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これを食べなきゃ人生ソンだよ
2026.6.4
週に一度は食べたくなる「唐揚げ定食」、東京のベスト5はここだ!
子も子供もおっさんも大好きな「唐揚げ定食」、東京のベスト5はここだ!
まー、日本人でコレが好きじゃない輩はあまりいないだろう。鶏の唐揚げである。今回は、「末げん」、「やき鳥 宮川」、「とん汁と唐揚げの専門店 ばくばく田町・三田店」、「一番唐揚げ」、「西荻もがめ食堂」を紹介する。
唐揚げとひと言で言っても、そのバリエーションはさまざまだ。
例えば、味付けに限っても、
・ショウガ醤油ベースの王道
・ニンニク醤油のパンチ系
・塩味
と分かれる。その上で、揚げの技術と鶏の肉質が問われるのだ。大抵は、二度揚げしてカラリと仕上げるのがほとんどだ。
では、今日も元気に行ってみよう!
正統的に旨い「末げん」は
東京のベストなんだろな
以前、抜群の親子丼(かま定食)の店として紹介したことがある。三島由紀夫が割腹自殺をはかる前夜、最期の晩餐を囲んだ店として知られる。
筆者が親子丼を食べていた時、隣のおっさんがネクタイを緩めて、唐揚げにハフハフとかぶりついていた映像が、ワシの脳味噌にこびりついて離れなかった。
いや、そのおっさんの食いっぷりに興味を持ったんじゃなくて、黄金色に輝く鶏の唐揚げが強烈に旨そうだったのである。
今回、鶏の唐揚げ定食巡りをしてみようと思ったのも、「末げん」の唐揚げの映像のせいなのだ。
というワケだが、この店、ランチ時は近隣のサラリーマン男女で入り乱れる。7割ぐらいの客は親子丼目当てだが、唐揚げ定食を頼むのは、やはりおっさんか若者が多い。
お膳に載って一揃いがやって来た。
「末げん」のから揚げ定食
まずは鶏スープを飲む。鶏専門店だけあって、こいつは普通に旨いねえ。具はナメコと白ネギが少々。
肝心の唐揚げなんだが、見事に黄金色だ。ガブリと行ってみた。素晴らしい!衣はカリカリで実に香ばしく、油をまったく感じさせない。醤油と生姜による下味の按配が絶妙だ。そして驚くべきは鶏肉の瑞々しい柔らかさと甘さである。
要するに、これは天下一品の唐揚げだと思った。
隣のテーブルを見ると、おっさんが二人でやって来て、二人とも親子丼を食べているのだが、単品の唐揚げ(5個)を二人でシェアしておった。なかなかやりおるのお。最高の組み合わせじゃねえの。
その証拠に、食べ終えると、思わず「ああ~、満足したあ」と言って深く息を吐いた。次回は自分もそうしてみたいと思った。そして、「たつた揚げ定食」も激しく気になるのだね。
「末げん」の入口
末げん
東京都港区新橋2-15-7
エスプラザビル1F
℡03-3591-6214
月~金:11:30~13:30、17:00~22:00
土:17:00~21:00
定休日:日曜・祝日
から揚げ定食 1900円
たつた揚げ定食 2000円
いやいや、「やき鳥 宮川」も
甲乙つけがたい店だ
「末げん」が東京で一番と言ったが、こちらも東京を代表する名店の一つだ。
昼時には、一巡目で入りたい客が開店前から列を成す。創業は昭和24年で、都内にいくつかある「やき鳥 宮川」の総本店のようだ。
席にはあらかじめ、つけ汁のポン酢を入れた器が一人に一つずつ置いてある。たまに「やきとり丼」の客もいるが、ほとんどは「から揚げ定食」だな、やっぱり。
あたしゃ、初めてだったので、先に入った隣の席の常連らしき妙齢のおばちゃんのやり方を観察した。
まず、鶏スープを飲む、次いで、唐揚げが盛られた平皿にスペースを作ってそこに塩を盛る。次に、唐揚げの脇のネギをポン酢の中に浸している。名物の白い唐揚げを、まずは塩をつけてガツガツと食べた。骨付きの部位も塩をつけ、手掴みでワシワシ食う。そんで、ポン酢にやっと移行してネギとともに食う。
ワシもそれに倣ってみた。
「やき鳥 宮川」の白い唐揚げ
白い粉を吹いた唐揚げは、モモとムネが合わせて3個で手羽先が2個。サクサク感がいつまでも保たれていて、肉はとても柔らかい。下味は塩程度だから、肉の味がダイレクトにする。とても上品な仕上げだ。それだけでも行けるが、各種の味変をするとさらに楽しめる。
まずは塩、その次には目の前にあった山椒の粉を混ぜてみた。うむ、絶対にこっちのほうがよろしい。続いて醤油をかけてみたが、これもいい。最後にポン酢だが、ポン酢は酸味がピリリと強めに効いていて、ネギと一緒に食べるところがいい。
ベースが塩味だからこそ、いろんな味変が楽しめるのである。ここの唐揚げは一つの傑作と言うべきものだな。そんで、スープもご飯もお代わりができて、目の前の坪漬けも食べ放題だ。この店が人気なのもよくわかるわ。「末げん」と同じように女性客も多かった。
「やき鳥 宮川」の入口
やき鳥 宮川
東京都中央区日本橋茅場町3-5-1
℡03-3668-7080
11:00~13:30、17:00~22:00
定休日:土日祝
から揚げ定食 1200円
手羽先定食 1100円
やきとり丼 1100円
「とん汁と唐揚げの専門店
ばくばく田町・三田店」は客ファーストNo.1
ちと不便な場所にあるね。田町駅からも三田駅からも歩いて8分ぐらい。しかし、客は続々とやってきては、14時に着いても2人が並んでいた。恐るべし。
それもそのはずである。なんたって、豚汁と唐揚げのセットですぜ、奥さん。これ以上にカンペキな組み合わせはないじゃろうが。あたしゃ、店名聞いただけで、随喜の涙を流したよ(爆)。
この店はなんせ心憎いぜ。だって、選べるメニューが、とん汁「大」とごはん定食、とん汁「小」とからあげ定食、とん汁「大」とからあげ定食に分かれている。しかも、からあげの個数を1個から4個まで選べると来たもんだ。
これぞ、お客ファーストってなもんだ。
しかも、席について驚くのは、味変用の調味料が目の前に5種類も置いてある。自家製ラー油、さば・いわし魚粉、ピリッと七味、しびれる四川山椒、マヨネーズ1本!凄くないすか?
ワシは例によって、とん汁「大」のからあげ4個の最大量で臨んだ(笑)。
「とん汁と唐揚げの専門店 ばくばく田町・三田店」のとん汁「大」とからあげ定食
来ましたで。
最初はとん汁だ。これが大根、ゴボウ、ニンジン、コンニャク、豆腐、ネギと具沢山で、出汁は魚粉を感じる濃い味わいでなかなかよろしい。こだわりの「佐野みそ」のオリジナルブレンドを使っているのだそうのだ。
肝心の唐揚げは丸く、こんがりと揚がっている。形がいい。こりゃ、マズイわけがないと思ってかぶりつくと、やはりニンニク生姜醤油が効いている。揚げ方も抜群にいいから、これはかなり旨い。
で、さっそく味変してみた。ラー油と魚粉は避けた。で、七味だけ➡七味の上にマヨと食ってみた。すると後者がはるかに旨い。続いて、山椒だけ➡山椒の上にマヨとやったが、やはり後者がいいのである。
しかし、極めつけは店もそう薦めているが、七味+山椒+マヨ、こいつが最高に旨かった。やってみて欲しい。
しかし、周囲を見渡すと、8人のうちマヨをかけているのは、ワシを含めておっさん3人だけ。あれ~?世の中ってあんまりマヨラーじゃねえのかなあ?
しかし、一人のおっさんはマヨをたっぷりかけて、連れの女性に、かぶりつくたびに「うまッ」「うまッ」と叫ぶ姿に、自分を見るようでとても好感が持てた(笑)。
ご飯にも自信があるらしく、「魚沼産に勝るとも劣らない」会津坂下(ばんげ)コシヒカリを使用しているとのこと。さて、米粒は確かにキレイなのだが、いかんせん炊き方がよくない。ちと水が多すぎるのか、ベッタリしておった。炊き方変えれば、完全無欠になるのに、そこだけザンネン。
でも、客思いがビンビンに伝わってくる、い~いお店です。
「とん汁と唐揚げの専門店 ばくばく田町・三田店」の入口
とん汁と唐揚げの専門店
ばくばく田町・三田店
東京都港区芝4-9-8
サンワイド高橋ビル1F
℡080-3733-8989
月~金:11:30~15:00、17:00~20:00
とん汁「大」とごはん定食 870円
とん汁「小」とからあげ定食 からあげ2個 950円~4個1310円
とん汁「大」とからあげ定食 からあげ1個990円~4個1350円
「一番唐揚げ」は不思議な店だが
味は間違いないぜ
池袋サンシャイン60のそばにある。有楽町線・東池袋駅からは近いが、池袋駅から歩くと、まあ結構な距離だ。
不思議な店である。まず、入口は暗幕で光を遮断してあり、店内も片方の壁面の半分くらいが布で覆われている。なんだ、紫外線アレルギーなのか? だから、店内は電球の灯りのみで薄暗い。
稼働しているのは壁に向かってたったの6席だけ。ホーンテッド・レストランかよ(笑)。ちと気後れする。席に着いてよく見ると、薄暗いせいか、清掃は行き届いていない(苦笑)。
もう片方の壁の黒板には、バナナマンの日村が来たとか、「出川一茂ホラン」の番組で紹介されたとか、ワシはそんなヤツは誰だか知らんが、JO1の川尻と佐藤が来たとか、白いチョークで矢鱈と誇示してある。結構、ミーハーなんだね(笑)。
要するに、テレビにしばしば登場する、東京を代表する唐揚げの店の一つとして有名なのだ。
不思議な店だから、女子は入りづらく、客はヤロウしかいない。で、客は大体、ニンニク醤油がガツンと来る一番人気の「極もも唐揚げ定食」か、醤油ももと塩むねの両方が食べられる「一番唐揚げ定食」を頼んでいる。あたしゃ、とりあえず後者だ。
当たり前だが、厨房からシャーシャーと揚げ物の音が絶えず聞こえてくる。15分ほど待ってやって来た。アツアツである。やっぱり、モモ肉と胸肉の両方が食べられるのは嬉しい。
「一番唐揚げ」の一番唐揚げ定食
まずは「塩むね」だが、衣は柔らかく、肉は淡泊だが非常にしっとりしている。火入れが上手い。何もつけなくても行けるが、店が勧めるワサビ醤油をつけると、さらに良くなる。筆者はマヨラーなので、その上にマヨをつけたらもう言うことなしにハッピーだ。
もちろん、マヨは30円で追加する(笑)。
「醤油もも」はやや褐色で、衣はカリカリサクサクしている。香ばしいくらいまで揚げてある。肉質は弾力性があって肉汁が豊かだ。ワサビ醤油をつけるとさっぱりした味わいになる。やはり、筆者はもも肉のほうが好きだな。
気になったので後日、「極もも唐揚げ定食」を食べに再訪した。
やはり揚げ方が滅法上手い。ニンニクの味はするが、ニンニク好きのワシとしてはもっとガンガン来てもいいと思った。こちらはワサビ醤油はなくて、マヨしかついてこない。確かに、さらに醤油はいらないほどの味の濃さがある。
かなり大きめの塊で4個盛りなのだが、形はほぼ球状でゴルフボールくらいの大きさか。中まで火はしっかりと通っているが、肉汁はちゃんと残っていて、実に柔らかくて旨い。かなり満足度が高いことは間違いない。
ちなみに大盛り無料の白米が非常に旨いことも言い添えておきたい。
定食は全部で10種類もある。醤油ももだけのもの、塩むねだけのもの、「チキン南蛮定食」に「ラーメン唐揚げセット」、「鶏唐揚ひつまぶし膳」なんてものもあるから、通ってみたくなるねえ。
「一番唐揚げ」の入口
一番唐揚げ
東京都豊島区東池袋3-11-9 三島ビル1F
℡03-6709-2939
平日:11:30~15:30、18:30~22:30
土祝:12:00~15:30、18:30~22:30
一番唐揚げ定食 1100円
極もも唐揚げ定食 1290円
チキン南蛮定食 1150円
ハッピーオーラも味わえる
「西荻もがめ食堂」に行くべし
ここに来るたびに、客を満足させたいという店の気概に圧倒される。店自体にハッピーオーラがあるのだ。まだ未訪の人は、一度でいいから訪れてみてほしい。
大きめのグラスに注がれた麦茶は何度も注ぎ足してくれるし、何と言ってもすべてのメニューに日替わりで小鉢が4つも付いてくるのである。この日はポテトサラダ、白菜の漬け物、もずく、厚揚げの煮物だ。東京広しといえども、こんな店には出くわしたことがない。
しかも、このご時世で、白米は2回までおかわりができて(これが実に旨い!)、味噌汁だって白菜、シメジ、ワカメと具だくさんで(出汁はちと薄いが)、こちらの健康を気遣ってくれるというのか、ケチくさくないのである。まー、プチ感動するわな。
偉大な店だ。
「もがめ食堂」の ”鶏からあげ定食”
さて、肝心の「鶏からあげ定食」はゴロリとした唐揚げが5個に、たっぷりで瑞々しい千切りキャベツが添えられている。唐揚げは王道のショウガ醤油味で、周りカリカリの中はしっとり。余熱で中までしっかりと熱を入れて休ませているから、肉汁でやけどするようなことはない。旨いね~。
普通は、ケチくさい漬け物が付くぐらいだから、まー、3個目ぐらいにはちょっと飽きが来るのだが、そこはなんせ4種の小鉢を挟むことで、口に飽きは来ないのである。また言うけど、偉大な店だ。
メニューも豊富にある。スタッフも親切この上なく、駒場東大前にある某有名定食屋の塩対応とは雲泥の差がある。この定食屋をホメるヤツの気が知れん(苦笑)。
なにしろ、客はみなが楽し気で、どの顔も満足で輝いているのが壮観だ。西荻窪の住民が心底うらやましいわ。
「もがめ」の入口
西荻もがめ食堂
東京都杉並区西荻南3-7-7
西荻日伸ハイ103
℡03-5346-0360
11:30~14:30、17:30~20:30
鶏からあげ定食 1400円
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
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“奇想の絵師”、国芳ワールドを京都で体感
2026.6.2
京都市京セラ美術館で開催「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」
「相馬の古内裏」弘化2-3年(1845-46)頃 個人蔵
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“奇想の絵師”として知られる浮世絵師、歌川国芳。その多彩な才能に迫る展覧会「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」が、2026年7月18日から9月23日まで、京都市京セラ美術館で開催される。
「宮本武蔵と巨鯨」弘化4年(1847)頃 個人蔵
江戸時代後期に活躍した国芳は、美人画、役者絵、風景画と、どのジャンルを描いても一級品を生み出す、まさに浮世絵界のスーパークリエイター。本展では、そんな“オールラウンダー”である国芳の超有名作品はもちろんのこと、類い稀な才能が遺憾なく発揮された作品群、約200点を展示。多彩な活躍ぶりを、映画や芝居を見るように楽しめる6幕構成で紹介していく。
「本朝水滸伝豪傑八百人一個 天眼礒兵衛 夜叉嵐」天保2年(1831)頃 個人蔵
「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」嘉永4年(1851) 個人蔵
第1幕「KUNIYOSHI’s アクション!」では、国芳の最初にして最大級のヒットジャンルとなった武者絵が登場。3枚続きの『続絵(つづきえ)』も多数展示され、画面いっぱいに広がる映画のような臨場感を楽しめる。
「源頼光公舘土蜘作妖怪図」天保14年(1843) 個人蔵
第2幕「KUNIYOSHI’s モンスター!」に並ぶのは、国芳の代表作「相馬の古内裏」をはじめ、奇想天外な怪物や妖怪を描いた作品。西洋の解剖図を参考にしたと思われる骸骨など、卓越した描写力も見どころだ。
「十賢女扇 祇園梶」弘化元-4年(1844-47)頃 個人蔵
第3幕「KUNIYOSHI’s ビューティー!」では、美人画を展示。国芳の美人画は動作が大きく、健康的かつ爽やかな色気が特徴的。さらに、染物屋生まれならではの、こだわりを感じる着物の柄にも注目したい。
「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」弘化元-2年(1844-45)頃 個人蔵
「東都名所 佃嶋」天保初期(1831-33)頃 個人蔵
「人かたまつて人になる」弘化4年(1847)頃 個人蔵
このほかにも、役者の表情や特徴を見事に捉えた役者絵を集めた「KUNIYOSHI’s ハンサム!」、西洋絵画の表現を取り入れた風景画を紹介する「KUNIYOSHI’s ヴィジョン!」、そして、人を集めて人に仕立てたり、猫が集まって文字を作ったり、国芳の真骨頂ともいえる戯画が並ぶ「KUNIYOSHI’s アイデア!」へと続き、国芳の幅広い表現世界を体感できる。
「猫の当字 ふぐ」天保末(1841-43)頃 個人蔵
さらに会場では、イマーシブ(没入型)アート映像も公開され、多才・多彩な国芳ワールドを全身で味わえる演出も用意されている。江戸っ子たちを喜ばせるため、エンターテインメントに徹した歌川国芳。稀代のクリエイターの熱量に、現代に生きる私たちも大いに心揺さぶられるはずだ。
◆浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展
【会期】2026年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
【会場】京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階
【開館時間】10:00~18:00(入場は17:30まで)
【休館日】月曜日
※ただし7月20日(月・祝)、9月21日(月・祝)は開館
【料金】
当日:一般 1,900円、高大生 1,400円、小中生 700円
前売り・団体:一般 1,700円、高大生 1,200円、小中生 500円
前売りペア券 3,000円(2枚1組での販売。1枚ずつでの使用可) 1,000組(2,000枚)限定販売
展覧会オリジナル柄 京友禅「おふき」付きチケット 2,800円 1,000枚限定
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Features
「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」クラブフロア特典を拡充
2026.6.2
“日本を旅する”朝食で、より豊かな滞在を
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東京・紀尾井町のラグジュアリーホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」が、スイート、グランドデラックス、クラブフロア宿泊者向けの特典をアップグレード。より上質で心満たされる滞在体験を提案する。
新たに加わるのは、“日本を旅する”をテーマにした特別な朝食と、専用ウェルカムアメニティ。
朝食の会場は、窓一面に東京の街並みが広がる35階の「WASHOKU 蒼天 SOUTEN」。
※写真はイメージです。
※写真はイメージです。
日本列島10エリアから選りすぐった郷土料理に加え、手巻き寿司を楽しめる和朝食、さらに日本各地の厳選素材を取り入れた洋朝食が並び、絶景を眺めながら好きなものを堪能できる。
ウェルカムアメニティ イメージ
また、新たに用意されるウェルカムアメニティに加え、SPA & FITNESS KIOIのプール・フィットネスジムのほか、温浴施設も無料で利用可能。シューシャインサービスや専用ミーティングルーム利用などのサービスも引き続き提供される。
クラブラウンジ イメージ
近年、ホテルを旅の目的地として楽しむ滞在スタイルが広がるなか、日本各地を巡るような食体験や、絶景に身を委ねながら疲れを癒せるSPA体験など、滞在を豊かに彩るプログラムを用意。東京の空を望む特別な空間で、より優雅な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。
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【管理栄養士が回答】「果物は身体にいい」と思われがちですが、ダイエット中は注意が必要です。果糖は中性脂肪になりやすく、食べ方次第では逆効果になることもあります。果物売り場で選ぶべきもの、避けるべきものを解説します。(※画像:Shutterstock.com)
Features
グッチ ジャルディーノ×SAKE HUNDRED。100本限定「密花」誕生
2026.5.28
伝統と革新が交差する、珠玉のスパークリング日本酒
伝統を礎に常に新たな美を追求するグッチ ジャルディーノと、日本酒の未来を切り拓くSAKE HUNDRED。両者のスピリットが響き合い、新たなスパークリング日本酒『密花』が誕生。2026年6月3日(水)より、大阪・梅田の「グッチ ジャルディーノ」と、東京・銀座の「グッチ オステリア トウキョウ」にて100本限定で販売される。
密花 720ml 198,000円(2026年6月3日(水)より、グッチ ジャルディーノ及びグッチ オステリア トウキョウにて販売開始)
“薫り立つ、伝統と革新の結晶。”をコンセプトに、3年以上におよぶ開発を経て誕生した「密花」は、熟成酒と新酒のスパークリングをブレンドしているのも特長だ。原料の一部には、SAKE HUNDREDの15年氷温熟成ヴィンテージ『礼比』を使用。そこに、瓶内二次発酵の日本酒をブレンドすることで、熟成酒の奥行きに新種の軽やかな発泡が重なり、唯一無二の味わいを生み出している。
外観は輝きのあるレモンゴールド。バターを思わせる甘やかなアロマに、ハーバルなトーンやナッツのニュアンスが重なり、口当たりは絹のようになめらか。濃醇な果実味と旨味を酸味が引き締め、多層的でエレガントな味わいに仕上がっている。
「礼比」醸造パートナー 永井酒造
醸造を手がけるのは、群馬県川場村の永井酒造。フランスのシャンパーニュ地方で学んだ「スパークリング」や「ヴィンテージ」といった概念をいち早く日本酒に取り入れた酒蔵として知られ、日本酒の奥深さと新たな魅力を世界に発信し続けている。
ペアリングには、ウニやトリュフ、オマール海老、スパイシーなトマトソースやクリーム系ソースを使った料理など、しっかりとした味わいの食材がおすすめ。魚介を使ったイタリアンや、メインディッシュに近い料理とも相性がよい。
グッチ ジャルディーノ
【住所】大阪府大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT
グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ
【住所】東京都中央区銀座6-6-12 グッチ並木 4F
グッチ ジャルディーノの美学とSAKE HUNDREDの飽くなき探究心、そして醸造パートナーである永井酒造の職人技が生み出した至高の味わいを、心ゆくまで堪能したい。
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グルメ最前線 トップレストランを探訪する
2026.5.26
ホテルニューオータニ内「トゥールダルジャン 東京」が この夏に届ける2つの格別な体験
調度品、色調、何もかもが素晴らしいダイニングルーム。
「トゥールダルジャン」はフランス料理の歴史そのもの
パリの「トゥールダルジャン」と言えば、1582年にセーヌ河畔のサン・ルイ島に出来た旅籠に発祥の起源を持つ、フランス最古のレストランである。
時の国王アンリⅢも足を運び、ロシアやプロイセンの皇帝も訪れた。1789年のフランス革命時に競売に出された際に買い取ったのはナポレオン専属の料理人だったル・コックである。
以後、様々な人の手に渡りながらも、フランス食文化の中心となってフランス料理を牽引してきた。
20世紀に入り、フランス料理の革命者オーギュスト・エスコフィエの推薦のもと、店のオーナーとなったのが初代アンドレ・テライユ氏である。2代目のクロード・テライユ氏時代の1984年、海外で唯一の支店となる「トゥールダルジャン 東京」をホテルニューオータニ内にオープンした。現在、仏日双方の舵を握っているのは3代目のアンドレ・テライユ氏である。
発祥こそフランス最古のレストランではあるけれども、料理は絶えず進化を遂げてきた。「トゥールダルジャン」はフランス料理の歴史そのものと言える。
グランメゾンの優雅、ここに極まれり
「トゥールダルジャン 東京」はホテルニューオータニのロビィ階に位置する。その入り口からして異次元だ。
ブルボン王朝を象徴する濃紺のエントランスは暗転した回廊で、気高い館に吸い込まれるような感覚に人を陥らせる。一転して深紅のウェイティングルームの高貴さといい、ルイXⅤ世のロココ時代を表現した柔らかくシックなダイニングルームや優雅な調度品の数々は、この贅沢な空間にいるだけで夢見心地で非日常的な高揚を覚えさせてくれる。
これだけのレストラン空間は、日本ではまったくもって類のない唯一のものである。
ゲストを迎えてくれるのは、全員がフロックコートを着用したサービスの面々だ。これほどの格式もまた稀有なのだが、彼らの所作は実に柔和で、ゲストに緊張感などは微塵も抱かせないところが見事だ。
グランメゾンの優雅は、ここに極まれりというところだろう。
トゥールダルジャンの名物、ガチョウのフォワグラ。
ガチョウのフォワグラの魅惑
先日、「トゥールダルジャン 東京」にて、小さな晩餐会が開かれた。その時の様子を報告したい。
最初に供されたのがシャンパーニュ「トゥールダルジャン ブリュット ブラン・ド・ブラン」である。グラン・クリュに格付けされたシュイイ村のシャルドネ100%で造られ、パリ本店と東京店でしか味わえない。クリーミーな泡立ち、爽やかな酸味、奥深い香ばしさ……実に上品で素晴らしいスタートだ。
いくつかの皿を紹介しておく。
一品目の前菜が「オマール海老のカルパッチョ オシェトラキャビア添え」は、ボイルした半生のオマール海老にキャビアを載せた贅沢なカルパッチョだ。賽の目切りにした彩り豊かな旬野菜にケッパーのアクセントを添えて軽やかに仕上げている。
続いて、名物の一つ「トゥールダルジャン特製 フォワグラ三皇帝」。1867年、ロシア皇帝アレクサンドルⅡ、皇太子アレクサンドルⅢ、プロイセン国王ヴィルヘルムⅠ(後のドイツ皇帝)ら、3人の皇帝が一つのテーブルで会食をしたエピソードに因んだシグネチャーメニューだ。トリュフをたっぷりと包み込んだフォワグラは、鴨のものではなくガチョウのものであるところが非常に珍しい。
鴨のものよりもねっとりと濃厚なフォワグラと官能的なトリュフの合体は、舌の上で溶けてゆき恍惚を呼ぶ。これに合わせたのはソーテルヌのグラン・クリュ「シャトー・ドワジィ・ヴェドリーヌ」。貴腐ワインであるから、芳醇な甘味や果実味と酸味とミネラル感が折り重なり、口中でフォワグラに出遭うと複雑で濃密な旨みを引き起こした。ちょっとした小爆発である。
「フランス産舌平目のムニエル ショワジーソース」は、香ばしく焼き上げ、ルビーグレープフルーツとティムットペッパーをからませた。ショワジーソースは、レタスの旨味がクリームに溶け合い、ムニエルに合わせると意表を突かれるほど斬新な驚きをもたらしてくれる。
料理長は日本に二人しかいないM.O.F.
料理長のルノー・オージエ氏は、2013年の就任だというから、来日して今年で13年目となる。日本には二人しかいないM.O.F.(国家最優秀職人章)のうちの一人である。日本で言えば、人間国宝みたいなものだ。
過去の彼の発言を見ると、この長い日本滞在のうちには、日本固有の食材からはいたくインスピレーションを得たようだ。フランス料理とはいえ、ソースは軽やかで、食材固有の旨味の引き出し方については際立った手腕の持ち主なのである。
トゥールダルジャンの代名詞とも言うべき「幼鴨のロースト マルコポーロ」。
メインの最後は、トゥールダルジャンの代名詞とも言うべき「幼鴨のロースト マルコポーロ」である。幼鴨をローストし、クリーミーかつ胡椒の風味豊かなソースをあわせたシグネチャーメニューは、この鴨を食べることの憧憬を食べ手の中に灯し続けてきた。
合わせたのは深紅の「ドメーヌ・ル・サン・デ・カイユ」。南ローヌのこの赤は、タンニンと果実味が豊かで力強い。薫香のする幼鴨のローストとの相性は抜群だった。
約1000種を誇るワインカーブからのセレクトには並々ならぬものがある。
トゥールダルジャンだけのために焼かれたパン
ひと言付け加えるとすれば、食間に提供されるパンが非常に美味しいことだ。プチバゲットやカンパーニュ風のもの、すべてはトゥールダルジャンのためだけに焼かれたものである。食べ過ぎてしまって困った。
締めのデザートは「ショコラマンジャリのムースとピスタチオのアイスクリーム」。ショコラマンジャリとはマダガスカル産のブラックチョコレートで、フランボワーズを思わせる華やかな酸味があるが、そのムースの中にサクランボ、イチゴ、ラズベリーのコンポートを仕込んだ凝ったものだ。添えられたピスタチオのアイスクリームとのコンボは大団円に相応しい。
この晩餐で、筆者はオーナーのテライユ氏の臨席という光栄に浴した。長身で美丈夫の氏は、母方がフィンランド人であることから、大のサウナーだそうである。フィンランドでは、カンカンに体を温めてからアクアヴィットをあおって冷たい海に飛び込むのが最高なのだそうだ。「東京にいいサウナはある?」と聞かれたが、思い浮かばなかった。
「Ma provence~マ・プロヴァンス」で出される予定の「スズキのグリエ 黒オリーブソース」。
この夏の2つのスペシャル企画
さて、「トゥールダルジャン」には、この夏、2つのお愉しみが待っている。
一つは南仏を旅するかのような新作メニュー「Ma provence~マ・プロヴァンス」の美食体験を2026年7月1日(水)~8月23日(日)の期間限定でランチとディナーの両方で提供する。
メニューには「「スズキのグリエ 黒オリーブソース」や「幼鴨のロースト エピス香る燻香夏野菜のソース」などが供される。前者は世界中の美食家に愛されるイタリア産「タジャスカ種」のブラックオリーブで作る特製のソースだ。後者はシグネチャーメニューの夏季バージョンで、スパイスを効かせたソースが添えられる。
もう一つはホテルニューオータニ大阪の今年開業40周年を記念して、「トゥールダルジャン東京 SPECIAL 2 DAYS~Héritage et Évolution~」を2026年6月13(土)・14(日)の2日間限定で、フランス料理「SAKURA」にてランチとディナーの両方で開催される。ワインとの最上のマリアージュも愉しめる。ルノー・オージエ料理長とサービススタッフが大阪に集結するまたとない機会である。
◆「Ma provence~マ・プロヴァンス」
ランチ:¥15,000、¥25,000
ディナー:¥25,000、¥38,000
※いずれも飲み物、サービス料別
問い合わせ:TEL03-3239-3111(「トゥールダルジャン 東京」直通)
定休日:月・火曜日定休(月曜祝日は除く)、水曜はディナーのみ営業。
◆開業40周年記念「トゥールダルジャン東京 SPECIAL 2 DAYS~Héritage et Évolution~」
ランチ:グラスシャンパーニュ付 ¥40,000/ペアリングワイン付 ¥50,000
ディナー:グラスシャンパーニュ付 ¥60,000/ペアリングワイン付 ¥100,000
※いずれも飲み物、税サ込み
問い合わせ:TEL06-6949-3246(フランス料理「SAKURA」直通)
Toshizumi Ishibashi
「CREA」「CREA Traveller」元編集長
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旅館の矜持 THE RYOKAN COLLECTIONの世界
2026.5.27
ホテルの稼働によって里海と里山の再生させる 「COVA KAKUDA」覚田譲治社長が描く壮大な未来図
入り江のロケーションは唯一無二。レストラン棟にかかる桟橋に立つ覚田譲治社長。
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「ザ・リョカンコレクション」に加盟する旅館の女将や支配人を紹介する連載「旅館の矜持」。今回は三重県の伊勢志摩に位置する「COVA KAKUDA(コーバ カクダ)」の覚田譲治社長を紹介する。
自然と一体化できる唯一無二のホテル
三重県・伊勢志摩国立公園、英虞湾の静かな静かな一つの入り江の畔(ほとり)に、そのホテル「COVA KAKUDA」はある。近鉄賢島駅からは車で30分ほどの距離である。開業して今年の6月で3周年を迎える。4万平米という広大な敷地の中に、10棟を超えない建物が佇んでいる。
レセプション棟、レストラン棟、サウナ棟、そしてゲストルームであるヴィラが4棟。北西風が強くなる冬季には、波のしぶきがレストラン棟の大きな窓を叩く。いちばん低位置にあるヴィラは、デッキテラスに出れば水面に手が届きそうなほど海に近い。 海は平水面なので、じつに穏やかだ。
レストラン棟を中心にして、目の前は静寂な入り江で、その両側には樹木が生い茂る小山が迫っている。ソファに腰かけて入り江を眺めていると、時折、小船が遠くを通り過ぎていく。時が経つのを忘れる。
これほど自然と一体化できて、心が和むロケーションがあるだろうか。至高の贅沢――これこそが真の意味でのラグジュアリーというものなのだろう。里海と里山を眼前と両脇に抱えたホテルは、まさに唯一無二と言える。
「COVA KAKUDA」オーナーの覚田譲治・代表取締役社長に話を聞いた。
海に最も近いヴィラのデッキテラス。海面には手が届きそうだ。
里海と里山がクロスする絶好のロケーション
ホテル名「COVA KAKUDA(コーバ カクダ)」は、何語なのか? その由来は?
「もともとの家業は真珠養殖と真珠の加工でして、私はその三代目となります。英虞湾は真珠養殖の発祥の地で、その全盛期は1950~60年代でした。現在のホテルが立つ場所に、真珠養殖場の陸上施設が点在していました。工場のことを昔は『コーバ』と呼んでいましたよね。ホテル名の『COVA』とはそのコーバのことです。『KAKUDA』はこの宿を経営する覚田真珠株式会社の覚田です」
覚田真珠は真珠業界では老舗企業の一つとして知られる。
「最盛期には120名ほどの従業員がこの工場で働いていました。1970年までは工場として稼働していたのですが、養殖業者が真珠をたくさん作りすぎたために価値が暴落することなどがあって、三重県内での養殖業者の減少とともに、その後はまったく使われなくなったのです。そんな中で、親たちと週末にそこに泊まったり、私の学生時代には部活の夏のトレーニングの場所としてそこを使ったりしていました。
それに、私の祖母は海女だったんです。子どもの頃は、サザエやアワビを一緒に獲ったりしましたし、5月から夏の季節にはキスがよく釣れるんです。それを母親が天ぷらにしてくれたりしまして、この界隈の海の面白さはよく理解していたんですね。
ですから、お客さんが来た時には、こういう遊びをすると楽しいし、こんな風にもてなしたら面白いだろうなということはアイデアとして沢山蓄積されていました。そんな妄想をたくましくしていたのが、ちょうど今から10年前の頃です。そしてコロナの頃には国から事業再構築補助金が出ることになって、それを一部に使って自分の資金も出しながら、妄想が実際の形になっていきました」
自然と一体化するような感覚
10年前とは2016年にG7サミットが伊勢志摩で開催された年だ。
「あの時、首脳のみなさんのスーツに着けていただく真珠の『ラペルピン』を我々で作りました。使用する真珠は、美しいものを集めてコンペをして選びました。その時よくよく考えたのは、このラペルピンを通じて私たちは何を伝えたいのだろうということです。真珠が美しいという要素だけではなくて、その真珠が生み出される背後にある‶里海の営み″を伝えることこそが大事なのではないかと思い至ったのです。
つまり、人が自然に働きかけるからこそ、自然が豊かになっていく営みがあるということです。それをお伝えするには、都会からこの土地に来てもらったとしても、日帰りではとても伝え切れません。やはり宿泊機能がないとダメだと痛感しました。そこで、有休不動産があり、使っていない建物がたくさんあるのなら、それをリノベーションして宿泊施設にすればいいという結論に至りました」
工場をリノベーションした室内、基調となるアースカラーが目に優しい。
元は工場だった建物は、骨組みや梁はそのままだ。
「自然にできる限り負荷をかけないようにして、リノベーションを施しました」
改装された室内は、尾鷲ヒノキや白壁といった自然な色合いを持ち、実にコージーだ。しかも、家具や一つ一つの小物にいたるまで実に趣味が良い。ゆえに、ゲストルームやダイニングにいても、この土地の空気に体がなじんでいく。周囲の自然と一体化するような感覚におちいるのである。
ヒノキや白壁を基調にしたゲストルームの居心地の良さは抜群だ。
ホテルとして地域にどんな貢献ができるか
覚田氏が考えるのは、自社の経済活動だけではない。
「私は車で50分ほど離れた伊勢市内に住んでいるのですが、半島の先である奥志摩に来るたびに、この土地がどんどん寂れていく現実を目にするわけです。都会の人がここに来て働きたいと思うような仕事があれば、限界集落化を遅らせることもできるのではないか、そう考えました。
さらに真珠の養殖業もそうですが、海苔や魚をなりわいにしている漁業従事者に、ここで観光業を営むことによって少しでも貢献できるのではないかとも考えました。この場所でホテルをやることに、二重にも三重にも意味を見出したことが、ちょっと難しそうだけれども、COVA KAKUDAをやってみようと思った理由ですね」
意味はそれだけではない。
「里山」はよく耳にする言葉だが、ここには「里海」もある。真珠をはじめ、豊かな恵みをもたらすのは確かに里海だ。問題はこの里海が危機に瀕していることにある。
「リアス式海岸は海底から隆起して出来上がった台地ですから、山の尾根がぜんぶ平べったい畑です。昔はそこで農業を営んでいたのです。肥溜めを作って農業をしていた。雨が降れば、その栄養素は海に流れ込む。すると、豊かな海が出来て、海藻が育ち、魚は群れ、緋扇貝(ひおうぎがい)や牡蠣も育ち、真珠のアコヤ貝も育ちました。
海苔や真珠養殖や食用の貝類養殖に携わる漁民が、貝や用具に付着する汚れを掃除して出たカス、それと収穫したもののうちで食べられない部分を、落ち葉に混ぜて土に返す――。そうした大きな循環が伊勢志摩にはもともとありました。 ところが、過疎化が進み、農業従事者がいなくなると、海は一気に豐じゃなくなり、海藻は減っていき、魚は減り、貝も以前のようには育たない海になってしまったのです」
では、どうすればいいのか。
「豊かな海を取り戻すしかない。いわば海の再生です。例えば、COVA KAKUDAのある場所は、入り江なので陸の影響を非常に受けやすい。ならば、陸側に手を加えればいい。 森に手を入れて、木漏れ日が出来て風通しを良くしてやると腐葉土が育つ。漁業で出たものをコンポストにして土に返す。
さらには農業をやっていけば栄養素が海に流れ込む。海水温度の上昇問題を別にすれば、1950年頃の海を再生させることもそう難しくないのではないか。 里海と里山がちょうどクロスする場所がCOVA KAKUDAなのです。つまり、そこで人間の営みをすることで、それを自然に返すことが出来る。それがCOVA KAKUDAの底に流れる基本的な考えです」
覚田氏が考えたのは、ホテルを作ることによって、里海と里山を回復させるという、この日本ではほぼ類例がなく、途轍もなく壮大な試みなのである。
農園では、野菜、オリーブ、ハーブ等を栽培している。放し飼いの烏骨鶏や養蜂所まである。
多彩なアクティビティ
まず、里山での営み。
山側では農園を作り、野菜畑、オリーブ園、ハーブ園、椎茸園があり、烏骨鶏と青い卵を産むアロウカナの2種を飼っている。おまけに養蜂まで始めた。
「海沿いには、ウバメガシという備長炭の原料になる樹木が群生します。備長炭は紀州が本場なのでしょうが、伊勢志摩にも多いのです。炭の職人さんに山に入ってもらって伐採してもらう。炭には使わない太い幹は、2年間天日で干すと非常にいい状態の薪になります。この薪は暖炉やサウナに使うのですが、とてもいい香りがします。
飛び込み専用の桟橋も作っていますので、この桟橋でゆったりと整いを楽しむ方も多いです。日本のゲストもよく入水されています。料理には伊勢志摩備長炭を使いますから、ローカルウッドでローカルフードを焼いています」
山の恵みと海の恵みを存分に活用できる理想郷と言える。では、里海の営みではどんなことが可能なのか。
「ひと言で言うならば、人とともにある海を体感してもらうことです。そこで働く人々のなりわいに触れてもらいたいのです。 例えば冬ですと、『緋扇貝(ひおうぎがい)』を養殖しているところに七輪持参で出かけて行って、ちょっと焼いて食べてみるとか、イセエビ漁の刺し網にかかった伊勢海老を網から外す体験をしてもらったりします。
トヨタで車を作っていたのにこの海に惹かれて、真珠の養殖を修業してくれている若者がいます。5月ぐらいからはアコヤ貝に真珠の元となる核を挿れる挿核作業が始まるので、それも一緒に体験してもらうとかですね。
一番人気は近くの漁港にある魚市場の見学です。だいたい朝の7時過ぎに漁船が戻ってきますから、魚を陸揚げしてセリにかけるところを見物します。一日の制限は300キロまでですが、マグロもよく揚がります。そこでピックアップした魚や貝や伊勢海老を夜のディナーに出したりしています。
海で生きる人たちがどういう風に海に向き合っているのかを体感していただく。そこがすごく楽しい、話している方言は通じないかもしれませんけどね。自分の旅行体験もそうですが、何かそこにしかないものに触れることに一番意味があると思うのです」
里山の中腹にある東屋で中国茶を嗜む覚田社長。眼下に入り江を望む。
他にも余りにも多彩なアクティビティがある。
里山の植生探索と薪割り&火起こし、草木染・アロマ抽出、東屋で楽しむ抹茶、リアスカヤック&カヤックフィッシング、アイランドシュノーケリング、サーフィン、フィッシング(外洋チャーターもあり)、サンセットクルーズ、夜のクルーズ、焚火と星空観察、養蜂体験……。
なぜに、それほど多岐にわたるのか?
「宿に着いて何もせずに完全に脱力して帰途につくーーそうして活力をもらうリバイタライズ(revitalize)のやり方もあるでしょう。旅行はこうありたいと私が考えるところなのですが、人間は振り子のようなものじゃないかと思うのです。ある程度、体に負荷をかけて、そこから解放されるときに究極のリラックスがある、そんな気がするのです。
アクティビティをある程度楽しんで、ある程度の刺激を受けることによって、むしろ深いリラックスにつながっていくんじゃないか。 ですから、私もスタッフも銘々が色んなメニューを発案します。私もお茶を点てますし、スタッフもそれぞれが得意分野を担当しています」
サスティナビリティの先のリジェネレイティブ
覚田氏が思い描くのは壮大な未来図だ。
「さらに言えば、自然の中に人がいてもいいし、むしろ、人がいることで自然がより豊かになるわけです。そうした大きなサイクル、サーキュラエコノミーと言い換えても良いのですが、それを感じてもらえたらゲストも少しホッとすることが出来るのではないでしょうか。たくさん感じるものがあったら、その後、精神的にフワッとできる時間がすごく充実すると思うのです」
要は、ここで実践されているのは、サスティナビリティ(持続可能性)の次の段階の話だ。サスティナブルだけでは、海や山にとっては全く足りないのである。
「サスティナブルって、その循環の機能が一つでも抜けちゃうと、もう回らなくなってしまいます。そうではなくて、ずっと回り続けて、さらにそれが増幅して良くなっていくイメージです。つまり、継続させてさらに良くして行くリジェネレイティブ(regenerative)を実践していくのが私どもの施設なんですね」
だからこの施設に華美なものはどこにもない。その代わりに、肌で自然を感じる本物のラグジュアリーなリトリートがある。感度の高い国内外のリピーターが増え続けているのも、そのためだろう。
海に面した部屋では、海に網を仕掛けて魚を獲る。すぐに食べたり、2時間ほど干してお土産にも。
別の観点からも自然に対する取り組みをしている。
「真珠養殖の過程で出る廃棄物があるのです。例えば、発砲スチロールやロープです。それらが廃業してしまった人で片付けられないようなケースで大量に出てきます。産業として出してしまったゴミならば、自分たちの業界の責任として片付けることをやっています。
日本真珠輸出組合という全国組織がありまして、私はそこの理事長なのですが、日本の真珠をどうプロモートするかを常に考えています。その観点からしてみても、そうした清掃活動は、真珠の美しさを世界中にアピールするのと同じくらい大事なことだと思っているのです」
最終的な目標はエリア全体の浮上
ダイニングにも触れておきたい。
「シェフの松本は旅館の副料理長をしていました。いちばん最初は彼の会席料理をあまりエキサイティングとは思わなかったので、私の好きなレストランにいろいろ連れていきました。その上で言ったのは、『国境を越えてください』『日本の心を持って国境を越えましょう。
いろんな料理方法、食材を自由自在に使っていきましょう』ということでした。 松本シェフが凄いと思う点は、自分の考えを持ちながら、人の話が聞けるところです。今では私が口を差し挟めないぐらいの料理になっています」
言葉にすれば和食がベースの「イノベーティブ・フュージョン」となる。季節で内容は変わるが、地元の名産である、伊勢海老、アコヤ貝、あおさのり、ワタリガニ、シマアジ、松阪牛などが供される。 ディナーのコースは約11品。伊勢志摩の食材を中心にして、和洋中の技術を駆使しながらも、食材の良さを引き出す料理はどれもこれも素晴らしいものだった。
バタークレープ生地でできた巾着袋の中には、スモークしたアコヤ貝の貝柱、クリームとキャビア、自家製の柚子麹。一品目から胃袋を掴まれる。
さて、最後になるが、覚田氏の視線の先にあるのは、COVA KAKUDAの成功が土地に呼び込むものだ。
「COVAでやっていることで、里海と里山が豊かになり、どうもあそこでやっていることがいい状態を生むらしいという風になれば、伊勢志摩の他の地域にも広がっていく可能性が大いにあると思います。 湾内をクルーズするとよくわかりますが、使っていない養殖小屋がたくさんあるのです。
COVAがうまく行ったら、そういう小屋をリノベーションしてくれる人も増えてくれるんじゃないか。それこそ船でしかアクセスできないような宿泊施設が、あちこちにあるといった具合に有機的に広がっていったら、『このエリア、面白いよな』と思われるようになりますよね。そうなることを期待しているのです」
賢島駅裏の港からホテルへ25分、手前に見えるクルーズ船を使ってアクセスしたら最高に気分はアガる(有料)。湾内へと向かうゲストが操るカヤックが見える。
覚田譲治 1995年、国際基督教大学教養学部社会科学科卒。同年、株式会社ミキモト入社。97年、覚田真珠株式会社に入社し、2014年、社長就任。その他、日本真珠振興会・真珠検定委員会委員長となり真珠検定を軌道に乗せる。日本真珠振興会・研究委員会委員となりPearl Standard策定に携わる。日本真珠輸出組合・副理事長としてJapan Pearl Pavilion Rule策定に携わる。三重県真珠振興協議会・会長として2016年伊勢志摩G7サミットでのラペルピンプロジェクトを主導する。
COVA KAKUDA(コーバ カクダ)
517-0701 三重県志摩市志摩町片田1397-14 ℡0599-52-0231 URL : https://cova-iseshima.jp
構成/執筆:石橋俊澄 Toshizumi Ishibashi 「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。現在、フリーのエディター兼ライターであり、Premium Japan編集部コントリビューティングエディターとして活動している。
photo by Toshiyuki Furuya
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