人気記事
About&Contact
Features
「ミロ展」東京都美術館で開催
2025.2.21
20世紀の巨匠、ミロの傑作が集結する大回顧展
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
没後40年を迎えたいま、世界的に再評価されているミロの創作活動全体を振り返る 大回顧展「ミロ展」が、東京都美術館にて開催される。会期は2025年3月1日(土)から7月6日(日)まで。
同郷のピカソと並び、20世紀を代表する巨匠として知られるミロ。太陽や星、月など自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた詩情あふれる独特な画風は、日本でも高い人気を誇る。
見どころのひとつが、傑作として名高い〈星座〉シリーズ。このシリーズは、ミロが戦争という苦しい現実から逃避し、詩や音楽に触発されて制作したもので、 簡略化された音楽的な線を持つ儚い画面には、夜空に着想を得た神話的な世界と、その中の女性や鳥、星、梯子が描かれている。今回は、《明けの明星》 《女と鳥》 《カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち》 の3点が国内に集結する。
このほかにも、故郷カタルーニャで描いた初期の名作《ヤシの木のある家》や、1920年代の傑作《オランダの室内Ⅰ》、晩年を迎えても新たな表現に挑戦した《焼かれたカンヴァス2》など、各時代を代表する作品を紹介。
世界中から集った選りすぐりの傑作の数々により、ミロの芸術の真髄を体感できる空前の大回顧展。政治的分断や戦争の脅威が高まる今日、スペイン内戦や続く第二次世界大戦など、困難な時代にあっても自由な表現を希求し続けたミロの足跡をたどることは、 見る者にとって示唆に富むものとなるに違いない。
◆ミロ展
【会期】2025年3月1日(土)~7月6日(日)
【会場】東京都美術館(東京・上野公園)
【休室日】月曜日、5月7日(水) ※ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開室
【開室時間】9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
【料金】一般 前売券2,100円、通常券2,300円、大学生・専門学校生 前売券1,100円、通常券1,300円、65歳以上 前売券1,400円、通常券1,600円
※前売券は2025年2月28日(金)23:59までの販売。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料。
※大学生・専門学校生は、3月1日(土)~16日(日)に限り無料。
※18歳以下、高校生以下は無料
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
Features
2025.2.21
映画「グランドメゾン・パリ」の料理監修をした小林圭シェフの料理が、期間限定で「Resta…
関連記事
投稿 20世紀の巨匠、ミロの傑作が集結する大回顧展 は Premium Japan に最初に表示されました。
Events
【2/27(木)〜9/2(火) 京都府・千總ギャラリー】
2025.2.19
加藤泉×千總:絵と着物 IZUMI KATO×CHISO:PAINTING IN KIMONO
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
創業470年を迎える千總が、現代美術家の加藤泉と共同制作した作品を展示する「加藤泉×千總:絵と着物」を千總ギャラリーにて開催。会期は2025年2月27日(木)から9月2日(火)まで。
子供が描くようなシンプルで記号的な顔の形に始まり、「人型(ひとがた)」を手がかりに制作を続ける加藤泉。企画から実現まで数年の歳月をかけたという本展は、加藤によるスケッチをもとに糸目友禅や描き友禅、絞り染め、刺繍、仕立てまで、20から30にもおよぶ伝統的な工程を経て制作。
制作は千總本社内にある工房のほか、京都府内にあるそれぞれの専門工房で行われ、なかでも「人型」と称される特有のモチーフは加藤みずから筆をとり、職人たちと肩を並べながら伝統的な友禅の技法によって描かれた。長年にわたる千總の歴史の中でも、友禅職人以外の手によって着物生地に染色が加えられるのは極めて珍しいという。
また今回は着物作品に加え、千總の厳しい品質基準を満たすことができず、着物としては製品化されなかった生地を使用したアート作品も展示される。
「伝統とは、守ることでなく創ること」という代々の教えのもと、着物の新たな美しさや文化の提案を続けてきた千總。無二の感性を持つ加藤と、進取の気性に富んだ千總の出会いによってどんな化学反応が生まれるのか、会場でぜひ目の当たりにしてほしい。
◆加藤泉×千總:絵と着物 IZUMI KATO×CHISO:PAINTING IN KIMONO
【会期】2025年2月27日(木)~9月2日(火)
【開館時間】10:00~17:00
【会場】千總ギャラリー(京都市中京区三条通烏丸西入御倉町80 千總本店2階)
【休館日】水曜日
【入場料】無料
※3/1(土)は15時閉館、3/8 (土)、3/9(日)は終日休館。
※会期中の開館時間は千總本店の営業時間に準じる。
※臨時休業等により開館時間が変更となる場合があります。
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
関連記事
投稿 加藤泉×千總:絵と着物 IZUMI KATO×CHISO:PAINTING IN KIMONO は Premium Japan に最初に表示されました。
Stories
Premium X
日本のプレミアムなホテル
2025.2.19
「ホテルインディゴ長崎グラバ―ストリート」が誘う、異文化と時空の交差点
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
西九州新幹線が開業して2年を迎えて、長崎市は100年に一度と言われる再開発が行われている。駅周辺にはスタジアムや外資系ホテルが次々と建設され、多くの観光客を受け入れる体制が整えられ、長崎は進化を遂げている。そしてその一方、長崎らしい異国情緒あふれる街並みは確実に継承もされている。
その一つが、2024年12月に誕生した「ホテルインディゴ長崎グラバ―ストリート」である。1800年代に建てられた歴史ある「赤レンガの洋館」に新たなに手が加わり、風情と趣のあるホテルとして生まれ変わったのだ。まるでタイムトリップをしたかのような唯一無二の空間は、あなたを長崎のかつての記憶へと誘ってくれるはずだ。
長崎港の汽笛を聴きながら、長崎の歴史と文化に触れる旅に出かける
長崎の歴史を辿れば、遣唐使の派遣など、古くから諸外国の玄関口として栄えた街であった。
1571年、ポルトガル船が初めて入港したことで長崎港が開港され、聖フランシスコ・ザビエルによってキリスト教の布教活動を行ったことで、キリシタンの街へと歴史を刻む長崎。当時は東の小ローマとして、多くの教会や病院、福祉施設が建設され、現在もその面影が見られる。
鎖国時代にも海外の窓口として栄え、開国後には日本の近代化に大きく貢献した外国人居留地として発展した、日本において独自の文化と歴史を持つ街である。
ホテルの中庭
長崎市は平地が少なく、山間部に建物が密集していていることもあり、長崎港を中心とした丘陵地で輝くあかりは「世界新三大夜景」に認定されるなど、その美しい街並みとともにその夜景も見どころのひとつ。
さらに日本国内において唯一2つの世界遺産を持つ街でもある。
2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」は、造船業に栄え、110年が過ぎた今も現役で使用されている「ジャイアント・カンチレバークレーン」をベイエリアに見ることができ、炭鉱の島としての歴史を残す端島(軍艦島)も、長崎港から40分のクルーズで出かけることができる。
さらに、2018年に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、国宝である「大浦天主堂」や幕末に拓かれた外国人居留地など、今でもその面影を見ることができる美しい街並みを見ることができる。
長崎港から鳴り響く汽笛の音、さらに教会の鐘を聴きながら、歴史に想いを馳せ、長崎の文化に触れる体験はきっと忘れられない時間になるはずだ。
本館プレミアムツインのテラス
かつて旧聖堂だったところがレストランになっている。
長崎の歴史が刻まれた建築物がホテルへと生まれ変わる
世界遺産の構成資産である重要文化財「旧グラバー住宅」や国宝「大浦天主堂」など、文化観光の集積地である南山手エリアに新たにオープンしたのが、今回ご紹介する「ホテルインディゴ長崎グラバ―ストリート」である。
この建物は、1898年、フランス人修道士の設計によって建築されたイエズス会修道院の拠点となった「マリア園」であった。
現在は国選定重要伝統的建物群保護地区の伝統的建造物に特定されている建築物であり、赤煉瓦造りの外観、アーチ型の窓や白い鎧戸、大きなステンドグラスを入れられるようリブ・ヴォールト天井という様式が採用された高さ約10mの旧聖堂などはその形を継承し、歴史的に貴重な建築として保存・復元・活用された唯一無二のホテルである。
ホテルのロビー
ホテルの門構えや外観、そのすべてが美しく、その瀟洒な佇まいは、まるでヨーロッパのプチホテルのようでもあり、その姿を見ただけで心が弾む。
ホテルは地上3階、地下1階建ての本館と、地上3階の北館があり、全10タイプ66部屋の客室が備えられている。加えて、本館地下にはフィットネスジム、1階にはロビーやラウンジ、さらに旧聖堂を活用したレストランがあり、その空間すべてが時空を超えた特別感に包まれている。まさに一見の価値あり!と言いたい。
本館アズールベイビュースイート
本館、和華蘭ベイビュースイート
客室は、日本(和)・中国(華)・オランダ(蘭)のデザインがセンス良く彩られており、自宅のインテリアの参考にしたいほどのセンスのよい空間である。
そしてぜひ出かけて欲しいのが、旧聖堂を活用しているステンドグラスが美しいレストランである。煌めくステンドグラスから差し込む日差しの下でいただく食事は、心にまで染み渡っていくような静謐なひとときである。
もちろん料理も絶品である。レストランのシグネチャーコースには長崎の旬の魚介、長崎和牛、長崎の柑橘など地元の食文化を感じさせる料理を提供していて、海に囲まれた長崎の豊かな食材をふんだんに味わうことができる。
前菜と魚料理
朝食のオムレツ
まさにこれは、世界中どこにあっても、その街の個性と魅力を映し出すライフスタイルブティックホテル「ホテルインディゴ」のコンセプトを体現した空間である。
ホテルから少し歩けば、「大浦天主堂」や「グラバー園」などの名所があり、石畳の坂道を歩きながら、長崎のさまざまな歴史を思わずにはいられない。その気分のまま、美しいホテルでの滞在が楽しめる、まさに贅沢の極みであろう。
Text by Yuko Taniguchi
長崎県長崎市南山手町12番地17
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Facebook</title><use xlink:href="#symbolSnsFb" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Twitter</title><use xlink:href="#symbolSnsTw" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>LINE</title><use xlink:href="#symbolSnsLine" /></g></svg>
-
<svg viewbox="0 0 58 58"><g><title>Pinterest</title><use xlink:href="#symbolSnsPint" /></g></svg>
Stories
Premium X
日本のプレミアムなホテル
Stories
Premium X
グルメ最前線 トップレストランを探訪する
2025.2.17
「PRIMO PASSO(プリモ パッソ)」は 5種のパスタに溺れる桃源郷である
私史上最高の「リングイネ トマト」。
新たなる偉才がまた出現した。日本とは、正直、どういう国なんだろうと思う。
5種のパスタが出てくる画期的なコース
すでにフーディーたちの間では評価高き「プリモ パッソ」は、開店してからわずか1年半でミシュランの星1つを獲得した、凄腕のシェフがいる店である。5種のパスタを組み込んだ画期的なコースは、知る人の間ではすでに垂涎の的だ。
どんな猛者(もさ)がフライパンを振っているのかという先入観は捨てるがよろしい。スッキリした若者が、実直そのものの姿で料理に取り組んでいた。余分な話だが、高校時代は野球に打ち込んでいたらしい。爽やかだ。
そのシェフ・藤岡智之氏は1992年生まれ。ひらまつ入社の後、「銀座アルジェントASO」などに在籍してからイタリアに渡り、ナポリで4年間の修行をした。最後はミシュラン3つ星の「クアトロ・パッシ」でパスタを任されていたほどの実力者である。
イタリア人がガイジンにパスタ場という砦を明け渡すのは、余程認められた上でのことだろう。
寡黙な偉才・藤岡智之シェフ。
ピカピカのフルオープン・キッチン
さて、階段を降りて「プリモ パッソ」店内に入りさらに進むと、空気が変わるような気がするほど隅々までピカピカに磨き抜かれたフルオープンのキッチンの前に、広々としたカウンター席が8つ並ぶダイニングエリアが現れる。ゲスト全員がシェフのすべてを傍観できる特等席だ。
清潔で澄み渡ったダイニングルーム
調理をする彼の所作は、きびきびと美しく、まるで無駄がない。ちょっと萌え萌えになる人もあるかもしれない(笑)。こりゃあ、人気が出るねえ。
第一、店名の「PRIMO PASSO」は、師匠の店名「QUATTRO PASSI(4つのステップ)」にオマージュを捧げつつ、「最初のステップ」という意味だ。なんて、謙虚なのだろうか。
見事な「和+洋」の展開
初めに出てきたのは青魚のコンソメである。アジ、サバ、イワシで出汁をとり、具はスライスした源助大根に菜の花だ。このスープは、和の素材の旨味を最大限に引き出した上で、それらをイタリアンの文脈に封じ込めてみせるという、シェフからの宣言のように感じられた。
実際、スープは味がピンと澄み渡っていながらコクの芯があり、大根と菜の花が辛味と苦味を添えている。香草ディルのオイルでもって洋のニュアンスを加えることも忘れない。しかして、見事な「和+洋」の展開のおかげで、すべての味覚が覚醒してくるのである。
汁物の導入は「青魚 源助大根 菜の花」。
最近、欧式でも増えてきたが、温かい汁物でコースが始まるところが嬉しい。懐石や日本料理の様式にも通じるものがある。
ジャンルの枠に当てはめるのはあまり賢いことではないが、シェフの現在の料理は、和魂洋才という意味とともに、和の素材(&技術)と伊の技術(&素材)を使うという意味で、ジャパニーズ・イタリアンなのだろう。私の勝手な予感だが、「ヴィラ・アイーダ」の小林シェフや「NARISAWA」の成澤シェフのように、イタリアンやフレンチを名乗らずに、より「和」のほうに傾斜する日が来るのかもしれない。
揚げピザの完成度の凄さ
続くアミューズ・ブッシュが、「リコッタ スカルモツァ パルミジャーノ 生ハム」である。球状になったナポリの郷土料理フリッタ・ピッツァ(揚げピザ)の中に、リコッタ以下3種類のチーズがクリーム状で入っている。その球の上に超薄切りにされた生ハムが載っている。これは天女の羽衣か?(笑) 実に軽やかだ。
生ハムは冷たく、球体の中身のチーズはとろりんと熱々で、温と冷を同時に味わえるところが極上の快楽と言えるだろう。
この完成度はなかなか凄い。当店に来たら、必ず食べたい、そんな一品だ。
傑作の「リコッタ スカモルツァ パルミジャーノ 生ハム」。
実はゲストの目の前に置かれた手動式生ハムスライサーであるが、イタリアの「ベルケル」社製で、ハムを極薄に切れる最高峰のものらしい。マシーンを真剣に手繰るシェフの顔には、自信と喜びが満ちている。
パスタに突入、和のカッペリーニ
そしていよいよ5種のパスタに突入だ。
初手は冷製の細麺・カッペリーニ。ソースは昆布とハマグリで出汁を取ったもので、京都のアオリイカと自家製カラスミのトッピングだ。この一品の清々しさは、やはり出汁やスダチの果汁といった和の素材に由来しているところが大きい。
ソムリエが合わせてくれるアルコールがまた実に楽しい。栃木の日本酒「仙禽」である。甘みも酸味もある生酒と魚介出汁が出会う。その感覚は、冷酒の「あて」として、デュラムセモリナ・ソーメンを食べているような感じだ。両者の旨味が増幅する。これは見事なペアリングと言える。
トマトソースのリングイネは悶絶級!
筆者がこの晩、最高だと思ったのは、「リングイネ トマト」(トップ画像)である。
トマトは三重県多気町の「ポモナファーム」のミニトマト「プチぷよ」しか使わないとのことだ。赤いトマトからは酸味を、黄色いトマトからは甘みを引き出し、それをミックスさせてソースを作る。
赤と黄色を混ぜるから、ソースはオレンジ色だ。聞けば、トマトとバジルとオリーブオイルだけで作る。このソース、シェフが修行先の「クワトロ・パッシ」でようやく出会った理想形なのだそうだが、もちろん、藤岡シェフが日本の素材で再構築したものだ。
見た目は平凡なソースなのに、口に入れたらその味わいはかつて経験がないと言って良いほど素晴らしい。甘みと酸味がとてもピュアな旨味に昇華している。バジルを感じるがエグミはどこにもなく、オリーブオイルのフレッシュな青々しさもある。それらのバランスが完璧なのだ。歯ごたえのあるアルデンテのリングイネがまたいい。これはちょっとした感動ものだ。いや、悶絶級と言い換えよう!
筆者は12年前にイタリア・ソレントの星付きの店で、6月のトマトのとりわけ美味しい季節に、とんでもなくナチュラルな激旨のポモドーロを食べたことを未だに忘れられないでいたが、今宵、それ以上の経験を得た。
これに合わせてくれたのが、栃木の「雑賀 梅酒」で、単体でも相当に美味しいが、ペアリングも抜群だった。
めくるめくパスタの連続
続く生ハムと大根とライムのスープに浮かんだ餃子のような自家製トルテッロ(餃子の具であるシイタケ・レンコン・ドライトマトが秀逸だ!)、黒トリュフをかけた紅はるかの自家製ニョッキなど、それぞれに素晴らしかった。
なにしろ、得意とするところのパスタ5種を、コースの中核に据えるという発想が素晴らしい。それが食べ終えてからの実感である。
シェフはパスタを何種類でも食べたいという日本人の心情が分かっている。ニクいねえ。しかも、炭水化物のお祭り状態になるのではなく、繊細極まりないバランスで、具材と麺とが同等に存在を主張している。さらに、和と洋を違和感なく融合させるその手腕には驚きを禁じ得ない。
牛の炭火焼もデザートもセンスの塊
ここまでで相当に満ち足りたが、メインの「美笑牛」の炭火焼きも見事だった。部位はサーロインなのに脂くどさは皆無で、噛めば肉の旨味があふれ出す。聞けば、32カ月の牝牛とのことだった。付け合わせはイタリア野菜のソテーとビネガーに漬けたエシャロットで、一緒に食べれば、酸味が肉の別の旨味を引き出してくれる。
肉汁あふれる見事な「美笑牛」の炭火焼。
また、メインの前に差し挟まれた「生ハム メロン ミント」は、生ハムとメロンのつなぎにミントを持ってきたところが天才的だ。その3者が口中に氾濫し、鮮烈な旨味のパルスが脳内に飛び散った。
デザートの「苺 ピスタチオ」は、イチゴ、ピスタチオ、焙じ茶のアイスクリームのコンビネーションで、砕いたホワイトチョコレートも入っている。これらを構成するセンスには瞠目すべきものがあった。
ちなみに、メニュー内容はおよそ2カ月ごとに変更するそうだ。
驚きの「苺 ピスタチオ」。
いずれにせよ、コースを終えて、ゲストは己のパスタ愛を再確認した上で、その愛がさらに嵩じるのを自覚するだろう――。いや、パスタだけではなく、どの皿も繊細にして力強い。「プリモ パッソ」は、これからの進化をずっと見続けていたくなるような、唯一無二のレストランなのである。
PRIMO PASSO(プリモ パッソ)
住所;東京都中央区築地1-5-11 ACN築地ビルB1F
TEL:03-6826-9672
営業時間:17:00~23:30、17:00~と20:30~の2部制
定休日:火曜・水曜
コースディナー:16,500円(税込・サ別)
Toshizumi Ishibashi
「クレア」「クレア・トラベラー」元編集長
関連リンク
Premium Japan Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
Stories
Premium X
グルメ最前線 トップレストランを…
Premium X
関連記事
投稿 「PRIMO PASSO(プリモ パッソ)」は 5種のパスタに溺れる桃源郷である は Premium Japan に最初に表示されました。
飛行機には、ファーストクラスやビジネスクラス、そしてエコノミークラスに分かれています。最近はビジネスとエコノミーの中間のプレミアムエコノミーも。それぞれ料金が異なるのに加え、サービスも大きく違います。