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栗下直也の東京酔歩 偉人と歴史の裏路地
2026.4.16
第1回 浅草「神谷バー」と琥珀色の魔酒
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20年前の甘ったるい記憶とともに浅草「神谷バー」へ
神谷バーを初めて訪れたのは、20代前半のことだ。記憶はおぼろげで、名物と言われた酒がやたらと甘ったるいくらいの印象しか残っていない。それから20年。年を重ねれば酒の味も変わる。文士たちが愛した酒場の情景を追体験すべく、浅草に久しぶりに向かった。
「新宿のバーに厭気がさし、銀座のバーが余りにパリー的になり過ぎ、そこに来る人々のベレー帽や片仮名まじりの言葉が気障でたまらなくなった時に行く所」—米国の日本学者サイデンステッカーは、浅草へ向かう人々の心理をそう言い表している。
永井荷風にはじまり、高見順、色川武大と名だたる作家たちにとって浅草は山の手の重圧から逃れるための避難場所であった。その玄関口に明治13年(1880年)から鎮座しているのが日本初のバー「神谷バー」である。
神谷バーの歴史と切り離せないのが、明治15年(1882年)に誕生した「電気ブラン(現品名・デンキブラン)」だ。洋酒がまだ高価だった時代に大衆へ安く提供しようと作られた琥珀色の液体は、ブランデーをベースにジン、ワイン、キュラソー、薬草などをブレンドしている。電気がまだ珍しかった文明開化の時代は最先端のものに「電気○○」と名付ける風潮があったのだが、そこからもいかにこの酒が驚きをもって迎えられたかがわかる。
大正浪漫の面影を遺す、「神谷バー」奇跡の近代建築
東京メトロ銀座線の駅を出て徒歩わずか1分——とネット情報にはあるのだが、そんな近かったっけと半信半疑で地上に出る。10メートルほど歩いて駅前の交差点に立つと、「神谷バー」の看板が目に飛び込んできた。
大正10年(1921年)に改築された鉄筋コンクリート造の近代商業建築は、大正12年(1923年)の関東大震災、昭和20年(1945年)の東京大空襲という二度の災禍をくぐり抜け、奇跡的に現存している。平成23年(2011年)には国の登録有形文化財にも指定された。外観は大正期らしい明るいタイル張りで、2階には3連アーチ窓が美しく並ぶ。
正漢字を用いたレトロな看板をくぐり抜け、店内へ踏み込む。私が小学生の頃の百貨店のレストランのような懐かしさ——考えてみれば、それよりずっと以前から存在しているのだから当たり前なのだが——そのレトロな雰囲気を保ちつつ、決して古めかしくない。
平日の午後6時で客の入りは8〜9割。デンキブランとビールを並べて盛り上がる外国人客もいれば、手酌で瓶ビールを楽しむ初老の男性や、一人静かにグラスを傾ける年配男性の姿がある。隅のテーブルでは、雰囲気のある酒の写真を発信しようと訪れたであろう若い世代が笑い合っている。昭和の残香を求める常連客と、レトロな空気に新鮮さを感じる観光客や若者たち—時代を超えてあらゆる人々を包み込む浅草ならではの空気が、この店にはある。
デンキブランのビリリと痺れる刺激と、浅草の流儀とは
店内を見渡した後、入り口のレジで食券を対面で購入する。食券制と聞くと面倒くさい気もしなくもないが、意外にもレジの前に並ぶと一周回って新鮮さもある。何を飲むかは迷う余地などない。注文するのはもちろん「デンキブラン」だ。
現在は2種類あり、30度が400円、40度の「電氣ブラン〈オールド〉」が500円。発売当初の度数は45度とさらに強烈だったというから、その名残を味わうべく強い方を頼む。つまみは定番の「煮込み」(650円)と「かにコロッケ」(1000円)にした。
席に着くと運ばれてきたグラスに、なみなみと注がれた琥珀色の液体。そっと口に含む。ほんのりとした甘みが舌の上に広がったかと思うと、すぐさまジンや薬草由来のビリリとした苦みと、強いアルコールの刺激が喉を焼く。まさに「電氣」の名にふさわしい。
……と書いたものの、これはあくまで食レポ用の表現であり、そんな冷静に味わってはいられない。口に入れるやいなや「アルコール強!!!」と思う人が大半のはずだ。口に含むや否や、鼻からデンキブランが飛び出そうなくらいにツンとくるのが現実だ。ただ、甘みがあるので次第に慣れるのが、この酒が度数のわりに飲みやすい理由でもあり、危ない理由でもある。
神谷バーにおける「通」の作法がある。酒なんてものは好きなように飲めばいいと思うのだが、これまた食レポにはつきものなので紹介しておこう。デンキブランをストレートであおり、冷たい生ビールをチェイサーとして飲む——「この無限ループこそが神谷バーの流儀であり、浅草の夜を加速させる」と書くとなんだか格好良いがアルコールをただただ摂取し続けているだけである。
つまみの「煮込み」と「かにコロッケ」は、変なアレンジもくせもない、文字通りの昔ながらの「煮込み」と「かにコロッケ」だ。こんなにイメージを裏切らないつまみも今は少ない。気取らない庶民の味がデンキブランの複雑な風味を優しく包み込む。
文士たちが愛した、電気ブラン「本物の大衆性」
なぜ、数多の文豪たちはこれほどまでに電気ブランを愛したのだろうか。
太宰治は「人間失格」の中で、「酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはないと保証し……」と記している。若き日の鬱屈と焦燥を抱えた彼にとって、手っ取り早く強烈に酔いが回り、現実から意識を強制的に切り離してくれるこの酒は、何よりの救済だったのだろう。批評家の小林秀雄も昭和26年(1951年)に雑誌の対談で、「あの『電気ブラン』というやつを私は愛好していたね。あれは安くて、なかなかうまい酒でしたよ」と述懐している。
詩人の萩原朔太郎は浅草で「一人にて酒をのみ居れる憐れなる となりの男なにを思ふらん」と詠んだ。喧騒の中で、見知らぬ他者の孤独に静かに思いを馳せる—その視線が浅草という場所にはよく似合う。
浅草には金持ちも貧乏人も同じように酔わせてくれる包容力があり、安価な酒を大衆に紛れて気取らずに飲める。だからこそ、文学者たちが人間を観察し、自身の内面と向き合うための格好の場所だったのである。神谷バーと電気ブランは「ハイカラな西洋文化」を「下町の大衆」へと翻訳し提供する装置でもあったのだろう。
物資が乏しく何もかもが不足した戦後にあっても、神谷バーは安易な妥協を選ばなかった。グラスに注がれる酒の質を落とすことなく守り続けた。その真摯な姿勢があったからこそ、100年以上経った今でもデンキブランは「何か言い難い懐かしさ」とともに私たちの心と体を温め続けている。文士たちが愛した理由は、単に酔えるからというだけでなく、この酒と空間に流れる「誤魔化しのない本物の大衆性」にあったのかもしれない。
閉店は午後8時。「神谷バー」の夜は早い
デンキブランの魔力か、杯を重ねていると、気がつけば頭がぐるぐる回り、足がふらついてくる。琥珀色のグラスの底に、かつてこの席で杯をあおった文士たちの影が揺らぐのを感じる——とちょっと格好いいことをいいたくなるのも酔っている証だろう。そもそも、こういう表現はだいたい書くことがないときに無理やり書く常とう句である。それは書く方も百も承知なわけだから、そんなことを書く時は酔っているのである。酒か自分に。
閉店時間は午後8時(ラストオーダー午後7時半)と早い。ほろ酔い加減で二件目に向かってもまだ夜は長い。浅草は、いつでもそういう街だ。
本日のおすすめ
電氣ブラン〈オールド〉(500円)
生ビール小〈435ml〉(750円)
煮込み(650円)
かにコロッケ(1000円)
店舗情報
神谷バー
住所:台東区浅草1丁目1番1号
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜日、毎月2回月曜日
アクセス:東京メトロ銀座線 浅草駅下車 3番出口 徒歩1~2分
都営地下鉄浅草線 浅草駅下車 A5番出口徒歩1~2分
東武スカイツリーライン 浅草駅下車 正面出口 徒歩1~2分
栗下直也 Naoya Kurishita
1980年生まれ、東京都出身。著述業、書評家。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経営学専攻修了後、専門誌をへて独立。経済記者出身でありながら、なぜか酒がらみの文章が多い。著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)『偉人の生き延び方 副業、転職、財テク、おねだり』(同)、『政治家の酒癖 世界を動かしてきた酒飲みたち』(平凡社新書)、『得する、徳。』( CEメディアハウス)がある。
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これを食べなきゃ人生ソンだよ
2026.4.11
ビーフシチューでドゥミグラスソースの魔力に溺れてみる。東京のベスト3軒はここだ!
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ビーフシチューでドゥミグラスソースの魔力に溺れてみる
ビーフシチューはフランス料理の牛肉の赤ワイン煮みたいなもんだ。がっつり肉を食う感じ。今回も東京を代表する名店を訪ねた。「ぽん多 本家」、「レストラン香味屋」、「たいめいけん」の3軒である。
人はホロリと崩れる牛肉と、甘く濃厚で褐色のドゥミグラスソースが時に恋しくなるものだ。表記は英語のデミグラスよりもフランス語のドゥミグラス(demi-glace)が気分だね。「半分まで煮詰めた」という意味だ。
今回の3軒は、いずれもすでに別のメニューでこの連載に登場していて、つまりは洋食の名店ってことになる。
都下でNo. 1は「ぽん多 本店」で決まりですな
東京随一のフライの店だ。カツレツは都下でナンバーワンだろう。キスもイカもホタテもカキも格別に素晴らしいが、裏メニューとして知られるのが、「タンシチュー」と「ビーフシチュー」だ。
タンシチューは出来上がるまでに3週間を要する唯一無二の代物で、いつもあるとは限らない。ビーフシチューもそれに準ずる丁寧さで作られている。上質な黒毛和牛を使っているそうだ。
牛肉が柔らかい!なんていうのは当たり前のことで、なにしろ素晴らしいのはドゥミグラスソースだ。思わず、「こりゃあ、東京一旨えぞ!」と叫びたくなるような味だ(値段も飛び切りだから、そこは気をつけてね)。
「ぽん多」のビーフシチュー
とても濃厚なソースなんだが、3軒中もっとも濃密だ。味の濃さと密度が違うのである。舌上でなめらかに溶けてゆき、深さの深淵に連れていかれるような体験だ。添えてあるのはジャガイモと厚手のシイタケで、これまた良い塩梅である。
理想的なオーダーの仕方は、4人ぐらいで来店して、揚げ物を4種類ぐらい食べた後で、ビーフシチューにとりかかる流れだ。
揚げ物の幸せにすっかり浸ったあとで、濃厚なドゥミグラスソースで大団円を迎える。ソースは残さず白米の上に垂らして、ハヤシライスのようにして食べるのが正解だ。
果たして、これ以上の幸福感をもたらしてくれる晩ご飯があるのだろうか。
「ぽん多」の重厚な入口
ぽん多 本店
東京都台東区上野3-23-3
℡050-5492-8353
火~土:11:00~14:00、16:30~20:20
日・祝日:11:00~14:00、16:00~20:20
定休日:月曜
ビーフシチュー 7150円
何もかもが素晴らしい店
「レストラン香味屋」で食べるシアワセ
いつ来ても清々しい気持ちになれる、総合的に見て、東京で最高の洋食店である。
黒服に蝶ネクタイの給仕さんの出迎えと、白い壁面上に映えるベルナール・ビュフェのリトグラフを見ただけで、「おおー、またしても香味屋に来ちゃったもんね」の気分になる。
この店の素晴らしさは、何と言っても通し営業で昼休みがないことだ。予約で混みあう昼時とディナータイムを避ければ、いつでも最高の皿にありつけるのである。
オムライス、メンチカツ、ポークソテー、ポークカツ、グラタン、ナポリタン……すべてのメニューがトップクラスで旨い。おまけに、黒服のサービスマン(レディ)の接客が実に甲斐甲斐しい。
筆者が最初に訪れたのは40年以上も前で、まだ学生をしておった。唖然とするほどの味に魅了され、それ以来のファンである。
ビーフシチューももちろん素晴らしい。半日煮込んだビーフは、繊維がほろほろと崩れ、当然のごとくドゥミグラスソースをたっぷりと吸い込んでいる。このソースがいい。味は深いが、どちらかと言うとあっさり系に寄っているかもしれない。
「香味屋」のビーフシチュー
添えられたニンジンのグラッセはニンジンの甘味がするだけではなく味が濃い。ブロッコリーは固ゆで、ジャガイモのグラタンもいい脇役だ。艶光りする銀シャリが見事だ。その旨味はビーフシチューの旨さを倍加させるのだった。
今回は頼んじゃいないが、メンチカツとビーフシチュー盛合せとか、メンチカツとタンシチュー盛合せとかもある。きわめてソソられるメニューではないか。
レストラン「香味屋」の入口
レストラン香味屋
東京都台東区根岸3-18-18
℡03-3873-2116
月・火・金・土・日・祝・祝前日・祝後日:11:30~21:00
定休日:水・木
ビーフシチュー 4200円
メンチカツとビーフシチュー盛合せ
4000円
メンチカツとタンシチュー盛合せ
4600円
洋食って楽しいよな、を実感できるのが
「たいめいけん」である
この店のビーフシチューも有名だ。日サロで黒々と焼けたあの茂出木シェフの店だ。一見、チャラい店かと思う向きもあるかもしれないが、料理に真剣に向き合った店である。
店は1Fと2Fに分かれている。1 Fは庶民的に賑わう雰囲気。2Fは茂出木シェフが腕を奮うが、ちょいと値段も上がり高級になる。今回は1Fにしてみた。
オムライス、ナポリタン、カレーライスからラーメンまで何でもあるし、何でもイケてる。チキンライスの上に載ったオムレツをパカッと開くタンポポオムライス(伊丹十三風)なんかも有名だよね。
ランチに訪ねると、開店の30分後にはもう満席だ。銘々が実に楽しそうだ。みんな、「コールスロー(天下一品)」を頼むのを忘れない。長い間50円だったが、値段を上げてからもずっと100円を変えないのだから。
さて、ビーフシチューであるが、正統的な佇まいで、構成は香味屋のものとまったく同じである。ポテトがこちらはフライであるところが違うだけだ。
ドゥミグラスソースは、この3軒の中ではいちばん酸味が強い。とは言え、甘味も苦味も相応にあり、深い味わいに引き込まれる。肉はもちろんホロホロである。
「たいめいけん」のビーフシチュー
あくまでも比較の問題だが、ニンジンのグラッセは芯がやや硬く甘みも弱い。フライドポテトも、ちと揚げすぎかねえ。この辺が、完全無欠の香味屋に較べると一歩だけ及ばない部分かもしれないね(エラそうで、すんません)。
ワシはアホなので、通常はライスが付いてくるのだが、代わりにケチャップのかかったオムライスにした。すると、オムライスをケチャップをつけて食べたり、ドゥミグラスソースで食べたり出来るから、二倍楽しめるのだ。お勧めする。
「たいめいけん」の入口
たいめいけん
東京都中央区日本橋室町1-8-6
℡03-3271-2463
(1F)
火~土:11:00~21:00、日・祝:11:00~20:00
(2F)
11:30~15:00、17:00~21:00
定休日:(1F)月曜、(2F)日・月
ビーフシチュー(ライス付き) 3500円
オムライス 2100円
今回紹介したのは3軒だけだが、「煉瓦亭」(銀座)と「旬香亭」(目白)も、「たいめいけん」と同等の店としてお勧めしておきたい。
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
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これを食べなきゃ人生ソンだよ
Features
「フェアモント東京」最上階で楽しむサンデーブランチ
2026.4.15
湾岸の風を感じるビアテラスプランも登場
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西には東京タワー、東には東京湾を望む、東京・芝浦のラグジュアリーホテル「フェアモント東京」では、地上43階からの眺望とともに、週末を彩る新たなダイニング体験「フェアモント サンデーブランチ」を開始した。あわせて、屋外テラスで楽しむビアテラスプランも登場した。
「DRIFTWOOD BAR & GRILL」
サンデーブランチの会場は、東京のスカイラインを一望する43階の「DRIFTWOOD BAR & GRILL」。料理は、海と大地の恵みを一皿に表現するアメリカ発祥のスタイル「SURF&TURF」にインスパイアされた構成だ。
トロリーサービス
ポーチシュリンプや蛤のスチーム、旬の魚介を盛り込んだシーフードプラッターから始まり、炭火で焼き上げる肉料理まで、多彩なメニューを展開。さらにシーフードは、追加のトロリーサービスで好きなだけオーダーできるのも魅力だ。
「SURF&TURF エッグベネディクト」
このほかにも、イギリスの朝⾷で親しまれるもちもちのパンケーキ「クランペット」に雲丹をあわせた一皿や、アメリカのクラブケーキと⽇本のコロッケの要素を組み合わせた「ずわい蟹ケーキ」など、和と洋を織り交ぜた一品も登場。
スイーツビュッフェ
デザートは、自家製いちご桜ショートケーキや、コニャック香る桃パンナコッタ、自家製ベリーのタルトなど、季節感あふれるスイーツをビュッフェ形式で提供。
「DIYジンラボ」
さらに、バーテンダーが厳選した国内外のジンに、フレッシュハーブやフルーツを組み合わせ、自分好みの一杯に仕上げる「DIYジンラボ」も登場。味わいだけでなく、体験として楽しめる点も魅力となっている。
ビアテラスプラン
一方、35階の東西両サイドに広がるオールデイダイニングとロビーラウンジでは、壮麗な夜景と心地よい風に包まれるビアテラスプランを提供。東京湾を望むベイビュー、あるいは東京タワーを間近に望む席から選び、夜景とともに食事とドリンクを楽しめる。
メニューは、地中海の海岸で楽しむBBQを思わせるシェアスタイルのコース。フリーフローで楽しむドリンクも、フードとの調和を追求したラインナップとなっており、夜のひとときを豊かに彩る。
都市の躍動と水辺の静けさが響き合う「フェアモント東京」が提案する、新たな社交場。芝浦の天空で、心ほどける週末を過ごしてみてはいかがだろうか。
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Features
2026.4.3
ジャヌ東京、春限定「ピクニック at テラス」
投稿 湾岸の風を感じるビアテラスプランも登場 は Premium Japan に最初に表示されました。
Features
京町家の客室で味わう、いちごのアフタヌーンティー
2026.4.14
「THE HIRAMATSU 京都」春限定ステイプラン
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京都・室町通に佇む、築120年の京町家を再構築したホテル「THE HIRAMATSU 京都」では、4月30日までの期間、京都産いちごを中心としたプチアフタヌーンティーを客室で楽しむ、春限定の宿泊プランを展開している。
※写真はイメージです。内容は仕入れ状況により変更となる場合があります。
並ぶのは、フレッシュないちごをはじめ、マカロンやタルト、プチケーキなど、パティシエ特製のスイーツ。夕食前でも軽やかに味わえる一口サイズで、上品なボリューム感も魅力だ。
さらに、1室につき1本、スパークリングワインのフルボトルを用意。いちごの甘酸っぱさと泡の爽やかさが重なり合う春らしいマリアージュを、客室でゆったりと楽しめる。
全29室の客室は、54㎡から104㎡までのゆとりある設え。障子越しにやわらかな光が差し込み、京都の中心にありながら喧騒を忘れさせる、上質な“おこもり”の時間を演出する。
「リストランテ ラ・ルーチェ」(イタリア料理)
「割烹 いずみ」(日本料理)
館内には、イタリア料理と日本料理のレストランを併設。夕食は、京都の伝統食材や出汁を取り入れた「リストランテ ラ・ルーチェ」のフルコース、または欅の一枚板のカウンターで味わう日本料理「割烹 いずみ」から選択可能だ。
120年の時を重ねた京町家の趣が息づく空間で、ゆったりと春を味わう。季節を映す、華やかな滞在を楽しんでみてはいかがだろうか。
◆THE HIRAMATSU 京都
【期間限定/イタリア料理or日本料理】お部屋で楽しむいちごのプチアフタヌーンティープラン/夕・朝食付
【宿泊期間】開催中~~ 2026年4月30日(木)
【料金】1名 ¥80,400~ (2名1室/消費税込み)
※料金は、客室タイプによって異なります。
※現地にて京都市宿泊税(1名1泊¥400~10,000)が必要となります。
【内容】
・春限定 プチアフタヌーンティー
・スパークリングワイン(1室につき、フルボトル1本)
・夕食 イタリア料理または日本料理のフルコース
・朝食 和食または洋食
※チェックイン(15:00)前の到着時には、館内「くら」にてスイーツを提供。
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Features
2026.4.3
ジャヌ東京、春限定「ピクニック at テラス」
投稿 「THE HIRAMATSU 京都」春限定ステイプラン は Premium Japan に最初に表示されました。
Features
ラグジュアリーホテルブランド「カペラホテルズ&リゾーツ」が⽇本初上陸
2026.4.14
「カペラ京都」京都・宮川町にオープン
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ラグジュアリーホテルブランド「カペラホテルズ&リゾーツ」が、⽇本初上陸となる「カペラ京都」を開業した。京都・祇園にほど近い花街・宮川町に位置し、鴨川まで徒歩圏内、周囲には京都最古の禅寺・建仁寺や昨年新築された歌舞練場など、京都の歴史と文化を象徴する建造物が佇む。
建築は隈研吾建築都市設計事務所、インテリアデザインはシンガポールを拠点とするブリューイン デザイン オフィスが⼿がけ、京都の伝統的な町家を現代的に再解釈し、町家特有の奥⾏きのある構造や「坪庭」の精神性を取り込んで、京都の暮らしが育んだ空間⽂化を現代的に表現している。
館内のインテリアには檜、杉、竹、和紙、陶器など、京都にゆかりのある素材を採用し、素材の質感や光の移ろいを重視しつつ、華美な装飾に頼らない空間づくりがされている。
デラックス シティ キングルーム
温泉スイート
全89 室の客室は、いずれも50㎡以上のゆとりある広さ。デラックス シティルームから、206㎡を誇る最上階のカペラスイート、建仁寺を正⾯に望む2室の祇園スイート、坪庭を望む専⽤の温泉⾵呂で、毎⽇源泉から運ばれてくる温泉が楽しめる6室の温泉スイートなど多彩なタイプが用意されている。
SoNoMa by SingleThread(想乃間 by SingleThread)
ナイトダイニング「宵」
館内は、カリフォルニア州ソノマを拠点とするミシュラン三つ星レストラン「シングルスレッド」初の海外プロジェクトとなるシグネチャーレストラン「SoNoMa by SingleThread(想乃間 by SingleThread)」、季節ごとの旬の素材を活かした繊細なフレンチが楽しめるオールデイダイニング「Lanterne(ランテーヌ)」、バーを主軸とした和食レストラン「宵」と3つのレストランがあり、個性の違う美食体験が楽しめる。
このほか、天然温泉をプライベートに愉しめる個室も備えたスパ「Auriga Spa(アウリガスパ)」、宴会場や会議室、1日一組限定のウェディングにも最適なグランドボールルームなど、様々なシーンで利用できる施設で構成されている。
あなたも京都の新たな文化拠点で静謐で上質な時間を過ごしてみてはいかが。
◆カペラ京都
【所在地】京都府京都市東⼭区⼤和⼤路通四条下る四丁⽬⼩松町130
【客室数】89室(内29室スイート)
【アクセス】京阪本線「祇園四条駅」徒歩約4分
阪急京都線「京都河原町駅」徒歩約8分
※詳細は公式サイトを要確認
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ワインジャーナリスト柳忠之が体験した贅沢な夜
2026.4.10
“手に入りにくい”からこそ価値がある——Kisvinと過ごすリゾナーレ八ヶ岳旅
アペリティフタイムのスパークリングから食後のグラッパまで、さまざまなワインを味わった。
ようやく春めいてきた3月初旬、山梨県北杜市の「リゾナーレ八ヶ岳」が県内の「Kisvin Winery(キスヴィン・ワイナリー)」とコラボレーション。ホテル内のメインダイニング「OTTO SETTE(オット・セッテ)」でワインメーカーズディナーを開催しました。
Kisvinワイナリーを訪ねたところはじまり、リゾナーレ八ヶ岳で体験したKisvinのワインから構築した数々の素晴らしい料理、さらにはリゾナーレ八ヶ岳での滞在をワインジャーナリストの柳 忠之(やなぎただゆき)が紹介します。
Kisvinの魅力を紐解く Kisvinワイン畑とワイナリーを訪れる
八ヶ岳の南麓、山梨と長野の県境に佇むリゾナーレ八ヶ岳。山梨・長野といえば、どちらもワインの銘醸地です。ここリゾナーレ八ヶ岳は、星野リゾートの中でもとくにワインにスポットを当て、その魅力を満喫できる“ワインリゾート”を標榜しています。
その詳細は現地についてから語ることにして、一行を乗せたバスは正午前に東京・丸の内を出発。まずはワイナリーのある山梨県甲州市の塩山地区を目指します。
中央高速を勝沼インターチェンジで下り、山坂道をしばらく走って到着したのはブドウ畑の前。そこにKisvinのふたりのワインメーカー、斎藤まゆさんと川上黎さんが待っていました。
山梨県甲州市の塩山地区。市の南西部に佇む小高い丘「塩の山」が名前の由来とされ、2005年に旧勝沼町や大和村と合併して甲州市となった。しかしこの地で塩が取れるわけではなく、「四方の山」が転じて「塩の山」になったという。
Photo by tadayuki yanagi
3月になって眠りから覚めたブドウの樹が土中の水を吸い上げる。剪定を終えた枝の先から“ブドウの涙”がこぼれ落ちる。
目の前のブドウは山梨で1000年以上の歴史を誇る甲州種。剪定を終えた枝の先から樹液がポタポタと垂れ始めています。「これはブドウが休眠から目覚め、今年の活動を開始した知らせです」と斎藤さん。仕立て方も甲州では一般的な棚仕立てですが、生食用のブドウとも醸造用のブドウとも少し異なるKisvin独特の剪定法がとられています。
「通常の剪定法では、枝の元の方と先の方でブドウの出来に差が生じることがありました。そこで試しに枝の長さを長短互い違いにしてみたら、全体に均一なブドウが収穫できたんです」と川上さん。斎藤さんは「結果がはっきりわからずとも、まずはトライしてみるのがKisvin精神」と語ります。
Kisvinのワインメーカー、斎藤まゆさん(左)と川上黎さん(右)。
そこからまたバスに乗り込み、同じく塩山地区のワイナリーへ。といっても、海外のワイナリーとは比較にならないほどの小さな規模。まさに“ガレージワイン”という表現がぴったりです。樽熟成庫ではシャルドネのバトナージュを川上さんが披露。これは樽の底に溜まった澱を専用の棒でかき回し、ワインに厚みと滑らかさを与える作業です。
「子供の頃、母がお味噌汁を作ると私を呼んで味見させるんです。バトナージュはだし汁にお味噌を溶くのに似ていて、作業のたびに子供の頃の記憶がよみがえります」と斎藤さん。
続いてステンレス製の発酵タンクが並ぶ施設に移動し、ラベル貼りのデモンストレーション。驚いたことに一本一本、手貼りです。Kisvinはこのラベル貼りひとつにもこだわりがあり、ボトルの縫合線にラベルを被せない、ラベルはボトルの底から20ミリの位置に貼るなどのルールを設けているとか。
「ラベル貼りまで自動でできる瓶詰め器があればどれだけ楽なことか。きらびやかなワイナリーがうらやましいと思うこともあります」と本音をもらす斎藤さん。「でも私たちは本物のワインを造ることに専念してきました。本物のワインは質の高いブドウがあってこそ。ですから私たちは、ワインの売り上げをまずブドウ畑に還元してきました。そのおかげで今日までワインを造り続けて来られたのだと思います」。
バトナージュ前と後のワインが注がれたグラスをもつ斎藤さん。濁り具合がこんなにも違う。「母が作るお味噌汁を思い出す」と斎藤さん。
Photo by tadayuki yanagi
小型の発酵タンクが並ぶ醸造施設はまさにガレージワインの趣き。ここから世界が認めるプレミアムなワインが生まれ出る。
Photo by tadayuki yanagi
レストランバスで堪能する Kisvinワインの芳醇な味わい
ワイナリー見学のあとはまたバスに乗車し、一路、リゾナーレを目指すのかと思えば、高速道路に入る前にバスを乗り換え。屋根がぽっかり開いた二階建てのバスは、その名もレストランバス。二階のキャビンで食事ができるようになっています。
車内でリゾナーレが用意したアペタイザーが配られ、ここでようやくKisvinのワインが登場。
サプライズのレストランバスに乗り換え、八ヶ岳を目指す。バスは1階が配膳のためのキッチン、2階がオープントップのキャビンになっている。
リゾナーレ八ヶ岳が特別に用意したアペタイザー。
Photo by tadayuki yanagi
21種類ものブドウ品種が混醸された「Kisvin Blanc 2024」をゲストに注ぐのは、リゾナーレ八ヶ岳の加茂文彦ソムリエ。フランスから農事功労章を贈られた、日本が誇る名ソムリエのひとり。
Photo by tadayuki yanagi
ワインのサービスはリゾナーレ八ヶ岳の加茂文彦ソムリエです。パリの名店「リュカ・カルトン」で研鑽を積み、帰国後は日本国内のラグジュアリーホテルでシェフソムリエを歴任した日本が誇る名ソムリエのひとり。奥様の夢であった八ヶ岳移住を実現させ、昨年からリゾナーレ八ヶ岳でワインのサービスにあたられています。
グラスに注がれたのは「Kisvin Blanc 2024」。とても香り高い白ワインで、なんと、21種類ものブドウ品種を一緒に搾って造ったとのこと。品種の中にはシャインマスカットやマスカット・オブ・アレキサンドリアも含まれ、それがこの華やかな香りを醸し出しているようです。
Kisvinが世界的に注目されたきっかけは、ワイン界巨匠のSNS
バスの中で、斎藤さんがKisvinの歴史について語ってくれました。
Kisvinは2013年創業のまだ歴史の浅いワイナリーです。そのルーツは山梨県で3代続く荻原ブドウ園。3代目の荻原康弘さんは日本ワインの時代が来ることを予見し、2005年からワイン醸造用ブドウの栽培に取り掛かります。当初は収穫したブドウを近隣のワイナリーに販売していましたが、そのワイナリーから「お宅のブドウは格段に違う」と言われ、荻原さんは自社でのワイン醸造を決意。カリフォルニアで醸造学を勉強していた斎藤さんをヘッドハンティングしました。「造ったのはいいけれど、最初は在庫の山。親戚のおばさんを拝み倒して買ってもらっていました」と斎藤さん。
ところがある日、斎藤さんの、いや、Kisvinの運命を変える人物が現れます。それは2010年度の世界最優秀ソムリエで、ワイン界の最高権威マスター・オブ・ワインの称号をもつジェラール・バッセさん(2019年に他界)。斎藤さんは来日したバッセさんとディナーを共にするチャンスに恵まれ、そこでKisvinのワインをテイスティングしてもらいました。するとピノ・ノワールを大絶賛。バッセさんがそのワインの画像に「才能ある醸造家、斎藤まゆ」と添えてソーシャルメディアにアップしたことをきっかけに、日本のマスコミも騒ぎ出し、在庫一掃。一夜にしてワイン愛好家が血眼になって買い求める、日本ワインのプレミアムブランドとなりました。まさにシンデレラストーリーです。
ディナーでは川上さんが初めて手がけたKisvin Zinfandel Roséや、世界最優秀ソムリエのジェラール・バッセさんが絶賛したKisvin Pinot Noirも供された。
リゾナーレ八ヶ岳のもう一つの愉しみ ワインを極める贅沢時間
そのようなお話を伺っているうちに、バスはリゾナーレ八ヶ岳に到着。ワインリゾートへと誘われます。
まずはワインショップの「八ヶ岳ワインハウス」。ここでは山梨・長野の希少なワインが買えるだけでなく、プリペイド式のワインサーバーで常時24種類のワインが試飲可能。興味がそそられるワインを、25mlのひと口サイズから試せるのはうれしいかぎりです。また「BYO (BringYour Own) 」といって、ここで購入したボトルをリゾート内のレストランやカフェに無料で持ち込んで楽しむことも可能です。
世界的建築家のマリオ・ベリーニが設計したリゾナーレ八ヶ岳。イタリアの山岳都市をイメージしたとされる。これは象徴的なピーマン通り。
入手困難なアイテムも並ぶワインショップの「八ヶ岳ワインハウス」。プリペイド式のワインサーバーから試飲もできる。
そして、ワインリゾートを象徴する客室が「ワインスイートメゾネット」。その名のとおり、
ワインの余韻に浸るために設られたメゾネットタイプのスイートルームで、ボルドーカラーを基調としたインテリアがワイン好きの心を鷲掴み。小型のセラーには有料ながら各種ワインが用意され、気が向いた時に楽しむことができます。
最後に、ワインとのペアリングを堪能するメインダイニングの「OTTO SETTE」です。2年前にリニューアルし、天井がアーチを描いたワインカーヴのイメージに進化しました。今回のワインメーカーズディナーはリニューアル後初となるイベントとのことで、期待が大きく膨らみます。
ワインをこよなく愛するゲストのために設られた「ワインスイートメゾネット」。ボルドーカラーを基調としたインテリアが気分を盛り上げる。
ワインカーヴをイメージする「OTTO SETTE」で目眩く幸せ時間
料理は2021年からOTTO SETTEの料理長を務める鎌田匡人シェフ。自然に恵まれたこの地ならではの食材を用い、イタリアンの技法で調理。加茂ソムリエとのコンビネーションで、ワインとのマッチングを最大限に引き出した料理が提供されました。
例えば最初のひと皿は、ピノ・ノワールとシラーをブレンドした「Kisvin Rubis 2021(キスヴィン・ルビー2021)」に合わせて「甲斐あかね鱒と鹿肉のタルターラ」。
「軽めの赤ワインなので、赤身の肉を冷製のアンティパスト(前菜)にしてほしいとシェフにリクエストしました」と加茂ソムリエ。山梨では近年ジビエ(狩猟肉)が名物で、今回は鹿肉をビーツと一緒にゆっくり火入れ。エスプーマにした鱒と合わせて、ピエモンテ地方のビッテロ・トンナートのようなイメージに仕上げたそうです。
ディナーが始まって5本目のワイン「Pinot Noir Rosé(ピノ・ノワール・ロゼ2024)」が登場した後にまたサプライズが。ロゼがもう一種サーブされました。「Zinfandel Rosé 2020(ジンファンデル・ロゼ2020)」です。
このロゼは2つの意味で特別なワインです。ひとつはこの年を最後にジンファンデルの栽培を断念し、他の品種に転換してしまったため、これが最後のジンファンデルであること。
メインダイニングの「OTTO SETTE」は2年前にリニューアル。ワインカーブをイメージしたアーチ型の天井となった。
ゲストにワインの解説をする斎藤さん。自身が手がけたワインへの熱い想いが伝わる。
NHKの番組「仕事の流儀」に、斎藤まゆさんが出演したのはまさにこの年。2020年は雨が多く、ただでさえも雨を嫌うジンファンデルにとって過酷な年でした。ジンファンデルを引き抜くエピソードは番組でも取り上げられていました。
もうひとつは後輩ワインメーカーの川上さんが初めて単独で醸造を任されたのが、この2020年のジンファンデル・ロゼということ。色付きの悪いジンファンデルをロゼに仕上げたところ、これが功を奏し、果実味豊かで飲みごたえのあるロゼワインに仕上がりました。しかし、ワインが出来上がった頃にはすでにジンファンデルの樹はなく、このワインが幻の一本となってしまいました。
ディナーのメニュー。
山菜のトルタにKisvin Koshu Réserve 2022。
虹鱒のロースト、苺のケッカソースにKisvin Pinot Noir Rosé 2024。
牛フィレ肉のじゃがいも包み焼きにKisvin Pinot Noir 2019。
肉料理を自ら切り分ける鎌田匡人シェフ。
そしてこのディナーの席で斎藤さんは、川上さんの醸造責任者昇格を発表。自身は醸造総指揮の立場で、今後もKisvinのワイン造りを支えていくと語られました。
ディナーでサーブされたワインは、サプライズのジンファンデル・ロゼも含めて9種類。一方の料理はアンティパストからドルチェ(デザート)まで全7品。ピノ・ノワール・ロゼがもつイチゴのアロマに合わせ、ふだんはソースにトマトを使うところをイチゴに変更したりと、細かな微調整を加茂ソムリエと鎌田シェフが取り組んだ結果、完璧なマリアージュのワインメーカーズディナーとなりました。
銘酒あるところに美食あり。逆もまたしかり。リゾナーレ八ヶ岳では、今後も山梨・長野両県のワイナリーとコラボレーションし、さまざまなイベントを開催していくそうです。日本ワインの発展にワイン・リゾートが果たす役割は計り知れず、これからも目が離せません。
雨降りの2020年に初めて手がけたKisvin Zinfandel Roséを解説する川上さんと、その姿を袖から見守る斎藤さん。この日、川上さんの醸造責任者昇格が発表された。
Photo by tadayuki yanagi
柳 忠之 Tadayuki Yanagi
ワインジャーナリスト 196年横浜生まれ。ワイン専門誌の記者を経て、1997年からフリーのワインジャーナリスト。世界各地を取材した情報を発信。専門誌のほか、ライフスタイル誌にもワイン関連の記事を寄稿。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ、ボルドー・ボンタン騎士団名誉コマンドゥール。
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JCCO
PREMIUM JAPAN AWARD
日本文化発信機構 JCCOが目指すもの
2026.4.9
なぜ世界は日本の旅館に惹かれるのか THE RYOKAN COLLECTION 福永浩貴が語る観光文化の未来
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訪日外国人旅行者の増加により、日本の観光産業は大きな転換期を迎えている。その中で、日本各地の優れた旅館を世界へ紹介し続けてきた「THE RYOKAN COLLECTION(ザ・リョカンコレクション)」の創設者・福永浩貴氏。Premium Japan編集長であり、日本文化発信機構(JCCO)専務理事を務める島村美緒が、日本の旅館文化の価値、そして観光がもたらす地域の未来について話を聞いた。
旅館は日本でしか体験できない貴重な体験
島村 まずはザ・リョカンコレクションについて教えてください。
福永 「ザ・リョカンコレクション」は、2004年に「日本旅館を、世界のRYOKANへ」をスローガンに掲げてスタートした、日本旅館と小規模ホテルに特化した国際ホテルコンソーシアムです。現在の加盟施設は45で、外国人個人会員は12万人を突破しました。
島村 その道のりは容易ではなかったと思いますが、<wbr />日本の旅館文化を世界へ発信することは日本人としても誇らしい取<wbr />り組みですね。昨今、日本の伝統文化をいかに継承し守っていくのかが、あらゆる業界で課題となっています。旅館業界はいかがでしょうか。
福永 ザ・リョカンコレクションの活動の根底にあるのは、日本の旅館文化や地域文化を世界に紹介し、守り、次の世代につないでいくこと。この想いは、創業以来、ずっと変わっていません。
旅館というのは単なる宿泊施設ではなく、その地域そのものを体現する存在だと思っています。宿に泊まれば、その土地の食材を使った料理が出てきますし、地域の工芸品や器が使われ、建物や美しい自然など、その土地の文化が表れています。つまり旅館に泊まることは、その地域の文化を体験することでもあるわけです。
島村 旅館は地域に密着する存在であり、地方創生の担い手でもあるということですね。旅館は、日本人にとっては身近な存在ですが、世界からはどのように見られているのでしょうか。
福永 私がザ・リョカンコレクションの活動を始めた20年以上前は、海外で「旅館(RYOKAN)」という言葉を知っている人はほとんどいませんでした。
しかし今では、日本に行くなら旅館に泊まりたい、温泉に入りたいという声を世界中で聞くようになりました。旅館は、日本文化を体験できる場所として確実に認知されてきています。
海外のお客様にとって、日本の旅館は非常に特別な存在なんです。温泉に入って、和食を食べて、畳の部屋で過ごす。その体験は世界のホテルにはないものです。
旅館業界が直面する現実
島村 現在の日本の旅館業界の状況はいかがですか。
福永 実は旅館産業は、統計的に見ると衰退産業とも言われています。旅館の数は年々減っているのが現状です。
その背景には、日本の人口減少があります。旅館のお客様は、外国人のお客様が増えているとはいえ、まだまだ日本人が中心です。全体で見ると外国人比率は3割程度でしょう。国内旅行の市場が縮小している以上、旅館業界も影響を受けています。
島村 外国人だけでなく、日本人の集客も重要ということですね。
福永 日本の観光業界の構造形態も背景にはあると思います。これまでの観光ビジネスは、旅行会社を中心としたモデルでした。旅行会社が人を運び、そこにお金が落ちる仕組みです。もちろんそれは重要な役割ですが、観光を地域の文化継承という観点で考えると、その構造自体が変化の時期を迎えているとも言えるのかもしれません。
世界が評価する日本の旅館文化とは
福永 日本の旅館文化には、世界的にも特別な価値があると思います。旅館という産業は1300年以上の歴史を持ち、今でも何万軒という宿が営業している。これは世界でも非常に珍しい文化です。
その背景には、日本人のホスピタリティがあります。日本人は昔から、家に来た人に「ゆっくりしていってください」「お風呂に入ってください」と自然に声をかけますよね。これは単なるサービスではなく、人を思いやる文化です。
島村 日本人の“おもてなし”と呼ばれる価値観ですね。
福永 そうですね、ただ “おもてなし“という言葉は、本来の意味や深さを理解されず、独り歩きしているところがあり、私は、単純に“おもてなし”という言葉を使うのを控えているのですが、旅館で提供する和食の繊細さ、建築の美しさ、自然を敬う心、人への思いやりなど、旅館文化には日本ならではの価値が存在すると思っています。そしてこの体験を多くの方に経験していただき、“おもてなし”の本来の意味や文化的背景にも興味を持っていただきたいと思っています。
島村 旅館は単なる宿泊施設ではなく、文化体験そのものなのということですね。
福永 そして旅館が地域観光の拠点となって欲しいという思いもあります。地域観光の成功で重要になってくるのは、「地元の人の幸福」につながっていくことです。
外国人観光客を増やそうという議論になると、必ずオーバーツーリズムの問題が出てきます。だからこそ、観光はまず地元の人が喜ぶ形でなければいけないと思います。
島村 外国人が増えることで地元の人の生活が混乱するのでは本末転倒ですね。外国人観光客の訪問が地域経済を活性化させる、そんな仕掛けが必要ですね。
福永 その通りです。地元の人が楽しんでいる場所は、外から見ても魅力的です。本物の文化がそこにあるからです。地域の生活と観光を切り離すのではなく、共存させる。その発想が重要だと思います。
旅館の役割は地域の活性化の旗振り役
福永 今はインバウンドの時代です。世界中から人が日本を訪れています。言ってみれば、日本は毎日が博覧会のような状態なんです。
外国人観光客は観光地に出かけることだけが目的ではありません。彼らは日本の食文化や自然、歴史、アートなど、日本そのものを体験しに来ているのです。
だからこそ、これからの観光は地域が主体となって考えていかなければいけません。地域をどう発展させるかは、行政だけでなく、地域の事業者が中心になって取り組むべきものです。
旅館の経営者は地元の名士的な存在であることが多い。だからこそ、その旗振り役を担って欲しいと考えていますし、その糸口を一緒に探すお手伝いもしています。
島村 世界的にもホテルが中心となり町おこしをする成功例はあるのでしょうか。
福永 はい、ヨーロッパには多くの事例があります。成功している観光地では、ホテルのオーナーたちが地域のリーダーとなり、観光組織をつくり、自ら世界に発信しています。
今はインターネットがありますから、地域から直接世界へ情報を届けることができる時代です。旅館が直接、世界とつながることができるのです。
島村 日本は発信下手ですから、世界へどうアピールするかが今後のカギになりますね。
福永 そういった点では、当社では20年前から、優れた旅館を世界へ紹介する橋渡しをしています。しかし独自に世界へ積極的に発信している旅館も増えていると思います。
ウェルネスツーリズムという新たな可能性の追求
島村 近年、新しい取り組みにも力を入れていらっしゃると伺いました。
福永 最近力を入れているのが、ウェルネスツーリズムです。タイの高級ウェルネスリゾート「チバソム」と提携し、日本の温泉地で新しい滞在プログラムを開発しています。「チバソム」はタイ語で“安寧の隠れ家”を意味しているように、良質な食事と各種スパメニュー、ウェルビーイング(身体的、精神的に良好な状態であること)を目指す場所であり、ウェルネスリゾートの先駆けです。
島村 日本でも体験できるようになるのは嬉しいですね。
福永 世界の富裕層の間では、健康を目的とした長期滞在型の旅行が増えています。日本では古くから湯治があるように、温泉はウェルネス文化そのものです。
温泉、自然、和食、医療を組み合わせた滞在プログラムを開発し、長期滞在を促していく。これまでの一泊二食型から、新しいモデルへと進化していく必要があります。まず第一弾として、水上温泉の「別邸 仙寿庵」でこのプログラムをスタートします。忙しい人々が心身の健康と安寧を得ることができる滞在プログラムを提唱していきたいと思っています。
群馬県みなかみ町が誇る谷川連峰の壮大な自然に囲まれた「別邸仙寿庵」。
日本文化発信機構(JCCO)理事として、さらなる日本の宝を再発見したい
島村 お忙しい中、JCCOの理事をお引き受けいただきありがとうございます。その理由を教えてください。
福永 日本には本当に素晴らしい人や技術、文化があります。でも、それが十分に知られていない。これはとてももったいないことだと思っています。
地方には、世界に誇れる職人や料理人、文化人が数多く存在しています。しかし、その価値が広く知られる機会は決して多くありません。
私はこれまで旅館を通じて日本文化を海外に紹介してきましたが、それだけでは紹介しきれない魅力がまだまだあります。
文化というものは、誰かが光を当てなければ見えないものです。優れた人や技術を社会に紹介することは、日本文化を未来につないでいくことでもあると思っています。
日本には宝の山のように素晴らしい文化があります。それをどう発信し、どう守っていくか。それがこれからの日本にとって重要なテーマだと思っています。
島村 ありがとうございました。引き続きJCCOの活動にお力添えをよろしくお願いいたします。
福永浩貴 Hiroki Fukunaga
THE RYOKAN COLLECTION代表。兵庫県西宮市出身。英国の高級ホテルチェーンでの経験を経て、2004年に日本初の高級旅館コンソーシアム「THE RYOKAN COLLECTION(ザ・リョカンコレクション)を設立。海外富裕層市場に向けたマーケティングとブランド構築を推進し、日本旅館の価値向上に取り組む。日本文化発信機構(JCCO)理事。
Photos by Toshiyuki Furuya
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