロン」として大蔵山の敷地に佇んでいる。
「およそ50ヘクタールくらい。東京ディズニーランドがすっぽり入るくらいの広さです」
車のハンドルを握り、大蔵山に設けられた山道を走らせながら、能資さんはこともなげに言う。しかも「父までの代で十分に掘り出しましたから、私はこれ以上採石するつもりはありません」とも。冒頭で紹介した景色は、先代までが掘り出した「伊達冠石」のストック兼ディスプレイの場だった。「転がっている」のではなく「転がしてある」といった方が正しいのかもしれない。
掘り出された「伊達冠石」が置かれている場所の近くに、「伊達冠石」がむき出しとなっている崖がある。幾筋にも入った亀裂。自然崩壊したのか、崖下に積み重なる大小さまざまな形状の瓦礫。黄土色から茶褐色へのグラデーション。「伊達冠石」が、何万年にもわたり地中でどのように眠っていたかがよくわかる。そしてこの崖も、圧倒的な存在感で迫ってくる。
冷却が進み、そのまま柱状となった岩盤。多種多様な形状に加え、海水が染み込み酸化。まるで焼物のような表情を持った石が多く産出する。
「伊達冠石」を媒介とした、広大な屋外ミュージアム
前述したように、「大蔵山スタジオ」と名称を変えたのは能資さんだ。今から7年前のことである。このネーミングは能資さんの現在の活動を端的に表している。なぜならば、緑に覆われた広大な大蔵山は、「伊達冠石」を媒介とした屋外ミュージアムでもあり、実験ラボのようでもあるからだ。そこには、ユニークな構造の本社社屋をはじめ、英国のストーンヘンジを思わせる、「石舞台」と名付けられた屋外ステージ、ラトビア共和国の自然思想と日本の五輪思想を合体させたモニュメントなど、「伊達冠石テーマパーク」と言っても過言でないほどの“施設”が点在する。その大半は、父である政博さんが作り上げたものだが、それらを拠点として、能資さんはさまざまな活動を試みている。
ドアハンドルや洗面台など「大蔵山スタジオ」のプロダクトのディスプレイも兼ねた本社社屋。柱のない斬新な構造の建物を手掛けたのは、宮城県在住の建築家、小田島正仁氏。
日本の石彫家3名に加え、ラトビア共和国やオーストリアの作家が共同で作り上げたモニュメント。ラトビアの自然崇拝と、「地・水・火・風・空」から万物が生じるという「五輪思想」を合体させた、「大蔵山スタジオ」のシンボル的な存在。
「石舞台」と名付けられた、英国のストーン・ヘンジを思わせるステージ。この場で、アーティストによるパフォーマンスが開催されたことも。
屹立する巨大な石柱。かつて人類が抱いていた原始の感情が蘇る
そのひとつが「山堂サロン」と称される建物だ。厚い土壁が囲う三角屋根の木造建築に一歩足を踏み入れる。目に飛び込んでくるのは、そそり立つ石の柱。これも「伊達冠石」であり、「柱状節理」と呼ばれる状態で掘り出された、極めて珍しい形状だそうだ。高さは4メートル以上。「屹立」という言葉がふさわしいこの「伊達冠石」を前に、誰もがひれ伏し、頭を垂れる。
「宗教というものが発生するそれ以前のはるか昔に、人類が抱いていたであろう、自然に対する崇拝と畏怖にも似た感覚。現在の人々が忘れてしまったこの感覚を呼び戻すことができる場所、『大蔵山スタジオ』をそんな場所にできたら」と思います。そう語る能資さんは、「山堂サロン」や「石舞台」などをアーティストに提供し、「GALLERY LOCI」としてライブパフォーマンスを実施してきた。また、「山堂サロン」や隣接して建つ「ゲストハウス」などを利用し、地元のシェフによる食イベントなどの構想もある。「伊達冠石」を随所に配した茶庭を持つ茶室も建設途中だ。
「自然に対する崇拝と畏怖を感じる場所であると同時に、この大蔵山からアートをキーワードにした文化を世界に発信していきたいと思います」
「山堂サロン」に足を踏み入れる。この巨大な石柱を目にした途端、畏怖感に貫かれ、思わず頭を垂れる。この「山堂サロン」の設計も、小田島正仁氏。
建設途中の茶庭。禅寺の枯山水の石庭にも似た趣。何年か後には、この庭の一画に茶室が誕生する。
大蔵山の一画には、工房も設けられている。人工ダイヤモンドを先端に付けたブレードが高速で回転し、「伊達冠石」を切断していく。工房で働くスタッフは7名。石を知り尽くした職人ばかりだ。
ロンドンの美術大学で学んだグラフィック
能資さん自身、アートの道を歩んできた。
「もともと絵画が好きで、大学時代は美術部に属していました。幸運にも個展まで開催する機会があり、その個展で私の作品を観た方が、イギリスかアメリカへ行った方がよい、とアドバイスしてくださったのです。それに勇気づけられ、卒業後はイギリスへ渡り、ロンドンの美術大学でグラフィックを学びました」
2008年に帰国後、5代目として家業を継いだ能資さんは社名を変えるとともに、大きな方向転換を試みた。「伊達冠石」の特質を設計事務所やプロダクトデザイナーに提案し、建材や作品素材として使用することを積極的に働きかかけたのである。
「父は大蔵山の再生に熱心でしたが、事業の中心はあくまでも墓石。それを方向転換したのですから、当初は売り上げも下がり苦労しました」
しかし、熱心な働きかけが功を奏し、次第に設計事務所からのオーダーが増えてきた。「伊達冠石」の複雑な表情が、ホテルやレストランなどの商業建築に際立った個性を発揮することに建築家たちが気が付きはじめたのだ。
また、信用を積み重ねたアーティストとの協業も増えていった。アーティストと関わる場合、能資さんが心がけていることがある。それは、単に素材として「伊達冠石」を提供するのではなく、作品がどのようなコンセプトを持ち、どのように扱われるかを、あらかじめ把握しておくということだ。そのため、協業する前段階で、表現の支柱となるコンセプトをしっかりと読み解き、「大蔵山スタジオ」が大切にしている物語と、作品のコンセプトが合致しているのかを注視する。
設計事務所の依頼のなかには、コンセプトから表現まで「大蔵山スタジオ」に一任するケースも多い。その場合はプランの早い段階からきちんと関わっていく。そのときは、プロジェクトの基本的な概念と方向性のみならず、周囲の環境、文化などもリサーチし、まずはコンセプトを立てる。そしてコンセプトから浮かびあがる造形を能資さんがスケッチし、自社工房にて「伊達冠石」を用いて造形を施す、というプロセスを辿る。また、現場での施工までをも一括で請け負う。
海外からモニュメントのオーダーを受け、能資さんが描いたデザインスケッチ。施主の大まかな意向だけをヒアリングし、実際の形状は山田さんが考案することも多い。英国で学んだ、コンセプトから造形を見出す思考が活かされている。
2023年、パリ16区に開業した「BLANC」。ミシュラン2つ星を有する佐藤伸一氏が率いるレストランの入り口に、井戸茶碗のような表情と、手磨きによる艶やかな表情が融合した「伊達冠石」のオブジェが設置された。
本社に展示された洗面台。ひとつひとつの石に潜む異なる表情の妙。ラグジュアリーホテルからのオーダーが多い。洗面台の上に掛かるのは、「伊達冠石」の表情を味わうウォールアート。
中央部分は栗材などを使い、上下に「伊達冠石」を用いたドアハンドルの数々。その重厚感が、エントランスを引き立てる。
香立てのほか、ランプシェード、小皿などの生活周りの小物も制作。また、原点ともいえる石塔事業も継続し、モダンなデザインの墓石なども手掛けている。
「伊達冠石」が内包する、「移ろいゆく美」
「大蔵山スタジオ」は、ドアハンドルや洗面台、バスタブ、テーブルなど、多様なプロダクトも手がけている。能資さんの美意識が息づくこれらの製品は、いまや世界的に注目を集め、海外での施工例も増えている。黒く艶を放つ鋭い断面と、黄土色から茶褐色へと移ろう複雑な色合いをたたえた表面。その取り合わせは、「伊達冠石」独特の造形美と相まって、きわめてモダンな印象を生む。
と同時に、茶の湯の「侘び寂び」にも通じる、日本ならではの美意識も確実に感じさせる。おそらくそれは、途方もない時間の流れの中で育まれた「伊達冠石」が、移ろいゆくものの美しさを宿しているからなのだろう。「伊達冠石」の経年変化を実感するのは、難しいかもしれない。しかし、石は悠久の時間のなかで確実に変化を遂げ、新たな美しさを浮かび上がらせてくる。それは、紛れもなく「移ろいゆく美」であり、日本人が大切にしてきた美意識そのものである。海外のアーティストが「伊達冠石」に関心を寄せるのも、この日本ならではの美を敏感に感じ取っているからに違いない。
柔らかな緑に包まれた大蔵山は、傾斜も比較的ゆるやかで、小学生の遠足にぴったりの丘陵公園のような趣がある。その地下10メートルに、世界に知られる銘石が眠っているとは、とても想像できない。親子2代が石に誠実に向き合い、時に対峙したことで、大きく発展し、今なお進化を続ける「大蔵山スタジオ」。東北の里山に、世界が熱い視線を注いでいる。
*「大蔵山スタジオ」の入場は、業務上の関係者のみ、予約の上での来山可となっている。
Photos by Kayo Takashima
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2026.5.29
「ハイアット リージェンシー 東京」で 「モダンチャイニーズ・ハイティー」が 織り成す新たな美食体験
モダンチャイニーズ・ハイティー(2人分)の全景。
2025年に大改装を終えた「ハイアット リージェンシー 東京」(西新宿)で、2026年6月1日より(7月31日まで)、中国料理「翡翠宮(ひすいきゅう)」にて、新しいディナーが体験できる「モダンチャイニーズ・ハイティー」の提供が始まる。
一般的な中華アフタヌーンティーは点心が中心だが、「モダンチャイニーズ・ハイティー」は、より料理に近いセイボリー(塩気のある軽食やオードブル)とアーティスティックなデザートを組み合わせたものとなっている。
従って、提供も17:30~19:30という時間帯だ。
2人の実力派シェフの供宴
セイボリーを担当するのは、35年間にわたって「翡翠宮」で腕を磨いてきた料理長の松本真也氏と、デザートを担当するのがペストリーシェフのユー・ミンジェ氏だ。
そもそもアフタヌーンティーとは、甘味と塩味を交互に味わうことによってお茶(紅茶)を愉しむのが元々の流儀である。
今回のモダンチャイニーズ・ハイティーでは、デザートもセイボリーも甘味と塩味だけではなく、数多くの幅広いスパイスを随所に使うことによって、深遠なハイティーの世界を実現している。
まさに視覚・味覚・香りで愉しめる体験だが、中国料理とはまず色彩と香りなのだということを改めて認識できる創作になっている。
もちろん、お茶は中国茶がメインで、龍井茶、凍頂烏龍茶、鉄観音茶、黒茶等から選べて、紅茶やシャンパンなどもある。
「帆立貝の発酵唐辛子の辛味ソース ポテトバスケット」(左上)、「オマール海老とマンゴーの春巻」
セイボリーはスパイスによる万華鏡
具体的に見ていくと、まずセイボリーには4品が用意されている。
和牛のすね肉にスパイスを強めに効かせて旨味を引き出したもの。スパイスとスモークで仕上げた北京ダックはショコラサブレとともに味わうものだが、北京ダックとショコラの意外な相性には驚いた。揚げた帆立のチリソース掛けは普段私たちがエビチリとして馴染んだ味だ。オマール海老の旨みとマンゴーの甘酸っぱさをミックスさせた春巻も新鮮な味わいだ。
まさにスパイスによる万華鏡を覗くかのような体験である。
左から、「Luck(福)」、「Bloom(花)」、「Jinsha(金砂)」。
新たな味覚が覚醒するデザート
6品あるデザートは中国の素材や香りを軸にしたもので、豆乳、生姜、花椒、白ジャスミン、五香粉などが使われている。
花椒を効かせたチョコレートムースにマンゴーコンポートを合わせた「Luck(福)」、白牡丹茶とライチといちごを織り交ぜたシューである「Bloom(花)」、豆乳と生姜のムースに白ごまのキャラメルを添えたタルトの「Jinsha(金砂)」など、いずれも、時に驚きがあり、時に新たな味覚が覚醒するような世界に誘ってくれる。
セイボリーとデザートを食す順列は4×6で24通りもあるので、楽しみ方は多様である。あたかも味蕾上の‶未知との遭遇″となるはずだ。
◆モダンチャイニーズ・ハイティー
期間:2026年6月1日(月)~2026年7月31日(金)、毎週月曜日から木曜日の祝日を除く平日限定
場所:中国料理「翡翠宮」(ホテル1階)
予約受付時間:17:30~19:30(ハイティーのラストオーダー19:30)※限定10食
価格:7500円/1人(税サ込み)、ロゼスパークリングSAKEまたは翡翠宮季節のオリジナルカクテル付き9000円/1人(税サ込み)
予約:ハイティーのみ、前日18:00までに要予約。2時間制。
TEL:03-3403-5328
Text by Toshizumi Ishibashi
Profile
石橋俊澄 Toshizumi Ishibashi
「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。
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「星のや富士」初夏の森を満喫する、特別なグランピング体験
2026.6.5
緑輝く森で、木漏れ日や涼風を感じる滞在を
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河口湖を望むグランピングリゾート「星のや富士」が、2026年7月31日(金)までの期間限定プラン「初夏の森グランピング滞在」を提供。生命力あふれる森を舞台に、スイーツやビアタイム、散策など、自然の心地よさを味わうプログラムが用意される。
標高840~940mの丘陵地に位置する「星のや富士」では、初夏になると針葉樹の深い緑と広葉樹の若葉や新芽が入り混じり、美しい緑のグラデーションが広がる。標高の高さゆえ朝晩には爽やかな風が吹き抜け、ゆったりとした時間を過ごすのに最適な季節を迎える。
多種多様なフルーツスイーツを味わえる「森のスイーツフェスタ」
「初夏の森グランピング滞在」で楽しめるのが、木漏れ日が揺れるクラウドテラスでスイーツとドリンクを味わう「森のスイーツフェスタ」。江戸時代から伝わる山梨の果物「甲州八珍果」を用いた8種の小菓子を、すっきりとした水出しアイスティーとともに堪能できる。
「初夏の森 ディスカバーウォーク」は9:30集合、9:50分集合の2回開催
朝には、グランピングマスターとともに散策路を歩く「初夏の森 ディスカバーウォーク」を実施。朝露をたたえた若葉やリスの痕跡、ハルゼミの鳴き声など、初夏の森で小さな発見を楽しみながら、心地よく体を動かせる。
17:30〜19:00に開催される「夕涼みビアデッキ」
夕暮れ時には、クラウドテラスに「夕涼みビアデッキ」が登場。完熟桃に辛口生姜を合わせたビアカクテル「桃ジンジャーシロップ」を片手に、リラックスチェアに身を委ねる時間は格別だ。ノンアルコールカクテルも用意されているので、誰でも気軽に楽しめる。
「森の珈琲店」では、期間限定でピザトーストやカカオボウル(各1,452円 税・サービス料込)も楽しめる
※「森の絵葉書づくり」イメージ
さらに、焚き火で淹れた深煎り珈琲とともに朝食を楽しむ「森の珈琲店」や、自然の移ろいを絵や言葉で表現する「森の絵葉書づくり」など、自然と向き合う体験も充実。
木漏れ日、涼風、果実の恵み、そして森の静けさ。初夏だけの豊かな自然に包まれながら、日常を離れるひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。
◆星のや富士「初夏の森グランピング滞在」
【期間】開催中〜2026年7月31日(金)
【対象】宿泊者
※天候や仕入れ状況により、提供内容や食材が一部変更になる場合があります 。
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2026.6.2
伊豆・赤沢温泉「赤沢迎賓館」で味わう、静寂のウェルネス滞在
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伊豆高原の海沿い、約25万平米もの広大な敷地に広がる「プレジャーリゾート 伊豆赤沢温泉」。温泉、スパ、グランピング、アクティビティ施設など、多彩な滞在体験が揃うこのリゾートは、近年大規模なリニューアルを実施し、新たな“滞在型リゾート”として進化を遂げている。
2026年4月には、関東最大級となるグランピング施設「GRAX EARTH FIELD(グラックス アースフィールド)」と、全天候型アミューズメント施設「PLEASURE ARENA(プレジャーアリーナ)」が新たに開業。大人が静かに過ごすウェルネス滞在から、家族で楽しむアクティビティ滞在まで、多様な過ごし方ができる大型複合リゾートとして注目を集めている。
運営するのは、料亭や「つるとんたん」などでも知られるカトープレジャーグループ。京都・るり渓温泉や長崎「i+Land nagasaki」など、全国でレジャー&リゾート事業を展開する同グループならではの、“遊び”と“癒し”を融合した世界観がここにも息づいている。
全天候型アミューズメント施設「PLEASURE ARENA(プレジャーアリーナ)」のネット遊具。
最も静かで上質な時間が流れている滞在施設が「赤沢迎賓館」
2009年に開業した赤沢迎賓館は、2025年にリニューアルを実施。美しい数寄屋づくりの建築はそのままに、より快適な滞在へと誘う宿へとアップグレードした
赤沢迎賓館の最大の特徴は、約3,500坪の敷地に対して、客室数を15室に限定していることだ。
近年のラグジュアリーホテルが大型化へ向かう中で、迎賓館はむしろ逆方向へ振り切っている。稼働率を最大化するのではなく、“静けさ”そのものを価値化しているのである。
美しい日本の数寄屋造りの建物に広大な日本庭園にはまず圧倒され、ロビーに入れば、漆や西陣織を用いた意匠が配された其処ここに配され、日本の伝統文化を感じられる心地よさに包まれる。建物の中心には中庭があり、それを囲むようにある廊下を進むことで、自然と季節の移ろいを感じることができるのだ。そして館内では、人と人が過剰に交差しないように緩やかに施設が分散されており、滞在中に他の宿泊客と顔を合わせる機会は極端に少ないのだ。
客室はスタンダードタイプでも約70㎡。全室に海洋深層水を使った露天風呂が備わり、「離れ 特別室」にはサウナも設置されている。
赤沢プレジャーエリアの中でも、迎賓館は特に“和の静けさ”が際立つ場所だ。館内には余白が多く、時間がゆっくり流れている。読書をしたり、庭を眺めたり、湯に浸かったり——何かを“する”というより、“整う”ための場所として存在している。
室内から美しい庭園へと広がっていく、「露天風呂付き 和室」。
「赤沢迎賓館」の大浴場。
海洋深層水が導く、心と身体のウェルネス
プレジャーリゾート伊豆赤沢温泉の魅力を語る上で欠かせないのが、“海洋深層水”を活かしたウェルネス体験だ。
敷地内には海洋深層水の専用工場があり、水深約800メートルの深海から汲み上げた海洋深層水を、館内のさまざまなシーンで使用している。
太陽光の届かない深海で長い年月をかけて育まれた海洋深層水は、ミネラルバランスに優れ、肌あたりがやわらかいのが特徴。身体を芯から温め、保湿効果やリラックス効果も期待されている。
客室露天風呂や大浴場、料理、飲料水など、あらゆるシーンで海洋深層水の恵みを体験できるのは赤沢迎賓館のみだ。
客室風呂には5%、大浴場には3%という異なる濃度で海洋深層水を使用しており、それぞれ異なる入浴感を楽しめるのも特徴だ。
施設内には海洋深層水のミネラルウォーターが用意されている。
飲む、食べる、浸かるというすべての体験を海洋深層水でつなぐことで、滞在そのものをウェルネスとして設計している。
より開放感のある「離れ 特別室」。
地元食材を活かした、身体に寄り添う料理
食事もまた、この宿の大きな魅力のひとつだ。
ダイニングは基本的に全室個室仕様。周囲を気にせず、静かな時間の中で中庭を眺めながら料理を味わうことができる。
こちらの料理は伊豆近海の魚介や地元野菜などを中心として、派手さよりも素材本来の味わいを大切にした、大変優しい味わいである。日本料理では、料理人の方々の手仕事の丁寧さが味を作り上げていくものだが、こちらの料理はまさにその極みと言える。夕食はもちろん、朝食にもその心配りが感じることができる。まさに大満足な料理と言える。
中庭に面したレストランは、全て個室になっている。
旬の味わいが美しく盛り詰められた、先付。
ゆっくりと身体を目覚めさせてくれるような、朝食。
滞在を豊かにする「赤沢スパ」と「DEEP SEA LOUNGE(ディープシーラウンジ)」
迎賓館での滞在をさらに豊かにしてくれるのが、隣接する「海洋深層水 赤沢スパ」だ。海のミネラルが豊富な海洋深層水を使った露天風呂、内湯、寝湯、ジャグジー、ミストサウナ、ドライサウナ、水風呂,プライベートサウナなど、多彩な温浴施設が揃っている。
太古の水である海洋深層水は細胞に働きかけ、美肌とむくみ改善へと導いてくれる。海洋療法で心と身体を整えることに特化した施設になっている。さらにトリートメントやリラクゼーションメニューも充実しており、迎賓館の“静の滞在”を、より深く身体で感じるためのウェルネス空間として機能している。
全て水着を着用する必要があるが、施設でレンタルすることができるので安心。
赤沢スパの外観。
海洋深層水のスチームを浴びることができる「タラソハマム」。
タラソプールではゆっくりと歩いている運動をしている姿も多く見られる。
また、その奥にある施設「DEEP SEA LOUNGE(ディープシーラウンジ)」は、大人のための遊び場のような存在だ。
館内にはビリヤードなどが用意され、フリードリンクやアルコールも楽しめる。温浴後にゆっくりお酒を飲みながら過ごしたり、仲間同士で語り合ったりと、時間を忘れてくつろげる空間となっている。
さらに、地元の人々にも親しまれているのは「赤沢ボウル」。地域の日常と観光が自然に混ざり合っているのも、このリゾートならではの魅力だ。
「DEEP SEA LOUNGE」はチェックイン前後も利用可能。
三世代で楽しめる、広大なプレジャーリゾート
広大なプレジャーリゾート伊豆赤沢温泉についても紹介しておこう。ここは大きく4つのエリアに分けて構成されている。
「赤沢迎賓館」、「海洋深層水 赤沢スパ」、大人向けラウンジ「DEEP SEA LOUNGE」、そして地元の人々でも賑わう「赤沢ボウル」などが集まっている「DEEP C AREA(ディープシーエリア)」。
二つ目は、2026年に開業した全天候型アミューズメント施設「プレジャーアリーナ」を中心としたエリアで、巨大ボールプールやエアアスレチックなどを備え、子どもから大人まで身体を動かして楽しめる「LEISURE AREA(レジャー エリア)」。
子供たちが夢中になって遊ぶ、「エアアスレチック」。全長約50mの周遊アスレチックには約8種類の仕掛けがある。
三つ目は、グランピング施設「GRAX EARTH FIELD(グラックス アースフィールド)」の他、GRAX宿泊施設者限定で利用ができる「GRAX LOUNGE(グラックス ラウンジ)」「GRAX CENTER(グラックス センター)、さらにはリーズナブルな宿泊施設「RED28 HOTEL(レッド28 ホテル)」のある「GRAX AREA(グラックスエリア)」。
各棟にはシャワーブースやダイニングスペースがあり、1棟につき1台のカートも設置されている。
そして四つ目が、「赤沢温泉ホテル」や「日帰り温泉館」がある「ONSEN AREA(温泉エリア)」。日帰り温泉は絶景温泉として高い評価を得ていると聞くが、施設内の広い休憩エリアもまた魅力的である。たくさんある個室ブースは、一日のんびり過ごしたくなる空間である。
海を見渡す「赤沢温泉ホテル」。
日帰り温泉の露天風呂。
日帰り温泉の「海のねころびラウンジ」。
広大な敷地内はカートや巡回バスで移動できるため、各エリアを散策感覚で回遊できるのも魅力。それぞれが自分に合った過ごし方を選びながら、一つのリゾート全体を自由に楽しめる構成になっている。
たとえば、祖父母は迎賓館で静かに過ごし、子ども世帯はグランピングに宿泊。日中はラウンジやプレジャーアリーナで合流するといった、三世代での滞在も自然に成立する。
宿泊スタイルが異なっていても、一つのリゾートの中でそれぞれが心地よく過ごせる。その自由度の高さも、この場所の大きな魅力となっている。
“楽しむ”“安らぐ”そんな一見相反する滞在がひと所で体験できるのが「プレジャーリゾート 伊豆赤沢温泉」の魅力である。
中でも、赤沢迎賓館は、“大人のための静かな贅沢”を体感できる特別な空間。
伊豆という地に誕生した新しいリゾートは、一度は訪れる価値がある。
静岡県伊東市赤沢字浮山163-1
Text by Yuko Taniguchi
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