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グルメ最前線 トップレストランを探訪する
2026.6.23
恵比寿・焼鳥の予約困難店 薪と炭を操る注目の焼鳥店が新規開店 今のうちに恵比寿の「ひき田」に急げ
薪火でじっくりと焼き上げられた「比内地鶏のもも肉」。
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瞠目すべき焼鳥店が恵比寿に誕生した。店主は、まったく予約が取れないことで知られる麻布十番のあの「薪鳥新神戸」で、オープン当初から大将をつとめた疋田(ひきた)豊樹氏その人だ。
この店の特徴は火入れに薪と炭の両方を使用することにある。
カウンター8席の対面には、薪床の上で網の高さを自由に変えられる段付きの薪火窯と、平らな薪床の上で網の高さを無段階に操れるハンドル付きの薪火台が設置してある。カウンターに接した付け台には炭火台もある。
薪火、熾火(おきび)、炭火という3種の火と、燻煙などを駆使して、鶏の部位ごと、あるいは野菜などの食材ごとに、ベストな火入れをするのだ。
大将によれば、「炭火は強い輻射熱によって火入れをするので一瞬の判断が求められる。薪火は常に変化し続ける火力と、食材に作用する燻香を見極める必要がある」のだそうだ。
焼鳥に懸けた日々の探求と考察を聞くと、頭を下げたくなるほどだ。
カウンターからは、店主が焼いている様子が全部見える。
いざ、実食へ
最初に登場したのは、大将が自信をもって贈る「本家比内地鶏(秋田)」のもも肉だ。薪火窯でじっくりと火を入れた。黄金色の皮の中に、肉の旨みが閉じ込められ、噛めばジュジューッと肉汁が口中に溢れる。薪の燻香が凄い。
鶏に振った塩がとてもいい味なのだが、2種の塩をブレンドし天日干ししているという。
ちなみに薪に使うのは、楢(なら)や樫(かし)だが、一串目から直球ど真ん中の焼鳥劇場に、まさにかぶりつき状態で引き込まれる。
薪や炭と店主が格闘する様を目の前で見ていると、心は躍る。
二品目は「きさ輝地鶏(鹿児島)の胸肉の鳥わさ」だ。胸肉の間にレバーを挟み、からすみのように乾燥させた金柑のパウダーを鳥わさに振りかけてある。肉はプルンと歯に食い込み、レバーを入れることで味の深みは倍加する。
大根と土佐酢が素晴らしい「鶏皮ポン酢」。
とりわけ印象深かったものに絞って紹介する。
土佐酢を使った「鶏皮ポン酢」が忘れられない。カリッと香ばしく焼き上げた鶏皮に、大根を絡めてあるのだが、これが大根おろしと大根のみじん切りのミックスなのである。このみじん切りのシャリシャリするところが、口腔内に想像以上の喜びをもたらす。土佐酢の按配も見事だ。
「長州鶏のレバー」のレバーもプルンと半生で見事な火入れである。これも薪火だ。弾力があるのに、口の中でクリーム状に溶けていく。もちろん、レバーの臭みはどこにもない。
野菜と薪火の相性が素晴らしく、特に「薪焼きの椎茸」が絶品だった。じんわりと焼いて塩を振ったシンプルな調理法で、こんなにジュースが溢れるようになるなんて! 椎茸は茨城県古河市「安喰きのこ園」のものなのだが、なんとここで使われている薪も同じ山から切り出したものだ。まさにテロワールなんだねえ。
ジュースが凄い薪火で焼いた椎茸。
驚嘆した「比内地鶏の胸肉」
店主は「比内地鶏の旨味や上質な脂に惹かれます」と話す通り、比内地鶏に深い愛を抱く。焼いている姿を見れば、鶏を旨く焼くことに対する身を削るような想いが見て取れるだろう。パリッとした皮の旨さが際立っていた。もちろん、ジュースを閉じ込めた胸肉も凄い。
焼鳥っていいもんだなあ、というか、鶏ってこんな旨かったかと目が醒めるような体験だ。
「薪焼きのブロッコリー」は、かなり長い時間をかけて熾火の遠赤外線を当てていた。野菜の甘味に、燻(いぶ)された薪の香りが移っている。削ってかけられた鶏節(鶏を乾燥させた鰹節のようなもの)は、鶏の旨みのエッセンスで、おかげで野菜焼きが鶏料理の範疇からそれることがない。
コースの後半には、大将秘伝の日本酒が香るタレを塗った焼き物が供される。いずれも素晴らしい。
だが、これでは終わらない。〆の三品で衝撃が待っていた。
「鶏のそぼろご飯」は米の炊き上がりもいいしニラが秀逸だ。
まず、「ねぎトロ手巻き」だが、これは比内地鶏のトロ(サガリの部分にある内臓の脂)を白米と海苔で巻いたもの。脂肪にこれほどの旨みがあったんだと誰もが驚くレベルだ。と言うか、脇役になることも多い部位の美味しさを、新しい形で出してくれることに感動する。
白米は薪火にかけた羽釜で炊いたあきたこまちだ。羽釜で炊いたご飯は確かに、粒立ち、旨みと甘みに優れている。大将も、「羽釜ならではの味わいが生まれる」と言う。
次の「鶏のそぼろご飯」は比内地鶏のそぼろなのだが、薪火であぶったニラが載せてある。このニラとのコンビ―ションが、鶏油を含んだそぼろご飯を只者ではないものに仕上げていた。
実に味わい深い「比内地鶏の鳥そば」。
〆の絶品「比内地鶏の鳥そば」と衝撃のデザート
最後に出されたのが「比内地鶏の鳥そば」。蕎麦は大将自らが打つもので、蕎麦店での数年間の修業の賜物である。石臼で自家製粉にした蕎麦粉を、手打ちし手切りにした二八蕎麦だ。もりつゆは、鶏出汁とカツオ出汁を合わせて寝かせたもので、しみじみと味わいが深い。「いやー、今日の食事は素晴らしかったなあ」と、感嘆の溜息をつかせる。
それで済んだと思っていたら、最後のデザートでとどめの一撃をくらった。言葉にすれば「黒蜜のかき氷」と、何てことないのだが、これは比類なきかき氷なのである。
風味絶佳とは、このことか。
聞けば大将はかき氷が大好きなのだそうだ。繊細に削ったかき氷にミネラル豊富な天然塩と黒糖というシンプルな構成だが、コースを締め括るにふさわしい一品だ。
予約困難になるのは目に見えている。1日にたった16席のプラチナシート、行くなら今のうちしかない。
ひき田
住所:東京都渋谷区恵比寿南1-14-15 ラ・レンヌ恵比寿4F
営業時間:17:30~/20:30~一斉スタートの2回制
定休日:水曜日、隔週火曜日
コース価格:税込み2万円(サ別)
インスタグラム:@hikihiki07
Toshizumi Ishibashi
「CREA」「CREA Traveller」元編集長
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マンゴーとメロンが主役。夏を彩る贅沢デザートブッフェ
2026.6.26
ウェスティンホテル東京で「マンゴー&メロン サマーフルーツ デザートブッフェ」開催
ウェスティンホテル東京では、2026年7月1日(水)から8月31日(月)までの平日限定で、「マンゴー&メロン サマーフルーツ デザートブッフェ」を開催する。夏を代表する果実、マンゴーとメロンを主役にした20種類以上のデザートが並び、旬の味覚を存分に楽しめる。
会場は、豊かな緑と自然光に包まれたインターナショナルレストラン「ザ・テラス」。果汁あふれるサマーフルーツを重ねたグラスデザートをはじめ、ペストリーシェフ率いるパティシエたちが手がける華やかなスイーツがブッフェ台いっぱいに並ぶ。
メロンのグラスショートケーキ
趣向を凝らしたデザートの中でも注目は、昨年好評を博した「メロンのグラスショートケーキ」。みずみずしいメロンにライチ香るスポンジを重ね、マンゴーやバナナ、パッションフルーツのソースと軽やかな生クリームを合わせた、グラスの中に夏を描いた一品だ。
サマーモンブラン
メロンパフェ
チーズクリームに、マンゴーとバナナ、パッションフルーツのソースを合わせた 「サマーモンブラン」や、 甘い果汁があふれ出すメロンに涼やかなゼリーを重ねた「メロンパフェ」も見逃せない。
写真左より:メロンのグラス 杏仁風味、マンゴーのグラス ババロアとオレンジのジュレ 各1,100円
※画像はイメージです
さらに同期間、1階のペストリーブティック「パティスリー・バイ・ウェスティンホテル東京」でも「マンゴー&メロンフェア」を開催。マンゴーとメロンを贅沢に使った2種類のグラススイーツが登場する。
太陽の光をたっぷり浴びたマンゴーとメロンの魅力を、多彩なスイーツで味わえる2カ月間。目にも涼しげなデザートとともに、夏のティータイムを楽しんでみてはいかがだろうか。
◆ウェスティンホテル東京「マンゴー&メロン サマーフルーツ デザートブッフェ」
【期間】2026年7月1日(水)~2026年8月31日(月)※平日限定
【時間】15:00~17:00(L.O. 16:30)※90分制
【料金】大人 ¥6,800、子ども ¥3,500(税・サービス込)
【場所】インターナショナルレストラン「ザ・テラス」(1F)
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最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
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投稿 ウェスティンホテル東京で「マンゴー&メロン サマーフルーツ デザートブッフェ」開催 は Premium Japan に最初に表示されました。
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界で巡る、温泉と土地を味わう2泊3日のゆっくり旅
2026.6.23
猛暑から逃れて北海道の森と湖へ。界 ポロトで過ごす涼やかな2泊3日旅
取材/文:中嶋千祥(Premium Japan編集部)
夏の暑さや湿度を逃れて静かに過ごしたい。思い切ってエアチケットを取って札幌へ。空港からレンタカーを走らせること約1時間。森と湖に囲まれた界 ポロトに到着しました。そこには、ポロト湖のおだやかな風景とモール温泉、そしてアイヌ文化に触れるさまざまな体験があります。豊かな自然に囲まれながら、ゆっくりと流れる時間を味わう。そんな2泊3日の滞在を楽しんできました。
◆界 出雲&界 玉造 出雲大社、日御碕神社、八重垣神社など出雲路の開運スピリチュアルスポットと温泉旅はこちらへ
運も肌も整う島根旅|界 出雲と界 玉造で巡る開運パワースポットと温泉2泊3日
◆界 加賀で味わう金継ぎ、九谷焼、加賀獅子舞……山代温泉でのんびり2泊3日の旅はこちらへ
温泉と加賀文化を体験|界 加賀 2泊3日で巡る山代温泉の魅力
「界 ポロト」ポロト湖畔の温泉宿
新千歳空港からレンタカーで約60キロのドライブの途中、息を吹き返したように鮮やかな新緑の景色が続きます。陽光がきらめき、ひんやりとした風は北海道にやってきた遅い春、そして初夏の兆しを教えてくれているようです。まるでヨーロッパの5月を思わせるこの気候こそ、求めていたもの。白老町に入ると界 ポロトはすぐそこです。
森に迷い込んだかのような、木々と小川が流れるファサード。北海道へ来たことを感じさせてくれます。小川の澄んだ水は湧き水を利用しています。
ロビーの暖炉の温もりにホッとするひととき。ソファでくつろぎながらポロト湖を眺めます。
白樺の森の中にいるようなトラベルライブラリー。アイヌ文化についての書籍が充実しています。
ご当地部屋 「□の間(しかくのま)」ポロト湖と豊かな山並みの見事な眺め
界 ポロトならではのご当地部屋「□の間」は、アイヌ文化への敬意と、ポロト湖の自然が響き合う客室です。伝統的な住居「チセ」の炉をモチーフにしたテーブルや、木彫りのオール、アイヌ文様から着想を得た壁紙など、室内のしつらえがこの土地の文化を伝えています。広い窓の向こうには木々の豊かな緑、そしてポロト湖の水面に注ぐ光。客室にいながら、アイヌの人々が大切にしてきた自然との深いつながりに触れる時間が流れます。
窓際に置かれたデイベッドに横たわり、ただ湖を見て過ごしたくなる。
露天風呂付特別室のベランダにはチェアとテーブルが置かれています。
特別室の露天風呂はポロト湖と一体となったような眺め。夜は星と、朝はうぐいすのさえずりとともにモール温泉を楽しみました。
特別室のベッドルーム。間接照明に浮かび上がる壁紙のアイヌ文様。
「連泊おこもりセット」では、ランチタイムに特製の「昼餉弁当」がお部屋に届きます。
2泊3日の旅をのんびり過ごしたいなら「連泊おこもりセット」を。また界 ポロトの茶褐色のモール温泉で染め上げた布にアイヌ文様の刺しゅうを入れる体験ができる「アイヌ文様刺しゅうセット」も付いています。
世界的にもめずらしいモール温泉で肌も心もとろける
界 ポロトの温泉は茶褐色が特徴のモール温泉。世界的にもめずらしい泉質と言われています。フミン酸、フルボ酸などを有したお湯に身体を浸すと、さらっとした淡泊なお湯のように一瞬感じました。でもしばらくすると、まるで美容液の中にでも浸っているようにうるおい、お湯が肌にまとわりつくように感じます。モール温泉が美肌の湯と呼ばれる理由です。
ポロト湖畔に佇むとんがり湯小屋にある「△湯(さんかくの湯)」。入ってすぐの湯上がり処の目の前はポロト湖です。アイヌ文化の建築「ケトゥンニ」を基本構造としたこの建物は、外から見ても中から見てもユニーク。湯上がりには冷たいお茶やアイスキャンディーも用意されています。
内湯から露天風呂へと続く、三角形の開口部。内湯は源泉かけ流しのあつ湯とぬる湯の2つの湯舟を備えています。温度の異なるお湯に交互に浸かることで心身を整えていきます。
△湯の露天風呂はポロト湖と一体になったかのよう。特に夜の露天風呂は暗闇の中で湖と空と一体化したような浮遊感があり、特別な雰囲気に包まれています。
「温泉文化いろは」は、モール温泉のことや、効果的な入浴法をわかりやすく解説してくれるアクティビティ。どこの界に泊まっても実施されているので、その土地の温泉や文化を知ることができます。
北海道の美味を集めた「北国の海鮮醍醐鍋会席」
北海道は海の幸、山の幸に恵まれたところ。せっかく来たのだから、あれもこれも食べたいという欲張りな夢を叶えてくれるのが界 ポロトの「北国の海鮮醍醐鍋会席」です。ご当地先付けの「馬鈴薯海宝盛り 山わさび」からスタート。かわいい焼き物のクマちゃんが抱えている器に入って運ばれてきました。その土地のものを、その土地らしく食べる。これぞ旅の醍醐味。界 ポロトの世界観がここにも生きています。
地元の作家さんが作るクマちゃんの焼き物を使った楽しいプレゼンテーション。馬鈴薯のすり流しはとてもなめらかでクリーミー。すり流しに隠れている山わさびをよく混ぜると、また違った味わいに。
界 ポロトの宝楽盛りは、イタオマチプというアイヌ文化に伝わる丸木舟の形を模した器に盛られてきます。色とりどりの八寸、お造り、酢の物まで目にも楽しい。
台の物は北海道の海の幸がたっぷりと入った「北国の海鮮醍醐鍋」。海鮮の旨味十分です。実はこの鍋、この後、出汁咖哩に変身します。 お腹いっぱいのはずなのに、食が進んでしまうのはカレーのせい。札幌名物のスープカレーをアイディアに作られたそうです。
界スタッフがセレクトした北海道の日本酒がずらり。好みを伝えると親切に相談に乗ってくれます。土地のお酒と食も、旅の楽しみです。
界のこだわり。国家資格者をスタッフに揃えたマッサージ
温泉旅館の楽しみのひとつは、湯上がりのマッサージでは? 界のマッサージを今回初めて体験してみて驚きました。通常、マッサージ師は外部に委託するのがほとんどですが、界では国家資格者を界のスタッフの一員として迎え入れているのです。その徹底したホスピタリティに驚きました。
今回担当してくださった工藤さん。重点的に施術してほしい部位など、カウンセリングもしっかり。とても安心してお願いできました。揉み返しもなく、コリもほぐれて軽やかになりました。界のマッサージ、高レベルです。
「コタンの宵の集い」暖炉を囲み語らう夜
暖炉にはセレクトされたお酒が準備されていました。その日の気分で飲み方も選べます。
暖炉を囲みながら、お酒が準備されていく様子。アイヌ文化に想いを馳せながら、夜を楽しみます。
この日はジンのソーダ割をオーダー。スモークチーズとスモークナッツと合わせて。
アイヌ文化を知る、触れる。界 ポロトのアクティビティ
「界 ポロトスタッフが案内するウポポイ園内ツアー」
界 ポロトでは、宿泊者限定の特別な体験として、隣接する民族共生象徴空間「ウポポイ」を巡る「界 ポロトスタッフが案内するウポポイ園内ツアー」を実施しています。
湖畔の朝の澄んだ空気の中、園内を歩くひとときは、この滞在で感じたアイヌ文化への興味を、より深い理解へと導いてくれます。アイヌ文化や歴史の背景、人々の自然観や暮らしについて知ることで、この土地の風景そのものが違って見えてくるでしょう。ツアーの参加者には、一人ひとりに合わせてスタッフが選んだ「アイヌ語カード」をプレゼント。また、界 ポロトとウポポイそれぞれのフォトスポットで撮影した写真を収めた記念アルバムも用意されています。旅の思い出だけでなく、この地で出会った文化との小さな縁を持ち帰ることのできる、心に残る体験です。
アイヌの伝統的な家屋「チセ」が立ち並ぶエリア。
この日はチセの中で、イナウを作っているところを見学することができました。イナウとは、ヤナギ類などの木の表面を刃物で削り、薄い削掛(けずりかけ)をたくさんつくりだした祭具です。
ウポポイ(民族共生象徴空間)
国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設などで構成された体験型フィールドミュージアムです。博物館の展示を見て学び、交流体験ホールで「アイヌ古式舞踊」や、ムックリ演奏などのアイヌ民族の芸能を見ることができます。アイヌ文化に触れたあとはポロト湖散策、フードコートで北海道の味も楽しめます。
https://ainu-upopoy.go.jp/
「イケマと花香の魔除けづくり」
アイヌ民族が古くから魔除けの植物として大切にしてきた「イケマ」。この体験では、イケマにコーンフラワーやよもぎ、カレンデュラなどのハーブを組み合わせて作ります。
素朴でやさしいドライハーブの香りに包まれながら完成した魔除けには、旅先で過ごした時間や記憶も一緒に閉じ込められていくようです。暖炉を囲んで参加者が思い思いに手を動かす光景も、この体験の魅力のひとつ。アイヌ文化に触れながら、この旅を思い出させてくれる自分だけのお土産になります。
青色のハーブはコーンフラワー、よもぎ、黄色のハーブはカレンデュラです。
包んだときにハーブの色がきれいに見えるように、考えながら入れていきます。
魔除けを包むのが難しいかもと心配しましたが、折り紙の要領で作れました。界のスタッフが親切に教えてくれるので大丈夫です。
旅の記憶を持ち帰る、界 ポロトのお土産
界の旅でいつも楽しみにしているのがショップです。そこには、スタッフが自らの足で見つけた、その土地ならではの品々が並んでいます。界 ポロトにも、白老町らしさを感じるお土産が数多く揃っていました。
昭和に爆発的に流行った木彫りのクマさんですが、界 ポロトがセレクトした白老町のやまだ民芸社のクマさんは、あの頃のものとは一線を画しています。このクマさんたちの表情も仕草もなんだかとっても愛らしい。思わず一頭、連れ帰ってきました。
アイヌ文化を象徴する文様を刺しゅうして額装してあります。独特の文様の美しさ、手仕事の素朴さが、現代のインテリアにもマッチしそう。
客室にも出されている、界 ポロトのオリジナルお菓子イヨマンテ。ちょっぴり塩味のサブレにハスカップのクリームがサンドされています。エント茶は、北海道に自生するシソ科の野草茶。さわやかですっきりとした味わいが人気。
界 ポロトから空港までの寄り道ドライブ
チェックアウトは11時。飛行機の時間に間に合うように車を走らせます。白老町でカフェなどあればとスタッフに相談したら、教えてくれたのが「マザーズ+」。白老町の養鶏場の新鮮なたまごをたっぷり使ったシュークリームが有名で、週末には売り切れてしまうことも。広大な敷地には、ベンチなども置かれており、お天気が良ければ外で食べたくなる心地よいカフェです。
ノーザンホースパーク https://www.northern-horsepark.jp/
空港近くにある「ノーザンホースパーク」では、馬とふれあえるさまざまなアクティビティやイベントが用意されています。見学できる厩舎もあり、馬たちの様子を間近で見ることができます。道中には広々とした農地や牧場が広がり、北海道らしい風景を楽しめるのも魅力です。空港からのアクセスがよく、出発前や到着後の時間を利用して立ち寄りやすいため、旅の予定にも組み込みやすいスポットです。
界 ポロトの2泊3日はあっという間に過ぎて行く……
モール温泉に身をゆだねながらポロト湖を眺めていると、耳に届くのは鳥たちのさえずりと、風が木々を揺らすかすかな音だけ。湖面を渡る風と静寂に包まれ、いつの間にか心の緊張がほどけていきます。それだけでも、ここまで足を運んだ価値があったと思えるほどです。白老町では、気温が30度を超える日はひと夏に数えるほどしかないのだとか。界 ポロトで過ごす時間は、都会の厳しい暑さや慌ただしい日常から距離を置き、心身をゆっくりと休ませるのにふさわしい夏の休暇となるでしょう。
◆界 ポロト
北海道でも四季が鮮やかな白老町・ポロト湖畔に建ち、スタイリッシュなデザイナーズ建築が印象的な、全室から湖を望める湯宿です。アイヌ民族の建築から着想を得た、とんがり湯小屋の「△湯(さんかくのゆ)」とドーム型の「〇湯(まるのゆ)」では、植物由来の有機質を含むモール温泉に浸れます。アイヌ文化への敬意と、豊かな自然に抱かれ、環境と共生する温泉旅館です。
界 ポロト 2泊のすすめ
温泉を存分に楽しみ、心身ともにリフレッシュするには1泊ではもったいない。ゆっくりのんびり滞在する2泊3日をおすすめ。心ゆくまで旅の時間を楽しむ連泊滞在をご提案します。
界 2泊のおすすめ https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai/sp/renpaku_kai/
◆界ブランドとは
界は、星野リゾートが運営する日本初の温泉旅館ブランドです。現在、全国 24か所に展開しており、今後数年かけて日本有数の温泉地に約 30 か所展開し、日本旅の拠点となることを目指しています。「王道なのに、あたらしい。」をテーマに趣のある心地よく快適な空間で、ホスピタリティ溢れるスタッフが旅の醍醐味である「地域」や「季節」へこだわり、その土地ならではの旅の提案をするブランドです。
photos by Natsuko Okada
text by Chisa Nakajima
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ザ・キタノホテル東京「ティーラウンジ佳風」の新メニュー
2026.6.19
オールグルテンフリーの「夏庭のアフタヌーンティー」を8月末まで提供中
「ザ・キタノホテル東京」のオールデイダイニング「ティーラウンジ佳風」では、季節ごとに装いを変えたアフタヌーンティーセットを展開中。今回、新メニュー「夏庭のアフタヌーンティー」が登場し、8月末まで提供中だ。
「ティーラウンジ佳風」のアフタヌーンティーセットは、スイーツ、セイボリーのすべてのアイテムがグルテンフリー。健康面でのメリットはもちろん、おいしさを最優先にしたクオリティの高さで多くの支持を集めている。
新メニュー「夏庭のアフタヌーンティー」は、明るい季節のイメージに、日本の夏の風情も添えたキタノらしいセット。
スイーツ8品&セイボリー5品には、くずきりメロン、メロンショートケーキ、パッションフルーツの水羊羹、白桃のムース、そば粉のガレット 夏野菜のラタトゥイユ、米粉パンケーキ 生ハム&メロンなど、夏を感じさせる食材をメインにしたメニューをラインナップ。さらに、吉野葛や大葉なども取り入れ、異なる味わいや香り、食感を織り交ぜることで、最後まで軽やかに楽しめる内容となっている。
あなたも、茶室をイメージした落ち着きのある空間で、涼やかな午後のひとときを楽しんでみてはいかが。
◆夏庭のアフタヌーンティー
【期間】2026年8月31日まで
【場所】オールデイダイニング「ティーラウンジ佳風」 ザ・キタノホテル東京2階
東京都千代田区平河町2-16-15
【時間】平日15:00~18:00、土日祝12:00~18:00
【料金】一人7,500円(税込み、サービス料15%別)
※詳細は公式サイトを要確認
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Features
グランド ハイアット 東京「サマースイーツ コレクション」
2026.6.18
旬の果実が主役。16種類の夏限定スイーツが登場
グラススイーツ 全8種 各1,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
グランド ハイアット 東京の「フィオレンティーナ ペストリーブティック」では、シャインマスカットやマンゴー、ピーチなど旬のフルーツをふんだんに使用した「サマースイーツ コレクション」を、2026年9月15日(火)まで販売中だ。
ラインナップは全16種類。涼やかなグラススイーツをはじめ、厳選食材で仕立てたプレミアムショートケーキ、手土産にも最適なスイーツアソートボックス、アイシングクッキーやマカロンなど、多彩な夏限定スイーツがそろう。
クレームアンジュ ピーチスープ 1,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
マンゴープリンアラモード 1,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
なかでも目を引くのが、毎年人気を集めるグラススイーツ「ベリーヌ」。今季は、シャインマスカットやピーチ、マンゴー、メロンなどのサマーフルーツにゼリーやムースを重ねた全8種を展開。スープ仕立てのフレッシュピーチを使った「クレームアンジュ ピーチスープ」や、南国感あふれる「エキゾチック ティラミス」、「マンゴー プリンアラモード」など、涼を誘う新作が並ぶ。
グランド プレミアム ショートケーキ (左から)ミックスベリー、マンゴー、ピーチ 各2,200円(2026年9月15日までの期間限定販売)
また、上質な食材を用いた「グランド プレミアム ショートケーキ」シリーズからは、マンゴー、ピーチ、ミックスベリーの3種が登場。旬の果実の魅力を引き出した、ワンランク上の味わいを楽しめる。
サマー ピッコロガット 2,700円(2026年9月15日までの期間限定販売)
アソートショートケーキ 4個セット 2,500円(2026年9月15日までの期間限定販売)
このほかにも、ひと口サイズのスイーツを詰め合わせたアソートボックスや、4種のショートケーキを食べ比べできるセットもラインナップ。ヨーヨーや金魚すくいの巾着など、夏らしいモチーフを描いたアイシングクッキーや、イルカや花火をあしらったマカロンもそろい、ギフトにもぴったりだ。
サマー アイシングクッキー 4枚セット 2,000円(2026年9月15日までの期間限定販売)
サマー マカロンアソート 3個 2,200円/6個 4,400円(2026年9月15日までの期間限定販売)
みずみずしい旬の果実を主役にした、涼やかで華やかなスイーツの数々。夏ならではの贅沢なティータイムを楽しんでみては。
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Lounge
Premium Salon
栗下直也の東京酔歩 偉人と歴史の裏路地
2026.6.17
第二回 神保町・ランチョン「手でつまめるシチューを作ってくれ」—元首相・吉田茂の長男のわがままから生まれた、名物ビーフパイ
経済記者出身でありながら、なぜか酒にまつわる執筆が多い栗下直也。そんな栗下が、かつての偉人たちが愛した酒場を訪ね歩く。政治家や文豪、実業家たちはどんな酒を飲み、何を語り、どのように夜を楽しんでいたのか。実際に店を訪れ、その酒と歴史を味わいながら、偉人たちの日々を垣間見る“大人の酒場紀行”である。
第二回は元首相・吉田茂の長男であり、英文学者・小説家の吉田健一が愛した神保町の「ランチョン」である。
元首相・吉田茂の長男、吉田健一はどこまで知られた人物か
仕事柄、昔の新聞記事をよく読む。先日、2000年の日本経済新聞をめくっていたら(いや実際にはデータで見ていたのだが)、ある一文が目に飛び込んできた。
「吉田健一とは言うまでもなく評論『英国の文学』や中編『金沢』を代表作とする批評家兼小説家のこと——」
「言うまでもなく」が気になりまくる。書いたのは英文学者の富士川義之氏。果たして、その記事から四半世紀たった、今となっても吉田健一は「言うまでもなく」の存在なのだろうか。いや、そもそも当時だって本当にそうだったのか、やや怪しい。
念のため記しておくと吉田健一(1912〜1977)は英文学者にして批評家、そして小説家でもある。代表作『英国の文学』は英文学者にとって一種の聖典で、「文学が喜びである」ことを教えてくれる本である。というのが一般的な説明になるが、正直、作品を読んだことのある人より、父が総理大臣の吉田茂であることや、戦前にケンブリッジへ留学したエリートだということのほうで知っている人のほうが多いだろう。
これだけ書けばもう十分にお腹いっぱいだが、まだ続きがある。そしてこれが本題である。同時にとびきりの食通でもあった。「加賀料理」という呼称は彼の名付けだという説まである。毎年2月になると金沢の料亭「つば甚」に通い、犀川を眺めながら盃を傾けた。つまり、何を書いているかはよくわからないが、育ちが良く、そもそも生活の心配がいらない、絵に描いたような数寄者である。書いていて若干腹が立ってくる。
そんな絢爛たる経歴を持つ吉田が、意外にも足繁く通った店が神保町にある。創業明治42年(1909年)のビアレストラン「ランチョン」だ。中央大学で教鞭をとっていた吉田は、講義のある日には決まってこの店の窓際の席に陣取った。「立ち寄った」と言いたいところだが、それは正確ではない。講義の前から悠々と飲んでいたというから、「立ち寄った」のではなく「座り込んだ」のである。そういう先生に教わってみたかった気もするし、しんどそうな気もする。
平日の午後4時、ジョッキとビーフパイ
平日の午後4時。神保町駅の出口を上がり、靖国通りを少し歩くと、洋食屋というよりは英国のパブと見まごう、重厚な構えの店が現れる。
店内に足を踏み入れると、意外にも先客は一組。年配の3人グループが、窓際で静かにジョッキを傾けていた。靖国通りの賑わいを窓越しに眺めながら、仕事を気にせず、平日の午後に飲む生ビール——これ以上の贅沢を私はあまり知らない。というか、仕事はどうしたんだと突っ込まれそうだが、この背徳感が酒をうまくする。
ハイボール派の私でも、ここではまずは生ビール。ランチョンの生ビールは、代々その注ぎ方を店主しか伝授されない決まりがあるという。きめ細かい泡の乗ったジョッキが運ばれてくる。一口飲むと、キレとコクのバランスが心憎い。明治42年の開店当時、東京には洋食屋が2軒しかなかったというから、生ビールを供する店ともなれば、ほとんど異界の入口のような存在だったに違いない。
ちなみに店名は、当時近所にあった東京音楽学校(現・東京藝術大学)の学生たちが「店に名前がないのは可哀想だ」と勝手につけてくれた。命名の動機が「可哀想だから」というのも、店名にこだわりまくる今では想像できないが、明治っぽくていい。
つまみは迷わずビーフパイを頼む。さくりと焼かれたパイ皮にナイフを入れると、湯気とともに濃厚なビーフシチューが現れる。1週間かけて仕込むデミグラスソースを使ったシチューにとろみをつけ、パイ皮で包み、油で揚げてからオーブンで焼き上げる。手間のかかった一品である。
そしてこのビーフパイ、実は吉田健一の注文から生まれている。
吉田は好物のビーフシチューを「手でつまめるようにできないか」と当時の三代目店主に相談した。なぜ、そんなことを頼んだかというと、話に夢中になって、食器を使うのが面倒だったからである。英文学者にしてケンブリッジ帰り、吉田茂の長男たる紳士が、手づかみでたべたがる。シチューくらいおとなしくスプーンつかって食べろよと思うのだが、いつの時代も上客のリクエストは無視できない。試行錯誤の末に完成したのがこのビーフパイで、昭和40年代のことだという。
彼の定席は決まっていて、奥の右から二列目だった。木曜の午後1時、すでに編集者が3、4人集まってジョッキを傾けている。そこに吉田が現れ、「これは出版社のおごりですよ、僕からじゃありませんよ」と豪快に笑う。ヴァレリーやジッドの逸話を語っては「けけけ」と笑い、若手にどんどん飲めと勧めては「払うのは僕じゃないからね」と笑う。殿様の鷹揚さと子供の無邪気さを併せ持っていた人らしい。
午後の部が終わると、「こんどはリプトンの時間だな」と切り出す。お洒落な英国紳士のティータイム——かと思いきや、運ばれてくるティーカップの中身はダブルのウィスキーである。ジョッキ2杯のあとにウィスキー・ダブル、これを「リプトン」と呼ぶ感覚には、何だか好意を抱いてしまう。確かに色は紅茶に似ている。
逸話には事欠かない。ある時、ランチョンが火事になった。2階から炎が立ち上るなか、1階で悠然とビールを飲み続けていた大男がいた。消防士が「危険ですから逃げてください」と促しても、「まだ……、大丈夫」と落ち着いて答えた。それが吉田健一だったという話まで伝わっている。全くもって大丈夫ではない。こうした話は尾ひれもついていようが、こんな伝説が生まれること自体、吉田がこの店でいかに「自分の場所」を確立していたかを物語る。
変わるもの、変わらぬもの
神保町は、変わり続けながら変わらない街である。
幕府の昌平坂学問所が湯島にあった時代から、この界隈には書を扱う店が点在していた。明治になって近隣に法律学校が次々と建ち、それらが明治、法政、中央、専修といった大学に発展していくと、神保町は学者と学生の街となった。今でも百数十件の古書店が営業する、世界でも稀有な街である。
考えてみればこの街には、変わらないものを愛する人が集まる。古書を漁る人々は、絶版になった本、もう書かれることのない作家の文章を求めて店から店へと巡る。彼ら彼女らにとって「変わらない」ことは美徳である。新刊書店なら、目当ての本がなければ「取り寄せます」となるところを、古書店では「縁がなかった」と諦める。それが古書好きの作法というものだ。
ランチョンはその街の真ん中で、関東大震災で焼け、太平洋戦争の空襲を奇跡的に免れ、件の火事までくぐり抜けて、現在に至っている。明治の昔から同じ場所で、同じ流儀でビールを注ぎ続けている。この店の窓際の席は、世界がどんなに変わっても帰ってこられる場所なのだろう。吉田もきっとそうだった。
2026年の今、吉田健一が「言うまでもない」存在かどうかは、正直よくわからない。けれども彼が愛したビーフパイの味は、今もなお、言うまでもなくうまい。
本日のおすすめ
アサヒ生ビール(480cc) 770円
アサヒ黒生ビール(480cc) 790円
ハイボール(ブラックニッカクリア) 650円
ハイボール(ダブル)950円
ビーフパイ 1600円
スモークサーモン1500円
店舗情報
ランチョン
住所:東京都千代田区神田神保町1-6
営業時間:火~金 11:30~21:30 土 11:30~20:30
アクセス:東京メトロ他各線「神保町駅」A5出口より徒歩約1分
JR他各線「御茶ノ水駅」より徒歩約10分
JR他各線「水道橋駅」より徒歩約10分
栗下直也 Naoya Kurishita
1980年生まれ、東京都出身。著述業、書評家。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経営学専攻修了後、専門誌をへて独立。経済記者出身でありながら、なぜか酒がらみの文章が多い。著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)『偉人の生き延び方 副業、転職、財テク、おねだり』(同)、『政治家の酒癖 世界を動かしてきた酒飲みたち』(平凡社新書)、『得する、徳。』( CEメディアハウス)がある。
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栗下直也の東京酔歩 偉人と歴史の…
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2026年 SAKE COMPETITION 日本酒順位 全発表
2026.6.13
2026年本当に美味しい日本酒 純米酒・純米吟醸・純米大吟醸・泡盛……SAKE COMPETITION 2026発表
「ブランドではなく、本当においしい酒を選ぶ」。
そんな理念のもと2012年にスタートしたSAKE COMPETITIONは、銘柄や蔵元名を伏せたブラインドテイスティングによって酒質のみを評価する日本最大級の日本酒コンペティションが2026年も行われた。出品対象は実際に購入できる市販酒のみ。純粋に“飲んでおいしい酒”を選ぶ場として、酒販店や飲食店、そして日本酒ファンから高い信頼を集めている。
今年度は世界中の367蔵から、清酒1,139点、泡盛51点、合計1,190点が出品された。審査部門は「純米酒部門」「純米吟醸部門」「純米大吟醸部門」「SUPER PREMIUM部門」「モダンナチュラル部門」の5部門に加え、2026年秋に予定される首里城正殿復興を記念した特別枠として「泡盛部門」を新設。日本酒のみならず、日本の伝統的な酒文化全体に光を当てる大会へと進化を続けている。
今年の結果を象徴する存在となったのは、奈良県・今西酒造の「みむろ杉」だ。
純米酒部門では「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita(ディオアビータ)」が第1位を獲得。さらに純米吟醸部門でも「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」が第1位に輝き、二冠を達成。加えて純米酒部門6位、純米吟醸部門3位にもランクインし、その安定した酒質の高さを印象づけた。
その功績が評価され、今西酒造は「TAKANAWA GATEWAY CITY グランドオープン記念 最優秀蔵元賞」を受賞。まさに2026年大会を代表する蔵となった。
では順位を紹介しよう。
純米酒部門
先にも述べたように、1位は1660年創業、奈良県桜井市の今西酒造が醸す「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita(ディオアビータ)」。
古来より酒の神様として信仰される日本最古の神社・大神神社のお膝元で酒造りに取り組む今西酒造。十四代目の今西将之氏によれば、「軽く美味しい酒造り」を追求しており、本銘柄はその原点となる酒だという。
昨年は大神神社の参道に新たな酒蔵を開業し、多忙な一年だったが、蔵人たちと力を合わせて結果を残せたことに安堵していると語った。果実のようなジューシーさとふくよかな甘み、ラムネを思わせる吟醸香が特徴。
2位 ささまさむね 特別純米/笹正宗酒造株式会社(福島県)
3位 あさまやま 夏純/浅間酒造株式会社(群馬県)
4位 楽器正宗 純醸/合名会社大木代吉本店(福島県)
5位 松の司 生酛純米酒/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
6位 みむろ杉 ろまんシリーズ 特別純米辛口 露葉風/今西酒造株式会社(奈良県)
7位 清嘹 舞風 純米酒/株式会社町田酒造店(群馬県)
8位 あたごのまつ 特別純米/株式会社新澤醸造店(宮城県)
9位 雨後の月 純米酒 呉未希米八反錦/相原酒造株式会社(広島県)
10位 陣屋 特別純米/有賀醸造合資会社(福島県)
純米吟醸部門
1位は純米酒部門に続き、今西酒造(奈良県)の「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」が受賞。二冠達成は2014年以来初となる。
今西氏は、先代である父の逝去後、28歳で蔵を継承。当時は酒蔵も老朽化し、将来への不安を抱えていたという。そんな中、2014年に宮泉銘醸(福島県会津若松市)がSAKE COMPETITIONで二冠を達成したことを知り、「いつか自分たちも」と蔵人たちと努力を重ねてきた。その夢が実現したことに深い感慨を示した。
2位 勝山 KIRAKIRA/仙台伊澤家 勝山酒造株式会社(宮城県)
3位 三諸杉 純米吟醸/今西酒造株式会社(奈良県)
4位 楽器正宗 愛山中取り/合名会社大木代吉本店(福島県)
5位 天賦 純米吟醸/西酒造株式会社(鹿児島県)
6位 会津娘 純米吟醸「穣」松原8/株式会社髙橋庄作酒造店(福島県)
7位 楽器正宗 雄町中取り/合名会社大木代吉本店(福島県)
8位 紀土 純米吟醸/平和酒造株式会社(和歌山県)
9位 松の司 純米吟醸 楽/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
10位 天美 純米吟醸 蛍天/長州酒造株式会社(山口県)
純米大吟醸部門
1位は広島県広島市の相原酒造が醸す「雨後の月 純米大吟醸」。香りの華やかさだけではなく、透明感とバランスを兼ね備えた完成度の高い酒質が評価された結果といえる。代表の相原章吾氏は、うちの技術の礎のようなクラシックな酒だと説明し、今回の受賞で全国の人に知ってもらういい機会になると受賞を喜んだ。
また、杜氏の相原章吾氏は40歳以下の若手醸造責任者を対象とする「ダイナースクラブ若手奨励賞」も受賞。次世代を担う造り手として大きな注目を集めている。
2位 山和 純米大吟醸/株式会社山和酒造店(宮城県)
3位 太平山 純米大吟醸 天巧/小玉醸造株式会社(秋田県)
4位 愛友 純米大吟醸 備前雄町/愛友酒造株式会社(茨城県)
5位 后 50 Black/吉乃友酒造有限会社(富山県)
6位 紅花屋重兵衛 雪女神/古澤酒造株式会社(山形県)
7位 東洋美人 壱番纏/株式会社澄川酒造場(山口県)
8位 松の司 純米大吟醸 黒/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
9位 天鷹 有機純米大吟醸 槽搾り原酒/天鷹酒造株式会社(栃木県)
10位 来福 純米大吟醸 愛山/来福酒造株式会社(茨城県)
SUPER PREMIUM部門
特定名称酒に限らず、720mLで小売価格10,000円(税別)以上、または1,800mLで15,000円(税別)以上の清酒を対象とする部門。
1位 而今 特等雄町/木屋正酒造株式会社(三重県)
2位 東洋美人 志荘/株式会社澄川酒造場(山口県)
3位 くどき上手 命 斗瓶囲大吟醸/亀の井酒造株式会社(山形県)
モダンナチュラル部門
純米酒かつ「生酛・山廃・菩提酛」の清酒を対象とし、精米歩合は問わない。2025年7月1日〜2026年6月30日に醸造された市販清酒が出品対象となる。
1位 たちばなや 純米吟醸/合名会社川敬商店(宮城県)
2位 萩原 山廃純米/萩原酒造株式会社(徳島県)
3位 試験醸造2025 Type-Kimoto/城陽酒造株式会社(京都府)
4位 神開 純米原酒 水酛/藤本酒造株式会社(滋賀県)
5位 久比岐 和希水 生酛/頚城酒造株式会社(新潟県)
特別賞
ダイナースクラブ若手奨励賞
次世代の造り手を応援するために創設された賞。各部門GOLD受賞蔵の40歳以下の若手醸造責任者・杜氏から選出される。
受賞酒
「雨後の月 純米大吟醸」
相原酒造株式会社(広島県)
杜氏:相原章吾氏
JAL空飛ぶSAKE賞
国内でも流通量が限られ、海外の人々にも知ってほしい酒を選出。
受賞酒
「たちばなや 純米吟醸」
合名会社川敬商店(宮城県)
TAKANAWA GATEWAY CITY グランドオープン記念 最優秀蔵元賞
今西酒造株式会社(奈良県)
代表銘柄:みむろ杉
実行委員長賞
SAKE COMPETITION実行委員長・長谷川浩一氏が審査中に最も高く評価した1本に贈られる賞。
受賞酒
「吉田蔵u 百万石乃白」
株式会社吉田酒造店(石川県)
泡盛部門
首里城正殿の再建を記念して新設された特別部門。一般酒、古酒、未来の泡盛(泡盛を主原料としたスピリッツ・リキュールなど)を対象とする。
GOLD ZANPA TORAKICHI 2022/有限会社比嘉酒造(沖縄県)
一般酒部門
GOLD The IZENA 44度 新酒/合資会社 伊是名酒造所(沖縄県)
GOLD 南都神泉30度 新酒/上原酒造株式会社(沖縄県)
GOLD 御酒 -うさき- 30度 新酒/瑞泉酒造株式会社(沖縄県)
未来の泡盛部門
GOLD 残波青切りシークヮーサー/有限会社比嘉酒造(沖縄県)
GOLD 請福パッションフルーツリキュール/請福酒造有限会社(沖縄県)
今年の結果から見えてくるのは、派手な個性だけではなく、食事とともに楽しめるバランス感覚を備えた酒が高く評価される傾向だ。
上位には「みむろ杉」「雨後の月」「松の司」「楽器正宗」など、近年の日本酒シーンを牽引する実力蔵が並ぶ一方、地方の中小規模蔵の健闘も目立った。
受賞酒は売り切れが続出する傾向があるため、手に取る機会があれば、ぜひ試して欲しい。
Text by Yuko Taniguchi
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2026.5.29
「ハイアット リージェンシー 東京」で 「モダンチャイニーズ・ハイティー」が 織り成す新たな美食体験
モダンチャイニーズ・ハイティー(2人分)の全景。
2025年に大改装を終えた「ハイアット リージェンシー 東京」(西新宿)で、2026年6月1日より(7月31日まで)、中国料理「翡翠宮(ひすいきゅう)」にて、新しいディナーが体験できる「モダンチャイニーズ・ハイティー」の提供が始まる。
一般的な中華アフタヌーンティーは点心が中心だが、「モダンチャイニーズ・ハイティー」は、より料理に近いセイボリー(塩気のある軽食やオードブル)とアーティスティックなデザートを組み合わせたものとなっている。
従って、提供も17:30~19:30という時間帯だ。
2人の実力派シェフの供宴
セイボリーを担当するのは、35年間にわたって「翡翠宮」で腕を磨いてきた料理長の松本真也氏と、デザートを担当するのがペストリーシェフのユー・ミンジェ氏だ。
そもそもアフタヌーンティーとは、甘味と塩味を交互に味わうことによってお茶(紅茶)を愉しむのが元々の流儀である。
今回のモダンチャイニーズ・ハイティーでは、デザートもセイボリーも甘味と塩味だけではなく、数多くの幅広いスパイスを随所に使うことによって、深遠なハイティーの世界を実現している。
まさに視覚・味覚・香りで愉しめる体験だが、中国料理とはまず色彩と香りなのだということを改めて認識できる創作になっている。
もちろん、お茶は中国茶がメインで、龍井茶、凍頂烏龍茶、鉄観音茶、黒茶等から選べて、紅茶やシャンパンなどもある。
「帆立貝の発酵唐辛子の辛味ソース ポテトバスケット」(左上)、「オマール海老とマンゴーの春巻」
セイボリーはスパイスによる万華鏡
具体的に見ていくと、まずセイボリーには4品が用意されている。
和牛のすね肉にスパイスを強めに効かせて旨味を引き出したもの。スパイスとスモークで仕上げた北京ダックはショコラサブレとともに味わうものだが、北京ダックとショコラの意外な相性には驚いた。揚げた帆立のチリソース掛けは普段私たちがエビチリとして馴染んだ味だ。オマール海老の旨みとマンゴーの甘酸っぱさをミックスさせた春巻も新鮮な味わいだ。
まさにスパイスによる万華鏡を覗くかのような体験である。
左から、「Luck(福)」、「Bloom(花)」、「Jinsha(金砂)」。
新たな味覚が覚醒するデザート
6品あるデザートは中国の素材や香りを軸にしたもので、豆乳、生姜、花椒、白ジャスミン、五香粉などが使われている。
花椒を効かせたチョコレートムースにマンゴーコンポートを合わせた「Luck(福)」、白牡丹茶とライチといちごを織り交ぜたシューである「Bloom(花)」、豆乳と生姜のムースに白ごまのキャラメルを添えたタルトの「Jinsha(金砂)」など、いずれも、時に驚きがあり、時に新たな味覚が覚醒するような世界に誘ってくれる。
セイボリーとデザートを食す順列は4×6で24通りもあるので、楽しみ方は多様である。あたかも味蕾上の‶未知との遭遇″となるはずだ。
◆モダンチャイニーズ・ハイティー
期間:2026年6月1日(月)~2026年7月31日(金)、毎週月曜日から木曜日の祝日を除く平日限定
場所:中国料理「翡翠宮」(ホテル1階)
予約受付時間:17:30~19:30(ハイティーのラストオーダー19:30)※限定10食
価格:7500円/1人(税サ込み)、ロゼスパークリングSAKEまたは翡翠宮季節のオリジナルカクテル付き9000円/1人(税サ込み)
予約:ハイティーのみ、前日18:00までに要予約。2時間制。
TEL:03-3403-5328
Text by Toshizumi Ishibashi
Profile
石橋俊澄 Toshizumi Ishibashi
「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。
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これを食べなきゃ人生ソンだよ
2026.6.4
週に一度は食べたくなる「唐揚げ定食」、東京のベスト5はここだ!
子も子供もおっさんも大好きな「唐揚げ定食」、東京のベスト5はここだ!
まー、日本人でコレが好きじゃない輩はあまりいないだろう。鶏の唐揚げである。今回は、「末げん」、「やき鳥 宮川」、「とん汁と唐揚げの専門店 ばくばく田町・三田店」、「一番唐揚げ」、「西荻もがめ食堂」を紹介する。
唐揚げとひと言で言っても、そのバリエーションはさまざまだ。
例えば、味付けに限っても、
・ショウガ醤油ベースの王道
・ニンニク醤油のパンチ系
・塩味
と分かれる。その上で、揚げの技術と鶏の肉質が問われるのだ。大抵は、二度揚げしてカラリと仕上げるのがほとんどだ。
では、今日も元気に行ってみよう!
正統的に旨い「末げん」は
東京のベストなんだろな
以前、抜群の親子丼(かま定食)の店として紹介したことがある。三島由紀夫が割腹自殺をはかる前夜、最期の晩餐を囲んだ店として知られる。
筆者が親子丼を食べていた時、隣のおっさんがネクタイを緩めて、唐揚げにハフハフとかぶりついていた映像が、ワシの脳味噌にこびりついて離れなかった。
いや、そのおっさんの食いっぷりに興味を持ったんじゃなくて、黄金色に輝く鶏の唐揚げが強烈に旨そうだったのである。
今回、鶏の唐揚げ定食巡りをしてみようと思ったのも、「末げん」の唐揚げの映像のせいなのだ。
というワケだが、この店、ランチ時は近隣のサラリーマン男女で入り乱れる。7割ぐらいの客は親子丼目当てだが、唐揚げ定食を頼むのは、やはりおっさんか若者が多い。
お膳に載って一揃いがやって来た。
「末げん」のから揚げ定食
まずは鶏スープを飲む。鶏専門店だけあって、こいつは普通に旨いねえ。具はナメコと白ネギが少々。
肝心の唐揚げなんだが、見事に黄金色だ。ガブリと行ってみた。素晴らしい!衣はカリカリで実に香ばしく、油をまったく感じさせない。醤油と生姜による下味の按配が絶妙だ。そして驚くべきは鶏肉の瑞々しい柔らかさと甘さである。
要するに、これは天下一品の唐揚げだと思った。
隣のテーブルを見ると、おっさんが二人でやって来て、二人とも親子丼を食べているのだが、単品の唐揚げ(5個)を二人でシェアしておった。なかなかやりおるのお。最高の組み合わせじゃねえの。
その証拠に、食べ終えると、思わず「ああ~、満足したあ」と言って深く息を吐いた。次回は自分もそうしてみたいと思った。そして、「たつた揚げ定食」も激しく気になるのだね。
「末げん」の入口
末げん
東京都港区新橋2-15-7
エスプラザビル1F
℡03-3591-6214
月~金:11:30~13:30、17:00~22:00
土:17:00~21:00
定休日:日曜・祝日
から揚げ定食 1900円
たつた揚げ定食 2000円
いやいや、「やき鳥 宮川」も
甲乙つけがたい店だ
「末げん」が東京で一番と言ったが、こちらも東京を代表する名店の一つだ。
昼時には、一巡目で入りたい客が開店前から列を成す。創業は昭和24年で、都内にいくつかある「やき鳥 宮川」の総本店のようだ。
席にはあらかじめ、つけ汁のポン酢を入れた器が一人に一つずつ置いてある。たまに「やきとり丼」の客もいるが、ほとんどは「から揚げ定食」だな、やっぱり。
あたしゃ、初めてだったので、先に入った隣の席の常連らしき妙齢のおばちゃんのやり方を観察した。
まず、鶏スープを飲む、次いで、唐揚げが盛られた平皿にスペースを作ってそこに塩を盛る。次に、唐揚げの脇のネギをポン酢の中に浸している。名物の白い唐揚げを、まずは塩をつけてガツガツと食べた。骨付きの部位も塩をつけ、手掴みでワシワシ食う。そんで、ポン酢にやっと移行してネギとともに食う。
ワシもそれに倣ってみた。
「やき鳥 宮川」の白い唐揚げ
白い粉を吹いた唐揚げは、モモとムネが合わせて3個で手羽先が2個。サクサク感がいつまでも保たれていて、肉はとても柔らかい。下味は塩程度だから、肉の味がダイレクトにする。とても上品な仕上げだ。それだけでも行けるが、各種の味変をするとさらに楽しめる。
まずは塩、その次には目の前にあった山椒の粉を混ぜてみた。うむ、絶対にこっちのほうがよろしい。続いて醤油をかけてみたが、これもいい。最後にポン酢だが、ポン酢は酸味がピリリと強めに効いていて、ネギと一緒に食べるところがいい。
ベースが塩味だからこそ、いろんな味変が楽しめるのである。ここの唐揚げは一つの傑作と言うべきものだな。そんで、スープもご飯もお代わりができて、目の前の坪漬けも食べ放題だ。この店が人気なのもよくわかるわ。「末げん」と同じように女性客も多かった。
「やき鳥 宮川」の入口
やき鳥 宮川
東京都中央区日本橋茅場町3-5-1
℡03-3668-7080
11:00~13:30、17:00~22:00
定休日:土日祝
から揚げ定食 1200円
手羽先定食 1100円
やきとり丼 1100円
「とん汁と唐揚げの専門店
ばくばく田町・三田店」は客ファーストNo.1
ちと不便な場所にあるね。田町駅からも三田駅からも歩いて8分ぐらい。しかし、客は続々とやってきては、14時に着いても2人が並んでいた。恐るべし。
それもそのはずである。なんたって、豚汁と唐揚げのセットですぜ、奥さん。これ以上にカンペキな組み合わせはないじゃろうが。あたしゃ、店名聞いただけで、随喜の涙を流したよ(爆)。
この店はなんせ心憎いぜ。だって、選べるメニューが、とん汁「大」とごはん定食、とん汁「小」とからあげ定食、とん汁「大」とからあげ定食に分かれている。しかも、からあげの個数を1個から4個まで選べると来たもんだ。
これぞ、お客ファーストってなもんだ。
しかも、席について驚くのは、味変用の調味料が目の前に5種類も置いてある。自家製ラー油、さば・いわし魚粉、ピリッと七味、しびれる四川山椒、マヨネーズ1本!凄くないすか?
ワシは例によって、とん汁「大」のからあげ4個の最大量で臨んだ(笑)。
「とん汁と唐揚げの専門店 ばくばく田町・三田店」のとん汁「大」とからあげ定食
来ましたで。
最初はとん汁だ。これが大根、ゴボウ、ニンジン、コンニャク、豆腐、ネギと具沢山で、出汁は魚粉を感じる濃い味わいでなかなかよろしい。こだわりの「佐野みそ」のオリジナルブレンドを使っているのだそうのだ。
肝心の唐揚げは丸く、こんがりと揚がっている。形がいい。こりゃ、マズイわけがないと思ってかぶりつくと、やはりニンニク生姜醤油が効いている。揚げ方も抜群にいいから、これはかなり旨い。
で、さっそく味変してみた。ラー油と魚粉は避けた。で、七味だけ➡七味の上にマヨと食ってみた。すると後者がはるかに旨い。続いて、山椒だけ➡山椒の上にマヨとやったが、やはり後者がいいのである。
しかし、極めつけは店もそう薦めているが、七味+山椒+マヨ、こいつが最高に旨かった。やってみて欲しい。
しかし、周囲を見渡すと、8人のうちマヨをかけているのは、ワシを含めておっさん3人だけ。あれ~?世の中ってあんまりマヨラーじゃねえのかなあ?
しかし、一人のおっさんはマヨをたっぷりかけて、連れの女性に、かぶりつくたびに「うまッ」「うまッ」と叫ぶ姿に、自分を見るようでとても好感が持てた(笑)。
ご飯にも自信があるらしく、「魚沼産に勝るとも劣らない」会津坂下(ばんげ)コシヒカリを使用しているとのこと。さて、米粒は確かにキレイなのだが、いかんせん炊き方がよくない。ちと水が多すぎるのか、ベッタリしておった。炊き方変えれば、完全無欠になるのに、そこだけザンネン。
でも、客思いがビンビンに伝わってくる、い~いお店です。
「とん汁と唐揚げの専門店 ばくばく田町・三田店」の入口
とん汁と唐揚げの専門店
ばくばく田町・三田店
東京都港区芝4-9-8
サンワイド高橋ビル1F
℡080-3733-8989
月~金:11:30~15:00、17:00~20:00
とん汁「大」とごはん定食 870円
とん汁「小」とからあげ定食 からあげ2個 950円~4個1310円
とん汁「大」とからあげ定食 からあげ1個990円~4個1350円
「一番唐揚げ」は不思議な店だが
味は間違いないぜ
池袋サンシャイン60のそばにある。有楽町線・東池袋駅からは近いが、池袋駅から歩くと、まあ結構な距離だ。
不思議な店である。まず、入口は暗幕で光を遮断してあり、店内も片方の壁面の半分くらいが布で覆われている。なんだ、紫外線アレルギーなのか? だから、店内は電球の灯りのみで薄暗い。
稼働しているのは壁に向かってたったの6席だけ。ホーンテッド・レストランかよ(笑)。ちと気後れする。席に着いてよく見ると、薄暗いせいか、清掃は行き届いていない(苦笑)。
もう片方の壁の黒板には、バナナマンの日村が来たとか、「出川一茂ホラン」の番組で紹介されたとか、ワシはそんなヤツは誰だか知らんが、JO1の川尻と佐藤が来たとか、白いチョークで矢鱈と誇示してある。結構、ミーハーなんだね(笑)。
要するに、テレビにしばしば登場する、東京を代表する唐揚げの店の一つとして有名なのだ。
不思議な店だから、女子は入りづらく、客はヤロウしかいない。で、客は大体、ニンニク醤油がガツンと来る一番人気の「極もも唐揚げ定食」か、醤油ももと塩むねの両方が食べられる「一番唐揚げ定食」を頼んでいる。あたしゃ、とりあえず後者だ。
当たり前だが、厨房からシャーシャーと揚げ物の音が絶えず聞こえてくる。15分ほど待ってやって来た。アツアツである。やっぱり、モモ肉と胸肉の両方が食べられるのは嬉しい。
「一番唐揚げ」の一番唐揚げ定食
まずは「塩むね」だが、衣は柔らかく、肉は淡泊だが非常にしっとりしている。火入れが上手い。何もつけなくても行けるが、店が勧めるワサビ醤油をつけると、さらに良くなる。筆者はマヨラーなので、その上にマヨをつけたらもう言うことなしにハッピーだ。
もちろん、マヨは30円で追加する(笑)。
「醤油もも」はやや褐色で、衣はカリカリサクサクしている。香ばしいくらいまで揚げてある。肉質は弾力性があって肉汁が豊かだ。ワサビ醤油をつけるとさっぱりした味わいになる。やはり、筆者はもも肉のほうが好きだな。
気になったので後日、「極もも唐揚げ定食」を食べに再訪した。
やはり揚げ方が滅法上手い。ニンニクの味はするが、ニンニク好きのワシとしてはもっとガンガン来てもいいと思った。こちらはワサビ醤油はなくて、マヨしかついてこない。確かに、さらに醤油はいらないほどの味の濃さがある。
かなり大きめの塊で4個盛りなのだが、形はほぼ球状でゴルフボールくらいの大きさか。中まで火はしっかりと通っているが、肉汁はちゃんと残っていて、実に柔らかくて旨い。かなり満足度が高いことは間違いない。
ちなみに大盛り無料の白米が非常に旨いことも言い添えておきたい。
定食は全部で10種類もある。醤油ももだけのもの、塩むねだけのもの、「チキン南蛮定食」に「ラーメン唐揚げセット」、「鶏唐揚ひつまぶし膳」なんてものもあるから、通ってみたくなるねえ。
「一番唐揚げ」の入口
一番唐揚げ
東京都豊島区東池袋3-11-9 三島ビル1F
℡03-6709-2939
平日:11:30~15:30、18:30~22:30
土祝:12:00~15:30、18:30~22:30
一番唐揚げ定食 1100円
極もも唐揚げ定食 1290円
チキン南蛮定食 1150円
ハッピーオーラも味わえる
「西荻もがめ食堂」に行くべし
ここに来るたびに、客を満足させたいという店の気概に圧倒される。店自体にハッピーオーラがあるのだ。まだ未訪の人は、一度でいいから訪れてみてほしい。
大きめのグラスに注がれた麦茶は何度も注ぎ足してくれるし、何と言ってもすべてのメニューに日替わりで小鉢が4つも付いてくるのである。この日はポテトサラダ、白菜の漬け物、もずく、厚揚げの煮物だ。東京広しといえども、こんな店には出くわしたことがない。
しかも、このご時世で、白米は2回までおかわりができて(これが実に旨い!)、味噌汁だって白菜、シメジ、ワカメと具だくさんで(出汁はちと薄いが)、こちらの健康を気遣ってくれるというのか、ケチくさくないのである。まー、プチ感動するわな。
偉大な店だ。
「もがめ食堂」の ”鶏からあげ定食”
さて、肝心の「鶏からあげ定食」はゴロリとした唐揚げが5個に、たっぷりで瑞々しい千切りキャベツが添えられている。唐揚げは王道のショウガ醤油味で、周りカリカリの中はしっとり。余熱で中までしっかりと熱を入れて休ませているから、肉汁でやけどするようなことはない。旨いね~。
普通は、ケチくさい漬け物が付くぐらいだから、まー、3個目ぐらいにはちょっと飽きが来るのだが、そこはなんせ4種の小鉢を挟むことで、口に飽きは来ないのである。また言うけど、偉大な店だ。
メニューも豊富にある。スタッフも親切この上なく、駒場東大前にある某有名定食屋の塩対応とは雲泥の差がある。この定食屋をホメるヤツの気が知れん(苦笑)。
なにしろ、客はみなが楽し気で、どの顔も満足で輝いているのが壮観だ。西荻窪の住民が心底うらやましいわ。
「もがめ」の入口
西荻もがめ食堂
東京都杉並区西荻南3-7-7
西荻日伸ハイ103
℡03-5346-0360
11:30~14:30、17:30~20:30
鶏からあげ定食 1400円
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
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これを食べなきゃ人生ソンだよ
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グッチ ジャルディーノ×SAKE HUNDRED。100本限定「密花」誕生
2026.5.28
伝統と革新が交差する、珠玉のスパークリング日本酒
伝統を礎に常に新たな美を追求するグッチ ジャルディーノと、日本酒の未来を切り拓くSAKE HUNDRED。両者のスピリットが響き合い、新たなスパークリング日本酒『密花』が誕生。2026年6月3日(水)より、大阪・梅田の「グッチ ジャルディーノ」と、東京・銀座の「グッチ オステリア トウキョウ」にて100本限定で販売される。
密花 720ml 198,000円(2026年6月3日(水)より、グッチ ジャルディーノ及びグッチ オステリア トウキョウにて販売開始)
“薫り立つ、伝統と革新の結晶。”をコンセプトに、3年以上におよぶ開発を経て誕生した「密花」は、熟成酒と新酒のスパークリングをブレンドしているのも特長だ。原料の一部には、SAKE HUNDREDの15年氷温熟成ヴィンテージ『礼比』を使用。そこに、瓶内二次発酵の日本酒をブレンドすることで、熟成酒の奥行きに新種の軽やかな発泡が重なり、唯一無二の味わいを生み出している。
外観は輝きのあるレモンゴールド。バターを思わせる甘やかなアロマに、ハーバルなトーンやナッツのニュアンスが重なり、口当たりは絹のようになめらか。濃醇な果実味と旨味を酸味が引き締め、多層的でエレガントな味わいに仕上がっている。
「礼比」醸造パートナー 永井酒造
醸造を手がけるのは、群馬県川場村の永井酒造。フランスのシャンパーニュ地方で学んだ「スパークリング」や「ヴィンテージ」といった概念をいち早く日本酒に取り入れた酒蔵として知られ、日本酒の奥深さと新たな魅力を世界に発信し続けている。
ペアリングには、ウニやトリュフ、オマール海老、スパイシーなトマトソースやクリーム系ソースを使った料理など、しっかりとした味わいの食材がおすすめ。魚介を使ったイタリアンや、メインディッシュに近い料理とも相性がよい。
グッチ ジャルディーノ
【住所】大阪府大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT
グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ
【住所】東京都中央区銀座6-6-12 グッチ並木 4F
グッチ ジャルディーノの美学とSAKE HUNDREDの飽くなき探究心、そして醸造パートナーである永井酒造の職人技が生み出した至高の味わいを、心ゆくまで堪能したい。
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グルメ最前線 トップレストランを探訪する
2026.5.26
ホテルニューオータニ内「トゥールダルジャン 東京」が この夏に届ける2つの格別な体験
調度品、色調、何もかもが素晴らしいダイニングルーム。
「トゥールダルジャン」はフランス料理の歴史そのもの
パリの「トゥールダルジャン」と言えば、1582年にセーヌ河畔のサン・ルイ島に出来た旅籠に発祥の起源を持つ、フランス最古のレストランである。
時の国王アンリⅢも足を運び、ロシアやプロイセンの皇帝も訪れた。1789年のフランス革命時に競売に出された際に買い取ったのはナポレオン専属の料理人だったル・コックである。
以後、様々な人の手に渡りながらも、フランス食文化の中心となってフランス料理を牽引してきた。
20世紀に入り、フランス料理の革命者オーギュスト・エスコフィエの推薦のもと、店のオーナーとなったのが初代アンドレ・テライユ氏である。2代目のクロード・テライユ氏時代の1984年、海外で唯一の支店となる「トゥールダルジャン 東京」をホテルニューオータニ内にオープンした。現在、仏日双方の舵を握っているのは3代目のアンドレ・テライユ氏である。
発祥こそフランス最古のレストランではあるけれども、料理は絶えず進化を遂げてきた。「トゥールダルジャン」はフランス料理の歴史そのものと言える。
グランメゾンの優雅、ここに極まれり
「トゥールダルジャン 東京」はホテルニューオータニのロビィ階に位置する。その入り口からして異次元だ。
ブルボン王朝を象徴する濃紺のエントランスは暗転した回廊で、気高い館に吸い込まれるような感覚に人を陥らせる。一転して深紅のウェイティングルームの高貴さといい、ルイXⅤ世のロココ時代を表現した柔らかくシックなダイニングルームや優雅な調度品の数々は、この贅沢な空間にいるだけで夢見心地で非日常的な高揚を覚えさせてくれる。
これだけのレストラン空間は、日本ではまったくもって類のない唯一のものである。
ゲストを迎えてくれるのは、全員がフロックコートを着用したサービスの面々だ。これほどの格式もまた稀有なのだが、彼らの所作は実に柔和で、ゲストに緊張感などは微塵も抱かせないところが見事だ。
グランメゾンの優雅は、ここに極まれりというところだろう。
トゥールダルジャンの名物、ガチョウのフォワグラ。
ガチョウのフォワグラの魅惑
先日、「トゥールダルジャン 東京」にて、小さな晩餐会が開かれた。その時の様子を報告したい。
最初に供されたのがシャンパーニュ「トゥールダルジャン ブリュット ブラン・ド・ブラン」である。グラン・クリュに格付けされたシュイイ村のシャルドネ100%で造られ、パリ本店と東京店でしか味わえない。クリーミーな泡立ち、爽やかな酸味、奥深い香ばしさ……実に上品で素晴らしいスタートだ。
いくつかの皿を紹介しておく。
一品目の前菜が「オマール海老のカルパッチョ オシェトラキャビア添え」は、ボイルした半生のオマール海老にキャビアを載せた贅沢なカルパッチョだ。賽の目切りにした彩り豊かな旬野菜にケッパーのアクセントを添えて軽やかに仕上げている。
続いて、名物の一つ「トゥールダルジャン特製 フォワグラ三皇帝」。1867年、ロシア皇帝アレクサンドルⅡ、皇太子アレクサンドルⅢ、プロイセン国王ヴィルヘルムⅠ(後のドイツ皇帝)ら、3人の皇帝が一つのテーブルで会食をしたエピソードに因んだシグネチャーメニューだ。トリュフをたっぷりと包み込んだフォワグラは、鴨のものではなくガチョウのものであるところが非常に珍しい。
鴨のものよりもねっとりと濃厚なフォワグラと官能的なトリュフの合体は、舌の上で溶けてゆき恍惚を呼ぶ。これに合わせたのはソーテルヌのグラン・クリュ「シャトー・ドワジィ・ヴェドリーヌ」。貴腐ワインであるから、芳醇な甘味や果実味と酸味とミネラル感が折り重なり、口中でフォワグラに出遭うと複雑で濃密な旨みを引き起こした。ちょっとした小爆発である。
「フランス産舌平目のムニエル ショワジーソース」は、香ばしく焼き上げ、ルビーグレープフルーツとティムットペッパーをからませた。ショワジーソースは、レタスの旨味がクリームに溶け合い、ムニエルに合わせると意表を突かれるほど斬新な驚きをもたらしてくれる。
料理長は日本に二人しかいないM.O.F.
料理長のルノー・オージエ氏は、2013年の就任だというから、来日して今年で13年目となる。日本には二人しかいないM.O.F.(国家最優秀職人章)のうちの一人である。日本で言えば、人間国宝みたいなものだ。
過去の彼の発言を見ると、この長い日本滞在のうちには、日本固有の食材からはいたくインスピレーションを得たようだ。フランス料理とはいえ、ソースは軽やかで、食材固有の旨味の引き出し方については際立った手腕の持ち主なのである。
トゥールダルジャンの代名詞とも言うべき「幼鴨のロースト マルコポーロ」。
メインの最後は、トゥールダルジャンの代名詞とも言うべき「幼鴨のロースト マルコポーロ」である。幼鴨をローストし、クリーミーかつ胡椒の風味豊かなソースをあわせたシグネチャーメニューは、この鴨を食べることの憧憬を食べ手の中に灯し続けてきた。
合わせたのは深紅の「ドメーヌ・ル・サン・デ・カイユ」。南ローヌのこの赤は、タンニンと果実味が豊かで力強い。薫香のする幼鴨のローストとの相性は抜群だった。
約1000種を誇るワインカーブからのセレクトには並々ならぬものがある。
トゥールダルジャンだけのために焼かれたパン
ひと言付け加えるとすれば、食間に提供されるパンが非常に美味しいことだ。プチバゲットやカンパーニュ風のもの、すべてはトゥールダルジャンのためだけに焼かれたものである。食べ過ぎてしまって困った。
締めのデザートは「ショコラマンジャリのムースとピスタチオのアイスクリーム」。ショコラマンジャリとはマダガスカル産のブラックチョコレートで、フランボワーズを思わせる華やかな酸味があるが、そのムースの中にサクランボ、イチゴ、ラズベリーのコンポートを仕込んだ凝ったものだ。添えられたピスタチオのアイスクリームとのコンボは大団円に相応しい。
この晩餐で、筆者はオーナーのテライユ氏の臨席という光栄に浴した。長身で美丈夫の氏は、母方がフィンランド人であることから、大のサウナーだそうである。フィンランドでは、カンカンに体を温めてからアクアヴィットをあおって冷たい海に飛び込むのが最高なのだそうだ。「東京にいいサウナはある?」と聞かれたが、思い浮かばなかった。
「Ma provence~マ・プロヴァンス」で出される予定の「スズキのグリエ 黒オリーブソース」。
この夏の2つのスペシャル企画
さて、「トゥールダルジャン」には、この夏、2つのお愉しみが待っている。
一つは南仏を旅するかのような新作メニュー「Ma provence~マ・プロヴァンス」の美食体験を2026年7月1日(水)~8月23日(日)の期間限定でランチとディナーの両方で提供する。
メニューには「「スズキのグリエ 黒オリーブソース」や「幼鴨のロースト エピス香る燻香夏野菜のソース」などが供される。前者は世界中の美食家に愛されるイタリア産「タジャスカ種」のブラックオリーブで作る特製のソースだ。後者はシグネチャーメニューの夏季バージョンで、スパイスを効かせたソースが添えられる。
もう一つはホテルニューオータニ大阪の今年開業40周年を記念して、「トゥールダルジャン東京 SPECIAL 2 DAYS~Héritage et Évolution~」を2026年6月13(土)・14(日)の2日間限定で、フランス料理「SAKURA」にてランチとディナーの両方で開催される。ワインとの最上のマリアージュも愉しめる。ルノー・オージエ料理長とサービススタッフが大阪に集結するまたとない機会である。
◆「Ma provence~マ・プロヴァンス」
ランチ:¥15,000、¥25,000
ディナー:¥25,000、¥38,000
※いずれも飲み物、サービス料別
問い合わせ:TEL03-3239-3111(「トゥールダルジャン 東京」直通)
定休日:月・火曜日定休(月曜祝日は除く)、水曜はディナーのみ営業。
◆開業40周年記念「トゥールダルジャン東京 SPECIAL 2 DAYS~Héritage et Évolution~」
ランチ:グラスシャンパーニュ付 ¥40,000/ペアリングワイン付 ¥50,000
ディナー:グラスシャンパーニュ付 ¥60,000/ペアリングワイン付 ¥100,000
※いずれも飲み物、税サ込み
問い合わせ:TEL06-6949-3246(フランス料理「SAKURA」直通)
Toshizumi Ishibashi
「CREA」「CREA Traveller」元編集長
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Features
村野藤吾が遺した名建築で美酒を味わう
2026.5.21
「ザ・プリンス 京都宝ヶ池」で期日限定オープン。BAR「茶寮」
京都・洛北の自然に包まれた「ザ・プリンス 京都宝ヶ池」では、9月22日(火・祝)までの限定日に、日本庭園内の数寄屋造りの空間「茶寮」を舞台にした期間限定バー、BAR「茶寮」をオープン。
「茶寮」は、日本を代表する建築家、村野藤吾が手がけた特別な空間。村野藤吾が生涯をかけて培った多様で独創的な手法や美学が、細部にまで息づいている。庭園は季節に合わせてライトアップされ、静寂のなかで輝く緑を眺めながらグラスを傾け、非日常の時間を味わうことができるのも魅力だ。
メニューの中心となる「可惜夜(あたらよ)セット」は、グラスシャンパン、オリジナルカクテルや京の地酒などから選べるドリンク1杯と、おつまみ3種を組み合わせたもの。7月から9月にかけては、“食べるお茶”をテーマにした夏限定のおつまみとして、「お茶の葉の佃煮」や「茶葉&クリームチーズカナッペ」「茶葉&バターカナッペ」など、和食料理長による趣向を凝らした品々が登場する。
2杯目以降はドリンクのみの追加オーダーも可能。アルコールを飲まない人向けに、大原赤紫蘇ドリンクやスパークリングぶどうジュースなどもそろう。このほか、和菓子と楽しむお抹茶セットも用意されている。
完成から約40年の時を経て、より風趣あふれる空間となった「茶寮」で、京都の夏の夜を静かに味わってみてはいかがだろうか。
◆BAR「茶寮」
【期日】 7月16日(木)~19日(日)、8月6日(木)~16日(日)、9月17日(木)~22日(火・祝)
【時間】19:00~22:00(ラストオーダー 21:30)
【会場】ザ・プリンス 京都宝ヶ池「茶寮」
【メニュー】
可惜夜セット:1名 3,000円
飲みもの :1,000円~2,600円(2杯目よりオーダー可能)
お抹茶セット:1名 2,000円
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2026.5.14
グランド ハイアット 東京×ポケモン、限定コラボルームが登場
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編集部&PJフレンズのブログ
2026.5.13
スペイン料理の新しい風、 「KONEXIOA(コネクショア)」 が目黒にオープン
桜海老のパエリア。ディナーのアラカルトではタコやミックスなどのパエリアも供される。
スペイン料理と言えば、誰もがピンチョスやパエリアを思い起こす。カヴァやチャコリまで想起する人は結構なスペイン料理通だろう。
そうした通にとっての朗報は、4月3日、目黒に「KONEXIOA(コネクショア)」がオープンしたことである。ここはまさに、スペインの料理やアルコールを極上に楽しめる店だ。その店名は、バスク語で「つながる」を意味する言葉だそうだ。
スペインの食文化を通して、人と人の縁を紡ぐ場所でありたいという願いを込めて、その店名を選んだという。
天井は高くゆったりとした空間は、ここにいるだけで心が和む。
2階建てのモダンな一軒家レストラン
目黒のちょっと閑静な場所に店はある。門扉から少し入ったところで迎えてくれるのは、スペインから運んだという樹齢約200年のオリーブの樹である。威風堂々たるものだ。その先に、ガラス張りのスッキリしたモダンな建物が立つ。今どき2階建ての一軒家というのが何とも贅沢ではないか。
1階はシェフズカウンターを備えたメインダイニングだが、天井が高く、非常に大きな窓のおかげで、昼は陽光が燦燦と、夜は庭のランプが星空のように煌めき、屋内にいる気がしない。2階には最大8名まで利用可能な個室もある。
ヘッドシェフは八谷玲美氏。フランス料理店でキャリアをスタートし、イタリアやスペイン料理店で腕を磨いた。2017年新橋に自身のスペイン料理店「Txiki Plaka(ティキ プラカ)」を開き、2019年から22年までビブグルマンに選出されている。まさに脂の載った料理人である。
5種のピンチョスは素材も味付けも違って、スペインのバルのようだ。
ピンチョスにカヴァ
さて料理であるが、最初に5種盛り合わせのピンチョスが供された。
この日は、桜鱒と生ハムとアーティチョーク、ウニとパプリカ、ホタルイカとイクラ、ルッコラとトマト、ムール貝と玉ねぎとピーマンである。
見た目も美しいが、味わいは食材そのものという感じで、一品一品の味付けのバリエーションが豊かで、気分は浮き立ってくる。そもそも、例えばスペインのサンセバスチャンなどでの夕食前のピンチョス屋巡りでは、一品をつまんでは、カヴァをクッとあおるのが普通だ。
この日のカヴァ「フェレット・グアスク」は、柑橘系を強く感じさせ、口当たりの泡は優しく味わいの余韻は長く、どのピンチョスとも相性がとても良かった。
シェフの八谷さんは、毎年スペインに出かけて、バスクはもちろんマヨルカ島などスペイン各地からインスピレーションを得ることに余念がない。
カヴァやチャコリなどのスペイン産は豊富だが、日本産のアルコールにも注力している。ドライシェリーを使ったアンダルシアハイボールといったオリジナルカクテルも出してくれるので、お酒の楽しみにも事欠かない。
「フカヒレと黒アワビ茸のピルピル」。乳化したクリームが美味しい。
料理は繊細さとダイナミズムの共存
ランチはコースのみだが、ディナーはコース料理でもアラカルトでも対応してくれるところが嬉しい。
この日の2品目がとても印象深かった。「フカヒレと黒アワビ茸のピルピル」である。普通、ピルピルと言うと、鱈を煮込んだものだが、鱈の代わりにフカヒレにしたところにセンスを感じさせる。ニンニクとオリーブオイルで乳化するまで煮込んであってとても滑らかな仕上がりだった。
サワラの次の「北海道産 牛サーロイン」も素晴らしかった。北海道の八雲牛を「サカエヤ」の新保さんが手当てした肉である。サーロインと言ってもサシがとても少なく、フィレに近いような食感で、火入れも見事だ。素材がいいから、味付けは岩塩、オリーブオイル、ブラックペッパーだけというシンプルさはいかにもスペインだ。
フレンチと中華は時にイジり過ぎて素材の味がよく分からないことがあるのだが、スペイン料理は和食やイタリアンのように、やはり素材に寄り添う料理である。八谷シェフが紡ぎ出す品々は、繊細さと同時に、スパニッシュのダイナミズムも味わせてくれる。それは日本人の舌にはとても馴染むものなのである。
「サカエヤ」が手当てした熟成のサーロインはフィレのようだ。
数種のパエリアを用意
締めに供された「桜海老のパエリア」(写真・冒頭)も嬉しい。米好きの日本人はパエリアと聞くだけで、気分がアガるはずだ。この日のパエリアは、国産米のひと粒ひと粒にいたるまで桜海老の旨味がしっかりと染みわたっていた。ランチでは素材は数種あって、タコやミックスがあるところも嬉しい。
店名の「KONEXIOA(コネクショア)」はつながりを意味すると冒頭で述べた。そのつながりは、レストランと生産者を結ぶものでもある。日本で最高峰の肉を提供する滋賀県の「サカエヤ」がそれだ。入手は困難な肉である。
八谷シェフは、「熟成肉が好きで、『サカエヤ』さんに辿り着きました。お陰で、店でお出しするのは、牛も豚も羊も、どれも自信をもってお勧めできる肉です」と胸を張る。
野菜もとても美味しいが、それらは千葉県の「タケイファーム」から届けられるそうだ。西洋品種やマイクロハーブなどはこのファームのものだ。
もうしばらくすると、八谷シェフが得意とする薪料理も登場する予定だ。肉や魚の仕上がりが、いまからさらに楽しみが増すというものだ。
KONEXIOA(コネクショア)
住所:東京都目黒区下目黒2-23-3
TEL:03-6812-3130
ランチ:12:00~15:00(14:00L.O.)、ディナー:17:30~22:30(21:30L.O.)
定休日:日曜・月曜
Text by Toshizumi Ishibashi
Profile
石橋俊澄 Toshizumi Ishibashi
「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。
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蒸したて点心と抹茶スイーツを堪能
2026.5.14
ウェスティンホテル東京「龍天門」、初夏の飲茶アフタヌーンティーを開催
2026年6月30日(火)までの平日限定で、蒸したて点心と香港スイーツを楽しめる「飲茶アフタヌーンティー “抹茶&香港ディライツ”」を提供中だ。
本アフタヌーンティーは、セイボリー10品、スイーツ10品の全20種類を、香り高い中国茶とともに楽しめるもの。メニューは、初夏にふさわしい“抹茶&香港ディライツ”をテーマに構成。セイボリーには、「パイナップル入り酢豚」、香ばしく焼き上げた「クリスピーポークのチャイナバーガー」など、「龍天門」の人気メニューが並ぶ。
さらに点心師が腕を振るう点心は、ワゴンスタイルで提供。「XO醤添えモンゴウイカ焼売」や「ズワイガニのプレミアム小籠包」など、アフタヌーンティーだけの特別な点心を味わうことができる。
スイーツは、「マカオエッグタルト」や「香港エッグワッフル」に加え、「抹茶ブリュレ」「抹茶プリンと杏仁豆腐のデュオ 文旦の香り添え」など、香港の伝統菓子に初夏を感じる抹茶を掛け合わせたラインナップ。
ドリンクは、菊花茶やレモングラスなどをブレンドした龍天門オリジナルのハーブティーをはじめ、本格中国茶やTWGティーなど全9種をフリーフローで用意。点心の繊細な旨みや香港スイーツの奥行きをやさしく引き立てるメニューが並ぶ。
蒸したて点心と香港スイーツの華やぎ、そして抹茶の香りが重なり合う初夏の昼下がり。平日にしか味わえない、優雅な飲茶体験を楽しんでみては。
◆ウェスティンホテル東京 龍天門「飲茶アフタヌーンティー“抹茶&香港ディライツ”」
【期間】開催中~2026年6月30日(火)※平日限定
【時間】 ①14:00~16:00 ②14:30~16:30 ※2時間制(30分前に L.O.)
【料金】8,200円(税・サービス込)
【数量】1日限定20食
【場所】広東料理「龍天門」(2F)
※要オンライン予約、およびオンライン事前決済
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Features
2026.5.14
グランド ハイアット 東京×ポケモン、限定コラボルームが登場
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2026.5.10
東京・表参道 Mercedes-Benz Studio Tokyo(メルセデス・ベンツ ストゥーディオ トウキ…
Features
2026.5.1
丸の内北ドームに誕生「TOKYO STATION CAFE -THE NORTH DOME-」
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栗下直也の東京酔歩 偉人と歴史の裏路地
2026.4.16
第1回 浅草「神谷バー」と琥珀色の魔酒
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20年前の甘ったるい記憶とともに浅草「神谷バー」へ
神谷バーを初めて訪れたのは、20代前半のことだ。記憶はおぼろげで、名物と言われた酒がやたらと甘ったるいくらいの印象しか残っていない。それから20年。年を重ねれば酒の味も変わる。文士たちが愛した酒場の情景を追体験すべく、浅草に久しぶりに向かった。
「新宿のバーに厭気がさし、銀座のバーが余りにパリー的になり過ぎ、そこに来る人々のベレー帽や片仮名まじりの言葉が気障でたまらなくなった時に行く所」—米国の日本学者サイデンステッカーは、浅草へ向かう人々の心理をそう言い表している。
永井荷風にはじまり、高見順、色川武大と名だたる作家たちにとって浅草は山の手の重圧から逃れるための避難場所であった。その玄関口に明治13年(1880年)から鎮座しているのが日本初のバー「神谷バー」である。
神谷バーの歴史と切り離せないのが、明治15年(1882年)に誕生した「電気ブラン(現品名・デンキブラン)」だ。洋酒がまだ高価だった時代に大衆へ安く提供しようと作られた琥珀色の液体は、ブランデーをベースにジン、ワイン、キュラソー、薬草などをブレンドしている。電気がまだ珍しかった文明開化の時代は最先端のものに「電気○○」と名付ける風潮があったのだが、そこからもいかにこの酒が驚きをもって迎えられたかがわかる。
大正浪漫の面影を遺す、「神谷バー」奇跡の近代建築
東京メトロ銀座線の駅を出て徒歩わずか1分——とネット情報にはあるのだが、そんな近かったっけと半信半疑で地上に出る。10メートルほど歩いて駅前の交差点に立つと、「神谷バー」の看板が目に飛び込んできた。
大正10年(1921年)に改築された鉄筋コンクリート造の近代商業建築は、大正12年(1923年)の関東大震災、昭和20年(1945年)の東京大空襲という二度の災禍をくぐり抜け、奇跡的に現存している。平成23年(2011年)には国の登録有形文化財にも指定された。外観は大正期らしい明るいタイル張りで、2階には3連アーチ窓が美しく並ぶ。
正漢字を用いたレトロな看板をくぐり抜け、店内へ踏み込む。私が小学生の頃の百貨店のレストランのような懐かしさ——考えてみれば、それよりずっと以前から存在しているのだから当たり前なのだが——そのレトロな雰囲気を保ちつつ、決して古めかしくない。
平日の午後6時で客の入りは8〜9割。デンキブランとビールを並べて盛り上がる外国人客もいれば、手酌で瓶ビールを楽しむ初老の男性や、一人静かにグラスを傾ける年配男性の姿がある。隅のテーブルでは、雰囲気のある酒の写真を発信しようと訪れたであろう若い世代が笑い合っている。昭和の残香を求める常連客と、レトロな空気に新鮮さを感じる観光客や若者たち—時代を超えてあらゆる人々を包み込む浅草ならではの空気が、この店にはある。
デンキブランのビリリと痺れる刺激と、浅草の流儀とは
店内を見渡した後、入り口のレジで食券を対面で購入する。食券制と聞くと面倒くさい気もしなくもないが、意外にもレジの前に並ぶと一周回って新鮮さもある。何を飲むかは迷う余地などない。注文するのはもちろん「デンキブラン」だ。
現在は2種類あり、30度が400円、40度の「電氣ブラン〈オールド〉」が500円。発売当初の度数は45度とさらに強烈だったというから、その名残を味わうべく強い方を頼む。つまみは定番の「煮込み」(650円)と「かにコロッケ」(1000円)にした。
席に着くと運ばれてきたグラスに、なみなみと注がれた琥珀色の液体。そっと口に含む。ほんのりとした甘みが舌の上に広がったかと思うと、すぐさまジンや薬草由来のビリリとした苦みと、強いアルコールの刺激が喉を焼く。まさに「電氣」の名にふさわしい。
……と書いたものの、これはあくまで食レポ用の表現であり、そんな冷静に味わってはいられない。口に入れるやいなや「アルコール強!!!」と思う人が大半のはずだ。口に含むや否や、鼻からデンキブランが飛び出そうなくらいにツンとくるのが現実だ。ただ、甘みがあるので次第に慣れるのが、この酒が度数のわりに飲みやすい理由でもあり、危ない理由でもある。
神谷バーにおける「通」の作法がある。酒なんてものは好きなように飲めばいいと思うのだが、これまた食レポにはつきものなので紹介しておこう。デンキブランをストレートであおり、冷たい生ビールをチェイサーとして飲む——「この無限ループこそが神谷バーの流儀であり、浅草の夜を加速させる」と書くとなんだか格好良いがアルコールをただただ摂取し続けているだけである。
つまみの「煮込み」と「かにコロッケ」は、変なアレンジもくせもない、文字通りの昔ながらの「煮込み」と「かにコロッケ」だ。こんなにイメージを裏切らないつまみも今は少ない。気取らない庶民の味がデンキブランの複雑な風味を優しく包み込む。
文士たちが愛した、電気ブラン「本物の大衆性」
なぜ、数多の文豪たちはこれほどまでに電気ブランを愛したのだろうか。
太宰治は「人間失格」の中で、「酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはないと保証し……」と記している。若き日の鬱屈と焦燥を抱えた彼にとって、手っ取り早く強烈に酔いが回り、現実から意識を強制的に切り離してくれるこの酒は、何よりの救済だったのだろう。批評家の小林秀雄も昭和26年(1951年)に雑誌の対談で、「あの『電気ブラン』というやつを私は愛好していたね。あれは安くて、なかなかうまい酒でしたよ」と述懐している。
詩人の萩原朔太郎は浅草で「一人にて酒をのみ居れる憐れなる となりの男なにを思ふらん」と詠んだ。喧騒の中で、見知らぬ他者の孤独に静かに思いを馳せる—その視線が浅草という場所にはよく似合う。
浅草には金持ちも貧乏人も同じように酔わせてくれる包容力があり、安価な酒を大衆に紛れて気取らずに飲める。だからこそ、文学者たちが人間を観察し、自身の内面と向き合うための格好の場所だったのである。神谷バーと電気ブランは「ハイカラな西洋文化」を「下町の大衆」へと翻訳し提供する装置でもあったのだろう。
物資が乏しく何もかもが不足した戦後にあっても、神谷バーは安易な妥協を選ばなかった。グラスに注がれる酒の質を落とすことなく守り続けた。その真摯な姿勢があったからこそ、100年以上経った今でもデンキブランは「何か言い難い懐かしさ」とともに私たちの心と体を温め続けている。文士たちが愛した理由は、単に酔えるからというだけでなく、この酒と空間に流れる「誤魔化しのない本物の大衆性」にあったのかもしれない。
閉店は午後8時。「神谷バー」の夜は早い
デンキブランの魔力か、杯を重ねていると、気がつけば頭がぐるぐる回り、足がふらついてくる。琥珀色のグラスの底に、かつてこの席で杯をあおった文士たちの影が揺らぐのを感じる——とちょっと格好いいことをいいたくなるのも酔っている証だろう。そもそも、こういう表現はだいたい書くことがないときに無理やり書く常とう句である。それは書く方も百も承知なわけだから、そんなことを書く時は酔っているのである。酒か自分に。
閉店時間は午後8時(ラストオーダー午後7時半)と早い。ほろ酔い加減で二件目に向かってもまだ夜は長い。浅草は、いつでもそういう街だ。
本日のおすすめ
電氣ブラン〈オールド〉(500円)
生ビール小〈435ml〉(750円)
煮込み(650円)
かにコロッケ(1000円)
店舗情報
神谷バー
住所:台東区浅草1丁目1番1号
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜日、毎月2回月曜日
アクセス:東京メトロ銀座線 浅草駅下車 3番出口 徒歩1~2分
都営地下鉄浅草線 浅草駅下車 A5番出口徒歩1~2分
東武スカイツリーライン 浅草駅下車 正面出口 徒歩1~2分
栗下直也 Naoya Kurishita
1980年生まれ、東京都出身。著述業、書評家。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経営学専攻修了後、専門誌をへて独立。経済記者出身でありながら、なぜか酒がらみの文章が多い。著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)『偉人の生き延び方 副業、転職、財テク、おねだり』(同)、『政治家の酒癖 世界を動かしてきた酒飲みたち』(平凡社新書)、『得する、徳。』( CEメディアハウス)がある。
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投稿 第1回 浅草「神谷バー」と琥珀色の魔酒 は Premium Japan に最初に表示されました。



























