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洞内の観光コースは約1km。総延長は10.7kmを越え国内第2位。
冬の足音も聞こえてきそうなこのごろ、全国各地でイルミネーションイベントがスタートする季節になりました。山口県にある日本最大級の鍾乳洞「秋芳洞」では、11月4日(日)まで、期間限定のイルミネーションイベント「未来維新 光響ファンタジー」が開催されています。この期間だけ、通常は一般公開していない夜間に洞内を散策することができる貴重なチャンスです。
ひんやりと肌をさす冷気漂う杉木立を通り抜けると現れる、秋芳洞の入口。洞内の温度は四季を通じて17℃で一定しているので、夏涼しく冬は温かく、快適に観光できるスポットです。
山口県を代表する観光名所として知られる、国の特別天然記念物「秋芳洞」
今回のイベントでは、世界的な照明デザイナー・石井幹子氏の演出で、漆黒の洞内が7色のLEDで鮮やかに彩られ、さらに洞外遊歩道や秋芳洞出口側の黒谷口では、プロジェクションマッピングも行われます。
まるで時間が凍結したような不思議な自然の造形美は、見る者に大きな感動を呼び起こさせてくれます。洞内には幻想的なBGMも流され音響効果も抜群。まさに光と音の饗宴ともいえる空間を、ぜひ体感してみてください。
◆未来維新 光響ファンタジー
会期:2018年11月4日(日)まで。
場所:山口県美祢市秋芳町秋吉「秋芳洞」周辺
時間:17:00~20:00
イベント公式サイト:https://karusuto.com/event/201081026/
喜多川歌麿「深川の雪」(部分)江戸時代 享和 2年~文化 3年( 1802~06 )頃 岡田美術館蔵 展示期間:9月30日~12月28日
2013年、箱根・小涌谷の地に、東洋を中心とした絵画、陶磁器など、貴重な名品を集めて華々しく開館した岡田美術館。
この秋、同美術館のコレクションの中から主役級の名品だけを展示する特別展「開館5周年記念展 美のスターたち―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」が、2018年9月30日(日)から2019年3月30日(土)まで開催中です。
岡田美術館は、明治時代に存在したという欧米人向けホテル「開化亭」の広大な跡地に建設され、浮世絵や屏風絵、土偶、陶磁器、ガラス工芸、仏教美術に至るまで、東洋のあらゆる美術品の傑作が集まる美殿堂として親しまれています。館内には、美術館を開設する契機になったという、尾形光琳の「雪松群禽図屏風」や、重要文化財に指定されている尾形乾山の「色絵竜田川文透彫反鉢」など、日本の美術史を彩るスター級の名品が揃っています。
伊藤若冲「孔雀鳳凰図」(部分)江戸時代 宝暦 5年( 1755)頃 岡田美術館蔵 展示期間:9月30日~10月10日、12月29日~2019年3月30日
今回の展覧会は、これらのスターたちが多数展示され、名品を一度に鑑賞できる貴重なチャンス。特に、2016年に83年ぶりに発見された伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」、同じく2012年に60年ぶりに再発見された喜多川歌麿の「深川の雪」が同時に展示されるのは、初の試みだとか。(10月10日まで)
重要文化財 尾形乾山 「色絵竜田川文透彫反鉢」 江戸時代 岡田美術館蔵
このほかに、葛飾北斎、横山大観、小林古径などの日本絵画、青磁や汝窯などの中国陶磁、古伊万里や古九谷、鍋島といった江戸時代の日本の陶磁器、土器やガラスなど、重要文化財を含む約450点が展示されます。
紀元前の中国青銅器から近代の絵画まで、名品ばかりを鳥瞰できる本展覧会は、言わば日本と東洋の美術史のベスト盤。美術を深く学びたい方も、興味を持ち始めたビギナーも、一度チェックしてみてはいかがでしょう。
◆開館5周年記念展 美のスターたち ― 光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい ―
会期:2018年9月30日(日)~2019年3月30日(土) ※休館日:12月31日(月)、1月1日(火)
場所:岡田美術館
神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷 493-1
開館時間:9:00~17:00 ※入館は16:30まで
入館料:一般・大学生 2,800円、小中高生 1,800円
公式サイト:http://www.okada-museum.com/exhibition/
Sky Mirror, 2006 / Photo: Tim Mitchell ©Anish Kapoor, 2018
2012年ロンドンオリンピックの記念モニュメント「Orbit」や2015年ヴェルサイユ宮殿で行った個展など、ダイナミックな作風で国際的に活躍している現代彫刻家、アニッシュ・カプーア氏の芸術祭『アニッシュ・カプーア IN 別府』が、2018年10月6日(土)から11月25日(日)まで開催されます。
この芸術祭『in BEPPU』は、毎年、国際的なアーティストを1組招聘し、別府の地域性を活かしながら展開する大規模なアートプロジェクト。今回は、山と海の間に位置する広大な別府公園内に、日本初展示となるカプーア氏の代表作『Sky Mirror』のほか、世界初公開となるパビリオンを含む10点以上の作品が展示されます。
左)Orbit, 2012 / Queen Elizabeth Park, London Photo: Dave Morgan / ©Anish Kapoor,2018
右)アニッシュ・カプーア氏 Portrait by Gautier Deblonde
園内での展示構成は3つ。世界初公開の新作『void the pavilion(仮)』は、奥行12m程度の空間内部に入ると、正面に暗黒の壁が現れ、時が経つにつれて不思議な知覚体験を引き起こすという、昨今カプーア氏が取り組んでいる彫刻と建築が融合した作品。
そして、日本初公開となる『Sky Mirror』。光を反射し空を映し続ける直径5mのステンレス製のミラーが、あたかもこの場所にポッカリと突然空いた異世界への入り口のように存在しています。
この2つの大型作品のちょうど中間にギャラリー企画展『コンセプト・オブ・ハピネス』を設置し、有機的で筆致も荒々しいドローイングや彫刻を10点展示。ギャラリー内では、イギリスBBCが制作したカプーア氏のドキュメンタリー映像も上映予定です。
いずれもシンプルな形と独自の素材の選択によって見るものに広い視野と深い思考をもたらすカプーア氏の世界観を示すもの。期間中は、カプーア氏の講演会など、本展の内容や作家自身の創作活動に触れられる連続講座 『in BEPPUカレッジ』もあるので、こちらも要チェックです。
◆アニッシュ・カプーア IN 別府
会期:2018年10月6日(土)~11月25日(日)
会場:別府公園(大分県別府市)
料金:高校生以上1200円、小中生 500円、未就学児 無料、プレミアムパスポート5000円 ※『Sky Mirror』のみ無料
公式サイト:http://inbeppu.com/
重要文化財 釈迦如来坐像 行快作 鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺蔵
京都御所の北西、北野天満宮の側に位置する大報恩寺は、鎌倉初期に開創された古刹。別名“千本釈迦堂”とも呼ばれ、本堂は創建当時のままの姿を残す貴重な中世建築として国宝に指定されています。
東京国立博物館で、2018年10月2日(火)から12月9日(日)まで開催される特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」は、2020年に開創から800年を数える大報恩寺の仏像たちを、創建当時の配置で詳らかに公開する貴重な展覧会です。
大報恩寺が開創された鎌倉初期、京都や奈良、鎌倉の諸寺でたくさんの仏像を制作し活躍していたのは、運慶や快慶に代表される慶派の仏師たち。中でも東大寺南大門の金剛力士像や浄土寺の阿弥陀三尊像などで知られる快慶、その弟子の行快、運慶の晩年の弟子である定慶は、精力的に制作に携わったと伝えられています。
左)重要文化財「十一面観音菩薩立像(六観音菩薩像のうち)」肥後定慶作 鎌倉時代・貞応3年(1224)京都・大報恩寺蔵
右)重要文化財「迦旃延立像(十大弟子立像のうち)」快慶作 鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺蔵
大報恩寺には、行快作の釈迦如来坐像のほか、快慶作の十大弟子立像、定慶作の六観音菩薩像が伝来しています。普段、本尊である釈迦如来坐像は本堂で秘仏として安置されており、年に数回しか公開されませんし、十大弟子立像は本堂とは別の霊宝殿に安置されています。
しかし、本展覧会では釈迦如来坐像を囲むように十大弟子立像を展示し、手に取るように間近で鑑賞できます。光背や台座まで当時のまま残る貴重な六観音菩薩像は、会期後半の10月30日からは光背を外し、普段は光背で隠れて見えない美しい後ろ姿まで公開するそう。行快作の釈迦如来坐像のキリリとした表情に魅せられ、快慶作の十大弟子立像で絵画のような繊細な表現を堪能。六観音菩薩像の精緻な彫刻に定慶の技術の高さを知ることができます。
寺外初公開となる釈迦如来坐像や十大弟子立像など、慶派の傑作たちを目の前で鑑賞できる貴重なチャンスです。仏師たちの熱い想いや人々の信仰心を集めて、満ち溢れんばかりに輝くみほとけたちの姿に、鑑賞する我々も心癒されること間違いありません。
◆特別展 京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ
会期:2018年10月2日(火)〜12月9日(日) 休館日:月曜 ※10月8日(月・祝)は開館、翌10月9日(火)は休館
会場:東京国立博物館 平成館 特別第3・4室
東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30〜17:00 (入館は閉館の30分前まで)※会期中の金・土曜、10月31日(水)、11月1日(木)は21:00まで開館
料金:一般1400円(1200円)、大学生1000円(800円)、高校生800円(600円)、中学生以下は無料
※カッコ内は前売り、20名以上の団体料金
展覧会公式サイト:https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/
重要文化財 真如堂縁起 下巻(部分)京都・真正極楽寺
貴族文化の衰えと共に武士が台頭し始めた平安末期、京都において山城鍛冶の祖となる三条宗近とその一派が登場し、京の刀剣文化の長きにわたる物語が始まったと言われています。そんな、京都における刀と政治、歴史、人々の生活にまつわる興味深い展覧会が開催されます。
京都国立博物館で、2018年9月29日(土)から11月25日(日)まで開催される特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」。京都周辺に工房をおいた山城鍛冶作品の中でも国宝に指定されている品はほぼ全て出品されており、京都国立博物館が開館以来120年間で初の刀剣に関する大規模な展覧会となっています。また、王貞治氏が所有し九州国立博物館へ寄贈された刀「銘九州肥後同田貫上野介」が公開されることでも話題です。
左)刀 銘九州肥後同田貫上野介(王貞治佩用)九州国立博物館 中)重要文化財 太刀 菊御作 京都国立博物館 右)重要文化財 騎馬武者像 京都国立博物館
刀剣は武力の象徴であると同時に、天皇家や公家衆、寺社仏閣においても、政治力や経済力を象徴する宝物として君臨し続けました。研ぎ澄まされた一振りの刀は、芸術品として鑑賞されるだけでなく、日本の歴史において特異な意味を持つものとして位置づけられています。
本展覧会では、特に京都で製作された“京のかたな”が、平安から平成までの日本の歴史と文化に与えた影響を多数の刀剣作品を通じて紹介しています。さらに、絵巻物や屏風絵などから、当時の武家、公家、京の町人の生活を鑑み、人々が刀剣に対して抱いていた畏怖の念、刀工たちと町衆との関係などを掘り下げて行きます。後鳥羽上皇自らの作と伝えられる「太刀 菊御作」や、伊藤若冲による「伏見人形図」など、注目すべき作品が多数出品される本展。京都で製作された芸術性の高い刀剣と、この刀剣が京の人々に与えた影響を分かりやすく知ることができます。
日本の伝統文化や芸術作品に興味のある方、歴史に興味のある方など、たくさんの方が楽しめるはず。京都国立博物館で初となる試みですから、この機会にぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。
◆京のかたな 匠のわざと雅のこころ
会期:2018年9月29日(土)〜11月25日(日)
休館日:月曜 ※10月8日(月・祝)は開館、翌9日(火)は休館
会場:京都国立博物館
京都府京都市東山区茶屋町527
料金:一般1,500円(1,300円) 大学生1,200円(1,000円) 高校生700円(500円) ※カッコ内は前売り・団体20名以上の料金
公式サイトURL:https://katana2018.jp/
重要文化財「如意輪観音坐像」平安時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:森村欣司
真言宗醍醐派の総本山として、常に歴史の表舞台 で重要な役割を果たしてきた京都洛南の名刹、醍醐寺。開山から1100余年のときを経て醍醐寺の密教美術の至宝を紹介する展覧会が、サントリー美術館で開催されます。
874年、理源大師聖宝(りげんだいししょうほう)によって開かれた醍醐寺は、真言密教のうちでも加持祈禱や修法など実践を重視する寺として発展したことで、その本尊となる彫刻や絵画、修法で用いる仏具など、開創期からの本格的な密教美術の数々が伝わってきました。
今回の展覧会では、国宝・重要文化財に指定された仏像や仏画を中心に絵画、書工芸など醍醐寺の名宝約120件を展示。ふだんは公開されない貴重な史料や書跡を通じて、平安時代から近世に至る醍醐寺の変遷を辿るものです。
国宝「薬師如来 坐像 」平安時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔
展示は、「第1章 聖宝、醍醐寺を開く」、「第2章 真言密教を学び、修する」、「第3章 法脈を伝える―権力との結びつき―」、「第4章 義演、醍醐寺を再びおこす」の4章構成。展示物の中でも特に、2メートル近くの像容を誇る国宝「薬師如来および両脇侍像」や優麗な重要文化財「如意輪観音坐像(にょいりんかんのんざぞう)」、重要文化財「五大明王像」は、平安彫刻の白眉に数えられるもので必見です。このほか桃山時代に豊臣秀吉が行った有名な「醍醐の花見」に関する作品や、三宝院の襖絵、俵屋宗達による屛風など、醍醐寺をめぐる華やかな近世美術も鑑賞できる貴重な機会となります。
重要文化財「三宝院障壁画柳草花図(表書院上段之間)」安土桃山~江戸時代、醍醐寺蔵
会期中は、展覧会関連プログラムとして、仲田順和師(総本山醍醐寺座主)による記念講演会「醍醐寺が護り伝えてきたものとは」(仮)や、みうらじゅん氏(イラストレーター)といとうせいこう氏(クリエーター・作家)が出演する「仏像大使トークショー」などを開催するので、こちらも見逃せません。
◆京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-
会期:2018年9月19日(水)~11月11日(日)
会場:サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
開館時間:10時~18時(※金・土および9月23日、10月7日は20時まで開館)※いずれも入館は閉館の30分前まで
入館料:入 館 料:一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料(※20名以上の団体は100円割引)
展覧会公式サイト:http://daigoji.exhn.jp/
「アダンの海辺」昭和44 年(1969)個人蔵、千葉市美術館寄託 ©2018 Hiroshi Niiyama
2018年4月6日(金)から箱根・小涌谷の岡田美術館で開催されている「初公開 田中一村の絵画」展。9月24日(月)の閉幕を前に、1ヶ月間の限定で最高傑作の呼び声高い「アダンの海辺」を特別に展示しています。
田中一村は、東山魁夷と同時期に東京美術学校(現・東京藝術大学)へ入学しますがすぐに退学。中国画や文人画、琳派の作風を取り入れつつ、独自の画風で細密な花鳥画を描いた画家です。画壇からは距離を置き、50歳で奄美大島に移住してからは熱帯の動植物を鮮やかな色彩で濃密に描き、後に“昭和の若冲”と称されました。
一村は、ひとつの作品を仕上げるのに2〜3ヶ月かけてじっくり取り組み、満足できないものは破棄したとも言われていて、奄美で描いた作品は30点ほどが現存しているのみです。その中でも今回の展覧会では、本人にして『閻魔大王えの土産品(原文ママ)』と称する最高傑作「アダンの海辺」を8月24日から特別に公開。半年近くを費やし、命を削って描いた渾身の作で、優美に葉を広げるアダンの木と、浜辺の砂一粒一粒の表現に圧倒されます。生前は高い評価を得ることはなかった一村ですが、生命力みなぎる作風やチャレンジングな生涯に関心が集まり、近年その作品の人気が高まっています。
岡田美術館は欧米人向けホテル「開化亭」の跡地に建設された。
今展覧会では、一村と伊藤若冲、東山魁夷の作品を比較しながら鑑賞できることも魅力。近年ブームとなっている伊藤若冲の作品と類似点を見出し、一村と同年代の人気画家である東山魁夷の作品と比較することで、彼の人生に思いを馳せることができるのです。
対象物をじっくりと凝視することから生まれる緻密な表現。南国の植物や動物たちの鮮やかな色や形の繊細さ、奥深さを実感できる田中一村の作品世界へ、箱根から旅してみるのもいいですね。
◆初公開 田中一村の絵画―奄美を愛した孤高の画家―
場所:岡田美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
会期:2018年4月6日(金)〜9月24日(月・祝)
時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般・大学生2,800円、小中高生1,800円
庭園入園料:300円
美術館公式サイト:http://www.okada-museum.com/
日本仏教の母山として知られ、1994年にはユネスコ世界文化遺産に登録された比叡山延暦寺(滋賀県)で、これまでにない規模による大展示会「比叡山 伝教大師1200年大遠忌記念 至宝展」が、2018年8月から11月30日まで開催されています。本邦初公開の作品から通常非公開とされている仏像・仏画などが一堂に会した大変貴重な内容となっています。
延暦7年(788年)、伝教大師最澄上人によって開設された比叡山延暦寺には、度重なる戦乱や災害に見舞われながらも、先人方のたゆまぬ努力によって守り伝えられてきた数々の文化財が所蔵されています。それらの多くが国宝・重要文化財に指定されていますが、通常参拝できる文化財は、ほんの一部に過ぎませんでした。
四天王立像(持国天)
本展は、最澄上人の没後1200年を迎える事業の一環として開催されるもの。元亀の焼き討ちを逃れた西塔瑠璃堂の「本尊薬師如来像」、そして「宝冠釈迦如来坐像」など約10点の作品が初公開されるほか、約60体の仏像、国宝指定の書跡「天台法華宗年分縁起」、「伝教大師請来目録」、「伝教大師入唐牒」、そして仏画など、通常非公開とされている数多くの文化財が展示され、まさに比叡山の仏教美術の粋が集められた大規模なものとなっています。
なお、会期中は展示会コラボレーション企画として、「写仏体験」や「オリジナル花押作成」といった仏教美術とも縁の深い伝統工芸の製作体験ができるワークショップが開催されるので、こちらも気になるところです。(ワークショップは事前予約制)
また、2016年より10年をかけて改修中で現在は全て外観が覆われている延暦寺「国宝 根本中堂」の中庭・修学ステージがこのほど完成し、屋根の高さまで登って眼下に建物を見ることができるようになりました。国宝・重文改修ならではの珍しい作業も行っているので、こちらも普段目にすることのない貴重な光景となりますね。(堂内は通常通り拝観可能)
芸術の秋を、比叡山の仏教美術で感じてみてはいかがですか。
◆比叡山 伝教大師1200年大遠忌記念 至宝展
会場:比叡山延暦寺 国宝殿
前期:2018年8月1日~9月30日
後期:2018年10月3日~11月30日
時間:8:30~16:30
入館料:大人500円(400円)・中高生300円(200円)・小学生100円 ※( )内は20名様以上の団体料金
※延暦寺諸堂巡拝料が別途必要となります。
至宝展公式サイト:https://www.hieizan.or.jp/archives/3637
源氏香の図をモチーフとした新作香炉の一部
レディー・ガガが身に付けたことで話題となった超厚底の「ヒールレスシューズ」。花魁に関する研究を始めとして、日本の伝統文化から着想を得た作品制作で世界に名をとどろかせる舘鼻則孝氏の代表作です。そんな舘鼻氏が“香りの日本文化”にフォーカスして、日本古来の伝統的な手法やデザインをリシンクした個展が東京・九段で開かれます。
1927年に竣工したスパニッシュ様式の邸宅、旧山口萬吉邸(kudan house)を舞台に、アーティスト舘鼻則孝氏が日本文化を再考する展覧会「NORITAKA TATEHANA RETHINK―舘鼻則孝と香りの日本文化―」を開催。会期は2018年9月14日(金)から9月16日(日)までの3日間です。
代表作であるシューズの新作も登場
都の有形文化財にも指定されている歴史的建築で行われる展示では、代表作である「ヒールレスシューズ」のほか、“源氏香の図”をモチーフとした香炉を新作として公開。また、遊女の煙管から着想を得た「THEORY OF THE ELEMENTS」の最新作も登場します。これはJTとのコラボで生まれた作品で、加熱式たばこ用デバイス「Ploom TECH」の専用アクセサリーとして販売されているもの。2018年の新作は螺鈿細工と漆調の塗装が特徴なのだそう。
さらに、会場内の和室で“聞香体験”も実施。京都の老舗である松栄堂の協力の元、香木を鑑賞し日本独自の“香道”の楽しみをどなたでも体験できます。
縦5本の線を横線で結ぶことで52通りのデザインが生まれる“源氏香の図”など、日本文化の中の香りにまつわる意匠をリシンクし、舘鼻氏ならではのデザインで昇華させた作品群。日本の伝統文化を見つめ直し、独特な感性で世界のセレブをも魅了し続けるTATEHANAワールドを、いち早く体感できる展覧会です。
◆NORITAKA TATEHANA RETHINK―舘鼻則孝と香りの日本文化―
会期:2018年9月14日(金)〜9月16日(日)
開催時間:11:00〜19:00
会場:旧山口萬吉邸(kudan house)
東京都千代田区九段北1-15-9
入場料:無料
会場URL:https://kudan.house/facility/
東京から新幹線で1時間半ほど、長野県東部の高原の街で、実にユニークなアートフェスティバルが開催されます。2018年8月11日から9月30日まで開催される「浅間国際フォトフェスティバル」は、株式会社アマナと「文化・高原公園都市」を掲げる長野県・御代田町が共同で開催する、いわば「写真による町おこし」イベント。ビジュアルコミュニケーションが活発化するいま、御代田町が日本の写真文化の交流拠点となり、アマナのビジュアルへの知見を生かし、地域と写真の魅力を世界的に発信することがコンセプトです。
旧メルシャン軽井沢美術館跡地。5300坪の広大なエリアに写真美術館設立を準備中。
テーマは「Return to Camera(カメラに帰れ)」。本会場となる旧メルシャン軽井沢美術館跡地を中心に、町内の33箇所で、国内外で活躍する作家によるアートフォト作品を展示。見上げるほどの巨大な作品から、ARやVRを使った最新技術による作品まで、今までにないアートフォトの楽しみ方を提案します。
小山一成氏が記録した御代田町の四季折々の景色を切り取った写真も屋外展示される。
期間中は、浅間の美しい夜を楽しむ「星空写真教室」や太陽光でオリジナルTシャツを作るワークショップ、フォトブースなど様々な体験型のイベントも実施するほか、地元の食材を使ったハンバーガーやクレープ、地ビールなどをフードトラックで販売するのでこちらも気になります。
今回は2019年本格開催のプレイベントとのこと、プレでこの規模だと来年の本番が今から楽しみです。
◆浅間国際フォトフェスティバル
会期:2018年8月11日(土祝)〜9月30日(日)※会期中無休
会場:長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1794−1(旧メルシャン軽井沢美術館)周辺エリア
時間:10時00分〜18時00分
入場料:無料
公式サイト:https://asamaphotofes.jp/
復員兵 品川駅 1946
銀座のバー「ルパン」の椅子で膝を抱え酔いつぶれる太宰治、紙の山に埋もれる坂口安吾。敗戦後の混乱期、1946年に撮影されたこれらのカットは、当時北京から引き上げてきたばかりの林忠彦が撮影したものです。後に昭和を代表する写真家として人気を得ることとなった林の、生誕100年を記念した展覧会が催されます。
2018年8月10日(金)から9月29日(土)まで、東京・九段の千鳥ヶ淵そばにあるギャラリー册(さく)で開催される、生誕100年記念 林忠彦写真展「カストリ時代 1946-1953―喪失をだきしめて」。敗戦から復興しようとたくましく生きる人々の姿を克明に記録し、当時人気だった安価な大衆娯楽誌、通称“カストリ雑誌”へ次々と作品を発表した林忠彦の、1946年から1953年までの写真を集めた展覧会です。
(左)太宰治 1946 (右)坂口安吾
太宰や織田作之助など無頼派文士たちのポートレート、品川駅や上野、銀座などで撮影した当時の日常風景のほか、本展覧会では特別に1953年本土復帰の際、奄美大島で撮影された作品数点や、これまでの展覧会には出品されていなかった初公開作品も10点ほど展示されます。まさに生誕100年を記念するにふさわしい展覧会です。
また、会場では新潮社から発売される特装版「無頼」BOXを展示販売。予約販売限定で、120セットのみなので、現品を見られる貴重なチャンスです。
昭和の混乱期、時代に翻弄されながら生き抜いた人々と、同じ目線で過ごしながらシャッターを切り続けた林忠彦。彼の写真を通して、喪失から立ち上がる勇気と熱を感じることができるはずです。この夏、生きるパワーをもらいに千鳥ヶ淵のギャラリーを訪れてみてはいかがでしょう。
◆生誕100年記念 林忠彦写真展「カストリ時代 1946-1953―喪失をだきしめて」
会期:2018年8月10日(金)〜9月29日(土)
会場:ギャラリー册(さつ)
東京都千代田区九段南2-1-17 パークマンション千鳥ヶ淵1階)
開催時間:10:30〜19:00
定休日:日・月・祝日 ※8月11日は営業
お問合せ:ギャラリー册 TEL:03-3221-4220
http://www.satsu.jp/?page_id=24
◆林忠彦写真展 関連トークショー
8月11日(土)14:00〜16:00 ゲスト齋藤康一氏(写真家)
8月18日(土)14:00〜16:00 ゲスト立木義浩氏(写真家)
トークショー会費:3,000円(お茶・お菓子付き)
※20名限定、要事前申し込み
アートのある暮らしを提案している銀座 蔦屋書店のイベントスペースで、“GINZA ART EXHIBITION”と題した展覧会の定期開催が決定。その第1弾として、アーティスト・三宅信太郎氏の個展「果てしない夜景」が、2018年8月7日(火)から26日(日)まで開催されます。
三宅氏は、ドローイング、立体、パフォーマンス、映像など、様々な表現形式によって自由で機知に富んだ世界観をつくりあげてきました。厚紙や木に女の子等のドローイングを描いて型取りした「切り抜き」、コスチュームや自身が制作した様々な着ぐるみを着てのライブドローイングなど、豊かで独創的な作品は世界各地で鑑賞者を魅了し続け、国内のみならずイタリア、オーストリア、ベルリン、台湾など世界各国で個展を開催しています。
今回の個展では、会場内にダンボールで作り上げた色とりどりの建物が積み上げられ、組み合わされて小さな街を構成。建物にはそれぞれ小さな灯りがともされ、光の数と同じだけの生活や人生が表現されています。銀座の街の蔦屋書店の中に、さらに小さな街が作られ、言わば「果てしない夜景」が広がっていきます。
本展覧会に合わせて、これまでの三宅氏の活動を記録した写真集を発売予定。さらに、個展の開催を記念して、描き下ろし作品のステッカー、マスキングテープ、クリアファイルやトートバッグなど、銀座 蔦屋書店オリジナルグッズも販売されます。
夏の夜の街の喧騒をダンボールで表現したアート作品。小さな家のひとつひとつをのぞき込んで、様々な人生に思いを馳せてみるのも楽しいですね。
◆GINZA ART EXHIBITION 三宅信太郎「果てしない夜景」
会期:2018年8月7日(火) ~ 8月26日(日)
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F)
時間:10:00~22:30(休館日:無休)
入場料:無料
お問い合わせ:TEL03-3575-7755
https://store.tsite.jp/ginza/event/art/2636-1206320615.html
2016年の「おしゃべり鑑賞タイム」の様子
静寂の中で心穏やかに作品と向き合うことができる美術館。足を運びたくても、お子さんを連れて行くのは、ほかの来館者の迷惑になるから・・・と遠慮している方も多いのでは。普段はなかなか美術館へ行く機会のない小中学生の皆さんとその保護者の方に限定して、1日まるごと美術館を開放するイベントが企画されています。
東京・六本木のサントリー美術館が、2018年8月28日(火)だけ限定で「まるごといちにち こどもびじゅつかん!」に変身。本来なら休館日であるこの日を、“こども専用びじゅつかん”として、小中学生とその保護者の方に無料開放するイベントです。
開催中の「琉球 美の宝庫」展を鑑賞できるほか、作品を鑑賞するヒントや、気に入った作品をスケッチできるメモ欄などが設けられたワークシートを全員に配布。琉球国王尚家に伝わる玉冠のような冠を作るワークショップ、館内ツアーなどが用意されています。
ほかにも、琉球國祭り太鼓 東京支部のパフォーマンスや、台紙に絵をかいてオリジナルのうちわを作るワークショップ、琉球ガラスを詰め込んだキャンドル作り、特別こども館長体験など、1日まるごと美術館を満喫できるプログラムがたくさん。事前に予約が必要なものや、整理券を配布する企画もあるので、早めにチェックしてください。
2016年の「自分だけのうちわをつくろう」の様子
夏休み最後の思い出作りに、涼しい美術館でアートに触れる1日もいいですね。お子さんが興味があってもなくても、気軽に楽しめるこんなイベントから美術の世界に親しんでみてはいかがでしょう。
◆サントリー美術館「まるごといちにち こどもびじゅつかん!」
開催日:2018年8月28日(火)
開催時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
会場:サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
◆事前予約が必要なプログラム
・琉球ガラス工作室
・スペシャルプログラム 特別こども館長
応募締切:8月7日(火)
※WEBサイトより申込み。応募多数の場合は抽選・結果は当選者のみに連絡
お問い合わせ:TEL03-3479-8600
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/kids/
藤田嗣治 《カフェ》 1949年 油彩・カンヴァス ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵
Photo © Musée La Piscine (Roubaix), Dist. RMN-Grand Palais / Arnaud Loubry / distributed by AMF © Fondation
Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
明治半ばの日本で生まれ、80年を超える人生の約半分をフランスで暮らし、晩年にはフランス国籍を取得して欧州の土となった画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886-1968)が世を去って今年で50年目にあたります。
この節目に、日本はもとよりフランスを中心とした欧米の主要な美術館からの協力も得た大回顧展「没後50年 藤田嗣治展」が、2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)まで上野の東京都美術館で開催されます。
本展覧会は、数年前に修復を終えた大原美術館の「舞踏会の前」や東京国立近代美術館の「五人の裸婦」など国内の代表作に加え、パリのポンピドゥー・センターや、ベルギー王立美術館、アメリカのシカゴ美術館など、欧米の主要な美術館からの代表作も含め、精選された作品100点以上を、制作年順に「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けて展示。最新の研究成果等も盛り込みながら、藤田芸術をとらえ直そうとする試みです。
藤田嗣治 《タピスリーの裸婦》 1923年 油彩・カンヴァス 京都国立近代美術館蔵
© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
藤田の代名詞ともいえる「乳白色の下地」による裸婦の代表作や、日本初公開となる「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」(シカゴ美術館蔵)など、これまで紹介されることの少なかった作品も展示されます。
東京美術学校(現・東京藝術大学)で学んだ藤田にとって上野は画家としての原点といえる場所。見どころ満載の展覧会にじっくりとひたってみてはいかがでしょうか。
◆没後50年 藤田嗣治展
会 期:2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)
会 場:東京都美術館(東京・上野公園)
開室時間:9:30~17:30
※会期中の金曜日は20:00まで、8月3日、10日、17日、24日、31日は
21:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日: 月曜日、9月18日(火)、25日(火)
※ただし、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、
10月1日(月)、8日(月・祝)は開室
観覧料:一般1,600円 大学生・専門学校生1,300円 高校生800円 65歳以上1,000円
お問合せ:03‒5777‒8600(ハローダイヤル)
公式サイト:http://foujita2018.jp/
◆東京都美術館
アクセス:https://www.tobikan.jp/guide/index.html
<村松司>蓮(ブローチ) 3,024,000円(K18YG、ダイヤモンド、七宝(プリカジュールエナメル)) カエル(ピンブローチ)345,600円(K18YG、ルビー、七宝(バスタイユエナメル))
身につけた時の美しさや芸術性、オリジナリティ、高い技術、素材の確かさ、そして伝統技法からの革新性など、「アートジュエリー」と呼ぶにふさわしい美が日本橋三越本店で展示されます。日本ならではのジュエリーを発展させ続けている13の作家・工房・ジュエラーの作品が、伝統と革新をベースに「アートジュエリー」と呼ぶにふさわしい商品が「Technique(卓越した技法)」「Design(日本の美意識)」「Antique(アンティークの魅力)」の3つの切り口で紹介されます。
英国骨董宝飾店<ボンドストリート>の代表中島正己氏によるセレクション。中島氏は西洋美術商などを経て、1987年にアンティークジュエリーを輸入販売するナカジマ・コレクションを設立。世界中を飛び回り様々な年代のジュエリーを買い付け、その審美眼で選び抜いた、希少でクオリティーの高いコレクションが高い評価を得ているそう。
<u>Techniqueー卓越した技法ー</u>
<ノブコ イシカワ>ブローチ兼ペンダントヘッド 「愛の調べ」 2,754,000円(Pt900、K18YG、ダイヤモンド、赤銅)
日本の伝統工芸に西洋の感性を融合させ、新たな世界観を確立した。まだ日本にジュエリー文化が根づいていなかった時代に「日本女性の美しさを引出し、日常着にまとうジュエリーをデザインしたい」という想いから誕生したブランド、ノブコ イシカワ。
<u>Designー日本の美意識ー</u>
<大倉堂>あぢさゐ Ptダイヤモンドピンブローチ兼ペンダント 972,000円-日本橋三越本店先行販売-(D=計1.02ct、チェーン長さ:約50cm 長さ調節機能付き)
西洋発祥のジュエリー技法を用いながらも、独特の「ジャポニズム」で日本の美意識を表現するマニファクチャーブランド<大倉堂>。日本の伝統工芸である漆を取り入れているところも特徴のひとつ。
<u>Antiqueーアンティークの魅力ー</u>
<作家不明>プラチナナチュラルパールダイヤモンドペアブローチ(英国、1910年頃) 13,500,000円 (約8.1×2.3cm)
会期中には以下のようなイベントも開催。普段見ることができない逸品と出会うことができるかもしれません。
<u>Event-イベント情報-</u>
1.ジュエリーオーダー&リフォーム 7月18日(水)~23日(月)各日午前10時30分~午後6時00分
2.永坂景子氏による実演と蒔絵体験 7月18日(水)・22日(日)各日午前11時00分~・午後2時00分
3.工房クラフトマン実演・解説 7月18日(水)・20日(金)・21日(土)各日午前10時00分~午後6時00分
会期:7月18日(水)~23日(月)*最終日は午後6時終了
会場:本館7階催事会場