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「ボンボンあめ A・しずく 日本ワイン 白百合醸造」13粒入り・1,836円(税込)
バレンタインデーのお返しとして、3月14日にマシュマロやクッキーなどのスイーツをプレゼントする、ホワイトデーという習慣が日本で定着したのは、1980年代からと言われています。最近ではマカロンなども人気ですが、やはり定番なのはカラフルなキャンディーですね。今年は辛党の女性へ日ごろの感謝の気持ちを伝える品として、勝沼ワインのボンボンあめはいかがでしょうか。
リップグロスのようなあめみつ「スイートリップ」が人気となった榮太樓總本鋪の「あめやえいたろう」が、新作「ボンボンあめ A・しずく 日本ワイン 白百合醸造」を発売。「スイートリップ」のあめみつにワインを加え、薄衣で丸い形に閉じ込めたボンボンあめです。
あめみつには、国産ワインの産地として知られる山梨県勝沼町のワイナリー・白百合醸造の赤ワイン「ロリアン マスカット・ベーリーA樽熟成2017」と、白ワイン「ロリアン 甲州 Vigne de Nakagawa 2017」を使った本格派。あめみつを包む衣は、3週間かけてじっくり乾燥させ、サクッとした軽い食感とザクっとした歯ごたえを感じることができます。
パッケージは、手作り感ある丸い紙箱に、葡萄をうっすら浮き上がらせた和の装い
今回の新作は、赤ワインと白ワインの両方が楽しめるアソートボックスで、あめやえいたろうの伊勢丹新宿店と銀座三越の店舗限定販売のほか、オンラインでも購入可能です。ひとつほおばれば、サクッとした食感と甘さの向こうから、ワインの熟成した香りや酸味、深みが押し寄せます。
辛党の方への甘すぎないスイーツをお探しなら、こんな大人味のキャンディーがピッタリかもしれませんね。
◆ボンボンあめ A・しずく 日本ワイン 白百合醸造
取扱店舗:あめやえいたろう銀座店(東京都中央区銀座4-6-16銀座三越 地下2階)
あめやえいたろう新宿店(東京都新宿区新宿3-14-1伊勢丹新宿 本館地下1階)
※オンラインショップでも販売中
公式サイト:https://www.ameyaeitaro.jp/category/bonbon
揚げ浜式製塩の塩づくり。約400年前から能登に受け継がれてきた伝統的な製法で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。映画『ル ショコラ ドゥ アッシュ』より
東京・自由が丘にあるパティスリー、モンサンクレールのオーナーシェフ、辻口博啓さんに話を訊くために、久しぶりにモンサンクレールを訪れることになった。初めて辻口さんをモンサンクレールに訪ねたのは、15年ほど前のこと。辻口さんは当時すでにモンサンクレール以外のブランドも手がけ始めていたが、今ではコンセプトの異なる13のブランドを展開するまでになっている。チョコレートに特化したブランド、ル ショコラ ドゥ アッシュもそのひとつだ。
ル ショコラ ドゥ アッシュの新作チョコレートは、谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』をコンセプトにしている。この本は英訳や仏訳されていて、とりわけ私が一時期暮らしたフランスでは、知識人を中心にフランスの人々に大きな影響を与えた日本の書物の一つとして知られていた。それだけに私は本書で考察された日本人の感性や美意識をどのようにチョコレートに反映しようと思ったのか興味が湧いた。
谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』をコンセプトにしたル ショコラ ドゥ アッシュの新作チョコレート。左から右へ、陰・翳・礼・讃。米こうじ粉、みりん、エクアドル産カカオを合わせた「陰」。味噌、アプリコット、キャラメルを合わせた「翳」。日本酒、米粉を小さな粒に圧縮させてスフレ状にしたものを加えた自家製プラリネを使った「礼」。山椒、米こうじ粉、加賀棒茶、珠洲の塩を使った「讃」
石川県七尾市の和菓子屋の長男として生まれた辻口さんがこの本と出会ったのは23歳の時。難易度が極めて高いコンクールで、3回目の挑戦でようやく優勝した時のことだ。優勝賞品は憧れのフランス旅行だった。高校時代の恩師に報告したところ、いくら望んでもフランス人にはなれないのだから…、と諭すように渡されたのがこの本だった。
恩師とは、四柳嘉章(よつやなぎかしょう)先生(現在、石川県輪島漆芸美術館館長、美麻奈比古神社宮司)のことで、辻口さんの人生に多大な影響を与えた人物だ。四柳先生の言うことだけは、何でもスッと腑に落ちた。ただこの時は褒められるどころか戒められて腹立たしい気持ちだったこともあり、パラパラとページをめくっただけで終わってしまったという。
それから5年後に改めて『陰翳礼讃』を購入したのは、自分の存在を見つめ直すために必要だと思うようになったからだった。そして本との最初の出逢いから30年余りを経て、ついに4粒のチョコレート作品『陰翳礼讃』が完成した。辻口ワールドの原点であるパティスリーではなく、チョコレートで『陰翳礼讃』を表現した理由を訊ねてみた。
ドキュメンタリー映画『ル ショコラ ドゥ アッシュ』(今年1月に公開された)と、2019年度版C.C.C.ガイドブックで最高の評価を得ることを結びつけたいと考えた時、「恩師からもらった本のことがいつも心の中にあって、今こそ『陰翳礼讃』というコンセプトのチョコレートを表に出す時」と閃いたからだという。
1998年にオープンしたモンサンクレールの前で辻口さんと。この店をオープンする前に南仏にある港町セットで修行した店の裏にあった丘の名前がモンサンクレールだった
C.C.C.ガイドブックというのは、私もメンバーになっているフランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ(略してC.C.C.)」が、毎年チョコレートを品評して、その結果をガイドブックにして発表しているものだ。フランス国内部門と海外部門があり、どちらの部門も上位評価を受けたショコラティエのみ、ゴールド、シルバー、ブロンズという3段階のタブレット(板チョコレート)の色で評価が示される。さらにその年に際立つ才能を感じた作品10点ほどにはアワーズが与えられ、パリのサロン・デュ・ショコラの会期中にフランス最優秀ショコラティエの発表と併せて、アワーズ受賞者を表彰することが恒例となっている。
C.C.C.ガイドブックで品評されるには、各ショコラティエは期日までに規定のチョコレートを提出しなくてはならない。これまで辻口さんは、ナノショコラ、DNAなど、毎年ひとつのテーマを決めて挑戦してきた。最高の評価を得続けるために『陰翳礼讃』で勝負に出たのだった。
165年の歴史を持つマルコメ株式会社(長野市)の全面協力を得て、日本古来の糀と、11年間という歳月を経て熟成した味噌を特別に譲ってもらったことが新作チョコレートに繋がった
映画『ル ショコラ ドゥ アッシュ』では、揚げ浜式製塩で塩づくりを体験する辻口さんの姿が映しだされている。国の重要無形民俗文化財に指定されているこの製法は、約400年前から能登に受け継がれてきたものだ。奥能登一帯に伝わる「奥能登のあえのこと」というユネスコの無形文化遺産や国の重要無形民俗文化財に指定されている興味深い田の神行事の紹介もある。
さらに味噌、みりん、加賀棒茶、米粉…、そしてエクアドルのカカオと、日本の伝統的な食材はもちろんのこと、チョコレートの原料となるカカオの農園も訪ねた。これらは全て新作チョコレート『陰翳礼讃』の素材にしているものだった。辻口さんによれば、カカオの醗酵と日本の醗酵とのマリアージュ、そこに自分の存在意義があるということをこの映画を通じて解き明かしたかったのだという。
…… 羊羹の色あいも、あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる…… 谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』より
ボクは漆黒の闇の世界に、みんながあまり見ない部分にこそ、本質が隠されていて、その本質をより深く追求することこそが日本の美意識だと思うのです。それを心に留めて自分だけにしかできない方法で世界に発信していきたいのです。
text © Mika Ogura 2019
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)エッセイスト、食文化研究家
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【商品情報】
●C.C.C. ショコラ 陰翳礼讃 C.C.C. CHOCOLAT In Ei Rai San
糀、味噌、日本酒、山椒、加賀棒茶といった日本の素材を使って谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』の世界をショコラで表現した全4種の味わいを詰めたコフレ。
4粒入り 1,901円(税込)
菱餅カラーのボックスに3種類を詰め合わせる「ひな菓子」2,376円(税込)
3月3日は桃の花や雛人形を飾って女の子の成長を祝う桃の節句。美しい雛人形とともにお供えする菱餅や雛あられは、淡いパステルカラーが愛らしい、春を感じるお菓子ですね。今年も雛祭りにちなんだ、お人形のように美しくて儚い、季節限定のお菓子が販売されて話題となっています。
銀座や青山でスタイリッシュな和菓子店を展開しているHIGASHIYAが、桃の節句に合わせた2月から季節限定で春のお菓子を販売しています。
2019年3月3日(日)までの期間限定で登場するのは、国産の有機もち米を使用したあられに、海苔や抹茶、醤油で味付けした「ひなあられ」。中にクローブで味付けした松の実をプラスして、HIGASHIYA流に仕上がっています。この「ひなあられ」と、昔ながらの京飴「錦玉」、落花生ときな粉の「きなこ豆」の3種類を箱詰めにした「ひな菓子」はパーティの手土産やプレゼントに喜ばれそう。
菱餅型の干菓子「雛菱(ひなびし)」4,104円(税込)
同じく3月3日(日)までの期間限定で登場するのは、菱餅の形をした「雛菱(ひなびし)」。桃とハッカ、ヨモギで香り付けをした3色の干菓子で、口に入れると柔らかにほどけていくような口どけの良さが自慢です。
透明感のある春らしいお菓子「桜の道明寺羹」2,592円(税込)
さらに、3月1日(金)から4月上旬までの販売となる「桜の道明寺羹」もおすすめ。静岡県産大島桜の葉を練り込んだ淡い色合いと、もっちりした食感を楽しむことができます。
HIGASHIYAの各店では、ほかにも「桜餅」や「あま酒」、「さくら汁粉」なども用意していて、早くも春を迎える準備は万端。まだ寒い日もありますが、パステルカラーの雛菓子をいただいて、春気分で節句をお祝いしたいですね。
◆HIGASHIYA 季節限定品
販売店舗:HIGASHIYA GINZA(東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル2階)
HIGASHIYA man(東京都港区南青山3-17-14)
HIGASHIYAオンラインショップでも販売しています。
商品販売期間の詳細は、公式サイト:https://higashiya-shop.com/
トップのホイップクリームからトッピング、アイス、シロップなど、組み合わせはなんと88.200通り!
祇園の辻利と言えば、言わずと知れた宇治茶の老舗。辻利のお茶を使った抹茶スイーツを提供する茶寮都路里も数々の人気メニューを生み出した人気店です。そんな名店の抹茶パフェを自分好みにオーダーして楽しめる、夢のような企画が話題を呼んでいます。
茶寮都路里 祇園本店のみの企画「オーダーメイドパフェ」が、2019年2月28日(木)まで、期間限定で開催中。お1人様1,300円(税込)で注文すると、トップのクリームからアイス、クッキー、ゼリー、シロップまで、オーダーカードにある8項目すべてをお好みでオーダーできるシステム。通常メニューにはない食材も選ぶことができます。
オーダーカードでチェックするだけで自分好みのパフェが完成。
アイスだけでも、バニラや抹茶、ほうじ茶や玄米茶、桜アイスなど、7種類も用意されていますし、トッピングには人気のクッキー「つじりの月」や「つじりの里」をラインナップしていますよ。すべてを抹茶で統一したり、ほうじ茶一色のパフェ、なんてのも面白いですね。
素材の組み合わせを考えるのが楽しい、味わって嬉しいオーダーメイドパフェ。抹茶スイーツファンなら、1度体験してみる価値はありそうですね。
◆茶寮都路里 祇園本店限定「オーダーメイドパフェ」
販売期間 :2019年2月28日(木)まで
提供店舗 :茶寮都路里 祇園本店
京都市東山区祇園町南側573-3 祇園辻利本店2階・3階
営業時間:10:00〜22:00(L.O. 平日21:00 / 土日祝20:30) (定休日:無休)
公式サイト:http://www.giontsujiri.co.jp/saryo/store/kyoto_gion/
前菜。鴨のフォアグラのプレッセ、イチジクのジュレ、赤いビーツのシャーベット、黄色いビーツ、カカオニブ、抹茶チョコレートのコポー(後がけ)
フランス・パリから南東に車で1時間ほどのところにあるフォンテーヌブローは、かつての王の狩場だった広大な森と、中世から19世紀まで歴代の国王や王妃や皇帝が暮らした宮殿がある壮美なところだ。多くの印象主義の画家を魅了したことでも知られる。日本人とも無縁ではない。明治期に活躍した洋画家、浅井忠は、夏目漱石の小説『三四郎』に登場する深見画伯のモデルとされる人物だが、『フォンテーヌローの森』などフォンテーヌブローを題材にした作品を遺した。日本人にとっても絵画を通して親しんでいる場所なのだ。森と宮殿は1981年にユネスコの世界文化遺産に登録された。
フォンテーヌブロー城の正面玄関(当時、左階段は王だけが使うことができた。右階段は来賓用。この日は王だけに許された左階段から登ることができた)
この宮殿内のかつての歴代王のダイニングで、ミシュラン®ガイドで1つ星の日本人シェフによるチョコレートを使ったフルコースを味わうという贅沢なディナーが開催された。宮殿はフランスで最も大きなものの一つとされ、現在は国立美術館として一部が一般公開されていているが、歴代王のダイニングは普段は非公開の場所である。
そこは幾つもコラム(円柱)と大理石や大鏡に囲まれた荘厳な大広間で、宮廷の豪奢な生活が目の前に繰り広げられそうな雰囲気があって、佇んでいるだけでも充分に幸せな気持ちになれた。
料理を担当したのは、フォンテーヌブローにあるレストラン ラクセルのオーナーシェフで、大分県出身の後藤邦之氏(以下クニヒサさん)。クニヒサさんは、フランス料理に情熱を燃やして25歳の時に渡仏した。15年前にフォンテーヌブローに一時期住んでいたことがあって、その時にいつかここでレストランをやってみたいという気持ちが芽生えていったそうだ。動機となったのは、季節に関係なくいつも多くの観光客が訪れる場所で、パリ近郊という立地条件の良さがあるのに、ミシュラン®ガイドで星が付くようなレストランが一軒もないことだった(今も星を獲得しているのはレストラン ラクセルのみ)。
レストラン ラクセルのオーナーシェフ、後藤邦之氏
独立する前からすでに料理界から「若き才能」として注目される存在だったが、2012年にヴァネッサ夫人とともにフォンテーヌブローでレストラン ラクセルをオープンすると間もなく、ゴーミヨ®で「Grand de Demain (未来の巨匠)2013」と評価され、翌年2月にはミシュラン®ガイドで1つ星を獲得した。
ラクセルで食事をする度に、日本の食材をうまくフランス料理として活かしていることが心に残る。そうクニヒサさんに伝えると「地元の人たちは日本食材をほとんど知らないので、自分の料理を通してうまく広めていけたらいいなぁと思ってやっています」と、応えた。
前菜のお供として出された絶品ショコラのブリオッシュ by Frederic Cassel
今回のディナーは、フォンテーヌブローに本店を持つフランス人パティシエ、フレデリック・カッセル氏が会長を務める「アンペリアル・ショコラ」の会期中に初の試みとして催された。「アンペリアル・ショコラ」はフォンテーヌブロー城で開催されるチョコレートの祭典である。若手育成のために地元で開催したいという、カッセル氏の長年の夢が実現したものだった。ディナーでは、カッセル氏もショコラのブリオッシュ、パン、デザート、そして最後の小菓子を担当した。また日仏友好150周年を記念して、日本からは明治ザ・チョコレートのチームも参加した。日本企業が参加するのも初のことだった。
メイン。雌鴨のフィレ。シナモン風味のブルグル(地中海沿岸の食材でプチプチした食感が楽しめる全粒穀物)、栗と人参のクリーム、カカオソース
当日のメニューは、ムール貝と青リンゴをカレー風味のスープ仕立てにしたアミューズから始まり、前菜は鴨のフォアグラ、メインは雌鴨のフィレ、ショコラのデザート、最後に飲み物と小菓子(ショコラ)という流れだった。食材として鴨を選んだのは、「チョコレートの味わいに負けないような素材を考えた末に決めた」のだそうだ。
前菜の鴨のフォアグラのプレッセは、イチジクとビーツのシャーベットとカカオニブが艶やかな彩りと新鮮な味わいを演出していた。そこに明治ザ・チョコレートの抹茶をベースにして作ったチョコレートの塊をトリュフのように薄く削って散らして、和の香りを添えたのだった。お供のショコラのブリオッシュには、メキシコホワイトカカオから作られたチョコレートとカカオニブが使われるという贅沢さだ。(メキシコホワイトカカオについては> コチラから)
メインは雌鴨のフィレに、色鮮やかな栗と人参のクリームとシナモン風味の全粒穀物ブルグルとカカオソースを添えたもので、冬の味覚が五感で味わえて栗とショコラ好きにはたまらなく魅力的だった。
デザート。インスピレーション・ジブン by Frederic Cassel. 希少なベリーズ産のカカオから作られたチョコレートを使用している
ベリーズ産のプレミアムカカオを使用したデザートと最後のショコラに至るまで、同席していたフランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」のメンバーたちも、誰もが大いに絶賛していた。
中世の衣装に身を包んだ喜劇団カンパニー・デ・アルルカン(後方)が寸劇を披露してくれた。フレデリック・カッセル氏(左)、フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」のメンバーたち(手前)と一緒に
「皆さんに喜んでいただいたので機会があればまたやってみたいです」と、クニヒサさんは言った。試行錯誤して着地してみたら、チョコレートという新たな引き出しが一つ増えていたようだ。いつか日本でもレストランやパティスリーを開きたいという夢もある。レストラン ラクセルは改装工事に入った。リニューアルオープンする4月には、さらに進化したクニヒサさんの料理に出逢えることだろう。
text © Mika Ogura 2019
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか) エッセイスト、食文化研究家
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【店舗情報】
レストラン ラクセル RESTAURANT L'AXEL
43 rue de France 77300 Fontainebleau FRANCE
定休日:月曜日(終日)、火曜日(終日)、水曜日(昼)
電話:+33 1 64 22 01 57
info@laxel-restaurant.com
※現在は改装中のため閉店。4月にオープン予定。
【商品情報】
●デクヴェルト
ディナーの最後に飲み物と一緒に登場したフレデリック・カッセル氏のショコラが日本でも味わえる。カッセル氏が仲間と取り組んでいる「カカオ・フォレスト」という良質なカカオを守り育てる活動を通じた“発見(デクヴェルト)”をテーマにしたショコラたち。その活動拠点であるドミニカ共和国産の良質なカカオを使ったカッセル氏初の試みとなるオリジナルチョコレート「デクヴェルト」を使ったショコラを始め4種のプレーンタイプに、カカオ農園の生活向上にも貢献しているフルーツを使った2種類のショコラを加えた全6種の味わいを詰めたコフレ。
フレデリック・カッセル三越銀座店 6個入り 3,024円(税込)
(以前この連載でカッセル氏の柿のミルフイユをご紹介した>コチラから
「玉露のフルコース」1,200円(税込み)
LEXUSが提案するライフスタイルを体験できるスペースINTERSECT BY LEXUS–TOKYO。人気シェフや話題の食材とコラボレーションした、ここだけでしか食べられないメニューを提供する館内のビストロに、2月からの期間限定メニュー「玉露のフルコース」と、バレンタインのプレミアムな抹茶チョコレートが登場しました。
「玉露のフルコース」は、全国に13人しかいない玉露の匠“茶審査技術十段茶師”が選んだ八女茶、宇治茶の玉露を、飲んで、食べて、甘味として三度味わうコースです。
まずは好みの茶葉を選択し、様々な硬度の水の中から1種類を選び、お茶を淹れて味わいます。水によってお茶の味が変化することを体感した後は、茶葉そのものを白米の上にのせ、抹茶塩と共にいただきます。デザートには、クルミ練乳ソースの練りわらび餅を。温かなわらび餅に玉露を合わせることで、お茶の香りと柔らかな食感の両方を楽しむことができます。
INTERSECTオリジナル「宇治抹茶生チョコレート」2,500円(税込み)
星野抹茶チョコレート「北斗七星」756円(税込み)
さらに、2月12日(火)~2月14日(木)には、今回のフルコースで八女茶の玉露を提供している福岡県八女市「星野製茶園」の抹茶チョコレート「北斗七星」と、予約完売することで話題の練り菓子専門店「銀座かずや」の「宇治抹茶生チョコレート」も登場。どちらも、3日間だけの限定販売なので、見逃せません。
八女茶と宇治茶の玉露の深いコクや旨みを味わい尽くすフルコースは、ほかにはない、ここだけの体験を約束してくれるはず。1年で最も寒さが厳しいこの時期、温かな玉露と抹茶チョコレートで、心までほっこりするのもいいですね。
◆INTERSECT BY LEXUS – TOKYO「玉露のフルコース」
店舗住所:東京都港区南青山4-21-26
営業時間:1F CAFÉ SHOP&GARAGE 9:00〜23:00、2F BISTRO LOUNGE 11:00〜23:00
公式サイト:https://lexus.jp/brand/intersect/tokyo/
全6種類のショコラを3種のパッケージで用意
バレンタイン商戦が佳境を迎えるこの時期は、ショコラティエの趣向を凝らした新作が一斉にショップに並び、甘党がワクワクする季節でもあります。そんな、甘いもの好きさんに是非ともお勧めしたい、老舗茶舗の自信作が登場しました。
江戸後期より続く宇治抹茶の老舗、伊藤久右衛門が、こだわりの抹茶とほうじ茶を味わってもらいたいと、新作のバレンタインチョコレート「ショコラコレクション」を2019年1月から販売しています。
扇型のパッケージを開けると、煌びやかな錦絵をベースに伝統の石臼挽きによる宇治抹茶と人気の高いほうじ茶の2種類の茶葉を使ったチョコレートが、宝石のように配置され、丸い形をしたグラントリュフは、宇治抹茶のガナッシュをホワイトチョコと抹茶チョコでコーティングしたもの。四角いボンボンショコラは、ほうじ茶とクラフトウォッカ、宇治抹茶とクラフトジンを組み合わせた、芳醇な洋酒が香る一粒です。
宇治茶ショコラコレクション -梅- 1,800円(税込)
さらに、一口サイズの板チョコレートも薄茶や濃茶など3種類あり、全6種類のショコラを4個、6個、9個と組み合わせた3種のパッケージを用意しています。
このほかにも、伊藤久右衛門では定番人気の「宇治抹茶生チョコレート」や抹茶チョコとイチゴを組み合わせた「お茶苺さん」など、和×洋のコラボチョコを多数ラインナップ。
江戸後期・天保3年から続く宇治抹茶の老舗ならではのハイクオリティな仕上がりで、渋好みの男性やご年配の方への贈り物としても最適です。
◆伊藤久右衛門「ショコラコレクション」
発売日:2019年1月より順次販売開始
価格:「ショコラコレクション-椿- 4個入」1,200円(税込)
「ショコラコレクション-梅- 6個入」1,800円(税込)
「ショコラコレクション-藤- 9個入」送料込み3,500円(税込)
※いずれもオンラインショップでの販売価格
公式サイト:https://www.itohkyuemon.co.jp/site/valentine/index.html
「モレ・ネグロをかけた七面鳥料理 Mole Negro con Pechuga de Guajolote」。メキシコシティにあるオアハカ料理のレストラン「グジーナ・オアハカGUZINA OAXACA」にて
メキシコではチョコレートを使った様々な伝統料理にも出逢った。メキシコホワイトカカオが育つ農園内のコロニアル式建物のテラスにてランチをいただいた時のこと。ビュッフェ形式のメニューに、タマレス(単数形はタマル)という古代オルメカ時代から食されてきた料理があった。トウモロコシの粉で作られた生地に鶏肉や豚肉を入れたものがバナナの葉に包んで蒸してあって、見た目は大ぶりのチマキのようだ。何種類かある中からチョコレート入り“モレ”ソースと鶏肉が入ったものを選ぶと、給仕スタッフがバナナの葉を開いて食べやすいように整えてくれた。ソースと肉の旨味が全体にしっとりと広がっていて、すべてが絶妙なバランスで深く印象に残る味わいだった。
チョコレート入り“モレ”ソースと鶏肉が入ったタマレスという古代オルメカ時代から食されてきた料理(上)。給仕スタッフがバナナの葉を開いて食べやすいように整えてくれた(下左)。メキシコホワイトカカオが育つ農園内のコロニアル式建物のテラスにて(下右)
こんなふうにカカオやチョコレートはあたり前のように料理にも使われていた。メキシコ料理はカカオ生産国で唯一ユネスコの無形文化財にも登録されているだけあって、ガストロノームたちを喜ばせる伝統料理が数多くある。“モレ”もその一つだ。
“モレ”とは何種類もの食材をすり潰して作る多種多様なソースのことをいう。チョコレート入り“モレ”をメキシコで初めて食べたのは、20年近く前にユカタン半島にあるカンクンのリッツカールトンに宿泊したときのことだった。チョコレート入りは、モレ・ポブラーノが知られている。この“モレ”について知りたくて、発祥地とされるメキシコシティから南東へ車で2時間ほどの町プエブラまで出かけたこともあった。チョコレート入りは甘いと思われがちだが、現地で食したものはスパイシーで深みのある魅力的な味わいだった。この時の顛末は拙著『ショコラが大好き!』で詳しく紹介している。
タパチュラのチョコレートショップ「CHOCO ELENA」にて。ショップの奥にあるアトリエで、店主がチョコレート作りを実演(上右、下)。マダムはチョコレート入り“モレ”の鶏料理を作るところを見せてくれた(上左)
今回タパチュラのチョコレートショップで、チョコレート入り“モレ”の鶏料理を作るところを見せてもらった。先ずはショップの奥にある年季が入った機械が並ぶアトリエで、チョコレート作りから実演してくれた。出来上がったものを少し口に入れてみたら、手作業ですり潰したような粗挽き感があった。そのまま食べる為ではなく、ドリンクなど加工用だそうだ。もちろん “モレ”作りにも使っていて、さまざまなスパイスが調和してコクのある料理に仕上がっていた。家ごとにママの味がある奥深い料理である。
カカオとチョコレートに包まれた日々を過ごしたのに、メキシコを去る前に何が食べたいかと訊かれ、即座に頭に浮かんだのは、チョコレート入り“モレ” をかけた七面鳥だった。
訪れたのはメキシコシティにあるオアハカ州の料理を専門とするレストラン。オアハカではチョコレート入り“モレ”はモレ・ネグロ(黒いモレ)と呼ぶ。名前の通り墨色をしていて、モレ・ポブラーノとは使う素材もレシピも違うため、見た目だけでなく味わいも異なる。肉を柔らかく煮込んでいるプエブラのものに比べ、最後に茹でた肉を合わせているためか、肉がしっかりとした食感を保っていることも新鮮だった。チョコレートを使った“モレ”といっても、地方によってかなり違うことを改めて実感することとなった。
今では料理に鶏を使う方が一般的のようで、なかなか北米原産の七面鳥を使った昔ながらの“モレ”料理には出会えない。そのため帰国前に七面鳥を使った“モレ”が食べられたことはなんと幸運なことだろう。
東京・京橋の「明治ハローチョコレート」という体験型施設にて催されたイベント「メキシコホワイトカカオヌーボーを愉しむ会」では明治カカオクリエーター®の宇都宮洋之さんが特別に講師を務めた
明治のカカオクリエーター®の宇都宮洋之さんのカカオの旅に同行したことで、メキシコホワイトカカオを“識る”という極めて貴重な体験をさせてもらった。ところが嬉しいことに帰国後にも探究心と味蕾が喜ぶ出来事が待っていたのである。
収穫したばかりの生のメキシコホワイトカカオを五官で感じながら、それについて学び、チョコレートなるまでの実演があり、味わうこともできたのだった。それは昨年11月に東京・京橋にオープンしたばかりの「明治ハローチョコレート(Hello,Chocolate by meiji)」という体験型施設で、宇都宮さんが講師を務めたイベント「メキシコホワイトカカオヌーボーを愉しむ会」が催された時のことだった。
メキシコホワイトカカオをすり潰したばかりのなめらかなチョコレートは、板状に固める前の状態なので、口に含むと舌を包むようにとろりと広がって芳しいカカオの香りを放つ。別のチョコレートとも比較ができるように、メキシコホワイトカカオと同様にブラジル産カカオ豆もすり潰したばかりの状態で味わった。これもまた魅力的だったが、比べてみると、メキシコホワイトカカオを使った方は繊細な風味がより際立って感じられた。
レッスンは映像や実演や味覚を含む五感体験を織り交ぜながら進むので、参加者は皆さらなる好奇心を掻き立てられたに違いない。私にとっても現地で得たばかりの知識や経験がさらに広がって満足度は想像以上に高かった。
メキシコで育つカカオの品種。宇都宮さんが指差しているのがメキシコホワイトカカオ、カルメロ種。国立農牧林研究所(INIFAP)にて
今回のカカオの旅を経て、カカオやチョコレートは知ることによって、さらなる魅力に出逢うきっかけにもなることを実感した。「明治ハローチョコレート」は初めての人はもちろんのことリピーターにも楽しめる内容になっている。カカオ産地に旅する予定の有無にかかわらず、一度参加してみてはいかがだろうか。これまでとはまた違った扉がきっと開けることだろう。
text © Mika Ogura 2019
《“カカオの旅”シリーズは全4回でお届けしました》
“カカオの旅1” >>コチラから
“カカオの旅2” >>コチラから
“カカオの旅3” >>コチラから
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【商品情報】
●明治ザ・チョコレートSENSATION ペルーダーク
カカオの特徴的な3つの香味(ナッティ、フルーティ、フローラル)の内、フローラル調の香味が特⻑のペルー産のカカオマスを使用し、明治独自の“リッチアロマ製法”でカカオの香味を引き出したチョコレート。明治のカカオクリエーター®の宇都宮洋之さんによると、「“リッチアロマ製法”は、カカオ生産地における研究からローストやすり潰す方法や条件によって、香りの出方が異なることに着目したものです。メタテ(石板)とマノ(石棒)を使ってカカオをすり潰していたことからヒントを得た製法で、製造工程でカカオ本来の香味を逃がすことなく、最大限閉じ込めることができるようになりました」とのこと。そのおかげで従来よりも一段と香り高い、芳醇な花のような香りを堪能できるという。
1,080 円(税込)/ 3枚入り カカオ70%
●明治ザ・チョコレートSENSATION 2019 Limited Assortment
“リッチアロマ製法”で一段と香り高いカカオの香味を引き出した「明治ザ・チョコレートSENSATION ペルーダーク」と、4種の素材を組み合わせた「明治ザ・チョコレート」シリーズ初のひと粒デザートショコラ。生クリーム入りで上品な甘さがとろける〈ミルク〉、ラズベリージュースを練り込み、果実感が弾ける〈フランボワーズ〉、ヘーゼルナッツペースト入りで香ばしく深みのある〈ジャンドゥーヤ〉、明治で初めてカカオのジュースを練り込んだ、澄みわたる酸味が味わえる〈ジューシーカカオ〉の個性豊かな4粒は、どれも滑らかな舌触りとくちどけの良さが愉しめる。
1,620 円(税込)/ 4粒入り
【販売場所】
サロン・デュ・ショコラ 2019東京会場(1/23〜29:新宿NSビル・イベントホールで開催)
【お問合せ】
明治 お客様相談センター
TEL 0120-041-082
●明治ハローチョコレート Hello,Chocolate by meiji
「明治ハローチョコレート」には、本文で紹介したイベント以外に、チョコレートについて広く深く、専門的に学ぶことができる「Hello,Chocolate LESSON」と、チョコレートについて気軽に体験できる「Hello,Chocolate TOUR」という2つのプログラムが用意されている。
東京都中央区京橋 2-4-16 明治 京橋ビル1F
平日 9:00~17:00 (土・日・祝日・年末年始・休業日を除く)
WEBサイト https://www.meiji.co.jp/sweets/hello-chocolate/
【お問合せ】
明治ハローチョコレート事務局
TEL 0120-055-067
バレンタインデーに合わせて4種類の新作チョコレートが登場
そろそろバレンタインのチョコレート売り場が賑わいを見せる時期。お世話になった方へ贈る方も、自分へのご褒美チョコを探す方も、チェックしておきたい新作チョコレートが1月からお目見えしています。
全国のモロゾフの店舗では、いけばな三大流派のひとつである草月流とコラボレーションした華やかなチョコレートボックスが登場。その名も「Foi D'amour by SOGETSU」で、草月流に愛の証を表現し、“花”と“実”と“枝”に見立てた3種類とそのすべてを味わえる詰め合わせの4種類です。
ローズやチェリーなど3種のお味が楽しめる「花-HANA-」9個入1,200円、5個入600円、3個入400円
ローズやチェリーなどお花をイメージしたチョコレートを和モダンなパッケージに詰めた「花-HANA-」、柚子や木苺など実をイメージしたトリュフチョコレートの「実-MI-」、大きな木の枝から落ちる雫のような形のプレーンチョコ「枝-EDA-」の3種類のラインナップは、個数違いでそれぞれ数種類のパッケージを用意。さらに、「草月-SOGETSU-」は、いけばなの基本の器である丸水盤をイメージした丸いパッケージに27個のチョコレートを活けるように配置し、花と実と枝のすべての味が堪能できる豪華版ボックスです。
全ての味が1箱に詰まった「草月-SOGETSU-」27個入2,000円
1932年に日本で初めてバレンタインチョコレートを販売したモロゾフは、毎年様々なテーマでギフトボックスを展開していますが、今年は草月流とのコラボ。パッケージもチョコのお味もスタイリッシュですから、美に敏感な方への贈り物に最適ですね。
◆モロゾフ「Foi D'amour by SOGETSU」
取扱店舗:全国のモロゾフ店舗、バレンタイン催事場
展開期間:2019年1月上旬~
公式サイト:http://www.morozoff.co.jp/
ホワイトカカオ カルメロ種
カカオの木の若葉には、赤みを帯びたものと若草色のものがある。メキシコホワイトカカオになるカルメロ種は、若草色をした若葉で、カカオの実は涼しげな夏虫色(淡い緑色)をしていた。清少納言『枕草子』にある「…なつむしのいろしたるもすゞしげなり」の如くである。
明治カカオクリエーター®の宇都宮洋之さんから、この品種をバランコ®という名前で明治が商標登録したことを訊いた。スペイン語で白いという意のBlanco ブランコと、マヤ神話に登場するジャガーの神イシュバランケー(シュバランケ)を合わせた造語だそうだ。
発酵を終えたホワイトカカオ豆は、天日干しになっていた。ホワイトカカオ豆の断面はこの時点ではまだ白い。乾き過ぎないように数日かけて少しずつ乾燥させる
この品種は、かつてワイン農家だったカルロス・エチェベリーアという男性の情熱によって守られてきたものだった。物語は百年近く前にカルロスが小さなカカオ農園エル・カルメロを手に入れたことから始まる。農園には生カカオ豆の断面が100%白色をした品種があった。カルロスはそれをクリオロ・ブランコと呼んで、ワイン畑で培った接ぎ木の技術を生かしてこつこつと増やし、50ヘクタールのクリオロ・ブランコ畑にしたのだった。これが現在カルメロ種として知られるホワイトカカオである。そしてカカオの質の高さを誇りエル・カルメロという農園名を、スペイン語で宝石を意味するラ・ホヤに改めた。残念なことにカルロスの死後、跡を継いだ息子は父が宝石と讃えたカカオ畑に価値を見出せずサトウキビ畑に変えてしまう。かろうじて娘のクララが父の遺志と情熱を受け継いで、2.5ヘクタールだけ父のカカオを育てることにした。それが2010年にパリのサロン・デュ・ショコラで開催されたインターナショナルチョコレートアワードの受賞につながり、ラ・ホヤ農園の名が欧米でも広く知られるようになったことを知る人は少なくない。2年後にはメキシコ政府推奨品種として認定され、農園の未来は輝きにあふれていた。ところが数年前にクララが他界してからは、農園は荒れ、再び種の存続が危ぶまれる状態に陥ったのだ。
ホワイトカカオの接ぎ木の作業。左上から右上、左下から右下へと作業が進む。ホワイトカカオの穂木から芽の部分だけを取り、切り込みを入れた台木の皮の部分に差し込み、上からテープで巻きつけて固定していく
ホワイトカカオは前回ご紹介したように、一度でも生カカオ豆が紫色をした品種と交配すると100%白色をしたカカオ豆には戻らない。宇都宮さんによれば、接ぎ木によって苗木から育てることは、クローンを作ることなので、紫色のカカオ豆の品種が混ざることなく、限りなくホワイトカカオを栽培することが可能になるという。
苗木センターで接ぎ木の作業を見せてもらった。芽のついた穂木を土台となる台木と合わせていく作業を、5・6人のスタッフが手際よく進めていた。芽接ぎ法と呼ばれるこの方法は、日本でもワインや桜や桃などの栽培に広く使われている。
苗木センターには作業を終えた6万本の苗木が待機していた。将来的には前回ご紹介したカカオ農園で接ぎ木を始めとする全ての作業ができるようになるという。苗木が沢山できるので、地元に還元するために地元の農家に無償で配布する予定もある。ただし自然交配で育てるようになると、これまで説明してきた理由で生カカオ豆が100%白色になるとは限らない。
現場スタッフとミーティングをする明治カカオクリエーター®の宇都宮洋之さん。2016、2017、2018 の3種類を食べ比べてみると、同じホワイトカカオでも味わいに違いがあることがわかる。出来上がったチョコレートの色も年代によって違う
宇都宮さんが発酵と乾燥作業を担う現場スタッフとミーティングをする場に同席させてもらった。2016年から2018年まで3種類の年別メキシコホワイトカカオを皆で食べ比べる。そして発酵・乾燥したカカオ豆の断面の画像をそれぞれ年度別に見ていった。例えば2016年度のカカオ豆の断面は、別の年のカカオ豆が茶色になっているのに対してかなり白く見えた。これは発酵が足りなかったことを示しているのだそうだ。そこで翌年は目的温度を超えるまで発酵を長くすることで味が向上したという。こうしてさまざまなデータを元に改善していく。
私も現場で話を聞きながら食べ比べてみて違いが実感できた。2017年度のものは、とりわけナッティでクリーミーな仕上がりだ。農作物のために年によって違いが出るというだけでなく、その後の発酵・乾燥工程によって、これほど違った味わいが生み出されることに驚かされた。この二つの行程をコントロールすることで味を作り出すことは、農園からチョコレートまでを手がけるFARM TO BARだからこそできることであり、カカオクリエーター®の醍醐味とも言えるだろう。
農園ではホワイトカカオの植樹をして、植樹の場所を印した記念プレートを作成してもらった
ラ・ホヤ農園の宝石は、バランコ®として明治カカオクリエーター®の宇都宮さんを始めとする明治ザ・チョコレートのチームへ受け継がれることになった。
宇都宮さんは国立農牧林研究所(INIFAP)のアバンダーニョ博士から、メキシコホワイトカカオに使っているカルメロ種は、ラ・ホヤ農園から来たものだから大切にして欲しいと言われたそうだ。古代マヤ人が大切に守ってきたカカオは、情熱ある地元農家に再び見出され、結果的に時代と国を超えてメキシコホワイトカカオへと託されたのだった。
text © Mika Ogura 2019
《本シリーズは全4回を予定しています。“カカオの旅4”に続く》
“カカオの旅1” >> コチラから
“カカオの旅2” >> コチラから
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【商品情報】
●明治ザ・チョコレート メキシコホワイトカカオ ダーク
限定商品「明治ザ・チョコレート メキシコホワイトカカオ」は、世界的にも非常に希少といわれているメキシコ産の“ホワイトカカオ” を使用し、苦味や渋みが少なく、クリーミーな旨味やコクが口いっぱいに広がる味わいに仕上げました。「メキシコホワイトカカオ」が昨年のサロン・デュ・ショコラ東京会場や一部百貨店で人気を博したことを受け、今年のバレンタイン期間に装いも新たに限定発売します。
3枚入り 1620円(税込) カカオ分70%
●明治ザ・チョコレート メキシコホワイトカカオ ミルク
「メキシコホワイトカカオミルク」は、「メキシコホワイトカカオダーク」にミルクを合わせ、より芳醇でコク深い 味わいを実現しました。
3枚入り 1620円(税込) カカオ分63%
【販売場所】
サロン・デュ・ショコラ 2019(1/22〜29:新宿NSビル・イベントホールで開催)、阪急うめだ本店、ジェイアール名古屋タカシマヤを始めとする一部百貨店に加え、通販サイト(1/8〜数量限定:アマゾン、ロハコ、Rakuten Direct)でも販売します。
【お問合せ】
明治 お客様相談センター
TEL:0120-041-082
ホワイトカカオ(カルメロ種)
メキシコシティから飛行機にて2時間弱で、メキシコ南西部の太平洋岸に面したチアパス州ソコヌスコ地域にある中心都市タパチュラに到着する。この日のフライトは霧のために大幅に遅れて日をまたいでの到着となった。
翌朝、まずはメキシコホワイトカカオがどのようなカカオなのかを学ぶところからスタートした。国立農牧林研究所(INIFAP)のカルロス・アバンダーニョ博士に、研究所内のカカオ農園などを案内してもらう。明治のカカオクリエーター®の宇都宮洋之さんから「これがホワイトカカオになるカルメロ種のカカオの木ですよ」と教えてもらい、そのカカオの木のところまで行って写真まで撮ってもらったが、あまりにもカカオの品種とそれぞれの特徴がバラエティーに富んでいて、最初は前日のフライトのように私自身が霧の中にいるような状態だった。
昔ながらのカカオ農園にて。ホワイトカカオ以外のカカオの種子は紫色をしていることが多い。
それでもこの品種はカカオの実を割ると一目瞭然で、断面はどれも真っ白だ。カカオの種子は紫色をしていることが多い。たまに一つの実の中に白と紫が混在していることもある。宇都宮さんによると、ホワイトカカオが紫色の品種と一度交配してしまうと、カカオの実の断面が真っ白になることはないそうだ。
今回のカカオの旅では昔ながらの農園も訪ねたが、カカオの実の断面を見せてもらうと紫色をしていた。
日本から持参した検査器具でさまざまなテストをする宇都宮さん。発酵と乾燥はカカオを作る上において最も重要な作業だという。発酵過程における検査でもホワイトカカオの断面は白色だった。
次に訪れた明治のメキシコホワイトカカオが育つ農園では、なるべく隔離した状態で育てるために山を切り開いての大掛かりな農地拡張と灌漑設備のための工事をしている最中だった。宇都宮さんは水源となる川まで来ると、水質に関する多くの質問を投げかけた。その様子から水質の重要性は明らかだった。それに対しプロジェクト責任者は水質の検査結果もデータ化され準備万端と大いに胸を張った。
ホワイトカカオの苗木が行儀良く等間隔に植えられている場所を眺めながら、宇都宮さんにメキシコでホワイトカカオを作ろうと思った理由を尋ねてみた。
宇都宮さんは年に1度カカオ産地を視察するだけでは、カカオの味に手を加えることができないことにもどかしさを感じていた。カカオの作り方から見直してみることを思い立ち、2005年くらいから本格的にカカオ産地に出かけるようになったという。翌年には社内の数人の研究者で立ち上げたベネズエラのカカオの研究プロジェクトをスタートさせ、カカオ栽培から発酵・乾燥までを調査して、2年ほどで明治独自の農業指導要項を完成させた。良質なカカオを安定供給してもらうため、その農法を現地のカカオ農家に少しずつ浸透させたのだそうだ。
明治のメキシコホワイトカカオが育つ農園。灌漑用水管のための溝を作る土木工事が進行中だった。後ろにはカカオの苗木が3mごとの間隔で植えられている。
従来のカカオ豆購入の流れは、商社を通して原産国からカカオ豆サンプルを輸入して、明治の研究所で品質の確認をし、カカオ豆に関するリクエストがあれば生産者ではなく仲介の商社に伝える、という手順を取っていた。ところが現地から届いたサンプルとは異なる品質のカカオ豆が輸入されることもあった。上質なカカオ豆はほとんどが欧米の有名なクーベルチュール(製菓チョコレート)を製造する会社へと届けられ、高品質なカカオ豆をリクエストしても日本で手に入れることは難しかったそうだ。クオリティーを求めるには、もはや自分たちでカカオの木から作るしか選択肢がなくなっていた。それも他社とはまったく違うものを作りたいと常々思っていた。
そんな時タイミング良くメキシコに支社を持つパートナー会社との話し合いで、希少なカカオを自分たちで作り上げることができることになった。そのカカオ豆は、種子の断面が白色で希少価値が高く、チョコレートにすると繊細な味わいになるという特徴を持っていた。さらに将来的には日本でも多くの人々が、リーズナブルな価格で楽しめるだけの量を収穫できるという期待が持てた。
Photo by Meiji Cacao Creator® Hiroyuki Utsunomiya
国立農牧林研究所(INIFAP)で初めてカルメロ種のカカオの木に出逢った。
この土地が持つ歴史的背景も魅力的だった。15世紀末に8代目アステカ皇帝がカカオの産地であるソコヌスコ地域を征服した記録が残っており、19世紀のヨーロッパでは、すでにソコヌスコ地域のカカオ豆は、粒が大きく、渋みが少なく、香りが高いことで知られていたのだ。カカオが今でも地元の人々に愛され日常的に食べられていることも大きかった。
こうして2016年に「明治ザ・チョコレート」シリーズから、初めてのメキシコホワイトカカオが誕生することになる。このプロジェクトは希少な品種の保護にもつながる取組みであることから、メキシコ政府からも評価されることとなった。
ソコヌスコ地域に滞在中にカカオ農園や苗木センターなど、7箇所ほどのカカオ関係の施設を視察しながら、その都度、若葉の色、カカオの形、カカオの実の色の変化などを宇都宮さんから教えていただき、私はようやくカルメロ種のカカオを識別できるようになっていた。
《本シリーズは全4回を予定しています。“カカオの旅3”に続く》
“カカオの旅1” >> コチラから
text © Mika Ogura 2018
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【商品情報】
●「明治ザ・チョコレート 弾ける香りゆず」
「明治ザ・チョコレート」に和の素材として代表的なゆずのフレーバーが新登場。カカオ分 67%。ドミニカ共和国産カカオを中心に使用した、しっかりとしたフ ルーティ感のあるチョコレートに、ゆず果汁のパウダーと高知県産のゆず皮を練りこみ、噛んだ瞬間にゆず の香りが弾ける、ゆずの香りと心地よい苦みを楽しめる大人のチョコレートです。パッケージも鮮やかな黄色とオレンジを使用し完熟したゆずの果実をイメージしました。2019年1月8日発売予定。
【お問合せ】
明治 お客様相談センター
TEL:0120-041-082
シャリっとした食感が楽しめる「長いもバジル」
お漬物といえば、ご飯のお供やお茶請けに最適ですが、少々ご年配の方に愛されているイメージが強いもの。近頃の若い世代はお漬物を口にする機会が少なくなっているとも言われています。そこで、若い世代にも受け入れてもらえる新しい味の漬物を開発しようと、高校生とお漬物を専門に手がける丸越がコラボレーションしました。
新発売された「長いもバジル」と「ピンクゆず大根」は、愛知県立愛知商業高校の生徒がお漬物のアイデアをプレゼンし、丸越と共同で開発したもので、いままでにはない味と色彩のお漬物に仕上がっています。
「長いもバジル」は、1センチ幅の半月に切った長芋をバジルとオリーブオイルで洋風に仕上げた一品。シャリっとした食感が楽しめるよう厚さにこだわり、オリーブオイルを加えてしっとりコクがある仕上がりとなっています。
さっぱりと爽やかな味の「ピンクゆず大根」
「ピンクゆず大根」は、定番人気のゆず大根に梅酢を使い、梅の香りと可愛らしいピンク色を添えたお漬物。さっぱりと爽やかでありながら、華やかな彩りも楽しめる一品です。
幅広い世代にアピールするこの新感覚のお漬物、是非味わってみてはいかが。
◆御漬物「長いもバジル」「ピンクゆず大根」
発売日:2018年12月19(水)
価格:オープン価格
店舗情報URL:http://www.marukoshi.co.jp/shoplistpage/
味は梅ぼ志とバニラミルクの2種類。「榮太樓飴 干支2019」各560円(税抜き)
年末年始はお世話になった方へご挨拶回りが多くなるもの。そんなとき、手土産としてお持ちすると喜ばれる品をいくつか用意しておくと便利です。「古くから続く老舗が職人の技によって守ってきた味や品を、多くの人と分かち合いたい、そんな想いから生まれたショップAKOMEYA TOKYO」。江戸から親しまれている老舗の味を、可愛らしくておめでたいパッケージに詰めた、お年賀にぴったりのミニギフトがたくさん揃っています。
この時期おすすめするのは、東京を代表する老舗のお菓子のコラボパッケージバージョン。江戸時代の製法を守る「榮太樓」の飴が吉祥文様の缶に入ったAKOMEYAオリジナルの缶飴シリーズには、2019年の干支であるいのしし柄が登場。気軽に渡せるお値段なので、いくつかまとめてストックしておくといいですね。
福良雀や松竹梅、 鯛などおめでたい形の「和三盆」 BOX ¥900/筒 ¥600(税抜き)
いのししやうさぎ、宝船などかわいらしい絵柄の8枚。「松﨑煎餅桐箱入り8P GD」2,000円(税抜き)
銀座の老舗「松崎煎餅」を代表する甘いおせんべい「三味胴(しゃみどう)」のオリジナルパッケージセットは、こちらでしか買えない縁起柄やいのしし柄のおめでたい絵柄のおせんべいが入った限定品。富士や宝船が描かれたカラフルなおせんべいは、新年のお茶請けとして喜ばれること間違いなしです。
ほかにも、自由が丘「蜂の家」とコラボレーションした「和三盆 BOX」や縁起物のだるま型をしたモナカ「だるまのここん」も人気。中野の手焼きせんべい店「金時せんべい」のAKOMEYAオリジナルボックスは、富士山型の手焼きせんべいがおめでたいと評判です。
年の瀬のお買い物のついでに、「AKOMEYA TOKYO」へ立ち寄って、親しい方への手土産を探してみてくださいね。
◆AKOMEYA TOKYO 冬の手土産 コラボパッケージ商品(価格はすべて税抜き)
榮太樓「榮太樓飴 干支2019」560円
松崎煎餅「松﨑煎餅桐箱入り8P GD」2,000円
蜂の家「和三盆 BOX」900円、「だるまのここん 抹茶×ホワイトチョコ」1,200円
金時せんべい「金時せんべいボックス入り」888円、「金時せんべい木箱入り」1,200円
店舗情報URL:https://www.akomeya.jp/store_info/store/list.aspx
「新潟県 渡辺果樹園産 ル・レクチェのロティ」
フランス生まれの高級西洋なし「ル レクチェ」は、明治時代に日本で栽培が始まり、現在は新潟県が本国フランスを超える一大生産地となっています。栽培に手間がかかるため生産量が限られ、出荷時期が11月下旬から12月末の約1か月と、その希少価値が大変高いことでも知られるプレミアムなフルーツです。
そんな「ル レクチェ」を生産する新潟県と、銀座を代表するスイーツショップ「資生堂パーラー 銀座本店 サロン・ド・カフェ」と、「カフェコムサ 銀座店」の2店舗がコラボレーション。「ル レクチェ」を味わい尽くす期間限定の特別メニューを用意しました。
「資生堂パーラー 銀座本店 サロン・ド・カフェ」では、「ル レクチェ」を堪能する3種類のメニューが登場。この時季ならではの赤いパフェ「クリスマス・ルージュパフェ」は、数種類のベリーと新潟県産ル レクチェを飾り付けた華やかなパフェです。12月29日(土)までは冬ならではの温かなデザート、「新潟県 渡辺果樹園産 ル・レクチェのロティ」を。こちらは「ル レクチェ」をシナモンやグローブなどのスパイスを効かせてコンポートし、ドライいちじくとスウィートベリーティーの温かいソースでいただく、大人の一皿です。
「新潟県 渡辺果樹園産 ル・レクチェのパフェ」
さらに、12月26日(水)〜12月29日(土)までの4日間だけ限定で登場するのは、「新潟県 渡辺果樹園産 ル・レクチェのパフェ」。こちらはモーツァルトを聴かせながら熟成させたという渡辺果樹園の「ル レクチェ」を贅沢に盛り込み、キャラメルの香ばしさを効かせたプラリネソースとの優しいマリアージュが楽しめます。
このほかにも、「カフェコムサ 銀座店」では、クリームチーズをベースに濃厚な甘みと甘酸っぱさがアクセントの「新潟県産『ル レクチェ』洋梨といちごのケーキ」を、12月25日(火)まで販売しています。
新潟が生んだ宝石のようなフルーツ「ル レクチェ」を銀座でぞんぶんに味わってみてはいかが。
◆資生堂パーラー 銀座本店 サロン・ド・カフェ
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル3階
公式サイト:https://parlour.shiseido.co.jp/shoplist/salondecafeginza/
◆「カフェコムサ 銀座店」
住所:東京都中央区銀座4-3-1並木館B1
公式サイト:http://www.cafe-commeca.co.jp/
私たちはメキシコシティにある人気のショコラティエ「ケ・ボ!」のテラスに座って、チョコレートやドリンクを味わいつつ、古代から親しんできたというカカオドリンクの種類の多さにとりわけ衝撃を受けていた。
カカオの生産国では生産者がカカオを口にすることがないとよく言われるが、メキシコでは今も変わることなくカカオが食材として日常的に親しまれている。それを実感するためにも、先ずはメキシコのカカオドリンクを味わいましょうと、明治のカカオクリエーター®の宇都宮洋之さんにお誘いいただき「ケ・ボ!」を訪ねたのだった。
「明治ザ・チョコレート」シリーズには、期間と数量を限定したメキシコ産“ホワイトカカオ”を使った「明治ザ・チョコレート メキシコホワイトカカオ」がある。このチョコレートは、カカオ豆の断面が真っ白な希少な古代種だけで作られていて、説明を受けるたびにメキシコにある明治のホワイトカカオ農園を実際に見てみたいものだと常々思っていた。メキシコ南西部の大西洋岸に面したチアパス州ソコヌスコ地域に育つ最高品種で、16世紀からヨーロッパの王侯貴族の間で知られたプレミアムなカカオ豆である。またソコヌスコ地域は日本からメキシコへの初めての移民として知られる榎本移民団が到着した場所でもあり日本とのつながりも深い。
メキシコ・カンペチェ州にあるカラクムル遺跡の⾼貴な⼈物の墓から出⼟したマヤ古典期(A.D.400-600)の陶器製コップ。カカオドリンクを飲んでいたとされる。メキシコ国⽴⼈類博物館蔵。National Museum of Anthropology, Mexico, Photo © mika ogura 2018
今回思わぬ形でその願いが叶うことになった。宇都宮さんがメキシコのカカオ農園へ旅立つのに同行できることになったのだ。ちょうど11月後半はカカオの収穫時期にあたり、「メキシコホワイトカカオ」になる品種がたくさん育っているという。収穫期は年2回あっても、この時期のカカオの状態はとりわけ良いのだとか。こんな素晴らしいタイミングはないということだった。ということで今回から4回にわたるシリーズで、明治のカカオクリエーター®と巡るカカオの旅をお届けしたい。
拙著『チョコレートものがたり』で詳細なカカオの歴史は紹介しているが、カカオは大航海時代にスペインのコンキスタドールによって、とうもろこし、唐辛子、トマト、じゃがいも、かぼちゃなどと共にヨーロッパに渡った。今みんなが親しんでいる板チョコレートの歴史は19世紀に始まったもので、それまではヨーロッパにおいてもチョコレートは長きに渡って飲み物だった。それもフランス革命までは王侯貴族や聖職者といった特権階級が享受できるものだったのだ。
ソコヌスコ地域でカカオ農園を営むデメトリアさん(82才)が「ピノーレ」を作って⾒せてくれた(左)、「ケ・ボ!」のカカオドリンク(右)植物の実の⽪の部分を乾燥させたヒカラという容器で飲むことができる。
チョコレートドリンクは今でも広く親しまれているが、カカオドリンクとなるとオーガニックストアなど特殊なショップでしか手に入らない。ところがメキシコでは昔と変わらないレシピのカカオドリンクが日常的に飲まれている。ショコヌスコ地域にあるカカオ農家を訪ねた時には、実際にカカオドリンク「ピノーレ」を目の前で作って見せてくれた。クリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN』で、素足で渓谷を走り抜ける驚異の持久力を持つメキシコ山岳民族が摂取していることが紹介され、今やスーパーフードとして知られる「ピノーレ」である。
自家栽培のカカオ豆を深煎りした後に、乾燥とうもろこしも同様に強く焦げ目がつくまで煎る。薪を使っているのでかなりの熱さだがマダムは淡々と作業を進める。大振りのシナモンスティックを手で細かく裂いてすべてを混ぜ合わせ、数軒先の製粉所で3回ほど製粉機にかけてパウダー状にしたものに粗糖を加え水で溶いて出してくれた。
カカオとシナモンの風味が立ち上り素朴な味わいだ。
今回の旅の間もカカオ農園に行ったり誰かを訪ねたりした時には、どこでもカカオドリンクがふるまわれた。メキシコシティの「エル・モロ」というショップには8種類のチョコレートドリンクがあったし、コンビニではコーヒーとカカオドリンクの2種類の自動販売機が仲良く肩を並べていた。それも5種類ものカカオドリンクが選べる専用機で、さらに隣のコーヒーの販売機の方にまでチョコレート入りコーヒーがあった。
明治のカカオクリエーター®の宇都宮洋之さん(左)、「ケ・ボ!」(http://www.quebo.com.mx/ )のオーナーショコラティエのホセ・ラモン・カスティーヨさん(中央)。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」が毎年発⾏している2019年度版のガイドブックで銀賞を受賞した。
冒頭で触れたメキシコシティの「ケ・ボ!」のショーケースには、メキシコ産のカカオで作ったチョコレートが並び、アブストラクトアートを思わせるカラフルなドーム型チョコレートが目を惹く。ここではメキシコシティ、タバスコ、チアパス、オアハカの各地域で飲まれている8種類ほどのカカオドリンクが楽しめる。オーナーショコラティエのホセ・ラモン・カスティーヨさんのオススメは、カカオ豆、茹でたとうもろこし、カカオの花、マメイという果実の種を使った「テハテ」という。4種類ほどのカカオドリンクを味わったが、「テハテ」はカカオ感が高く印象に残る味わいだ。
宇都宮さんが言うように、生活の中にカカオがあるのがメキシコだった。
《本シリーズは全4回を予定しています。”カカオの旅2”に続く》
text © Mika Ogura 2018
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【商品情報】
●「明治ザ・チョコレート 清らかに香るジャスミンティー」
華やかに香り立つフローラル感が特徴のペルー産カカオを中心にブレンドしたチョコレートに、ジャスミンの花で香りづけした香り高いジャスミン茶葉を贅沢に練りこみました、カカオの持つフローラル感をジャスミンの香りがさらに引き立てる、清らかで気品のある味わいです。