人気記事
About&Contact
Features
SAKE HUNDREDから新作「来火」登場
2026.9.10
フラッグシップ「百光」と双璧を成す、「辛口」の新境地
日本酒ブランド「SAKE HUNDRED(サケハンドレッド)」から、2年ぶりとなる新商品「来火(らいか)」が誕生。2026年9月14日(月)より、事前登録者限定で発売される。
コンセプトは「溢れる個性、味わう辛口」。日本酒の王道である「辛口」を独自の哲学で再構築し、世界の美食文化に通じる「ドライ」と「複雑性」を追求。余韻の先に研ぎ澄まされたキレを感じる、新しい辛口に仕上がった。
「来火」は、香りや旨味、甘味、酸味などの豊かな要素を感じながらも、飲み終えた印象はドライへと導かれる新しい味わい。甘やかで透明感のあるフラッグシップ『百光』とは鮮やかなコントラスを描き、ブランドを支える“ふたつの柱”として位置づけられている。
醸造を手がけるのは、新潟・佐渡島の天領盃酒造。味わいの透明感と辛口としての骨格を両立させるため、精米歩合は28%に。麹米には岡山県産山田錦、掛米には佐渡産の飯米「こしいぶき」を使用し、佐渡最高峰・金北山の伏流水で仕込んでいる。
外観は淡くイエローを帯びた、輝きのあるクリスタル。グラスに注ぐと⽩い花を思わせる⾹りが繊細に⽴ち上がり、若い洋梨や⽩桃の⽪のようなフレッシュなアロマが広がる。口に含むとシャープな酸と端正な旨味が広がり、フィニッシュには⼼地よいほろ苦さが現れ、澄み渡るような余韻が続く。
ペアリングは、蕪と平目のカルパッチョや甘鯛の昆布締めといった繊細な魚料理から、白味噌や豆豉など発酵の香りと呼応する料理との相性も抜群。河豚のムニエルや地鶏の甜麺醤炒めなど、骨格のしっかりとした料理とのハーモニーも絶妙だ。
「新たな辛口が、日本酒の未来に火を灯すように」との思いから名づけられた「来火」。⽇本酒ならではの旨味や⽢味に、世界が価値を置く「複雑性」を掛け合わせた新しい味わいを、じっくりと楽しみたい。
「来火|RAIKA」
【発売日】2026年9月14日(月)
【内容量】720ml
【アルコール分】13.6%
【価格】22,000円
関連リンク
PREMIUM JAPAN Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
関連記事
投稿 フラッグシップ「百光」と双璧を成す、「辛口」の新境地 は PREMIUM JAPAN に最初に表示されました。
Features
名画の余韻を美食で味わう
2026.9.9
国立新美術館に『ルーヴル美術館展 ルネサンス』コラボメニューが登場
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
2026年12月13日(日)まで、東京・六本木の国立新美術館で開催中の『ルーヴル美術館展 ルネサンス』。その開催に合わせ、館内のレストラン&カフェ4店舗に、展示作品から着想を得たコラボレーションメニューが登場。ルネサンスを代表する名画の世界を料理やスイーツ、ドリンクで表現している。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(3F)
【料金】ランチコース 7,300円、ディナーコース 9,500円
※ランチは+2,200円で肉料理を追加可能
※ディナータイムのみ予約可
3階「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」では、展示作品の世界観を一皿一皿に落とし込んだ特別コースをランチ&ディナーで提供。今回初来日を果たすレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》から着想した魚料理など、作品の世界観を映し出した料理やデザートが並ぶ。
サロン・ド・テ ロンド(2F)
【メニュー】チョコレートといちじくのムースケーキ ブラウニーとオレンジソース添え(コーヒーまたは紅茶付)
【料金】1,760円
館内3カ所のカフェでも、気軽に楽しめるコラボレーションメニューを展開。2階「サロン・ド・テ ロンド」では、《ミケランジェロの肖像》をイメージした「チョコレートといちじくのムースケーキ」が登場。肖像のターバンをたっぷりのホイップクリームで表現した、遊び心のある一皿だ。
カフェ コキーユ(1F)
【メニュー】ダブルフレーバーモカ(ホット/アイス)
【料金】各990円
カフェテリア カレ(B1F)
【メニュー】仔羊のトマト煮 南仏風野菜とバターライス添え
【料金】1,430円
1階「カフェ コキーユ」では、アルブレヒト・デューラーの《サイ》のモノクロームの世界観を表現した「ダブルフレーバーモカ」を。地下1階「カフェテリア カレ」では、ルーヴル美術館のメインエントランス「ピラミッド」をイメージした仔羊のトマト煮を楽しめる。
「ルーヴル美術館展 ルネサンス」では、ルーヴル美術館のコレクションから選び抜かれた50点余りを通して、15~16世紀に花開いたルネサンス美術を紹介する。鑑賞した作品の余韻を、今度は味覚で楽しむ。アートと美食を行き来する、この秋ならではの美術館体験を楽しんでみてはいかがだろうか。
◆『ルーヴル美術館展 ルネサンス』コラボメニュー
【期間】2026年9月9日(水)~12月13日(日)
【会場】国立新美術館内レストラン・カフェ
※価格はすべて税込。食材の仕入れ状況などにより、内容や提供期間が変更になる場合があります。
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
関連記事
投稿 国立新美術館に『ルーヴル美術館展 ルネサンス』コラボメニューが登場 は PREMIUM JAPAN に最初に表示されました。
Lounge
Premium Salon
編集部&PJフレンズのブログ
2026.9.3
「青森屋 by 星野リゾート」で体感する、祭りの熱狂と温泉の静けさ。 青森を体感する旅
「みちのく祭りや」のショーの様子。
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
夜の街を、巨大なねぶたが進んでいく。
闇のなかに鮮やかな色彩が浮かび上がり、勇壮な表情をたたえた人形ねぶたが近づいてくる。「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声に囃子の音が重なり、その後ろでは跳人(はねと)たちが力いっぱい跳ね踊る。
青森ねぶた祭を実際に目にして、まず感じたのは、「祭りを見る」という言葉では収まりきらないほどのエネルギーだった。
青森ねぶた祭は、毎年8月2日から7日に開催される。今回は、まさに祭りの真っただ中に青森を訪れる機会を得た。新幹線も飛行機もほぼ満席。全国から多くの人がこの祭りを目指してやって来ることを、青森へ向かう道中から実感した。
そんな旅の拠点となったのが、青森県三沢市にある「青森屋 by 星野リゾート」だ。
「のれそれ(青森の方言で“目一杯”の意味)青森~ひとものがたり~」をコンセプトに、祭りや方言、温泉、食、工芸など、青森の文化を滞在しながら体験できる温泉宿である。
かつて名馬の産地として知られた青森。公園を巡る馬車が毎朝運行している(予約制)。
22万坪の雄大な敷地を歩き、青森の景色を堪能する
東京から「青森屋 by 星野リゾート」へは、東北新幹線で八戸方面へ向かい、青い森鉄道に乗り換えて三沢駅へ。飛行機なら羽田空港から三沢空港へ向かい、空港から送迎バスで約20分だ。
奥に見えるのが「青森屋 by 星野リゾート」の宿泊棟。敷地内には大きな池がある。
到着してまず驚かされるのが、そのスケールである。
敷地面積は約22万坪。緑豊かな敷地の中央には大きな池があり、その近くには馬やポニーがいる牧場まである。館内だけで過ごすホテルというより、自然に囲まれた大きな公園のなかに泊まるような感覚に近い。
宿泊棟は本館・西館・東館の3棟、客室は全236室。温泉に入って終わりではなく、広い敷地や館内を歩きながら、さまざまな青森文化に出会える仕掛けがいくつも用意されている。
その中心となるのが、本館1階の「じゃわめぐ広場」だ。「じゃわめぐ」とは、青森の方言で「心が騒ぐ、ワクワクする」という意味。
エレベーターを降りると目の前に「五所川原立佞<wbr />武多『かぐや』」が現れ、さっそく心がじゃわめぎ始める。
ほかにも「ヨッテマレ酒場」や「じゃわめぐ売店」「うるほひ横丁」などがあり、まるで昔ながらの祭りの縁日に迷い込んだような賑わいだ。食事をしたり、買い物をしたり、写真を撮ったり、一杯飲んだり・・・それぞれの楽しみ方ができる空間になっている。
ホテル内には多くの方言が使われた場所があり、またスタッフの方々の方言で話すのが聞こえてくる。青森の文化である方言を敢えてお客様に触れてもらう、これもおもてなしになっているのだ。
じゃわめぐ広場と西館をつなぐ通路は、季節によってしつらえが変わる。
私が訪れた夏には、約300個の金魚ねぷたが彩る「しがっこ金魚まつり」や「金魚ねぷた灯籠回廊」などが登場。9月から11月には、約300個のりんご灯籠が並ぶ「りんご灯篭回廊」へと姿を変える。
思わず足を止め、写真に収めたくなる。季節を変えてまた訪れたくなるのも、青森屋の楽しさのひとつだ。
「金魚ねぷた灯籠回廊」の様子。
季節によってワークショップが開催されている。
わずか一室。「ねぶたの世界」に泊まる特別な客室
次に気になるのは、やはり客室だ。
青森屋には、わずか一室だけの特別室「青森ねぶたの間」がある。写真では見たことがあったが、今回は特別に室内を見学させてもらった。
主室にある、幅約3.2m、高さ約1.4mの天境立体ねぶた「東北の雄 阿弖流為(アテルイ)」。北方の守護神・毘沙門天(びしゃもんてん)の加護を得て、鬼神を従え奮闘する勇姿が表現されている。
中央にあるのは、主室のねぶた障子「津軽海峡 義経飛龍」。青森県や岩手県の一部では、源義経が奥州平泉の地より生き延び、<wbr />きたを目指したと古くから伝えられており、義経が荒れ狂う津軽海峡を渡ろうとする場面である。
扉を開けた瞬間、思わず「これはすごい」と声が出る。
玄関で迎えてくれるのは、高さ約2メートルの「田村麿と妙見宮の鬼面」。さらに主室へ進むと、「東北の雄 阿弖流為」を表現した立体ねぶたが圧倒的な存在感を放っている。
第7代ねぶた名人・竹浪比呂央氏の協力によって制作された造形は、単なる客室装飾というより、部屋全体がひとつの作品のようだ。
しかも、その仕掛けは目立つ場所だけにとどまらない。
洗面台や浴室の桶など、何気なく使う場所にもねぶたのモチーフが潜み、インターホンからは「ラッセラー、ラッセラー」という祭りの掛け声まで聞こえてくる。
どこを見ても、ねぶた、ねぶた、ねぶた。
わずか一室だけに予約のハードルは高そうだが、この圧倒的な迫力に包まれて過ごす一夜は、忘れられない思い出になるに違いない。
これだけ賑やかな空間で、果たしてぐっすり眠れるのだろうか。そんなことまで少し気になってしまう。
寝室の天井にあるねぶた絵は、見る位置によって表情が変わる。主室から寝室を望むと、義経の勇壮な顔が立体的に浮かび上がって見える。
2026年誕生。「ほっこりんご和室」に見る、もうひとつの青森
2026年にリニューアルして誕生したのが、りんごをモチーフにした「ほっこりんご和室」である。
りんごのアーチやクッションなど、まず目に飛び込んでくるのは、思わず写真に収めたくなる愛らしいデザインだ。
けれど、この部屋の魅力は、「青森といえば、りんご」という分かりやすさだけではない。
たとえば、室内に置かれたりんごのオブジェには、豪雪によって折れてしまったりんごの木が使われている。また、木片や皮などを漉き込んだ「りんご和紙」も室内に取り入れられている。
雪国でりんごを育てること。豪雪とともに暮らすこと。そして、本来なら捨てられてしまう木を、新たな形で生かしていくこと。
そうした土地ならではの自然環境やりんご産業の背景を知ると、愛らしい客室の見え方も少し変わってくる。
2026年8月に宿泊がスタートした「ほっこりんご和室」は、全35室。
各部屋に置かれている、りんごの木から生まれた「ほっこりんご」のオブジェ。
ベッドボードには、りんごの木から生まれた和紙で作られた、りんごの花の壁掛け。
青森文化との出会いは、客室だけではない。
館内を歩いていると、「BUNACO」や「津軽金山焼」といった青森の工芸が、ごく自然に目に入ってくる。展示品として並べられているのではなく、照明や器、インテリアとして実際の空間に溶け込んでいるのだ。
「あ、この照明も青森のものだったんだ」。
そんな小さな発見をきっかけに、土地の工芸へ興味を広げていくのも、旅の楽しみ方のひとつだ。
忘れられない、しっとりとした湯の心地よさ
青森屋を訪れたら、時間を取ってゆっくり楽しみたいのが、自家源泉の温泉だ。
内湯は天井や壁、浴槽に青森ヒバがふんだんに使われ、足を踏み入れた瞬間から清々しい木の香りに包まれる。
泉質はアルカリ性単純温泉。湯に身体を沈めると、肌を包み込むようなやわらかな感触があり、湯上がりにも、しっとりとした心地よさが残る。
青森ヒバをふんだんに使った、木の香り豊かな内湯。
水の上に浮かんでいるかのような「浮湯」。
露天風呂には「浮湯」という名がつけられている。その名の通り、まるで池の上に浮かびながら湯に浸かっているような開放感がある。
冬(12月〜2月)には、ねぶたの山車と、ゲストが願い事を書いた小灯籠が浮湯の周りの池に浮かび、この時期にしか見られない幻想的な景色が広がる。その光景を想像しただけで、今度は雪の季節に訪れてみたくなる。
原稿を書いている今も、あのやわらかな湯の感触を思い出すと、もう一度浸かりたいという気持ちが湧いてくる。
それほど、印象に残る温泉だった。
青森には、朝早くから湯に入る文化もあるという。
前夜の賑やかさが嘘のように静かな朝。やわらかな朝の光のなかで入る温泉には、夜とはまた違う心地よさがある。宿泊するなら、ぜひ朝風呂も楽しみたい。ホテルから歩いて10分ほどのところには、宿泊者以外も利用できる「元湯」がある。時間に余裕があれば、温泉のはしごをしてみるのもいい。
青森の朝風呂文化を体験できる「元湯」。
伝統工芸品「津軽びいどろ」の職人の協力によって作られたオリジナルガラス。
祭りの熱気をサウナで味わう「青森ねぶたサウナ」
もうひとつ見逃せないのが、「青森ねぶたサウナ」である。
青森ヒバを使用した香り豊かなサウナ室。その正面に設えられているのは、第7代ねぶた名人・竹浪比呂央氏が主宰する「竹浪比呂央ねぶた研究所」が制作した、「龍王」を題材とするねぶただ。
サウナのなかにまでねぶたがあることに、まず驚かされる。
さらに室内には祭囃子が流れ、その盛り上がりに合わせてオートロウリュが行われる。
熱気に包まれながら、目の前には迫力あるねぶた。
静かに“ととのう”サウナとはひと味違う、青森屋ならではの高揚感がある。サウナ室の前には、地下水を汲み上げた水風呂も用意されている。
祭りの熱気をサウナで表現してしまうあたりも、なんとも粋である。
サウナ室正面のねぶたは、青森ねぶた祭でもよく用いられる「龍王」。水や雨を司る神として知られている。
サウナストーンは、ねぶたの武者や青森の夏の風物詩「金魚ねぷた」をモチーフにしている。
サウナ室の目の前には、地下水を汲み上げた水風呂がある。
湯上がりのお楽しみは、蛇口から注ぐりんごジュース
温泉から上がったあとも、ここだけの青森体験は続く。
じゃわめぐ広場にあるのが、りんごの木に設えられた「りんごジュースが出る蛇口」だ。蛇口をひねると、4種類のりんごをブレンドした冷たいりんごジュースが注がれる。
「蛇口からジュースが出てきたら」。
そんな子どもの頃の夢をそのまま形にしたような演出に、大人でもちょっと嬉しくなってしまう。
温泉で火照った身体に、冷たいりんごジュース。
こんな何気ないひとときにも、青森らしさがしっかりと詰まっている。
無料で楽しめる「りんごジュースが出る蛇口」。提供時間:8時〜12時/15時〜20時
夜は「みちのく祭りや」へ。青森四大祭りの熱気を体感
夜になったら、「みちのく祭りや」へ出かけてほしい。
ここでは、五所川原立佞武多、弘前ねぷたまつり、八戸三社大祭、青森ねぶた祭という、青森を代表する4つの祭りを題材にしたオリジナルショーが繰り広げられる。
会場には6名のねぶた師が手掛けた作品が並び、映像や照明、囃子とともに祭りの世界を体感できる。座席は予約制なので、滞在が決まったら早めに予定へ組み込んでおきたい。
そして驚かされたのが、舞台に立つ演者が、日中は調理や客室など、それぞれの仕事を担う青森屋のスタッフだということ。
普段の仕事をしながら練習を重ね、夜になると演者として舞台に立つ。
だからこそ、単なるエンターテインメントとは少し違う熱量を感じるのかもしれない。
聞けば、青森出身のスタッフも多く、自分たちの土地の文化を、自分たち自身で伝えていきたいという思いがあるそうだ。
館内で聞こえてくる方言も含め、青森屋ではスタッフ自身が青森文化の伝え手になっている。
ショーの最後には観客も参加し、会場全体がひとつになって盛り上がる。
青森の祭りを実際に訪れることができない季節でも、その熱気の一端を感じられるはずだ。
※2027年4月より、16時30分〜17時30分に公演時間が変更になる。
毎日21時〜22時に開催される「みちのく祭りや」は宿泊者向けで、全席完全予約制。
青森屋のオリジナルショー「青森四大祭りショー」。
弘前ねぷたまつり「筆とねぶた」。
会場入り口にある、ねぶた師・立田龍宝(たつたりゅうほう)氏がデザインを担当した8枚の木製ねぶたの切り絵。
本物の青森ねぶた祭へ。宿で知った文化がつながる瞬間
今回の滞在では、「青森屋 by 星野リゾート」が用意する「青森ねぶた祭観覧バスツアー」に参加し、祭りの会場へ向かった。
到着すると、沿道にはすでに多くの人が座り、祭りのスタートを今か今かと待ちわびている。
やがて遠くから、夜の闇に浮かび上がる巨大な人形ねぶたが見えてきた。
近づくにつれ、細部まで描き込まれた鮮やかな色彩や、立体的な身体の動きがはっきりと見えてくる。
「ラッセラー、ラッセラー」。
掛け声と囃子が響き、跳人たちが跳ねる。
その熱気に押されるように、沿道の観客からも「ラッセラー、ラッセラー」と声が上がる。
映像で見ていた祭りからは想像できなかったほどの迫力と一体感だ。
私自身、青森ねぶた祭を体験するのは今回が初めてだった。
これほどまでに会場全体がひとつになり、人の心を高揚させる祭りがあるのか。
久しぶりに夏祭りの熱気に身を置いたことで、どこか忘れていた日本の夏の記憶まで呼び起こされたような気がした。
人生で一度は見てほしい祭りだ、と言い切りたくなる。
そして、祭りを終えてホテルへ戻ったとき、館内にあるねぶたの意匠も、「ねぶたの間」も、サウナの「龍王」も、「みちのく祭りや」で感じたスタッフの熱気も。本物の祭りを知ったあとでは、それまでとは少し違って見えるのだ。
宿で文化に触れ、本物の祭りへ出かけ、再び宿へ戻る。
ホテルの空間も、ねぶた祭体験も全てが一つにつながり、青森という場所を丸ごと体験したような気持ちにすらなった。
朝食は、青森屋 by 星野リゾートの「のれそれ食堂」でいただく。朝夕ともにブッフェスタイルで、豊富な海産物が並び、思わず笑みがこぼれる。帆立ラーメンに、刺身をのせたごはん、新鮮な野菜の蒸し物など、朝から食欲が止まらない。
「のれそれ食堂」に入ると、左右に飲食スペースが広がっている。
新鮮な海産物が並ぶ。
目の前で調理してくれる帆立ラーメン。
ホテルをチェックアウトしたあとは、元湯であの素晴らしい湯をもう一度楽しみ、帰途に着いた。
東京へ戻ってからも、青森で見た景色や祭りの音、温泉の心地よさは鮮明に残っている。
そして気づけば、次は青森のどこを旅しようかと考えている。
「奥入瀬渓流ホテル by 星野リゾート」で森と渓流の静けさに身を置くのもいい。「界 津軽」に滞在しながら、また違う青森の文化に触れる旅もしてみたい。
一度の旅が、次の青森への旅につながっていく。
「青森屋 by 星野リゾート」は、青森を楽しむ目的地であると同時に、もっとこの土地を知りたくなる入口でもあった。
青森屋 by 星野リゾート
青森県三沢市字古間木山56
Profile
谷口優子 Yuko Taniguchi
女性誌で長年、インテリアや旅、ライフスタイルをテーマに企画・編集・執筆を行う。人やものづくりの背景にある物語を伝えることを大切にしている。
関連リンク
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
Lounge
Premium Salon
編集部&PJフレンズのブログ
JCCO
PREMIUM JAPAN AWARD
PREMIUM JAPAN AWARD 2026
2026.9.12
見えない美に光を当て、「彼方」へ 「A Lighthouse called Kanata」が世界に築いた、日本美術の航路
イタリア産トラバーチンの壁面と、作品に合わせて光量や色温度を調整する特注照明が印象的な1階メインギャラリー。一般的なホワイトキューブとは異なる荘厳な空間が、作品の素材感と陰影を際立たせる。画像提供:A Lighthouse called Kanata
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
顧客も所属作家もいなかった創業直後、ロンドンの国際アートフェア「COLLECT 2008」にわずか8平方メートルのブースで初出展し、作品を完売。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が3作品を購入した。2013年からは世界屈指のアートフェア、TEFAF Maastrichtへの出展を重ね、現在ではArt Basel HKやFrieze Seoulなどのアートフェアに加え、メトロポリタン美術館(The Met)やV&A、龍美術館をはじめ、世界の一流美術館やトップコレクターへ日本の作家を紹介している。青山にあるギャラリー「A Lighthouse called Kanata」は、日本のアートシーンでは、まだそれほど話題にのぼることがないが、海外で確かな実績のあるアートギャラリーだ。
その活動を貫くのは、日本に眠る優れた作家と作品の魅力を、自らの審美眼で選び、質の高い英語の文章と展示によって世界へ正確に伝える仕事だ。彫刻家の安田侃などアーティストから寄せられる信頼も厚い。Premium Japan Awardは、日本の美を世界の評価へつないできた同ギャラリーと、それを率いる青山和平の功績に光を当てたいと考え、第1回アワードを贈ることとした。
2025年に移転したばかりの表参道のギャラリーで、青山和平に話を聞いた。
世界の美術館が訪ねてくる「灯台」
表参道近くの静かな通りに佇むA Lighthouse called Kanata。日本の優れた作品を見出しその魅力を世界のトップ美術館やコレクターに伝えることで、日本のアートシーンの未来を明るく照らそうとしている。画像提供:A Lighthouse called Kanata
異色の経歴を持つギャラリスト「A Lighthouse called Kanata」代表の青山和平。米英で教育を受け、確かな審美眼と堪能な英語力を用い、まだ光を浴びていない日本のアート作品を世界に紹介し続けてきたことで、今では海外の有名美術館やトップブランドから厚い信望を得ている。
東京・表参道。まい泉通りから少し入った場所に、地上3階と屋上テラスからなるA Lighthouse called Kanataの新しい拠点が立つ。3フロア構成で床面積は約720平方メートルと広い。
「言葉、宗教、国境、人種を超えて、一見して人の心を打つものこそ、本当に優れたものだと思います。その感覚を生み出す演出として、このギャラリーをつくりました」と青山は言う。
建物に入ってもすぐにギャラリーは現れない。入り口の先には茶室のにじり口を思わせる長い通路があり、突き当たりを曲がった扉の先にやっとギャラリーが姿を現す。一般的なホワイトキューブ(白壁)のギャラリーではなく、壁は重厚な石灰岩。その荘厳さに圧倒される。使われているのはイタリア産のトラバーチン。光が細かな凹凸に触れ、作品の輪郭と影を静かに浮かび上がらせる。
実は青山には、空間について忘れられない原体験があるという。若い頃、夜の大聖堂に足を踏み入れると、静寂に包まれた空間で、一つの作品だけが月明かりに照らされていたという。
「宗教心の有無にかかわらず、誰もがその美しさに感動したと思います」このギャラリーでも、そんな荘厳さを感じて欲しかったという。
2階には招待制のセカンドギャラリーに加え、VIP用のプライベートビューイングルームやバーが用意されている。客がソファに腰かけ、セラーから運ばれてきたワインを楽しんでいると、目の前の引き扉が開いて、おすすめの作品1点だけが現れる。作品との対峙が終わると、一度、扉が閉まり、次の作品の登場とともに再び扉が開く。作品と人が一対一で出会うための、小さな儀式--上質を知る世界のトップバイヤーやトップコレクターを微笑ませる、こうした仕掛けが、青山が本当に世界のトップ層を相手に仕事をしていることを伺わせる。
ギャラリーでは見る人の目線を想像し、展示台の高さはもちろん、作品同士の間合い、光の光量や色温度まで調整する。青山にとって作品の展示とは、完成した作品を並べる最終工程ではなく、作品が持つ力を最大限引き出す創造行為だという。
今ではこのギャラリーを目指して、海外の美術館がツアーを組む。シンシナティ美術館やヒューストン美術館のトラスティーが来廊し、メトロポリタン美術館は金沢の老舗料亭から料理人を迎えて晩餐会を開く。そして世界のトップファッションブランドのプライベートイベントも行われているという。
VIPルームのバーカウンター。正面には彫刻家・安田侃の《天秘》を配し、カウンターにはアイルランドの作家ジョセフ・ウォルシュによる流麗な木製椅子が並ぶ。作品と家具、もてなしが一体となったKanataの美意識を感じさせる。
2階には開催中の個展とは別に同ギャラリーが扱う主力作家の作品が並べられた予約制のセカンドギャラリーが用意されている。
顧客も作家もゼロ。8平方メートルからV&Aへ
青山は1979年、東京生まれ。1歳から9歳までを海外で過ごしたが、高校時代、横浜美術館で見たターナー展に衝撃を受けた。ニューヨークでの大学時代にはジャクソン・ポロックの《Autumn Rhythm: Number 30, 1950》に圧倒された。人生の節目ごとに、進む方向を変えるようなアート作品と出会ってきたという。
だが、大学で選んだのは美術ではなく法律だった。ニューヨーク大学を卒業後、オックスフォード大学大学院へ進学。法律を学んだのは、弁護士を目指したからではなく「法律的な頭の使い方」に興味があったから。実は小説家や政治家になることも考えていたという。
転機は、長く疎遠だった父からの連絡だった。父は南青山で陶磁器や器を扱う小さな店、酉福(ゆうふく)ギャラリーを営んでいた。大学院修了後の一年間、静岡県三島市にあった姉妹会社で陶磁器の仕事を学びながら、小説を書いてみないかと誘われた。
「いざ行ってみたら、全く文章が書けなかった。もう全然、筆が進まないんです。ただ、不思議と焼き物、陶磁器の世界には入り込んでしまって、素晴らしい世界だと思いました」
父の商売の方法と、自分の考えには隔たりがあった。修業後はいったん外資系企業へ就職し、世界各地を飛び回る。そこで妻と出会い、結婚を機に独立した。会社員として指示通りに動くより、自分の信じる価値を形にする道を選んだ。
実は海外生活と欧米の美術館巡りを通して、青山は大きな疑問を抱き始めていたという。
「これほど豊かな日本の美術文化が、なぜ世界でほとんど知られていないのか。2000年前後には、杉本博司や草間彌生でさえ、現在ほど大きく紹介されていませんでした。」
青山には確信があった。
「客観的に見ても、日本の美術文化は世界に冠たるものです。全く引けを取っていない、むしろ勝っているんじゃないかと思うものがたくさんある。それなのに、紹介されていなかった。だったら、そこで自分にしかできない仕事は何だろうと考えたんです」
2007年、結婚祝いのご祝儀を元手に東空アートを設立した。登記も自分で行った。人脈も資金もなく、顧客も作家もゼロ。それでも「日本の美術文化を世界へ紹介する」という一点だけは決まっていた。
ほどなく、英国のヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)を会場に開かれる国際アートフェア「COLLECT」の案内をインターネットで見つけた。「これだ」と思った。この時点ではまだ自分のギャラリーがなかったため父に「酉福」の看板を借り、出展費用も周囲から借りた。当時は1ポンド約260円。選んだ6人の作家を、8平方メートルのブースへ持ち込んだ。
「まだ所属作家もお客様もいませんでしたが、飛び込みました。もしかすると勝てるかもしれないという自信がありました」
日本でまだ知られていない作品でも、世界の人々なら先入観なく評価してくれるのではないか。そう考えての挑戦だったという。
結果は完売。V&Aが三原研、武山直樹、長江重和の作品を購入し、世界的なコレクターも顧客になった。青山は「本当にラッキーでした」と笑うが、幸運を一度の出来事で終わらせなかったことこそが、このギャラリーの本質だろう。
すべてが順風満帆だったわけではなく、最初の頃はお客様が少なく、雀の涙ほどの売り上げしかない時期もあったが、継続することで、少しずつ力がついてきたと青山は振り返る。
「自分が何をしたいのか、世界に何を残せるのかという理念が何よりも先にありました。利益はその後からついてきました」
父の引退を機に、2011年には東空と酉福を統合。2020年に「A Lighthouse called Kanata」へと改称した。「Kanata=彼方」は、遠く向こう側を指す言葉。「Lighthouse」は英語で「灯台」のことだが、ここには二つの日本語を重ねている。「灯台下暗し」と「一隅を照らす」だ。
「日本人は、目の前にある自分たちの美術文化に気づかない。若冲も浮世絵も、具体美術も、海外で評価されてから日本で評価を得た。だったら世界のトップの人たちに先に知ってもらい、そこから日本へ戻せばいいと思ったんです」
光を遠くへ送り、その光によって、足下にあった日本の美を日本人自身も見つけ直す。少し風変わりで長い名称には、青山の戦略とロマンティシズムがそのまま刻まれている。
VIPによる貸切イベントなどにも頻繁に利用されるA Lighthouse called Kanata。実はルーフトップにも素敵な家具を揃えたテラスが用意されている。
「素材・技術・美」を、世界の言葉にする
Kanataは、絵画や彫刻に加えて陶磁、ガラス、金属、漆、竹や木などの様々な素材でできた作品も取り扱う。いわゆる「工芸」の素材を用いる作家も多い。あえて用途や技法によって工芸と美術を切り分けない。素材と技術によって空間を変える表現を、同時代のアートとして提示している。
青山が作品を選ぶときの基準は明快だ。
「一過性の流行は追いません。100年後、200年後の日本に何を残せるか。最初のフェアから、作品を選ぶ目線は変わっていません」
優れた作品には三つの要素がある、と青山はいう。第一は、作家が素材を深く理解し、愛していること、すなわちマテリアリティ。第二は、その人にしかない卓越した技術、クラフトマンシップ。そして第三は、素材と技術を誰も見たことのない表現へ昇華するビューティー、美への執着だ。
「本当に優れた作品、普遍的な美や名作には、三つの要素があると思っています。何千年前のエジプトでも、ローマ帝国でも、ルネサンスのラファエロでも変わらない法則です」
青山は、その作品が時代や文化の違いを超えて人に届くかどうかを重視するという。「一見して人の心を打てるか。それは本来、とても大切なことです。たとえば2000年前のローマ帝国の人に見せても、その技術や美しさが分かるかです」
一方で、コンセプトだけが先行し、素材や技術、美を軽視する昨今の風潮とは一線を画す。作品に込めた考えは、素材の選び方や技術、目に見える形として表れるべきだと、青山は考えている。手でつくる行為が軽視されがちな時代に、Kanataは素材、技術、美の結びつきを現代美術の中心へ引き戻そうとしている。そして、その美学を「形象派(Keisho-ha/School of Form)」、あるいは「New Materialism」として発信している。
こうした美術的価値の発信で、青山が何よりも大事にしているのが「言葉の力」だという。初回の海外アートフェア出展時から自らカタログを制作し、作品や作家についての説明も自身で書いてきた。
「日本語と英語の説明を、AIに任せることなく、自分の視点で書く。美術館に作品を購入していただくときの解説も、私が書かせてもらっています。誰かに教えられたのではなく、自分がお客様なら、どうすれば納得するかを考えてそうしました。」
その文章は、ただ作品の背景を説明するだけではない。なぜその素材でなければならないのか。伝統技法がどのように更新され、どんな空間を生み出すのか。作家の手から生まれたものを、世界の美術史やコレクションの文脈へ接続することを心がけているという。要するに販売のための説明ではなく、日本の美意識に国際的な居場所を与えるための文章を書いているのだ。
生田丹代子のガラス彫刻は、その成果を示す一例だろう。板ガラスを切断し、接着し、幾層にも重ねることで、光と動きを内包する螺旋状の形をつくる作家だ。2010年にV&Aが作品を購入し、2019年制作の《Ku-131 (Free Essence-131)》はメトロポリタン美術館のコレクションに入った。国内では「工芸」と見られていた表現だが、青山の言葉の力で、海外のギャラリーでは現代の彫刻として受け入れられた。
「うちは作家任せにしません。二人三脚で、その作家の一番いいところを引き出す。いままで見たことのない世界観や作品を一緒につくっていく。口だけ出すのではなく、お金も出す。それを大切にしてきました」
作品を買い取り、制作資金を支え、長所と弱点を率直に伝え、展示まで組み立てる。
そのやり方の手本にしているのは、印象派を支えた画商ポール・デュラン=リュエルだという。まだ評価されていなかったモネやルノワールの作品を買い支え、制作を続けられる環境をつくった人物だという。
作家には年上年下関係なく率直に接する。コレクターに対する態度もそうだという。数年後に価格が何倍になるといった根拠のない約束も口にしない。
「ごまもすらないし、媚びない、そして何より嘘をつかない。。大事なのは嘘をつかないことです。できること、できないことは率直に伝えます。若手作家のよくない作品に『よい』と言うことは、一番よくないと思っています。」
とにかく作品の本質を基準に話しをする。これこそが作家と顧客双方からの信頼につながっているのだろう。
一方、作品以外の依頼には驚くほど柔軟だ。海外の顧客のために、作品を自ら飛行機でハンドキャリーしたこともあれば、ホテルやレストランだけでなく、いけばな、茶、通常非公開の文化財を巡る旅程まで組むという。
「ギャラリストは、単なる小売業ではありません。サービス業だと思っています。だから、どんなお願いをされても、それを無茶ぶりだとは思いません。『これはうちにしかできないことだ』と考えて率先してやっています。」
2階に用意された特別な顧客のためのプライベートビューイングルーム。奥の壁には青山が注目する若手の村松辰之介の《瀧図》(2024)、テーブルの上には加藤貢介の《Legato XIV》(2023)が飾られている。右側の黒い部分は扉が引き戸になっており、コレクターが訪問した際には、この扉の奥に作品をただ1点だけ飾って見せるという。セラーにはハウスシャンパンのアンリ・ジローを含むワインを常時100本以上用意。
光を世界へ送り、日本へ戻す
大阪・関西万博アイルランド館前に展示されていたジョセフ・ウォルシュの作品《Magnus RINN》は、その後、京都の知恩院に展示され大好評を博している。
ジョセフ・ウォルシュ 2025年大阪・関西万博作品「Magnas RINN」ー京都・知恩院へ設置
画像提供: Ito Makoto, Coutesy of Joseph Walsh Studio
2025年大阪・関西万博のアイルランド・パビリオンの目の前には、高さ約6メートルの黄金の円環《Magnus RINN》が設置された。アイルランドを代表する作家ジョセフ・ウォルシュによる初の大規模屋外彫刻である。下半分は人の手の痕跡を残すブロンズ、上部は木からなり、全体が金箔で覆われる。人と自然、時間の循環を象徴する作品だ。
Kanataはウォルシュを長く紹介し、その仕事を通じてアイルランド大使館や同国外務省との関係を築いてきた。万博のアイルランド館では、ウォルシュと青山が培った国際的な信頼が、国を代表する作品へ結実した。万博後、《Magnus RINN》は京都・知恩院へ移設され、アイルランドと日本、現代彫刻と寺院を結ぶ新しい風景をつくっている。
このプロジェクトは、Kanataの仕事が美術品の売買にとどまらないことを示好事例だ。作家、政府機関、大使館、造園家、歴史的な場所を結び、互いの文化が対話できる場をつくる。日本美術を海外へ紹介するだけでなく、海外の優れた作家を日本の文脈へ迎え入れる、双方向の文化活動だ。
海外の優れた作家を日本へ迎え入れる一方で、やはりKanataの活動の原点は、日本でまだ十分に評価されていない美術を世界へ送り出し、そこで得られた評価を日本へ還流させることにある。
その視線は、評価がまだ追いついていない戦後作家から、世に出たばかりの若い世代まで、幅広く注がれている。
戦後作家の一人として青山が名前を挙げたのが、菅井汲だ。「具体以上の可能性があるのに、現時点では日本でも世界でも十分に評価されていません」と話す。
一方、次の世代について尋ねると、青山はVIP用プライベートビューイングルームの壁に掲げられた《瀧図》という作品を描いた村松辰之介を挙げた。
「これは写真じゃないですよ。絵ですからね。この技術の凄さは、2000年前の人にも分かると思うんです。彼が24歳のときに描いた作品です」
幅2メートルを超えるアルミニウムの画面に、油彩で滝を描いた作品。光を受けて表情を変える銀色の画面には、流れ落ちる水が精緻に描き込まれ、写真と見紛うほどの迫力がある。
青山が作品選びの基準とする「素材・技術・美」を凝縮した一枚と言えよう。
このように青山は、知名度や経歴ではなく、作品そのものが持つ力を自身の審美眼で見抜く。そして、その価値を日本語でも英語でも、曇りのない言葉で伝える。言葉だけなら、理念を語ることは難しくない。しかし、目の前にある作品の美しさと、生田丹代子をはじめ、青山が世界へ紹介してきた作家たちのその後の実績が、その審美眼と語りに確かな裏付けを与えている。
「こうした人たちの『一隅を照らす』ことが、Kanataの大切な理念です。忘れられた存在、埋もれている存在に光を当て、日本の美術界の希望の光として世界へ伝えていく」
Premium Japan Awardでは、世界の美術館やコレクターの心も動かす青山の審美眼はもちろん、その実績も評して賞を贈らせてもらうこととした。
「灯台下暗し」から見出し「一隅を照らす」ことで未来を明るく灯す。A Lighthouse called Kanataの少し風変わりなギャラリー名には青山和平のそんな想いが込められている。
青山和平 Wahei Aoyama
1979年、東京都生まれ。2001年ニューヨーク大学卒業、2003年オックスフォード大学大学院修了。外資系企業勤務を経て、2007年に東空を設立。2011年に東空と酉福ギャラリーを統合し、オーナーに就任。2020年、ギャラリーをA Lighthouse called Kanataへ改称した。日本の現代美術と美意識を国際的な文脈で紹介し、世界各地の美術館、コレクター、アートフェアとの関係を築いている。
Photos by Hidehiro Yamada
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
JCCO
PREMIUM JAPAN AWARD
PREMIUM JAPAN AWARD 2026
PREMIUM JAPAN AWARD
関連記事
投稿 見えない美に光を当て、「彼方」へ 「A Lighthouse called Kanata」が世界に築いた、日本美術の航路 は PREMIUM JAPAN に最初に表示されました。
Features
400年前、京の都を沸かせた壮麗な行列を追体験
2026.9.8
泉屋博古館で開催寛永行幸四百年記念 特別展「寛永行幸と花の都の文化びと」
《二条城行幸図屏風》(部分)江戸時代・17世紀 京都市指定文化財
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
京都の泉屋博古館では、2026年9月5日(土)から10月18日(日)まで、「寛永行幸四百年記念 特別展 寛永行幸と花の都の文化びと」を開催する。今から400年前の寛永3年(1626)、後水尾天皇が徳川秀忠・家光の招きにより二条城へ行幸した「寛永行幸」。江戸時代初期に繰り広げられた歴史的な一大イベントを起点に、そこで花開いた寛永文化と、文化を育んだ人々の交流をひもとく展覧会だ。
《二条城行幸図屏風》左隻部分:後水尾天皇の鳳輦 江戸時代・17世紀 京都市指定文化財 泉屋博古館
《二条城行幸図屏風》右隻部分:徳川家光将軍の牛車 江戸時代・17世紀 京都市指定文化財 泉屋博古館
寛永3年9月6日、天皇一家と公家、将軍、全国の大名がそろう天下の大行列が京の街を進み、空前の活況を呈したという寛永行幸。本展の大きな見どころとなるのが、その様子を描いた泉屋博古館所蔵の《二条城行幸図屏風》だ。
《二条城行幸図屏風》部分:東福門院和子の牛車(右隻)江戸時代・17世紀 京都市指定文化財 泉屋博古館
武家のもとへの天皇の行幸は、歴史上も数えるほど。それを一目見ようと、全国から人びとが集まったと伝えられている。《二条城行幸図屏風》には、天皇の鳳輦や将軍・徳川家光の牛車をはじめ、沿道に集まった人々までが驚異の細密表現で描かれている。本展では、新時代をつげる文化の饗宴を、高精細画像も活用して余すところなく紹介する。
《東福門院像》江戸時代・文政10年(1827) 京都市指定文化財 光雲寺
《東福門院御料 唐衣表着》江戸時代・17世紀(京都市指定文化財 霊鑑寺)京都府指定文化財 【展示期間:9月5日~9月27日】
さらに寛永行幸そのものに加え、その前後から17世紀後半にかけて発展した「寛永文化」にもフォーカス。日本史上で唯一、将軍家に生まれ天皇の后となった東福門院・徳川和子の衣装調度や東福門院の創作品のほか、生涯手元に置いて礼拝したと伝わる「仏舎利塔」も特別出品される。
《百椿図巻》部分 江戸時代・17世紀 根津美術館
《小井戸茶碗 銘 六地蔵》朝鮮時代・16世紀 泉屋博古館東京
後水尾天皇、徳川秀忠・家光、近衞信尋、小堀遠州など、行幸に参加した人々は芸術文化にも深い関心を寄せていた。会場では、彼らの作品や愛蔵の茶道具などを通して、公・武・民の垣根を越えて育まれた文化交流をひもといていく。
後水尾天皇《和歌懐紙 詠寝覚月》江戸時代・17世紀 泉屋博古館
野々村仁清《鶏撮丸香炉》江戸時代・17世紀 泉屋博古館東京
豪華絢爛な行列から、宮廷文化、茶の湯や和歌まで。400年前の京都を彩った文化に触れながら、寛永という時代に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
「寛永行幸四百年記念 特別展 寛永行幸と花の都の文化びと」
【会期】2026年9月5日(土)~10月18日(日)
【会場】泉屋博古館(京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24)
【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜日(9月21日、10月12日は開館)、9月24日(木)、10月13日(火)
【入館料】一般1,200円、学生800円、18歳以下無料
関連リンク
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
関連記事
投稿 泉屋博古館で開催寛永行幸四百年記念 特別展「寛永行幸と花の都の文化びと」 は PREMIUM JAPAN に最初に表示されました。


























