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400年前、京の都を沸かせた壮麗な行列を追体験
2026.9.8
泉屋博古館で開催寛永行幸四百年記念 特別展「寛永行幸と花の都の文化びと」
《二条城行幸図屏風》(部分)江戸時代・17世紀 京都市指定文化財
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京都の泉屋博古館では、2026年9月5日(土)から10月18日(日)まで、「寛永行幸四百年記念 特別展 寛永行幸と花の都の文化びと」を開催する。今から400年前の寛永3年(1626)、後水尾天皇が徳川秀忠・家光の招きにより二条城へ行幸した「寛永行幸」。江戸時代初期に繰り広げられた歴史的な一大イベントを起点に、そこで花開いた寛永文化と、文化を育んだ人々の交流をひもとく展覧会だ。
《二条城行幸図屏風》左隻部分:後水尾天皇の鳳輦 江戸時代・17世紀 京都市指定文化財 泉屋博古館
《二条城行幸図屏風》右隻部分:徳川家光将軍の牛車 江戸時代・17世紀 京都市指定文化財 泉屋博古館
寛永3年9月6日、天皇一家と公家、将軍、全国の大名がそろう天下の大行列が京の街を進み、空前の活況を呈したという寛永行幸。本展の大きな見どころとなるのが、その様子を描いた泉屋博古館所蔵の《二条城行幸図屏風》だ。
《二条城行幸図屏風》部分:東福門院和子の牛車(右隻)江戸時代・17世紀 京都市指定文化財 泉屋博古館
武家のもとへの天皇の行幸は、歴史上も数えるほど。それを一目見ようと、全国から人びとが集まったと伝えられている。《二条城行幸図屏風》には、天皇の鳳輦や将軍・徳川家光の牛車をはじめ、沿道に集まった人々までが驚異の細密表現で描かれている。本展では、新時代をつげる文化の饗宴を、高精細画像も活用して余すところなく紹介する。
《東福門院像》江戸時代・文政10年(1827) 京都市指定文化財 光雲寺
《東福門院御料 唐衣表着》江戸時代・17世紀(京都市指定文化財 霊鑑寺)京都府指定文化財 【展示期間:9月5日~9月27日】
さらに寛永行幸そのものに加え、その前後から17世紀後半にかけて発展した「寛永文化」にもフォーカス。日本史上で唯一、将軍家に生まれ天皇の后となった東福門院・徳川和子の衣装調度や東福門院の創作品のほか、生涯手元に置いて礼拝したと伝わる「仏舎利塔」も特別出品される。
《百椿図巻》部分 江戸時代・17世紀 根津美術館
《小井戸茶碗 銘 六地蔵》朝鮮時代・16世紀 泉屋博古館東京
後水尾天皇、徳川秀忠・家光、近衞信尋、小堀遠州など、行幸に参加した人々は芸術文化にも深い関心を寄せていた。会場では、彼らの作品や愛蔵の茶道具などを通して、公・武・民の垣根を越えて育まれた文化交流をひもといていく。
後水尾天皇《和歌懐紙 詠寝覚月》江戸時代・17世紀 泉屋博古館
野々村仁清《鶏撮丸香炉》江戸時代・17世紀 泉屋博古館東京
豪華絢爛な行列から、宮廷文化、茶の湯や和歌まで。400年前の京都を彩った文化に触れながら、寛永という時代に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
「寛永行幸四百年記念 特別展 寛永行幸と花の都の文化びと」
【会期】2026年9月5日(土)~10月18日(日)
【会場】泉屋博古館(京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24)
【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】月曜日(9月21日、10月12日は開館)、9月24日(木)、10月13日(火)
【入館料】一般1,200円、学生800円、18歳以下無料
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投稿 泉屋博古館で開催寛永行幸四百年記念 特別展「寛永行幸と花の都の文化びと」 は PREMIUM JAPAN に最初に表示されました。
9月10日(日本時間)午前2時から、Appleの発表イベントが開催される見込みです。最大の注目は、Apple初の折りたたみiPhone。そして、その価格です。
海外では2,299〜2,499ドルという予想が出ており、日本では37万〜40万円を超えるとの見方もあります。史上もっとも高価なiPhoneになりそうです。名称も「Ultra」ではなく「Duo」ではないかという新説が出るなど、直前まで情報が動いています。
そこで、発表を前にみなさんの本音を聞かせてください。iMコミュニティでアンケートを実施しています。
選択肢
- 20万円まで
- 30万円まで
- 40万円まで
- 40万円を超えても買う
- そもそも買う予定はない
「いくらになりそうか」という予想ではなく、「自分ならいくらまで出せるか」を選んでください。
投票はこちら
【アンケート】折りたたみiPhone、いくらまでなら出せますか?|iMコミュニティ
選ぶだけなので数秒で終わります。投票すると、その場でみなさんの回答が見られます。
※投票には iMコミュニティへの登録(無料・1分ほど)が必要です。AppleアカウントやGoogleアカウントでそのまま登録できます。
締切と結果の公開
- 締切:2026年9月9日(水)午後11時59分(発表イベントの前日)
- 9月15日(火)に、結果を記事で発表します
発表後に、もう一度同じ質問をします
今回のアンケートは発表前の回答です。9月10日に実際の価格が判明したあと、まったく同じ質問をもう一度実施します。
「予想していた上限」と「実物と実際の価格を見たあとの判断」が、どう変わるのか。その2つを並べて、9月15日の記事でご報告する予定です。発表を挟むこの時期にしか取れないデータになると思っています。
なお、折りたたみiPhoneは1日数百台しか製造できず、初期在庫が極めて少ないとの見方も出ています。価格に納得できても、買えるかどうかは別の話になるかもしれません。
金額を選んだ理由や、迷っている点もコメントで書き込めます。なお、いただいたコメントは結果をまとめる記事のなかでご紹介させていただく場合があります。お名前を出さずに紹介してほしい方は、コメントにその旨を書き添えてください。
iMコミュニティとは
iPhone Maniaの読者どうしが、Apple製品について話したり教え合ったりする場所です。わからないことを聞くのも、知っていることを教えるのも歓迎です。
読むだけなら登録は不要です。
iMコミュニティ
・日産モータースポーツ&カスタマイズがエクストレイルの「AUTECH」シリーズを一部仕様変更し、536万5800円から発売した。
・後席ヒーター付シート、ステアリングヒーター、リモコンオートバックドアなどを新たに標準装備し、快適性・利便性を向上させた。
・「AUTECH e-4ORCE」ではNissan Connectインフォテインメントシステムを標準装備し、最新法規にも対応した。
2026年に入って、世界のスマートフォン価格は平均15%上昇しています。すでに40%以上のスマートフォン機種で値上げが発生しており、新発売モデルは前年同期のモデルより平均25%も高くなっています。メモリー価格高騰の影響を受けて、発表が目前に迫ったiPhone18シリーズにも値上げ圧力が高まっています。日本のユーザーは今後、どうiPhoneを買うのが良いのでしょうか?
2026年、世界のスマホ価格は15%上昇!
2026年の世界スマートフォン市場における小売価格の動向を、調査会社カウンターポイントリサーチが発表しました。
2026年に入ってから、2025年第4四半期と比べて約4倍に上昇したメモリー価格を背景に、スマートフォンの小売価格は上昇傾向にあります。
また、40%以上のスマートフォン機種で値上げが発生しており、世界平均で約15%上昇しています。一部には、価格が約2倍も上昇したモデルもありました。
新たに発売されたスマートフォンは、前年同期のモデルと比べて平均25%高くなっており、値上げの波は既存モデルだけでなく、新製品にも広がっています。
注目したいのは、既存モデルの価格上昇率が平均15%なのに対し、新発売モデルでは25%に達している点です。単純に「スマートフォンが15%値上がりした」というだけでなく、これから買い替えるユーザーほど価格上昇の影響を受けやすい状況になっているといえます。
ハイエンド市場ほど値上げの影響は緩やか?
価格上昇率を地域別にみると、最も値上がりが激しかったのはインドで21%、以下アジア太平洋の19%、中東・アフリカの18%が続きました。
<figure />
これらの地域では、低価格のローエンドやミッドエンドモデルの販売割合が高く、メモリー価格上昇の影響を受けやすいのに加えて、プロモーションによる値引き縮小もあり価格上昇につながっています。
一方、アメリカ(上昇率5%)、欧州(7%)、中国(10%)といった、プレミアムモデルの販売比率が高い地域では、比較的価格上昇率が穏やかです。
カウンターポイントリサーチは、これらの地域では価格上昇が既存モデルより新発売モデルに集中している点や、分割払いの普及によりユーザーの体感負担が抑えられている点を理由として挙げています。
地域別の価格上昇率を詳しくみると、値上がり幅には地域内でも大きなばらつきがあります。
<figure />
端末メーカー(OEM)各社は、ストレージ容量縮小やカメラの簡素化、4Gモデル再投入などによるコスト引き下げを行っており、通信事業者や小売事業者は、端末価格そのものを引き下げるのではなく、分割払いや下取りプログラムによって月々の負担を抑える販売手法を活用しています。
iPhone18シリーズにも値上げ圧力
Appleはこれまで、総売上高のおよそ半分を占めるiPhoneの(アメリカでの)販売価格を据え置いてきました。
しかし、日本時間9月10日のイベントで発表が期待されるiPhone18シリーズについても、メモリー不足や部品コストの高止まりを背景に価格上昇圧力が強まるとカウンターポイントリサーチは予測しています。
価格上昇を受けて、消費者の間では買い替え時期を延ばしたり、大型セールを待ったり、中古・整備済み品を選んだりする動きが出ている、とカウンターポイントリサーチは分析しています。
日本でのiPhone価格はどうなる?
カウンターポイントリサーチの調査データで、日本は独立して取り上げられていません。
しかし、世界的にはハイエンドなiPhoneが販売の主流にあり、通信事業者による各種キャンペーンなどによりユーザーが値上げを体感しにくい状況はアメリカに近いと言えます。
日本では円安の影響を受けるため、アメリカでの価格が据え置かれても、日本での販売価格が上昇する可能性はあります。そのため、購入時の実質的な負担額が以前よりも重要になりそうです。
日本では、Apple Storeの販売価格だけでなく、通信事業者の端末購入プログラムや下取りを含めた「実質負担額」で比較することが一般的です。そのため、仮にiPhone18の本体価格が値上げされたとしても、本体価格の上昇幅とユーザーが実際に負担する金額の上昇幅は一致するとは限りません。
つまり、日本のユーザーにとっては「iPhone18がいくら値上げされるか」だけでなく、「どの購入方法なら実質負担を抑えられるか」が重要になります。
iPhone18 Proと折りたたみiPhoneの予想価格
最近の予想販売価格と為替レートを考慮すると、iPhone18 Pro(256GBモデル)が212,800円前後、iPhone18 Pro Max(256GBモデル)は232,800円前後になると考えられています(価格は全て税込み)。
さらに、「iPhone Ultra」と噂される折りたたみiPhoneの販売価格は37万円〜40万円程度になるのではないか、とも予想されています。
もはや、最新のiPhoneは、20万円を超えるモデルも珍しくなく、一括購入には大きな負担を伴う価格帯になっています。
iPhone18はどう買うべきなのか?
世界的な価格上昇局面にあって、私たち日本のユーザーが注目すべきはiPhoneの「本体価格」だけではありません。
価格上昇が続く局面では、「最新モデルを発売日に買う」ことだけが正解ではありません。買い替え時期を延ばす、1世代前のモデルを選ぶ、バッテリー交換で現在のiPhoneを使い続ける、といった選択肢も含めて考える必要がありそうです。
とにかく実質的な負担を軽くする、あるいは今までの考え方を見直すことも視野に入れた対応策を考えてみました。
残価設定型プログラムの徹底活用
通信事業者が提供する、端末返却を前提とした分割払いプログラムです。一定期間後に端末を返却する必要がありますが、月々の負担や、一定期間利用する間の実質負担額を抑えられるのがメリットです。
「所有」を前提にせず、一定期間ごとに端末を買い替える使い方と考えれば、中古市場での価値が下がりにくいiPhoneとの相性が良い購入方法と言えます。
ただし、端末の破損や水没があると、返却時に追加費用負担が発生する場合があることも考慮に入れておく必要はあります。
Appleでの分割購入と下取り
Appleでの直販購入では、値引きなどのプロモーションは期待できませんが、対象クレジットカードやペイディあと払いプランを利用すれば、金利負担のない分割購入が可能です。
下取りに出すiPhoneの情報を入力することで、下取り額が支払額から差し引かれるため、支払額を抑えることもできます。
ただし、モデルによっては下取り額は買取専門店の方が高いことも少なくありません。
iPhone17などの型落ちモデル・整備済製品を狙う
最新のiPhoneを狙わない、という方針です。
iPhone18シリーズの登場後には、iPhone17シリーズなど旧世代モデルの価格や販売条件が変化する可能性があります。また、Apple認定整備済製品や中古市場の選択肢も増えることが期待されます。
バッテリー交換での延命
20万円以上の新型iPhoneを購入する代わりに、手元のiPhoneのバッテリーを交換して、買い替え時期を延ばす作戦です。
iOS27では旧機種を含めてiPhoneがより軽快になることがうたわれており、サポート対象モデル(iPhone11、iPhone SE(第2世代)以降)なら、バッテリー交換で延命させるのも有効でしょう。
例えばAppleの公式修理では、iPhone11〜iPhone13シリーズのバッテリー交換料金は本稿執筆時点で15,600円です。
Source: Counterpoint Research
Photo: Apple
NVIDIAが現地時間9月3日、MacとWindows PCにAIの処理を分担させる無料ソフト「PAIR」のベータ版を公開しました。Macだけでは順番待ちになるAIの処理を、NVIDIA製GPU「GeForce RTX」を積んだゲーミングPCにも回せるようになります。複数の作業を同時に頼んだときの完了までの時間が縮む仕組みです。
一方で1回の質問への返答は速くならず、検証済みのMacはM4以降に限られます。
PAIRはMacとPCをつなぐ無料のAIルーター
<figure />
PAIRは「Personal AI Router」の頭文字で、名前の通りAIの処理を複数の機器に振り分けるルーター役のソフトです。大規模言語モデル(LLM)を動かすのはPAIR自身ではなく、MacやPCに入れたOllamaやLM Studioといった既存の実行ソフトが担当します。
OllamaとLM Studioはどちらも、LLMをインターネットに送らず手元の機器の中で動かすための無料ソフトです。PAIRはこの2つに対応し、同じネットワークにある複数の機器のうち手が空いている1台に処理を送り、出力結果を返します。
公開されたのはベータ版で、ソースコードもオープンソースとして公開されました。アプリから見るとAIの処理を頼む接続先は今まで通り1カ所のままなので、アプリ側の設定を変えずに処理の順番待ちを減らせるのがPAIRの売りといえます。
NVIDIAが検証済みとするMacはM4以降
NVIDIAが動作を確認済みとする構成は次の通りです。
<figure>
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検証済みのMac | M4以降のAppleシリコンを搭載したMac |
| 対応するPC | GeForce RTX 20シリーズ以降のGPUを搭載したWindows 11/Linux機 |
| そのほか | DGX Spark(NVIDIAの小型AI専用機) |
| MacのOS | macOS Tahoe |
| メモリ | 8GB以上 |
| 空き容量 | 20GB以上を推奨 |
| 対応する実行ソフト | Ollama、LM Studio |
| 表示言語 | 英語のみ |
| 価格 | 無料 |
</figure>
Macで検証済みなのはM4以降のチップとmacOS Tahoeの組み合わせで、Windows PCはGeForce RTX 20シリーズ以降のGPUを積んだ機種が対象になります。PAIRの動作にインターネットは要らず、接続が必要なのはLLMの本体データであるモデルを入手するときにすぎません。
現行Macで検証済みに入らないのはMacBook Neoのみ
Appleが現在販売しているMacを、PAIRの検証済み構成に当てはめると次の通りです。
<figure>
| モデル | チップ | PAIRの検証済み構成 |
|---|---|---|
| MacBook Neo | A18 Pro | 対象外 |
| MacBook Air | M5 | 対象 |
| MacBook Pro | M5/M5 Pro/M5 Max | 対象 |
| iMac | M4 | 対象 |
| Mac mini(9月22日発売) | M6/M5 Pro | 対象 |
| Mac Studio(9月22日発売) | M5 Max/M5 Ultra | 対象 |
</figure>
現行のMシリーズを積むMacは、iMac(M4)を含めてすべて検証済みの範囲に入ります。一方でA18 Proを搭載するMacBook Neoは一覧に入っておらず、A19 Proを載せた次期MacBook Neoの噂もある機種だけに、NVIDIAが検証の範囲を広げるかが気になるところです。
M1〜M3のMacは単体でローカルAIを動かせる
M1〜M3世代のMacは、PAIRの検証済み構成に含まれていません。PAIRのインストーラー自体はAppleシリコン全般にあるものの、M3 Ultra搭載のMac Studioまで検証の範囲外なのは、手元の機器だけでAIを動かすローカルAIのためにMacを選んだ人には気になる点といえます。
ただし、PAIRの検証済みに入らないことと、ローカルAIが使えないことは別の話です。OllamaはmacOS 14以降、LM StudioはM1以降のAppleシリコンとmacOS 14以降で動くため、M1〜M3のMacでも1台の中でLLMを動かす使い方は今まで通りできます。
複数の処理が完了するまでの時間が短くなる
PAIRを入れても、AIの返答そのものが速くなるわけではありません。複数の処理を並べて走らせたときに処理が完了するまでの時間は短くなります。しかし、NVIDIAによると1回の問い合わせを複数の機器で分担することはないようです。
2台のメモリを組み合わせても大きなモデルは動かせない
MacとPCをつないでも、2台のメモリやGPUが1つに束ねられることはありません。例えばメモリ16GBのMacと16GBのPCを組み合わせても32GBが必要なモデルは動かないため、動かせるモデルの大きさは1台ごとのメモリ容量で決まります。
処理をどの機器に送るかの判断は、各機器で待っている処理の数と大まかなGPUの使用率が基準です。GPUの性能差や空きメモリは考慮されないため、性能差の大きい機器を組み合わせると遅い方に処理が回ることもあるとNVIDIA公式が認めています。
NVIDIAの実演ではAI作業の所要時間が半減
全体の所要時間が縮むのは、AIエージェントが複数の作業を同時に走らせる場面です。NVIDIAの実演では、5つの分担役のAIに分かれた作業が1台では平均18分かかったのに対し、3台に分けると平均8分48秒で終わっています。
ただしこの実演に使われたのはRTX搭載のノートPC、DGX Spark、RTX 5090搭載機の3台で、Macは含まれていません。NVIDIAも構成に依存する非公式のデモだと発表しています。台数を増やした分だけ所要時間が縮む保証はない点を押さえておくことが大切です。
家庭ではMacとRTX搭載PCの組み合わせが現実的
企業のAI需要でMacの代わりに選んだ例として名前が出たDGX Sparkは、4,699ドルのAI専用機で家庭に置くには高価です。現実的なのはすでに持っているMacとRTX搭載のゲーミングPCをつなぐ組み合わせで、PAIRはまさにその使い方を想定しています。
Mac同士の組み合わせも可能で、M4以降のMacが2台あれば片方をAI処理の受け皿にできるでしょう。モデルは全機器に入れる必要はなく、同じモデルを入れた機器が複数あるときだけそのモデルの処理が分散され、入っていない機器には送られません。
導入の手順は、PAIRを各機器に入れて6桁のPINで2台目とペアリングするだけです。OllamaとLM StudioはPAIRの画面から入れられ、アプリがOllamaなどにつなぐ接続先(ポート番号)もPAIRが引き継ぐため、すでに使っているアプリの設定はそのままで済みます。
ベータ版のPAIRを試す前に知っておきたい3つの注意点
PAIRの表示言語は現時点で英語のみで、日本語のメニューは用意されていません。画面の設定項目は多くないものの、機器のペアリングやポートの変更を英語で読み進める必要があるため、英語に抵抗がある人にとってはハードルになりそうです。
PAIRを使うネットワークは、自宅など信頼できる環境だけが前提になります。PAIRは同じネットワーク上の機器を自動で探し、PINで承認した相手とだけ暗号化した通信を行います。一方、NVIDIAが求めているのは信頼できるネットワークと機器の間のみでのペアリングです。
既知の不具合として、macOS版のPAIRはほかの機器とつながないまま放置すると、ほかの機器からの接続に応答しなくなることがあります。再起動すれば直る軽い症状ですが、ベータ版らしい荒さが残っている点は承知の上で試す必要があるでしょう。
PAIRでNVIDIA製品とMacの接点が生まれる
NVIDIAのGPUはMacに載らないため、NVIDIAとAppleの製品はこれまで交わる場面がほとんどありませんでした。PAIRはそのMacをNVIDIA製品を中心にした機器のグループに迎え入れるソフトで、RTX搭載PCとMacを組み合わせる用途が新たに生まれる形です。
一方でMacユーザーから見れば、PAIRは空いているゲーミングPCをAIの処理に回せる実用的なツールといえるでしょう。今後の改良で性能差や空きメモリを踏まえた振り分けが加われば、MacとPCを1台ずつ持つ家庭でローカルAIの選択肢は一段と広がるとみられます。
Photo:NVIDIA
JCCO
PREMIUM JAPAN AWARD
PREMIUM JAPAN AWARD 2026
2026.9.12
見えない美に光を当て、「彼方」へ 「A Lighthouse called Kanata」が世界に築いた、日本美術の航路
イタリア産トラバーチンの壁面と、作品に合わせて光量や色温度を調整する特注照明が印象的な1階メインギャラリー。一般的なホワイトキューブとは異なる荘厳な空間が、作品の素材感と陰影を際立たせる。画像提供:A Lighthouse called Kanata
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顧客も所属作家もいなかった創業直後、ロンドンの国際アートフェア「COLLECT 2008」にわずか8平方メートルのブースで初出展し、作品を完売。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が3作品を購入した。2013年からは世界屈指のアートフェア、TEFAF Maastrichtへの出展を重ね、現在ではArt Basel HKやFrieze Seoulなどのアートフェアに加え、メトロポリタン美術館(The Met)やV&A、龍美術館をはじめ、世界の一流美術館やトップコレクターへ日本の作家を紹介している。青山にあるギャラリー「A Lighthouse called Kanata」は、日本のアートシーンでは、まだそれほど話題にのぼることがないが、海外で確かな実績のあるアートギャラリーだ。
その活動を貫くのは、日本に眠る優れた作家と作品の魅力を、自らの審美眼で選び、質の高い英語の文章と展示によって世界へ正確に伝える仕事だ。彫刻家の安田侃などアーティストから寄せられる信頼も厚い。Premium Japan Awardは、日本の美を世界の評価へつないできた同ギャラリーと、それを率いる青山和平の功績に光を当てたいと考え、第1回アワードを贈ることとした。
2025年に移転したばかりの表参道のギャラリーで、青山和平に話を聞いた。
世界の美術館が訪ねてくる「灯台」
表参道近くの静かな通りに佇むA Lighthouse called Kanata。日本の優れた作品を見出しその魅力を世界のトップ美術館やコレクターに伝えることで、日本のアートシーンの未来を明るく照らそうとしている。画像提供:A Lighthouse called Kanata
異色の経歴を持つギャラリスト「A Lighthouse called Kanata」代表の青山和平。米英で教育を受け、確かな審美眼と堪能な英語力を用い、まだ光を浴びていない日本のアート作品を世界に紹介し続けてきたことで、今では海外の有名美術館やトップブランドから厚い信望を得ている。
東京・表参道。まい泉通りから少し入った場所に、地上3階と屋上テラスからなるA Lighthouse called Kanataの新しい拠点が立つ。3フロア構成で床面積は約720平方メートルと広い。
「言葉、宗教、国境、人種を超えて、一見して人の心を打つものこそ、本当に優れたものだと思います。その感覚を生み出す演出として、このギャラリーをつくりました」と青山は言う。
建物に入ってもすぐにギャラリーは現れない。入り口の先には茶室のにじり口を思わせる長い通路があり、突き当たりを曲がった扉の先にやっとギャラリーが姿を現す。一般的なホワイトキューブ(白壁)のギャラリーではなく、壁は重厚な石灰岩。その荘厳さに圧倒される。使われているのはイタリア産のトラバーチン。光が細かな凹凸に触れ、作品の輪郭と影を静かに浮かび上がらせる。
実は青山には、空間について忘れられない原体験があるという。若い頃、夜の大聖堂に足を踏み入れると、静寂に包まれた空間で、一つの作品だけが月明かりに照らされていたという。
「宗教心の有無にかかわらず、誰もがその美しさに感動したと思います」このギャラリーでも、そんな荘厳さを感じて欲しかったという。
2階には招待制のセカンドギャラリーに加え、VIP用のプライベートビューイングルームやバーが用意されている。客がソファに腰かけ、セラーから運ばれてきたワインを楽しんでいると、目の前の引き扉が開いて、おすすめの作品1点だけが現れる。作品との対峙が終わると、一度、扉が閉まり、次の作品の登場とともに再び扉が開く。作品と人が一対一で出会うための、小さな儀式--上質を知る世界のトップバイヤーやトップコレクターを微笑ませる、こうした仕掛けが、青山が本当に世界のトップ層を相手に仕事をしていることを伺わせる。
ギャラリーでは見る人の目線を想像し、展示台の高さはもちろん、作品同士の間合い、光の光量や色温度まで調整する。青山にとって作品の展示とは、完成した作品を並べる最終工程ではなく、作品が持つ力を最大限引き出す創造行為だという。
今ではこのギャラリーを目指して、海外の美術館がツアーを組む。シンシナティ美術館やヒューストン美術館のトラスティーが来廊し、メトロポリタン美術館は金沢の老舗料亭から料理人を迎えて晩餐会を開く。そして世界のトップファッションブランドのプライベートイベントも行われているという。
VIPルームのバーカウンター。正面には彫刻家・安田侃の《天秘》を配し、カウンターにはアイルランドの作家ジョセフ・ウォルシュによる流麗な木製椅子が並ぶ。作品と家具、もてなしが一体となったKanataの美意識を感じさせる。
2階には開催中の個展とは別に同ギャラリーが扱う主力作家の作品が並べられた予約制のセカンドギャラリーが用意されている。
顧客も作家もゼロ。8平方メートルからV&Aへ
青山は1979年、東京生まれ。1歳から9歳までを海外で過ごしたが、高校時代、横浜美術館で見たターナー展に衝撃を受けた。ニューヨークでの大学時代にはジャクソン・ポロックの《Autumn Rhythm: Number 30, 1950》に圧倒された。人生の節目ごとに、進む方向を変えるようなアート作品と出会ってきたという。
だが、大学で選んだのは美術ではなく法律だった。ニューヨーク大学を卒業後、オックスフォード大学大学院へ進学。法律を学んだのは、弁護士を目指したからではなく「法律的な頭の使い方」に興味があったから。実は小説家や政治家になることも考えていたという。
転機は、長く疎遠だった父からの連絡だった。父は南青山で陶磁器や器を扱う小さな店、酉福(ゆうふく)ギャラリーを営んでいた。大学院修了後の一年間、静岡県三島市にあった姉妹会社で陶磁器の仕事を学びながら、小説を書いてみないかと誘われた。
「いざ行ってみたら、全く文章が書けなかった。もう全然、筆が進まないんです。ただ、不思議と焼き物、陶磁器の世界には入り込んでしまって、素晴らしい世界だと思いました」
父の商売の方法と、自分の考えには隔たりがあった。修業後はいったん外資系企業へ就職し、世界各地を飛び回る。そこで妻と出会い、結婚を機に独立した。会社員として指示通りに動くより、自分の信じる価値を形にする道を選んだ。
実は海外生活と欧米の美術館巡りを通して、青山は大きな疑問を抱き始めていたという。
「これほど豊かな日本の美術文化が、なぜ世界でほとんど知られていないのか。2000年前後には、杉本博司や草間彌生でさえ、現在ほど大きく紹介されていませんでした。」
青山には確信があった。
「客観的に見ても、日本の美術文化は世界に冠たるものです。全く引けを取っていない、むしろ勝っているんじゃないかと思うものがたくさんある。それなのに、紹介されていなかった。だったら、そこで自分にしかできない仕事は何だろうと考えたんです」
2007年、結婚祝いのご祝儀を元手に東空アートを設立した。登記も自分で行った。人脈も資金もなく、顧客も作家もゼロ。それでも「日本の美術文化を世界へ紹介する」という一点だけは決まっていた。
ほどなく、英国のヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)を会場に開かれる国際アートフェア「COLLECT」の案内をインターネットで見つけた。「これだ」と思った。この時点ではまだ自分のギャラリーがなかったため父に「酉福」の看板を借り、出展費用も周囲から借りた。当時は1ポンド約260円。選んだ6人の作家を、8平方メートルのブースへ持ち込んだ。
「まだ所属作家もお客様もいませんでしたが、飛び込みました。もしかすると勝てるかもしれないという自信がありました」
日本でまだ知られていない作品でも、世界の人々なら先入観なく評価してくれるのではないか。そう考えての挑戦だったという。
結果は完売。V&Aが三原研、武山直樹、長江重和の作品を購入し、世界的なコレクターも顧客になった。青山は「本当にラッキーでした」と笑うが、幸運を一度の出来事で終わらせなかったことこそが、このギャラリーの本質だろう。
すべてが順風満帆だったわけではなく、最初の頃はお客様が少なく、雀の涙ほどの売り上げしかない時期もあったが、継続することで、少しずつ力がついてきたと青山は振り返る。
「自分が何をしたいのか、世界に何を残せるのかという理念が何よりも先にありました。利益はその後からついてきました」
父の引退を機に、2011年には東空と酉福を統合。2020年に「A Lighthouse called Kanata」へと改称した。「Kanata=彼方」は、遠く向こう側を指す言葉。「Lighthouse」は英語で「灯台」のことだが、ここには二つの日本語を重ねている。「灯台下暗し」と「一隅を照らす」だ。
「日本人は、目の前にある自分たちの美術文化に気づかない。若冲も浮世絵も、具体美術も、海外で評価されてから日本で評価を得た。だったら世界のトップの人たちに先に知ってもらい、そこから日本へ戻せばいいと思ったんです」
光を遠くへ送り、その光によって、足下にあった日本の美を日本人自身も見つけ直す。少し風変わりで長い名称には、青山の戦略とロマンティシズムがそのまま刻まれている。
VIPによる貸切イベントなどにも頻繁に利用されるA Lighthouse called Kanata。実はルーフトップにも素敵な家具を揃えたテラスが用意されている。
「素材・技術・美」を、世界の言葉にする
Kanataは、絵画や彫刻に加えて陶磁、ガラス、金属、漆、竹や木などの様々な素材でできた作品も取り扱う。いわゆる「工芸」の素材を用いる作家も多い。あえて用途や技法によって工芸と美術を切り分けない。素材と技術によって空間を変える表現を、同時代のアートとして提示している。
青山が作品を選ぶときの基準は明快だ。
「一過性の流行は追いません。100年後、200年後の日本に何を残せるか。最初のフェアから、作品を選ぶ目線は変わっていません」
優れた作品には三つの要素がある、と青山はいう。第一は、作家が素材を深く理解し、愛していること、すなわちマテリアリティ。第二は、その人にしかない卓越した技術、クラフトマンシップ。そして第三は、素材と技術を誰も見たことのない表現へ昇華するビューティー、美への執着だ。
「本当に優れた作品、普遍的な美や名作には、三つの要素があると思っています。何千年前のエジプトでも、ローマ帝国でも、ルネサンスのラファエロでも変わらない法則です」
青山は、その作品が時代や文化の違いを超えて人に届くかどうかを重視するという。「一見して人の心を打てるか。それは本来、とても大切なことです。たとえば2000年前のローマ帝国の人に見せても、その技術や美しさが分かるかです」
一方で、コンセプトだけが先行し、素材や技術、美を軽視する昨今の風潮とは一線を画す。作品に込めた考えは、素材の選び方や技術、目に見える形として表れるべきだと、青山は考えている。手でつくる行為が軽視されがちな時代に、Kanataは素材、技術、美の結びつきを現代美術の中心へ引き戻そうとしている。そして、その美学を「形象派(Keisho-ha/School of Form)」、あるいは「New Materialism」として発信している。
こうした美術的価値の発信で、青山が何よりも大事にしているのが「言葉の力」だという。初回の海外アートフェア出展時から自らカタログを制作し、作品や作家についての説明も自身で書いてきた。
「日本語と英語の説明を、AIに任せることなく、自分の視点で書く。美術館に作品を購入していただくときの解説も、私が書かせてもらっています。誰かに教えられたのではなく、自分がお客様なら、どうすれば納得するかを考えてそうしました。」
その文章は、ただ作品の背景を説明するだけではない。なぜその素材でなければならないのか。伝統技法がどのように更新され、どんな空間を生み出すのか。作家の手から生まれたものを、世界の美術史やコレクションの文脈へ接続することを心がけているという。要するに販売のための説明ではなく、日本の美意識に国際的な居場所を与えるための文章を書いているのだ。
生田丹代子のガラス彫刻は、その成果を示す一例だろう。板ガラスを切断し、接着し、幾層にも重ねることで、光と動きを内包する螺旋状の形をつくる作家だ。2010年にV&Aが作品を購入し、2019年制作の《Ku-131 (Free Essence-131)》はメトロポリタン美術館のコレクションに入った。国内では「工芸」と見られていた表現だが、青山の言葉の力で、海外のギャラリーでは現代の彫刻として受け入れられた。
「うちは作家任せにしません。二人三脚で、その作家の一番いいところを引き出す。いままで見たことのない世界観や作品を一緒につくっていく。口だけ出すのではなく、お金も出す。それを大切にしてきました」
作品を買い取り、制作資金を支え、長所と弱点を率直に伝え、展示まで組み立てる。
そのやり方の手本にしているのは、印象派を支えた画商ポール・デュラン=リュエルだという。まだ評価されていなかったモネやルノワールの作品を買い支え、制作を続けられる環境をつくった人物だという。
作家には年上年下関係なく率直に接する。コレクターに対する態度もそうだという。数年後に価格が何倍になるといった根拠のない約束も口にしない。
「ごまもすらないし、媚びない、そして何より嘘をつかない。。大事なのは嘘をつかないことです。できること、できないことは率直に伝えます。若手作家のよくない作品に『よい』と言うことは、一番よくないと思っています。」
とにかく作品の本質を基準に話しをする。これこそが作家と顧客双方からの信頼につながっているのだろう。
一方、作品以外の依頼には驚くほど柔軟だ。海外の顧客のために、作品を自ら飛行機でハンドキャリーしたこともあれば、ホテルやレストランだけでなく、いけばな、茶、通常非公開の文化財を巡る旅程まで組むという。
「ギャラリストは、単なる小売業ではありません。サービス業だと思っています。だから、どんなお願いをされても、それを無茶ぶりだとは思いません。『これはうちにしかできないことだ』と考えて率先してやっています。」
2階に用意された特別な顧客のためのプライベートビューイングルーム。奥の壁には青山が注目する若手の村松辰之介の《瀧図》(2024)、テーブルの上には加藤貢介の《Legato XIV》(2023)が飾られている。右側の黒い部分は扉が引き戸になっており、コレクターが訪問した際には、この扉の奥に作品をただ1点だけ飾って見せるという。セラーにはハウスシャンパンのアンリ・ジローを含むワインを常時100本以上用意。
光を世界へ送り、日本へ戻す
大阪・関西万博アイルランド館前に展示されていたジョセフ・ウォルシュの作品《Magnus RINN》は、その後、京都の知恩院に展示され大好評を博している。
ジョセフ・ウォルシュ 2025年大阪・関西万博作品「Magnas RINN」ー京都・知恩院へ設置
画像提供: Ito Makoto, Coutesy of Joseph Walsh Studio
2025年大阪・関西万博のアイルランド・パビリオンの目の前には、高さ約6メートルの黄金の円環《Magnus RINN》が設置された。アイルランドを代表する作家ジョセフ・ウォルシュによる初の大規模屋外彫刻である。下半分は人の手の痕跡を残すブロンズ、上部は木からなり、全体が金箔で覆われる。人と自然、時間の循環を象徴する作品だ。
Kanataはウォルシュを長く紹介し、その仕事を通じてアイルランド大使館や同国外務省との関係を築いてきた。万博のアイルランド館では、ウォルシュと青山が培った国際的な信頼が、国を代表する作品へ結実した。万博後、《Magnus RINN》は京都・知恩院へ移設され、アイルランドと日本、現代彫刻と寺院を結ぶ新しい風景をつくっている。
このプロジェクトは、Kanataの仕事が美術品の売買にとどまらないことを示好事例だ。作家、政府機関、大使館、造園家、歴史的な場所を結び、互いの文化が対話できる場をつくる。日本美術を海外へ紹介するだけでなく、海外の優れた作家を日本の文脈へ迎え入れる、双方向の文化活動だ。
海外の優れた作家を日本へ迎え入れる一方で、やはりKanataの活動の原点は、日本でまだ十分に評価されていない美術を世界へ送り出し、そこで得られた評価を日本へ還流させることにある。
その視線は、評価がまだ追いついていない戦後作家から、世に出たばかりの若い世代まで、幅広く注がれている。
戦後作家の一人として青山が名前を挙げたのが、菅井汲だ。「具体以上の可能性があるのに、現時点では日本でも世界でも十分に評価されていません」と話す。
一方、次の世代について尋ねると、青山はVIP用プライベートビューイングルームの壁に掲げられた《瀧図》という作品を描いた村松辰之介を挙げた。
「これは写真じゃないですよ。絵ですからね。この技術の凄さは、2000年前の人にも分かると思うんです。彼が24歳のときに描いた作品です」
幅2メートルを超えるアルミニウムの画面に、油彩で滝を描いた作品。光を受けて表情を変える銀色の画面には、流れ落ちる水が精緻に描き込まれ、写真と見紛うほどの迫力がある。
青山が作品選びの基準とする「素材・技術・美」を凝縮した一枚と言えよう。
このように青山は、知名度や経歴ではなく、作品そのものが持つ力を自身の審美眼で見抜く。そして、その価値を日本語でも英語でも、曇りのない言葉で伝える。言葉だけなら、理念を語ることは難しくない。しかし、目の前にある作品の美しさと、生田丹代子をはじめ、青山が世界へ紹介してきた作家たちのその後の実績が、その審美眼と語りに確かな裏付けを与えている。
「こうした人たちの『一隅を照らす』ことが、Kanataの大切な理念です。忘れられた存在、埋もれている存在に光を当て、日本の美術界の希望の光として世界へ伝えていく」
Premium Japan Awardでは、世界の美術館やコレクターの心も動かす青山の審美眼はもちろん、その実績も評して賞を贈らせてもらうこととした。
「灯台下暗し」から見出し「一隅を照らす」ことで未来を明るく灯す。A Lighthouse called Kanataの少し風変わりなギャラリー名には青山和平のそんな想いが込められている。
青山和平 Wahei Aoyama
1979年、東京都生まれ。2001年ニューヨーク大学卒業、2003年オックスフォード大学大学院修了。外資系企業勤務を経て、2007年に東空を設立。2011年に東空と酉福ギャラリーを統合し、オーナーに就任。2020年、ギャラリーをA Lighthouse called Kanataへ改称した。日本の現代美術と美意識を国際的な文脈で紹介し、世界各地の美術館、コレクター、アートフェアとの関係を築いている。
Photos by Hidehiro Yamada
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