1755年の創業以来、途絶えることなく操業を続ける最古のマニュファクチュール、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計「フィフティーシックス」に、21歳の北村匠海が出会った。「自分にはまだ早すぎる」と彼は言う。だが彼の中身は、老舗の時計が似合う成熟した大人だった──。
ヴァシュロン・コンスタンタン「フィフティーシックス」── 北村匠海にとっての“connoisseur(目利き)”とは?
▲「フィフティーシックス」は、細部まで丁寧に作り込まれたヴァシュロン・コンスタンタンらしい1本でありながらデイリーにも使いやすいという魅力を持つ。
北村匠海、名門の意欲作に会う
その時計を着けると、誰もが大人の男の雰囲気をまとう。まだ21歳の北村匠海もその例外ではなかった。
「本当に申し訳ないのですが、実は撮影前までヴァシュロン・コンスタンタンのことを知らなかったんです。でも調べてみたら世界3大時計ブランドに数えられるほどの伝統あるブランドなんですね。実際、左手に着けてみて歴史の重みというか、オーラのようなものをすごく感じました。これは敵わない、この時計を着けるにはまだまだ男としての年輪が足りないなと(笑)」
彼がこの日着けたのは、ヴァシュロン・コンスタンタンの「フィフティーシックス」。1956年に発売された名機「リファレンス6073」をモチーフに、モダンな雰囲気をまとう1本だ。若い世代にも人気のこの時計を着けた彼だが、撮影中、「時計に負けないような表情」を意識していたという。単にモデルとして時計を着けるだけに甘んじることなく、その“一歩先”を目指すからこそ、彼は俳優としてもアーティストとしても高い評価を受け続けるのだろう。
「今はどんな仕事でもがむしゃらに取り組んでいます。たまに、役者でも音楽でも夢の中でもお仕事していることもあります(笑)。最近は少しでもいいのでオフの時間を大切にしようと思って、意識的に息抜きの時間を作るようにしています。帰宅して風呂に入って寝る前の30分間とか、ただ好きな音楽を聴きながら、ダラッと過ごす。その時間は、その日の仕事のことも、明日の仕事のことも考えません。そうやって仕事の意識をオフにする時間があることで、仕事を楽しむメンタルを保てていると思います」
▲「フィフティーシックス」のクラシカルでモダンなデザインは、あわせるファッションを選ばない。ビジネスからカジュアルまで幅広いスタイルに似合う。
北村家のイズム
勢いだけで過ごしがちな年齢にもかかわらず、自分の時間、自分のコンディションをしっかりとコントロールしている。そんな大人の彼だからこそ、風格あるヴァシュロン・コンスタンタンの時計も違和感なく似合うのだろう。
「こういう一生モノと呼べるような時計を、いつか手に入れられたらいいなと思っています。北村家の“イズム”というのがあって、時計と靴とベルトはいいものを長く使えと言われています。その3つは、男を象徴するもので、いいものを使っていればかっこよく見えるんだって、父から教えられてきました。父は実際、若いころに買った1本の時計を今も大事に使っています。だから僕もそうしたいなと思っていて、自分に似合うものをじっくり探して、できれば20代のうちに買って、その後の人生で一緒に育っていければいいなと思っているんです」
ジャケット¥86,000〈ボリオリ/三崎商事 Tel.03-5775-1211〉 ニット¥110,000〈マロ/三崎商事 Tel.03-5775-1211〉 パンツ¥62,000〈ロータ/ビームス 六本木ヒルズ Tel.03-5775-1623〉 チーフ¥7,000〈スパッカネアポリス/ビームス 六本木ヒルズ Tel.03-5775-1623〉 靴¥49,000〈トリッカーズ/ビームス 六本木ヒルズ Tel.03-5775-1623〉 その他スタイリスト私物
▲18Kピンクゴールドのケースは、大人の雰囲気が漂う。「まだ自分は敵わないなと思いました」と北村は語るが、大人びた表情や仕草に「フィフティーシックス」はよく似合っていた。
目利きに長く愛される物
ヴァシュロン・コンスタンタンは、“connoisseur”(目利き)のためのブランドだ。21歳の北村は、いま“connoisseur”になるための修行中といったところだろう。師匠は彼のいちばん身近にいる。
「父が持っているものが好きなんですよ。年代物が多いんですけど、流行とか関係なくかっこいい。この間も父が20代のときに使っていた眼鏡をもらったんですが、すごく気に入っています。靴も父が昔買ったものを履くことがあります。父みたいな目利きになりたいですし、父のように長く愛せるものにこれからであっていきたいなと思っています」
▲ダンスロックバンド「DISH//」のボーカルとギタリストとしても活躍する北村。「映画でも音楽でも興味を持ったことにはなんでも飛び込んでみようと思っています」。
尊敬する父の教え
父から受け継いだのは、眼鏡や靴だけではない。
「子どものころから『お前は人に恵まれている。いい人が集まってくる』と言われていて、それを信じているんです。いま自分が置かれている状況は、実力より運が先行している。それは自分で分かりつつ、恐れることなく前に進んでいこうと思えるのは、父の教えがあるからこそ。嫌いな人はいないし、嫌いなこともない。どんなことでも興味を持ったらまず飛び込んでみる。そしたら自然と人が集まってくるんじゃないかと思っています」
ヴァシュロン・コンスタンタンというブランドが263年もの伝統を誇るのは、長い歴史のなかに変革を恐れない人々がいたからこそだろう。挑戦し続ける北村匠海は、間違いなくこれからも活躍を続けるだろう。そしていつか、彼自身が“connoisseur”として、21歳のときに撮影でであったヴァシュロン・コンスタンタンの時計を選ぶ日が来るかもしれない。
ニット¥558,000〈マロ/三崎商事 Tel.03-5775-1211〉 パンツ¥39,000〈ピーティーゼロウーノ/ビームス 六本木ヒルズ Tel.03-5775-1623〉ベルト¥38,000〈ケイトケイト/ビームス 六本木ヒルズ Tel.03-5775-1623〉 靴¥198,000〈ジョンロブ/ジョン ロブ ジャパン Tel.03-6267-6010〉
北村匠海(きたむら たくみ)
1997年生まれ、東京都出身。俳優、アーティスト。映画『君の膵臓をたべたい』で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。咲坂伊緒の人気恋愛漫画を実写化した映画『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020年8月公開)に出演予定。音楽ユニットでは「DISH//」のボーカル&ギターを担当する。
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VACHERON CONSTANTIN
ヴァシュロン・コンスタンタン
http://www.vacheron-constantin.com/
Tel.0120-63-1755
- Author:
- 川上康介
- Brand:
- ヴァシュロン・コンスタンタン