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2019.04.05
国宝 曜変天目 南宋時代(12〜13世紀) 大徳寺龍光院蔵
天目茶碗と言えば中国で焼かれた鉄釉の茶碗で、特に南宋時代に福建省南平市の建窯で焼かれた最上級の美しさのものを“曜変天目”と称します。世界に現存するのは4点のみと言われ、そのひとつである大徳寺龍光院蔵のものは、国宝に指定される3椀のうち最も静かで味わい深い、幽玄の美しさがあると高く評価されています。
この曜変天目をはじめとして、重要文化財の油滴天目茶碗、元から来日した高僧の墨蹟、掛け軸など、これまで一般の目に触れることなくひっそりと守り続けられてきた龍光院の至宝たちが、2019年5月19日(日)まで、滋賀県・MIHO MUSEUMの「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋(はそうあい)」展で一挙に公開されています。
重要文化財 油滴天目 附 螺鈿唐草文天目台 天字印・分銅形印 伝津田宗及・江月宗玩所持
茶碗=南宋時代(12〜13世紀) 天目台=琉球(16~17世紀) 大徳寺龍光院蔵
京都・紫野の大徳寺龍光院は、黒田長政が父の黒田官兵衛の菩提を弔うために建立した塔頭で、大坂・堺の豪商である天王寺屋の次男坊、江月宗玩を開祖としています。宗玩が大坂夏の陣の戦火から守り、禅の教えとともに受け継いできた天王寺屋の名品茶道具や、墨蹟など国宝級の美術品を多数保有していますが、一般の拝観や特別公開などは一切行わないことで有名。至宝と言われる美術品たちは龍光院の奥でひっそりと守られてきたのです。
本展は、大徳寺龍光院の開創から400年の時を経て、龍光院が所有する美術品の全容が初めて詳らかとなる歴史上初の展覧会。平成という時代が終わりを迎え、新たな歴史が刻まれる今だからこそ、歴代の住職や数々の美術家たちが愛し守り抜いてきた至宝たちと出会うことができる、またとない機会に恵まれています。これに合わせ、奈良国立博物館、静嘉堂文庫美術館でも曜変天目を特別公開しており、国宝3椀が同時期に一般公開されるのも史上初です。
ぜひこの機会に、400年前から変わらぬ美しさを求めて足を運んでみてはいかがでしょう。
◆大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋(はそうあい)
会期:2019年5月19日(日) まで
休館日:毎週月曜、4月30日、5月7 日(ただし4月29日、5月6日は開館)
会場:MIHO MUSEUM
所在地:滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の1時間前まで
公式サイト:http://www.miho.or.jp/exhibition/daitokuji-ryokoin/