ある時はさえない中年の役、ある時は仏様を演じ、またある時は人情派の刑事に扮する──。さらには脚本家、映画監督、クイズ番組のMCと、佐藤二朗は広大なフィールドを駆けめぐる。そして誕生日を迎えた彼は、50歳の門出にふさわしい、特別でありながら自分らしく振る舞えるスーツを仕立てようと思い立った。
佐藤二朗(前編)「遅咲きの職人だから似合うスーツがある」
▲いくつもの顔を持つ佐藤二朗が仕立てる、自分らしくいられるスーツとは、はたしてどんなものになるのか?
まるで映画の世界のような雰囲気
佐藤二朗さんはつい先日、50歳の誕生日を迎えた。50回目のバースデーは、30回目とも40回目とも異なる、ずっしりとした重みがあったという。
「簡単に言うと、もうちょっとしっかりしないとイカン、という感じですね。まったくしっかりしていない人間なので……」
そして二朗さんは決意した。自分に合ったスーツを作ろう、と。
「今、脚本・監督をした映画を仕上げ中なんですよ。完成披露会もあるし海外の映画祭にも行くかもしれない。50歳を機に、胸を張って公の場に出られるようなスーツがあったらいいな、と思うようになりました」
こうして二朗さんは、アルマーニ / 銀座タワーの4階に降り立った。このフロアのメイド トゥ メジャーのテクニカルルームで、50歳の門出にふさわしいスーツをオーダーメイドするのだ。
「いやぁ、映画の『プリティ・ウーマン』みたいじゃないですか。ほら、リチャード・ギアがジュリア・ロバーツをブティックに連れて行って洋服を一式オーダーした、あの世界ですね」
わくわくしながらも、二朗さんはアルマーニ / 銀座タワーのエクスクルーシブな雰囲気に気圧されているようにも見える。
「僕、洋服のことが何もわからないので、教えていただけるんですよね?」と二朗さんが尋ねると、生地選びから採寸までを担当するジョルジオ アルマーニのフィッター氏が、「もちろんです」と力強く肯いた。
▲400種類におよぶ生地からフィッター氏お薦めのブラウン系、ネイビー系、グレー系などを検討、最終的に黒のストレッチ素材を選んだ。
「フォーマル」「汎用性」「楽」の三本柱
オーダーメイドでまず大事なのが、どんな場面で着るスーツなのかをしっかりと伝えることだ。二朗さんは、監督を務めた映画の発表会、完成試写会などのイベントで着ることを伝えた。
「ただ、あまり着るシーンを限定したくないんですよね。せっかくアルマーニで仕立てるんだから、いろんなところに着て行きたいじゃないですか。あとは楽なのが好きで普段はずっとジャージでいるくらいなので、着ていて楽なのがいいです」
フォーマルな場で着ること。とはいえ様々なシーンで着用できること。着ていて楽であること。この三本柱でスーツを仕立てる方針が決まった。
まずは生地選び。存在感のある二朗さんには、ブラウン系の色も映える。ただし「フォーマル」と「汎用性」に鑑みて、黒い生地を選ぶことになった。
ここでフィッター氏からの提案。
「楽な着心地ということだと、少しストレッチする素材がお薦めです」
二朗さんに異存はない。こうして、「フォーマル」「汎用性」「楽な着心地」の3つを満たす生地選びが完了した。
裏地は二朗さんがお好きだというブルー系、ボタンは「せっかくだからアルマーニさんのサインが入ったのを選んでもいいですか?」と、二朗さんの好みを反映する。ディティールにこだわることで、スーツへの愛着はさらに増すのだ。
▲「背中がきれいに見えることと、脇のしたから足が伸びているように感じられるほど足が長く見えるのがアルマーニのスーツの特長です」というフィッター氏の説明に、「そりゃ楽しみです」と二朗さん。
肩幅があるという、自分らしさを活かす選択
生地を選んだら、次はスタイルを選ぶ。メイド トゥ メジャーでは、薄い肩パッドでしなやかな雰囲気を醸すスリムシルエットと、かっちりした肩バッドで構築的なスタイルを築くクラシックシルエットの2種類のスタイルから選ぶことができる。
「僕は肩幅があって骨太で、だからスーツが似合うと昔から言われていたんですけど、どっちがいいでしょうね?」
ここでフィッター氏の解説は、スリムシルエットは二朗さんのように肩幅がある人だから着こなせるスタイルです、というものだった。ただしクラシックシルエットのほうが肩幅があるように見えるから、二朗さんらしさを強調することができる。
スリムシルエットにすべきか、クラシックシルエットか。二朗さんは両方のジャケットを何度も羽織っては鏡でチェックする。そして最後に、「クラシックシルエットにします」と、きっぱり。
「こっちのほうが、より自分らしく着こなせるような気がします」というのがその理由だ。
▲汎用性があることを確認するために、あえてサングラスをかけて仕上がりをチェック。
佐藤二朗とジョルジオ・アルマーニの共通点
「僕、私服は嫁からダメ出しされることが多いんですけど、映画やドラマではどんな衣装もよく似合うって誉められるんですよ」と言いながら、採寸を受ける。
「ベルトの位置とか、普段はどういう風にスーツを着ているかをヒアリングしながら採寸してくれるのがいいですね。結局、違和感があると着なくなっちゃうじゃないですか。着ていて楽なものをよく着るって、絶対にあると思うんですよね」
採寸を終えて、二朗さんはひとつ驚いたことがあったという。
「素っ裸になってメジャーで何から何まで測るのかと思ったらそうじゃないんですね」
確かにフィッター氏の採寸の手順は、二朗さんにサンプルを着せ、細部を手で触って確認しながら、細かい寸法をノートに記していくというものだった。
二朗さんの驚きに対するフィッター氏の説明はこうだ。
「ジョルジオ・アルマーニというデザイナーがデザインしたスーツをお客様にフィットさせるという考え方なので、アルマーニが考える美しいシルエットがベースになっているんです」
これを聞いて、二朗さんは深く納得した様子だ。
「その考え方はよくわかります。役者もセリフという決まり事があって、その中で遊んでいるわけですから。ルールの中で遊ぶ、というのは洋服や芝居に限らず、いろんな分野で応用できる考え方ですよね」
最後に二朗さんは、もうひとつ芝居に対する考え方を披露してくれた。
「佐藤二朗は佐藤二朗役しかできないと言われることがあって、それは個性があるということなんだろうけれど、役者としてはダメ出しだと思っています。たとえば田中角栄役をやる時に、佐藤二朗が田中角栄の前に出ちゃダメだと思うんです」
実は、その考え方はアルマーニも同じだ。アルマーニの洋服も、洋服が目立つのではなく着る人を美しく引き立てるようにデザインされているからだ。
奥深いところで考えた方が通底しているジョルジオ・アルマーニと佐藤二朗。両者のコラボで果たしてどんなスーツが生まれるのか。さらに楽しみになってきた。
佐藤二朗
1969年愛知県生まれ。広告代理店の営業マンを経験した後、96年に演劇ユニット「ちからわざ」を立ち上げ、作と出演を続ける。ドラマ『幼獣マメシバ』シリーズの中年ニート役や、『勇者ヨシヒコ』シリーズの仏役など、クセのある役を圧倒的な存在感で演じた。『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』でのMCも好評。
ジョルジオ アルマーニ「メイド トゥ メジャー」とは?
伝統とモダンを両立させるノウハウと高度な仕立て技術によって、着る人それぞれの個性とリクエストに対応するオーダーメイドのサービス。
「ファッションデザインの原点に戻り、身につけたときに美しい服をつくりたい」というジョルジオ・アルマーニの思いから2006年にスタートした。ジョルジオ アルマーニの直営店なら日本全国どの店舗でもオーダー可能、約2カ月でオーダーした方の手元に届く。
採寸は世界各地の店舗で行われるが、すべてイタリアの自社工場でパターンを起こして縫製を行う。
股下と袖の仕上げを残した状態で日本に送られ、日本の店舗で最終的なハンドフィッティングを行う。ここまでが約2カ月で、ここから約1週間後にスーツは完成する。
佐藤二朗がオーダーした
「メイド トゥ メジャー」公式サイトはこちら
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ジョルジオ アルマーニ ジャパン
Tel.03-6274-7070
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メイド トゥ メジャー特設サイト
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- Author:
- サトータケシ
- Brand:
- ジョルジオ アルマーニ