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星のやに泊まる、星のやを知る
2025.10.10
星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅
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“その瞬間の特等席へ。”をコンセプトとする星のやブランドの始まりの地である「星のや軽井沢」。今年開業20年を迎え、「谷の集落に滞在する」をテーマに、「日本の原風景」を描いた美しい景観と心豊かな時間が過ごせる宿として、多くの人々を魅力し続けています。今回ご紹介する「森林養生」プログラムは、ただ休むための滞在ではありません。森を歩き、湯に浸かり、旬の養生食をいただき、体を調えていく。この体験を繰り返すことで、驚くほどに心身がリセットされていく体験プログラムです。今回は3泊4日のプログラムの一部を体験し、その背景を開発者に伺いました。
自然に抱かれ、ゆっくりと深呼吸するように身体が調っていく「森林養生」プログラム
チェックインを済ませると、3泊4日のスケジュールの説明と共に、現在の身体の状況をお話するコンサルテーションが行われます。
ただのんびりするだけではなく、身体を見つめ直して、身体を調えることに焦点を合わせた旅。
どんな旅になるのか、果たして効果を実感できるのか、そんな想いを抱きながら、プログラムがスタートします。
まずは、「深呼吸入浴法」を学びながら大きく呼吸をして身体の緊張を解していく。
その後は、プログラムの主軸の1つである「森林浴ウォーキング」に向けて、ノルディックウォーキングポールの使い方を敷地内でレッスン。ノルディックウォーキングポールは通常のポールとは使い方が異なり、ポールを身体の前で杖として使うのではなく、身体の後ろでウォーキングをサポートするようにして使います。そのためにウォーキングを後押ししてテンポよく歩けて、姿勢を正して足を出すことで身体が温まっていくようです。
説明によると、ノルディックウォーキングポールを使うと、普段よりも腕を大きく振ることで全身運動となり、運動量が高くなるとのこと。緑豊かな環境で身体を動かすことの心地よさを感じながら、頭を空っぽにして歩みを進めることに爽快感を感じていきます。
到着後の緊張した身体をゆっくりとほぐしながら、「深呼吸入浴法」を学ぶ。
いざ、森林浴ウォーキングへ出発。コースはその日の体調に合わせて基本3つのコースから選ぶことができます。もちろん相談すれば、別のコースを選択することも可能とのこと。
軽井沢の名瀑「竜返しの滝」と「白糸の滝」、二つをめぐる道を選びました。途中まで車を走らせ、そこからは歩いて森の深みに分け入ります。足を踏み出すごとに、土の柔らかな感触が体に響き、小鳥のさえずりや木々のざわめきが心を優しく撫でていく。静寂に抱かれた世界で感覚がひとつずつ研ぎ澄まされ、絡まっていた思考がほどけていく。気づけば、胸の奥まで風が吹き抜けるように、心がすっと軽やかになっていくのです。
ポールを使うことで足取りが軽くなり、歩くことが楽しくなっていきます。
「竜返しの滝」まで来ると、一気に空気が変わり、気温も下がり、自然と深呼吸がしたくなっていく。
鍼灸・ボディケアの施術で、身体と深く向き合う
心地いい疲労感に包まれた後は、楽しみにしていた鍼灸・ボディケアの施術。実は鍼灸ははじめての体験。一度はやってみたいと思っていたものの、信頼できる先生でないと不安ということもあって未だに体験できていませんでしたが、星のや軽井沢が選んだ国家資格を有する、鍼灸・柔道整復師の方であれば安心です。
初日のカウンセリングで体調を細かく確認。3日間にわたり、その日の体調に合わせ、丁寧に施術が行われていきます。約150分の施術後は不思議と身体の痛みが和らぎ、さらに血が巡ってきたのか身体はポカポカです。
さらにいえば、朝起きた瞬間から腰痛に悩んでいましたが、翌朝は久しぶりの清々しさに包まれて、「こんなに自分の体は軽かったのか」と効果を実感しました。
完全個室のスパ棟では、水のせせらぎしか聞こえてこない。
施術は痛みを感じることなく、心地いい。
食べることも「森林養生」の大切な要素
「森林養生」のさらなる柱となるのは食事です。このプログラムではスポーツ栄養学に基づいた薬膳仕立ての特別食と星のや軽井沢のメインダイニング「日本料理 嘉助」での食事が三食用意されています。つまり滞在中の食事も徹底的に管理。
今回の夕食は「日本料理 嘉助」で『山の懐石』をいただきます。秋の食材である松茸や鮎、信濃雪鱒、薩摩芋などを使った料理はとにかく美しく、そして体に染み入る優しい味わいに仕上がっています。身体が調っていたせいもあるのか、ペロリと完食。
プログラムでは、2日目の夕食は特別食「山の旬菜鍋御膳」です。旬の野菜や薬膳素材が美しく盛られた鍋は、体に優しいだけでなく、食欲を満たす力強さもあるレシピ。
椀盛「中秋月」は、十三夜豆腐とすっぽんの身を入れた白玉は兎に見立てて。
重陽の節句をイメージした、進肴「被綿」。菊花蕪の中に鹿真薯が入り、上には松茸が乗っています。
素晴らしい環境の中での適度な運動、ボディケア、美味しい食事で大満足の1日の終わりは源泉かけ流しの温泉「メディテイションバス」で「深呼吸入浴法」を実践。ただ湯に浸かるのではなく、呼吸を整え、湯の中で軽く体を伸ばす。体が温泉に包まれながら、深い呼吸を繰り返すと、一日の疲れが取れるとともにエネルギーがみなぎっていくようです。温泉の力を“積極的に活かす”入浴法があることを今回はじめて知りました。
心も体も健やかになり、その日の夜はすぐに眠りにつくことができました。
朝食は、地元の山の恵みを薬膳の知恵と掛け合わせた「山の旬菜粥朝食」をいただく。滋味深いお粥を口に運ぶと、体がじんわり温まっていきます。朝からしっかり食べることは、新たな一日の始まりを整え、体を養う行為だと実感します。
特別朝食「山の旬菜粥朝食」。右奥の養生粥は戻貝柱ほぐし身、銀杏や百合根、小豆などが入った香り豊かで優しい味わい。
今回は3泊4日のプログラムの一部の体験ではありましたが、自分の身体の内に耳を傾け、自然の中で体を調えていく経験でした。都会でトレーニングをするのとは異なり、まさに心身が調っていくことを実感できます。貴重な休日をどう過ごすかを考えた際、食事や運動、そして鍼灸が調った環境にただ身を置くだけで、心も体も驚くほど軽くなっていきました。
完全個室になっているスパ棟。
星のや軽井沢からはじまった「養生」という発想と取り組み
この「森林養生」プログラムの開発背景について、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐さんと、スパ開発を手掛け、さらには今回の「森林浴ウォーキング」のサポートもしてくださった髙橋明日香さんに話を伺いました。
「養生」とは、自分を養い、健やかに生きるための知恵。そう語るのは、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐さんです。
「日本には古来から、食や呼吸、休息を通じて自分を整える文化がありました。星のや軽井沢ではその知恵を現代に置き換えて、軽井沢の自然や温泉の力を借りて心身を調える体験として「森林養生」プログラムを開業して間もないころから提供しています。
星野リゾート入社後、プログラム開発に従事。2015年に「星のや軽井沢」総支配人、2019年に「星のや東京」総支配人を務め、2021年から再度「星のや軽井沢」総支配人を務めている。
「森林養生」プログラムが始まったのは開業当初から
「当時はマクロビオティック(マクロビ)が注目されており、健康的な食事への関心が高まっていました。そこで「森林養生」でも食事を中心としたプログラムを行っていましたが、当時は今よりずっとストイックで、玄米を百回噛む、ゴマをすり続けるといった厳格な食事法でした」と赤羽さん。
「当時は食事の際に横に座って指導をするほど徹底的な指導でした。その甲斐あって、滞在中に減量ができたり、フェイスラインがすっきりしたなど目に見えた効果を感じていただきましたが、いまは無理なく続けられることを重視しています。大切なのはゲストが自分のペースで“心地よさ”を見つけることですから」とプログラムを企画・開発した髙橋さん。
「森林養生」プログクラムのスタート当時から企画に携わっている髙橋さん。ご自身もマラソン大会に出場するほどのアスリートである。
さらに髙橋さんは「森林浴ウォーキング」で新たに採用したノルディックウォーキングポールについても話してくれました。
「通常のポールは杖のように使用しますが、このノルディックウォーキングポールは腕を大きく振って、ウォーキングのサポートをしてくれる道具になります。ウォーキングの助けになるとともに、全身運動となることで運動量も増加します。このポールを使ったことで、普段より長い距離を歩けたとおっしゃるお客様もいて、帰宅後にポールを購入されて日常に取り入れているようです。ここでも体験が一時的なものではなく、帰ってからの生活に生かされることは嬉しいですね」と話します。
ウォーキング中は腕に心拍計をつけて、運動による心拍の変化をチェックしていきます。
まずはポールの使い方をレクチャーしていただく。ポールを使うと、姿勢を正して、テンポよく進むことがラクになります。
エビデンスに基づき、あらゆる角度から養生を行っていく
もちろん食事を大切にする発想は、スタート当時から変わることなく反映されています。
「薬膳は特別なものに感じられるかもしれませんが、基本は旬の食材を活かすことからはじまります。信州ならではの恵みを取り入れ、運動や施術の効果を高める献立を提供しています。今回より地元で、アスリートの運動や食事指導を行っている公益財団法人『身体教育医学研究所』と『ニッスイ湯の丸アスリート食堂』の力をお借りしたプログラム構成になっているのも特徴です」。
また鍼灸をはじめとする東洋医学のアプローチも、今回から導入したものです。3日間に渡って行われる鍼灸とボディケアの施術は、それぞれの体調を見ながら行われます。連日の施術で、より体の声に耳を澄ませることで、自分に合った回復法を見つけるきっかけとなるはずです。
星のや軽井沢を象徴するランドスケープ「棚田ラウンジ」を背景に。
さらに特徴的なのは、スタッフ全員がプログラムに関わっている点です。外部講師に任せるのではなく、スタッフ自身が知識や技術を学び、ゲストに寄り添っていく。
「だからこそ小さな変化に気づけるのです。ゲストが自分なりの物語を紡ぐ、そのそばに寄り添うのが私たちの役割だと思っています」と赤羽さんは語ります。
いまではその発想は他の「星のや」にも広がっています。星のや竹富島では「島時間養生」、星のや東京では「深呼吸養生」といった形で展開され、土地固有の自然や文化を取り入れながら、ゲストが自分を見つめ直すきっかけを提供しています。
広大な星のや軽井沢。悪天候の日は、星野温泉 トンボの湯へ続く「イチイの丘」で、軽いランニングなどで身体を慣らすのもおすすめです。
取材を終えて思うのは、このプログラムは「癒し」を超えた存在だということです。森を歩き、湯に浸かり、旬をいただき、ただ休む——。そのシンプルな行為の積み重ねが、自分自身を深いところからリセットしてくれます。
赤羽さんが最後に語った言葉が印象的でした。
「ここは“何かをする場所”ではなく、“何もしないことを思い出す場所”なんです」
森に抱かれながら過ごす3泊4日の滞在は、忙しい時間を過ごす私たちが忘れかけていた“調和・調整”を呼び戻す意味深い時間になりました。
◆星のや軽井沢「森林養生」
・実施 通年
・料金 1名270,000円〜(税・サービス料込)*宿泊料別
・含まれるもの コンサルテーション2回、深呼吸入浴法レクチャー1回、森林浴ウォーキング4回、鍼灸・ボディケア3回・浅間山ストレッチ1回・のびのび深呼吸1回、夕食「日本料理 嘉助・山の懐石」2回、特別夕食「山の旬菜鍋御膳」、朝食「日本料理 嘉助・山の朝食」1回、インルームダイニング朝食1回、特別朝食「山の旬菜粥朝食」1回
・定員 1日1組(2名まで)
・予約 公式サイトで10日前までに受付
・対象 星のや軽井沢宿泊者
・備考 身体バランスや要望、天候に合わせてスケジュールは変更になる場合があります。
仕入れ状況やスケジュールにより食事内容が一部変更になる場合があります。
2名でご予約の場合は一部滞在スケジュールを変更させていただきます。
Text by Yuko Taniguchi
Photography by Natsuko Okada(Studio Mug )
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鹿児島の「宝」を巡る旅
2025.10.2
癒やしの島、屋久島へ。豊かな自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップとカフェを訪ねて
「ヤクスギランド」で出会うことができる屋久杉のひとつ「千年杉」。圧倒的な存在感で訪れる人を出迎える。
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「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅の今回の目的地は屋久島。鹿児島本港から高速フェリーで最短2時間、ほぼ中央に九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)がそびえる周囲約130㎞の島だ。島自体は亜熱帯に属するものの、亜熱帯から亜寒帯までと、多様な植生の垂直分布が見られ、1993年には日本初の世界自然遺産の島に認定された。屋久島の植物といえば、やはり屋久杉。数多くの屋久杉を鑑賞できる島内隋一の森「ヤクスギランド」で、実際に屋久杉を目の当たりにした後は、屋久杉がもたらす豊かな自然と、その自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップ「YAKUSHIMA BLESS」 と、「Plant-based Cafe&Act【ne-】」「やくしま果鈴」の二つのカフェを訪ねた。
海岸沿いのわずかな平地をのぞき、島の大半は山また山。その山々を濃い緑が覆う。
「ヤクスギランド」で数多くの屋久杉に出会う
屋久島を訪れたら、まずは縄文杉へ。だれもがそう思うかもしれないが、縄文杉への道のりは往復約22キロを、10時間前後かけて走破する本格的なトレッキングコースとなり、なかなか困難なことも事実。もう少し手軽に屋久杉に出合うことができる場所、それが「ヤクスギランド」だ。
ちなみに、屋久杉とは樹齢1,000年を越える杉、そして縄文杉とは、標高1,300m付近の山中に根を張る最大級の杉の一個体に付けられた名称で、約2,000年から約7,000年の間の樹齢と想定されている。一方、「ヤクスギランド」にも樹齢2,000年前後の屋久杉が何本か存在し、間近で見ることができる。
30分・約800mの「ふれあいの径」コースは、木道と石張歩道が整備されているので小さな子どもでも歩くことができる。このコースでも、何本かの屋久杉に出会う。
海沿いは晴れていたのに、標高1,000mを超える「ヤクスギランド」に到着すると雨が降ってきた。雨と同時に、樹々も一斉に深呼吸を始めたのだろうか、周囲の緑がより色濃く鮮やかになってきたかのようだ。程よく整備された30分・約0.8㎞の「ふれあいの径」から、210分・約4.4㎞の「天文の森」までコースは5通り。年齢やその日のコンディションに合わせて選ぶことができる。
今回は80分・約2㎞の「つつじ河原」を選択した。「ふれあいの径」と重なる最初の間は比較的に楽な道のりだったが、奥へ入るにしたがってアップダウンも加わり、径も険しくなってくる。しかし、それを補うに余りあるのは、次々と現れる屋久杉の巨木の厳かなたたずまい、そして歩くにしたがって変わっていく周囲の景観だ。
奥へ入るにしたがい、径はやがて狭く険しいものとなる。一歩一歩注意しながら歩きたい。
径沿いの景色は、絶えず変化していく。美しい清流とも何度か出会う。流れる水は驚くほど透明。
「千年杉」「仏陀杉」「双子杉」……。その趣深い名前もさることながら、神々しいまでの存在感を放つ屋久杉を前にすると、思わず頭を垂れたくなる。屋久杉だけではない。生い茂る大小さまざまな樹木、澄み切った水が流れる清流、苔むした岩肌……。立ち止まり、何度も深々と息を吸う。あらゆるものに生命が宿り、そこから放たれるエネルギーが身体を清浄にしてくれる。降る雨も清々しく感じられる。
屋久杉の根をびっしりと苔が覆う。そこに何者かが宿るような神々しいまでの巨木が、訪れる人の心を癒やす。
80分の「つつじ河原」コースを無事踏破した。心地よい疲労はやがて満足感となる。
屋久杉に出合うことができる格好のエリア、「ヤクスギランド」。小さな子でも歩くことができる「ふれあいの径」以外は、高低差のあるコースとなる。雨も多い。レインコートやトレッキングシューズなど、ある程度の装備を整えて歩くことがお薦めだ。
屋久島レクリエーションの森保護管理協議会
鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦1593
Tel:0997-42-3508
受付時間:8時~17時
豊かな自然に囲まれ、のびのびとすごすヤクザルとヤクシカたち
「ヤクスギランド」のほかにも、屋久島の自然に触れることができるスポットは数多くある。そのひとつが、「大川の滝」。90mほどの断崖から落ちてくる滝の水が作る景観は雄大そのもの。晴れた日には青空と滝水の白、そして周囲の緑とのコントラストが美しい。また島の西側、世界自然遺産エリアの西部林道には、野生のヤクザルとヤクシカが頻繁に出没し、時には道路を我が物顔で歩いていることも。
落差90m近くある「大川の滝」。滝つぼのすぐ側まで近づくことができる。日本の滝百選」にも選ばれている。
道路際から人間をじっと見つめるヤクザルたち。猿が人間に対して狂暴化する原因となる「餌付け」は条例で厳しく禁止されている。
YAKUSHIMA BLESS
貴重な屋久杉を活用し、島の恵みを多くの人に伝える
店内に足を踏み入れると、木箱に積み重なった小さな木片の山が目に入る。そしてどことなく爽やかな香りも。小さな木片は屋久杉だ。屋久杉は、現在では伐採禁止だが、「YAKUSHIMA BLESS」の母体である「武田館」は、古くから屋久島で屋久杉を伐採・搬出する林業を営み、そのころからの伐採済屋久杉を在庫として多く保有していた。店内に置かれていたのは、そうした屋久杉を木片にしたものだ。
屋久杉は小さな木片となっても、1000年という歳月を感じさせる複雑な表情を醸し出す。
手に取り、よく見るとひとつひとつ形が異なり、なかには表面に複雑な模様を持つものもある。ふつうの杉より多くの樹脂を含む屋久杉は、磨けば磨くほど光沢を増し、複雑な表情を醸し出してくる。こうした屋久杉の性質をいかし、ゲストが選んだ木片と、木片を磨く紙やすりなどをセットにしたキットが、「屋久杉を磨こう!」だ。
「単なるお土産にはしたくなかったのです。旅が終ったあとにも屋久島を感じていただきたい。この島の一部を皆様にお届けし、屋久杉がお守りのように、皆様のそばで寄り添えたなら。そんな想いから生まれたプロダクトです」
そう語るのは、「YAKUSHIMA BLESS」代表の金田知博さん。
金田知博さんと、店長の幸代さんご夫妻。「YAKUSHIMA BLESS」の母体となった「武田館」は、幸代さんの祖母が始め、屋久杉の家具などを扱う店舗として、「YAKUSHIMA BLESS」に隣接して現在も営業を続けている。
「屋久島に屋久島のままであり続けてほしい。限りある資源を大切に未来へ残すため、島の恵みと新しい感性を融合させ、これまでの『お土産』の枠にとらわれない、屋久島にしかないものづくりを目指しています。そして、『この島に訪れてよかった』と思っていただけるような、心おどる出会いが生まれる場所でありたいと考えています」
金田さんの言葉が物語るように、「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムは、環境に配慮したものばかりだ。「屋久杉を磨こう!」をはじめ、チップ状にした屋久杉を漬け込んだ椿油、アミノ酸が豊富なシルクなどを用いた「屋久杉の石鹸」、屋久島で暮らしたアーティストに手によるバンダナ「ハルモニア」など、どのアイテムも環境への配慮と、そこに関わった人の温かい息遣いが感じられる。
「屋久杉の石鹸」は「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムのなかでも一、二を争う人気。1個3,300円(内税)
「屋久杉の石鹸」の泡は驚くほど滑らかで弾力がある。その肌触りをショップ内で試してみることもできる。
白を基調とした店内には、「屋久杉の石鹸」をはじめ、屋久杉を活用したグッズや、アーティストとコラボした作品などさまざまなアイテムが美しくディスプレイされている。
「自然に感謝、人に感謝。名前の『bless』には、そんな私たちの思いが込められています」
樹齢1,000年を越える屋久杉の木質はとても硬く、小さな木片にもその堅牢さは十分感じられる。それは「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムに通底する、環境を大切にしようとする意志の強さそのものでもある。
YAKUSHIMA BLESS
鹿児島県熊毛郡屋久島町安房540-61
Tel:0997-46-2899
営業時間:9時~17時(冬季時間変更あり)
不定休
Plant-based Cafe&Act【ne-】
森へと誘い、森から還る。森に溶け込む自然派カフェ
「Plant-based Cafe&Act【ne-】」は、屋久島の樹々に囲まれてぽつんと建つ一軒家だ。「ne」とは根っこの根。そして「plant-based」は植物由来の食べもののこと。このネーミングが物語るように、一軒家カフェでの食事、ドリンク、スイーツはすべて植物に由来する。
屋久島の森を通る道がそのまま店内へと誘うような造り。店の反対側から、道は再び森へと続いていく。
ランチの「ブッダボウル」は、無農薬のお米に有機雑穀を加え土鍋炊きし、そこに屋久島産の無農薬野菜がふんだんにトッピングされている。口に含むと、野菜の滋味が広がり、その滋味を土鍋炊きの米のふくよかな味と香りが包む。島の樹々を利用して、屋久島の海水を数日焚いて作る自家製の塩や、こだわりの調味料がオーガニックな食材とともに、味わいをより細やかにしてくれる。
高野豆腐の照り焼き、ナッツ佃煮、塩麹きのこをはじめとして、週替わりで屋久島産の季節の野菜をたっぷり盛り込んだ「ブッダボウル」。1,500円(税込)
マフィンやスコーンなどのスィーツも植物由来ならではの優しい味わいだ。自家焙煎のコーヒーとの相性も抜群で、「これがすべて植物由来で作られているの?」と驚くほど満足感のあるスイーツだ。
屋久島産の素材を使用したスコーンをはじめとする植物由来のスイーツが、愛らしく並ぶ。どれも優しい甘み。
笑顔の絶えない、店主の丸山悟さんと奥様の真実さん。二人とも屋久島へ移住しこの店を立ち上げた。「人間が自然の一部であると感じられる屋久島の在り方。そこに惹かれました。屋久島というと、屋久杉に話題が集まりますが、屋久杉だけでなく森そのものがとても豊かで、その豊かさを一人でも多くの方に味わっていただければ、と思います」
そんな丸山さんの言葉は個性的な建物の造りにも現れている。屋久島の森の小道が、まるで建物の中を通り抜けるかのようになっているのだ。長方形の建物の両側短辺が出入り口となり、小道は店舗の中央を通り、店を出るとその先は森へ繋がっていく。森へと誘う起点であると同時に、森の小道を覆うほっと一息つくことができる場所、それが「Plant-based Cafe&Act【ne-】」だ。
森の緑と一体化したかのような空間。石畳の道が店内を通り抜け、森へと続く。
木の温もりが優しい店内には、屋久島の木材などを用いた木工作家の作品やオーガニック主体の食品などがディスプレイされ、そのディスプレイにも、丸山夫妻の「森への想い」が満ち溢れている。また、木に触れることができるキッズスペースが設けられているので、子連れのゲストも楽しむことができる。
丸山さんは、屋久島の木にまつわる研修も受け入れ、売り上げの一部を植林活動に使うなど、食空間に留まらず、社会に対するアクションも行っている。まさに、「Cafe&Act」の空間だ。
「この少し変わった空間で、人も森のなかの一部であるということを、身体すべてで感じ取っていただければと思います」
店内の片側壁面は、窓を多用した開口部の多い造りとなっている。開け放たれた窓から心地よい風が吹き込んでくる。風と同時に、丸山さんが語る「森と人との繋がり」が森からカフェの店内に、そして身体中に注ぎ込まれているような気がした。
笑顔の絶えない二人に囲まれ、生後6カ月の、あおちゃんもいつも笑顔。
Plant-based Cafe&Act【ne-】
鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2739-343
Tel:090-2399-8769
営業時間:11時~16時(木曜日~土曜日)
やくしま果鈴
「やくしま愛」に満ち溢れた、屋久島素材にこだわるおやつ工房
濃厚な甘さとほどよい酸味、そしてジューシーな果肉が特徴の柑橘類の一種、「たんかん」。鹿児島は「たんかん」の生産量が日本一で、屋久島でも収穫期の2月になると、果樹園ではオレンジ色も鮮やかな「たんかん」がたわわに実る。この「たんかん」を使ったお菓子を中心に、安心でおいしいおやつをつくっているのが「やくしま果鈴」だ。
有機栽培で30 年以上「たんかん」が育てられていた畑を、縁あって鈴木由美さんが引き継いだのは2017年のこと。屋久島に魅入られ、その何年か前から島での生活を始めていた鈴木さんは、もともとお菓子づくりのキャリアを持っていた。そうしたキャリアを活かし、畑を引き継いだと同時に、鈴木さんが代表となって、店舗も兼ねたお菓子工房「やくしま果鈴」が誕生した。
「特産の『たんかん』を使ったお菓子をつくろうとしたのですが、当初は『たんかん』に関しては美味しい果実としてしか知らず、お菓子の素材に使うにはその特徴をもっと深く知りたいと思い、そのためには自分たちで栽培もしたほうが良い。そう思い、農業と製造加工が同時にスタートすることになったのです」
最初は3名からのスタートだったが、鈴木さんの思いに共感するスタッフが次第に増え、現在では16名の仲間たちが、果樹の栽培やお菓子作りに携わっている。
「工房を始めたのは、『たんかん』のおいしさをたくさんの人に味わってほしい、という想いからです。その想いをかなえるためにも、持続可能な農業を心掛け、『たんかん』栽培に関しては鹿児島県から特別栽培(減農薬・減肥料)の認証を受けています。お菓子をつくる場合にも出来るだけ自然の素材からくる香りや色味を大切に、可能な限り屋久島産のものを用いています」
鈴木さんが栽培しているのは「たんかん」の他に、ぽんかん、レモン、グアバ、バナナ、パイナップルと多種多彩。こうしたフルーツが、さまざまなお菓子となってお店に並ぶ。
自家農園の果物を丸ごと生かしたフルーツバター、フィナンシェ、バスクチーズケーキ、「やくどら」と名付けたどらやきのほか、島の特産品を活かしたお菓子を、丹精込めて手づくりしている。
人気商品のひとつがフルーツバター。それぞれのフルーツの甘味とバターのふくよかな味わいが絶妙なマッチング。各1,380円(税込)
「やくしま果鈴」には、カフェスペースも設けられている。「まるごとたんかんジュース」や「黒糖ジンジャエール」など、ドリンク類も充実。なかでも人気なのが、フルーツ感をダイレクトに味わうことができるスペシャルスムージーだ。「たんかんスムージー」「グアバスムージー」「パッションフルーツスムージー」など、フルーツをふんだんに用いたスムージーのほか、マンゴー、ドランゴンフルーツなどラインナップも豊富。「たんかんスムージー」を口に含む。ぎゅっと濃縮された「たんかん」の風味が、ほどよい冷たさと同時に心地よく喉を通り抜けていく。そして優しい甘みが追いかけてくる。
お店の前にそびえる「モッチョム岳」を眺めながら心ゆくまで味わいたい。たんかんスムージー(左)と、すもも&ポンカンスムージー(右)、各700円(税込)。
愛らしいパッケージのお菓子が整然と並ぶ店内。
店内にはカフェスペースも設けられ、グラタンセットやフルーツバタートーストなどもオーダーすることができる。
「私たちがつくるお菓子は素朴かもしれません。でも、屋久島がもつ自然の豊かさを込めているつもりです。私たちが屋久島に魅せられてお店を続けることで、私たちが大好きな屋久島に少しでも貢献できたら、そんなことを願っています」
受け継いだ果樹園で、スタッフの力を合わせて収穫したさまざまな果実に囲まれながら、鈴木さんは今日も工房でお菓子づくりに励んでいる。
「時間をかけて丁寧に、一口食べると思わず屋久島が好きになるようなお菓子を作っています」と、代表の鈴木由美さん。
やくしま果鈴
鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間672-1
Tel:070-8940-6721
営業時間:10時~17時30分
定休日:日、月曜(イレギュラーあり)
豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。
そんな鹿児島の宝を巡る旅は、これからも続く。これまでの「南の宝箱 鹿児島を巡る旅」は以下から。
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)
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鹿児島の「宝」を巡る旅
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日本のプレミアムなホテル
2025.9.30
南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を
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日本に居ながら、海外のビーチリゾートにいるような時間が楽しめるのが、南紀白浜にある贅を尽くした隠れ家的なホテル「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」である。
東京・羽田空港から南紀白浜空港まで約1時間、大阪からは車で約2時間半、南紀白浜の数多いリゾートホテルの中でもひと際目を惹く佇まい。ホテルに足を踏み入れれば、喧騒とは無縁の時間が流れ、究極のプライベート空間が広がっている。
2025年9月、世界的なホテルブランドグループ「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)」に日本で19番目のホテルとして迎えられた。世界に比類のない小規模のラグジュアリーホテルの1つであり、特別な滞在を約束されたホテルであることの証である。
目の前には海岸が広がっている。
わずか18室のプライベートステイで心が解き放たれる滞在を
当ホテルがなぜ贅沢なのか。
わずか18室の客室は、違うタイプの客室が3棟に分かれ並んでいる。
それぞれの棟は“星座”の名前がついており、もっとも広いプレミアスイートオーシャンビューは「GREAT BEAR(おおぐま座)」という名がついている。
テラスを含んで145㎡の広さがあり、ベッドを4台備えた部屋であれば、小さな子どもの添い寝であれば3世代での滞在も可能だろう。
また部屋によってはサウナやジャグジーを備えているので、誰の目を気にすることなく、自分の時間を謳歌することができる。
「GREAT BEAR(おおぐま座)」客室。
120㎡の広さのジュニアスイートデラックスが「GIRAFFE(きりん座)」。テラスへ飛び出す形の半露天風呂が備えついており、公式ホームページからキッズフレンドリープランを選んで予約すれば、室内に子ども用の遊び場スペースを設置し、バスルームには子ども用グッズなどを用意されているので、荷物が多くなりがちな子ども連れの旅でも身軽に移動できるのは嬉しい。
「GIRAFFE(きりん座)」の客室。
キッズフレンドリープランを選ぶと、客室に子ども用に遊び場が備えられている。
洗面所に用意されている、子ども用にグッズの数々。
プールガーデンデラックス「DRAGON(りゅう座)」は、まるで高級ビーチリゾートホテルのように、部屋のテラスからプールへ飛び込める。水着のままプールに飛び込み、部屋のテラスでくつろいでから、またプールへ。
海外の高級ビーチリゾートにいるような滞在が、日本でできるなど驚きの連続。
「DRAGON(りゅう座)」の客室。
テラスから直接プールへ。
また、全室には電解水素水が備えられており、専用ボトルに入れて、いつでも健康や美に効果的と言われる水素水をいただくことができる。
部屋の冷蔵庫内の飲料ももちろんすべてフリー。足りなくなれば追加でオーダーすることもできる。
南紀白浜温泉の「湯」に包まれて。ホテル内から湧き出る源泉掛け流しの純泉体験
南紀白浜温泉は、有馬温泉と道後温泉に並び、「日本三古泉」の一つに数えられ、日本書紀や万葉集にも登場する温泉である。古くから天皇をはじめ皇族が湯治に訪れたと言われる由緒ある場所である。
敷地内にある自家源泉。
大浴場には露天風呂も備えられている。浴室にはランドリーがあるほか、湯冷めのアイスキャンディーも。
当ホテルの建設は、まずは温泉を掘り当てることからはじまったと聞く。温泉の掘削が成功しなければホテル建設は断念したというほど、温泉の存在は必須だった。無事に掘り当てた源泉は「純泉」と名付けられ、敷地内地下1,000メートルから汲み上げる自家源泉が施設中央にある。温泉の中でも珍しい深層自然温泉が24時間湧き出ている。なんとも贅沢なことだ。
部屋のお風呂でゆったりも嬉しいが、やはり大浴場の存在は温泉地では欠かせない。露天と内湯を兼ね備えた大浴場「五光の湯」は、海風に吹かれながら空を見上げ、心の芯まで解きほぐされていくような感覚を味わえる空間だ。
さらに、宿泊者だけが利用できるプールは、冬は温泉プールになるために年間を通じて利用することができる。
朝は鳥のさえずりとともに、また夜は星空を仰ぎながら、プールに身を委ねる体験は南国のリゾートそのものだ。
2025年には木樽型の「バレルサウナ」がプールサイドに新設され、ウェルネスリゾートとしての魅力がさらに進化した。プールで冷えた身体を温め、汗を流してからまたプールへ飛び込む。これは海外リゾートでは味わえない贅沢ではないだろうか。
“泊まる”を超える、人生に残る滞在体験
滞在スタイルはオールインクルーシブ。
食事はもちろん、アルコールを含むドリンク、温泉施設の利用、バーでのカクテルタイムまで、すべてが宿泊費に含まれている。だからこそ、ゲストは時計やお財布のことを忘れ、“本当の意味で自由”な時間を手にすることができる。
ゲストは自由に利用できるバースペース。日本酒やワイン、ビールなどのアルコールから、ノンアルコールドリンクやスナックなどが置いてある。
最後にご紹介するのは南紀の豊かな食材をたらふくいただける食事である。
レストラン棟は仕切りあるスペースと個室があり、まわりを気にすることなく自分たちのペースで食事がいただける。夕食はコース料理になっており、紀州の海と山の恵みを取り入れた会席料理を楽しめる。素材のすべてが選び抜かれた逸品ばかり。料理長が一皿ずつに心を込めた“地産地消の芸術”は、まさに舌の記憶に残る味わいだ。
驚くほど柔らかい、熊野牛の陶板焼き。
新鮮な海の幸はお刺身で。
食事を終え、夜のとばりにプールサイドでくつろいでいると、広大な敷地に映し出されるレーザーマッピングショーがはじまる。
静寂な中、幻想的な光の舞台に目が奪われる。
時折映し出されるメッセージは、チェックイン時に預けたメッセージである。滞在中に、大切な人へ思いを伝える、そんな演出もできそうである。
夜はレーザーマッピングショーがはじまり。宿泊客のメッセージが投影される。
朝食は、レストラン棟で豪華なビュッフェが待っている。
熊野牛や伊勢エビ、鮑、サザエのほか、新鮮な地元野菜が並び、好きなものを網焼きにしていただく。網の上で鮑が躍る姿はなかなか見ることができない、まさに贅沢な食事である。さらには美しいお刺身も並んでいる。朝から遭遇する非日常の風景に来てよかった!という言葉が思わず漏れてしまうはずだ。
高級食材が並ぶ朝食。
「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」での滞在は、まさに夢のような時間であった。
「何もしない」ことを、心から楽しむ、都会では忘れている何かをここでは見つけることができるはずだ。
いつかまたここに戻ってきたい、そう心から思えるホテルだ。
Text by Yuko Taniguchi
和歌山県西牟婁郡白浜町300-2
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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る
2025.10.2
伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?
神宮の修祓の様子。黒田清子祭主も奉仕。おまつりに先立ち、奉仕する大宮司以下、神職たちとともに、お祓いを受ける。
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稲が稔りのときを迎える秋は、全国でもおまつりが多い季節。特に農村地帯では、年に1度の大々的なおまつりである例祭がこの季節に行われる神社も多く、おまつりを通して、鎮守の神様である御祭神に、収穫への感謝の祈りが捧げられる。
ここ伊勢の神宮でも、令和7年(2025)9月2日に抜穂祭(ぬいぼさい)が行われた。毎年9月初旬に神宮神田で行われる抜穂祭は、神宮のおまつりでお供えする御料米の初穂を収穫するおまつり。以後の約1ヶ月間、稲穂の刈り取りが行なわれ、10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)で、はじめて天照大御神などの神々に奉り、豊かな稔りへの感謝の祈りが捧げられる。
神宮では、多くのおまつりが行われている。その数は、なんと年間約1500回を数えるという。驚きである。
さらに、今年の令和7年(2025)から、令和15年(2033)に行われる式年遷宮に向けてのおまつりも加わり、9月17日と19日には、内宮(17日)、外宮(19日)それぞれで「御船代祭(みふねしろさい)」が行われた。
今回は、各地でおまつりが多い季節を迎えるにあたり、知っているようで、実はあいまいな点も多いおまつりに焦点を当ててみよう。
おまつりとは、神様へのお礼と感謝の意味を持つ
おまつりと聞いて、まず思い浮かぶのは?
お神輿(みこし)や山車(だし)、それとも、笛や太鼓の囃子の音や踊りだろうか?いずれにしても、おまつりに対してにぎやかなイメージを抱いている人は少なくないだろう。
だが、本来おまつりの中心は祭祀(祭典、祭儀などとも言う)。にぎやかさとは無縁に、神様に向かい、粛々と行われている。
そもそもおまつりは、神様に恵みを感謝して、その神様を一定の場にお迎えし、真心を込めてたてまつり、もてなすこと。おまつりの語源である「まつる」は、神様に「奉(たてまつ)る」に由来するという説がある。
もっとも、現在は、神様に奉仕する儀礼のみを指すようになり、たとえば神様に御饌(みけ=お食事)や御酒(みき)、御幣(みてぐら)などのお供えものを献上する「たてまつる」、さらに、神様を称え、感謝を捧げて祈りや願いなどを「告げまつる」意味もあるという。
伊勢神宮のおまつりに奉仕する神職たちは、前日、もしくは前々日から斎館に籠って心身を清め、当日は、斎館からまず修祓を行うため祓所(はらえど)に向かう。広大な神域を、歩調を合わせて進む姿も、神宮のおまつりならではの風景。
抜穂祭では、作丁(さくてい)と呼ばれる奉仕員が稲を刈り、その稲から穂を抜いて神前に奉る。
一般に、神社や町のおまつりを行う目的はさまざまだ。たとえば五穀豊穣を祈るなど、願望の成就を求めたり、収穫の季節は、豊かな恵みに対するお礼や感謝を捧げることに重点が置かれる。さらに、御祭神の鎮座に関わる日に、神様の働きや行いを称えるおまつりもある。
神社や町のおまつりには、所作や作法などの形式が存在している
お社の成り立ちや土地ごとの風土、そして、季節や目的によって、一見さまざまに異なるように思える神社のおまつり。だが、その中心である一連の祭祀には、ある一定の形式があり、それに沿って進められている。
祭祀でまず行われるのは、修祓(しゅはつ)と呼ばれるお祓い。大麻(おおぬさ)や御塩の祓い具で、おまつりに奉仕する神職や参列者を清めた後、神様に御饌、つまり神饌(しんせん)を供える。そして、祝詞を奏上して感謝を述べ、祭祀の目的をお伝えし、場合によっては、神楽といった歌舞音曲(かぶおんぎょく)を奉納。神様をおもてなしし、神饌をお下げするという流れになっている。
修祓では、お供えする神饌と奉仕員を祓い清める。
9月に開催されたのは式年遷宮へ向けたおまつりの1つ、「御船代祭(みふなしろさい)」
年間約1500回にも及ぶ神宮のおまつりが、いずれも落ち着いた静寂の中で、厳かに粛々と進められるのは、おまつりが、修祓、参進、献饌、祝詞奏上、奉楽、撤饌(てっせん)、退下(たいげ)と、一連の形式どおりに行われているから。
今年の令和7年(2025)から始まった式年遷宮へ向けたおまつりも、すべて厳かに行われている。9月17日と19日の「御船代祭(みふなしろさい)」も、また然り。
令和7年9月17日に内宮で行われた御船代祭(みふなしろさい)の様子。物忌(ものいみ)と呼ばれる童男が、忌鍬(ゆくわ=清浄な鍬)を捧げ持ち、草木を刈り初める式を行う。祝詞の奏上では、立派な御船代の奉製が祈られた。
御船代とは、新しく造られる御正殿で御神体をお納めする「御樋代(みひしろ)」を、さらにお納めする御器(みうつわ)のこと。今年の6月に伐り出された「御樋代」に続き、今回は御船代の御用材を伐り出すにあたり、「御杣山(みそまやま)の木の本に坐す大神」などに祈る祭祀が行われた。
その一方、毎年決められた日時に行われる、いわゆる「祭典ならびに恒例式」も多い。
内宮の御船代祭(みふなしろさい)では、皇大神宮、荒祭宮に対してのおまつりの後、内宮の別宮すべてに対してのおまつりが行われる。祭場は風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)近くの宮山祭場で、この日はツクツクボウシの鳴く声が響き渡っていた。なお、当日の同刻には、この内宮のおまつりに合わせて、木曽の御杣山で御船代木の伐木の儀が行われる。
年間に約730回も行われる、
神々に御饌を毎日奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」
なかでも、毎日朝と夕の2度、外宮の御垣内(みかきうち)にある御饌殿(みけでん)で、内宮と外宮、それに別宮の神々にお食事を奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」は、古式の祭祀のありようを今に伝えるおまつり。
まず前日、奉仕の神職は参籠し、当日早朝に神饌調理をしておまつりを準備する。その後修祓をし、神饌を供えて祝詞を奏上。皇室の安泰と国民の幸福を祈った後、拝礼を行い、御饌を下げる。古式の姿がうかがえる。
何より、このおまつりは、外宮のご鎮座以来、およそ1500年もの間、年間に約730回、1日も欠かさず続けられてきたという。
内宮の修祓の様子。内宮・外宮とも忌火屋殿(いみびやでん)と呼ばれる建物の前庭、祓所(はらえど)で修祓を行い、その後、参進して正宮へ向かう。
おまつりとは何か、そして、祈りとは何かという問いに対する1つの答えが、このおまつりには秘められているように個人的には思える。
おまつりのルーツ神話にあり。祈りとは己の姿の在り方にある?
だが、ここで1つの疑問も湧き起こる。そもそも、おまつりに効力はあるのだろうか。その答えのヒントは、実は神話に示唆されている。
おまつりのルーツを辿っていくと、「天の岩戸神話」に行き当たる。
天照大御神のお出ましを願い、神々が取った一連の行動、これが、おまつりの初見とされている。
『日本書紀』によれば、天照大御神が弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴に立腹し、天石窟(あめのいわや)に入って岩戸を閉じ、中に籠ってしまわれたとき、天地は闇ばかりの世界になったという。
そこで、八百万の神々は会合を開いて相談し、その結果、太玉命(ふとだまのみこと)は、天香具山(あめのかぐやま)に生えている神聖な榊を根ごと掘り取って岩戸の前に立て、その枝に、八咫鏡(やたのかがみ)や八尺瓊(やさかに)の勾玉、さらに、青や白の和幣(にぎて=神に捧げる布を指し、青和幣は麻、白和幣は楮(こうぞ)で織られている)などをかけて装飾を施し、天児屋命(あめのこやねのみこと)は祈りを捧げた。つまり、祝詞を奏上した。さらに、天鈿女命(あめのうずめのみこと)は神楽を舞った。
修祓で用いられる大麻(おおぬさ)。白木の机に置かれた素焼きの土器には、紙を細かく切った「千切(せんぎり)」と、「散米(さんまい)」と呼ばれる米が入っている。ともに祓詞奏上の前後に左右左と祓い清め、奉る。
では、天照大御神は、神々の願いに対し、どのような行動を取られたのだろう。
神話では、外のにぎやかさを不思議に思い、天照大御神が岩戸を少し開けたところ、陰に隠れていた手力雄神(たじからおのかみ)が大御神の御手をお取りして、天石窟から引き出したと伝えている。
こうして、世界は光を取り戻した。つまり願いが叶ったのである。
「この神話で重要なのは、神々が祈られたことだと思います」
ある神職は言う。
「しかもその祈りは、叶えたい願いに向かって、それぞれができる役割を果たしたのです。その結果、天照大御神は岩戸からお出ましになり、光ある調和の世界を取り戻した。つまり願いが叶ったのです。
おまつりは、この神々の行為を再現することを基本としているのです」
おまつりは神話の再現で、願いの実現をもたらす。「天の岩戸神話」から、そんなメッセージを読み解くことができるのだ。
もっと言えば、願いを叶えるためには、それぞれが自分なりにできる役割を果たすことが必要だということだ。祈りとは、願いを叶えるために、自分なりに励む姿を神様にお見せする行為とも言えるだろう。
神宮のおまつりに触れられる、2月の「祈年祭」と11月の「新嘗祭」、そして「奉幣の儀」。
では、神宮のおまつりを、我々一般の参拝者が体感できる機会はあるだろうか?
神宮の「大祭」には、10月の「神嘗祭」と、6月、12月に行われる「月次祭(つきなみさい)」の、いわゆる「三節祭」と呼ばれる重要なおまつりがある。だが、「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)祭」と呼ばれる祭祀が行われるのは、いずれも夜間。参拝時間外である。
淡々と、そして粛々と進められる修祓。神職たちのたたずまい所作も美しい。
一方、2月に行われる「祈年祭(きねんさい)」と11月の「新嘗祭(にいなめさい)」(この2つのおまつりと「三節祭」を合わせて「五大祭」と呼ばれている)は、内宮、外宮ともに日中に行われ、外玉垣の垣根越しに中重の様子をうかがい見ることができる。加えて、天皇陛下の幣帛を奉る「奉幣の儀」(祈年祭、神嘗祭、新嘗祭は勅使の参向がある)も、「五大祭」ともに(「三節祭」は翌日)日中に行われる。
また、5月と10月の年に2度、古式のままに織り上げられた和妙(にぎたえ=絹)と荒妙(あらたえ=麻)を、御縫糸や御針などとともに天照大御神にお供えする神御衣祭(かんみそさい)も、日中に行われるおまつり。内宮の御正宮と別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)のみではあるものの、祭祀の雰囲気を感じることができるだろう。
神御衣である和妙(絹)を織り始めるにあたって行われる神御衣奉織始祭(かんみそほうしょくはじめさい)の様子。内宮の所管社、神服織機殿(かんはとりはたどの)神社で行われ、織り上がると、皇大神宮と荒祭宮で神御衣祭が行われる。
もっとも、神宮に限らず、すべての神社にとって、祭祀はまつる者とまつられる神とが一体となる神聖な場。神の祝福は、神慮に叶う行為があって、はじめて期待することができるとされている。そのことを肝に銘じ、くれぐれも神聖な場を乱す行動だけは避けたいものである。
Text by Misa Horiuchi
伊勢神宮
皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1
豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279
文・堀内みさ
文筆家
クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。
写真・堀内昭彦
写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。
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雲海、紅葉、星空──山頂から絶景を堪能
2025.9.30
長野県・阿智村で「天空の楽園 雲海Harbor」開催
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日本随一の星空観賞地として知られる長野県・阿智村が、南アルプスまで広がる雲海や星空、紅葉を楽しめるイベント「天空の楽園 雲海Harbor」を、2025年10月25日(土)から11月9日(日)まで開催する。
本イベントでは、阿智村・ヘブンスそのはら高原のゴンドラと展望台リフトを乗り継ぎ、標高1,600mの展望デッキ「ソライロ」へアクセス。到着した先に広がるのは、雲海に包まれた幻想的な風景と、静かに目覚めていく朝の光。まるで天空に立っているかのような感覚を味わえる。
さらに期間中は、所要時間約15分のローブウェイで標高1,400m地点まで昇るナイトツアーも開催。環境省が実施する全国星空継続観察で「星の観察に適していた場所」の第一位(平成18年)にも選ばれた満天の星を、晴れた日には存分に堪能できる。
山頂を舞台に、夜明け前の雲海や煌めく星空を堪能できる特別な機会。開催期間中の平均気温は5℃を下回るため、防寒対策は必須。あたたかくして、天空の絶景を楽しみたい。
◆天空の楽園 雲海Harbor(ハーバー)
【開催日程】2025年10月25日(土)~11月9日(日)
【開催時間】
ゴンドラ運行時間
上り5:00~7:00
下り ~16:00
展望台リフト運行時間
5:15~15:30
【会場】富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはら(長野県下伊那郡阿智村智里3731-4)
【料金】大人4,200円 小人2,100円 幼児無料
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2025.9.30
常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が2025年10月7日(火)…
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Features
チームラボによる国内最大規模のミュージアムが京都に誕生
2025.9.26
常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が2025年10月7日(火)にオープン
チームラボ《あおむしハウスの高速回転跳ね球 》©チームラボ
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京都駅から徒歩約7分、京都駅東南エリアにアート集団チームラボによる常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が、2025年10月7日(火)にオープンする。
チームラボは、2001年から活動を開始。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。
チームラボ《Morphing Continuum》©チームラボ
「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」は、面積約10,000平方メートルの空間に、新作や日本未発表作品など50以上の作品群が構成される、国内最大規模のチームラボのミュージアムだ。
チームラボ《グラフィティネイチャー》©チームラボ
身体でアートを知覚していく場「運動の森」は「世界を身体で認識し、立体的に考える」がコンセプト。人が踏むと、飛び跳ねることができる球体が並ぶ「あおむしハウスの高速回転跳ね球」、ロープで吊られた棒を立体的に渡っていく「イロトリドリのエアリアルクライミング」、紙に生き物の絵を描くと、描いた絵が目の前に現れ動き出す「グラフィティネイチャー」といった、複雑で立体的な運動空間が展開されている。
チームラボ《スケッチオーシャン》 ©チームラボ
他者と共に自由に世界を創造する場「学ぶ!未来の遊園地」は、テーブルの上に手を置いたり、物を置いたりすると、こびとたちが飛び乗ってくる「こびとが住まうテーブル」、紙に魚の絵を描くと、 目の前の海でみんなが描いた魚と共に泳ぎだす「スケッチオーシャン」といった作品で構成されている。
チームラボ《Massless Amorphous Sculpture》©チームラボ
あなたも古都京都で最先端の空間体験を楽しんでみてはいかが。
◆チームラボ バイオヴォルテックス 京都
【開館日】2025年10月7日(火)-常設
【開館時間】09:00〜21:00 最終入館は、19:30
【アクセス】「京都駅」八条東口から徒歩約7分
京阪「七条駅」から徒歩約11分
※詳細は公式サイトで要確認
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りんご灯篭回廊
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青森の文化をまるごと体験できる温泉宿、青森屋 by 星野リゾートでは、2025年9月1日から12月1日まで、秋恒例のイベント「じゃわめぐりんご祭り」を開催。
巨大りんご灯篭
“じゃわめぐ”とは、青森の方言で「心が騒ぐ、にぎやかで楽しい様子」を意味する言葉。青森が国内一の収穫量を誇るりんごをテーマに、宿全体がりんごに彩られる。
「りんご収穫ラリー」 時間:15:00~18:00 場所:じゃわめぐ広場 料金:1,000円(4競技セット)
※写真は「りんご射的」
りんゴルフ
12年目を迎える今年は「スポーツの秋」にちなんで、りんごの収穫から出荷までをモチーフにした体験型アクティビティ「りんご収穫ラリー」が新登場。袋はぎや収穫、選別、出荷といったりんごの収穫工程をアレンジした4つの競技を通じて、ゲーム感覚で身体を動かしながら収穫体験を味わえる。
りんごガチャガチャ
時間:15:00〜20:00 場所:じゃわめぐ広場 料金:1回300円
りんごジュースが出る蛇口
時間:8:00~12:00/15:00〜20:00 場所:じゃわめぐ広場 料金:無料 期間:通年
このほかにも、りんごを五感で楽しめる多彩なプログラムを用意。カプセルから本物のりんごが出てくる「りんごガチャガチャ」や、蛇口をひねるとりんごジュースが流れる人気サービス、紅葉の中を巡る「紅葉りんご馬車」では収穫期を迎えたりんごをお土産に。さらに、巨大なりんご灯篭や幻想的な回廊が広がるフォトスポットも登場。りんごの魅力を、見て、味わい、体験することができる。
紅葉りんご馬車
時間:9:00/9:30/10:00/10:30/11:00 場所:敷地内の公園
料金:大人1,870円、小学生1,320円、未就学児990円(いずれも税込)
予約:公式サイト(https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/aomoriya/)にて3日前まで受付
備考:りんごのお土産は大人料金の人数分を提供
秋の青森の象徴であるりんごを通じて、地域の文化や季節感を体感できる「じゃわめぐりんご祭り」。伝統と遊び心が融合した特別な滞在を、ぜひ楽しんでみては。
青森屋 by 星野リゾート
【住所】⻘森県三沢市字古間木山56
【TEL】050-3134-8094(星野リゾート予約センター)
【料金】1泊 23,000円~(2名1室利用時1名あたり、税込、夕朝食付)
関連リンク
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Features
2025.9.4
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投稿 青森屋 by 星野リゾート「じゃわめぐりんご祭り」 は Premium Japan に最初に表示されました。
サンタモニカには、レストランがたくさん。ハンバーガーやアメリカン、イタリアン、チャイニーズ、ジャパニーズ。いろんな種類の食べ物が食べられます。海沿いらしくシーフードレストランもたくさん!あなたはどんな料理を食べますか?
青い空、青い海、ヤシの木、自転車、ローラーブレード。ロサンゼルスと言って思い浮かべる風景は、ほとんどがこのサンタモニカのもの。サンタモニカは、ロサンゼルスにあるビーチで、シカゴから続く、昔の主要幹線道路ルート66の終点でもあります。今回はサンタモニカへのアクセスから、ビーチやショッピング、ホテルの情報まで紹介します。
Experiences
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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る
2025.8.29
この日だけの特別に出合える 伊勢神宮「お朔日(ついたち)参り」とは?
八朔参りの様子。筆者がペットボトルに水を汲んでいると、隣にいた年配の女性が、容器いっぱいに水を入れると、1年間水が腐らないこと、持ち帰った水は、痛いところに付けるだけでなく、玄関を清めたいときにまくこともある、などと教えてくれた。なお、近年は八朔の夕刻から夜にかけて、外宮をゆかた姿で参拝する「外宮さんゆかたで千人参り」も行われている。
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新しい月のはじまりの日に、氏神様などの神社に参拝する「お朔日(ついたち)参り」。前月の1ヶ月間を無事過ごせたことに感謝を捧げ、新たな1ヶ月間の無病息災や家内安全を祈るというこの風習は、日本各地で古くから行われてきた。
なかでも伊勢地方では、その昔、8月1日の早朝に神宮の内宮、外宮の両宮をお参りし、粟や稲の初穂を神前にお供えして、五穀豊穣と無病息災を祈る「八朔参宮」のならわしがあったという。
今回は、そんな「八朔参宮」を今に伝える「八朔参り」とともに、普段とはちょっと違う神宮参拝のあれこれをご紹介しよう。
「八朔(はっさく)参り」という言葉をご存知だろうか?
そもそも「朔(さく)」は、旧暦の太陽太陰暦でその月の第1日目を指す言葉。つまり「八朔」は「八月朔日(さくじつ)」の略で、8月1日を指している。
ちなみに、朔日は「ついたち」とも読む。月の満ち欠けの周期を利用した太陽太陰暦では、毎月最初の日が新月に当たることから、「ついたち」という言葉も、「月立ち(つきたち)」から転じたと考えられている。
「八朔参宮」の源にある祈りと、現在の「八朔参り」
「八朔参宮」が行われていた旧暦の8月1日は、新暦の太陽暦では8月下旬から9月下旬(令和7年は9月22日)に当たる。つまり、米作りにとっては、稲穂が膨らみ、黄金色になって稔りを迎える大切な時期。おそらく農家の人々は、とりわけこの時期、朝に夕に天候を気にしながら、不安と緊張の中で稲穂を見守っていたことだろう。
特に伊勢の神宮の主祭神は、太陽にもたとえられる天照大御神。近隣に住む農家の人々にとって、これほど心強い存在はなかったにちがいない。五穀豊穣への祈りは、自ずと他の「お朔日参り」より切実なものとなり、年によって収穫が間に合えば、稲の初穂を携えて、それが無理ならば、当時は五穀の中で1番早く収穫ができたという粟の初穂を神前にお供えし、これまで無事に稲が育てられたことへの感謝と、来たる豊かな稔りを祈ったことが、八朔参宮の源にあるのではないか。そんな推察も成り立つ。
神前に五十鈴川からいただいた水をお供えし、これまで無事過ごせたことへの感謝と、1年間の無病息災、家内安全を祈る。「お供えする際は、ペットボトルの蓋を外すこと」と、年配の女性に教わった。その後、このペットボトルの水は、自宅の神棚に供える。
現在は、さすがに粟や稲の初穂を携えて、とはいかないものの、新暦の8月1日の早朝に、やはり外宮、内宮の両宮に参拝し、五穀豊穣や家内安全、無病息災を祈る「八朔参り」が行われている。
特に内宮では、この日に宮域内を流れる五十鈴川の水を汲み、川のほとりに鎮座する瀧祭神(たきまつりのかみ)にお供えし、1年間の無病息災と家内安全を祈るという、伊勢地方独特のならわしが伝えられている。
ちなみにこの水は、持ち帰って自宅の神棚にお供えし、もし体のどこかに痛みが出たときは、その箇所に浸けると痛みがとれると信じられている。
五十鈴川のほとりに鎮座する瀧祭神とは、どんな神様?
五十鈴川の水をお供えする瀧祭神は、内宮の所管社の1つ。と言っても、お社に社殿はなく、御祭神の瀧祭神は、御垣(みかき)と御門に囲まれた岩の上にお祀りされている。
お社の近くには五十鈴川と島路川(しまじがわ)が合流する、いわゆる川合(かわい)があり、たつ瀬、つまり、水が激しく流れる瀬のほとりに鎮座することから、川の守り神として、天照大御神が鎮座する前から祀られていたのではないか、とも考えられている。
内宮の所管社の1つ、瀧祭神。すぐ近くに五十鈴川が流れている。
ちなみに、地元では御正宮へお参りする前に、まず御手洗場で手と口を清め、瀧祭神で自身の住む場所と名前を告げた後、「これから向かいますのでよろしくお願いします」などと、天照大御神に取り次いでいただくならわしがあり、「とっつきさん」、「とりつぎさん」などと呼ばれているという。
そんな庶民にとって身近な存在である一方、祭祀に関しては、別宮に準ずる扱いを受けているとも聞く。どうやら瀧祭神は、特殊な神様であるようだ。
毎月1日、神馬が御正宮を参拝する「神馬牽参(しんめけんざん)」
おかげ横丁のその日だけの楽しみ
毎月1日は、「神馬牽参(しんめけんざん)」と呼ばれる定例行事が行われる日でもある。神馬とは、天照大御神・豊受大御神に捧げられた御馬のこと。この神馬が、内宮、外宮の両宮で、毎月1日、11日、21日の朝に、皇室から捧げられていることを示す菊の御紋入りの馬衣を付けて、御正宮にお参りする。
外宮での「神馬牽参(けんざん)」の様子。神馬は、内宮は石階(せっかい)と呼ばれる石階段の下、外宮は御正宮を囲む1番外側の板垣の南御門の前で拝礼する。
馬は古来、神の乗り物とされ、神社に献納されるならわしが奈良時代からあったという。そのならわしは、時代とともに絵馬に置き換わっていったものの、神宮では、今も皇室からの献上が続いている。
人を乗せることはないというこの神馬は、両宮それぞれで2頭ずつ飼育され、神馬牽参の後は、しばらく両宮の宮域内にある御厩(みうまや)に控えている。涼やかで優しい目、穏やかな表情。見ているだけで心が和んでくる。
この日は、内宮の門前町であるおはらい町も、早朝からにぎやか。毎月の朔日参りに合わせて、さまざまな店で朔日粥や朔日餅が月替わりで用意されることから、それを目当てに訪れる人たちが、午前4時台から長蛇の列を作っている。
ちなみに、伊勢の老舗和菓子店「赤福」が8月に用意している朔日餅は、「八朔粟餅」。伊勢地方では、8月1日に縁起物として粟餅を食べるならわしがあったという。
おかげ横丁では朝市も開かれ、地場産の野菜などが並んでいた。
伊勢の老舗和菓子店「赤福」の前には、八朔餅を求める人たちでにぎわっている。
朔日粥は、さまざまな店で食べることができる。
現在は多くの食事処や土産物屋が建ち並ぶおはらい町。だが、江戸時代までは、その様子は少し違っていたようだ。
というのも、当時この一帯には、御師(おんし)、つまり、諸国を巡って神宮の御神札(おふだ)を配布するなど、伊勢信仰を広めていた神職たちの館が軒を連ね、参拝者が訪れた際は、自身の館に宿泊させ、お祓いやお神楽を上げるなど、手厚くもてなしていたという。
かつてのお伊勢参りを想像しながら、外宮から内宮へ通じる参宮街道を歩く
八朔参りをきっかけに、伊勢地方独特のならわしに触れ、昔と今を行き来しながら取材を進めてきた。そんな1日の最後に、かつてのお伊勢参りの様子を想像しながら、外宮から内宮に通じる参宮街道を歩いてみることにした。
ご案内いただいたのは、神宮司庁広報室次長の音羽悟さん。駆け足のお参りでは味わえない、伊勢の新たな一面を知るひとときとなった。
伊勢市には、主に3本の河川が流れている。西から宮川、勢田(せた)川、五十鈴川の3本で、かつては関東、関西のどちらの方面から伊勢に入っても、宮川を渡らなければ神宮に参拝することができなかった。
関東方面から伊勢街道を歩いてきた人々は、現在JR参宮線の鉄道橋がある近くの「桜の渡し」、関西方面から伊勢本街道を通ってきた人々は、少し南にある度会橋(わたらいばし)付近の「柳の渡し」で船に乗り、宮川を越えたという。その後、両者は、現在欄干のみが残る筋向橋(すじかいばし)で合流。そこから外宮へ向かったとされている。
つまり、かつて徒歩で参拝する一般の人々は、地理的な面から、外宮の、しかも正門ではなく北御門(きたみかど)から参拝するのが自然だったという。
宮川を望む。現在JR参宮線の鉄道橋が架かる近くに、関東や東国から伊勢街道を歩いてきた人たちが利用する「桜の渡し」と呼ばれる渡し場があった。かつて堤には桜が咲き、茶屋が建ち並んでいたという。
正門を利用するのは、勅使(ちょくし=天皇の使者)などが訪れたとき。彼らは、現在の外宮参道の一角に設けられた下馬どころで馬を下り、そこから歩いて御正宮に向かったという。
参拝後は、室町時代末期の永禄年間に作られたという「伊勢古市(ふるいち)参宮街道」を歩いて内宮へ。
ちなみに古市とは、外宮と内宮の中間に位置する「間(あい)の山」にあった歓楽街で、江戸の吉原、京都の島原と並ぶ日本の3大遊郭の1つとして栄えた場所。江戸時代後期の作家、十返舎一九(じゅっぺんしゃいっく)による滑稽本『東海道中膝栗毛』でも、弥次さん喜多さんが古市の街を訪れた様子が描かれている。
かつての歓楽街、古市の面影を残す麻吉(あさきち)旅館。当時、古市で遊ぶのは神宮へお参りする前ではなく、後という暗<wbr />黙の了解があったという。
かつての参宮街道を巡る。歴史の名残が随所に見られる「間(あい)の山」
もっとも、音羽さんは、本来の参宮街道は少し違うルートを通っていたと言う。
「現在外宮の前を通っている御木本(みきもと)道路も、御幸(みゆき)道路も昔はなく、勾玉池を周回する道も、江戸時代の寛永17年(1640)に整備されたものです。それ以前は、今はありませんが、外宮の風宮(かぜのみや)から、裏手の山を尾根づたいに下りて(宮域外の)岡本に出るか、もしくは、現在の外宮参道にある「豚捨(ぶたすて)」という店の前を通ってから岡本に出て、そこから現在の伊勢古市参宮街道を歩き、御贄(おんべ)川(=勢田川の異名)の川筋に沿って歩いたのでしょう」。
御贄川を渡る際は、小田橋(おだのはし)を利用したとされている。この橋の名は、平安時代の文献にも記されていることから、その歴史は古いと思われる。
だが、現在の小田橋から続く尾部坂(おべざか)は新しい道。江戸時代以前は、小田橋より1本北にある現在の簀子(すのこ)橋から、「間(あい)の山」と呼ばれる小高い丘陵へ続く細い道を歩いていただろうと、音羽さんは言う。
外宮と内宮の中間に位置する間(あい)の山の道。奈良時代からこの道を通って内宮へ向かっていたという。左には外宮神主の度会(わたらい)一族にも関係する岡崎宮妙見堂があったが、今はない。
倭姫命の御陵とされる宇治山田陵墓参考地。
「現在の簀子橋のことを、昔は小田橋と呼んでいた可能性もあると思います」。
たしかに、簀子橋から伸びる細い道を歩くと、積み重なる歴史を感じさせる場所が随所にある。たとえば、1000年以上の歴史を持つ妙見堂の跡があること、また、江戸時代まで代々外宮の神主だった度会(わたらい)一族が、弥生時代と平安時代に居住したとされる住居跡があり、一族の氏寺も、かつてこの近辺にあったこと、そして、倭姫命の御陵と考えられる、宮内庁管轄の宇治山田陵墓参考地があること‥‥‥。興味深い場所が次々に現れる。
度会氏の居宅があったとされる隠岡遺跡。「度会氏は、当時は磯部と名乗っていたでしょう」と音羽さん。弥生時代後期のむらの跡や平安時代の建物群跡が中心の遺構(いこう=生活の跡)で、眼下に勢田川(別名御贄川)が見渡せる。
外宮と内宮の間を流れる勢田川。神宮へ献上する魚を獲っていたことから、御贄川(おんべがわ)の異名がある。物流も盛んで、川沿いには伊勢の台所と呼ばれる問屋街もあった。
気がつけば夕刻。今と昔が交錯するなか、夢中で伊勢の町を歩いた1日が、静かに、ゆっくり暮れようとしていた。
Text by Misa Horiuchi
伊勢神宮
皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1
豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279
文・堀内みさ
文筆家
クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。
写真・堀内昭彦
写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。
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