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日本のエグゼクティブ・インタビュー
2025.8.31
スポーツで子どもたちに笑顔を取り戻す 一般財団法人 United Sports Foundation 代表理事 諸橋寛子
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ゼビオホールディングス株式会社は、福島県郡山市に本社を構え、『スーパースポーツゼビオ』『ヴィクトリア』『ゴルフパートナー』などを展開するスポーツ小売のグループ企業である。その創業者である諸橋廷蔵さんの長女、諸橋寛子さんは、父の後継者として経営を担っていたが、2011年の東日本大震災が彼女の人生を大きく変える。同年9月、『一般財団法人 United Sports Foundation(USF)ユナイテッド・スポーツ・ファンデーション』を設立し、企業経営者から「スポーツを通じた社会貢献」という新たな挑戦へと歩みを進めた。
現在、諸橋さんはゼビオホールディングスのアドバイザリーボード・チェアマンをはじめ、国家機関の委員や国内外の非営利団体の理事・評議員など、約20の肩書を持つ。肩書だけを並べれば「近寄りがたいキャリアウーマン」を思い浮かべるかもしれないが、実際に会うとその印象は一変する。
親しみやすい笑顔と気取らない語り口。その場にいる人を包み込むような温もりがあり、初対面でも自然に心を開かされる。世代や立場を超えて彼女のまわりには人々が集まり、いつしか多くの支援者とともに、財団は来年設立15周年を迎える。
『一般財団法人 United Sports Foundation(USF)』の2024年の事業レポート。
父が一代で築いた事業とともに、父の想いを受け継ぐ
「父の事業を継ぐことを意識し始めたのは、5歳くらいだったと思います」と諸橋さんは振り返る。「弟は心優しいのんびり屋でしたから、父も私のほうが事業には向いていると感じていたようです」。
ゼビオの前身は福島県いわき市の紳士服店。そこからファッション、さらにスポーツウエアへと拡大し、父・廷蔵さんが一代でスポーツ小売業のリーディングカンパニーへと成長させた。諸橋さん自身は事業継承を念頭に、大学はボストンで学び、その後は三井物産繊維部で輸出入業や三国間貿易などの仕事を経験し、やがてゼビオに入社。夫となり、現在ゼビオホールディングスの社長を務める友良さんも商社を経験し、ゼビオに入社して、父の教えの下、共に経営に携わっていく。
ところが2003年に廷蔵さんが事故で急逝するという不幸に見舞われ、突然二人はすべての事業を引き継ぐこととなる。「幼い頃から父に教わり、店舗を見て学んできましたので、経営の基礎は自然に身についていました」と語るが、若干30代の二人には一大企業の経営を背負うにはまだ若く、経験も充分とは言えない状況であった。
一方で、寛子さんの弟・英二さんは父が設立した福島県北塩原村にある「諸橋近代美術館」の館長を務めている。「諸橋近代美術館」は、サルバドール・ダリの絵画・彫刻・版画など、約340点の作品を所蔵する、世界屈指のダリの美術館として知られている。ダリの作品の素晴らしさ言わずもがなではあるが、磐梯山を望む素晴らしい庭園と、ヨーロッパに訪れたかのような美しい建造物も一見の価値がある。この建築物は父・廷蔵さんが馬小屋をイメージして設計されたと聞く。
朝日磐梯国立公園に位置し、美しい自然に囲まれた諸橋近代美術館。
諸橋廷蔵さんが自ら蒐集したサルバドール・ダリの作品の数々が並ぶ。
「父は経営者であると同時に芸術を愛する人でした。私たち兄弟も子供時代から芸術に触れて育ち、私は長くバイオリンを習っており、コンクールでは賞をいただくほど熱中していました。今では驚かれますが、子どもの頃はスポーツが苦手だったんです」と微笑む。
福島に本社を持つゼビオの復興へ向けた取り組み
2011年3月の東日本大震災。当時、諸橋さんは東京へ出張中で、中学生の娘は一人自宅にいた。「帰宅すると、家は全壊状態。駐車場に佇む娘の姿を見つけ、無事を確認できたことがただ嬉しく、安堵をしたことを覚えています」。
ゼビオの店舗も被災したが、無事だった店舗を避難所として開放。社員たちは炊き出しを行うなどして、地域を支えた。「住民の生活をどう守るか、一日も早く日常を取り戻すことが最優先でした」。
被災した店舗からボールなどのスポーツ用品を取り出し、子どもたちに手渡すと、子どもたちは屈託のない笑顔で遊んでいた。「ボールひとつで子どもたちが笑顔になる姿を見て、スポーツの力を実感しました。それまではスポーツが苦手で、関わりも薄かったんです。でも、スポーツには人の心を豊かにし、健康をもたらす力があると感じた瞬間でもありました」。
USFの最初の取り組みとなった無料施設『KIDS PARK』(現在は閉館)。
復興には長い時間をかけて真剣に向き合っていく必要があると、諸橋夫妻は考えはじめていた。企業のCSR活動だけでは限界がある。「株主には利益を出す責任がある。だからこそ、主人は経営に専念し、私は財団を設立して社会貢献に集中することを決めました」。これがUSFのはじまりだった。
オフィスに顔を出すのは週1回程度。毎日スポーツウエアで全国で行われている企画に顔出したり、政府との会合に参加するなど、国内外を飛び回っている。
子どもたちの未来のために、私たちが今できることとは
震災直後、放射能への不安から子どもたちは外で遊べず、心身の成長に悪影響が懸念されたため、無料施設「KIDS PARK」を開設。体を動かせる場を提供したことがUSFとしての最初の取り組みだった。
その後はトップアスリートによるスポーツ教室や宿泊型マルチスポーツキャンプを企画していく。「初めて会う子どもたちが共同生活を送り、さまざまな競技に挑戦する。そこで自分を再発見するんです。子どもの表情が変わる瞬間に立ち会うと、私たちの活動は間違っていないと心から思えました」。
2013年から2024年までのUSFの取り組みに参加した人数は約60万人、イベント回数は約3,000回、共催・賛同企業や団体は80以上。
スポーツは苦手と話していた諸橋さん自身もスポーツに取り組むようになった。震災後の入院や手術をきっかけに、健康の大切さに気づいたのだ。
「スポーツシューズやウエアすら持っていなかった私が、パーソナルトレーナーをお願いして、週3回の筋トレ、さらに毎朝10キロ走り、今はスパルタンレースにも挑戦しているんです。いつしかスポーツが生活の一部になっていて、やらないと逆にエネルギーが湧かないんです」。
同時に歌舞伎や芝居、美術館鑑賞など、芸術に触れる時間もしっかりと設けることで、偏りが生まれないような時間の使い方をしているとも語ってくれた。
財団の活動で見えてきた、日本の部活動文化と社会課題
諸橋さん財団を運営する中で、日本のスポーツ教育に横たわる課題があることに気付いたと語る。
「日本は野球なら野球だけ、サッカーならサッカーだけ、1つのスポーツを徹底的に行うことがヨシとされています。この根底には日本の部活文化が関係していると思います。しかし1つのことしかやらない、そうした偏りは子どもの可能性を狭め、燃え尽き症候群にもつながります。さらには岐路に立ったときに切り替えができにくい思考にもなると思います。これはアスリートのセカンドキャリアの課題にもつながっていると思います」。
現在、子どもたちとスポーツの課題の1つとして、スポーツ庁では、『部活動の地域展開』『地域で子どもを育てる』などの理念を掲げて取り組みを進めている。
教員がボランティアで部活動の指導を担うのではなく、地域が主体となって部活動を行うというもの。この実現によって、教員の長時間労働問題や教員の専門外の指導の問題を解決し、学校を超えた地域校との交流や専門的な指導を受ける機会の創出につながる。
ただし、部活動の費用負担や保護者による送迎の増加、指導者の確保などの課題もあるが、諸橋さんはスポーツ庁の取り組みの支援や相談役にもなっている。
アスリートによる指導を受けるイベントも多数行っている。
スポーツを通じて、子どもたち、日本の未来へ挑戦を続ける
震災を契機に設立された財団は、その歩みを「復興支援」から「スポーツ振興」へと広げてきた。国内外のアスリートとの交流や、企業・自治体との連携を重ねながら、スポーツの持つ社会的な可能性を着実に拓いてきたのである。
「私はトップアスリートを育てたいわけではありません。スポーツを通して、子どもたちに『生きる力』を届けたいのです」。
スポーツ業界は男社会が長く続いてきた。このガラスの天井を破る取り組みも諸橋さんの課題の1つであったと語る。
「日本のスポーツ業界では古くから“根性”“忍耐”が美徳とされている傾向があったが、これらの思考も時代とともに変化していく必要がある」と諸橋さんは語る。
「スポーツは楽しむもの。やる人も見る人も、心と体を豊かにするエンターテイメント。スポーツ体験は子供たちの心身の成長に大きな意義を持つと考えています。そのためには親御さんを含めた大人たちの常識を覆すことも大切です」。
日本社会の課題にもつながっているのが、教育格差、地域格差、居場所を失っている子どもたちの存在だ。スポーツはそれらを解決する万能薬ではないが、子どもの心を開き、つながりを生むきっかけになる。
諸橋さんはまだゴールは見えていないと語るが、この取り組みは日本社会へ、そして大人たちへ、多くの課題を投げかけていると感じる。今後の諸橋さんの取り組みに注目していきたい。
USFの諸橋さんのデスクにて。
諸橋 寛子 Hiroko Morohashi
福島県いわき市生まれ。大学卒業後総合商社勤務を経て、創業者である父が経営する現在のゼビオホールディングスに携わる。2011年3月東日本大震災後、復興支援活動を契機に「スポーツの持つ力」を理念に掲げ、同年9月「一般財団法人UNITED SPORTS FOUNDATION」を設立し、代表理事に就任。 「スポーツの力で子どもを笑顔に」をテーマにマルチスポーツイベントを推進し、約60万人の子どもたちにスポーツに触れる機会を提供。2020年から、文部科学省や経済産業省、東京都などの部活動の地域展開に係る委員会やスポーツ推進などに参画し、スポーツを通じて持続可能で健全な社会を形成するための活動を行っている。
島村美緒 Mio Shimamura
Premium Japan代表・発行人兼編集長。外資系広告代理店を経て、米ウォルト・ディズニーやハリー・ウィンストン、 ティファニー&Co.などのトップブランドにてマーケティング/PR の責任者を歴任。2013年株式会社ルッソを設立。様々なトップブランドのPRを手がける。実家が茶道や着付けなど、日本文化を教える環境にあったことから、 2017年にプレミアムジャパンの事業権を獲得し、2018年株式会社プレミアムジャパンを設立。
Photography by Toshiyuki Furuya
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投稿 スポーツで子どもたちに笑顔を取り戻す 一般財団法人 United Sports Foundation 代表理事 諸橋寛子 は Premium Japan に最初に表示されました。
眠らない街・台北で“夜活”しよう! 夜市グルメ、話題のレストラン、台湾らしさあふれる料理で一杯飲める店や深夜便にありがたい深夜営業店まで、今行くべき台北ナイトスポットを厳選紹介。短期滞在でも使える、夜の台北攻略ガイドです。
9月になっても、依然として気温の高い日が続いており、駐車中の車内の暑さには注意が必要です。日差しを遮るのにもっとも手軽なのは「サンシェード」ですが、気を付けたい点もあります。車の専門家である筆者が解説します。※画像:PIXTA
Lounge
Premium Salon
これを食べなきゃ人生ソンだよ
2025.9.5
行列してでも一年中食べたい 東京チャーハンのベスト5はこれだ!
日本独自の和風中国料理として発達した町中華屋のチャーハン
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今回は誰もが好きなチャーハン ベスト5だぜ。
「萬来園」、「鼎泰豐」、「一寸亭」、「中華 兆徳」、「中国名菜処 悟空」の5軒を紹介する。
チャーハンは、具材も五目にエビやらカニやらと様々で、トロミのついた炒め物がかかったメニューもあるが、筆者はシンプルな単体で米料理として食べるのが好きだな。対象とするのは高級店のものではない。それを含めたら、「KOBAYASHI」とか「家全七福」とか、技術を究めた炒飯が頂点に来るに決まっている。
今回対象にしたのは、それとは別種の、日本独自の和風中国料理として発達した町中華屋、そのチャーハンである(この範疇ではないのも1店入っている)。チャーハンは「パラパラ系」と「しっとり系」に大別される。前者は中華鍋を激しく振り、米は火柱の上にかざされて空中を舞い、余分な油分が飛ぶ。後者は攪拌されて空中を少し舞うぐらい。油分は適度に残りしっとりとなる。
本編に移る前に申し述べておきたいことがある。
例えば、東京のチャーハンベストで必ず挙げられる某店がその一例だ。満席の連続で全員がチャーハンをオーダーするのに、たったの30秒で出てくる。選者たちが絶賛してやまないこのチャーハンは、予め大量に作り置きし、ジャーに入れて保温したものだ。油っ気は抜け落ち、まるで炊き込みご飯になっちまっている。「パラパラ系」ならぬ「パサパサ系」なのだ。
こういうのはチャーハンじゃあないよ。出来立ての油の熱を感じさせるものこそがチャーハンなのだと、あたしゃ、言いたい。
この店以外にも、夜に食べてとても良かったのに、注文が立て込むランチではやはり「作り置き+ジャー」の店があった。作り置きは不味い! いくら忙しくとも、その都度、鍋を振ってほしい。そこが旨さの生命線だと思うのだな。
ここが東京一かもしれない
中国料理 萬来園
今回も方々で食べまくったが、最終的にはやっぱりここだよなという結論に落ち着く。
佇まいはカウンターのみの町中華だが、実は半端な店ではない。主人はかつて、フジテレビの「アイアンシェフ」に出演し、「ジョエル ロブション」の須賀洋介シェフに挑んだこともあるほどの腕前だ。昼は1000円前後で、エビチャーハン、五目チャーハン、五目そば、五目焼きそば等が食べられるが、夜は一変して4名以上の貸切り制となり、1人の予算は3万ぐらいらしい。だから本当は本格派の中国料理店なのだろうが、昼のメニューは町中華屋そのものなんだな。
さて、この店が少々厄介なのは、臨時休業がしばしばあることと、開店時間も微妙にズレることだろう。だから、「今日は行くでえ」と意を決してから、念のために電話をかける必要がある。で、「本日は臨時休業です」とか「今日は12時40分からです」と言われる。
全員が調理場にかぶりつきで10席あるが、1巡目で入った場合には、誰もがエビチャーハンを頼む。その同調圧力が凄いために、なかなか他の品目を言い出しにくいところがある。ほかのメニューが食べたいのならば、2巡目、3巡目を狙うのがよかろう。
という私は、1巡目でエビチャーハンを食べ、まだ食べたかったので、一回外に出て30分ほど時間を潰してから再訪し、五目焼きそばを食べた(笑)。アホか。
さて、店は老夫婦と息子の3人構成で回している。実際に鍋を振るのは息子だ。手順は予めちょっと炒めた玉子チャーハンがあって、それを一人前ずつに分けて念入りに炒め直し、味付けを施してから、4尾のエビを加えて完成させる。味付けは塩と白胡椒と化学調味料だけだ。かなりパラパラになるまで炒めるのだが、途中でお湯も少々加えて水分を補う。米一粒一粒への油の染み具合と、焼き焦がしの具合、味のバランスが見事じゃ。出来上がったそれは、高級店のそれではなく町中華風だ。
これは東京一かもしれんと感動する。
目の前で一人前ずつ完成させる「萬来園」のチャーハン
4尾のエビは背ワタを除いて丁寧に油通ししてあるので、エビ臭さなどは微塵もない。むしろ、天ぷらのようにぷりぷりと甘みがあって旨い。なにしろ、目の前で一人前ずつ完成させる手抜きのなさが素晴らしい。分量は一人前でやるのがいちばん旨くできると確信しているんだろうね。最初の10人前を次から次へと炒めていくので、滂沱の汗がしたたり落ちて、脱水症状を起こすんじゃないかと心配になるほどだ。
途中、息子が両親の手際に対して毒づく瞬間があって、ちょっと冷えた空気が漂うのだが、まー、せわしいのですぐ次の場面に通過していく。要は、ちょっとしたハードルを乗り越えても、辿り着くべきチャーハンなのである。慣れた常連は、五目そばの後にエビチャーハンを食べるという理想的な(爆)頼み方をしていた。
ちなみに、五目やきそばは人生最高レベルで旨かった。マジで。
「中華料理 萬来園」の入口
中国料理 萬来園
東京都品川区東大井5-6-8
℡03-3450-5667
月~土:12:30~13:45、17:30~21:30
定休日:水・日
エビチャーハン 1000円
五目チャーハン 850円
五目そば 800円
五目焼きそば 800円
小籠包だけじゃない、玉子チャーハンも食すべき
鼎泰豊 池袋東口店
ここを2番目に出すのはズルかもしれん。日本ではやや高級感が加味されて町中華屋と並ぶような店じゃない。本国の台湾じゃ、あくまでも大衆店のちょい上だ。チャーハンだけを取り出せば、値段はそれほど高いわけでもないから、まーいいでしょ。
「鼎泰豐」は日本に30軒以上あるが、今回の店舗は池袋東口に2025年5月にオープンした日本初の路面店である。もちろん行列店だが、ラストオーダー5分前(20:55)に行ったら、すぐ入れてくれた。
実は筆者はこの6月に台北の店に行ったばかりなのである。常々思ってきたことだが、台北店に較べると東京店の味は確実に絶対的に落ちる。これだけ店舗を増やせば当然のことだ。また、台北の「鼎泰豐」は驚きたまげるほど親切なことで知られているが、池袋東口店も充分に親切な感じがした。ええことや。
飲茶の回でも書いたが、小生は蒸し餃子や焼売には目がないけれども、小籠包というものには余り興味がない。かつて何回か台北店でひと通りの種類を食べたが、旨いとは思うがあまりソソられない。唯一、トリュフ入り小籠包という高額(1個500円ほど)のものには、思わず「うめ~」と呻いた。
さて、私は思うのだが、「鼎泰豐」で食べるべきものは、点心もいいけれども、何と言っても玉子チャーハンもしくはパイクーチャーハンなのである。玉子チャーハンについては、新宿高島屋内に初上陸した時から(この時のこの店が日本ではいちばん良かった)、「こりゃあ、旨えもんだな」とずっと思ってきた。その感想は今でも変わらない。
今回は一人だったので、そんなに多品目はムリ。最初に来たのは、前菜の「茄子の醤油煮」(この品は台北では売り切れになることが多い)。台北に較べると、盛り付けが格段に雑である。茄子の上に肉みそが載っているところが台湾料理っぽい。味は閉店間際なので、茄子に汁がしみすぎだ。前菜の「蒸し鶏ねぎソース」は旨かった。鶏は超柔らかく、ネギと生姜が効いていて、間違いないところだ。
さて、肝心の「玉子チャーハン」である。
具は玉子とネギのみで、味付けは塩と特製調味料だけ。パラパラ系としっとり系の中間で、筆者はこのぐらいのが好きだ。YouTubeで料理長の手順を見ても、ご飯はそれほど宙を舞わない。玉子は結構な大きさで残っている。たぶん、ご飯の投入が遅いからだ。玉子がもっと生の状態でご飯に絡ませた方がより旨くなると私は思う。
とはいえ、チャーハンとしては、多くの町中華屋の上を行く。味は塩も調味料もほのかな感じで非常に上品だ。台湾料理は概して味が濃いのだが、この優しい具合がとてもいい。米粒の旨さがきちんと立っている、立派な米料理だ。ワシワシと夢中で掻き込み続けたくなる。私は途中で酢をかけて味変するのを常としているが、この店の卓上の黒酢はまろやかで、とても良かった。
パラパラ系としっとり系の中間をいく「鼎泰豊」の”玉子チャーハン”
台北では、この玉子チャーハンの上に、タレに付け込んだ豚のスペアリブ(パイクー、排骨)を載せたパイクーチャーハンを食べたが、この揚げたパイクーはめちゃ柔らかくて絶品だった。ちなみに、別の日に池袋東口店で食べてみた。台北店よりも肉の量が少なく、やや硬めで反り返っていた。だが、台北の完成度を知らなければ、これはこれで旨い部類のものだろう。
スペアリブ(パイクー、排骨)を載せた「鼎泰豊」の”排骨チャーハン”
ちなみに最後にやってきた「トリュフ入り桑水流黒豚小籠包」であるが、台北ではあれほど感激したのに、こっちのはそうでもない。皮を縒(よ)った結び目が硬いのと、豚の質が違うのと、トリュフの味が強すぎる。台北では肉にトリュフを細かく練り込んでいたが、東京のは薄切りトリュフが雑に入っていた。同系列店の同じ料理なのに、こうも違うのかと衝撃を受けた。ザンネン。
鼎泰豐 池袋東口店
東京都豊島区南池袋1-23-11
℡03-5924-6911
平日:11:00~15:00 17:00~22:00
土日祝:11:00~22:00
玉子チャーハン 1100円
パイクーチャーハン 1800円
茄子の醤油煮 680円
蒸し鶏ねぎソース 1200円
トリュフ入り桑水流黒豚小籠包(2個)1270円
細切れの叉焼とネギ、細かく刻んだナルトがいい味だしてるよ
一寸亭
千代田線の千駄木駅から徒歩2~3分、「谷中ぎんざ」の真っ只中にある。36度のカンカン照りの下を歩いて、13:15に着いたら甘かった。なんと行列ができていて、店内に2人、炎天下に5人がいて小生は8番目だった。汗がだらだら出てくる。
中を覗いた客の一人が叫ぶ。「なんだよー、真ッ昼間から宴会やってるのが、テーブル席に2組もいるよ。あいつらが独占して動かないんじゃん」。そういうのは別の大箱店でやってもらいたいもんじゃのお(涙)。
ここの店主は、かつては数十種類の品目を作っていたが、いまは寄る年波によって、チャーハン、もやしそば、焼餃子の3種類しかやっていない。にもかかわらず、宴会客がいなくても行列ができる。YouTubeでも見たが、店を始めて50年が経つというのに、厨房はピカピカで仕込みもとても丁寧だ。
順番が来てカウンターに座ると、隣のオッサンは、このクソ暑いのに、餡かけのもやしそばをズルズル食っている。で、しばらくしたら、焼餃子とチャーハンも出てきた。スゲー。ワシも出来れば、こうやりたいところだったが、カラダのことを考えてチャーハンと焼餃子だけにした(笑)。他の客はほとんど全員がチャーハンだ。
主人は一心不乱に中華鍋を振って、先にチャーハンが来た。この細かく刻んだナルトの量がたまらん。他に具は細切れの叉焼とネギという潔さだ。うむ、それでいいのだ。
「一寸亭」のチャーハンの具は細切れの叉焼とネギ、細かく刻んだナルトが特徴
米は適度に焦げ、しかも満遍なく油が染みている。パラパラ系としっとり系の中間ぐらいか。一口食べると、叉焼の味が先に来る。しかる後に、米の旨味とナルトの味がくる。塩と旨味調味料は控え目だ。醤油は使っていない。ベタつきは少なく、どちらかといえばカラリとしている。うん、玉子塩チャーハンやね、旨いなー。
同時に出てきた焼餃子も、しっかりと自家製の感じで、底は良く油で揚げてあって焦げてパリッとしているが、上部の皮は柔らかい。ニラとキャベツとニンニクと挽肉が詰まっていて、とても旨い。しかして、チャーハンと焼餃子はなかなかのカップリングなのであった。餡かけになった「もやしそば」は旨そーだけど、さすがに夏の食い物じゃねえな。いつか食べてみたい。
「一寸亭」の入口
一寸亭
東京都台東区谷中3-11-7
℡03-3823-7990
月~金・祝日:11:00~16:00
定休日:土日
チャーハン 850円
もやしそば 900円
焼餃子 600円
名物 黄金チャーハンのために並んだゾ
中華料理 兆徳
チャーハン好きなら誰でも知っている駒込の町中華屋である。巷では、「黄金チャーハン」の店として有名だ。
であるから、なにしろ昼飯前の行列たるや、もの凄い。開店時間の11:30に到着しても、もう手遅れなほどだ。だから、待たずに食べたい人は覚悟を決めて早めに出かけることをお薦めする。
とりわけその「玉子チャーハン」(=黄金チャーハン)は、ほとんどの客が頼む。ゆえに、見ていると、ガタイのいい兄ちゃんが大振りな中華鍋に玉子チャーハンをてんこ盛りにして作っていた。重いから鍋を大きく振ることは適わぬ。仕上がりは必然的に、しっとり系となる。
ほとんどの客が注文するという「中華料理 兆徳」の”玉子チャーハン”(=黄金チャーハン)
具は卵とネギだけという潔さだ。味付けは塩と化学調味料だけなので、玉子とネギの味が米によく馴染んでいる。ちゃんとした米料理になっていて、なかなか旨い。卓上の自家製ラー油をかけて味変するのも一興で、玉子にラー油がとてもマッチする。
たぶん、注文がまばらな時には、鍋をしっかり振って作り、パラパラ系になるに違いない。筆者はこの玉子チャーハンは、しっとり系よりもパラパラ系のほうが好ましいと思うし、味もアップするはずだと推測する。
この店には他にも名物があって、甘酢餡かけの「揚げ餃子」と「砂肝の黒胡椒風味炒め」である。私は一人メシだったので、後者と焼餃子を頼んだ。砂肝はコリコリっとして、他にピーマンと玉ねぎが入っているが、透明な餡がかけてあり、胡椒がとても効いている。うむ、かなりクセになる味で、ビールのつまみに最高だ。
この店はなかなか一品一品の盛りがいいので、3品食べたら、もー、限界だったわ。
夜は予約が可能なので、何人かで行くのがいい。極めて多くのメニューがあるので、様々に頼んでから、玉子チャーハンと醤油チャーハン、あるいは麺で締めるのが良かろう。
「中華料理 兆徳」の入口
中華料理 兆徳
東京都文京区向丘1-10-5
℡03-5684-5650
火~日・祝日:11:30~14:30、17:30~22:00
定休日:月曜日
玉子チャーハン(塩) 900円
チャーハン(醤油) 900円
砂肝の黒胡椒風味炒め 1200円
焼き餃子(6ケ) 550円
揚げ餃子(6ケ) 700円
味もボリュームも大満足
中国名菜処 悟空
ランチタイムに行ってみた。昼は11時からだが、11:40に店に着いてラストの1席だった。客はひっきりなしにやってくる。銀座のはずれではあるが、まず、値段が良心的であり、盛りがいい。なので、メシをたくさん食べそうな近隣の兄ちゃん姉ちゃんサラリーマンで一杯だ。
工事現場のおっちゃんもいる。太っちょのサラリーマンが焼きそばに白メシという炭水化物ミックスを、豪快に食っていた。「まるで大阪人みたいだね」とか言いながら(笑)。この焼きそばがしっかりと濃い茶色で、実に旨そうだった。
筆者は「五目チャーハン」と「五目野菜のあっさり炒め」を単品で頼んだ。
最初に来たのは野菜炒めだ。キャベツ、モヤシ、ニラ、キクラゲ、ニンジン、ネギが、塩味でシャキッと炒めてあり、片栗粉でトロミがついている。なかなか旨い。続いて、五目チャーハンが来た。
叉焼と玉子とグリーンピースが結構なボリュームで入っている「悟空」の”五目チャーハン”
五目であるから、具は玉子、叉焼、ネギ、グリーンピース、エビ2個である。しっとり系の薄い醤油味だ。典型的な日本の町中華屋のチャーハンである。味は濃くも薄くもない中庸を保っている。だから、オカズとともに食べるのにも適している。普通盛りのはずなのに、食べ進めると、叉焼と玉子とグリーンピースが結構なボリュームで入っているために、半分も食べるとかなりヘビーになった。
そこで初めて、なんだこの盛りの良さは!と気づいた。これ、二人でシェアして丁度いい量だぜ。気前いいね。
で、結局は量が多すぎて4分の1を残した。こんなこと初めてだぜ。
ちなみに、隣も前も海老チャーハンセットを食べていた。このチャーハンは玉子とネギと塩だけで出来ていて、白いチャーハンでなかなか旨そうに見えた。ここも、4人ぐらいで夜に来て、単品をいろいろと頼んでみたい店だと思った。
「中国名菜処 悟空」の入口
中国名菜処 悟空
東京都中央区銀座1-15-7
マック銀座ビル1F
℡03-3566-0059
五目チャーハン 980円
五目野菜のあっさり炒め 980円
海老チャーハンセット 950円
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
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Lounge
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これを食べなきゃ人生ソンだよ
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Features
秋の青森を満喫する“りんご尽くし”の体験イベント、今年も開催
2025.9.4
青森屋 by 星野リゾート「じゃわめぐりんご祭り」
りんご灯篭回廊
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青森の文化をまるごと体験できる温泉宿、青森屋 by 星野リゾートでは、2025年9月1日から12月1日まで、秋恒例のイベント「じゃわめぐりんご祭り」を開催。
巨大りんご灯篭
“じゃわめぐ”とは、青森の方言で「心が騒ぐ、にぎやかで楽しい様子」を意味する言葉。青森が国内一の収穫量を誇るりんごをテーマに、宿全体がりんごに彩られる。
「りんご収穫ラリー」 時間:15:00~18:00 場所:じゃわめぐ広場 料金:1,000円(4競技セット)
※写真は「りんご射的」
りんゴルフ
12年目を迎える今年は「スポーツの秋」にちなんで、りんごの収穫から出荷までをモチーフにした体験型アクティビティ「りんご収穫ラリー」が新登場。袋はぎや収穫、選別、出荷といったりんごの収穫工程をアレンジした4つの競技を通じて、ゲーム感覚で身体を動かしながら収穫体験を味わえる。
りんごガチャガチャ
時間:15:00〜20:00 場所:じゃわめぐ広場 料金:1回300円
りんごジュースが出る蛇口
時間:8:00~12:00/15:00〜20:00 場所:じゃわめぐ広場 料金:無料 期間:通年
このほかにも、りんごを五感で楽しめる多彩なプログラムを用意。カプセルから本物のりんごが出てくる「りんごガチャガチャ」や、蛇口をひねるとりんごジュースが流れる人気サービス、紅葉の中を巡る「紅葉りんご馬車」では収穫期を迎えたりんごをお土産に。さらに、巨大なりんご灯篭や幻想的な回廊が広がるフォトスポットも登場。りんごの魅力を、見て、味わい、体験することができる。
紅葉りんご馬車
時間:9:00/9:30/10:00/10:30/11:00 場所:敷地内の公園
料金:大人1,870円、小学生1,320円、未就学児990円(いずれも税込)
予約:公式サイト(https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/aomoriya/)にて3日前まで受付
備考:りんごのお土産は大人料金の人数分を提供
秋の青森の象徴であるりんごを通じて、地域の文化や季節感を体感できる「じゃわめぐりんご祭り」。伝統と遊び心が融合した特別な滞在を、ぜひ楽しんでみては。
青森屋 by 星野リゾート
【住所】⻘森県三沢市字古間木山56
【TEL】050-3134-8094(星野リゾート予約センター)
【料金】1泊 23,000円~(2名1室利用時1名あたり、税込、夕朝食付)
関連リンク
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Features
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投稿 青森屋 by 星野リゾート「じゃわめぐりんご祭り」 は Premium Japan に最初に表示されました。
サンタモニカには、レストランがたくさん。ハンバーガーやアメリカン、イタリアン、チャイニーズ、ジャパニーズ。いろんな種類の食べ物が食べられます。海沿いらしくシーフードレストランもたくさん!あなたはどんな料理を食べますか?

























