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神仏と人物、その“かたち”に秘められた物語
2025.5.30
静嘉堂文庫美術館にて開催。「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」
「大内図屏風」左隻(承安五節絵隻)江戸時代(17~18 世紀) 後期展示
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東京・丸の内、静嘉堂文庫美術館にて、日本絵画のなかに表現されてきた「神仏」と「人物」に焦点を当てた「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」が開催される。会期は7月5日(土)から9月23日(火・祝)まで。
重要美術品「春日宮曼荼羅」 南北朝時代(14世紀) 後期展示
本展は、やまと絵、仏画、垂迹画、道釈画などを通じ、古美術の中に息づく“人のかたち”“神のかたち”の意味を紐解くもの。人物のポーズ、装束、表情に隠された象徴や、仏が人々を救済するために神の姿を借りて現れる考え方を指す「本地垂迹思想」など、ビジュアルと物語性が交錯する日本独自の宗教美術に触れることができる。
重要文化財 牧谿「羅漢図」 南宋時代(13世紀) 前期展示
国宝 因陀羅筆・楚石梵琦題詩「禅機図断簡 智常禅師図」 元時代(14世紀) 前期展示
展示の大きな魅力のひとつは、入門編でありながらも国宝や重要文化財を含む名品が展示されていること。たとえば、春日社の神仏関係を凝縮して描いた重要美術品「春日宮曼荼羅」、深い瞑想にふける羅漢の姿を描いた重要文化財 牧谿「羅漢図」 、悟りの瞬間を描いた中国禅画の名品、国宝 因陀羅筆・楚石梵琦題詩「禅機図断簡 智常禅師図」など、珠玉の作品が揃う。
狩野常信「琴棋書画図屏風」 江戸時代(17~18世紀) 前期展示
さらに、夏休みに合わせた親子向けのギャラリートークや謎解きワークシートも用意されており、大人だけでなく子供も楽しめる試みも。「神仏」と「人物」をめぐる奥深い日本美の世界に、触れてみてはいかがだろうか。
重要文化財 「春日本迹曼荼羅」 鎌倉時代(14世紀) 前期展示
◆絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ
【会期】 2025年7月5日(土)~9月23日(火・祝)
※前期:7月5日~8月11日 / 後期:8月13日~9月23日(ほぼ全作品入れ替え)
【会場】 静嘉堂文庫美術館(東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階)
【開館時間】10:00~17:00(第4水曜は20:00まで、9/19・20は19:00まで)
【休館日】月曜(ただし祝日開館・翌平日休館。詳細は公式HPへ)
【入館料】一般1,500円、大高生1,000円、中学生以下無料
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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る
2025.5.29
伊勢神宮最大のおまつり 繰り返される祈り「式年遷宮」
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ドンッ、ドンッ、ドンッ。
時を知らせる太鼓の音が鳴り響いた瞬間、宮域内の空気がピンと張り詰めた。
令和7年5月2日。今回で第63回を数える伊勢の神宮の式年遷宮、その最初のおまつりとなる「山口祭」の開始を告げる太鼓の音が高らかに鳴らされ、続いて、神職をはじめとする奉仕員一同が、足並みを揃えて玉砂利を踏み締め歩く落ち着いた音とともに、粛々と参道を進んでいく。
20年に一度、すべてを新しくして大御神にお遷りいただくおまつり
式年とは、定められた一定の年限のこと、遷宮は、文字通りお宮を遷すという意味がある。神宮には、内宮、外宮ともに、東西に同じ広さの敷地があり、20年に1度、御正宮のある場所を改めて、古例のままに一から社殿を造営し、神様の衣服や調度品なども一新して、天照大御神をはじめとする神々にお遷りいただく神事が、古来脈々と続けられている。次に新しい社殿に神々がお遷りになるのは、令和15(2033)年。そのために、これから8年の歳月をかけて、さまざまな準備がされるという。
神宮の式年遷宮では、「物忌(ものいみ)」と呼ばれる童男、童女も奉仕員に加わる。
今回は、そんなわが国最大のおまつりである式年遷宮についてご紹介しよう。
神宮の式年遷宮は、第40代天武天皇のご宿願によって発案され、その遺志を引き継ぐ形で、持統天皇4年(690)に行われたことがはじまりとされている。以来、実に1300年以上にもわたり、遷宮が繰り返されてきた。
約1300年前からはじまり、2033年は63回目となる「式年遷宮」
なぜ20年なのか。これについては諸説あり、定説はないとされている。広く言われているのは、社殿が素木(しらき)造りで屋根も萱葺のため、耐久的な面からという説や、宮大工などの伝統技術を継承するために最適な年数とする説、他にも、穀物の貯蔵年限を定めた倉庫令の中で、米の備蓄年限––––ただし、米を蒸して乾燥させた糒(ほしいい=乾飯)の状態での保存––––を20年としているから、という説などがある。
興味深いのは、式年遷宮が定められた当時、すでに日本には、現存する世界最古の木造建築、奈良の法隆寺が建立されていたように、耐久性のある建造物を造る技術が伝わっていたということだ。それでもあえて、神宮では、弥生時代の穀倉に起源を持つ「神明造(しんめいづくり)」という建築様式を用い、20年に1度社殿を造り替え、そっくり同じ姿で新しくするという、世界に類を見ない継承のスタイルを生み出した。
その根底には、米を主食として命を繋いできた日本の風土や文化を守り伝え、神道の理想である「常若(とこわか)」、つまり、常に若々しく瑞々しい状態で神々をお祀りしたいという、古代の人々の強い願いが存在するのだろう。遷宮が繰り返されるたび、この国の人々は、日本の文化や祈りの原点に立ち戻り、古からの技術とともに、その精神も受け継いできたのである。
現在の御正宮に隣接する御敷地(みしきち)に立つ桜の古木。新たな御正宮は、この地に造営される。
天武天皇が何を願って式年遷宮を発案されたか、今となってはわからない。だが、未来は今の連続の上に成り立つもので、繰り返すという行為、営みこそ、実は1番に意味があり、永遠をも可能にするということを、神宮の式年遷宮は実証しているように思える。
最初の祭典「山口祭」では、遷宮で使う御用材の伐採と造営の安全を祈る
では、その式年遷宮は、具体的にどのように進められるのだろう。
神宮の式年遷宮に関する諸祭や行事は、全部で33。大きく3種類に分けられる。1つは、社殿造営の材料となる御用材に関するもの、次に社殿の造営に関するもの、最後に遷御(せんぎょ)、つまり、新しい社殿に御神体をお遷しするためのもので、冒頭で紹介した「山口祭」は、そのすべての最初のおまつりにあたる。
令和7年5月2日の午前8時に始まった内宮の「山口祭」では、途中で「饗膳(きょうぜん)の儀」が行われた。「饗膳」とは、振る舞いの膳に供えたごちそうの意味で、重大な祭典奉仕の祝い膳という。もとは京都の朝廷から派遣された造官使という使者を、神宮側がもてなしたのがはじまりだと考えられている。古式料理13品が用意される。
「山口祭」では、竹の丸い籠に入った白い鶏がお供えされる。これは「生調(いきみつぎ)」と呼ばれ、お供えした後は生かされるという。古代の中国で、土地の神を祀るのに白い鶏を供えた風習が伝わったと考えられている。
ちなみに「おまつり」とは、本来「祀る」の名詞形で、神様に告げまつり、たてまつる儀式のこと。「祭祀」「祭儀」「祭典」とも言い換えられ、神様にお食事などをお供えし、感謝や祈りを捧げる厳かな神事を指す。一般に「祭り」という言葉からイメージされる、神輿(みこし)を担ぐなどのにぎわいは、あくまでおまつりに付随する行事。神宮の式年遷宮に関する諸祭も、常の祭祀と同じように、静寂のなか、厳かに粛々と行われる。
式年遷宮で最初に行われる「山口祭」は、御用材を伐採するにあたり、まず「山口に坐(ま)す神」、つまり、山の入り口にいらっしゃる神様に、木の幹を使わせていただくことを申し上げ、作業の安全を祈念するおまつり。
外宮の「山口祭」での一場面。祭場は、外宮の背後に聳える高倉山の山口にあたる別宮、土宮(つちのみや)の東に設けられた。
新しい「御正殿」の御床下(みゆかした)に建てられる御用材を伐採する儀式「木本祭(このもとさい)」
さらに、「山口祭」と同じ日の深夜には、「心御柱(しんのみはしら)」となる御用材が、神域内の山中で伐り出される。この柱については、連載の第2回の冒頭で触れているので、詳しくはそちらをご覧いただきたいが、古来神聖視されている、この特別な御柱の御用材を伐る際は、秘儀である「木本祭(このもとさい)」が行われ、「木本(このもと)に坐(ま)す大神」にお供え物を捧げ、これから伐り奉(まつ)ることを申し上げるという。
「木本祭」の灯りとなる松明。開始を告げる太鼓の音もなくおまつりが始まり、浄闇のなかわずかな奉仕員が参進する様子から、このおまつりが、いかに厳粛に執り行われるかがうかがえる。
ちなみに、この御用材は、御正殿の御床(みゆか)下の中央に奉建されるまで、白布(はくふ)、清筵(きよむしろ=植物を編んでつくった敷物)、清薦(きよこも)で丁寧に包まれて、内宮、外宮、それぞれの域内に安置されることになる。
御用材の調達は、約2年がかりで行われる。その間、内宮、外宮の御神体を納める「御樋代(みひしろ)」と呼ばれる御器(みうつわ)や、その「御樋代」を納める船形の「御船代(みふねしろ)」など、まず御神体に関する御用材の伐採と、それに伴うおまつりや行事が行われ、その後、社殿の造営に関する御用材が伐り出されるという。
伐採された御用材は、水中乾燥を経て、風通しの良い乾燥小屋で、3年から7年の間自然乾燥させて加工。神宮では、御用材の加工を「木造(こづく)り」と呼び、造営開始の際は「木造始祭(こづくりはじめさい)」が行われ、造営作業の安全が祈念される。
内宮の別宮、瀧原宮(たきはらのみや)。奥にある瀧原並宮(たきはらのならびのみや)とともに、隣接して同じ広さの敷地があり、新たな社殿が造営される。
御用材のおまつりの後、社殿建築のおまつり、神遷しのおまつりへと続く
その後、遷御の5年前、今回で言えば令和10年に、新しい御正宮、つまり新宮(にいみや)が建てられる新御敷地(しんみしきち)で、一般に言う地鎮祭にあたる「鎮地祭(ちんちさい)」が行われる。以後、御正殿の御柱を立てる立柱祭(りっちゅうさい)や、御正殿の棟木(むなぎ)を上げる上棟祭(じょうとうさい)など、造営作業の進行状況に従って、造営に関する諸祭が、主に遷御の1年前から行われる。さらに、新宮が竣工すると、御正殿の御床下に「心御柱」を建てる秘儀、「心御柱奉建」や、新たな宮処となる大宮処に坐す神に、竣工の感謝を捧げる「後鎮祭(ごちんさい)」などが行われ、いよいよ遷御のときを迎えることになる。
式年遷宮の中核をなす「遷御の儀」は、天皇陛下がお定めになった日時に、浄闇(じょうあん=清らかな夜)のなか行われる。神宮では、式年遷宮に関する諸祭の、特に重要なおまつりに関しては、古来「御治定(ごじじょう)」、つまり、天皇陛下が日時をお定めになるという。続いて翌日、新宮にお遷りになった天照大御神に、はじめてお食事をお供えする大御饌(おおみけ)、さらに、天皇陛下より奉られる幣帛を奉納し、最後に、宮内庁の楽師たちによる御神楽(みかぐら)の奉納が行われ、8年にわたる遷宮諸祭は締め括られるのだ。
令和7年5月2日の午後8時から行われた、内宮の「木本祭(このもとさい)」の一場面。わずかな灯りと限られた奉仕員のみで厳粛に行われる秘儀に先立ち、神職をはじめとする奉仕員と神饌を祓う「修祓(しゅばつ)」が行われた。
変わることで継続できる、式年遷宮の意義
もっとも、正確には、神宮の式年遷宮はこれで終わりではない。内宮、外宮、両正宮の遷御に続いて、14の別宮(べつぐう)でも社殿が新たに造営され、1年あまりの月日をかけて、順次「遷御の儀」が行われるのだ。
加えて、式年遷宮にあたっては、社殿だけでなく、神様の衣服や服飾品、また社殿の設(しつら)えに用いる装飾品や、太刀や馬具、文具などの調度品も一新されるという。その数、714種1576点。この「御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)」と呼ばれる品々も、内宮、外宮の両正宮だけでなく、14の別宮すべてに奉献され、「遷御の儀」の前日に、檜の香が漂う新しい社殿を装飾するという。
注目すべきは、この「御装束神宝」のいずれの品々も、社殿同様、古来受け継いだ仕様を変えることなく、1300年もの長きにわたり踏襲され続けているということだ。神々に奉るにふさわしい意匠や最高の技術、材料を追求して作り上げられる品々は、「神宝調製者」と呼ばれる、当代最高の技術を持つ匠たちの手によるもの。それぞれが自分の持てる技を尽くし、至上の工芸品を作り上げながらも、神々の御料であることから、その作品に匠や作者の銘が刻まれることはない。「調製」とは、規格通りに作り上げること。神々に奉る品々は、真心をもって奉製にあたることが求められるのだ。
日々の祈り。稲作の暦に沿って、毎年繰り返される恒例のおまつり。そして、20年に一度の式年遷宮。
過去から今へ、そして未来へ。長い年月にわたるその継続が、「常若」の聖地を作っている。
Text by Misa Horiuchi
伊勢神宮
皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1
豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279
文・堀内みさ
文筆家
クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。
写真・堀内昭彦
写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。
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京都通信
2025.6.27
京都で味わう夏の彩り──新緑や季節の花が美しい寺社5選
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初夏から夏にかけて、青々とした緑と季節の草花に彩られる京都のまち。木々の間から苔むす庭に差し込むやわらかな光、梅雨に濡れた紫陽花、水辺を涼しげに彩る蓮や睡蓮など、趣のある表情が訪れる人の心を癒してくれます。
◆青もみじが彩る静寂の庭園「圓光寺」
市内中心部から少し離れた洛北エリア・一乗寺にある圓光寺は、徳川家康が学問所として開いた歴史を持つ寺院。
紅葉シーズンは混雑必至のスポットですが、今の時季は観光客も少なめ。
色鮮やかな青もみじを眺めながら、静かで心安らぐ時間が過ごせます。
とくに美しいのは、青もみじと苔が緑のグラデーションを描く「十牛之庭」。
柱や鴨居を額縁に見立てて眺める“額縁庭園”としても知られています。
本堂から眺める「十牛之庭」。一枚の風景画のような美しさに、思わず息を呑む。
この十牛之庭は池泉回遊式の庭園で、庭に出て散策することもできます。
静かな境内にかすかに響く水琴窟の澄んだ音色や、苔の絨毯の上にちょこんと佇むお地蔵さまが心を和ませてくれます。
にっこり微笑む愛らしい姿に、思わずこちらも笑顔になってしまう。
庭園の奥に広がるのは、江戸時代の絵師・円山応挙が作品のモチーフにした竹林。
爽やかな風が吹き抜け、さわさわと葉を揺らす竹林の風情に癒やされます。
圓光寺(えんこうじ)
住所:京都市左京区一乗寺小谷町13
TEL:075-781-8025
拝観時間:9:00〜17:00
拝観料金:大人800円、小中高生500円
HP:https://www.enkouji.jp/
Instagram:@enkouji
◆涼やかな竹の緑が心を鎮める「地蔵院」
「竹寺」の名で親しまれる「地蔵院」は、洛西エリアの住宅街にひっそり佇む臨済宗の古刹です。
1367年に作庭家であり禅僧の夢窓国師が開山。一休禅師が幼少時を過ごしたことでも知られています。
新緑の木々に囲まれた山門。その奥に、見事な竹林が続いている。
山門をくぐった先に広がるのは、竹林と苔に包まれた静寂の世界。
参道沿いには、空に向かってまっすぐ伸びる青竹が連なり、風にそよぐ葉擦れの音や新緑の香りが心を満たしてくれます。
竹林に覆われた涼やかな境内。街から離れた立地ゆえに混雑も少なく、静かなひとときが堪能できる。
方丈前庭には、十六の自然石を羅漢(仏教において最高の悟りを得た聖者のこと)に見立てた枯山水庭園「十六羅漢の庭」が。
苔と石が織りなす静かな庭園を眺めながら、穏やかなときを過ごすことができます。
地蔵院(じぞういん)
住所:京都市西京区山田北ノ町23
電話番号:075-381-3417
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:500円
HP:https://www.takenotera-jizoin.jp/
◆梅雨に映える紫陽花の名所「岩船寺」
梅雨の京都で、静かに心を潤してくれる場所──それが木津川市・当尾地域に佇む岩船寺です。
「紫陽花寺」として知られるこの寺を彩るのは、およそ5000株もの紫陽花。
原種の山アジサイや西洋アジサイをはじめとする約35品種が、境内を赤や青、紫色に染め上げます。
京都市街地から離れた場所ながら一度は訪れたい紫陽花の名所。例年6月下旬には紫陽花と睡蓮が同時に楽しめるのも魅力。
岩船寺の紫陽花は、昭和初期、荒廃した境内に美しさを取り戻そうと先代住職の手によって植えられたのが始まりだそう。
重要文化財に指定されている三重塔を囲むように咲く風景は、まるで絵画のよう。
しとしとと降る雨に濡れ、一層鮮やかな色を放つ紫陽花の美しさは格別です。
本堂前に置かれた睡蓮鉢の花手水。
また、紫陽花の花が浮かべられた花手水も見どころのひとつ。
毎日少しずつ入れ替わるので、その日によって異なる色合いが楽しめます。
〈紫陽花の見頃〉
6月上旬〜7月上旬
岩船寺(がんせんじ)
住所:木津川市加茂町岩船上ノ門43
電話:0774-76-3390
拝観時間:8:30~17:00(12月~2月は9:00~16:00)
入山拝観志納料:大人500円・中高生400円・小学生200円
HP:https://gansenji.or.jp/
Instagram:@gansenji_temple
◆“モネの睡蓮の池”を思わせる「大原野神社」
自然豊かな洛西エリアに位置する大原野神社は、印象派の画家クロード・モネの作品を連想させる風景が見られることで知られるスポット。
神社としての歴史も古く、遡ること1200年以上。桓武天皇による長岡京遷都の際、藤原氏の氏神である奈良春日大社の神々を分霊して創建され、別名「京春日」とも呼ばれています。
源氏物語にも登場する大原野神社。紫式部が氏神として崇敬していたことでも知られている。
“モネの睡蓮の池”が見られるのは、参道の途中にある鯉沢池。
5月中旬から8月下旬にかけて池一面に咲く白い睡蓮の花と、池に架かる太鼓橋が織りなす風景は、モネの名画「睡蓮の池と日本の橋」さながら。
午後には花が閉じてしまうので、午前中に訪れるのがおすすめ。
池のまわりはグルッと一周できるので、ゆっくり歩きながら涼しげな水辺の風景を堪能してくださいね。
〈睡蓮の見頃〉
5月中旬〜8月下旬
大原野神社(おおはらのじんじゃ)
住所:京都市西京区大原野南春日町1152
TEL:075-331-0014
拝観時間:拝観自由
拝観料金:無料
HP:https://oharano-jinja.jp/
Instagram:@oharanojinja.official
◆池に咲く蓮が見事な「法金剛院」
「関西花の寺二十五ヵ所」の第13番札所として知られる法金剛院は、通称「蓮の寺」とも呼ばれる蓮の名所。
境内には極楽浄土を表現した池泉回遊式庭園が広がり、大賀蓮や不忍斑蓮、漢蓮など約90種類にもおよぶ蓮の花が初夏から盛夏にかけて次々と咲き誇ります。
極楽浄土には青・黄・赤・白色の大きな蓮が咲くと言われている。それに因んで、境内には4色の蓮が集められている。
通常拝観は毎月15日のみですが、蓮が見頃を迎える7月には「観蓮会」が開かれ、朝7:30から開門。
静寂に包まれた庭園で、蓮の花がゆっくりと開いていく様子を間近で感じることができます。
苑池を埋め尽くすように咲く蓮のほか、礼堂前にズラリと並ぶ鉢植えも美しい。その数なんと120にも及ぶとか。
泥の中からまっすぐに茎を伸ばし、凛と美しく咲く蓮の花。
朝の澄んだ空気のなか、やさしい香りを漂わせながら開花するその姿を眺めていると、心が浄化されていくよう。ぜひ早起きして、朝一番に訪れてくださいね。
法金剛院(ほうこんごういん)
住所:京都市右京区花園扇野町49
TEL:075-461-9428
受付時間:通常は毎月15日の9:30~16:00のみ
観蓮会期間中は7:30〜12:00
拝観料:大人500円、小人300円
HP:http://houkongouin.com/
【睡蓮と蓮の違いとは?】
睡蓮と蓮は、どちらも水辺に咲く水生植物。姿形もよく似ていますが、葉の形や花の咲く位置に違いがあります。睡蓮はスイレン科で、水面に浮かぶように花を咲かせ、葉に光沢と切れ込みがあるのが特徴。日中に開花して、夕方になると眠るように閉じてしまうことから「睡蓮」と名づけられたそうです。一方、蓮はハス科で、水面より高い位置に花を咲かせ、葉には光沢や切れ込みがありません。早朝から咲き始め、昼頃には閉じてしまうので、早起きして観賞するのがおすすめです。
Text by Erina Nomura
野村枝里奈
1986年大阪生まれ、京都在住のライター。大学卒業後、出版・広告・WEBなど多彩な媒体に携わる制作会社に勤務。2020年に独立し、現在はフリーランスとして活動している。とくに興味のある分野は、ものづくり、伝統文化、暮らし、旅など。Premium Japan 京都特派員ライターとして、編集部ブログ内「京都通信」で、京都の“今”を発信する。
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1980年の5月に何が起こったかを聞かれたら、韓国の人は皆「光州5.18民主化運動(光州事件)」について語るだろう。5.18民主化運動は、1980年5月18~27日までの10日間、全斗煥(チョン・ドゥファン)率いる新軍部の軍事的弾圧に抵抗した光州市民による抗争のことだ。今回は事件と関係のある史跡のうち、代表的なものをいくつか紹介する。