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グランド ハイアット 東京「サマースイーツ コレクション」
2026.6.18
旬の果実が主役。16種類の夏限定スイーツが登場
グラススイーツ 全8種 各1,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
グランド ハイアット 東京の「フィオレンティーナ ペストリーブティック」では、シャインマスカットやマンゴー、ピーチなど旬のフルーツをふんだんに使用した「サマースイーツ コレクション」を、2026年9月15日(火)まで販売中だ。
ラインナップは全16種類。涼やかなグラススイーツをはじめ、厳選食材で仕立てたプレミアムショートケーキ、手土産にも最適なスイーツアソートボックス、アイシングクッキーやマカロンなど、多彩な夏限定スイーツがそろう。
クレームアンジュ ピーチスープ 1,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
マンゴープリンアラモード 1,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
なかでも目を引くのが、毎年人気を集めるグラススイーツ「ベリーヌ」。今季は、シャインマスカットやピーチ、マンゴー、メロンなどのサマーフルーツにゼリーやムースを重ねた全8種を展開。スープ仕立てのフレッシュピーチを使った「クレームアンジュ ピーチスープ」や、南国感あふれる「エキゾチック ティラミス」、「マンゴー プリンアラモード」など、涼を誘う新作が並ぶ。
グランド プレミアム ショートケーキ (左から)ミックスベリー、マンゴー、ピーチ 各2,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
また、上質な食材を用いた「グランド プレミアム ショートケーキ」シリーズからは、マンゴー、ピーチ、ミックスベリーの3種が登場。旬の果実の魅力を引き出した、ワンランク上の味わいを楽しめる。
サマー ピッコロガット 2,700円(2026年9月15日までの期間限定販売)
アソートショートケーキ 4個セット 2,500円(2026年9月15日までの期間限定販売)
このほかにも、ひと口サイズのスイーツを詰め合わせたアソートボックスや、4種のショートケーキを食べ比べできるセットもラインナップ。ヨーヨーや金魚すくいの巾着など、夏らしいモチーフを描いたアイシングクッキーや、イルカや花火をあしらったマカロンもそろい、ギフトにもぴったりだ。
サマー アイシングクッキー 4枚セット 2,000円(2026年9月15日までの期間限定販売)
サマー マカロンアソート 3個 2,200円/6個 4,400円(2026年9月15日までの期間限定販売)
みずみずしい旬の果実を主役にした、涼やかで華やかなスイーツの数々。夏ならではの贅沢なティータイムを楽しんでみては。
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栗下直也の東京酔歩 偉人と歴史の裏路地
2026.6.17
第二回 神保町・ランチョン「手でつまめるシチューを作ってくれ」—元首相・吉田茂の長男のわがままから生まれた、名物ビーフパイ
経済記者出身でありながら、なぜか酒にまつわる執筆が多い栗下直也。そんな栗下が、かつての偉人たちが愛した酒場を訪ね歩く。政治家や文豪、実業家たちはどんな酒を飲み、何を語り、どのように夜を楽しんでいたのか。実際に店を訪れ、その酒と歴史を味わいながら、偉人たちの日々を垣間見る“大人の酒場紀行”である。
第二回は元首相・吉田茂の長男であり、英文学者・小説家の吉田健一が愛した神保町の「ランチョン」である。
元首相・吉田茂の長男、吉田健一はどこまで知られた人物か
仕事柄、昔の新聞記事をよく読む。先日、2000年の日本経済新聞をめくっていたら(いや実際にはデータで見ていたのだが)、ある一文が目に飛び込んできた。
「吉田健一とは言うまでもなく評論『英国の文学』や中編『金沢』を代表作とする批評家兼小説家のこと——」
「言うまでもなく」が気になりまくる。書いたのは英文学者の富士川義之氏。果たして、その記事から四半世紀たった、今となっても吉田健一は「言うまでもなく」の存在なのだろうか。いや、そもそも当時だって本当にそうだったのか、やや怪しい。
念のため記しておくと吉田健一(1912〜1977)は英文学者にして批評家、そして小説家でもある。代表作『英国の文学』は英文学者にとって一種の聖典で、「文学が喜びである」ことを教えてくれる本である。というのが一般的な説明になるが、正直、作品を読んだことのある人より、父が総理大臣の吉田茂であることや、戦前にケンブリッジへ留学したエリートだということのほうで知っている人のほうが多いだろう。
これだけ書けばもう十分にお腹いっぱいだが、まだ続きがある。そしてこれが本題である。同時にとびきりの食通でもあった。「加賀料理」という呼称は彼の名付けだという説まである。毎年2月になると金沢の料亭「つば甚」に通い、犀川を眺めながら盃を傾けた。つまり、何を書いているかはよくわからないが、育ちが良く、そもそも生活の心配がいらない、絵に描いたような数寄者である。書いていて若干腹が立ってくる。
そんな絢爛たる経歴を持つ吉田が、意外にも足繁く通った店が神保町にある。創業明治42年(1909年)のビアレストラン「ランチョン」だ。中央大学で教鞭をとっていた吉田は、講義のある日には決まってこの店の窓際の席に陣取った。「立ち寄った」と言いたいところだが、それは正確ではない。講義の前から悠々と飲んでいたというから、「立ち寄った」のではなく「座り込んだ」のである。そういう先生に教わってみたかった気もするし、しんどそうな気もする。
平日の午後4時、ジョッキとビーフパイ
平日の午後4時。神保町駅の出口を上がり、靖国通りを少し歩くと、洋食屋というよりは英国のパブと見まごう、重厚な構えの店が現れる。
店内に足を踏み入れると、意外にも先客は一組。年配の3人グループが、窓際で静かにジョッキを傾けていた。靖国通りの賑わいを窓越しに眺めながら、仕事を気にせず、平日の午後に飲む生ビール——これ以上の贅沢を私はあまり知らない。というか、仕事はどうしたんだと突っ込まれそうだが、この背徳感が酒をうまくする。
ハイボール派の私でも、ここではまずは生ビール。ランチョンの生ビールは、代々その注ぎ方を店主しか伝授されない決まりがあるという。きめ細かい泡の乗ったジョッキが運ばれてくる。一口飲むと、キレとコクのバランスが心憎い。明治42年の開店当時、東京には洋食屋が2軒しかなかったというから、生ビールを供する店ともなれば、ほとんど異界の入口のような存在だったに違いない。
ちなみに店名は、当時近所にあった東京音楽学校(現・東京藝術大学)の学生たちが「店に名前がないのは可哀想だ」と勝手につけてくれた。命名の動機が「可哀想だから」というのも、店名にこだわりまくる今では想像できないが、明治っぽくていい。
つまみは迷わずビーフパイを頼む。さくりと焼かれたパイ皮にナイフを入れると、湯気とともに濃厚なビーフシチューが現れる。1週間かけて仕込むデミグラスソースを使ったシチューにとろみをつけ、パイ皮で包み、油で揚げてからオーブンで焼き上げる。手間のかかった一品である。
そしてこのビーフパイ、実は吉田健一の注文から生まれている。
吉田は好物のビーフシチューを「手でつまめるようにできないか」と当時の三代目店主に相談した。なぜ、そんなことを頼んだかというと、話に夢中になって、食器を使うのが面倒だったからである。英文学者にしてケンブリッジ帰り、吉田茂の長男たる紳士が、手づかみでたべたがる。シチューくらいおとなしくスプーンつかって食べろよと思うのだが、いつの時代も上客のリクエストは無視できない。試行錯誤の末に完成したのがこのビーフパイで、昭和40年代のことだという。
彼の定席は決まっていて、奥の右から二列目だった。木曜の午後1時、すでに編集者が3、4人集まってジョッキを傾けている。そこに吉田が現れ、「これは出版社のおごりですよ、僕からじゃありませんよ」と豪快に笑う。ヴァレリーやジッドの逸話を語っては「けけけ」と笑い、若手にどんどん飲めと勧めては「払うのは僕じゃないからね」と笑う。殿様の鷹揚さと子供の無邪気さを併せ持っていた人らしい。
午後の部が終わると、「こんどはリプトンの時間だな」と切り出す。お洒落な英国紳士のティータイム——かと思いきや、運ばれてくるティーカップの中身はダブルのウィスキーである。ジョッキ2杯のあとにウィスキー・ダブル、これを「リプトン」と呼ぶ感覚には、何だか好意を抱いてしまう。確かに色は紅茶に似ている。
逸話には事欠かない。ある時、ランチョンが火事になった。2階から炎が立ち上るなか、1階で悠然とビールを飲み続けていた大男がいた。消防士が「危険ですから逃げてください」と促しても、「まだ……、大丈夫」と落ち着いて答えた。それが吉田健一だったという話まで伝わっている。全くもって大丈夫ではない。こうした話は尾ひれもついていようが、こんな伝説が生まれること自体、吉田がこの店でいかに「自分の場所」を確立していたかを物語る。
変わるもの、変わらぬもの
神保町は、変わり続けながら変わらない街である。
幕府の昌平坂学問所が湯島にあった時代から、この界隈には書を扱う店が点在していた。明治になって近隣に法律学校が次々と建ち、それらが明治、法政、中央、専修といった大学に発展していくと、神保町は学者と学生の街となった。今でも百数十件の古書店が営業する、世界でも稀有な街である。
考えてみればこの街には、変わらないものを愛する人が集まる。古書を漁る人々は、絶版になった本、もう書かれることのない作家の文章を求めて店から店へと巡る。彼ら彼女らにとって「変わらない」ことは美徳である。新刊書店なら、目当ての本がなければ「取り寄せます」となるところを、古書店では「縁がなかった」と諦める。それが古書好きの作法というものだ。
ランチョンはその街の真ん中で、関東大震災で焼け、太平洋戦争の空襲を奇跡的に免れ、件の火事までくぐり抜けて、現在に至っている。明治の昔から同じ場所で、同じ流儀でビールを注ぎ続けている。この店の窓際の席は、世界がどんなに変わっても帰ってこられる場所なのだろう。吉田もきっとそうだった。
2026年の今、吉田健一が「言うまでもない」存在かどうかは、正直よくわからない。けれども彼が愛したビーフパイの味は、今もなお、言うまでもなくうまい。
本日のおすすめ
アサヒ生ビール(480cc) 770円
アサヒ黒生ビール(480cc) 790円
ハイボール(ブラックニッカクリア) 650円
ハイボール(ダブル)950円
ビーフパイ 1600円
スモークサーモン1500円
店舗情報
ランチョン
住所:東京都千代田区神田神保町1-6
営業時間:火~金 11:30~21:30 土 11:30~20:30
アクセス:東京メトロ他各線「神保町駅」A5出口より徒歩約1分
JR他各線「御茶ノ水駅」より徒歩約10分
JR他各線「水道橋駅」より徒歩約10分
栗下直也 Naoya Kurishita
1980年生まれ、東京都出身。著述業、書評家。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経営学専攻修了後、専門誌をへて独立。経済記者出身でありながら、なぜか酒がらみの文章が多い。著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)『偉人の生き延び方 副業、転職、財テク、おねだり』(同)、『政治家の酒癖 世界を動かしてきた酒飲みたち』(平凡社新書)、『得する、徳。』( CEメディアハウス)がある。
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栗下直也の東京酔歩 偉人と歴史の…
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世界が注目する日本の宿
2026.6.16
「ルレ・エ・シャトー」に加わった3つのデスティネーション
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世界65カ国以上に広がるホテル&レストラン協会「ルレ・エ・シャトー」。その厳しい審査基準をクリアし、新たに日本から3つの施設が名を連ねた。それぞれの個性を大切にしつつも、ルレ・エ・シャトーが誇るホスピタリティにおける価値観とビジョンを体現する3施設を紹介する。
北海道・函館「HOTEL 白林 HAKODATE」
「HOTEL 白林 HAKODATE」
「HOTEL 白林 HAKODATE」ウェルネススイートB
北海道の宿泊施設で初加盟したのが、函館港を見渡す幸坂に、100年以上も前に建てられた旧ロシア領事館を再生したスモール・ラグジュアリーホテル「HOTEL 白林 HAKODATE」。全6室オールスイートの館内には、北海道の山海の幸を味わえるダイニングやウェルネススペースも備えられ、函館港を望む景観とともに、静かなリトリートの時間を楽しめる。
静岡県・須走「強羅花壇 富士」
「強羅花壇 富士」
静岡県の富士山麓に位置し、39室のスイートと3棟の離れを備えるラグジュアリーリトリート「強羅花壇 富士」。こちらは、1948年創業の老舗高級旅館「強羅花壇」が培ってきたおもてなしの精神を継承しながら、富士山を正面に望むロケーションを最大限に生かした設計が特徴。懐石、割烹、鉄板焼き、鮨といった日本料理の魅力を堪能できるほか、富士山源泉の温泉も楽しめる。
大分県・由布院「ENOWA YUFUIN」
「ENOWA YUFUIN」ヒル・トップ・スカイ・パビリオン Room No.02
「ENOWA YUFUIN」インドアガーデン
由布岳を望む高台に佇む「ENOWA YUFUIN」は、自然・食・ウェルビーイングを軸にした滞在体験を提供するオーベルジュ。施設の中心となるレストラン「Jimgu」では、畑の土づくりや食材を育てることから始める“ファーム・ドリブン”をコンセプトに、野菜を主役とした料理を展開している。全室にプライベート温泉を備え、 由布院の自然と静寂に包まれながら心身を整える滞在が叶う。
函館、富士山、由布院──。それぞれの土地に根ざした自然や文化、食の魅力を大切にしながら、唯一無二の滞在体験を提供する3施設。世界が認めた日本のデスティネーションとして、今あらためて注目したい。
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【管理栄養士が回答】朝ごはんを抜けばカロリーが減って痩せそう、という考えは誤りです。空腹時間が長いほど体に起こる“ある働き”が、むしろ太りやすい体質を招くこともあります。正しい朝食のとり方を解説します。(※画像:Shutterstock.com)
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「星野リゾート トマム」雲海シーズン到来
2026.6.15
北海道の絶景を望む「雲海テラス」がオープン
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北海道の大自然が織りなす幻想的な雲海を望む「星野リゾート トマム」の展望施設「雲海テラス」が、今シーズンの営業を開始。新たに来場者参加型イベント「Cloud Wish」が始動するほか、オリジナル商品や朝ヨガ体験など、ますます充実したコンテンツを展開している。
クラウドプール
クラウドバー
「雲海テラス」は、片道約13分のゴンドラでアクセスできる展望施設。2021年にリニューアルしたメインデッキに加え、雲の上にいるような浮遊感を味わえる「クラウドプール」や、空中散歩気分を楽しめる「クラウドウォーク」、バーカウンターをイメージした「クラウドバー」など、個性豊かな9つの展望スポットを巡りながら、雲海や雄大な自然を堪能できる。
クラウドウィッシュ
2005年の開業以来、多くの人々を魅了してきた雲海テラスは、2026年夏に累計来場者数200万人を突破する見込み。これを記念して、来場者参加型イベント「Cloud Wish」がスタートした。願いを書いたカプセルを雲型のオブジェに加えていくことで、ひとつの“雲”を完成させる企画だ。
さらに今シーズンから、雲をモチーフにしたオリジナル商品「雲キャンディ」が新登場。「雲海テラス」では、絶景を眺めながら参加できる無料のヨガプログラムも実施されている。
クラウドラウンド
今季より混雑緩和を目的とした事前予約制も導入され、北海道の雄大な自然が織りなす絶景を、これまで以上にゆったりと満喫できそうだ。
◆「雲海テラス」
【期間】営業中~2026年10月13日(火)
【料金 】大人2,500円、7~11歳1,600円、愛犬500円(いずれも税込)
*リゾナーレトマム、トマム ザ・タワー宿泊客は無料
【時間】5:00~8:00(上りゴンドラ最終乗車)、9:00(下りゴンドラ最終乗車)
【対象】宿泊、日帰り客
*営業時間は時期により異なります。
*天候や気象条件により、ゴンドラが運休となることがあります。
*融雪の状況により、一部の展望スポットを利用できない場合があります。
*愛犬との乗車の際はバギーまたはクレートの利用をお願いしています。
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2026年 SAKE COMPETITION 日本酒順位 全発表
2026.6.13
2026年本当に美味しい日本酒 純米酒・純米吟醸・純米大吟醸・泡盛……SAKE COMPETITION 2026発表
「ブランドではなく、本当においしい酒を選ぶ」。
そんな理念のもと2012年にスタートしたSAKE COMPETITIONは、銘柄や蔵元名を伏せたブラインドテイスティングによって酒質のみを評価する日本最大級の日本酒コンペティションが2026年も行われた。出品対象は実際に購入できる市販酒のみ。純粋に“飲んでおいしい酒”を選ぶ場として、酒販店や飲食店、そして日本酒ファンから高い信頼を集めている。
今年度は世界中の367蔵から、清酒1,139点、泡盛51点、合計1,190点が出品された。審査部門は「純米酒部門」「純米吟醸部門」「純米大吟醸部門」「SUPER PREMIUM部門」「モダンナチュラル部門」の5部門に加え、2026年秋に予定される首里城正殿復興を記念した特別枠として「泡盛部門」を新設。日本酒のみならず、日本の伝統的な酒文化全体に光を当てる大会へと進化を続けている。
今年の結果を象徴する存在となったのは、奈良県・今西酒造の「みむろ杉」だ。
純米酒部門では「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita(ディオアビータ)」が第1位を獲得。さらに純米吟醸部門でも「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」が第1位に輝き、二冠を達成。加えて純米酒部門6位、純米吟醸部門3位にもランクインし、その安定した酒質の高さを印象づけた。
その功績が評価され、今西酒造は「TAKANAWA GATEWAY CITY グランドオープン記念 最優秀蔵元賞」を受賞。まさに2026年大会を代表する蔵となった。
では順位を紹介しよう。
純米酒部門
先にも述べたように、1位は1660年創業、奈良県桜井市の今西酒造が醸す「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita(ディオアビータ)」。
古来より酒の神様として信仰される日本最古の神社・大神神社のお膝元で酒造りに取り組む今西酒造。十四代目の今西将之氏によれば、「軽く美味しい酒造り」を追求しており、本銘柄はその原点となる酒だという。
昨年は大神神社の参道に新たな酒蔵を開業し、多忙な一年だったが、蔵人たちと力を合わせて結果を残せたことに安堵していると語った。果実のようなジューシーさとふくよかな甘み、ラムネを思わせる吟醸香が特徴。
2位 ささまさむね 特別純米/笹正宗酒造株式会社(福島県)
3位 あさまやま 夏純/浅間酒造株式会社(群馬県)
4位 楽器正宗 純醸/合名会社大木代吉本店(福島県)
5位 松の司 生酛純米酒/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
6位 みむろ杉 ろまんシリーズ 特別純米辛口 露葉風/今西酒造株式会社(奈良県)
7位 清嘹 舞風 純米酒/株式会社町田酒造店(群馬県)
8位 あたごのまつ 特別純米/株式会社新澤醸造店(宮城県)
9位 雨後の月 純米酒 呉未希米八反錦/相原酒造株式会社(広島県)
10位 陣屋 特別純米/有賀醸造合資会社(福島県)
純米吟醸部門
1位は純米酒部門に続き、今西酒造(奈良県)の「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」が受賞。二冠達成は2014年以来初となる。
今西氏は、先代である父の逝去後、28歳で蔵を継承。当時は酒蔵も老朽化し、将来への不安を抱えていたという。そんな中、2014年に宮泉銘醸(福島県会津若松市)がSAKE COMPETITIONで二冠を達成したことを知り、「いつか自分たちも」と蔵人たちと努力を重ねてきた。その夢が実現したことに深い感慨を示した。
2位 勝山 KIRAKIRA/仙台伊澤家 勝山酒造株式会社(宮城県)
3位 三諸杉 純米吟醸/今西酒造株式会社(奈良県)
4位 楽器正宗 愛山中取り/合名会社大木代吉本店(福島県)
5位 天賦 純米吟醸/西酒造株式会社(鹿児島県)
6位 会津娘 純米吟醸「穣」松原8/株式会社髙橋庄作酒造店(福島県)
7位 楽器正宗 雄町中取り/合名会社大木代吉本店(福島県)
8位 紀土 純米吟醸/平和酒造株式会社(和歌山県)
9位 松の司 純米吟醸 楽/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
10位 天美 純米吟醸 蛍天/長州酒造株式会社(山口県)
純米大吟醸部門
1位は広島県広島市の相原酒造が醸す「雨後の月 純米大吟醸」。香りの華やかさだけではなく、透明感とバランスを兼ね備えた完成度の高い酒質が評価された結果といえる。代表の相原章吾氏は、うちの技術の礎のようなクラシックな酒だと説明し、今回の受賞で全国の人に知ってもらういい機会になると受賞を喜んだ。
また、杜氏の相原章吾氏は40歳以下の若手醸造責任者を対象とする「ダイナースクラブ若手奨励賞」も受賞。次世代を担う造り手として大きな注目を集めている。
2位 山和 純米大吟醸/株式会社山和酒造店(宮城県)
3位 太平山 純米大吟醸 天巧/小玉醸造株式会社(秋田県)
4位 愛友 純米大吟醸 備前雄町/愛友酒造株式会社(茨城県)
5位 后 50 Black/吉乃友酒造有限会社(富山県)
6位 紅花屋重兵衛 雪女神/古澤酒造株式会社(山形県)
7位 東洋美人 壱番纏/株式会社澄川酒造場(山口県)
8位 松の司 純米大吟醸 黒/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
9位 天鷹 有機純米大吟醸 槽搾り原酒/天鷹酒造株式会社(栃木県)
10位 来福 純米大吟醸 愛山/来福酒造株式会社(茨城県)
SUPER PREMIUM部門
特定名称酒に限らず、720mLで小売価格10,000円(税別)以上、または1,800mLで15,000円(税別)以上の清酒を対象とする部門。
1位 而今 特等雄町/木屋正酒造株式会社(三重県)
2位 東洋美人 志荘/株式会社澄川酒造場(山口県)
3位 くどき上手 命 斗瓶囲大吟醸/亀の井酒造株式会社(山形県)
モダンナチュラル部門
純米酒かつ「生酛・山廃・菩提酛」の清酒を対象とし、精米歩合は問わない。2025年7月1日〜2026年6月30日に醸造された市販清酒が出品対象となる。
1位 たちばなや 純米吟醸/合名会社川敬商店(宮城県)
2位 萩原 山廃純米/萩原酒造株式会社(徳島県)
3位 試験醸造2025 Type-Kimoto/城陽酒造株式会社(京都府)
4位 神開 純米原酒 水酛/藤本酒造株式会社(滋賀県)
5位 久比岐 和希水 生酛/頚城酒造株式会社(新潟県)
特別賞
ダイナースクラブ若手奨励賞
次世代の造り手を応援するために創設された賞。各部門GOLD受賞蔵の40歳以下の若手醸造責任者・杜氏から選出される。
受賞酒
「雨後の月 純米大吟醸」
相原酒造株式会社(広島県)
杜氏:相原章吾氏
JAL空飛ぶSAKE賞
国内でも流通量が限られ、海外の人々にも知ってほしい酒を選出。
受賞酒
「たちばなや 純米吟醸」
合名会社川敬商店(宮城県)
TAKANAWA GATEWAY CITY グランドオープン記念 最優秀蔵元賞
今西酒造株式会社(奈良県)
代表銘柄:みむろ杉
実行委員長賞
SAKE COMPETITION実行委員長・長谷川浩一氏が審査中に最も高く評価した1本に贈られる賞。
受賞酒
「吉田蔵u 百万石乃白」
株式会社吉田酒造店(石川県)
泡盛部門
首里城正殿の再建を記念して新設された特別部門。一般酒、古酒、未来の泡盛(泡盛を主原料としたスピリッツ・リキュールなど)を対象とする。
GOLD ZANPA TORAKICHI 2022/有限会社比嘉酒造(沖縄県)
一般酒部門
GOLD The IZENA 44度 新酒/合資会社 伊是名酒造所(沖縄県)
GOLD 南都神泉30度 新酒/上原酒造株式会社(沖縄県)
GOLD 御酒 -うさき- 30度 新酒/瑞泉酒造株式会社(沖縄県)
未来の泡盛部門
GOLD 残波青切りシークヮーサー/有限会社比嘉酒造(沖縄県)
GOLD 請福パッションフルーツリキュール/請福酒造有限会社(沖縄県)
今年の結果から見えてくるのは、派手な個性だけではなく、食事とともに楽しめるバランス感覚を備えた酒が高く評価される傾向だ。
上位には「みむろ杉」「雨後の月」「松の司」「楽器正宗」など、近年の日本酒シーンを牽引する実力蔵が並ぶ一方、地方の中小規模蔵の健闘も目立った。
受賞酒は売り切れが続出する傾向があるため、手に取る機会があれば、ぜひ試して欲しい。
Text by Yuko Taniguchi
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投稿 2026年本当に美味しい日本酒 純米酒・純米吟醸・純米大吟醸・泡盛……SAKE COMPETITION 2026発表 は Premium Japan に最初に表示されました。
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京都「季の美ハウス」のポップアップバーが東京に初登場
2026.6.13
JWマリオット・ホテル東京にて10月下旬まで期間限定オープン
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京都産のジャパニーズクラフトジン「季の美」を味わいながら、ブランドホーム「季の美ハウス」の世界感を体験できるポップアップバー「季の美ルーム」が、高輪「JWマリオット・ホテル東京」の隠れ家的バー「4-0-3(フォー・オー・スリー)」にオープン。2026年10月下旬まで期間限定で展開中だ。
季の美は、京都産の柚子や玉露、山椒をはじめとする11種類のボタニカルを、それぞれの特性に応じて6つのエレメントに分類し、個別に蒸溜した後にブレンドして造られる、京都発のジャパニーズクラフトジン。
季のTEA マティーニ
期間中は、季の美の世界観が溢れる空間で、京都らしいボタニカルの味わいや季節感を活かした「季の美 京都ドライジン」「季のTEA 京都ドライジン」「季の美 勢 京都ドライジン」などを使った特別なカクテル数種類を、2ヶ月ごとにメニューを変えてラインナップする。
季の美 抹茶トニック
6月中は新茶の季節に合わせて、「季の美」のボタニカルの1つである”茶”をテーマにした3種のカクテルが登場。「季のTEA 京都ドライジン」と冷たい緑茶の香り溢れる「季のTEA マティーニ」、「季の美 京都ドライジン」に抹茶を合わせた香り高い「季の美 抹茶トニック」、「季の美 勢 京都ドライジン」に柚子の酸味とミルクのコクが調和した「季の美 勢 セイグローニ」 が楽しめる。
季の美 勢 セイグローニ
また、6月26日(金)には、季の美グローバルアンバサダーの佐久間“マーシー”雅志氏の限定セミナー&カクテルイベントも開催する。(セミナーは完全予約制)
あなたも大人の隠れ家で特別な一杯を楽しんでみてはいかが。
◆ポップアップバー「季の美ルーム」
【期間】2026年10月下旬まで
【場所】ポップアップバー「4-0-3」
東京都港区高輪2-21-2 JWマリオット・ホテル東京30階
【時間】17:00~23:00(L.O. 22:30)
※予約は下記、予約サイトを要確認
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Features
世田谷文学館で開催。「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」
2026.6.10
アンパンマンの生みの親、その創作の原点に触れる
「やなせうさぎとアンパンマン」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
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『アンパンマン』の生みの親として知られるやなせたかしの創作の軌跡をたどる「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が、6月30日(火)から9月6日(日)まで、東京・世田谷文学館で開催される。
やなせたかし
写真提供:(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団
「詩とメルヘン」1979 年 4 月号表紙絵「陽炎は春がくゆらすパイプのけむり」
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
本展は、漫画家、詩人、絵本作家、イラストレーター、デザイナー、編集者など、多彩な顔を持つやなせたかしの仕事を総合的に紹介する初の大規模巡回展。原画約200点を中心に、「やなせたかし大解剖」「漫画」「詩」「絵本/やなせメルヘン」「アンパンマン」の5つのテーマで構成されている。
「絶望のとなりに」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
「夕陽の決闘」1998 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
やなせたかしは、苛烈な戦争体験や家族との別れ、さまざまな人との出会いを経て、「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」を自分に問い続けた。こうした思索の先に辿り着いたのが、かっこ悪くても、本当に困っている人に一片のパン「あんぱん」を差し出せるヒーロー像だった。
「てのひらを太陽に」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
『アンパンマン伝説』「ばいきんまん登場」1997 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
極上のエンターテイナーであり、「人を喜ばせること」を人生最大の喜びとしていたやなせ。子どもたちに夢や勇気を届けてきた作品の根底に流れる思想や人生観に触れながら、改めてその魅力を見つめ直してみてはいかがだろうか。
「いちごえほん」1976 年 2 月号表紙絵「雪の天使の 2 月号」
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
『やさしいライオン』1975 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
◆やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ
【会期】2026年6月30日(火)~2026年9月6日(日)
【会場】世田谷文学館( 東京都世田谷区南烏山1-10-10 )
【時間】10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
【休館日】毎週月曜日 ※ただし月曜が祝休日の場合は開館し、翌日休館
【入場料】一般1,500円、65歳以上・大学・高校生900円、中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの方は750円 ※ただし大学生以下は無料
※2026年7月3日(金)は65歳以上観覧料無料
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JCCO
PREMIUM JAPAN AWARD
PREMIUM JAPAN AWARD 2026
2026.6.9
世界が注目する銘石「伊達冠石」を用いた「大蔵山スタジオ」の挑戦
「大蔵山スタジオ」を率いる山田能資(たかすけ)さんがデザインを手がけた、ローテーブル「KON PAC」。天板に用いられているのが「伊達冠石(だてかんむりいし)」。「大蔵山スタジオ」の活動を象徴するプロダクトのひとつである。
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「伊達冠石(だてかんむりいし)」。今、とある石が日本のみならず、欧米のアーティストやクリエーターの注目を集めている。この「伊達冠石」を100年以上前から、宮城県の最南端に位置する大蔵山を本拠地として採石してきた会社がある。現在の社名は「大蔵山スタジオ」。日本の風土が育んだ石の価値を世界へ発信する取り組みが高く評価され、「PREMIUM JAPAN AWARD 2026」を受賞した。柔らかな雨が新緑を優しく濡らす5月、単なる採石会社の域を超えた先鋭的な活動を親子2代にわたって続けている「大蔵山スタジオ」を訪れた。
目の前に広がる、不思議な景色。押し寄せるエネルギー
不思議な景色が目の前に広がっている。雨に濡れた緑の草原に、黒褐色の塊が無数に転がっている。鋭利な刃物で削いだかのような断面が、やはり雨に濡れ鈍く光っている。静かだ。しかし、個々の塊が発する圧倒的なまでの存在感と、ひとつとして同じ形のない造形美が、強大なエネルギーとなって押し寄せてくる。気圧(けお)され、言葉を失う。この塊は岩と言えばよいのだろうか、それとも石と呼ぶべきか。ただ立ちすくみ、そんな埒(らち)もないことを考えていた。
大蔵山の山腹に出現する、不思議な光景。黒褐色の塊はどれも「伊達冠石」。その数は無数だ。
ひとつとして同じ形のない「伊達冠石」。2000万年という途方もない時間をかけて地球がもたらした、唯一無二の造形美を宿す。
2000万年以上前の火山活動による地殻変動で形成
東北新幹線白石蔵王駅から車でおよそ20分。人家も疎らになった細い山道を上がると、この光景が出現する。地名は宮城県伊具郡丸森町、標高300mほどの山の名は大蔵山。山腹に転がる無数の石塊は、地質学的な分類では「安山岩」に属するが、ここ大蔵山で産出されるものに限り、「伊達冠石(だてかんむりいし)」と命名されている。名前には理由がある。世界でも唯一という、特異な性質を持っているからだ。「大蔵山スタジオ」を率いる山田能資(たかすけ)さんは、その特異さを次のように語る。
「2000万年以上前の火山活動による地殻変動で『伊達冠石』は形成されました。形成以来、鉄分を多く含んだ泥土に何百万年もの間埋まっていたため、土っぽく丸みを帯びた石や、焼物のような石など、多様な表情を持っています。ところが切削して磨き上げると、黒檀のような深い黒褐色の極めて滑らかな断面となります。また、鉄分を多く含んでいるので、年月を経るに従い、やがて味わい深い鉄錆色へと変化していきます。安山岩は地球上で最も多い岩石ですが、こうした特質をもっているのは、世界中でも大蔵山で採れる『伊達冠石』だけです」
「大蔵山を訪れたアーティストや音楽家の姿を幼いころから見てきました。それが大きな刺激を与えてくれたのだと思います」と、「大蔵山スタジオ」代表取締役の山田能資さん。
「山田採石計画株式会社」から「大蔵山スタジオ」へ
地表から10メートルほど掘り下げると姿を見せる石は、表面が黄色い泥のような土に覆われていたことから、地元では「泥かぶり」と呼ばれていた。その石を「伊達冠石」と命名したのは山田さんの父、山田政博さんだ。また、4代目として政博さんが営んでいた「山田採石計画株式会社」を「大蔵山スタジオ」へと名称変更したのが、5代目の能資さんである。能資さんによると、初代は明治期に兵庫から移り住み、仙台でのいくつかの橋脚工事に関わり、大蔵山で採掘を始めたのは晩年だったそうだ。当時、「伊達冠石」はその特質を見出されることもなく、土石の崩壊を防ぐ「土留め(どどめ)」用の建材等に用いられることが専らだった。
「祖父の代には、太平洋戦争で多くの方が亡くなったこともあり、墓石の需要が国中に広まりました。祖父は全国に何か所も採石場を抱えるだけでなく、海外からも積極的に石材を輸入し、原石販売のほか、自社加工した墓石を製造、販売していました。父が事業を引き継いだ1980年代になると、バブル景気も後押しし、彫刻や公共工事の依頼も増えたため、一時期はモニュメントだけを制作する会社として運営。しかし、景気の落ち込みと共に、モニュメントの制作依頼も減少したため、父は改めて墓石中心の業態に戻していました」
「山に命を還す」。4代目が抱いた信念。
1970年代になると、長年の採掘が続いた大蔵山の採石現場は、他の大半の採石場がそうであるように、山肌が削られ荒涼とした姿を曝け出していた。特異な性質を持つ石が採れるということを除けば、大蔵山は日本各地に点在する採石現場と変わりのない、殺伐とした様相を呈していたかもしれない。しかし、政博さんが抱いた信念がそれを変えた。
その信念とは「山に命を還す」。この信念に基づき、採掘が終わった場所に土を戻し植樹をすることで、大蔵山は豊かな緑に覆われた里山へと姿を変えていく。政博さんの信念を支えたのは、政博さん自身の気質に加え、1970年代初頭から「伊達冠石」の魅力に魅せられて大蔵山に足を運び、作品を制作したイサム・ノグチをはじめとする数多くのアーティストと山田家との交流によるところも大きかった。80年代、政博さんは大蔵山の文化的再生に多くの時間を費やした。「持続可能」「サステナブル」という言葉など、まだ誰も口にしていなかった頃のことだった。
1980年代後半、様々な作家が大蔵山に集い、「大蔵山ランドスケープキャンプ」が発足。旧採石場の再生と活用について連日議論が交わされた。こうした情熱的な活動の結果は現在、「石舞台」や「山堂サロン」として大蔵山の敷地に佇んでいる。
「およそ50ヘクタールくらい。東京ディズニーランドがすっぽり入るくらいの広さです」
車のハンドルを握り、大蔵山に設けられた山道を走らせながら、能資さんはこともなげに言う。しかも「父までの代で十分に掘り出しましたから、私はこれ以上採石するつもりはありません」とも。冒頭で紹介した景色は、先代までが掘り出した「伊達冠石」のストック兼ディスプレイの場だった。「転がっている」のではなく「転がしてある」といった方が正しいのかもしれない。
掘り出された「伊達冠石」が置かれている場所の近くに、「伊達冠石」がむき出しとなっている崖がある。幾筋にも入った亀裂。自然崩壊したのか、崖下に積み重なる大小さまざまな形状の瓦礫。黄土色から茶褐色へのグラデーション。「伊達冠石」が、何万年にもわたり地中でどのように眠っていたかがよくわかる。そしてこの崖も、圧倒的な存在感で迫ってくる。
冷却が進み、そのまま柱状となった岩盤。多種多様な形状に加え、海水が染み込み酸化。まるで焼物のような表情を持った石が多く産出する。
「伊達冠石」を媒介とした、広大な屋外ミュージアム
前述したように、「大蔵山スタジオ」と名称を変えたのは能資さんだ。今から7年前のことである。このネーミングは能資さんの現在の活動を端的に表している。なぜならば、緑に覆われた広大な大蔵山は、「伊達冠石」を媒介とした屋外ミュージアムでもあり、実験ラボのようでもあるからだ。そこには、ユニークな構造の本社社屋をはじめ、英国のストーンヘンジを思わせる、「石舞台」と名付けられた屋外ステージ、ラトビア共和国の自然思想と日本の五輪思想を合体させたモニュメントなど、「伊達冠石テーマパーク」と言っても過言でないほどの“施設”が点在する。その大半は、父である政博さんが作り上げたものだが、それらを拠点として、能資さんはさまざまな活動を試みている。
ドアハンドルや洗面台など「大蔵山スタジオ」のプロダクトのディスプレイも兼ねた本社社屋。柱のない斬新な構造の建物を手掛けたのは、宮城県在住の建築家、小田島正仁氏。
日本の石彫家3名に加え、ラトビア共和国やオーストリアの作家が共同で作り上げたモニュメント。ラトビアの自然崇拝と、「地・水・火・風・空」から万物が生じるという「五輪思想」を合体させた、「大蔵山スタジオ」のシンボル的な存在。
「石舞台」と名付けられた、英国のストーン・ヘンジを思わせるステージ。この場で、アーティストによるパフォーマンスが開催されたことも。
屹立する巨大な石柱。かつて人類が抱いていた原始の感情が蘇る
そのひとつが「山堂サロン」と称される建物だ。厚い土壁が囲う三角屋根の木造建築に一歩足を踏み入れる。目に飛び込んでくるのは、そそり立つ石の柱。これも「伊達冠石」であり、「柱状節理」と呼ばれる状態で掘り出された、極めて珍しい形状だそうだ。高さは4メートル以上。「屹立」という言葉がふさわしいこの「伊達冠石」を前に、誰もがひれ伏し、頭を垂れる。
「宗教というものが発生するそれ以前のはるか昔に、人類が抱いていたであろう、自然に対する崇拝と畏怖にも似た感覚。現在の人々が忘れてしまったこの感覚を呼び戻すことができる場所、『大蔵山スタジオ』をそんな場所にできたら」と思います。そう語る能資さんは、「山堂サロン」や「石舞台」などをアーティストに提供し、「GALLERY LOCI」としてライブパフォーマンスを実施してきた。また、「山堂サロン」や隣接して建つ「ゲストハウス」などを利用し、地元のシェフによる食イベントなどの構想もある。「伊達冠石」を随所に配した茶庭を持つ茶室も建設途中だ。
「自然に対する崇拝と畏怖を感じる場所であると同時に、この大蔵山からアートをキーワードにした文化を世界に発信していきたいと思います」
「山堂サロン」に足を踏み入れる。この巨大な石柱を目にした途端、畏怖感に貫かれ、思わず頭を垂れる。この「山堂サロン」の設計も、小田島正仁氏。
建設途中の茶庭。禅寺の枯山水の石庭にも似た趣。何年か後には、この庭の一画に茶室が誕生する。
大蔵山の一画には、工房も設けられている。人工ダイヤモンドを先端に付けたブレードが高速で回転し、「伊達冠石」を切断していく。工房で働くスタッフは7名。石を知り尽くした職人ばかりだ。
ロンドンの美術大学で学んだグラフィック
能資さん自身、アートの道を歩んできた。
「もともと絵画が好きで、大学時代は美術部に属していました。幸運にも個展まで開催する機会があり、その個展で私の作品を観た方が、イギリスかアメリカへ行った方がよい、とアドバイスしてくださったのです。それに勇気づけられ、卒業後はイギリスへ渡り、ロンドンの美術大学でグラフィックを学びました」
2008年に帰国後、5代目として家業を継いだ能資さんは社名を変えるとともに、大きな方向転換を試みた。「伊達冠石」の特質を設計事務所やプロダクトデザイナーに提案し、建材や作品素材として使用することを積極的に働きかかけたのである。
「父は大蔵山の再生に熱心でしたが、事業の中心はあくまでも墓石。それを方向転換したのですから、当初は売り上げも下がり苦労しました」
しかし、熱心な働きかけが功を奏し、次第に設計事務所からのオーダーが増えてきた。「伊達冠石」の複雑な表情が、ホテルやレストランなどの商業建築に際立った個性を発揮することに建築家たちが気が付きはじめたのだ。
また、信用を積み重ねたアーティストとの協業も増えていった。アーティストと関わる場合、能資さんが心がけていることがある。それは、単に素材として「伊達冠石」を提供するのではなく、作品がどのようなコンセプトを持ち、どのように扱われるかを、あらかじめ把握しておくということだ。そのため、協業する前段階で、表現の支柱となるコンセプトをしっかりと読み解き、「大蔵山スタジオ」が大切にしている物語と、作品のコンセプトが合致しているのかを注視する。
設計事務所の依頼のなかには、コンセプトから表現まで「大蔵山スタジオ」に一任するケースも多い。その場合はプランの早い段階からきちんと関わっていく。そのときは、プロジェクトの基本的な概念と方向性のみならず、周囲の環境、文化などもリサーチし、まずはコンセプトを立てる。そしてコンセプトから浮かびあがる造形を能資さんがスケッチし、自社工房にて「伊達冠石」を用いて造形を施す、というプロセスを辿る。また、現場での施工までをも一括で請け負う。
海外からモニュメントのオーダーを受け、能資さんが描いたデザインスケッチ。施主の大まかな意向だけをヒアリングし、実際の形状は山田さんが考案することも多い。英国で学んだ、コンセプトから造形を見出す思考が活かされている。
2023年、パリ16区に開業した「BLANC」。ミシュラン2つ星を有する佐藤伸一氏が率いるレストランの入り口に、井戸茶碗のような表情と、手磨きによる艶やかな表情が融合した「伊達冠石」のオブジェが設置された。
本社に展示された洗面台。ひとつひとつの石に潜む異なる表情の妙。ラグジュアリーホテルからのオーダーが多い。洗面台の上に掛かるのは、「伊達冠石」の表情を味わうウォールアート。
中央部分は栗材などを使い、上下に「伊達冠石」を用いたドアハンドルの数々。その重厚感が、エントランスを引き立てる。
香立てのほか、ランプシェード、小皿などの生活周りの小物も制作。また、原点ともいえる石塔事業も継続し、モダンなデザインの墓石なども手掛けている。
「伊達冠石」が内包する、「移ろいゆく美」
「大蔵山スタジオ」は、ドアハンドルや洗面台、バスタブ、テーブルなど、多様なプロダクトも手がけている。能資さんの美意識が息づくこれらの製品は、いまや世界的に注目を集め、海外での施工例も増えている。黒く艶を放つ鋭い断面と、黄土色から茶褐色へと移ろう複雑な色合いをたたえた表面。その取り合わせは、「伊達冠石」独特の造形美と相まって、きわめてモダンな印象を生む。
と同時に、茶の湯の「侘び寂び」にも通じる、日本ならではの美意識も確実に感じさせる。おそらくそれは、途方もない時間の流れの中で育まれた「伊達冠石」が、移ろいゆくものの美しさを宿しているからなのだろう。「伊達冠石」の経年変化を実感するのは、難しいかもしれない。しかし、石は悠久の時間のなかで確実に変化を遂げ、新たな美しさを浮かび上がらせてくる。それは、紛れもなく「移ろいゆく美」であり、日本人が大切にしてきた美意識そのものである。海外のアーティストが「伊達冠石」に関心を寄せるのも、この日本ならではの美を敏感に感じ取っているからに違いない。
柔らかな緑に包まれた大蔵山は、傾斜も比較的ゆるやかで、小学生の遠足にぴったりの丘陵公園のような趣がある。その地下10メートルに、世界に知られる銘石が眠っているとは、とても想像できない。親子2代が石に誠実に向き合い、時に対峙したことで、大きく発展し、今なお進化を続ける「大蔵山スタジオ」。東北の里山に、世界が熱い視線を注いでいる。
*「大蔵山スタジオ」の入場は、業務上の関係者のみ、予約の上での来山可となっている。
Photos by Kayo Takashima
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