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新潟「旅館ホテルryugon」井口智裕社長 日本の地方が生きる道を地域全体で実践!

2025.10.27
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新潟「旅館ホテルryugon」井口智裕社長 日本の地方が生きる道を地域全体で実践!
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.27

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旅館の矜持 THE RYOKAN COLLECTIONの世界

2025.10.27

新潟「旅館ホテルryugon」井口智裕社長 日本の地方が生きる道を地域全体で実践!

レセプション前の和の空間と井口社長。建物は文政年代のもので、国の重要文化財に指定されている。大きな赤いソファは地域の雪をモチーフにしたもの。

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「ザ・リョカンコレクション」に加盟する旅館の女将や支配人を紹介する連載「旅館の矜持」。今回は「ryugon(龍言)」の社長・井口智裕氏を紹介する。






その宿は上越新幹線の越後湯沢駅から車で30分、上越線の六日町駅からは車で4分ほどの距離にある。東京駅で新幹線に乗れば、たった2時間以内に到着できる。新潟県南魚沼市で異彩を放つ「旅館ホテルryugon(龍言)」は、幕末期の古民家を移築した木造建築の宿だ。






居心地の良い広大なラウンジに感嘆

外観は木造と白壁のコントラストが見事で、その美しさに目を奪われる。誰もが感嘆するのは、レセプション前から、何室にもわたって奥へ奥へと広がるラウンジだ。






「日本の旅館にこうしたラウンジはどこにもないですよね。だからこそ価値があると思って造りました。念頭にあったのは、特に海外のお客さんにくつろいでもらえることでした」

と語るのは「ryugon」の井口智裕社長である。






「旅慣れた外国のお客さんや日本の方が、ここで本を読んでくれていたりすると、狙いにハマってくれたと嬉しくなりますね」






囲炉裏ラウンジにて。秋から春までは火がともされる。丸いクッションも雪のイメージだ。






囲炉裏を囲む一画があり、バーカウンターがあり、趣味の良い本を揃えた図書室があったりする。しかも、アーティスティックな椅子もあれば、昔ながらの座椅子もあり、テーブルもソファも多種多様だ。中にはカップルが座るのに最適な、かまくら型のソファもある。






それでいて雑多な印象はない。窓から見える景色が変わるから、気分も変わる。実際に、夕食が済んだ後に、このラウンジでまったりと過ごす宿泊客が多いのは印象的だった。部屋に帰るよりも、居座りたくなるのだろう。






この部屋も文政年代のもの。しっとりと落ち着くラウンジだ。






重要なのは地域全体のボトムアップ






井口社長が街と宿の関係について語る。






「『ryugon』がある南魚沼市の六日町は、観光客が来るような街じゃありません。宿の外を散歩すれば綺麗な田んぼの風景があって農作業をしている人たちがいる。田舎の日常の暮らしが感じられる土地です。宿から街の中心部も近いので、地元の人が行く居酒屋でご飯を食べるとか、そういう楽しみ方もできます。一方で、坂戸山の裾野に宿はありますから、自然も充分に感じられます。ここは街と自然の両方が堪能できる絶妙な位置なんですね」






確かに、客室やラウンジなど宿の至るところで、山の緑が目前まで迫ってくる。






ヴィラへと続く雪国伝統の雁木(がんぎ)の廊下と池。画面奥の緑は、もう山の裾野だ。






社長は続ける。






「私が望むのは連泊してもらうことです。1泊では、とても地域の文化は分からないからです。この宿に滞在しながら、地域の文化や暮らしを楽しんで欲しいのです。地元の人と触れ合う、そうすることで初めて、文化としての重みを感じることができるのではないでしょうか。連泊すれば、今日の晩御飯は街で食べて、宿に帰ってきて、バーは12時までやっていますから、軽食を食べながら一杯やる。あるいは今日の夜は軽くそばでいいとか、カレーライスでいいとか、ビーフサンドにするとか。そのために館内フードメニューがあるんです。もちろん、ルームサービスでもご利用できます。

そんな風に宿を使ってもらいたいですね。宿はあくまでも街全体を楽しんでもらうための拠点基地にすぎません」






ちなみに、宿泊しなくともラウンジ利用と入浴ができるプランもある。なにしろ、思いつく限りのサービスが用意してある。






宿をリピートする3つの条件

思考はさらに深化してゆく。






「‶地元にいいお店があれば、宿の稼働率は上がる″というのが僕の‶思想″です。自分のところでも料理は頑張りますが、地元にいいレストランが増えることのほうが楽しい。宿を拠点にして2泊3泊したくなりますよね。

僕は世界中を旅行しているので、行きたくなる場所には必ずと言っていいほど‶必勝の法則″があります。

1に泊まりたくなるような宿があり、2に体験したくなるようなアクティビティがあって、最後はいい食文化があること。この3つが掛け算となって、魅力を生み出す。条件が1個でも欠けると、人はリピートしないんじゃないでしょうか」






「ryugon」が多彩なアクティビティを提案するのもそのためだ。恐るべき数のメニューがある。






山菜狩り・きのこ狩り、田んぼを自転車で走るポタリング、坂戸山トレッキング、まちぶらツアー、冬ならば雪かき体験や雪上のガストロノミーや雪原スノーピクニック、施設内なら土間クッキング、煎餅焼き体験、土鍋ごはんで作る絶品おにぎり体験……まだまだ続く。

ちなみに、10台ある電動アシスト自転車はBESV(ベスビー)という台湾製で、連続で90kmの走行が可能だそうだ。どこにでも行けちゃう。

軽トラックをレンタルして野山を走るプログラムもある。






「僕らがアメリカに行ったらピックアップトラックをレンタルして砂漠を走りたいとか、ハワイに行ったらオープンカーに乗りたいという発想と同じです。20代の女子が麦わら帽子をかぶって、軽トラで田んぼ道を運転したら、インスタ映えしませんか」






これはイケてるかも。






玄関前に立つ井口社長。木造と白壁のコントラストが美しい。






宿とは‶思想〟の集積である






井口氏がここに至るには、実は、積み重ねた思考の長い歴史があった。

宿の原型である「温泉旅館 龍言」は、1960年代に出来た。建物は幕末時代に建てられた地元六日町の豪農の館や武家屋敷を移築したものだ。大小16の家の集合体で、本館は重要文化財に指定されている。その経営が井口社長に譲渡されたことを機に、リニューアルが施され、現在の姿になった。それが2019年のことだ。






「私は17年前の2008年から『雪国観光圏』という活動してきました。課題は、地域固有の雪国文化をどうやって地域に根付かせるかでした。ですから、『龍言』をリニューアルする際に主眼を置いたのは、この地域の文化や暮らしを宿の中で表現することです。

日本の文化を体験しながら、ある程度は高品質な時間を過ごしつつ長期滞在できるということ。そのためには、ただ古い建物だけじゃダメですから、現代の快適性も入れ込みました。

目指したのは、フランス・ブルゴーニュ地方のワイナリーのシャトーに1週間連泊するような旅のリテラシーを持った人が、居心地が良いと感じられる宿です。宿というのは、一つ一つの思想の集積なんですね」






門を壊し、地域になじませる






「この土地に高級旅館を造ったという感覚はあまりありません。第一、旅館は門構えが立派で、そこから先は宿泊者しか入れないような‶結界″を感じさせますよね。だから、まず、その立派な門を壊して、名前も『龍言』から『ryugon』に変えました。そうすることで、格式を取っ払って、地域になじませたかったのです。

だから、ここはいわゆる高級旅館ではありません。旅館ホテルなのです」






門を入ってすぐ左手にあるryugon cafeの横で。中は土間スペースになっている。






門をくぐるとすぐ左手にカフェがあり、右手には地元の品々を揃えたかなり大きなセレクトショップを配したのも、人が敷居を越えやすくするためなのだろう。






「日本人は敷地内だけで完結するいい旅館を求めていますよね。だけど、海外から日本のローカルを味わいに来た人にとっては、別にとびきり高級な旅館である必要はありません。4スターぐらいでいいのです。彼らは旅のプロセスがどうあるかを優先させていますから」






そうは言っても、客室は居心地が抜群に良かった。部屋の価格はクラシックルームの2万円余から、新築したヴィラ・スイートの20万円と幅広いところから選択できる。






ヴィラ・スイートのテラスに備わった露天風呂。目の前に雪があったら最高だろう。






「雪国文化」とは何か






では、さきほどから出てくる「雪国文化」とは何なのか。

「雪国文化って言うと、古い建物だとか茅葺屋根とか藁細工とかを想起しやすいですよね。それだと過去の継承のままで終わってしまう。文化というのは、過去・現在・未来の文脈の中にあると思うのです。僕らは雪とともに生きてきたので、そこで育まれた暮らしの知恵みたいなものを、未来に向けて表現したい。例えば、赤い円形の大きなソファや囲炉裏の周囲にある丸いクッションは、この地域の湿度がある重たく丸い雪を表現しているものです。ライブラリーの横にあるソファも、かまくらのイメージです。それらはすべて特注の家具です」

 






いちばん奥にあるラウンジ「図書室」から眺める雪景色。






「雪国観光圏」構想とは何なのか?

「そもそもは新幹線が金沢まで延伸する2014年問題がやって来るということがきっかけでした。それまでは越後湯沢から金沢までは特急だったのですが、新幹線が金沢まで伸びたら、われわれのような途中の街はどうすればいいのか。それで、新潟や群馬などの7町村の有志が集まって雪国観光圏を作ったのです。要は、エリア全体で金沢に匹敵するようなブランドを創らなきゃいけないということでした。

その核心部分はやはり雪国文化なんですね。同じ新潟県からは『里山十帖』の岩佐社長、群馬県みなかみ村からは『仙寿庵』の久保社長なども参加しています。僕らは宿ですから、施設に雪国文化をいかに落とし込むかをずっと考えてきたわけです」






井口氏の雄弁さは17年間に及ぶ思考の帰結だ。






冬の稼働率は、何とほぼ100%!






従って、冬がいちばん分かりやすいのだそうだ。

 

「1階部分は完全に埋まってしまって2階まで雪が積もる。赤ワインを片手に雪を眺めながらボーッと過ごすのがいい。雪そのものに価値があるわけです。冬の稼働率はほぼ100%ですから、お客様も冬の良さを感じていらっしゃるんです。なんか居心地がいいんだよねーってことでしょうね」






ほかに、提案するものは?

 

「新潟と言いますと、米と酒のイメージしかないでしょう。スキーなら長野県のほうがいいよねと思われちゃうし。世界遺産があるわけでも、名所旧跡があるわけでもない。南魚沼は日本の地方のどこにでもあるような街なのです。そこで、地域の文化に根ざした格好をつけない丁寧な旅を提案したいのです。名物料理なんかないけれども、冬の料理には雪国文化が詰まっています」






しかし、食事も相当なものだ。「雪国ガストロノミー」なるフルコースは地域の食材に溢れていてとても良かった。

 

「もちろん、お客さんが求められるレベルのものはお出ししています。一年でメニューは5回変わりますが、3泊ぐらいでしたら、全部のメニューを替えられます。何ならビーガンやベジタリアン対応も100%できます。当日に言われても対応できます。メニュー開発はずっとやっていますから、ビーガンで3泊分も問題なく出せます」






コースの〆に出される炊き立ての魚沼産コシヒカリ塩沢地区限定一等米とけんちん汁。このご飯の甘さ、ねばり、粒立ち、その美味しさと言ったら経験したことがないほどだ。地方の野菜で作ったけんちん汁も凄まじく美味しい。






いちばん食べて欲しいものは、春先の山菜だそうだ。






「山菜の存在を、世界に向けて発信したいですね」

印象深かったのは、朝食のバイキングでご飯をよそってくれる地元のおばちゃんスタッフの言動だ。日本語をまったく解さない白人に向かって、「ご飯はどうする?」「もう少し入れるが?」「味噌汁はどお?」と普通に話しかけていた。こういう触れ合い方は、最高に素晴らしいと思う。






地域が持つ絶対的な価値に紐づいた宿






井口社長の発想は相当に珍しい。というか、宿を街との関係性の中で捉えているところがまったく斬新だ。






そもそも、どういう経歴の人なのか?

「もともとは越後湯沢駅前にある旅館『越後湯澤 HATAGO 井仙』の4代目です。地元の高校を卒業してアメリカの大学に留学しました。ワシントン州のスポケーンにあるイースタン・ワシントン大学の経営学部でマーケティングを専攻しました」






そのままMBAを取ろうと思ったが、社会経験がないことに気づき、実家に戻る。

「当時の実家は駅前の温泉旅館で『湯沢ビューホテル井仙』という名称でした。1泊1万円ぐらい。経営が大変だったので、立て直す必要があり、2005年に『越後湯澤 HATAGO 井仙』としてリニューアルオープンしました。
そんなことをしているうちに、湯沢という土地そのものをリブランドしなきゃダメだと思い始めた。湯沢はスキーと温泉というイメージが強すぎるから、スキー以外の時期は困ってしまう。そこで、17年前に雪国観光圏を自分で立ち上げて、取り組んできました。その経緯の中で、『ryugon』をリニューアルした話につながります」






井口社長はこう締めくくる。

 

「高級旅館だけだったらライバルはいくらでもいるし、お客さんにしてみれば、ウチじゃなくてもいい。ならば、雪国文化というブルーオーシャンで戦いたい。

旅館単体だったらすぐに負けちゃう。でも、地域というものは、他の地域が真似したくともできません。地域が持つ絶対的な価値に紐づいた宿を造れば、とても強固なものになります。この戦いを宿一軒だけで取り組むのならば勝負になりませんが、私たちは地域全体としてそれをやっているのです。他の旅館さんも関連する飲食店さんもそうです。

そこにこそ日本の地方の生きる道があると考えています」






井口智裕(いぐちともひろ)

1973年新潟県南魚沼郡湯沢町生まれ。Eastern Washington University経営学部マーケティング科卒業。旅館の4代目として家業を継ぎ、2005年「越後湯澤HATAGO井仙」をリニューアル。2008年に周辺7市町村で構成する「雪国観光圏」をプランナーとして立ち上げ、運営に尽力し、観光庁の観光産業検討会議の委員も務める。2013年一般社団法人雪国観光圏を設立し、代表理事に就任。観光品質基準、人材教育、CSR事業など広域観光圏事業を中核的に推進している。著書に『ユキマロゲ経営理論(2013年、柏艪舎)』。






【ryugon(龍言)】

住所 新潟県南魚沼市坂戸1-6

電話 025-772-3470

HP https:// ryugon.co.jp/

 

構成/執筆:石橋俊澄  Toshizumi Ishibashi

 

「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。現在、フリーのエディター兼ライターであり、Premium Japan編集部コントリビューティングエディターとして活動している。

photo by Toshiyuki Furuya


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注目の自然派コスメを生み出す、鹿児島のボタニカルガーデンと工房を訪ねて

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注目の自然派コスメを生み出す、鹿児島のボタニカルガーデンと工房を訪ねて
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.23

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鹿児島の「宝」を巡る旅

2025.10.23

注目の自然派コスメを生み出す、鹿児島のボタニカルガーデンと工房を訪ねて

鹿児島のボタニカルガーデンで栽培されている何種類ものハーブが、自然派コスメの原料となる。写真は「ヴィーナスターオーガニクス」が手掛ける、ダマスクローズや月桃などを用いた化粧水など。(価格等の詳細は後述)

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温暖な気候と豊かな自然が残る鹿児島は、ハーブや花々を栽培するボタニカルガーデン(植物園)が多い。自社農園で栽培したハーブなどを用いてナチュラルコスメやアロマオイルなどを作る工房も幾つか存在する。なかには、自社ブランドのみならず、大手コスメメーカーから委託を受けて生産し原料を提供する、いわゆる「OEM」を行っている工房も。つまり、それだけ鹿児島で作られる製品のクオリティが高いということに他ならない。今回の「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅では、こうした自然派コスメに携わる「開聞山麓香料園」「ヴィーナスターオーガニクス」そして「ボタニカルファクトリー」の3つの工房や自社農園に足を運んだ。





開聞山麓香料園
80年以上の歴史を持つ、日本で最初のハーブ園



薩摩半島の南端に位置し、美しい稜線を見せる開聞岳(かいもんだけ)。薩摩富士とも称される優美な山の麓に広大なハーブ園を構えるのが「開聞山麓香料園」だ。開園は1941年。日本で最初のハーブ園といわれている。

 

ハーブ園の広さは、サッカーグランドのおよそ8面分以上に相当する約6ヘクタール。そこにレモングラス、ローズマリー、レモンユーカリ、ティーツリー、ローズゼラニウムなど50種類ほどのハーブが植えられている。なかでも特筆すべきは、1万本を超す芳樟(ほうしょう)の木だ。芳樟はクスノキ科の植物で台湾が原産地。葉にはリナロールという成分を多く含み、抽出されたリナロールがフルーティで甘い香りを発することから、「開聞山麓香料園」では、1947年からこの芳樟の栽培を始めている。


後方にずらりと並ぶ、薄い茶褐色の幹を持つ木が芳樟。なかには20mほどの高さになるものも。開聞岳がボタニカルガーデンを優しく見守る。


早速、副園長の宮崎利樹さんに園内を案内していただいた。道の両脇に高さ7~8mほどの木が立ち並ぶ。これが芳樟の木だ。

 

「匂いを試してみませんか」

 

宮崎さんが一枚の葉をちぎり、手渡してくれた。そっと嗅いでみる。甘く爽やかであると同時に、どこか懐かしさも感じさせる香気が仄かに立ち上る。樟(くす)から採れる樟脳の、ツンとした香りとはまったく異なる、どこまでも甘く爽やかな香りだ。

 

「この甘く爽やかな香りの素がリナロールで、私どもの工場が生産する芳樟精油の成分のうち80%がリナロールです。これほどリナロール含有率の高い植物由来の精油はなかなか他にはありません」


緑も鮮やかな芳樟の葉。爽やかと同時に柑橘系をも感じさせる複雑な香りを放つ。


1947年に台湾から芳樟が持ち込まれたことを契機に、南薩摩地方では芳樟の栽培が盛んになり、最盛期の1970年前後には、知覧や枕崎でも栽培がおこなわれ、年間5トンもの精油が抽出された。しかし、人工のリナロールが登場し、手間のかかる芳樟からの抽出は行われなくなっていた。



「ところが、近年は自然派志向が高まり、合成リナロールでなはく100%天然由来の精油が再び脚光を浴びるようになりました。そうした流れを受けて、『開聞山麓香料園』でも芳樟精油の抽出を再び始めるようになりました。現在では年間約20㎏の精油を生産しています」



農園の奥では、ちょうど芳樟の葉の収穫が行われていた。チェンソーで幹から伐り落とされた枝を一か所に集め、葉だけを手早く小枝から摘み取っていく。響くのはチェンソーのエンジン音だけ。屋外で黙々と行われる地道な作業だ。

チェンソーで刈り取った小枝から、葉を一枚一枚摘んでいく。精油作りはこうした地道な作業から始まる。



「1㎏の精油を抽出するのは100㎏の葉が必要となります」

 

宮崎さんのこの言葉を聞くと、精油を抽出するのがどれだけ大変な作業であることがよくわかる。しかも一度葉を収穫すると、次の収穫まで3~4年は間を置かなければならないとのこと。1万本もの芳樟は、ある意味では必要な本数だったのだ。


蒸留所では、春と秋に蒸留体験ツアーも実施



蒸留所にも案内していただいた。あいにく、蒸留の作業が行われていない時期だったが、所内に並ぶ3つの蒸留器は、なんとどれも創業時から使われているという年代もの。時代を感じさせる装置が、80年前と同じ精油を生み出しているかと思うと感慨深い。

蒸留所には、丹念にメンテナンスされた蒸留器が3台並ぶ。

 

園長を務める父の宮崎泰さんをサポートし、精油作りに邁進する宮崎利樹さん。


蒸留所の奥には、大きなフラスコなどが並ぶ、まるで理科実験室の様な部屋も設けられている。蒸留された精油を、この部屋で半年から1年ほどねかせ、香りを落ち着かせる。すべてが、極めて手のかかる完全な手作業で、ようやくひとつの商品ができあがる。


「開聞山麓香料園」のシグネチャーアイテムともいえる、「芳樟精油」。7ml、2,200円・3ml、1,000円(いずれも税込)



「芳樟精油」は、やわらかな甘さと清々しいグリーンの香りが調和した、心をほぐすような優しいアロマ。リラックス効果が期待できるため、ドライハーブに数滴垂らして香りを漂わせたり、アロマディフューザーで寝室を満たせば、一日の疲れを静かに癒してくれる。また、他の精油とブレンドすれば、自分だけのオリジナルアロマを楽しむこともできる。

 

 

 


農園で栽培した月桂樹、ローズマリー、オレガノ、タイムをブレンドした「ハーブの香りだし」。7パック入り、1,000円(税込)


「ハーブの香りだし」とは、ブーケガルニのこと。通常はパセリやタイム、ローリエなどを束ねて煮込み料理に加え、素材の臭みを抑えながら、深みのある香りを添えるものだ。この「ハーブの香りだし」は、開聞山麓香料園で育てられた月桂樹、ローズマリー、オレガノ、タイムの4種を贅沢に使用。シチューやロールキャベツ、スープなどのお鍋にひとつ入れるだけで、爽やかな香気がふわりと広がり、旨味をぐっと引き立ててくれる。いつもの家庭料理が、ひとさじの魔法でレストランの味に変わる──そんな上質な香りのひと包みだ。

 

 

匂い袋、お風呂用の香水、石けんなど、ショップにはオンラインでは販売していない園内限定のアイテムも並ぶ。



「開聞山麓香料園」では、芳樟をはじめ、レモンユーカリ、ローズマリーなどの精油、ハーブティや石鹸などの自社製品を併設のショップで販売。広大な農園を散策し、さまざまなハーブが栽培されている様子を実際に見学することもできる。また、定期的に開催される蒸留体験は、予約開始すぐに満席になる人気ぶりだ。80年という長きにわたり、自然派コスメの源流を培ってきた「開聞山麓香料園」。ぜひ足を運んでみたい。



開聞山麓香料園

鹿児島県指宿市開聞川尻5926

Tel:0993-32-3321

開園時間:9時~17時

定休日:火曜日

入園料:無料



ヴィ―ナスターオーガニクス
夫婦二人三脚で手掛ける、高品質の自然派コスメ



月桃、ローズマリー、レモングラス、ローズゼラニウム、レモンバーム……。10種類近くのハーブが植えられたガーデンで、自ら育てたハーブを愛おしそうに眺めるのは、永仮紗彩さん。夫の洋文さんと二人三脚で、「ヴィーナスターオーガニクス」ブランドのオーガニックコスメを手掛ける紗彩さんはカンボジア生まれ。洋文さんと結婚して日本に帰化し、永仮さんの故郷である鹿児島でハーブ栽培を始めた。


自宅兼工房前に設けられたハーブガーデンで、手塩にかけて育でたハーブを見つめる永仮紗彩さん。


ボタニカルガーデンで栽培されているさまざまなハーブ。右上から時計まわりに、レモングラス、ペパーミント、ティーツリー、月桃。



「カンボジアでは、ハーブが日常の食事や医療に深く溶け込んでいます。私自身も幼い頃からハーブに親しんできました。温暖な鹿児島もハーブ栽培には適した気候ですので、ここで何種類ものハーブを栽培し、人工的なものは何も加えない自然派コスメを多くの人にお届けしたいと思います」



自宅兼工房の周囲に設けたハーブガーデンの他に、約2,000坪ほどの農園を持ち、そこでも20種類ほどのハーブを栽培し、それを原料としたさまざまな自然派コスメが作られる。

 



「霧島は豊かな自然だけでなく、シラス台地が濾過したミネラルが豊富な天然温泉水に恵まれた土地です。雨も多いのでハーブが育ち、それを上質な水を用いて化粧水を作ると、肌に優しい素晴しい商品が出来上がります」

 

 

商品開発を担当する洋文さんがリコメンドしてくれたのは化粧水「ジャポニズムローション」シリーズ。ダマスクローズ、ジャスミン、月桃など5種類の商品は、いずれも霧島の天然水に、イチョウ葉エキスやワサビの葉エキスなど4種類の鹿児島産植物エキスを配合し、それぞれのハーブの香りを纏わせたもの。合成香料や合成着色料、鉱物油といったいわゆる人工化合物は一切含まれていない、文字通りの自然派コスメだ。



「ジャポニズムローション」シリーズの中から、「ダマスクローズ」を試してみた。手のひらに取ると、みずみずしくさらりとしたテクスチャーで、驚くほど甘く、華やかなダマスクローズの香りが立ちのぼる。頬や額にそっとなじませれば、潤いとバラの甘い香りで、気分まで上がるようだ。毎日のスキンケアで、この香りに触れるたび、肌だけでなく心までも満たしてくれる、そんな優雅なひとときをもたらしてくれるローションだ。

 

 

 


左から、ジャポニズムローション(ダマスクローズ)、ジャポニズムローション(月桃)いずれも200ml・3,520円(税込)ジャポニズム ツバキマルチオイル 、30ml・3,740円(税込)、ルームミスト(桜島小ミカン×霧島レモングラス)、30ml・1,980円(税込)



鹿児島産椿を用いた「ツバキマルチオイル」もおすすめ。椿油は古くから日本女性のスキンケア、ヘアケアに使われてきたもの。「ツバキマルチオイル」は、低温圧搾法にて圧搾した希少な椿油に、ダマスクバラ花エキス、ダマスクバラ花油、トウキンセンカ花エキス、カミツレ花エキスを配合したマルチオイル。スキンケア、ヘアケアはもちろん、頭皮ケア、爪のお手入れ、ボディオイルとしても優秀。ダマスクローズの香りが素晴らしいので、至福のケアを堪能できる。使い勝手のよいアイテムだ。

 

 

15種類のエッセンシャルオイルを80%以上使用した「ルームミスト」もラインナップは豊富。桜島小ミカンの果皮の精油と、霧島産レモングラス精油をブレンドしたルームミスト「桜島小ミカン×霧島レモングラス」は、爽やかさの中にミカンの甘さがあり、気温や湿度が高い時に使えば、リフレッシュ効果は抜群。

 

 


ドライハーブにすると、水分が抜けて成分が凝縮され、香りが強くなる。右奥から時計まわりに、バタフライピー、カレンデュラ、カモミール、ダマスクローズ。いすれも自家栽培したもの。


「ヴィーナスターオーガニクス」は自社製品だけでなく、抽出した原料を用いた自然派コスメの開発を、化粧品メーカーとともに行っている。また、さらに良質なものを目指し、来年に向けて自社コスメのリニューアルの検討も始まっている。

 

「肌に使うものは、新鮮なものではなくてはなりません。また、植物が持つ本来の力を最大限引き出すには、やはり新鮮な植物が必要となってきます。そのためには素材となる植物は自ら作る、あるいはできる限り近いところ、つまり鹿児島県産のものを使うのがベストだという結論に辿りつきました。」



桜島小ミカン、ティーツリー、タンカン、ヒノキ葉、レモンユーカリ、レモンバーベナ……。洋文さんが語るように、「ヴィーナスターオーガニクス」が手掛けるさまざまな原料は、いずれも自家栽培もしくは鹿児島県産から作られる。


高品質の精油を生み出す、ポルトガル製の銅の蒸溜器



工房には、精油や芳香蒸留水を生産する銅製の蒸留器が2台備わっている。「アランビック」と呼ばれるポルトガル産の蒸留器は、現地の銅職人が胴板から手作業で打ち出した伝統工芸品。

 

「ガラス製やステンレスに比べ、熱伝導率が高いために、植物の生臭さのもととなる硫黄系成分が除去され、高品質の精油や芳香蒸留水を抽出することができます」

 

2台の蒸留器並ぶ工房は、それほど広くはない。でも、この自宅裏に設けられた工房で、夫婦二人で丁寧に作られた数々の原料が、多くのコスメメーカーへと渡り商品となっていく。マニュファクチュール(家内制手工業)の原点がここにはある。


銅製の蒸留器が2台置かれた、こじんまりとした工房。銅イオンの殺菌効果により、保存期間の長い蒸留水を抽出することができる。



ヴィーナスターオーガニクス

お問合せメールアドレス:mail@venustar-organics.com

*現在、見学には対応していません。



ボタニカルファクトリー
大隅半島の大自然が育んだ、注目の自然派コスメ


温帯気候と亜熱帯気候が入り混じる鹿児島県の大隅半島。4,000種類以上の植物が群生する半島は、豊かな緑に覆われた自然豊かな地が広がる。この大隅半島の最南端に位置する南大隅町に本拠を置く化粧品メーカー「ボタニカルファクトリー」の製品や活動に、近年注目が集まっている。


4,000種類を超す植物が生い茂る大隅半島。「ボタニカルファクトリ―」の本社と工場のすぐ裏手も、濃い緑に覆われた景色が広がる。



「生まれたばかりの娘がかなり重いアトピー性皮膚炎となり、食事療法やさまざまなスキンケアを試したのですが、どれも効果はありませんでした」

 

「ボタニカルファクトリー」代表の黒木靖之さんが、ナチュラルコスメへ目を向けるきっかけとなったのは、自身の娘さんへの思いからだった。じつは黒木さんは、それ以前から化粧品の輸入販売などを手掛ける事業に携わり、化粧品に対する知識もある程度持っていた。



「自ら化粧品に携わっていながら、自分の娘のアトピーには何の役にも立っていない」

 

そんな思いを抱いた黒木さんは、肌に優しく、口に入れても安心な化粧品作りへと事業の方向を切り替えていった。

 

黒木さんが最初に取り組んだのは子どものための石けんとフェイスオイルだった。アトピーに効くとされたダチョウの油を用いた手作りの石けんとフェイスオイルが好評となり、2006年には故郷の南大隅町に工場を設立。


「大隅半島の豊かな自然を生かした、自然由来100%の成分にこだわり続けたいと思います」と、代表の黒木靖之さん。


「以前は気づきもしませんでしたが、南大隅という土地は、月桃をはじめさまざまなハーブが自生するという、アロマオイルを作る原料を入手するには最適の地なのです」

 

当初は、自生するハーブや自家栽培したレモングラスなどでアロマオイルを作り、それを石けんの香り付けに用いていたが、やがてアロマオイルや蒸留水を使ったスキンケア商品のラインナップが増え、2016年には「ボタニカルファクトリー」が誕生した。場所はもちろん南大隅だ。


廃校となっていた小学校と中学校の校舎をリノベーションして工場に



廃校となっていた小学校と中学校をリノベーション。それが南大隅の地に誕生した「ボタニカルファクトリー」の本社と工場だ。町の協力で借り受けた校舎は、町の人々にとっても思い出がつまった建物。その活用は、地域の人々にとっても嬉しい知らせとなった。それだけではない。町の特産物であるパッションフルーツの規格外品を買い取ってローションの原材料とし、工場は地元の女性やシニア層の働き場となるなど、「ボタニカルファクトリー」の存在は、地域活性化の大きな拠点となっている。



図書室だった部屋を改装し、ショールーム兼ワークスペースに。窓からは広がる大海原を見渡すことができる。



「ボタニカルファクトリー」が手掛ける化粧品のブランド名は「ボタニカノン」。植物の「ボタニカル」と、音楽用語の「カノン」を組み合わせた造語で、植物本来の成分や香りが、カノン(輪唱)のように重なって届いてくることがイメージされている。

 

地元産のパッションフルーツを用いたローションは、地元の農家から買い取った規格外のパッションフルーツを丸ごと活用。さらりとした付け心地ながらも、気が付くと肌がしっとりし、そのしっとり感は、やがてハリ弾力に変わる。また、南国の太陽を思わせるパッションフルーツ独特の爽やかな香りがほどよく残り、それはいつまでも、まさしくカノンのように嗅覚を心地よく覚醒させてくれる。

 

また、フェイスオイルはベタつかずさらりとしているにもかかわらず肌馴染みがよく、化粧水のブースターとしてオイルマッサージ後に化粧水を重ねることで、水分と油分とのバランスが整う。

右/シトラス スカルプ&ヘアローション、100ml・2,750円(税込) 左/パッションフルーツローション、100ml・1,650円(税込)



左/ホーリーバジル化粧水、150ml・2,420円(税込)右/フェイスオイルEX、30ml・3,410円(税込)


「こちらへどうぞ」

 

黒木さんに導かれるまま辿りついた場所。それはかつて校舎だった建物の屋上をルーフトップテラスに改装したスペースだった。きらめく鹿児島湾の大海原を挟み、開聞岳が優美な稜線を見せている。目を見張るような絶景だ。海から吹き抜ける風が心地よい。

 

「3年ほど前から、リトリートツアーを開催しています。ゲストの方々には、ヨガシークエンスや工場でのオーデコロン作り、その後は天気が良ければこのテラスでランチ、そしてメディテーションと、盛りだくさんのメニューを体験していただきます。最近では県外からお越しになる方も増えてきました」


錦江湾を一望するルーフトップテラスには、ソファが置かれ、流れる時間をゆったりと味わうことができる。


原料から生産までを一貫し、しかも天然成分由来を原料とした化粧品作りをほぼ実現させる一方で、「ボタニカルファクトリー」は、化粧品が出す有害なゴミを減らすために、容器は再生プラスチックへと徐々に移行させている。

 

「私たちは大手メーカが行っている大量生産、大量消費とは距離を置いています。もともと、それができるような規模でもありません。ですので、現在の体制をベースに、鹿児島という地の利を生かし、今まで以上に地元に密着した自然派化粧品作りを目指しています」




「ボタニカルファクトリー」は、海を挟んだ対岸の「開聞山麓香料園」から原料の一部を仕入れている。大隅半島と薩摩半島、二つの半島の間で原料がやりとりされているのだ。また、南大隅町には国の指定史跡の「佐多旧薬園」がある。これは薩摩藩が薬草を採取していた場所。黒木さんの言葉が物語るように、ハーブ栽培に関する独自の歴史を持ち、ハーブを介した工房間の交流が行われている鹿児島は、自然派化粧品づくりには格好の土地といえよう。

 





ボタニカルファクトリー

鹿児島県肝属郡南大隅町根占辺田3222(旧登尾中学校)

Tel:0994-24-3008

 



豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。

 

 

そんな鹿児島の宝を巡る旅は、これからも続く。これまでの「南の宝箱 鹿児島を巡る旅」は以下から。

第一回 鹿児島の「茶」を巡る旅 はこちら

第二回 鹿児島の「ウイスキー」を巡る旅 はこちら

第三回 鹿児島の「焼酎」を巡る旅 はこちら

第四回 鹿児島の「屋久島」を巡る旅 はこちら









































Text by Masao Sakurai(office clover)
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)

関連リンク

開聞山麓香料園
ヴィーナスターオーガニクス
ボタニカルファクトリー

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カール・ハンセン&サンの名作家具と古民家宿が響き合う「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」

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カール・ハンセン&サンの名作家具と古民家宿が響き合う「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.16

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北欧の名作家具に出会う宿

2025.10.16

カール・ハンセン&サンの名作家具と古民家宿が響き合う「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」

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デンマーク王室御用達の家具メーカー、カール・ハンセン&サンが、瀬戸内の伝統的な日本家屋で北欧のヒュッゲを体感できる、宿泊体験型インスタレーション「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」を開催中。2026年2月15日(日)までの期間限定で宿泊が可能だ。




会場は、香川県丸亀市・本島に佇む一棟貸しの古民家宿「Villa Tomari」。かつて郵便局長が暮らしていた旧松野邸をリノベーションした宿は、当時としては珍しくモダンな造りで、北欧家具との相性も抜群。



伝統的な日本家屋が蓄えてきた「経年の美しさ」が光る空間に、ハンス J. ウェグナーの「CH23」や「CH88P」、ボーエ・モーエンセンの「BM0121 ダイニングテーブル」などの名作家具が自然に溶け込んでいる。



さらに屋外スペースには、カール・ハンセン&サンのアウトドア家具を配したサウナエリアも。風と光、そして静寂に包まれながら“ととのう”ひとときを堪能できる。



館内にはカール・ハンセン&サンの貴重なオリジナルのアーカイブ写真や、デンマークの海の風景、本島の地図などをアートピースとして展示。時の流れとともに深みを増す空間で、時代を超えて受け継がれる名作家具の魅力を体感してみてはいかがだろうか。



◆「Hygge Stay by Carl Hansen & Søn」
【期間】開催中~2026年2月15日(日)(瀬戸内国際芸術祭 秋会期(10月3日~11月9日)と一部重複)
【場所】Honjima Villa「Villa Tomari」(香川県丸亀市本島町泊494-16)
【形式】宿泊体験型インスタレーション(1日1組/4名まで)
【料金】50,000円(税込)~/1泊(食事別途予約制·有料)
【宿泊定員】4名まで

photo: Shinsuke Inoue

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「Villa Tomari」公式サイト
カール・ハンセン&サン 公式サイト

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星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅

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星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅
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星のやに泊まる、星のやを知る 

2025.10.10

星のや軽井沢「森林養生」プログラム 森に身をゆだね、心身を解き放つ3泊4日の旅

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“その瞬間の特等席へ。”をコンセプトとする星のやブランドの始まりの地である「星のや軽井沢」。今年開業20年を迎え、「谷の集落に滞在する」をテーマに、「日本の原風景」を描いた美しい景観と心豊かな時間が過ごせる宿として、多くの人々を魅力し続けています。今回ご紹介する「森林養生」プログラムは、ただ休むための滞在ではありません。森を歩き、湯に浸かり、旬の養生食をいただき、体を調えていく。この体験を繰り返すことで、驚くほどに心身がリセットされていく体験プログラムです。今回は3泊4日のプログラムの一部を体験し、その背景を開発者に伺いました。

 





「星のや軽井沢」宿泊記 その1 新設の「棚田ラウンジ」で、緑と水に抱かれた「棚田アフタヌーンティー」を満喫

 

「星のや軽井沢」宿泊記 その2 2泊3日の特別プログラム「軽井沢 夏の健幸滞在」を体験する

 

 





自然に抱かれ、ゆっくりと深呼吸するように身体が調っていく「森林養生」プログラム

 

チェックインを済ませると、3泊4日のスケジュールの説明と共に、現在の身体の状況をお話するコンサルテーションが行われます。
ただのんびりするだけではなく、身体を見つめ直して、身体を調えることに焦点を合わせた旅。

どんな旅になるのか、果たして効果を実感できるのか、そんな想いを抱きながら、プログラムがスタートします。

 






まずは、「深呼吸入浴法」を学びながら大きく呼吸をして身体の緊張を解していく。
その後は、プログラムの主軸の1つである「森林浴ウォーキング」に向けて、ノルディックウォーキングポールの使い方を敷地内でレッスン。ノルディックウォーキングポールは通常のポールとは使い方が異なり、ポールを身体の前で杖として使うのではなく、身体の後ろでウォーキングをサポートするようにして使います。そのためにウォーキングを後押ししてテンポよく歩けて、姿勢を正して足を出すことで身体が温まっていくようです。

 

 





説明によると、ノルディックウォーキングポールを使うと、普段よりも腕を大きく振ることで全身運動となり、運動量が高くなるとのこと。緑豊かな環境で身体を動かすことの心地よさを感じながら、頭を空っぽにして歩みを進めることに爽快感を感じていきます。




到着後の緊張した身体をゆっくりとほぐしながら、「深呼吸入浴法」を学ぶ。




いざ、森林浴ウォーキングへ出発。コースはその日の体調に合わせて基本3つのコースから選ぶことができます。もちろん相談すれば、別のコースを選択することも可能とのこと。




軽井沢の名瀑「竜返しの滝」と「白糸の滝」、二つをめぐる道を選びました。途中まで車を走らせ、そこからは歩いて森の深みに分け入ります。足を踏み出すごとに、土の柔らかな感触が体に響き、小鳥のさえずりや木々のざわめきが心を優しく撫でていく。静寂に抱かれた世界で感覚がひとつずつ研ぎ澄まされ、絡まっていた思考がほどけていく。気づけば、胸の奥まで風が吹き抜けるように、心がすっと軽やかになっていくのです。




ポールを使うことで足取りが軽くなり、歩くことが楽しくなっていきます。




「竜返しの滝」まで来ると、一気に空気が変わり、気温も下がり、自然と深呼吸がしたくなっていく。




鍼灸・ボディケアの施術で、身体と深く向き合う

 

心地いい疲労感に包まれた後は、楽しみにしていた鍼灸・ボディケアの施術。実は鍼灸ははじめての体験。一度はやってみたいと思っていたものの、信頼できる先生でないと不安ということもあって未だに体験できていませんでしたが、星のや軽井沢が選んだ国家資格を有する、鍼灸・柔道整復師の方であれば安心です。

 




初日のカウンセリングで体調を細かく確認。3日間にわたり、その日の体調に合わせ、丁寧に施術が行われていきます。約150分の施術後は不思議と身体の痛みが和らぎ、さらに血が巡ってきたのか身体はポカポカです。
さらにいえば、朝起きた瞬間から腰痛に悩んでいましたが、翌朝は久しぶりの清々しさに包まれて、「こんなに自分の体は軽かったのか」と効果を実感しました。




完全個室のスパ棟では、水のせせらぎしか聞こえてこない。




施術は痛みを感じることなく、心地いい。







食べることも「森林養生」の大切な要素

 

「森林養生」のさらなる柱となるのは食事です。このプログラムではスポーツ栄養学に基づいた薬膳仕立ての特別食と星のや軽井沢のメインダイニング「日本料理 嘉助」での食事が三食用意されています。つまり滞在中の食事も徹底的に管理。



今回の夕食は「日本料理 嘉助」で『山の懐石』をいただきます。秋の食材である松茸や鮎、信濃雪鱒、薩摩芋などを使った料理はとにかく美しく、そして体に染み入る優しい味わいに仕上がっています。身体が調っていたせいもあるのか、ペロリと完食。

プログラムでは、2日目の夕食は特別食「山の旬菜鍋御膳」です。旬の野菜や薬膳素材が美しく盛られた鍋は、体に優しいだけでなく、食欲を満たす力強さもあるレシピ。




椀盛「中秋月」は、十三夜豆腐とすっぽんの身を入れた白玉は兎に見立てて。




重陽の節句をイメージした、進肴「被綿」。菊花蕪の中に鹿真薯が入り、上には松茸が乗っています。





素晴らしい環境の中での適度な運動、ボディケア、美味しい食事で大満足の1日の終わりは源泉かけ流しの温泉「メディテイションバス」で「深呼吸入浴法」を実践。ただ湯に浸かるのではなく、呼吸を整え、湯の中で軽く体を伸ばす。体が温泉に包まれながら、深い呼吸を繰り返すと、一日の疲れが取れるとともにエネルギーがみなぎっていくようです。温泉の力を“積極的に活かす”入浴法があることを今回はじめて知りました。

心も体も健やかになり、その日の夜はすぐに眠りにつくことができました。

 





朝食は、地元の山の恵みを薬膳の知恵と掛け合わせた「山の旬菜粥朝食」をいただく。滋味深いお粥を口に運ぶと、体がじんわり温まっていきます。朝からしっかり食べることは、新たな一日の始まりを整え、体を養う行為だと実感します。




特別朝食「山の旬菜粥朝食」。右奥の養生粥は戻貝柱ほぐし身、銀杏や百合根、小豆などが入った香り豊かで優しい味わい。




今回は3泊4日のプログラムの一部の体験ではありましたが、自分の身体の内に耳を傾け、自然の中で体を調えていく経験でした。都会でトレーニングをするのとは異なり、まさに心身が調っていくことを実感できます。貴重な休日をどう過ごすかを考えた際、食事や運動、そして鍼灸が調った環境にただ身を置くだけで、心も体も驚くほど軽くなっていきました。




完全個室になっているスパ棟。




星のや軽井沢からはじまった「養生」という発想と取り組み

 

この「森林養生」プログラムの開発背景について、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐さんと、スパ開発を手掛け、さらには今回の「森林浴ウォーキング」のサポートもしてくださった髙橋明日香さんに話を伺いました。

 

 





「養生」とは、自分を養い、健やかに生きるための知恵。そう語るのは、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐さんです。

 

「日本には古来から、食や呼吸、休息を通じて自分を整える文化がありました。星のや軽井沢ではその知恵を現代に置き換えて、軽井沢の自然や温泉の力を借りて心身を調える体験として「森林養生」プログラムを開業して間もないころから提供しています。




星野リゾート入社後、プログラム開発に従事。2015年に「星のや軽井沢」総支配人、2019年に「星のや東京」総支配人を務め、2021年から再度「星のや軽井沢」総支配人を務めている。





「森林養生」プログラムが始まったのは開業当初から

 

「当時はマクロビオティック(マクロビ)が注目されており、健康的な食事への関心が高まっていました。そこで「森林養生」でも食事を中心としたプログラムを行っていましたが、当時は今よりずっとストイックで、玄米を百回噛む、ゴマをすり続けるといった厳格な食事法でした」と赤羽さん。

 

 





「当時は食事の際に横に座って指導をするほど徹底的な指導でした。その甲斐あって、滞在中に減量ができたり、フェイスラインがすっきりしたなど目に見えた効果を感じていただきましたが、いまは無理なく続けられることを重視しています。大切なのはゲストが自分のペースで“心地よさ”を見つけることですから」とプログラムを企画・開発した髙橋さん。





「森林養生」プログクラムのスタート当時から企画に携わっている髙橋さん。ご自身もマラソン大会に出場するほどのアスリートである。




さらに髙橋さんは「森林浴ウォーキング」で新たに採用したノルディックウォーキングポールについても話してくれました。

 

「通常のポールは杖のように使用しますが、このノルディックウォーキングポールは腕を大きく振って、ウォーキングのサポートをしてくれる道具になります。ウォーキングの助けになるとともに、全身運動となることで運動量も増加します。このポールを使ったことで、普段より長い距離を歩けたとおっしゃるお客様もいて、帰宅後にポールを購入されて日常に取り入れているようです。ここでも体験が一時的なものではなく、帰ってからの生活に生かされることは嬉しいですね」と話します。




ウォーキング中は腕に心拍計をつけて、運動による心拍の変化をチェックしていきます。




まずはポールの使い方をレクチャーしていただく。ポールを使うと、姿勢を正して、テンポよく進むことがラクになります。




エビデンスに基づき、あらゆる角度から養生を行っていく

 

もちろん食事を大切にする発想は、スタート当時から変わることなく反映されています。

「薬膳は特別なものに感じられるかもしれませんが、基本は旬の食材を活かすことからはじまります。信州ならではの恵みを取り入れ、運動や施術の効果を高める献立を提供しています。今回より地元で、アスリートの運動や食事指導を行っている公益財団法人『身体教育医学研究所』と『ニッスイ湯の丸アスリート食堂』の力をお借りしたプログラム構成になっているのも特徴です」。






また鍼灸をはじめとする東洋医学のアプローチも、今回から導入したものです。3日間に渡って行われる鍼灸とボディケアの施術は、それぞれの体調を見ながら行われます。連日の施術で、より体の声に耳を澄ませることで、自分に合った回復法を見つけるきっかけとなるはずです。






星のや軽井沢を象徴するランドスケープ「棚田ラウンジ」を背景に。







さらに特徴的なのは、スタッフ全員がプログラムに関わっている点です。外部講師に任せるのではなく、スタッフ自身が知識や技術を学び、ゲストに寄り添っていく。

「だからこそ小さな変化に気づけるのです。ゲストが自分なりの物語を紡ぐ、そのそばに寄り添うのが私たちの役割だと思っています」と赤羽さんは語ります。

 

いまではその発想は他の「星のや」にも広がっています。星のや竹富島では「島時間養生」、星のや東京では「深呼吸養生」といった形で展開され、土地固有の自然や文化を取り入れながら、ゲストが自分を見つめ直すきっかけを提供しています。

 




広大な星のや軽井沢。悪天候の日は、星野温泉 トンボの湯へ続く「イチイの丘」で、軽いランニングなどで身体を慣らすのもおすすめです。




取材を終えて思うのは、このプログラムは「癒し」を超えた存在だということです。森を歩き、湯に浸かり、旬をいただき、ただ休む——。そのシンプルな行為の積み重ねが、自分自身を深いところからリセットしてくれます。

 

赤羽さんが最後に語った言葉が印象的でした。

「ここは“何かをする場所”ではなく、“何もしないことを思い出す場所”なんです」

 

 




森に抱かれながら過ごす3泊4日の滞在は、忙しい時間を過ごす私たちが忘れかけていた“調和・調整”を呼び戻す意味深い時間になりました。











「星のや軽井沢」宿泊記 その1 新設の「棚田ラウンジ」で、緑と水に抱かれた「棚田アフタヌーンティー」を満喫

 

「星のや軽井沢」宿泊記 その2 2泊3日の特別プログラム「軽井沢 夏の健幸滞在」を体験する









◆星のや軽井沢「森林養生」

・実施 通年
・料金 1名270,000円〜(税・サービス料込)*宿泊料別
・含まれるもの  コンサルテーション2回、深呼吸入浴法レクチャー1回、森林浴ウォーキング4回、鍼灸・ボディケア3回・浅間山ストレッチ1回・のびのび深呼吸1回、夕食「日本料理 嘉助・山の懐石」2回、特別夕食「山の旬菜鍋御膳」、朝食「日本料理 嘉助・山の朝食」1回、インルームダイニング朝食1回、特別朝食「山の旬菜粥朝食」1回
・定員 1日1組(2名まで)
・予約 公式サイトで10日前までに受付
・対象 星のや軽井沢宿泊者
・備考 身体バランスや要望、天候に合わせてスケジュールは変更になる場合があります。

仕入れ状況やスケジュールにより食事内容が一部変更になる場合があります。
2名でご予約の場合は一部滞在スケジュールを変更させていただきます。

 

 

 

Text by Yuko Taniguchi
Photography by Natsuko Okada(Studio Mug )

 





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鹿児島の「宝」を巡る旅

2025.10.2

癒やしの島、屋久島へ。豊かな自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップとカフェを訪ねて

「ヤクスギランド」で出会うことができる屋久杉のひとつ「千年杉」。圧倒的な存在感で訪れる人を出迎える。

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「南の宝箱 鹿児島」を巡る旅の今回の目的地は屋久島。鹿児島本港から高速フェリーで最短2時間、ほぼ中央に九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)がそびえる周囲約130㎞の島だ。島自体は亜熱帯に属するものの、亜熱帯から亜寒帯までと、多様な植生の垂直分布が見られ、1993年には日本初の世界自然遺産の島に認定された。屋久島の植物といえば、やはり屋久杉。数多くの屋久杉を鑑賞できる島内隋一の森「ヤクスギランド」で、実際に屋久杉を目の当たりにした後は、屋久杉がもたらす豊かな自然と、その自然の恩恵を受けて暮らす人々が営むショップ「YAKUSHIMA BLESS」 と、「Plant-based Cafe&Act【ne-】」「やくしま果鈴」の二つのカフェを訪ねた。


海岸沿いのわずかな平地をのぞき、島の大半は山また山。その山々を濃い緑が覆う。



「ヤクスギランド」で数多くの屋久杉に出会う




屋久島を訪れたら、まずは縄文杉へ。だれもがそう思うかもしれないが、縄文杉への道のりは往復約22キロを、10時間前後かけて走破する本格的なトレッキングコースとなり、なかなか困難なことも事実。もう少し手軽に屋久杉に出合うことができる場所、それが「ヤクスギランド」だ。




ちなみに、屋久杉とは樹齢1,000年を越える杉、そして縄文杉とは、標高1,300m付近の山中に根を張る最大級の杉の一個体に付けられた名称で、約2,000年から約7,000年の間の樹齢と想定されている。一方、「ヤクスギランド」にも樹齢2,000年前後の屋久杉が何本か存在し、間近で見ることができる。


30分・約800mの「ふれあいの径」コースは、木道と石張歩道が整備されているので小さな子どもでも歩くことができる。このコースでも、何本かの屋久杉に出会う。




海沿いは晴れていたのに、標高1,000mを超える「ヤクスギランド」に到着すると雨が降ってきた。雨と同時に、樹々も一斉に深呼吸を始めたのだろうか、周囲の緑がより色濃く鮮やかになってきたかのようだ。程よく整備された30分・約0.8㎞の「ふれあいの径」から、210分・約4.4㎞の「天文の森」までコースは5通り。年齢やその日のコンディションに合わせて選ぶことができる。



今回は80分・約2㎞の「つつじ河原」を選択した。「ふれあいの径」と重なる最初の間は比較的に楽な道のりだったが、奥へ入るにしたがってアップダウンも加わり、径も険しくなってくる。しかし、それを補うに余りあるのは、次々と現れる屋久杉の巨木の厳かなたたずまい、そして歩くにしたがって変わっていく周囲の景観だ。

奥へ入るにしたがい、径はやがて狭く険しいものとなる。一歩一歩注意しながら歩きたい。


径沿いの景色は、絶えず変化していく。美しい清流とも何度か出会う。流れる水は驚くほど透明。




「千年杉」「仏陀杉」「双子杉」……。その趣深い名前もさることながら、神々しいまでの存在感を放つ屋久杉を前にすると、思わず頭を垂れたくなる。屋久杉だけではない。生い茂る大小さまざまな樹木、澄み切った水が流れる清流、苔むした岩肌……。立ち止まり、何度も深々と息を吸う。あらゆるものに生命が宿り、そこから放たれるエネルギーが身体を清浄にしてくれる。降る雨も清々しく感じられる。


屋久杉の根をびっしりと苔が覆う。そこに何者かが宿るような神々しいまでの巨木が、訪れる人の心を癒やす。



80分の「つつじ河原」コースを無事踏破した。心地よい疲労はやがて満足感となる。

 

屋久杉に出合うことができる格好のエリア、「ヤクスギランド」。小さな子でも歩くことができる「ふれあいの径」以外は、高低差のあるコースとなる。雨も多い。レインコートやトレッキングシューズなど、ある程度の装備を整えて歩くことがお薦めだ。

 


屋久島レクリエーションの森保護管理協議会

鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦1593

Tel:0997-42-3508

受付時間:8時~17時


豊かな自然に囲まれ、のびのびとすごすヤクザルとヤクシカたち



「ヤクスギランド」のほかにも、屋久島の自然に触れることができるスポットは数多くある。そのひとつが、「大川の滝」。90mほどの断崖から落ちてくる滝の水が作る景観は雄大そのもの。晴れた日には青空と滝水の白、そして周囲の緑とのコントラストが美しい。また島の西側、世界自然遺産エリアの西部林道には、野生のヤクザルとヤクシカが頻繁に出没し、時には道路を我が物顔で歩いていることも。



落差90m近くある「大川の滝」。滝つぼのすぐ側まで近づくことができる。日本の滝百選」にも選ばれている。


道路際から人間をじっと見つめるヤクザルたち。猿が人間に対して狂暴化する原因となる「餌付け」は条例で厳しく禁止されている。



YAKUSHIMA BLESS
貴重な屋久杉を活用し、島の恵みを多くの人に伝える



店内に足を踏み入れると、木箱に積み重なった小さな木片の山が目に入る。そしてどことなく爽やかな香りも。小さな木片は屋久杉だ。屋久杉は、現在では伐採禁止だが、「YAKUSHIMA BLESS」の母体である「武田館」は、古くから屋久島で屋久杉を伐採・搬出する林業を営み、そのころからの伐採済屋久杉を在庫として多く保有していた。店内に置かれていたのは、そうした屋久杉を木片にしたものだ。



屋久杉は小さな木片となっても、1000年という歳月を感じさせる複雑な表情を醸し出す。



手に取り、よく見るとひとつひとつ形が異なり、なかには表面に複雑な模様を持つものもある。ふつうの杉より多くの樹脂を含む屋久杉は、磨けば磨くほど光沢を増し、複雑な表情を醸し出してくる。こうした屋久杉の性質をいかし、ゲストが選んだ木片と、木片を磨く紙やすりなどをセットにしたキットが、「屋久杉を磨こう!」だ。



「単なるお土産にはしたくなかったのです。旅が終ったあとにも屋久島を感じていただきたい。この島の一部を皆様にお届けし、屋久杉がお守りのように、皆様のそばで寄り添えたなら。そんな想いから生まれたプロダクトです」

 

そう語るのは、「YAKUSHIMA BLESS」代表の金田知博さん。


金田知博さんと、店長の幸代さんご夫妻。「YAKUSHIMA BLESS」の母体となった「武田館」は、幸代さんの祖母が始め、屋久杉の家具などを扱う店舗として、「YAKUSHIMA BLESS」に隣接して現在も営業を続けている。



「屋久島に屋久島のままであり続けてほしい。限りある資源を大切に未来へ残すため、島の恵みと新しい感性を融合させ、これまでの『お土産』の枠にとらわれない、屋久島にしかないものづくりを目指しています。そして、『この島に訪れてよかった』と思っていただけるような、心おどる出会いが生まれる場所でありたいと考えています」






金田さんの言葉が物語るように、「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムは、環境に配慮したものばかりだ。「屋久杉を磨こう!」をはじめ、チップ状にした屋久杉を漬け込んだ椿油、アミノ酸が豊富なシルクなどを用いた「屋久杉の石鹸」、屋久島で暮らしたアーティストに手によるバンダナ「ハルモニア」など、どのアイテムも環境への配慮と、そこに関わった人の温かい息遣いが感じられる。


「屋久杉の石鹸」は「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムのなかでも一、二を争う人気。1個3,300円(内税)

「屋久杉の石鹸」の泡は驚くほど滑らかで弾力がある。その肌触りをショップ内で試してみることもできる。



白を基調とした店内には、「屋久杉の石鹸」をはじめ、屋久杉を活用したグッズや、アーティストとコラボした作品などさまざまなアイテムが美しくディスプレイされている。



「自然に感謝、人に感謝。名前の『bless』には、そんな私たちの思いが込められています」

 

樹齢1,000年を越える屋久杉の木質はとても硬く、小さな木片にもその堅牢さは十分感じられる。それは「YAKUSHIMA BLESS」のアイテムに通底する、環境を大切にしようとする意志の強さそのものでもある。




YAKUSHIMA BLESS

鹿児島県熊毛郡屋久島町安房540-61

Tel:0997-46-2899

営業時間:9時~17時(冬季時間変更あり)

不定休

 

 







Plant-based Cafe&Act【ne-】
森へと誘い、森から還る。森に溶け込む自然派カフェ




「Plant-based Cafe&Act【ne-】」は、屋久島の樹々に囲まれてぽつんと建つ一軒家だ。「ne」とは根っこの根。そして「plant-based」は植物由来の食べもののこと。このネーミングが物語るように、一軒家カフェでの食事、ドリンク、スイーツはすべて植物に由来する。


屋久島の森を通る道がそのまま店内へと誘うような造り。店の反対側から、道は再び森へと続いていく。



ランチの「ブッダボウル」は、無農薬のお米に有機雑穀を加え土鍋炊きし、そこに屋久島産の無農薬野菜がふんだんにトッピングされている。口に含むと、野菜の滋味が広がり、その滋味を土鍋炊きの米のふくよかな味と香りが包む。島の樹々を利用して、屋久島の海水を数日焚いて作る自家製の塩や、こだわりの調味料がオーガニックな食材とともに、味わいをより細やかにしてくれる。


高野豆腐の照り焼き、ナッツ佃煮、塩麹きのこをはじめとして、週替わりで屋久島産の季節の野菜をたっぷり盛り込んだ「ブッダボウル」。1,500円(税込)



マフィンやスコーンなどのスィーツも植物由来ならではの優しい味わいだ。自家焙煎のコーヒーとの相性も抜群で、「これがすべて植物由来で作られているの?」と驚くほど満足感のあるスイーツだ。


屋久島産の素材を使用したスコーンをはじめとする植物由来のスイーツが、愛らしく並ぶ。どれも優しい甘み。



笑顔の絶えない、店主の丸山悟さんと奥様の真実さん。二人とも屋久島へ移住しこの店を立ち上げた。「人間が自然の一部であると感じられる屋久島の在り方。そこに惹かれました。屋久島というと、屋久杉に話題が集まりますが、屋久杉だけでなく森そのものがとても豊かで、その豊かさを一人でも多くの方に味わっていただければ、と思います」



そんな丸山さんの言葉は個性的な建物の造りにも現れている。屋久島の森の小道が、まるで建物の中を通り抜けるかのようになっているのだ。長方形の建物の両側短辺が出入り口となり、小道は店舗の中央を通り、店を出るとその先は森へ繋がっていく。森へと誘う起点であると同時に、森の小道を覆うほっと一息つくことができる場所、それが「Plant-based Cafe&Act【ne-】」だ。


森の緑と一体化したかのような空間。石畳の道が店内を通り抜け、森へと続く。




木の温もりが優しい店内には、屋久島の木材などを用いた木工作家の作品やオーガニック主体の食品などがディスプレイされ、そのディスプレイにも、丸山夫妻の「森への想い」が満ち溢れている。また、木に触れることができるキッズスペースが設けられているので、子連れのゲストも楽しむことができる。


丸山さんは、屋久島の木にまつわる研修も受け入れ、売り上げの一部を植林活動に使うなど、食空間に留まらず、社会に対するアクションも行っている。まさに、「Cafe&Act」の空間だ。


「この少し変わった空間で、人も森のなかの一部であるということを、身体すべてで感じ取っていただければと思います」

 

店内の片側壁面は、窓を多用した開口部の多い造りとなっている。開け放たれた窓から心地よい風が吹き込んでくる。風と同時に、丸山さんが語る「森と人との繋がり」が森からカフェの店内に、そして身体中に注ぎ込まれているような気がした。

笑顔の絶えない二人に囲まれ、生後6カ月の、あおちゃんもいつも笑顔。



Plant-based Cafe&Act【ne-】

鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2739-343

Tel:090-2399-8769

営業時間:11時~16時(木曜日~土曜日)

 

 




やくしま果鈴
「やくしま愛」に満ち溢れた、屋久島素材にこだわるおやつ工房



濃厚な甘さとほどよい酸味、そしてジューシーな果肉が特徴の柑橘類の一種、「たんかん」。鹿児島は「たんかん」の生産量が日本一で、屋久島でも収穫期の2月になると、果樹園ではオレンジ色も鮮やかな「たんかん」がたわわに実る。この「たんかん」を使ったお菓子を中心に、安心でおいしいおやつをつくっているのが「やくしま果鈴」だ。




有機栽培で30 年以上「たんかん」が育てられていた畑を、縁あって鈴木由美さんが引き継いだのは2017年のこと。屋久島に魅入られ、その何年か前から島での生活を始めていた鈴木さんは、もともとお菓子づくりのキャリアを持っていた。そうしたキャリアを活かし、畑を引き継いだと同時に、鈴木さんが代表となって、店舗も兼ねたお菓子工房「やくしま果鈴」が誕生した。

 

「特産の『たんかん』を使ったお菓子をつくろうとしたのですが、当初は『たんかん』に関しては美味しい果実としてしか知らず、お菓子の素材に使うにはその特徴をもっと深く知りたいと思い、そのためには自分たちで栽培もしたほうが良い。そう思い、農業と製造加工が同時にスタートすることになったのです」

 

最初は3名からのスタートだったが、鈴木さんの思いに共感するスタッフが次第に増え、現在では16名の仲間たちが、果樹の栽培やお菓子作りに携わっている。



「工房を始めたのは、『たんかん』のおいしさをたくさんの人に味わってほしい、という想いからです。その想いをかなえるためにも、持続可能な農業を心掛け、『たんかん』栽培に関しては鹿児島県から特別栽培(減農薬・減肥料)の認証を受けています。お菓子をつくる場合にも出来るだけ自然の素材からくる香りや色味を大切に、可能な限り屋久島産のものを用いています」




鈴木さんが栽培しているのは「たんかん」の他に、ぽんかん、レモン、グアバ、バナナ、パイナップルと多種多彩。こうしたフルーツが、さまざまなお菓子となってお店に並ぶ。

自家農園の果物を丸ごと生かしたフルーツバター、フィナンシェ、バスクチーズケーキ、「やくどら」と名付けたどらやきのほか、島の特産品を活かしたお菓子を、丹精込めて手づくりしている。

人気商品のひとつがフルーツバター。それぞれのフルーツの甘味とバターのふくよかな味わいが絶妙なマッチング。各1,380円(税込)




「やくしま果鈴」には、カフェスペースも設けられている。「まるごとたんかんジュース」や「黒糖ジンジャエール」など、ドリンク類も充実。なかでも人気なのが、フルーツ感をダイレクトに味わうことができるスペシャルスムージーだ。「たんかんスムージー」「グアバスムージー」「パッションフルーツスムージー」など、フルーツをふんだんに用いたスムージーのほか、マンゴー、ドランゴンフルーツなどラインナップも豊富。「たんかんスムージー」を口に含む。ぎゅっと濃縮された「たんかん」の風味が、ほどよい冷たさと同時に心地よく喉を通り抜けていく。そして優しい甘みが追いかけてくる。


お店の前にそびえる「モッチョム岳」を眺めながら心ゆくまで味わいたい。たんかんスムージー(左)と、すもも&ポンカンスムージー(右)、各700円(税込)。



愛らしいパッケージのお菓子が整然と並ぶ店内。

店内にはカフェスペースも設けられ、グラタンセットやフルーツバタートーストなどもオーダーすることができる。



「私たちがつくるお菓子は素朴かもしれません。でも、屋久島がもつ自然の豊かさを込めているつもりです。私たちが屋久島に魅せられてお店を続けることで、私たちが大好きな屋久島に少しでも貢献できたら、そんなことを願っています」

 

受け継いだ果樹園で、スタッフの力を合わせて収穫したさまざまな果実に囲まれながら、鈴木さんは今日も工房でお菓子づくりに励んでいる。


「時間をかけて丁寧に、一口食べると思わず屋久島が好きになるようなお菓子を作っています」と、代表の鈴木由美さん。


やくしま果鈴

鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間672-1

Tel:070-8940-6721

営業時間:10時~17時30分

定休日:日、月曜(イレギュラーあり)



豊かな自然と、そこで暮らす人々の知恵が結びついたとき、その土地にはさまざまな「宝」が生まれる。鹿児島県の各地で生まれ、光り輝く数々の「宝」。それらは今や、世界が注目する存在になりつつある。

 

 

そんな鹿児島の宝を巡る旅は、これからも続く。これまでの「南の宝箱 鹿児島を巡る旅」は以下から。

第一回 鹿児島の「茶」を巡る旅 はこちら

第二回 鹿児島の「ウイスキー」を巡る旅 はこちら

第三回 鹿児島の「焼酎」を巡る旅 はこちら




























































































































Text by Masao Sakurai(office clover)
Photography by Azusa Todoroki(Bowpluskyoto)

関連リンク

屋久島レクリエーションの森保護管理協議会
YAKUSHIMA BLESS
Plant-based Cafe&Act【ne-】
やくしま果鈴

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南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を

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南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を
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2025.9.30

南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を

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日本に居ながら、海外のビーチリゾートにいるような時間が楽しめるのが、南紀白浜にある贅を尽くした隠れ家的なホテル「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」である。

 

東京・羽田空港から南紀白浜空港まで約1時間、大阪からは車で約2時間半、南紀白浜の数多いリゾートホテルの中でもひと際目を惹く佇まい。ホテルに足を踏み入れれば、喧騒とは無縁の時間が流れ、究極のプライベート空間が広がっている。

 

2025年9月、世界的なホテルブランドグループ「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)」に日本で19番目のホテルとして迎えられた。世界に比類のない小規模のラグジュアリーホテルの1つであり、特別な滞在を約束されたホテルであることの証である。








目の前には海岸が広がっている。





わずか18室のプライベートステイで心が解き放たれる滞在を

 

 

当ホテルがなぜ贅沢なのか。

わずか18室の客室は、違うタイプの客室が3棟に分かれ並んでいる。
それぞれの棟は“星座”の名前がついており、もっとも広いプレミアスイートオーシャンビューは「GREAT BEAR(おおぐま座)」という名がついている。
テラスを含んで145㎡の広さがあり、ベッドを4台備えた部屋であれば、小さな子どもの添い寝であれば3世代での滞在も可能だろう。

また部屋によってはサウナやジャグジーを備えているので、誰の目を気にすることなく、自分の時間を謳歌することができる。







「GREAT BEAR(おおぐま座)」客室。




120㎡の広さのジュニアスイートデラックスが「GIRAFFE(きりん座)」。テラスへ飛び出す形の半露天風呂が備えついており、公式ホームページからキッズフレンドリープランを選んで予約すれば、室内に子ども用の遊び場スペースを設置し、バスルームには子ども用グッズなどを用意されているので、荷物が多くなりがちな子ども連れの旅でも身軽に移動できるのは嬉しい。



「GIRAFFE(きりん座)」の客室。




キッズフレンドリープランを選ぶと、客室に子ども用に遊び場が備えられている。




洗面所に用意されている、子ども用にグッズの数々。




プールガーデンデラックス「DRAGON(りゅう座)」は、まるで高級ビーチリゾートホテルのように、部屋のテラスからプールへ飛び込める。水着のままプールに飛び込み、部屋のテラスでくつろいでから、またプールへ。

海外の高級ビーチリゾートにいるような滞在が、日本でできるなど驚きの連続。

 

 




「DRAGON(りゅう座)」の客室。




テラスから直接プールへ。



また、全室には電解水素水が備えられており、専用ボトルに入れて、いつでも健康や美に効果的と言われる水素水をいただくことができる。

部屋の冷蔵庫内の飲料ももちろんすべてフリー。足りなくなれば追加でオーダーすることもできる。

 





南紀白浜温泉の「湯」に包まれて。ホテル内から湧き出る源泉掛け流しの純泉体験

 

南紀白浜温泉は、有馬温泉と道後温泉に並び、「日本三古泉」の一つに数えられ、日本書紀や万葉集にも登場する温泉である。古くから天皇をはじめ皇族が湯治に訪れたと言われる由緒ある場所である。




敷地内にある自家源泉。







大浴場には露天風呂も備えられている。浴室にはランドリーがあるほか、湯冷めのアイスキャンディーも。




当ホテルの建設は、まずは温泉を掘り当てることからはじまったと聞く。温泉の掘削が成功しなければホテル建設は断念したというほど、温泉の存在は必須だった。無事に掘り当てた源泉は「純泉」と名付けられ、敷地内地下1,000メートルから汲み上げる自家源泉が施設中央にある。温泉の中でも珍しい深層自然温泉が24時間湧き出ている。なんとも贅沢なことだ。

 

 



部屋のお風呂でゆったりも嬉しいが、やはり大浴場の存在は温泉地では欠かせない。露天と内湯を兼ね備えた大浴場「五光の湯」は、海風に吹かれながら空を見上げ、心の芯まで解きほぐされていくような感覚を味わえる空間だ。

 

 





さらに、宿泊者だけが利用できるプールは、冬は温泉プールになるために年間を通じて利用することができる。

朝は鳥のさえずりとともに、また夜は星空を仰ぎながら、プールに身を委ねる体験は南国のリゾートそのものだ。

 

 

2025年には木樽型の「バレルサウナ」がプールサイドに新設され、ウェルネスリゾートとしての魅力がさらに進化した。プールで冷えた身体を温め、汗を流してからまたプールへ飛び込む。これは海外リゾートでは味わえない贅沢ではないだろうか。



“泊まる”を超える、人生に残る滞在体験

 

 

滞在スタイルはオールインクルーシブ。

食事はもちろん、アルコールを含むドリンク、温泉施設の利用、バーでのカクテルタイムまで、すべてが宿泊費に含まれている。だからこそ、ゲストは時計やお財布のことを忘れ、“本当の意味で自由”な時間を手にすることができる。







ゲストは自由に利用できるバースペース。日本酒やワイン、ビールなどのアルコールから、ノンアルコールドリンクやスナックなどが置いてある。



最後にご紹介するのは南紀の豊かな食材をたらふくいただける食事である。

レストラン棟は仕切りあるスペースと個室があり、まわりを気にすることなく自分たちのペースで食事がいただける。夕食はコース料理になっており、紀州の海と山の恵みを取り入れた会席料理を楽しめる。素材のすべてが選び抜かれた逸品ばかり。料理長が一皿ずつに心を込めた“地産地消の芸術”は、まさに舌の記憶に残る味わいだ。



驚くほど柔らかい、熊野牛の陶板焼き。



新鮮な海の幸はお刺身で。





食事を終え、夜のとばりにプールサイドでくつろいでいると、広大な敷地に映し出されるレーザーマッピングショーがはじまる。
静寂な中、幻想的な光の舞台に目が奪われる。

時折映し出されるメッセージは、チェックイン時に預けたメッセージである。滞在中に、大切な人へ思いを伝える、そんな演出もできそうである。






夜はレーザーマッピングショーがはじまり。宿泊客のメッセージが投影される。






朝食は、レストラン棟で豪華なビュッフェが待っている。

熊野牛や伊勢エビ、鮑、サザエのほか、新鮮な地元野菜が並び、好きなものを網焼きにしていただく。網の上で鮑が躍る姿はなかなか見ることができない、まさに贅沢な食事である。さらには美しいお刺身も並んでいる。朝から遭遇する非日常の風景に来てよかった!という言葉が思わず漏れてしまうはずだ。

 



高級食材が並ぶ朝食。




「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」での滞在は、まさに夢のような時間であった。
「何もしない」ことを、心から楽しむ、都会では忘れている何かをここでは見つけることができるはずだ。
いつかまたここに戻ってきたい、そう心から思えるホテルだ。




 

 

 

 

Text by Yuko Taniguchi





FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)
和歌山県西牟婁郡白浜町300-2

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FIVE SPRINGS RESORT THE SHIRAHAMA 公式サイト

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伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.10.02

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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る

2025.10.2

伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?

神宮の修祓の様子。黒田清子祭主も奉仕。おまつりに先立ち、奉仕する大宮司以下、神職たちとともに、お祓いを受ける。

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稲が稔りのときを迎える秋は、全国でもおまつりが多い季節。特に農村地帯では、年に1度の大々的なおまつりである例祭がこの季節に行われる神社も多く、おまつりを通して、鎮守の神様である御祭神に、収穫への感謝の祈りが捧げられる。

 



ここ伊勢の神宮でも、令和7年(2025)9月2日に抜穂祭(ぬいぼさい)が行われた。毎年9月初旬に神宮神田で行われる抜穂祭は、神宮のおまつりでお供えする御料米の初穂を収穫するおまつり。以後の約1ヶ月間、稲穂の刈り取りが行なわれ、10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)で、はじめて天照大御神などの神々に奉り、豊かな稔りへの感謝の祈りが捧げられる。






神宮では、多くのおまつりが行われている。その数は、なんと年間約1500回を数えるという。驚きである。




さらに、今年の令和7年(2025)から、令和15年(2033)に行われる式年遷宮に向けてのおまつりも加わり、9月17日と19日には、内宮(17日)、外宮(19日)それぞれで「御船代祭(みふねしろさい)」が行われた。

 

今回は、各地でおまつりが多い季節を迎えるにあたり、知っているようで、実はあいまいな点も多いおまつりに焦点を当ててみよう。



おまつりとは、神様へのお礼と感謝の意味を持つ

 

おまつりと聞いて、まず思い浮かぶのは?

お神輿(みこし)や山車(だし)、それとも、笛や太鼓の囃子の音や踊りだろうか?いずれにしても、おまつりに対してにぎやかなイメージを抱いている人は少なくないだろう。





だが、本来おまつりの中心は祭祀(祭典、祭儀などとも言う)。にぎやかさとは無縁に、神様に向かい、粛々と行われている。

 

そもそもおまつりは、神様に恵みを感謝して、その神様を一定の場にお迎えし、真心を込めてたてまつり、もてなすこと。おまつりの語源である「まつる」は、神様に「奉(たてまつ)る」に由来するという説がある。



もっとも、現在は、神様に奉仕する儀礼のみを指すようになり、たとえば神様に御饌(みけ=お食事)や御酒(みき)、御幣(みてぐら)などのお供えものを献上する「たてまつる」、さらに、神様を称え、感謝を捧げて祈りや願いなどを「告げまつる」意味もあるという。





伊勢神宮のおまつりに奉仕する神職たちは、前日、もしくは前々日から斎館に籠って心身を清め、当日は、斎館からまず修祓を行うため祓所(はらえど)に向かう。広大な神域を、歩調を合わせて進む姿も、神宮のおまつりならではの風景。





抜穂祭では、作丁(さくてい)と呼ばれる奉仕員が稲を刈り、その稲から穂を抜いて神前に奉る。






一般に、神社や町のおまつりを行う目的はさまざまだ。たとえば五穀豊穣を祈るなど、願望の成就を求めたり、収穫の季節は、豊かな恵みに対するお礼や感謝を捧げることに重点が置かれる。さらに、御祭神の鎮座に関わる日に、神様の働きや行いを称えるおまつりもある。






神社や町のおまつりには、所作や作法などの形式が存在している

 

お社の成り立ちや土地ごとの風土、そして、季節や目的によって、一見さまざまに異なるように思える神社のおまつり。だが、その中心である一連の祭祀には、ある一定の形式があり、それに沿って進められている。






祭祀でまず行われるのは、修祓(しゅはつ)と呼ばれるお祓い。大麻(おおぬさ)や御塩の祓い具で、おまつりに奉仕する神職や参列者を清めた後、神様に御饌、つまり神饌(しんせん)を供える。そして、祝詞を奏上して感謝を述べ、祭祀の目的をお伝えし、場合によっては、神楽といった歌舞音曲(かぶおんぎょく)を奉納。神様をおもてなしし、神饌をお下げするという流れになっている。





修祓では、お供えする神饌と奉仕員を祓い清める。








9月に開催されたのは式年遷宮へ向けたおまつりの1つ、「御船代祭(みふなしろさい)」

 

 

年間約1500回にも及ぶ神宮のおまつりが、いずれも落ち着いた静寂の中で、厳かに粛々と進められるのは、おまつりが、修祓、参進、献饌、祝詞奏上、奉楽、撤饌(てっせん)、退下(たいげ)と、一連の形式どおりに行われているから。

 

今年の令和7年(2025)から始まった式年遷宮へ向けたおまつりも、すべて厳かに行われている。9月17日と19日の「御船代祭(みふなしろさい)」も、また然り。


令和7年9月17日に内宮で行われた御船代祭(みふなしろさい)の様子。物忌(ものいみ)と呼ばれる童男が、忌鍬(ゆくわ=清浄な鍬)を捧げ持ち、草木を刈り初める式を行う。祝詞の奏上では、立派な御船代の奉製が祈られた。



御船代とは、新しく造られる御正殿で御神体をお納めする「御樋代(みひしろ)」を、さらにお納めする御器(みうつわ)のこと。今年の6月に伐り出された「御樋代」に続き、今回は御船代の御用材を伐り出すにあたり、「御杣山(みそまやま)の木の本に坐す大神」などに祈る祭祀が行われた。

 

その一方、毎年決められた日時に行われる、いわゆる「祭典ならびに恒例式」も多い。

 



内宮の御船代祭(みふなしろさい)では、皇大神宮、荒祭宮に対してのおまつりの後、内宮の別宮すべてに対してのおまつりが行われる。祭場は風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)近くの宮山祭場で、この日はツクツクボウシの鳴く声が響き渡っていた。なお、当日の同刻には、この内宮のおまつりに合わせて、木曽の御杣山で御船代木の伐木の儀が行われる。





年間に約730回も行われる、
神々に御饌を毎日奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」

 

 

なかでも、毎日朝と夕の2度、外宮の御垣内(みかきうち)にある御饌殿(みけでん)で、内宮と外宮、それに別宮の神々にお食事を奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」は、古式の祭祀のありようを今に伝えるおまつり。





まず前日、奉仕の神職は参籠し、当日早朝に神饌調理をしておまつりを準備する。その後修祓をし、神饌を供えて祝詞を奏上。皇室の安泰と国民の幸福を祈った後、拝礼を行い、御饌を下げる。古式の姿がうかがえる。

 

 

何より、このおまつりは、外宮のご鎮座以来、およそ1500年もの間、年間に約730回、1日も欠かさず続けられてきたという。



内宮の修祓の様子。内宮・外宮とも忌火屋殿(いみびやでん)と呼ばれる建物の前庭、祓所(はらえど)で修祓を行い、その後、参進して正宮へ向かう。



おまつりとは何か、そして、祈りとは何かという問いに対する1つの答えが、このおまつりには秘められているように個人的には思える。

 

 




おまつりのルーツ神話にあり。祈りとは己の姿の在り方にある?

 

 

だが、ここで1つの疑問も湧き起こる。そもそも、おまつりに効力はあるのだろうか。その答えのヒントは、実は神話に示唆されている。

 

おまつりのルーツを辿っていくと、「天の岩戸神話」に行き当たる。
天照大御神のお出ましを願い、神々が取った一連の行動、これが、おまつりの初見とされている。

 

『日本書紀』によれば、天照大御神が弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴に立腹し、天石窟(あめのいわや)に入って岩戸を閉じ、中に籠ってしまわれたとき、天地は闇ばかりの世界になったという。

 




そこで、八百万の神々は会合を開いて相談し、その結果、太玉命(ふとだまのみこと)は、天香具山(あめのかぐやま)に生えている神聖な榊を根ごと掘り取って岩戸の前に立て、その枝に、八咫鏡(やたのかがみ)や八尺瓊(やさかに)の勾玉、さらに、青や白の和幣(にぎて=神に捧げる布を指し、青和幣は麻、白和幣は楮(こうぞ)で織られている)などをかけて装飾を施し、天児屋命(あめのこやねのみこと)は祈りを捧げた。つまり、祝詞を奏上した。さらに、天鈿女命(あめのうずめのみこと)は神楽を舞った。



修祓で用いられる大麻(おおぬさ)。白木の机に置かれた素焼きの土器には、紙を細かく切った「千切(せんぎり)」と、「散米(さんまい)」と呼ばれる米が入っている。ともに祓詞奏上の前後に左右左と祓い清め、奉る。





では、天照大御神は、神々の願いに対し、どのような行動を取られたのだろう。

神話では、外のにぎやかさを不思議に思い、天照大御神が岩戸を少し開けたところ、陰に隠れていた手力雄神(たじからおのかみ)が大御神の御手をお取りして、天石窟から引き出したと伝えている。

こうして、世界は光を取り戻した。つまり願いが叶ったのである。

 

「この神話で重要なのは、神々が祈られたことだと思います」
ある神職は言う。




「しかもその祈りは、叶えたい願いに向かって、それぞれができる役割を果たしたのです。その結果、天照大御神は岩戸からお出ましになり、光ある調和の世界を取り戻した。つまり願いが叶ったのです。

おまつりは、この神々の行為を再現することを基本としているのです」

 

 





おまつりは神話の再現で、願いの実現をもたらす。「天の岩戸神話」から、そんなメッセージを読み解くことができるのだ。

 

もっと言えば、願いを叶えるためには、それぞれが自分なりにできる役割を果たすことが必要だということだ。祈りとは、願いを叶えるために、自分なりに励む姿を神様にお見せする行為とも言えるだろう。



神宮のおまつりに触れられる、2月の「祈年祭」と11月の「新嘗祭」、そして「奉幣の儀」。

 

 

では、神宮のおまつりを、我々一般の参拝者が体感できる機会はあるだろうか?

 

神宮の「大祭」には、10月の「神嘗祭」と、6月、12月に行われる「月次祭(つきなみさい)」の、いわゆる「三節祭」と呼ばれる重要なおまつりがある。だが、「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)祭」と呼ばれる祭祀が行われるのは、いずれも夜間。参拝時間外である。

 



淡々と、そして粛々と進められる修祓。神職たちのたたずまい所作も美しい。



一方、2月に行われる「祈年祭(きねんさい)」と11月の「新嘗祭(にいなめさい)」(この2つのおまつりと「三節祭」を合わせて「五大祭」と呼ばれている)は、内宮、外宮ともに日中に行われ、外玉垣の垣根越しに中重の様子をうかがい見ることができる。加えて、天皇陛下の幣帛を奉る「奉幣の儀」(祈年祭、神嘗祭、新嘗祭は勅使の参向がある)も、「五大祭」ともに(「三節祭」は翌日)日中に行われる。




また、5月と10月の年に2度、古式のままに織り上げられた和妙(にぎたえ=絹)と荒妙(あらたえ=麻)を、御縫糸や御針などとともに天照大御神にお供えする神御衣祭(かんみそさい)も、日中に行われるおまつり。内宮の御正宮と別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)のみではあるものの、祭祀の雰囲気を感じることができるだろう。




神御衣である和妙(絹)を織り始めるにあたって行われる神御衣奉織始祭(かんみそほうしょくはじめさい)の様子。内宮の所管社、神服織機殿(かんはとりはたどの)神社で行われ、織り上がると、皇大神宮と荒祭宮で神御衣祭が行われる。




もっとも、神宮に限らず、すべての神社にとって、祭祀はまつる者とまつられる神とが一体となる神聖な場。神の祝福は、神慮に叶う行為があって、はじめて期待することができるとされている。そのことを肝に銘じ、くれぐれも神聖な場を乱す行動だけは避けたいものである。








Photograph by Akihiko Horiuchi
Text by Misa Horiuchi

伊勢神宮

皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1

豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279

文・堀内みさ

文筆家

クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。

 

写真・堀内昭彦

写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。

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伊勢神宮 公式サイト

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長野県・阿智村で「天空の楽園 雲海Harbor」開催

2025.09.30
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長野県・阿智村で「天空の楽園 雲海Harbor」開催
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.09.30

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雲海、紅葉、星空──山頂から絶景を堪能

2025.9.30

長野県・阿智村で「天空の楽園 雲海Harbor」開催

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日本随一の星空観賞地として知られる長野県・阿智村が、南アルプスまで広がる雲海や星空、紅葉を楽しめるイベント「天空の楽園 雲海Harbor」を、2025年10月25日(土)から11月9日(日)まで開催する。





本イベントでは、阿智村・ヘブンスそのはら高原のゴンドラと展望台リフトを乗り継ぎ、標高1,600mの展望デッキ「ソライロ」へアクセス。到着した先に広がるのは、雲海に包まれた幻想的な風景と、静かに目覚めていく朝の光。まるで天空に立っているかのような感覚を味わえる。



さらに期間中は、所要時間約15分のローブウェイで標高1,400m地点まで昇るナイトツアーも開催。環境省が実施する全国星空継続観察で「星の観察に適していた場所」の第一位(平成18年)にも選ばれた満天の星を、晴れた日には存分に堪能できる。



山頂を舞台に、夜明け前の雲海や煌めく星空を堪能できる特別な機会。開催期間中の平均気温は5℃を下回るため、防寒対策は必須。あたたかくして、天空の絶景を楽しみたい。

 

◆天空の楽園 雲海Harbor(ハーバー)
【開催日程】2025年10月25日(土)~11月9日(日)
【開催時間】
ゴンドラ運行時間
上り5:00~7:00
下り ~16:00
展望台リフト運行時間
5:15~15:30
【会場】富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはら(長野県下伊那郡阿智村智里3731-4)
【料金】大人4,200円 小人2,100円 幼児無料

関連リンク

天空の楽園 日本一の星空ツアー 公式サイト
株式会社阿智昼神観光局 公式サイト

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常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が2025年10月7日(火)にオープン

2025.09.26
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常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が2025年10月7日(火)にオープン
PREMIUM JAPAN » 旅 | 2025.09.26

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チームラボによる国内最大規模のミュージアムが京都に誕生

2025.9.26

常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が2025年10月7日(火)にオープン

チームラボ《あおむしハウスの高速回転跳ね球 》©チームラボ

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京都駅から徒歩約7分、京都駅東南エリアにアート集団チームラボによる常設アート ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が、2025年10月7日(火)にオープンする。

チームラボは、2001年から活動を開始。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。


チームラボ《Morphing Continuum》©チームラボ

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」は、面積約10,000平方メートルの空間に、新作や日本未発表作品など50以上の作品群が構成される、国内最大規模のチームラボのミュージアムだ。

チームラボ《グラフィティネイチャー》©チームラボ

身体でアートを知覚していく場「運動の森」は「世界を身体で認識し、立体的に考える」がコンセプト。人が踏むと、飛び跳ねることができる球体が並ぶ「あおむしハウスの高速回転跳ね球」、ロープで吊られた棒を立体的に渡っていく「イロトリドリのエアリアルクライミング」、紙に生き物の絵を描くと、描いた絵が目の前に現れ動き出す「グラフィティネイチャー」といった、複雑で立体的な運動空間が展開されている。

チームラボ《スケッチオーシャン》 ©チームラボ

他者と共に自由に世界を創造する場「学ぶ!未来の遊園地」は、テーブルの上に手を置いたり、物を置いたりすると、こびとたちが飛び乗ってくる「こびとが住まうテーブル」、紙に魚の絵を描くと、 目の前の海でみんなが描いた魚と共に泳ぎだす「スケッチオーシャン」といった作品で構成されている。

チームラボ《Massless Amorphous Sculpture》©チームラボ

あなたも古都京都で最先端の空間体験を楽しんでみてはいかが。

◆チームラボ バイオヴォルテックス 京都
【開館日】2025年10月7日(火)-常設
【開館時間】09:00〜21:00 最終入館は、19:30
【アクセス】「京都駅」八条東口から徒歩約7分
      京阪「七条駅」から徒歩約11分
※詳細は公式サイトで要確認

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スタバも規制に乗り出した。「複数人席を独り占め」「店内にプリンターを持ち込む」韓国カフェの迷惑客

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スタバも規制に乗り出した。「複数人席を独り占め」「店内にプリンターを持ち込む」韓国カフェの迷惑客
All About(オールアバウト) [海外旅行] | 2025.09.13

韓国では、カフェの利用マナーがたびたびニュースでとりあげられる。一部の非常識な客たちの行動が問題視されているのだが、カフェ側はそんな迷惑客の対策に苦慮している。最近の韓国カフェのイシューを紹介する。※画像:Shutterstock.com

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【2025年最新】台湾・台北の夜を遊び尽くす! 夜市・深夜グルメ・癒しスポット完全ガイド

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【2025年最新】台湾・台北の夜を遊び尽くす! 夜市・深夜グルメ・癒しスポット完全ガイド
All About(オールアバウト) [海外旅行] | 2025.09.09

眠らない街・台北で“夜活”しよう! 夜市グルメ、話題のレストラン、台湾らしさあふれる料理で一杯飲める店や深夜便にありがたい深夜営業店まで、今行くべき台北ナイトスポットを厳選紹介。短期滞在でも使える、夜の台北攻略ガイドです。

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