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深遠なる“藍”の世界へ
2025.11.14
銀座・和光で開催「福本潮子 ―藍の海―」
「藍の海」一部切り抜き画像 (撮影:来田 猛 Koroda Takeru)
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銀座・和光セイコーハウスホールでは、2025年11月27日(木)から12月7日(日)まで、藍染作家・福本潮子による展覧会「福本潮子 ―藍の海―」を開催。深遠な藍の世界を探求し、国内外で高い評価を受ける福本氏にとって、和光での展覧会は今回が初めてとなる。
「藍の海」 木綿漁網 (撮影:来田 猛 Koroda Takeru)
「交差する青 -1」 亜麻 220×200cm(撮影:来田 猛 Koroda Takeru)
木綿や麻などの自然素材に、日本の藍が持つ奥行きのあるグラデーションを重ねる福本氏。その作品は、見る人の心に深く沈み込み、国境を越えて深い感動を呼び起こしてきた。
「銀河」 苧麻(開田高原麻) 200×180cm (撮影:来田 猛 Koroda Takeru)
「世界中の藍で一番美しい藍は日本の藍。その特色は、ブルーの豊かなグラデーションです」と語る福本氏。本展では、250メートルもの木綿の漁網を染めたインスタレーション「藍の海」をはじめ、「交差する青 -1」「銀河」「対馬 -Ⅻ」など、藍の多様な表現を体現する作品を展示。波打ち際を思わせる美しいジャパンブルーの濃淡が、空間全体を静かに包み込む。
「対馬 -Ⅻ」 大麻・木綿 223×92cm(撮影:来田 猛 Koroda Takeru)
会期中は、福本氏本人が在廊する日も予定。また11月29日(土)14時からは、美術評論家・森孝一氏とのギャラリートークも開催。作家の言葉を通じて、“ジャパンブルー”の美と哲学に触れられる貴重な機会となるだろう。
◆「福本潮子 ―藍の海―」
【会期】2025年11月27日(木)~12月7日(日)
※作家在廊予定日:11月27日(木)、29日(土)、30日(日)、12月6日(<wbr />土)、7日(日)
【会場】セイコーハウスホール(東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス 6階)
【営業時間】11:00~19:00(最終日は17:00まで)
【休業日】無休
【入場料】無料
【お問い合わせ】tel. 03-3562-2111(代表)
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大阪・関西万博で話題を呼んだ古代彫刻の最高傑作が再び
2025.11.13
特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」大阪市立美術館にて開催
《ファルネーゼのアトラス》(部分)西暦2世紀 ナポリ国立考古学博物館
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日本とイタリアの国交160周年、そして大阪・関西万博の文化的レガシーを記念して、特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」が大阪市立美術館にて2026年1月12日(月・祝)まで開催されている。万博のイタリア館で多くの来場者を魅了した名品が、舞台を大阪市立美術館へと移し、再び日本でその姿を見せる。
本展では、人類の叡智と創造性を象徴する3件──イタリアの至宝「ファルネーゼのアトラス」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アトランティコ手稿」、ルネサンスの巨匠ペルジーノによる「正義の旗」を厳選して展示。
《ファルネーゼのアトラス》西暦2世紀 ナポリ国立考古学博物館
紀元2世紀に制作されたとされる「ファルネーゼのアトラス」は、ギリシア神話の巨人アトラスが天球儀を抱える姿を象った古代彫刻の傑作。天球儀に刻まれた星座や黄道十二宮の精緻な意匠は、古代彫刻の真髄を今に伝える。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』第156紙葉 表《水を汲み上げ、ネジを切る装置》
1480-1482年頃 アンブロジアーナ図書館
(C)Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.
レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』第1112紙葉 表《巻き上げ機と油圧ポンプ》
1478年頃 アンブロジアーナ図書館
(C)Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.
“万能の天才”レオナルド・ダ・ヴィンチによる「アトランティコ手稿」は、本展のために新たに出品された日本初公開の2点。数学・天文学・植物学から軍事技術に至るまで、彼の知的探求を余すところなく記録したもの。
ペルジーノ《正義の旗》1496年 ウンブリア国立美術館(ペルージャ)
(C)Galleria Nazionale dell‘Umbria
そして、ラファエロの師であるペルジーノの代表作「正義の旗」は、深い信仰心と精神性を見事に表現した宗教画。静謐な光に包まれた構図が、ルネサンス美術の精華を今に伝えている。
《ファルネーゼのアトラス》(部分)西暦2世紀 ナポリ国立考古学博物館
古代ギリシアの精神からルネサンスの創造力へと連なる、知と美の系譜を体感するまたとない機会。時を越え、地を越え輝き続ける傑作の数々を、大阪市立美術館でぜひ堪能してほしい。
日伊国交160周年記念 大阪・関西万博開催記念
特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」
【会期】開催中~2026年1月12日(月・祝)
【会場】大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
【開館時間】9:30~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12月29日~1月2日)
※オンラインチケット(日時指定予約)の全日程分が完売したため、美術館券売窓口を含めチケット販売を中止しています。今後の詳細については、大阪市立美術館ホームページをご参照ください。
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木と語らい、愛を描く
2025.10.30
藤田理麻新作絵画個展『Evergreen 〜木魂の愛と智慧〜』
SecretPond©RimaFujita2025
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アーティスト・藤田理麻による新作絵画個展『Evergreen ~木魂の愛と智慧~』が、11月12日(水)から18日(火)まで伊勢丹 新宿店アートギャラリーで開催される。会期中の11月15日(土)午後2時30分からは、会場にてアーティスト・トークおよびインスタライブも実施予定だ。
Sunrise©RimaFujita2025
本展のテーマは、藤田が暮らす北カリフォルニアでの夜の散歩から着想を得たもの。毎晩のようにジュニパー(西洋ネズ)の並木道を歩く彼女は、その中の一本と対話を重ねてきたという。「今回の新作は、そんなジュニパーの木が夢に現れたビジョンをもとに描かれた。「木も人間と同じくこの地球に生きる存在。私たちよりも長く、深くこの星を見つめ続けている」と語る藤田は、木々が授けてくれる愛と智慧を絵筆に込めた。
Butterflies©RimaFujita2025
また本展では、今年90歳を迎えたダライ・ラマの生涯を描いた絵本『The Extraordinary Life of H.H. The Fourteenth Dalai Lama(ダライ・ラマ法王第十四世の生涯)』の一点物の版画も特別展示。藤田が描く穏やかな色彩と祈りの筆致が、法王の壮大な人生を静かに讃える。
アートを通して愛と祈りを描き続ける藤田理麻。私たちのそばに静かに寄り添う木魂の愛を、彼女の作品世界を通じて感じてみてはいかがだろうか。
◆藤田理麻 新作絵画個展「Evergreen ~木魂の愛と智慧~」
【会期】2025年11月12日(水)~11月18日(火)
【会場】伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー
【アーティスト・トーク&インスタライブ】11月15日(土)午後2時30分~
※最終日は午後4時終了
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詩楽劇『八雲立つ』——伝統と革新が織りなす舞台
2025.10.29
尾上右近、紅ゆずる、尾上菊之丞らが登場。豪華出演陣が紡ぐ神話の世界
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2025年12月29日(月)から31日(水)まで、東京国際フォーラム ホールB7にて詩楽劇『八雲立つ』が上演される。出演は、歌舞伎俳優の尾上右近をはじめ、元宝塚歌劇団星組トップスター紅ゆずる、バイオリニストの川井郁子、日本舞踊尾上流四代家元の尾上菊之丞ら。本物の装束を纏い、古典芸能と音楽が響き合う壮大な舞台が繰り広げられる。
本舞台は、“伝統と革新”をテーマに日本文化の新たな魅力を発信するプログラム「J-CULTURE FEST」の一環として上演されるもの。
古代神話に描かれた神々の物語を題材に、プロフェッショナルたちが本物の装束をまとい演じる詩楽劇『八雲立つ』は、2022~2023年の年末年始公演で大きな反響を呼んだ作品。今回の公演では、日本という国の構築に大きな役割を果たした神・スサノオの成長物語を軸に、岩長姫との魂の交わりを音楽と舞で描く。
脚本を手がけるのは、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』などで知られる戸部和久。構成・演出は、新作歌舞伎『刀剣乱舞』でも高い評価を得た日本舞踊尾上流四代家元の尾上菊之丞が担当。
須佐之男命(スサノオ)役には、歌舞伎界の若き俊英・尾上右近。岩長姫役を、元宝塚歌劇団星組トップスターの紅ゆずるが演じ、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)役に佐藤流司、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)役に和田琢磨、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)役に梅田彩佳と、ジャンルを超えた豪華キャストが集結。
音楽は、ヴァイオリニスト川井郁子と和楽器が共演。さらに石見神楽 万雷の大蛇の舞が舞台を彩り、神話世界の神秘と迫力を体験できる内容となっている。
本公演にあわせ、東京国際フォーラムで「和の伝統に親しむ」をテーマにしたワークショップも開催。いけばなや鼓(つづみ)、江戸木版画(浮世絵)、巨大書道パフォーマンスなど、日本の文化を体感できる多彩なプログラムが予定され、現在公式サイトで予約を受付中だ。
本作冒頭では、2025年の穢れを払い2026年を寿ぐ神職による修祓(しゅばつ)が執り行われ、新年を迎えるにふさわしい舞台として注目を集めそうだ。
◆J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』
【公演日程】2025年12月29日(月)〜12月31日(水)
12月29日(月) 15:00/18:30
12月30日(火) 15:00/18:30
12月31日(水) 11:30/15:00
【会場】東京国際フォーラム ホールB7(東京都千代田区丸の内3-5-1)
【出演】尾上右近、紅ゆずる、佐藤流司、川井郁子、尾上菊之丞 ほか
【脚本】戸部和久
【構成・演出】尾上菊之丞
【チケット】全席指定・税込・一般販売開始11月1日(土)10:00
SS席12,000円、S席10,000円 、A席6,000円
※未就学児入場不可
※車椅子でご来場される方は、チケット購入後にお名前・ご観劇回・座席番号をご観劇日の前々日までに stage.contact55@gmail.com までお知らせください。
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静岡市立芹沢銈介美術館で開催「型紙 美しい染物への約束」
2025.10.24
人間国宝・芹沢銈介 生誕130年記念展
「いろは文字文帯地」1958
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型絵染の人間国宝・芹沢銈介の生誕130年を記念して、静岡市立芹沢銈介美術館にて記念展「型紙 美しい染物への約束」が開催中。会期は12月7日日まで。
芹沢銈介は、生涯の師である柳宗悦と、沖縄の染物・紅型びんがたとの出会いをきっかけに染色の道を進み、独自の色彩感覚とデザインで数々の名作を生み出した。
左「鯛泳ぐ文着物」1964 右「鯛泳ぐ文着物」の型紙東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館蔵
左「いろは文字文帯地」1958右「いろは文字文帯地」の型紙東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館蔵
型染とは、渋紙を彫りぬいた型紙と防染糊を使う間接的な染色技法で、芹沢は作品そのものに加え、彫った型紙の美しさも高く評価されていた。本展では、東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館が所蔵する型紙を中心に、彼の言葉「よき型紙は美しい染物を約束する。そしてそれ自身美しい」を体現する作品群を紹介している。
芹沢銈介の家内部
国内では珍しい染色作家の美術館である芹沢銈介美術館は、およそ1,300点の芹沢銈介作品のほか、工芸品の収集家でもある芹沢のコレクション4,500点を所蔵。また併設の「芹沢銈介の家」毎週日曜・祝日のみ公開には世界各地の工芸品が展示され、芹沢の暮らしと美意識を体感できる空間となっている。
「布文字春夏秋冬二曲屏風」の型紙(1965)
完成した型染め作品とは異なる美しさを宿す型紙。時を経てもなお、“美の原点”として静かに輝き続けるその魅力に触れてみてはいかがだろうか。
◆芹沢銈介 生誕130年記念展「型紙 美しい染物への約束」
【会期】開催中2025年12月7日日
【会場】静岡市立芹沢銈介美術館静岡県静岡市駿河区登呂5-10-5
【観覧料】一般420円、高大生260円、小中学生100円
※未就学児無料
【休館日】毎週月曜日11/3、11/24は開館、11/4、11/25
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ニコライ・バーグマン×PEANUTSがコラボレーション
2025.10.15
25年と75年。ふたつのアニバーサリーが重なり合う限定品
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フラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンが手がけるオリジナルフラワーボックスの誕生25周年を記念して、誕生75周年を迎える『PEANUTS(ピーナッツ)』とコラボレーション。特別なフラワーボックス「Nicolai Bergmann meets PEANUTS.」 が数量限定で発売中だ。
(左から)フレッシュフラワーボックス Imaginary White S(11×11×H9cm) 7,700円、プリザーブドフラワーボックス Imaginary White S(11×11×H9cm) 19,800円(共に数量限定品)
今回のコラボレーションでは、『PEANUTS』の物語の奥深さを2種類のデザインで表現。楽しそうに舞い踊るスヌーピーを、きらめく箔押しで描いた“Imaginary White(イマジナリー ホワイト)は、華やかで心弾むデザイン。⾒る⼈の⼼を解き放ち、無限の想像⼒を掻き⽴てる。
(左から)フレッシュフラワーボックス Journey Black S(11×11×H9cm) 7,700円、プリザーブドフラワーボックス Journey Black S(11×11×H9cm) 19,800円(共に数量限定品)
もう一方は、スヌーピーとウッドストックのコミックのワンシーンを、マットブラックにあしらった“Journey Black(ジャーニー ブラック)”。ボックスの側面や底面には、75個のスヌーピーの足跡と25個のウッドストックの足跡が散りばめられ、過去から未来へと続く“旅路”を象徴している。
今なお世界中で愛される『PEANUTS』と、フラワーデザインを通して感動を届けてきたニコライ バーグマン。節目の年を迎えた両者による、今だけのフラワーボックス。ぜひお見逃しなく。
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【開催中〜1/18(日) 東京都・東京都庭園美術館】
2025.10.9
「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ー ハイジュエリーが語るアール・デコ」
絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
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詩情あふれるデザインと卓越したクラフツマンシップで世界を魅了するハイジュエリー メゾン、ヴァン クリーフ&アーペル。その創造性と美学に迫る展覧会「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ」が、東京都庭園美術館にて2026年1月18日(日)まで開催されている。
東京都庭園美術館 本館 正面外観 画像提供:東京都庭園美術館
コルレット 1929年 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド エジプトのファイーザ王女旧蔵 ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
本展は、1925年の「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称 アール・デコ博覧会)」の100周年を祝して企画されたもの。同博覧会の宝飾部門でグランプリを受賞した、ヴァン クリーフ&アーペルの《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》(1924年)をはじめ、アール・デコ期に制作されたハイジュエリーや個人蔵の作品、さらにメゾンのアーカイブ資料が一堂に会する。
東京都庭園美術館 本館 大客室 画像提供:東京都庭園美術館
会場となる東京都庭園美術館は、1933年に建てられた旧朝香宮邸をそのまま公開している美術館。朝香宮夫妻の依頼で設計されたアール・デコ様式の意匠が、今もほぼ当時のままの姿で残されており、その空気を体感できる希少な建築である。アール・デコ博覧会100周年を記念する舞台として、まさにふさわしい場所といえるだろう。
カメリア ミノディエール 1938年 イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ルビー ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
クリサンセマム クリップ 1937年 プラチナ、イエローゴールド、ミステリーセットルビー、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
展示は4章構成となっており、第1章ではアール・デコ期のハイジュエリーを、第2章では1920年以降にメゾンが追い求めた新たな造形的展開を紹介。続く第3章ではモダニズムの魅力を伝える多様な作品、さらに第4章では、ヴァン クリーフ&アーペルに現代まで継承される「サヴォアフェール(匠の技)」を、五つのセクションに分けて紹介する。
シャンティイ ジップ ネックレス 1952年 イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
アール・デコ様式を今に伝える空間で、100年の時を超えて輝くジュエリーと匠の技を体感できる展覧会。入場は日時指定予約制となるため、事前に展覧会特設サイトでチケットを購入し、足を運んでみてほしい。
◆「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ー ハイジュエリーが語るアール・デコ」
【会期】開催中~2026年1月18日(日)
【会場】東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
【開館時間】10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
※一部夜間開館日あり:11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)、12月5日(金)、6日(土)は20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)
【休館日】毎週月曜および年末年始(12月28日~1月4日)
※祝日の月曜日(10月13日、11月3日、24日、1月12日)は開館、翌日の火曜日(10月14日、11月4日、25日、1月13日)は休館
【観覧料】一般 1,400円、大学生 1,120、高校生・65歳以上 700円 ※日時指定予約制
※中学生以下は無料(予約不要)
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Events
【10/17(金)〜11/3(月・祝) 東京都・銀座】
2025.10.4
茶道・アート・美食が街を彩る銀座の秋まつり「オータムギンザ2025」
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茶道からアート、音楽、グルメ、ナイトカルチャーまで、銀座の街に多彩なハーモニーを奏でる秋恒例のイベント 「オータムギンザ2025」 が今年も開催。2025年10月17日(金)から11月3日(月・祝)までの18日間にわたり開催される。
23回目を迎える今年のコンセプトは「奏(そう)」。街を歩く人々の心を弾ませ、銀座が一体となってハーモニーを描き出す。
10月26日(日)に開催されるのが、銀座の通りがの野点へと変わる人気企画 「銀茶会」。銀座通り周辺の12カ所で、茶道六流派と煎茶道による茶席や「茶道はじめて体験」を実施。こちらは事前申し込み抽選制となり、10月8日(水)まで申し込みを受け付け。10月15日(水)に抽選発表される。
また、銀座の銘店が趣向を凝らし、この日限定で登場するオリジナル和菓子も見逃せない。松屋銀座と銀座三越では、オリジナル菓子の一部(6個入り 2,700円)がセット販売される。
※写真は2024年の最優秀作品
10月23日(木)から27日(月)までの期間、銀座三越9階銀座テラスには、建築を学ぶ学生がデザインした茶室の最優秀作品を原寸大で設置。実際に茶席として使用される予定だ。
60年近くの歴史を持ち、銀座の街を華やかに彩る「秋の銀座 交通安全ゴールデンパレード」は10月19日(日)に開催。警視庁の交通安全パレードと、東京都吹奏楽連盟による迫力あるパフォーマンスを楽しめる。今年は東京国際映画祭が同時期に開催されることから、映画音楽もレパートリーに加わるという。
田中孝明「essence」/emmy art +(左) 髙田安規子・政子「Spectrum」/資生堂ギャラリー(右上) 鎌田克慈・鎌田奈緒美「UNERI red」 / KOGEI Art Gallery 銀座の金沢(右下)
このほか、銀座に息づく小さな神社やお地蔵さまを参拝する「銀座八丁神社めぐり」や、銀座を代表する和・洋・中の名店41店舗の特別コースが味わえる「ダイナースクラブ 銀座レストランウィーク 2025 Autumn」、銀座のバー17店舗が、期間限定でジントニックを1杯1,650円(各店1杯のみ)で提供する特別企画「オータム・ギンザ・ナイト」、銀座の画廊をガイドが案内する 「アフタヌーン・ギャラリーズ」なども開催。
ひんやりとした空気が心地よいこれからの季節、秋の銀座でそぞろ歩きを楽しんでみてはいかがだろうか。
銀座の秋まつり「オータムギンザ2025」
【期間】2025年10月17日(金)~11月3日(月・祝)
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2025.10.4
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アート探訪記~展覧会インプレッション&インフォメーション
2025.9.29
銀座・和光 江戸指物、その奥深き世界「木工芸家 島崎敏宏の仕事 蘇れ御蔵島桑」
一般的な江戸指物技法から離れ、かなり斬新な技法を取り入れた作品 神代杉提箱 16.5×37×23.3㎝
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銀座・和光「セイコーハウスホール」では、江戸指物の家系に生まれた、島崎敏宏さんの若い頃から現在にいたるまでの作品を展示する個展が開催されている。題して「木工芸家 島崎敏宏の仕事 甦れ御蔵島桑」。日本工芸会正会員の島崎さんの代表作である、桑材の最髙峰「御蔵島桑」を用いた小箱や硯箱から、手鏡やステッキなどの小物まで、50点以上の作品が揃った。脈々と伝えられてきた伝統技術と、島崎さんが独自に到達した卓抜の技との絶妙な融合。それはまさに、江戸指物の真髄そのものといえよう。
飴色に輝き、美しく浮かびあがる木目
さまざまな形の作品が並んでいる。どの作品もピンスポットの光を受け飴色に輝き、美しく浮かび上がる木目が饒舌に語り出す。木目が描き出す複雑な文様は、樹木が重ねた長い歳月そのもの。自ら手掛けた作品を彩る木目に触れながらも、手掛けたご本人から出た言葉は意外なものだった。
「丸太ごと入手した銘木の、どこをどのように切れば、どのような木目が現れるか。それはじつは切ってみないと分からないことの方が多いのです。『面付(つらつけ)』というこの工程は、いつもどきどき、わくわくの連続です」
そう語るのは、江戸指物の家系に生まれた、木工芸家の島崎敏宏さん。江戸指物に60年以上携わる島崎さんでも、原木からは木目を完全に把握できないとは……。「切ってみてこんなはすではなかった、という大失敗もありましたよ」
『面付』が施され、板材となった銘木は10年から20年ほど寝かせ、ようやく指物に使うことができる材となる。
「板材のことを『板(ばん)もの』と私たちは呼んでいますが、寝かせておいた板ものをどのように使って、どんな作品にするか。千差万別の木目を作品のどの部分に用いるか。江戸指物の良し悪しを左右するのがこの『木取り』と言われる作業です」
端正な形状の小箱のそこかしこに、卓抜の技が秘められている。御蔵島桑水輪床脚小箱 12×16.4×7.4㎝
指物は、江戸時代から脈々と伝え続けられてきた伝統技法
ここで少し、江戸指物のことに触れておきたい。「指物」とは伝統的な日本の木工技法で、釘などの金具を一切使わず、「ほぞ」と呼ばれる凹凸で部材を接合していく独特の工法と、それによって出来上がった箱物などを指す。建具や家具などを手掛けていた大工職としての仕事が、次第に専門化していったと言われている。
京都で発達した京指物が、蒔絵や螺鈿などの加飾を施し優美であるのに対し、江戸指物は加飾を行わず、木目の繊細な美しさと漆仕上げの堅牢さを大切にする。以前から存在していた「京指物」という言葉に対抗し、「江戸指物」という言葉が生まれたのは昭和40年代半ばと、それほど古くはないが、指物の技法そのものは、江戸時代半ばから脈々と伝え続けられてきた。
加飾を一切行わず、漆仕上げによる木目の美しさが際立つ江戸指物は、「江戸の粋」そのものとも言われている。御蔵島桑拭漆提箱 13.3×32×20.3cm 提箱(さげばこ)は、手提げの付いた箱のこと。
「御蔵島桑」ならではの独特の美しい木目と、「ほぞ」を支える粘り強い木質
江戸指物に使われるさまざまな木材のなかで、島崎さんが最も重宝しているのは「御蔵島桑」と呼ばれる特別な桑である。名前の通り、伊豆諸島を構成する島のひとつ、「御蔵島」産とその隣の「三宅島」産の桑の名称だ。
「ほかの産地の桑材には決して見られない、独特の美しい木目が特徴です。その木目が、歳月を重ねるほどに変化を遂げていきます。原木を切り出したときは黄色がかっていますが、次第に赤くなり、100年経つと赤味が増した、とても趣のある色合いになっていきます。また、粘りが強い木質であることも特徴のひとつです。粘りが強いからこそ、『ほぞ』を小さくしても折れたり欠けたりすることはありせん」
釘を使わずに木と木をつなぎ合わせるための「ほぞ組」。日本の伝統的家屋でも柱と梁は、ほぞ組で接合されているが、この場合の「ほぞ」はかなり大きい。一方、江戸指物の場合は極めて小さな「ほぞ」と「ほぞ穴」を作り、ミリ単位以下の精密さで組み合わせていく。
用いる場所によって、「ほぞ」の形状や角度はさまざま異なる。こうした「ほぞ組」の技術を駆使して、何枚もの板がつなぎ合わされ、立体となる。しかも、つなぎ目が決してゆるんだりがたつくことのない、極めて堅牢な立体ができあがる。
「ほぞ」と「ほぞ穴」がミリ単位以下で組みあうことで、ふたつの木材が強固に接合される。「ほぞ組」は、先人の知恵が生んだ素晴しい技法。ⒸTomoya Nomura
表は木綿でも内は絹
「表は木綿でも内は絹」江戸指物を象徴する言葉として、島崎さんがこんな言葉を教えてくれた。
「もとは江戸っ子の羽織のことを指す言葉だったようです。羽織の表は飾らず木綿で地味に、その一方で裏地には絹を使って派手に。つまり見えないところに手をかける江戸っ子の粋です。この言葉は、江戸指物の持つ精神性とまったく同じです」
「見えないところに手をかける」、その象徴が「ほぞ組」だ。精巧な「ほぞ組」を駆使して板と板を組んでも、残念ながら「ほぞ」は隠れてしまい、けっして表には現れない。島崎さんの作品のどれもがそうだ。まるで接着剤で貼り合わせたかのように、板と板との端がぴったりと組み合い、端正に納まっている。その多くが薄い板である。この薄い板同士のどこに「ほぞ」と「ほぞ穴」が作られているのだろうと、作品をつぶさに見れば見るほど、不思議な気分に捉われる。まさに、見えないところに、精魂を込めた技が込められている。それが江戸指物の粋だ。
板を組み合わせたとは思えない、柔らかな丸みを帯びた独特の形状
展示会場には、少し変わった趣の作品もある。指物は、板と板を接合していく工法のために、直線が主体の作品が多い。ところが、その作品はどちらかと言えば柔らかな曲線が主となり、全体的に丸みを帯びたフォルムで優しくたたずんでいる。
「これが指物?一木から刳りだしたものなのでは……」
そう思い近くで仔細に眺めると、面と面のつなぎ目に微かな細い線が入っている。面と面がつないである証だ。島崎さんは、我が意を得たりと微笑む。
円やかなで優美なフォルムは、木を曲げるのではなく、板と板を組み合わせて曲面を作り出す高度な技術が可能にした。側面の凹みだけは、その部分を刳って仕上げられている。茶神代欅箱「ふくろく」28×21×20㎝
「指物は直線が主体の箱物、という一般的な見方を覆したかったのです。おおらかな柔らかさを、木目とともに表現できたら、そんな想いです。こうした曲線を取り入れた指物は『曲物(くせもの)』と呼ばれて、かなり高度な技術が求められます。父は『一流の指物師は、曲物を作れるようになって一人前だ』と言っていました。こうしたことができる指物師は少なくなりました」
蓋を開けると、いくつも積み重なった可愛らしい抽斗(ひきだし)が現れる小箱。柔らかなカーブを描く箱の4辺も、やはり「ほぞ組」で4枚の板をつないで作られている。島崎さんの指物技術の粋がいたるところに込められた作品。御蔵島桑拾杯抽斗箱「蓮祈」26×12.2×13.5㎝
従来の指物の概念から離れた、一風変わった表情の作品は、寄木の手法を用いて作られている。神代彩線木画箱 26×12.213.5㎝
伝統的な江戸指物から、あえて少し距離を置いた若きころ
やはり指物師であった父、柾成氏に師事した島崎さんは、若い頃は江戸指物を手掛けながらも、あえて伝統的な形状の指物からは少し距離を置いたものを作っていた。
「父が伝統的な作品を作って公募展に出していましたから、私が同じ方向のものを作らなくてもよいのでは、と思っていました。ただ、今では、他の指物師が手掛けないような作品も作りつつ、次代に伝えるためにも、伝統的な形状の江戸指物も作り続けていかなければならないと、改めて思っています」
大切な自分の道具を、自由に使わせてくれた父に感謝
工房は、まさに家内制手工業的な雰囲気だったため、かつて島崎さんは父と膝を並べて作業に取り組んでいた。
「嬉しかったのは、父が自分の道具を自由に使わせてくれたことです」
職人は作品の出来具合を大きく左右する道具を、とても大事にする。名人とも言われた父の道具を使うことができたのは、若き日の島崎さんにとってはとても重要なことだった。
父が使っていた道具は、今ではほとんど無くなってしまった。その代わり島崎さん自身が、数多くの道具を自ら作った。そのうちの多くが、鉋(かんな)である。
「ごくごく狭い場所を、細く薄く鉋がけしなければならない場合も生じます。そんな時は極めて小さな鉋で、ほんのひと削りします。このように、どんな場合でも対応できるように、鉋は百種類以上準備しています」
展覧会場には、自作道具のごく一部が展示されている。さまざまな形と大きさの鉋を見た後に、もう一度作品に向き合うと、そのひとつひとつが一段と輝きを増してきたような気がしてきた。
鉋をはじめ、驚くほどたくさんの道具が整然と並ぶ工房にて。繊細な指物細工には、用途に応じたさまさまな道具が必要不可欠となる。ⒸTomoya Nomura
◆アート探訪記~展覧会インフォメーション
江戸指物 木工芸家 島崎敏宏の仕事 ──蘇れ御蔵島桑──
会期:2025年9月26日(金) 〜 2025年10月5日(日)
時間:11:00 – 19:00 最終日は17:00まで
- 場所:セイコーハウス 6階 セイコーハウスホール
櫻井正朗 Masao Sakurai
明治38(1905)年に創刊された老舗婦人誌『婦人画報』編集部に30年以上在籍し、陶芸や漆芸など、日本の伝統工芸をはじめ、さまざまな日本文化の取材・原稿執筆を経た後、現在ではフリーランスの編集者として、「プレミアムジャパン」では未生流笹岡家元の笹岡隆甫さんや尾上流四代家元・三代目尾上菊之丞さんの記事などを担当する。京都には長年にわたり幾度となく足を運んできたが、日本文化方面よりも、むしろ居酒屋方面が詳しいとの噂も。
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