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PREMIUM JAPAN » アート
JCCO
PREMIUM JAPAN AWARD
日本文化発信機構 JCCOが目指すもの
2026.7.14
機能美の先にあるもの 日本のデザインが世界に届くとき パナソニック ホールディングス執行役員 臼井重雄 × good design company代表 水野学
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日本の優れた文化やものづくりを表彰し、世界へ発信するPremium Japan Award。その顔となるロゴなどのグラフィックは、受賞対象に引けを取らない水準であることが求められる。アワードを主催する一般社団法人日本文化推進機構(JCCO)の理事会には、国内外で高い評価を得る2人のデザイナーが名を連ねている。マツダ株式会社 シニアフェロー ブランドデザイン監修の前田育男氏と、パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 グループCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)の臼井重雄氏だ。
JCCOは、前田氏にアワードのトロフィーを、臼井氏にロゴを含むブランド・コミュニケーション全体の設計を託した。臼井氏はその骨子を組み立てたうえで、実際のロゴ制作を、公私にわたって親交の深い日本を代表するクリエイティブディレクターに委ねる。「くまモン」のキャラクターデザインや、ヘラルボニー、三井不動産、相鉄グループなどのブランディングを手がけた、good design company代表・水野学氏である。
長い付き合いながら、メディア上で語り合うのは初めてという2人に、アワードに込める思いに始まって、日本のデザインの特徴や世界進出をする上で重要なことについて話を聞いた。
Premium Japan Award、JCCOへの思い
まずはJCCO理事の就任を真っ先に快諾してくれたという臼井氏に、このアワードにかける思いを聞いた。
臼井 僕は中国・上海に9年いて、日本を外から見ていました。日本は、外から見たら素晴らしいものがいっぱいあるのに、それがうまく外に発信できていないと強く感じていました。海外に行くと「日本っていいよね」とよく言われます。でも、今、海外に行くと日本人が一時期に比べると全然いなくて、日本を外から見ている人がとても少ないと感じています。
情報が溢れて、本当にいいもの以外も伝わってしまう時代。だからこそ、しっかりとしたメンバーで、ちゃんとした基準とフィルターで厳選して良いものを選び、日本の良さを自信を持って世界に伝えていきたい。
そんな臼井氏の熱い想いのこもったアワードのロゴを、水野氏はどうデザインしたのか。
水野 臼井さんが、日本国内の狭い話ではなく、それをどう世界に広げていくかを強く考えていらっしゃる。そこは聞いていて、とても感銘を受けました。日本のユニークなものを、世界へ――。それが、いちばん大事なところですよね。
僕は日本の文化は、シンプルにして象徴化する(シンボライズする)のが得意だと思っています。家紋がその代表ですよね。だから、このロゴでもそうしたのですが、モチーフとして日本でいちばんシンボルになり得るものは何かを考えたとき、やっぱり富士山に行きつきました。何百年、いや下手をすれば何千年も、シンボルとして君臨してきたものをモチーフにするのが、正しいやり方だなと思ったんです。富士山は、立派なのに優雅で、美しいのにすごく力強い。相反するものを兼ね備えています。その「あり方」までが、Premium Japanが目指すところに近いんじゃないかと思って、モチーフに選びました。
コンセプト設計から企画開発、グラフィック、プロダクト、空間、広告宣伝まで領域を横断したトータルディレクションを手掛ける、水野学氏。
good design companyのオフィスには、受賞トロフィーの一部が飾られている。
海外が見る「日本のデザイン」とは
海外の人と話すと「日本はデザインが素晴らしい」という声を聞くことが多い。日本のデザインを、二人はどう見ているのか。
臼井 海外の人が言う「デザイン」は、ポスターやプロダクトそのものを指しているわけではないと思うんですよね。たとえば日本食なら、味の良さだけでなく、その一皿を映像として切り取ったときの美しさ、店内での人の動き方(動線)、料理人の所作まで含めて「デザインがいい」と言われている気がします。
水野 目を向けてくれているのは、装飾的なもの(飾り立てたもの)よりも、むしろ機能的なもののほうだと思っています。余計なものを「そぎ落とす」というのは、日本人が昔から当たり前にやってきた、伝統と言ってもいいくらいのことです。街並みも、礼儀作法も、和食も、最小限まで削ぎ落とされたものに対して「いいね」と言ってもらえることが多い。無印良品の影響もあるかもしれませんが、もっと過去のものにさかのぼっても、同じことを感じます。
臼井 海外とは逆ですよね。『アベンジャーズ』の敵はどんどん巨大になっていく。それに対して『ドラゴンボール』の最も強い敵は、いちばんツルッとしている。土器でいえば、装飾の多い縄文式土器より、後の時代の弥生式土器のほうがスッキリしている。シンプルなもののほうが進化した形だという感覚が、日本人には刷り込まれている気がします。
なぜ、日本は削ぎ落とす方向へ進んだのか。水野氏は二つの理由を挙げる。
水野 一つは「受け入れる文化」。八百万(やおよろず)の神がいる日本人は、一つの視点だけでなく多方向の視点でものを受け入れるところがあります。そうすると、視点の違いに関係のない共通項である機能を重んじるようになってくる。気候風土に目を向けても日本は国土が南北に長く、四季がはっきりしている。この気候の多様性が、違いを超越した特徴である機能に目を向けさせるのだと思います。
「作れば売れる」から「伝える」へ
だが、今、機能だけでは物は売れない時代に入りつつある。
水野 機能を重視するのは良いことで、当たり前のことです。でも、日本は少しそこに依存しすぎているところがあります。
著述家の山口周さんが言っているように、役に立つ、つまり機能を満たすのは当然やったうえで、そこにストーリーや世界観(そのブランドらしい、一貫した世界の見え方)という「意味」を、同時に乗せていくことで価値が生まれる。それこそがこれからの日本のデザインや企業文化にとって大切なことでしょう。
臼井 先日、コペンハーゲンのデザインの祭典「3 Days of Design」で、デンマークの家具ブランド、フリッツ・ハンセンの本社を訪ねたのですが、過去の資料(アーカイブ)をきちんと残していて、自分たちの歴史をとても大切にしている。日本人は新しいもの好きで、どんどん前に進みたがるところがあります。本当は振り返ってみると、過去に価値あるものがたくさんあるのに、そうしたものを大事にしていない。実は特に海外へ発信するときには、それを大事にするべきでしょう。
そんな臼井氏も、元々は機能重視のものづくりをする環境に置かれ悩み、水野氏に助けを求めたことから二人の縁が始まったという。
臼井 もともと僕は、製品そのものの形をつくるプロダクトデザインの出身で、「いい商品を作れば売れるはず」というメーカーの価値観がありました。メーカーでは、作り手の思いのうち、機能的なところだけが次の担当者へとバトンタッチされて、その背後にあるストーリーや、お客さんに届けたかった思いは、なかなか伝わることがありません。商品の魅力をどう伝えるか――コミュニケーションデザインの役職を担うことになったとき、知見も何もなくて、水野さんに相談したんです。そうしたら真っ先にこう言われました。「伝えたいことばかり言っていて、相手が知りたいことを、語っていないですよね」と。
ものの価値を使う人が知りたいと思うストーリーとして届ける。この「ブランディング」の視点が、日本の多くの企業には欠けているというのが、今では二人の共通の認識だ。
入社後、A V機器や家電のデザインを担当し、その後、中国・上海デザインセンター立ち上げや家電デザインの変革に尽力。現在はパナソニック ホールディングスのグループCCOを務める、臼井重雄氏。
ブランディングの正体
では、「ブランディング」とは何か。誤解されがちなこの言葉を、水野氏は捉え直す。
水野 日本人はブランドというと、高級ブランドを思い浮かべるか、作り手側なら、マークを作ってあちこちに貼っていくようなイメージです。でも、まったくそういうことではありません。徹頭徹尾、すべてにこだわり抜いて、ストーリーを乗せ、世界観を作り上げていくことなんです。ポルシェやロレックスのカタログを見ると、その徹底ぶりがよくわかりますよね。本来なら、これは日本人が得意なことでした。でも、戦後の高度経済成長を超えて大量生産・大量消費の時代に入る中で、それが失われてしまった。物を作れば売れる時代だったので、難しい世界観を守るとか、ストーリーを組み立てるといった考え方が、いらなくなってしまったんだと思います。
でも今は違います。今、成功している企業を見渡してみるとトヨタが生み出したレクサスのように、デザインやブランディングを捨ててこなかった企業こそが光り続けている気がします。
臼井 ブランドやデザインが入ると、会社側の目線だけではない、お客さんや社会がどう見るかという視点に目が行くようになる。安く、効率的に、生産性高く、という会社の論理だけではない視点です。だから、時に社内ではひどく面倒がられます。本当は価値(バリュー)の話をしているのに、費用(コスト)だと受け取られてしまうことが多いんです。世の中は、価値を大事にする時代と、生産性・効率化が大事という2つの時代の波があって、その2つの波をうまく乗り越えていくことが大事だと感じています。
水野 ただ、企業には税務上、一年ごとに区切りが来る。決算や株主総会も含めて、一年、あるいは四半期という単位で成果を見なければならない。これは、時間をかけて積み上げるブランディングにとっては、あまりプラスにならない。会社の価値を短期で見るのか、長期で積み上げていくものとして見るのかの2つの視点を持つことが重要だと思っています。
プライベートでも交流がある二人の会話には、信頼感と思いやりの心が溢れている。
見えない進化 ── 変わらないために変わる
では、海外の人たちの心に響く日本のデザイン、ブランディングとはどんなものなのか。
臼井 今回、Premium Japan Awardの審査をしていて強く感じたのは、「変わらずにあり続けるものは、実は変わっている」ということです。テレビである俳優さんを見て家族が、ふと「昔から変わらずきれいね」と言ったとき、当時中学生だった長男が「変わっているから、変わっていないんだよ。何もしなければ老化していく」と言って「良いことを言うな」と思ったことがあるのですが、伝統工芸で「今見ても良い」と思われているものは、実は昔と見比べるとすごく変わっている。
京都の茶筒の老舗・開化堂さんは、筒に蓋をのせると自重で静かに閉まることが有名ですが、昔はその蓋が落ちる時間が4秒だったそうなのですが、今の人はせっかちで4秒も待てないので、現在は3秒に縮めているそうです。職人さんが手で微調整するだけで、その速さを変えられるのも凄いですが、時代を超えて続いているものは、このようにちゃんと変化を続けています。
同様にテクニクスのターンテーブル(レコードプレーヤー)「SL-1200」は、外観こそ昔からほとんど変わっていないんですが、中の部品は大きく変わっています。精度を上げて、見えないところで進化させているんです。
その変化を見極めるのが、審査でもとても大事だと感じました。
ちなみにオーディオやカメラ、時計は、中国や韓国がなかなか参入できないカテゴリーとなっています。和光さんにグランドセイコー スタジオ雫石を見学させてもらったときも驚きましたが、職人さんが、ゼンマイやネジやバネなどミクロの世界でちゃんと仕事をしているんですよね。
水野 そうですね。腕時計こそ文化の塊ですよね。スマートフォンやApple Watchもある時代に、(機械式)腕時計がもたらす機能は「時間を計る」ことにほぼ集約されている。それにも関わらずいまも人々を強く惹きつける。デザインが、機能だけでなく、装飾や文化、時間の積み重ねに対しても意味を持つ。
「変わらずにあり続けるものは、実は変わっている」と言う文脈で言えば、僕は京都がその好事例だと思います。行くたびに違う街になっていると思うくらいに、見えにくいところが絶えず更新されていると感じます。
AIの時代と「問いを立てる力」
見えない進化を支えてきた作り手の営みに、いま大きな変化が押し寄せている。AIだ。
臼井 AIが入ってきて、デザインやブランドといったクリエイティブの領域は、思った以上のスピードで変わりますよね。厄介なのは、AIが「それらしいけれど、どこか変なもの」を、そこそこ作れてしまうこと。専門性のある人は「これはおかしい」とわかるけれど、ない人には同じように見えてしまう。そういうものが世の中に氾濫してくると、正直、恐ろしくなる。お金も人も足りない地方などでは、すでにそうしたものが溢れ始めているとも聞きます。
水野 グラフィックは、AIで結構、手軽に作れてしまう。プロダクトはまだ、完成品まで仕上げるのが難しいので、AIには壁がある。ただ、作ることがどんどん簡単になっていく分、そこから何を「選ぶ」のか――良し悪しを見極める審美眼が、これからめちゃくちゃ重要になってくると思います。
臼井 自分はモノを作る時、ただ流れに合わせて突っ走るのではなく、「自分たちが本当に行きたい場所」から逆算して、それをどう作るのかを考える「バックキャスティング」を大事にしています。そうしないと、変なところに流れ着いてしまう。僕はもともとこの逆算型だったので、水野さんの本を読んだ時、考え方がすごく似ていると感じました。
水野 「何が売れるか」から考えると、たいしたものは生まれない。どんな世の中にしたいか、どんな暮らしを変えたいか――大きな志(大義)から逆算して作ったものほど、長く売れ、長く求められることが多いと信じています。
この「逆算」と「世界観づくり」を、日本人ははるか昔から実践してきた、と水野氏は葛飾北斎を例に語る。
水野 葛飾北斎は、現実と想像の間にあるものを描いているんですよね。有名な「神奈川沖浪裏」の、あの大波。実際にはあんな光景は見られない。想像の中に現実を溶け込ませ、独自の世界観を立ち上げている。こうした世界づくりは、日本人がずっと続けてきた伝統文化で、その本質はエンターテインメントなんです。作り手が「言いたいこと」ではなく、受け手が「見たいもの・知りたいもの」を差し出したものが、流行り、残っていく。AIには立てられない「問い」を立てる力――そこに力を注げるのは、まだしばらくは人間なのかなと思っています。
「耐久性」という強度
最後に、これからのPremium Japan Awardの受賞者・候補者へのアドバイスを求めると水野氏は「耐久性」という言葉を挙げた。
水野 求められるのは、自分を表現したい人よりも、人に求められるものを作ろうとする人のほうだという気がします。僕は最近、「耐久性」という言葉をよく使うんです。
世の中には耐久性ではなく、瞬発力で成立するものもあります。例えばセールのチラシは瞬発力が大事です。その代わり長持ちはしません。
これに対して、文化について考える場合、長く生き延びる「強度」のあるもののほうがいいと思います。それは多くの場合、静かで動きの少ないデザインだと思っていますが、北斎のように派手で動的なのに長く残るものもある。僕はそれを「モンスター」と呼んでいます(笑)。
何百年も使われ続けるザルや金槌、あるいは着物のように、見飽きない・使い飽きない、必要とされ続ける長さ。その「強度」こそが、Premium Japanの評価軸の一つになるんじゃないかと思います。
臼井 そうした良いモノをしっかりと見極めて世界に発信していきたいですね。
水野 学 Manabu Mizuno
good design company代表。クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント
1972年東京生まれ。長期的なブランド戦略を軸に、コンセプト設計から企画開発、グラフィック、プロダクト、空間、広告宣伝まで、領域を横断したトータルディレクションを手掛ける。主な仕事にパナソニック、相鉄グループ、熊本県「くまモン」、三井不動産、HOTEL THE MITSUI、JR東日本「JRE POINT」、中川政七商店、Oisix、久原本家「茅乃舎」、黒木本店、再春館製薬所「ドモホルンリンクル」ほか。国内外で受賞歴多数。著書に『もう、時間に追われない。 逆算時間術』(ダイヤモンド社)『センスは知識からはじまる』『世界観をつくる「感性×知性」の仕事術』〈山口周氏との共著〉(共に朝日新聞出版)など。
臼井重雄 Shigeo Usui
執行役員 グループCCO(兼)ブランド・コミュニケーション戦略グループ長
1967年静岡生まれ。1990年 松下電器産業(現パナソニック)に入社し、AV機器や家電のデザインを担当。中国・上海デザインセンター立ち上げ、現地発のデザインを生み出す組織へと成長させる。2021年 執行役員に就任し、パナソニックグループのデザイン経営を主導。2026年1月よりグループCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)としてデザイン、ブランド・コミュニケーション領域において、一気通貫した戦略を構築するとともに、企業価値を高める役割を担う。
Photos by Toshiyuki Furuya
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Features
閉館後の美術館を舞台に「真夜中の学芸員」を体験
2026.7.9
「TOKYO NODE GALLERY」でナイトミュージアム企画を開催
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⻁ノ⾨ヒルズ ステーションタワー8階・45階の「TOKYO NODE」で、没入型体験イベント「どこか奇妙な職業体験 真夜中の学芸員」が、7⽉24⽇(⾦)から開催される。
“奇妙な”職業体験の舞台となるのは、同ギャラリーで開催中の、マルチメディアアートの巨匠・トニー・アウスラー氏による大規模個展『トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま〜魔術、メディア、アート〜』の閉館後の会場だ。
参加者は、片手に⽩⼿袋をつけ、真夜中の学芸員として、通常の作品点検はもちろん、『動き出す展⽰物』や『瞬きをする肖像』など、おかしな美術品を巡回しながら、いつの間にか、不思議なことに巻き込まれていく。
⼈間の知覚の危うさを問うアウスラー作品のテーマを体感しながら、昼間の鑑賞では味わえない圧倒的な⾮⽇常感と緊張感を楽しめる没入型体験イベントだ。
あなたも、ワクワク感に包まれた「どこか奇妙な」職業体験を楽しんでみてはいかが。
◆どこか奇妙な職業体験 真夜中の学芸員
【期間】2026年7⽉24⽇(⾦)〜8⽉30⽇(⽇)の⽊曜⽇〜⽇曜⽇(7⽉30⽇(⽊)を除く)
および8⽉10⽇(⽉)〜8⽉12⽇(⽔) ※計25⽇間
【会場】⻁ノ⾨ヒルズ ステーションタワー8階・45階TOKYO NODE (東京都港区⻁ノ⾨2-6-2)
【公演】⽊曜18:45〜、⾦曜・⼟曜19:45〜、⽇曜18:45〜(各回制/所要時間 約75分)
※8⽉10⽇(⽉)〜8⽉12⽇(⽔)は⽊曜・⽇曜の公演時間に準ずる
【料金】4,500円(税込み)※トニー・アウスラー展⼊場料2,400円を含む
※詳細は公式サイトを要確認
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Features
エルメス財団、夏のオープンクラスを開催
2026.7.7
「金属に学ぶ、五感で考える:夏のオープンクラス」
Leonor Serrano Rivas, Installation view of Here Be Dragons , 2025
Courtesy of the artist and carlier | gebauer
Photo: Andrea Rossetti
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エルメス財団が展開するスキル・アカデミーでは、7月15日(水)から8月16日(日)まで、「金属に学ぶ、五感で考える:夏のオープンクラス」を、東京・SKAC(SKWAT KAMEARI ART CENTRE)で開催する。展覧会やワークショップ、トークイベントを通して、金属という素材が持つ魅力や可能性を、多角的な視点から体感できるプログラムだ。
Leonor Serrano Rivas, Where We Expect to Find Flowers n3, 2025
Courtesy of the artist and carlier | gebauer
Photo: Roberto Ruiz
スキル・アカデミーは、⾃然素材に関わる職⼈技術や⼿わざを伝承、拡張、共有することを⽬指すエルメス財団のプロジェクト。日本では2021年より活動をスタート。展覧会やワークショップなど様々な体験を通じて、素材の組成や技術、⽂化などを多⾓的に探究している。
Leonor Serrano Rivas, Installation view of Here Be Dragons , 2025
Courtesy of the artist and carlier | gebauer
Photo: Andrea Rossetti
Sayaka Shimada, Fireworks for another world that never came, 2022
©Sayaka Shimada
今回のテーマは、私たちの暮らしに欠かせない「金属」。 会場では、レオノール・セラーノ・リヴァス、Playfool、島田清夏の3組のアーティストによるグループ展「結合」を開催。⾦属と対話を⾏う彼らの実践を通じて、⾦属と⾝体の連鎖的な「結合」の在り⽅を探っていく。
Playfool, Installation view of a re(imitation) of Life , 2024
Courtesy of the artist
Photo: Naoya Toita
また、鍛金によるジュエリー制作を体験できる抽選制のワークショップやガイドツアー、アーティスト・トークなども用意。見るだけではなく、触れ、考え、手を動かすことで、金属への理解をより深められる構成となっている。
Sayaka Shimada, R9+C9QP , 2020
Courtesy of the artist
Photo: Great the Kabukicho
さらに、今春に中高生を対象として実施されたワークショップの成果展示も同時開催。参加者たちが素材と向き合いながら体験を通じて紡ぎ出された言葉、各ワークショップの映像記録を通して、ものづくりが持つ創造性や学びの広がりを感じることができる。
Leonor Serrano Rivas, Where We Expect to Find Flowers n17 , 2025
Courtesy of the artist and carlier | gebauer
Photo: Roberto Ruiz
青銅器時代から⼈類の⽂明と共に歩んできた⾦属という素材、アートや職人技術の視点から見つめ直すイベント。五感を使って素材と向き合うことで、ものづくりの精神に触れ、素材の本質に迫ることができるはずだ。
◆スキル・アカデミー「⾦属に学ぶ、五感で考える:夏のオープンクラス」
【会期】2026年7⽉15⽇(⽔)~8⽉16⽇(⽇)
【開館時間】11:00~19:00
【休館⽇】⽉曜⽇・⽕曜⽇ ※ただし、7/20(⽉・祝)、8/11(⽕・祝)は開館
【会場】SKAC(SKWAT KAMEARI ART CENTRE)東京都葛飾区⻄⻲有3-26-4
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Lounge
Premium Salon
アート探訪記~展覧会インプレッション&インフォメーション
2026.7.6
銀座・和光「硝子と陶 五人展 しじまに奏でる」
右から 森岡希世子「透雲」径12.4×高さ34cm 松村 淳「ひとひらの風景-夕暮れの窓辺に佇む-」4×11.4×高さ12cm 中野幹子「夏草」径22×高さ6.5cm 浜野まゆみ「染付桐紋中次」径6×高さ6.5cm 渡辺ゆう子「気配の花影」径16×高さ22cm
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セイコーハウス6階 セイコーハウスホールで、「硝子と陶 五人展 しじまに奏でる」が開催されています。「しじま」とは静まりかえっていること。思わず手に取りたくなるような愛らしい器、凛とした緊張感を纏った器、極小の世界に広がる不思議な色彩……。五人の作品は確かに静寂の中に佇んでいるようですが、静寂とともに、確固たる技術に裏打ちされた、たおやかな美しさを内包しています。
硝子キューブの奥に広がる、幻のような、でもどこか懐かしい風景 ──松村 淳──
視線を低くし、横からのぞき込みます。何かが見えてきます。それは遠くの山並みであったり、夜空に浮かぶ月であったり、夜明け前の空だったり、時には淡い色彩の重なりだったりします。幻のような、でもどこかで見たことのあるような、懐かしく郷愁すら誘う風景。
「ひとひらの風景」。松村淳さんが手がける作品には、どれもこの共通した作品名が冠され、さらにそれぞれ「夜明け前」「朝もやの残月」といった、描かれた風景を彷彿とさせる個々の名前が付けられています。
薄い板ガラスに着色し、それを何枚か接着
松村さんの作品は、窓ガラスにも使用される板ガラスを何枚も接着して重ね合わせる、一般的には「積層ガラス」という手法が用いられています。一枚の板ガラスの厚さは2mmから10mm。その一枚一枚に色鉛筆で着色し、それを接着剤で何枚か重ね合わせることで、懐かしく不思議な景色が浮かびあがってきます。ガラスを重ね合わせる技法は従来から存在していましたが、色鉛筆で一枚一枚に着色するのは、松村さんが編み出した手法です。
「ひとひらの風景―夜の風に吹かれる―」 3.3×17×高さ10cm
「どんな色を用いて、それをどのよう重ねれば、どのような風景になるか。最初のうちは試行錯誤の連続でした。今ではなんとなく掴めてきましたが、着色する前に一枚一枚のガラスの表面にダイヤモンドホイールで入れる凹凸の具合や、接着する前と後で色調や透明感が微妙に変わってくるので、その微調整が難しいですね」
「刻々と変わる空の色が好きで、それを作品の中に閉じ込めたい」
作品に描かれるのは主に夜明けや朝の景色。そして色合いは藍、青、浅葱など、ブルー系。
「朝早く起きて制作することが多いのですが、夜明け前の真っ暗な夜空がだんだんと白みはじめ、紺青から藍、そして青へと変化し、そこに朝焼けの橙色や茜色が混じり始める。その刻々と変わる色の移ろいが好きで、それを作品の中に閉じ込めたいと思っています。また、自分の記憶のなかには、かつて見た美しい風景が鮮明に残っています。その美しい風景を、作品を通じて蘇らせたいという思いもあります」
作品はどれも小さく、最小のキューブのものは約3.5cm四方。この極小の空間のなかに、不思議な奥行と遠近感を持つ風景が広がっています。しかもその不思議な奥行のなかに、いくつもの物語がふわふわと漂っています。もしかしたらそれは夢の中で見た、懐かしい風景かもしれません。
右から「ひとひらの風景―道草の風―」「ひとひらの風景―夜明け前―」「ひとひらの風景―たゆたうみなも―」「ひとひらの風景―朝もやの残月―」4点ともに3.5×3.5×3.5cm
「どんな風景を描こうか。それを頭の中でいろいろ構想するのが、楽しくも大変な時間です。色鉛筆で描く線の細さを調整するのも大変です。また、私の作品はどうしてもブルー系の色調が多くなりがちですが、今後はピンクや黄色などの華やかな色も使っていきたいと思います」
心の中に永遠に棲み続ける「ひとひら」の重なり
「ひとひら」とは、花びらや木の葉など、小さくて薄く平たいものを指し示す言葉。そして淡く消え去っていく語感も備えています。薄いガラスを重ねた松村さんの作品は、確かにいくつもの「ひとひら」が集まったもの。しかし、それが醸し出す風景は心の中に永遠に棲み続けます。
作品が発する「内なる力」 ―森岡希世子―
「内側からの力です」
作陶にあたり、一番大切にしている点を尋ねた際の森岡希世子さんの言葉です。内側の力とは……。
「作品のフォルムが自ら発する力、張りのようなものでしょうか。作品の大小に限らず、張り詰めた緊張感を湛えた形です」
回転する轆轤(ろくろ)を巧みに操ることで森岡さんの作品は生まれます。金沢に生まれた森岡さんは、若くしてデンマーク国民美術大学校に留学。そこで陶芸と出会い、帰国後は地元の窯元で轆轤師として働き、轆轤の技術を徹底的に学びました。
森岡さんによると、轆轤は仕上げるスピードが命だそうです。
「土の“生き”がよいうちに、挽きあげないとダメなのです。粘土にコシがあるうちに成形してしまわないと、時間がたつと粘土そのものがダレてしまい、内側からの力を引き出すことができなくなってしまいます。コシがあるうちに成形したものは、焼いてもその力強さが残ります」
思い描いているフォルムに向かって、一気呵成に挽きあげる
思い描いているフォルムに向かって、一気呵成に挽きあげる、その高度な技術が、森岡さんの作品が持つ「内側からの力」を生み出します。「透雲」と名付けられた、高さ30cmほどの作品だと、轆轤に向かっている時間は15分。
器の形状に比べて思いのほか小さいのが上部の口。しかし、この口があることで、張り詰めた力がそこから解き放たれていくような、心地酔い解放感が生まれます。張り詰めた緊張感とその解放。この絶妙な組み合わせが、森岡さんの作品の真骨頂のひとつです。
作品名はいずれも「透雲(鶴首)」 右 径9.5×高さ27cm 左 径8.5×高さ22cm
轆轤の緊張感と磁肌や色調の優しさ
作品は釉薬を用いず、高温で焼きしめた後に磁肌をヤスリで削って仕上げられています。釉薬が使われていないので、触れると指先にしっとりとした優しい感触が残ります。そして、マットな白の色合いが、やはりどこまでも優しく響きます。花器のような一品もののほかに、森岡さんは日常使いとしての茶器、ティーポット、ティーカップなども手掛け、そうした器は人気を博しています。轆轤の緊張感と磁肌や色調の優しさ。並走する二つの要素が、人気の要因と言えるかもしれません。
作品名はいずれも「透雲(ポット)」 右 径9×高さ9.5cm 左 径8×高さ8.5cm
そこはかとなく漂う、薄墨の雲
マットな白が森岡さんの作品の基調ですが、薄墨の雲が、そこはかとなく白の世界に忍び寄っているような作品も手掛けています。
「技法的にいえば、『炭化焼成』という手法です。サヤと呼ばれる筒状の耐熱器の中に籾殻などと一緒に作品を入れて焼成します。焼成温度と籾殻の量によって、薄墨の濃さやそれが器にかかる位置が変わってきます。ある程度は目途がつくようになりましたが、サヤから出すまでは、どのような景色となるかはっきりと分からないところが、面白い部分でもあります」
轆轤師としての矜持(きょうじ)
薄墨がかかったような景色は、光の当たり具合によって変化する影のようにも見え、その景色は器が持つ「内なる力」を優しく覆う薄衣となります。
「今は張りと緊張感を大切にして轆轤を挽いていますが、もう少し歳を重ねると、あえて緩く挽く、ということにも挑戦したくなるかもしれません。緩く挽くのもそれはそれで難しいのでないかと思っています」
そんな森岡さんの言葉には、轆轤を回し土と向き合ってきた、計り知れない時間の積み重ねが生んだ、轆轤師としての矜持がにじみ出ていました。
ガラスに描かれた、可憐な野の花 ―中野幹子―
可憐に花開く草花と葉脈まで透けて見える葉、琳派の作品を思わせるような秋草。
中野幹子さんのガラス器には、日本の野山を彩る植物が描かれています。描線はどこまでも細く、その一方で瑞々しく華やかな色彩が目に飛び込んできます。
「最初は油絵から入り、その後、銅版画をイタリアの専門学校で勉強していた時に、ステンドグラスを手伝うようになりました。それがガラスとの出会いです。イタリアのステンドグラスはガラスを組み合わせるだけではなく、宗教画や果物を描くような絵付けも多く、そこでガラス絵付けを学びました。同時にガラスそのものにも興味を持つようになり、ガラスの学校に入って吹きガラスを習い、生活で使う日常の器を作り出す面白さに気付きました」
絵付けを施してからガラスを吹く
絵画から銅版画、さらにステンドグラスとガラス絵付けを経て吹きガラス。中野さんが作り手として歩んできたこの道程が、作品に凝縮されています。作品の背景に存在するのはこの道程だけではありません。実は、中野さんの祖母と母は茶道の師範で、中野さんも幼いころから茶の湯の世界に親しんできました。作品の根底に流れている「日本らしさ」は、こうした経験が少なからぬ影響を及ぼしています。
絵付けに用いられるのは、1000度近い高温にも耐えられる、耐火エナメルという塗料の一種。ガラス絵付けという技法は、日本でもまったくなかった訳ではないそうですが先駆者は少なく、「試行錯誤の連続でした」と中野さんは言います。
その試行錯誤の連続のなかで、中野さんは独自の技法を編み出しました。それは、描かれた植物を子細に見つめるとわかります。細い茎や薄い葉の描線が、微妙に揺らいでいます。そして僅かに膨らんでいるようにも。この揺らぎや膨らみは、絵付けを施してからガラスを吹くことによって生まれます。
吹くことで、揺らぎ膨らみ始める草花たち
「絵付けの作業とガラスを吹く作業。どちらも好きですが、作業に要する時間を必要とするのは圧倒的に絵付けです。相当な時間をかけて絵付けしたものが、吹く作業のミスで割れてしまうこともあります。そんな時はとても悲しいですね。玉子くらいの大きさに一度成形したものに、それから絵付けして再び吹くことでガラス自体が膨らみ、自分が思い描いていたものとは異なる表情に仕上がります。それが面白いのです」
右から 硝杯 「矢車菊」 径7×高さ5.3cm 硝杯 「山藤」 径5.5×高さ5.5cm 硝杯 「十薬」径7×高さ5.5cm
「硝杯」と名付けられたこれらの作品は、内側が透明ガラス、外側は乳白色ガラスの二層となっています。線刻によって絵付けされているのは乳白色のガラスの方で、同じ植物でも内側と外側では見え方が違ってきます。それも魅力のひとつ。
織部茶碗にも通じる、軽やかな歪み
この碗で薄茶を点てたら。そんな光景を想像したくなるのが、硝碗「山紫陽花」です。透明ガラスに緑の薄茶が映え、その薄茶を山紫陽花が彩る。さぞ美しい光景が生まれるに違いありません。この碗は正円ではなく、「口造り」と呼ばれる碗の縁の部分が微妙に歪んでいます。その歪みは、織部茶碗に通じる歪み。
均質で整頓された美を好む傾向にある西欧で学びながらも、時に揺らぎ、時に歪む中野さんの草花たち。そこには紛れもなく、日本が大切にしてきた美意識が流れています。
硝碗「山紫陽花」径11×高さ6.8cm
お話を伺った3人の作家のほかに、今回の展覧会に出品しているのは以下の2名の方々です。
渡辺ゆう子さん 浜野まゆみさん
渡辺ゆう子 花吹雪 径20.5×高さ18cm
渡辺ゆう子 右 FLOWER CLOUD 縦13×横19.5×高さ3cm 左 花の蓋物 径7.5×高さ9.5cm
浜野まゆみ 染付花尽紋水指 径12.5×高さ16.5cm
浜野まゆみ 赤絵丸紋瓢形皿 五枚組 縦13.3×横13.6×高さ2.2cm
◆アート探訪記~展覧会インフォメーション
硝子と陶 五人展 しじまに奏でる
会期:2026年7月2日(木) 〜 2026年7月12日(日)
時間:11:00 – 19:00 最終日は17:00まで
- 場所:セイコーハウス 6階 セイコーハウスホール
取材・構成 櫻井正朗 Masao Sakurai
『婦人画報』元編集長代理。陶芸や漆芸など、日本の伝統工芸をはじめ、茶道や歌舞伎などさまざまな日本文化の取材・原稿執筆を担当する。現在ではフリーランスの編集者として、書籍、雑誌、広告制作に携わる。「プレミアムジャパン」では主に伝統工芸・旅行関係の記事を執筆。
写真 名和真紀子 Makiko Nawa
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アート探訪記~展覧会インプレッシ…
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世界有数のピカソ・コレクションが来日。「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」
2026.6.26
ピカソとポール・スミス、時代を超えた遊び心の共演
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東京・六本木の国立新美術館にて、「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」が開催中だ。
20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソの作品を、英国を代表するデザイナー、ポール・スミスによる会場構成とともに堪能できる本展。世界有数のピカソ・コレクションを誇るパリ国立ピカソ美術館の所蔵作品が並び、これまでにない鑑賞体験を楽しめる。
会場には、青の時代を代表する《男の肖像》や、《アルルカンに扮したパウロ》をはじめ、絵画、彫刻、陶芸作品など約80点が集結。それらが緩やかな時系列に沿って展示される。
本展を特別なものにしているのが、ポール・スミスによる会場構成だ。2023年に開催された大規模なピカソ展でもアートディレクションを手がけた彼は、セクションごとに全く異なるコンセプトを展開。鮮やかなストライプや大胆な色彩、ユーモアに満ちた空間演出によって、ピカソの作品を新たな視点から見つめ直すことができる。
日本では国立新美術館のみでの開催となる本展。伝統的な絵画の概念を覆し続けたピカソと、「ひねりのあるクラシック」を追求してきたポール・スミス。時代もジャンルも異なる二人のクリエイターが響き合う空間で、ピカソの新たな魅力に出会ってみてはいかがだろうか。
※画像はすべて「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景
◆ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ
【会期】開催中~2026年9月21日(月・祝)
【休館日】毎週火曜日
※ただし8月11日(火・祝)は開館、8月12日(水)は休館
【開館時間】10:00~18:00
※入場は閉館の30分前まで
※毎週金・土曜日は20:00まで
【会場】国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
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銀座・和光で開催「硝子と陶 五人展 ―しじまに奏でる―」
2026.6.26
盛夏を彩る、硝子と陶の作家五人による展覧会
中野幹子 「夏草」径22×高さ6.5㎝
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銀座・和光のセイコーハウスホールでは、7月2日(木)から12日(日)まで、「硝子と陶 五人展 ―しじまに奏でる―」を開催する。硝子作家3名、陶芸家2名によるグループ展で、盛夏にふさわしい涼やかさと静かな余韻をたたえた作品が一堂に会する。
松村 淳 「ひとひらの風景ー夕暮の窓辺に佇むー」4×11.4×高さ12㎝
参加するのは、硝子の中野幹子氏、松村淳氏、渡辺ゆう子氏、陶芸の浜野まゆみ氏、森岡希世子氏。それぞれ異なる素材や表現を用いながらも、静けさのなかに宿る美しさを追求している。
渡辺ゆう子 「気配の花影」径16×高さ22㎝
中野幹子氏は、身近な植物や日常の風景をモチーフにした繊細な描写を内包した器を制作。松村淳氏は、視線を奥へと誘う層を成す硝子の中に、懐かしい情景や心象風景を描き出す。渡辺ゆう子氏は、色とりどりの硝子棒・ケーンを組み合わせ、水彩画のような柔らかな色彩世界を立ち上げている。
浜野まゆみ 「染付桐紋中次」径6×高さ6.5㎝
一方、浜野まゆみ氏は、古伊万里に想を得た染付と赤絵を取り入れ、やわらかな揺らぎと手仕事の温もりを感じさせる器を制作。森岡希世子氏は、白やグレーを基調とした静謐な作品で知られ、端正なフォルムと磨き上げられた肌合いが、空間に澄んだ緊張感をもたらす。
森岡希世子 「透雲」径12.4×高さ34㎝
なお、会期初日と2日目の作品販売は抽選制で実施される。応募方法などの詳細は、和光公式サイトまたは会場で確認を。
静けさの奥でかすかに響き合い、観る者の内にほのかな気配を残す作品たち。暑さが深まる季節、作品とじっくり向き合う時間を楽しんでみてはいかがだろうか。
◆「硝子と陶 五人展 ―しじまに奏でる―」
【会期】2026年7月2日(木)~12日(日)
【会場】セイコーハウスホール(東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス 6階)
【営業時間】11:00~19:00(最終日は17:00まで)
【休業日】無休
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世田谷文学館で開催。「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」
2026.6.10
アンパンマンの生みの親、その創作の原点に触れる
「やなせうさぎとアンパンマン」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
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『アンパンマン』の生みの親として知られるやなせたかしの創作の軌跡をたどる「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が、6月30日(火)から9月6日(日)まで、東京・世田谷文学館で開催される。
やなせたかし
写真提供:(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団
「詩とメルヘン」1979 年 4 月号表紙絵「陽炎は春がくゆらすパイプのけむり」
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
本展は、漫画家、詩人、絵本作家、イラストレーター、デザイナー、編集者など、多彩な顔を持つやなせたかしの仕事を総合的に紹介する初の大規模巡回展。原画約200点を中心に、「やなせたかし大解剖」「漫画」「詩」「絵本/やなせメルヘン」「アンパンマン」の5つのテーマで構成されている。
「絶望のとなりに」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
「夕陽の決闘」1998 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
やなせたかしは、苛烈な戦争体験や家族との別れ、さまざまな人との出会いを経て、「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」を自分に問い続けた。こうした思索の先に辿り着いたのが、かっこ悪くても、本当に困っている人に一片のパン「あんぱん」を差し出せるヒーロー像だった。
「てのひらを太陽に」制作年不明
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
『アンパンマン伝説』「ばいきんまん登場」1997 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
極上のエンターテイナーであり、「人を喜ばせること」を人生最大の喜びとしていたやなせ。子どもたちに夢や勇気を届けてきた作品の根底に流れる思想や人生観に触れながら、改めてその魅力を見つめ直してみてはいかがだろうか。
「いちごえほん」1976 年 2 月号表紙絵「雪の天使の 2 月号」
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
『やさしいライオン』1975 年
©やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵
◆やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ
【会期】2026年6月30日(火)~2026年9月6日(日)
【会場】世田谷文学館( 東京都世田谷区南烏山1-10-10 )
【時間】10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
【休館日】毎週月曜日 ※ただし月曜が祝休日の場合は開館し、翌日休館
【入場料】一般1,500円、65歳以上・大学・高校生900円、中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの方は750円 ※ただし大学生以下は無料
※2026年7月3日(金)は65歳以上観覧料無料
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Features
“奇想の絵師”、国芳ワールドを京都で体感
2026.6.2
京都市京セラ美術館で開催「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」
「相馬の古内裏」弘化2-3年(1845-46)頃 個人蔵
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“奇想の絵師”として知られる浮世絵師、歌川国芳。その多彩な才能に迫る展覧会「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」が、2026年7月18日から9月23日まで、京都市京セラ美術館で開催される。
「宮本武蔵と巨鯨」弘化4年(1847)頃 個人蔵
江戸時代後期に活躍した国芳は、美人画、役者絵、風景画と、どのジャンルを描いても一級品を生み出す、まさに浮世絵界のスーパークリエイター。本展では、そんな“オールラウンダー”である国芳の超有名作品はもちろんのこと、類い稀な才能が遺憾なく発揮された作品群、約200点を展示。多彩な活躍ぶりを、映画や芝居を見るように楽しめる6幕構成で紹介していく。
「本朝水滸伝豪傑八百人一個 天眼礒兵衛 夜叉嵐」天保2年(1831)頃 個人蔵
「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」嘉永4年(1851) 個人蔵
第1幕「KUNIYOSHI’s アクション!」では、国芳の最初にして最大級のヒットジャンルとなった武者絵が登場。3枚続きの『続絵(つづきえ)』も多数展示され、画面いっぱいに広がる映画のような臨場感を楽しめる。
「源頼光公舘土蜘作妖怪図」天保14年(1843) 個人蔵
第2幕「KUNIYOSHI’s モンスター!」に並ぶのは、国芳の代表作「相馬の古内裏」をはじめ、奇想天外な怪物や妖怪を描いた作品。西洋の解剖図を参考にしたと思われる骸骨など、卓越した描写力も見どころだ。
「十賢女扇 祇園梶」弘化元-4年(1844-47)頃 個人蔵
第3幕「KUNIYOSHI’s ビューティー!」では、美人画を展示。国芳の美人画は動作が大きく、健康的かつ爽やかな色気が特徴的。さらに、染物屋生まれならではの、こだわりを感じる着物の柄にも注目したい。
「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」弘化元-2年(1844-45)頃 個人蔵
「東都名所 佃嶋」天保初期(1831-33)頃 個人蔵
「人かたまつて人になる」弘化4年(1847)頃 個人蔵
このほかにも、役者の表情や特徴を見事に捉えた役者絵を集めた「KUNIYOSHI’s ハンサム!」、西洋絵画の表現を取り入れた風景画を紹介する「KUNIYOSHI’s ヴィジョン!」、そして、人を集めて人に仕立てたり、猫が集まって文字を作ったり、国芳の真骨頂ともいえる戯画が並ぶ「KUNIYOSHI’s アイデア!」へと続き、国芳の幅広い表現世界を体感できる。
「猫の当字 ふぐ」天保末(1841-43)頃 個人蔵
さらに会場では、イマーシブ(没入型)アート映像も公開され、多才・多彩な国芳ワールドを全身で味わえる演出も用意されている。江戸っ子たちを喜ばせるため、エンターテインメントに徹した歌川国芳。稀代のクリエイターの熱量に、現代に生きる私たちも大いに心揺さぶられるはずだ。
◆浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展
【会期】2026年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
【会場】京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階
【開館時間】10:00~18:00(入場は17:30まで)
【休館日】月曜日
※ただし7月20日(月・祝)、9月21日(月・祝)は開館
【料金】
当日:一般 1,900円、高大生 1,400円、小中生 700円
前売り・団体:一般 1,700円、高大生 1,200円、小中生 500円
前売りペア券 3,000円(2枚1組での販売。1枚ずつでの使用可) 1,000組(2,000枚)限定販売
展覧会オリジナル柄 京友禅「おふき」付きチケット 2,800円 1,000枚限定
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Events
唐津焼の“今”を映す三人展
2026.5.11
銀座・和光で開催。「中里 隆・太亀・健太展 ―暮らしを楽しむ器たち―」
(左)中里 隆「黒釉大壺」 (右)中里太亀「三島大皿」
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唐津で作陶する中里 隆氏・太亀氏・健太氏の親・子・孫、三世代による作品が一堂に会する「中里 隆・太亀・健太展 ―暮らしを楽しむ器たち―」が、銀座・和光のセイコーハウスホールで開催中だ。会期は2026年5月18日(月)まで。
中里 隆「黒釉大壺」(径44.4×高さ43.6cm)
中里 隆(左から)「錆朱鴨徳利」(14.1×8.2×高さ8.7cm)、「テラシッジ鴨徳利」(12.1×8.6×高さ8.2cm)、「唐津南蛮鴨徳利」(13.7×8.6×高さ8.2cm)
唐津の自然の中で土と炎に向き合いながら、それぞれ独自の表現を育んできた三人。中里隆氏は、自由で伸びやかな造形と品格ある佇まいが魅力。世界各地で制作を行いながら、唐津焼の枠を広げる表現を追求してきた。
中里太亀「粉引摺落叩き壺」(径25.4×高さ22.5cm)
中里健太「緑釉径筒」(径14×高さ27.6cm)
太亀氏は、従来の技法と独自に発展させた技法を用いた、使い手に寄り添う器を制作。さらに健太氏は、伝統を踏まえながらも現代の暮らしに即した感覚を取り入れ、花器やオブジェとしても楽しめる経筒や皿、湯呑などを制作している。
中里太亀「三島大皿」(径37.4×高さ5.2cm)
会場には、日々の食卓で楽しめる器から、手に取ることで作り手の想いが伝わる茶陶、大作の大鉢や花器まで多様な作品が並び、三者三様の「今」を感じることができる。
唐津焼の本質に根ざした表現と、それぞれの個性が光る作品群。三世代に受け継がれるものづくりの精神に、会場で触れてみてはいかがだろうか。
◆「中里 隆・太亀・健太展 ―暮らしを楽しむ器たち―」
【会期】開催中~2026年5月18日(月)
【会場】セイコーハウスホール(東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス 6階)
【営業時間】11:00~19:00(最終日は17:00まで)
【休業日】無休
【入場料】無料
【問い合わせ先】TEL 03-3562-2111(代表)
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Events
2026.3.12
腕時計デザインの新たな可能性を提案する「power design project 2026 こだわりすぎた腕…
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編集部&PJフレンズのブログ
2026.4.17
森英恵 日本ファッションを耕し世界に広めた道のり「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」展
国立新美術館で開催中の「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」展は、約400点という物量に圧倒されると同時に、その視点の新しさに驚かされる。
森英恵といえば、日本を代表するファッションデザイナーにして、アジア人初のパリ・オートクチュール正会員。その評価は揺るがないが、本展はそこに留まらない。デザイナーとしての仕事を縦軸に、「日本のファッション文化をどう育てるか」を考え奮闘する森を横軸に据えた構成になっている。服を眺める展覧会でもあるが、一人の人間の家族まで巻き込んだライフワークの全貌を検証する展覧会に近い。
展覧会タイトルとなっている「ヴァイタル・タイプ」とは、1961年1月号の雑誌『装苑』に書いた人物像を指している。
映画の衣装、挫折、そしてニューヨークへ
結婚後にドレスメーカー学院で服飾を学び、子育てと並行しながらデザイナーとして立ち上がっていく。新宿という土地が映画館の街だったことが転機となり、1954年頃から日活映画の衣装を次々と手がけるようになった。映画『狂った果実』の赤い花柄のアロハシャツは、スクリーンという巨大なメディアを通じて「美しい服」のイメージを日本中に届けていったその時代の証拠品
森は新宿で服飾店を始めるや映画業界の仕事を手がけるようになった。『狂った果実』、『夜霧よ今夜も有難う』など数々の名作の衣装を手がけた。右のポンチョはTBSドラマ『挽歌』(1966年)で使われたもの。
米国百貨店の販促道具や資生堂の米国の広告、中央は1967〜69年頃のドレス。
1961年、仕事と子育ての両立に限界を感じた森は、デザイナーを辞めることを本気で考えた。背中を押したのは『装苑』の編集長の「辞める前に一度パリを見てきなさい」の一言が彼女は世界へ目を向けるきっかけとなる。その後、ニューヨークで目の当たりにした日本への無理解、日本のものづくりへの低評価。その悔しさが、森が世界で活躍する原動力になった。
まさにその年、森は『装苑』1月号に「ヴァイタル・タイプ」という言葉を書き記している。快活で努力を惜しまず、自分の仕事を持つ女性像。他者への呼びかけでもあり、自身への誓いでもあっただろうその言葉が、本展のタイトルに選ばれた理由は、展示を見ればおのずとわかる。
アメリカで花開いた世界のHANAE MORI
1965年のニューヨークコレクションでデビューした森が持ち込んだのは、着物の帯地、日本の絹、深みある藍の色彩だった。日本のものづくりを、西洋の舞台で正面から勝負させた。単なるエキゾティシズムの輸出ではなく、日本の美意識の輸出だ。
森英恵を特徴づける花柄、蝶、ピンクと紫の鮮烈な配色を語る上で外せないのが、この時代のフローラルのプリントを多く手がけた布づくりのデザイナー、松井忠郎の存在。展覧会でもそのテキスタイルと共に1つのコーナーを構成している
今回、メトロポリタン美術館から特別に貸し出されたのが右の1974年の「イヴニングアンサンブル」。日本美術の大コレクターであるメアリー・グリッグス・バークが、自身の所蔵品である伊藤若冲《月下白梅図》をモチーフに特注した一枚で、1975年のメトロポリタン美術館で着用されたものだ。
ニューヨークでの活躍の後、森英恵はそれまでのイメージの殻を破るべく、パリのオートクチュールに挑戦。厳しい組合の条件を満たしながら、ここでも日本の美と技を発信することになる。
森英恵の仕事として有名なのが日本航空のキャビンアテンダントのユニフォームだろう。1967年の4代目ユニフォームから2000年頃までデザインを手掛けた。
ファッション文化発信の功績をたどる第3章
「ハナヱ・モリグループ全体の活動」という視点から、メディアと場の構築に焦点を当てた第3章は、過去の森英恵展ではほとんど取り上げられてこなかった側面を正面から扱っている。1966年に店舗の情報誌として創刊した『森英恵流行通信』がやがて独立した『流行通信』となり、日本を代表するファッション誌に育っていく系譜。長男・森 顕が創刊に関わった『STUDIO VOICE(スタジオ・ボイス)』が、友人だったアンディ・ウォーホルの『Interview(インタビュー)』誌の日本版を掲載するほどの文化的磁場を持つに至る経緯。さらに『WWDJAPAN』誌の創刊にも関わっていく。そして1978年、丹下健三設計による表参道の「ハナヱ・モリビル」。その上階に設けられた「The Space」は、自社ショーだけでなく他ブランドの発表や展覧会にも開放された場として、東京のカルチャーを底から支えた。
服を作るだけでなく、ファッションが語られるメディアを育て、クリエイターが集まる空間を自ら用意した。森英恵は優れたデザイナーであると同時に、日本のファッション文化の「開拓者」でもあった。この視点は、本展が初めて本格的に提示するものだ。
表参道にあったハナヱ・モリビルは自社ショーだけでなく他ブランドの発表や展覧会にも開放された場として、東京のファッションカルチャーを支えた。
『森英恵流行通信』に端を発する雑誌『流行通信』。『STUDIO VOICE』、『WWDJAPAN』。日本のファッション文化で大きな影響力を持ってきたこれらの媒体も森英恵やそのファミリー/グループ会社が手掛けてきた。まさに日本のファッション文化を耕してきたデザイナーといっても良いだろう。
そしてオートクチュールの世界へ
1977年にアジア人初でオートクチュール組合に加盟した森は、以来2004年まで27年間、年2回のコレクション発表を続けた。75ルック以上の制作、現地スタッフの雇用義務など厳しい条件をクリアし続けたその事実は、数字にすると途方もない。モノトーンの静謐なドレス、精緻なビーズ刺繍の仕事。2章の鮮やかさとは異なる成熟した美意識がここには宿っており、日本の職人技をパリの最高峰の場に持ち込み続けた27年間の重みが、作品の随所から滲み出している。
エピローグには、映像作家・志村信裕による約50分のインタビュー映像が流れる。孫の森泉、森星、息子、そして仕事を共にした小池和子ら関係者の証言が積み重なり、森英恵という人物の輪郭を浮かび上がらせる。第5章で紹介される交友関係——黒柳徹子、横尾忠則、浅利慶太、奈良原一高、田中一光、佐藤しのぶ——を見渡せば、森英恵の周囲が単なるファッション界の人脈ではなく、時代の文化そのものを構成していたことがわかる。
展示全体を通じて伝わるのは、森英恵が「どう生きるか」を服でなく行動で示し続けた人だったということだ。ヴァイタル・タイプ——1961年に彼女が残した言葉は、65年後のいまも色褪せることはない。
この時代の森英恵を特徴づける花柄、蝶、ピンクと紫の鮮烈な配色のファッション。しかし、この頃、森英恵はこのイメージから脱却して新しいチャレンジをしたいと思うようになっていた。
森英恵は横尾忠則、田中一光、奈良原一高など多彩なクリエイターとのコラボを行い、映画俳優や黒柳徹子を含む多彩なタレントたちとも交流があった。
画像は「生誕100年 森英恵ヴァイタル・タイプ」国立新美術館 2026年 展示風景
Photos &Text by Nobuyuki Hayashi
◆生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ
会期:2026年4月15日(水) ~ 2026年7月 6日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00~18:00
毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日
*ただし5月5日(火・祝)は開館
主催:国立新美術館、テレビ朝日、東京新聞
Profile
林信行 Nobuyuki Hayashi
1990年にITのジャーナリストとして国内外の媒体で記事の執筆を始める。最新トレンドの発信やIT業界を築いてきたレジェンドたちのインタビューを手掛けた。2000年代からはテクノロジーだけでは人々は豊かにならないと考えを改め、良いデザインを啓蒙すべくデザイン関連の取材、審査員などの活動を開始。2005年頃からはAIが世界にもたらす地殻変動を予見し、人の在り方を問うコンテンポラリーアートや教育の取材に加え、日本の地域や伝統文化にも関心を広げる。現在では、日本の伝統的な思想には未来の社会に向けた貴重なインスピレーションが詰まっているという信念のもと、これを世界に発信することに力を注いでいる。いくつかの企業の顧問や社外取締役に加え、金沢美術工芸大学で客員名誉教授に就いている。Nobi(ノビ)の愛称で親しまれている。
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Features
イッタラが新作コレクション「AALTO 90」を発表
2026.3.28
フィンランドデザインの象徴「アアルトベース」誕生90周年
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フィンランドのデザインブランド「イッタラ」は、フィンランドの近代建築とデザインの巨匠、アルヴァ・アアルトによる名作「アアルトベース」の誕生90周年を記念し、年間テーマ「AALTO 90」を掲げたアニバーサリーコレクションを展開する。
シンプルでありながらダイナミックなフォルムが特長のアアルトベースは、1936年に誕生。当時主流だった装飾的なガラスデザインとは一線を画し、翌年のパリ万国博覧会で発表されると、瞬く間に世界的評価を確立。フィンランドデザインを象徴する存在となった。
「AALTO 90」は、その思想とクラフトマンシップを讃えると同時に、アアルトベースの価値を現代に提示し、その先へとつなげていく試みだ。
3月に登場した「Aalto Bubble Vase」は、“ガラスそのものに命を吹き込む新たな姿”を表現したコレクション。溶けたガラスにソーダを施すことで生まれる繊細な気泡を内部に閉じ込め、異なる表情を持つ一点物だ。オリジナルデザインの彫刻的な美しさに、光を受けてきらめくバブルの揺らぎが重なり、アアルトベースの新たな魅力を引き出している。
アルヴァ・アアルト コレクション Tokyo ベース 160mm ラスターライラック 79,200円(2026年8月5日発売)
さらに8月には、世界6都市をテーマにしたシリアルナンバー入りの数量限定コレクション「Aalto City Vase」が登場。ヘルシンキ、東京、アムステルダム、コペンハーゲン、ベルリン、ニューヨーク──それぞれの都市が持つ光やリズムを、アアルトベースの不朽のフォルムに重ね合わせたベースは、各都市およびその国・地域に限定して展開される。
Amsterdam|ラスターダークグレー(日本での発売予定はありません)
すべての作品は“⼿吹きガラス(マウスブロー)”の技法によってフィンランドで制作され、アニバーサリーイヤーのために特別に開発されたラスター仕上げを採用。光の角度によって表情を変える虹色のきらめきが、都市の移ろいと響き合う。
時代や国境を超えて愛されてきたフォルムに、新たな視点を重ねることで見えてくるもの。90年という時間を経てもなお更新され続けるその魅力に、改めて触れてみたい。
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林 信行の視点
2026.3.13
写真家・高木由利子個展 Bunkamuraザ・ミュージアム最後も20日間
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渋谷の奥座敷で40年近くにもわたって西洋の近代美術から写真、映画、バレエや歌舞伎といった舞台芸術まで、幅広い文化を発信し続けてきた東急Bunkamura。隣接した東急百貨店本店は2023年に閉店し、既に解体されてしまっているが、実は渋谷の文化の発信拠点、Bunkamuraはまだかつての場所に残っており、時折、イベントも行われている。ただし、Bunkamuraの中心施設だった美術館の「ザ・ミュージアム」はこれからしばらく休館し、建設中の複合施設「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」(2029年度竣工予定)の7階の1000平米のスペースに拡大移転の予定だ。
その休館前の「ザ・ミュージアム」の締めくくりの展覧会として、Bunkamuraは同館を愛してくれた人々への特別な展覧会、写真家・高木由利子さんの個展「Threads of Beauty 1995-2025 ― 時をまとい、風をまとう。」を入場無料で開催している。
渋谷ファッションウィーク2026春に合わせた20日間だけの特別な展覧会で、会期は3月29日(日)まで、会期中無休。会場はBunkamura ザ・ミュージアム(ヒカリエホールではない)。
2023年にKYOTOGRAPHIEで京都・二条城の会場構成も手がけ、大阪・関西万博の「フランス館」でも再展示されたクリスチャン・ディオールとのコラボレーションでも知られる高木由利子。この展覧会では彼女の代表的シリーズ〈Threads of Beauty〉に焦点を当てている。
渋谷の喧騒から離れ、地下へと降りて入場する「ザ・ミュージアム」の展覧会場。高木はまずは人の顔で来場者を出迎えたいと世界各地のスピリチュアルリーダーなど展覧会の顔となる写真を厳選したという。
ザ・ミュージアムの入り口。カフェ・ドゥ・マゴ(Les Deux Magots)と向き合うこの入口が見られるのも今回が最後。
格好良さとは何か
展覧会で紹介しているシリーズ〈Threads of Beauty〉は世界各地で伝統的な衣服をまとい生きる人々の日常を、30年間(1995〜2025年)にわたり撮り歩いたシリーズ。民俗史的な記録としてではなく、被写体の人々の「格好良さ」に純粋に魅せられて撮り続けたシリーズだ。
「この人たちはなんでこんなにかっこいいのか」。
高木が〈Threads of Beauty〉を撮り始めてから30年間、ずっと追い求めてきたのはこの問いだ。約120点の写真に写る人々の佇まい、風情、生き様から滲み出る圧倒的な「格好良さ」。高木は「ファッションとは何か」という問いを根底に持ち続け、単なる衣服ではなく、土地・共同体・先祖から受け継ぎ後世へつなぐアイデンティティの表現だと考えてきた。今、日本の着物のように、世界各地の伝統服が日常生活の場から姿を消しつつある。写真展は既成服を着て、都会に住む私たちへの静かな、しかし強烈な問いかけでもある。高木はその現状を惜しみながらも、現代の生活様式への移行という自然な営みとして受け入れている。
順路のない会場に、布に縫い付けられた写真が吊るされる。8つのテーマごとに構成された「Village(村)」を、来場者は自分の感覚で歩き回りながら巡っていく。
東京生まれ。武蔵野美術大学でグラフィックデザインを学んだ後、英国・Trent Polytechnicでファッションデザインを修め、ファッションデザイナーとして活動を開始した高木。やがて写真家へと転身。当初は風景やヌードを主題としていたが、ファッションブランドとの仕事にも携わるようになる。なかでもディオールのアーカイブピースを独自の視点で捉えた作品群は、写真と衣服との関係性に新風を吹き込んだ。
そんな高木は「写真っていうのは、私にとってモノなんですね。マテリアル」と語る。
データ化され、テクスチャーのない画面で見ることが「普通」になった時代に、今回展示された作品の大半は、泡紙に竹尾でプリントし、手でちぎり、ミシンで縫い付け、その後ニスを二層塗るという工程を経ている。ニスを塗ることで黒が締まり、バライタ紙のような本来の印画紙の美しさが再現される。「こういう質感を、画面越しに見るだけではわからない。だから展覧会に来てほしい」と高木は言う。
出口近くでは本展のために作られた映像作品が上映され展覧会に新たな次元を加えている。渋谷で撮影された映像と、メキシコやモンゴルで撮影された映像を、同時進行で見せる作品だ。
「渋谷はかつて、もっとファンキーだった。撮影された時代の渋谷は、世界各地の少数民族の人々と対等に、おしゃれで、佇まいがあった。」と高木は言う。高木が発掘したその時代の渋谷を撮り溜めた映像と、地球の裏側で営まれる日常が、同じスクリーンに映し出される。遠く隔たった場所の緩やかな関連性が世界が一つ続きなのだと感じさせる。
新作の映像作品《Parallel Styles: Shibuya x The Other Side》では、高木がこれまで撮ってきたかっこいい少数民族の写真と、2000年代初頭に渋谷のスクランブル交差点で撮影したシリーズから選んだ作品を対比させている。
「もの」としての写真、「記憶」としての空間
会場構成を手がけたのは建築家の田根剛。「場所の記憶から建築をつくる」を意味する「Archaeology of the Future」をコンセプトにしたATTA(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)を設立し、世界各地でプロジェクトを手がけてきた。エストニア国立博物館、弘前れんが倉庫美術館などを手掛け、2036年完成予定の帝国ホテル東京・新本館のデザインアーキテクトに起用されたことでも注目を集めている。フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞なども受賞している田根。
高木由利子さんとの出会いは10年ほど前のISSEY MIYAKEの展覧会でトークをした時だったという。その時から一緒にコラボレーションをする約束。その約束は2023年の国際写真展「KYOTOGRAPHIE」で果たされた。世界遺産にもなっている二条城で行われた展覧会は、大きな話題となり、Bunkamuraの担当者もこの展覧会を観て2人に声がけをしたという。
オープニングレセプションで展覧会の解説をする高木由利子さん(左)と田根剛さん(右)。
「ザ・ミュージアム」最後の展覧会の話をもらい、田根は「この場所が持っている記憶を、そのまま生かしたかった。Bunkamura ザ・ミュージアムという空間には、37年間の展覧会の積み重ねがある。その記憶の上に、高木さんの写真の世界を重ねることで、ここでしか生まれない体験が作れると思った」。
障子越の外光も楽しめた二条城での展示と異なり、「ザ・ミュージアム」では外光が一切入らない地下空間。その分、照明にこだわり、写真展の被写体にもなっているノマドな人々が日々感じているであろう稲光などの自然の情景も照明で再現している(ドットワークスが担当)。
展覧会は以心伝心で、ほとんど打ち合わせをすることなく完成したと語る田根だが、高木の「道ができると少数民族がいなくなっちゃうのよ」という言葉が印象深く耳に残っていると言う。
「その言葉を聞いた瞬間に、会場の設計が決まった気がした」と田根は言う。「順路を作らないこと。動線を引かないこと。見る人が、道なき村を歩くように、自分の感覚で動いていける空間にすること」。
だからこそ、今回の展示に順路はない。動線もない。写真は布に縫い付けられ、吊るされている。120人の人々に「出会う」ように、来場者は自由に会場を歩き回る。「ノマティックな村」を構想した田根の空間設計は、見る者に不便を強いる。しかしその不便さこそが、彼らの生き方に触れるための必然だと言う。
会場中央には「村の広場」と名付けられた空間。そこから見える風景は、Bunkamuraという場所の記憶と、写真の中の世界が、静かに重なり合う。
40年の歴史が円環を閉じる
1989年開館のBunkamura ザ・ミュージアム。そのコンセプトの一つが「女性アーティストの紹介」だった。ルイーズ・ブルジョワ、草間彌生——錚々たる名前が、この場所の歴史を彩ってきた。80年代、90年代、2000年代、2010年代、2020年代と、時代を見届けてきたこの現展示室が、高木由利子という女性写真家の展覧会で幕を閉じる。歴史の円環が、静かに、美しく閉じられていく。
展覧会では写真だけでなく、高木の愛用していたメモや本、そしてリトグラフ作品などもアクリルケースに収められて展示されている。このアクリルケースは、元々Bunkamuraで使われており、廃棄される予定だったもの。美術館の建て替えにおいて極力ゴミを出さない方が良い、と話し合ってこのような形での展示になったという。
展覧会期間中、「一冊の本を売る書店」をテーマとする森岡書店がミュージアムショップとして出店している。本展にあわせて先行販売される写真集『Threads of Beauty 1995-2025 ― 時をまとい、風をまとう。』(青幻舎)に加えて、異なる30種類のオリジナルプリントが表紙に施された、世界に1冊だけの豪華特装版を販売。会場限定で抽選販売する[販売価格:165,000円(税込)] ※ED20/墨染め額装込/専用箱付き。
「非常に感謝したい方々」として、高木が最後に挙げたのは被写体になってくれた人々だった。「どうやったら被写体になってくださった方々にお礼ができるか、ずっと悶々としていた。こういう形で彼らの格好良さを世の中に提示することで、少しでもお礼ができたのではないか」。30年間、発表の機会を何度も逃してきた。障害があり、なかなか出せなかった。しかし「今ここに来て、今ここで、そしてこの時期だった」と高木は振り返る。現展示室最後の展覧会というタイミング。すべてが「グッドタイミング」だったのだと。
田根もまた、この場所への思いを語る。「建築家として、ある建物の最後の展覧会を手がけるというのは、特別なことだ。場所の記憶を未来につなぐのが自分の仕事だとすれば、今回はその記憶を、次の場所へと渡す役割でもある。高木さんの写真が持つ時間の深さと、この空間が積み重ねてきた時間が、今回重なり合っている」。
2029年度に生まれ変わる新ミュージアムは、比べ物にならないほど大きく、高く、新しい。それはそれで、楽しみだ。しかし、渋谷から日本に西洋絵画などのアートの魅力を発信してきたあの「Bunkamura ザ・ミュージアム」の空間でアートを楽しめる日は残り少ない。ぜひともBunkamuraの粋な計らいに応えて訪れる時間を作ってもらいたい。
展覧会のレセプションのフードは、eatripのフードディレクター、野村友里が手掛けた。野村友里初監督のドキュメンタリー映画『eatrip』では、”Threads of Beauty”
シリーズに大大感銘を受けた野村が高木に劇中写真を頼んでいる。また野村は食の複合空間〈GYRE.FOOD〉の空間コンセプトを手掛けた田根とコラボをしており3者ともに交流が深い。
高木由利子 写真展「Threads of Beauty 1995-2025 ― 時をまとい、風をまとう。」
会期:2026年3月10日(火)〜3月29日(日)会期中無休
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
入場無料 SHIBUYA FASHION WEEK 2026 Spring × Bunkamura
Profile
林信行 Nobuyuki Hayashi
1990年にITのジャーナリストとして国内外の媒体で記事の執筆を始める。最新トレンドの発信やIT業界を築いてきたレジェンドたちのインタビューを手掛けた。2000年代からはテクノロジーだけでは人々は豊かにならないと考えを改め、良いデザインを啓蒙すべくデザイン関連の取材、審査員などの活動を開始。2005年頃からはAIが世界にもたらす地殻変動を予見し、人の在り方を問うコンテンポラリーアートや教育の取材に加え、日本の地域や伝統文化にも関心を広げる。現在では、日本の伝統的な思想には未来の社会に向けた貴重なインスピレーションが詰まっているという信念のもと、これを世界に発信することに力を注いでいる。いくつかの企業の顧問や社外取締役に加え、金沢美術工芸大学で客員名誉教授に就いている。Nobi(ノビ)の愛称で親しまれている。
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現代工芸の4人のトップランナーが集結
2026.3.13
銀座・和光セイコーハウスホールで開催。「工芸の表現四人展」
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和光セイコーハウスホールにて、漆芸・金工・陶芸の分野で独自の表現を確立した気鋭の作家4名による展覧会「工芸の表現四人展」が開催される。会期は2026年3月19日(木)から29日(日)まで。展示作品は抽選販売となる。
本展に集うのは、それぞれの領域で素材の魅力を最大限に引き出し、理想の造形を求めて研鑽を重ねる4人の作家。いずれも40代から50代の円熟期を迎え、国内外で高い評価を確立する現代工芸の実力者たちだ。
池田晃将 蜃光電脳小器 w5.7×d5.7×h1.9cm
漆黒の世界に繊細な螺鈿、蒔絵を浮かび上がらせ、掌中に収まる電脳空間を創造する漆芸家・池田晃将氏。
長谷川清吉 かながさね飾箱 φ8×h4.5cm
象嵌や透かし彫りなど高度な技法を駆使し、茶道具を軸に斬新なオブジェをも生み出す金工家・長谷川清吉氏。
新里明士 光盃・台
盃:w9×d7.5×h4.8cm、台:φ10.8×h6.5cm
‟光”をテーマに、器胎にほどこした透明感あふれる点描の文様で洗練された美を追求する陶芸家・新里明士氏。
見附正康 赤絵細描角香炉 w6.6×d6.6×h7cm
九谷伝統の赤絵細描を継承し、古典と現代感覚を融合させた格調高い細密描写の世界を築く陶芸家・見附正康氏。
また3月22日(日)14時から、国立工芸館の工芸課長、岩井美恵子氏と出品作家4名によるトークイベントも開催予定。現代工芸を多角的に語る貴重な機会となりそうだ。
伝統を礎にしながら、工芸の新たな可能性に挑む4人の表現者たち。春の銀座で、四者四様の感性と造形美に触れてみてはいかがだろうか。
◆「工芸の表現四人展」
【会期】2026年3月19日(木)~29日(日)
【会場】セイコーハウスホール(東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス 6階)
【問い合わせ先】03-3562-2111(代表)
【営業時間】11:00~19:00(最終日は17:00まで)【休業日】無休
【入場料】無料
◆岩井美恵子氏と出品作家4名によるトークイベント
【日時】3月22日(日) 14:00~司会進行:岩井美恵子氏(国立工芸館 工芸課長)
※混雑時には入場を制限する場合があります。
【問い合わせ先】和光 美術部 03-3562-2111(代表)
■抽選販売について
作品の購入は抽選となりますに。ご希望の方は、セイコーハウスホールへご来場のうえご応募ください。メールまたは電話での応募は受付ていません。
〈応募日〉
3月19日(木)、20日(金) 各日 11:00~19:00
3月21日(土) 11:00~14:00
〈抽選結果通知〉
3月21日(土)16:00~19:00
※各作家お一人様2点までの応募となります。
※抽選による購入は、各作家お一人様1点限りとなります。
※当選された方のみ、電話またはメールにてお知らせいたします。
※当選後のキャンセルはお受けできません。
※抽選のご希望がなかった作品は、3月22日(日)11:00よりセイコーハウスホールで販売します。
※混雑状況によっては、入場を制限する場合があります。
【抽選販売についての問い合わせ】和光 美術部 03-3562-2111(代表)
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2026.3.13
京都・細見美術館で開催。特別展「志村ふくみ 百一寿―夢の浮橋―」
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2026.3.8
「フィリップ・ミル 東京」春限定コース「Menu SAKURA」│
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2026.3.6
蜷川実花 with EiM「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026 -時をこえ、華ひらく庭-」開幕
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京都・細見美術館で開催。特別展「志村ふくみ 百一寿―夢の浮橋―」
《夢の浮橋》 2025年 志村ふくみ 監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、茜、紫根、藍、刈安 【通期展示】
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人間国宝の染織家・志村ふくみの70年にわたる表現の軌跡をたどる特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」が、京都・細見美術館にて2026年5月31日(日)まで開催中だ。
《月の湖》 1985年 絹糸/藍、玉葱 【前期展示】
紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)であり、随筆家としても広く知られる志村ふくみ。本展では、志村の近年の特徴的なテーマを中心に構成。作品と紡がれた言葉を交えながら、色彩、生命、自然への尽きることのない思索をたどる。
《朧月夜》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸・金糸/紫根、藍、刈安、臭木 【通期展示】
《若紫》 2007年 絹糸/紫根、茜 【前期展示】
みどころのひとつが、70代半ばから連作を手がけてきた『源氏物語』から生まれた色と着物。作品のタイトルは各帖からとられ、物語から感じる香りや響き、言葉では言い表せない情感を、美しい色と織りで表現している。
小袖《Francesco》 2020年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/臭木、藍 【前期展示】
さらに島原の乱後の天草を舞台に、死と再生を描く作家・石牟礼道子原作の新作能『沖宮』の能装束も、6領すべてを展示。緋色を追求し、 紅花で染めた主人公あやの舞衣《紅扇》 と、天草四郎の小袖 《Francesco》 は関西初公開となる。
《五月のウナ電》 詩:高村光太郎 書・裂:志村ふくみ 【後期展示】
《風露》 2000年 絹糸/紅花、藍、刈安、紫根 【後期展示】
80代に入り生み出したコラージュ作品にも注目したい。使われているのは、志村が長年大切に保管してきた着物の残り布や小さな端切れだ。高村光太郎の詩に感動して筆をとり、小裂で飾った《五月のウナ電》や着物の雛形、裂帖などが並び、豊かな創造の世界を紹介する。
《雛形 紫格子白段》 2006年 絹糸 【前期展示】
101歳を迎えたいまなお、美しいものを手に取り、自然と色彩への深いまなざしを持ち続けている志村ふくみ。今回は本展を機に構想・制作された作品2領も初公開され、貴重な機会となりそうだ。
◆特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」
【会期】開催中~5月31日(日)
[前期]開催中~4月12日(日)/[後期]4月14日(火)~5月31日(日)
【会場】細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
【開館時間】10:00~17:00
【休館日】月曜(※5月4日は開館)、5月7日(木)
【入館料】一般2,000円、学生 1,500円
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蜷川実花 with EiM「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026 -時をこえ、華ひらく庭-」開幕
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京都・北野天満宮で、蜷川実花 with EiMによる「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026 ―時をこえ、華ひらく庭―」が、2026年5月24日(日)まで開催中だ。
日本の「美」と「文化」を京都から世界に発信してきた「KYOTO NIPPON FESTIVAL」。10周年を迎える今年は、アーティスト蜷川実花と、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーも務めた宮田裕章をはじめ、各分野のスペシャリストが集うクリエイティブチームEiMが参画。全国天満宮総本社である北野天満宮を舞台に、歴史ある庭がアートへと変容するインスタレーションとイマーシブ公演が展開される。
京都随一の梅の名所として知られる北野天満宮の梅苑では、約1200本のクリスタルを用いた屋外インスタレーション《光と花の庭》を展開。光を受けたクリスタルが、季節の移ろいや刻々と変わる空の色と呼応しながら、時間とともに異なる表情を見せていく。自然とアートが響き合う瞬間を体感できる作品だ。
また、茶室「御土居 梅交軒」で展開されるのが、もうひとつのインスタレーション《残照》。ここでは、咲き誇る花々と枯れゆく花を対比させることで、時間の循環を可視化。枯れること、朽ちることという一見ネガティブにも思える状態のなかに潜む、圧倒的な美しさを表現している。
ダンスカンパニー・DAZZLE
3月20日(金・祝)からは、世界的に活躍するダンスカンパニーDAZZLEとのコラボレーションによるイマーシブシアター《花宵の大茶会》がスタート予定。本作では観客席と舞台の区別がなく、観客の目の前でキャストたちが縦横無尽にパフォーマンスを展開。北野天満宮の風月殿という歴史的空間で、時空を超える体験へと誘われる。
会場内の特設ショップでは、本展限定グッズも販売。蜷川実花が撮影した北野天満宮の梅の写真を用いたTシャツや手ぬぐい、風呂敷をはじめ、聖護院八ツ橋総本店の「聖 ニッキ抹茶」、松栄堂のお香や匂い袋など、京都の老舗メーカーとのコラボレーションアイテムも充実している。
歴史と伝統、アートが交錯する春の京都。命の輝きを全身で感じる没入体験へ、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
◆KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026 ―時をこえ、華ひらく庭―
【会期】
インスタレーション《光と花の庭》《残照》
―2026年2月1日(日)~5月24日(日) ※休苑日有
イマーシブシアター《花宵の大茶会》
―2026年3月20日(金・祝)予定~5月24日(日) ※休演日有
―公演時間:約60分予定
【開苑時間】9:00~20:30(最終受付20:00)
【休館日】会期中休業日あり(HPにてお知らせ)
【会場】北野天満宮(京都府京都市上京区馬喰町)
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