Ferrari 360 Modena Long-Term Test / Vol. 17

29歳、フェラーリを買う──Vol.17 ちょっと古いフェラーリに最適なオーディオ・システムを選んだ!<中編①>

『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、フェラーリのオーディオ交換に迫る。前編に続き中編では、選んだオーディオ・システムや交換模様をレポートする。 文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
29歳、フェラーリを買う──Vol.17 ちょっと古いフェラーリに最適なオーディオ・システムを選んだ!<中編①>
筆者が購入した360モデナは2000年製だ。
選んだオーディオ・システムはコレだ!

<中編②では交換風景をレポート! 修理ミスも発覚!?>

人生初のオーディオ交換ゆえ、不明点だらけのボク。とりあえず、JBLのオーディオ・システムにすることは決めたが、何をどのように装着すればよくわからない。

てっきり「スピーカーさえ交換すればいい音が聴ける!」と、思っていた。しかし、それは正しくもあり、そして誤りでもあった。

現在、「とりあえず音楽が聴ければいい」と、その場しのぎで交換したヘッドユニットが装着されている。

たしかに、スピーカーを交換すれば音質は向上するという。とはいえ、さらなる向上を目指すのであればパワー・アンプは必須とのこと。

なぜ必須なのかよくわからないので、JBLに訊くと、製造元であるハーマンインターナショナルの石原孝さんが色々話してくれた。

「パワー・アンプの役割は、電圧を増幅させることです。スピーカー能力を最大限発揮するのに必要な電圧にまで増幅させることで、さらに良い音が聞けます」とのことであった。パワー・アンプがあれば、音質は格段に向上するようだ。

JBLのオーディオについて話すのは、製造元であるハーマンインターナショナル営業本部カーオーディオ課の課長兼プロジェクトマネージャーを務める石原孝さん。

「今でしたら、省スペースでかつコストパフォーマンスに優れる『STAGE A9004』がイチオシです」と言う。Bluetoothこそ搭載していないが、スペースを必要としないのはありがたい。それでいて、アンプの入力感度を調整出来たり(ヘッドユニットからの出力に合わせ、適正な音質に合わせる)、ベース音をより重厚感あるものにしてくれたりと機能も充実している。

筆者のクルマに装着するJBLのアンプ「STAGE A9004」。価格は2万3000円+税。省スペース設計(サイズ高さ:50 mm、幅:145mm 、奥行き268.6 mm)と、高音質&省電力が自慢だ。

というわけで、アンプはSTAGE A9004に決めた。これにふさわしいスピーカーを、石原さんに訊いたところ「670GTi」を勧められた。JBLのフラグシップ・スピーカーである。

音の歪みを徹底的に軽減したそうで、「まさに“ピュアサウンド”を知り尽くしたJBLの集大成です」と、パンフレットには記されている。ほかにも、さまざまな特徴や魅力が記されており、意味はイマイチよくわからないものの「スゴい商品なんだろうなぁ……」と、素人なりに思うのであった。

「670GTi」は、JBLのフラグシップスピーカーだ。公式ウェブサイトには「JBLならではの高出力、フラットな特性、低歪みなど、理想を求めたウーファ、ツイーター、パッシブネットワークから構成される」、「細心のデザインと製造・試験工程を経て提供される、JBLのスピリットが詰まった商品です」と、記されている。価格は10万円+税。

面白いのは「クロスオーバー・ネットワーク」なる、ボックスが付属する点だ。透明なフタから、銅線などが見える。一体、このボックスはなにか? 石原さんに訊くと「音の高域(高い音)と低域(低い音)部分を、それぞれの域を受け持つスピーカーへ最適に振り分けるために必要なものです。最適に振り分けることによって、原音をより忠実に再生します」とのことだった。

透明なフタから内部が見えるクロスオーバー・ネットワーク。音質はさらに向上するという。
670GTiにはスピーカーに装着可能な専用グリルも付属する。ただし、ボクのフェラーリにはサイズの都合上、装着出来ないとのこと。

これで完璧! と、思いきや、もうひとつオススメの商品があるという。「BassPro SL」というサブウーファーだ。「サブウーファーがあれば、低い音の厚みが増し、迫力ある音を再生出来ます」と、石原さんは話す。迫力ある音というのは気になる。しかも、シートうしろにさりげなく設置出来る薄型デザインであるのも魅力である。

「BassPro SL」は薄型のサブウーファーだ。高さは71mmに抑えられている。それでいて、低歪みで豊かな低域を再生する200mm径ウーファドライバーを採用しているとのこと。なかなか難しい用語であるが、迫力ある音は聞けそうだ。価格は4万円+税。

よし! このさいオススメの商品は全部装着しようではないか。石原さんの誠実な人柄に嘘はないはず。というわけで、ようやくボクのオーディオ・システムはほぼ構築出来た。

最新フェラーリも、JBLのサウンド・システムを一部搭載する。
“スマートフォン・ファースト”なヘッドユニットに換装!

「ほぼ」と、記したのにはワケがある。Bluetooth非搭載のアンプにしたがゆえ、スマートフォン内臓の音楽をワイヤレスで楽しむためには、Bluetooth搭載のヘッドユニットが必要になった。

早速、1DINのヘッドユニットを調べると、驚くほど選択肢が少ない。ほとんどのクルマが2DINタイプになっているから致し方ないとはいえ、古いクルマに乗っている人はどうするんだろう? と、不思議になるほど選択肢は限られている。

そうしたなか、比較的多彩なラインナップを揃えるのはパイオニアの「カロッツェリア」だ。とくに、今やほとんど作られていないハイエンド・モデルが選べるのは嬉しい。

当初購入を考えていた「カロッツェリア」のハイエンド・モデル「DEH-970」。性能もさることながら、シンプルなデザインもボク好みだった。

当初、ボクもハイエンド・モデルの「DEH-970」を装着しようと思っていたが、ある日、カー用品店にふらっと入ったとき、「おっ!」と、思う商品が目に入ってしまった。それが、スマートフォン用に作られた「MVH-7500SC」である。

スマートフォンとの連携を最大限考えた、パイオニアの「MVH-7500SC」。価格はオープンプライスだ。

なんと、スマートフォンを固定出来るクレイドルが内蔵されているのである。しかも、画面を縦・横自由に動かせるから便利だ。

くわえて、スナートフォンに専用アプリケーション(Pioneer Smart Sync)をインストールすれば、スマートフォンとオーディオがリンクし、なんとオーディオ本体のボタンでも、地図(googleマップ)やオーディオの設定が出来るという。

ヘッドユニット本体に内蔵されたクレイドルを使い、スマートフォンを固定する。また、専用アプリケーションをダウンロードすれば、スマートフォンの画面でも、地図アプリなどを起動・操作出来る。
スマートフォンは縦・横自由に動かせるのも便利だ。

さらに、オーディオ本体にある“メッセージキー”というボタンを押せば、「LINE」や 「Messenger」などに届いたメッセージを読み上げてくれるというからスゴい! また、“音声キー”を押せば、音声操作もできるとのこと。たとえば「ナビ 東京駅」と話せば、自動で地図アプリが起動し目的地が設定されるし、「アーティスト ○○○○(アーティスト名)」と話せば、自動で、呼びかけたアーティストの音楽を再生してくれるという。

「LINE」や 「Messenger」などの届いたメッセージを読み上げてくれるのは運転中に便利だ。とはいえ、どれほど明瞭な声で読み上げてくれるのか? 今から気になる。

スマートフォンの置き場に困っていたボクにとって、MVH-7500SCは理想の商品だった。多くの人は、エアコン・ルーバーにスマートフォン用フォルダーを装着すれば解決しそうな話と思うかもしれないが、万が一ルーバーが壊れても困るので(修理費が未知数)、ボクは躊躇していた。このヘッドユニットがあればは安心してスマートフォンを装着できる。

オーディオ本体にナビキー、AVキー、電話キー、メッセージキーを搭載。これら、キーを操作することでスマートフォンにインストールされたさまざまなアプリを、直接起動出来る。
音声キーを押せば、音声認識機能も瞬時に起動出来るという。

ちなみに、音質にもこだわっているという。周波数ごとのレベルをきめ細やかに調整できる「13バンドグラフィックイコライザー」や圧縮オーディオをCDに迫る高音質で再生する「アドバンスド・サウンドレトリバー」などを搭載する。また、ワイドFMに対応しているのも見逃せない。

そういえば、Yahoo! ニュースのコメントに「オーディオの音にこだわるのならスマホとの接続方法はBluetoothよりUSBケーブルでしょ。」と、アドバイスをいただいたが、MVH-7500SCはUSB入力端子を搭載するので、USBを介しても音楽は聞けるのだ。

本体にある「ナビキー」を押せば、瞬時にカーナビアプリが起動するという。

1DINタイプのナビゲーションなき今、MVH-7500SCは多くの旧車オーナーの理想を叶えてくれるヘッドユニットであると思う。はたして、その機能性はいかに? 今から気になるばかりである。前回、「ナビを使ってまで見知らぬ土地に行くつもりはない!」と、記したものの、もしかすると、このヘッドユニットがあれば、見知らぬ土地も旅したくなるかもしれない……と、同時に思うのであった**(中編②では実際の装着方法などを報告する!)。**