More Men Sought as Cabin Attendants

65年目を迎えたJALの“スチュワード”は今──日本の空に増えていく男性CAにも注目!

日本航空のスチュワード(男性客室乗務員)第1期生が国際線の定期便に搭乗開始してから65年、かつてを振り返るとともに、最新の男性客室乗務員事情に迫る。 文・稲垣邦康(GQ)
65年目を迎えたJALの“スチュワード”は今──日本の空に増えていく男性CAにも注目!
1954年2月2日、JAL初の国際線(東京~ホノルル~サンフランシスコ線)には、同社のスチュワード(男性客室乗務員)第1期生がふたり乗務した。
客船の職種構成を参考にしたスチュワード

日本航空(以下、JAL)は、日本のエアラインで唯一、長年、男性客室乗務員をコンスタントに採用している。現在も、全6000人いる客室乗務員のうち、約100人が男性だ。

JALの男性客室乗務員の歴史は古く、第1期生の10人が入社したのは今から66年前の1953年8月10日のことだった。外国の航空会社に倣い、国際線の客室責任者として男性客室乗務員を導入したのであった。

1953年8月10日、JALに入社した10人のスチュワード(男性客室乗務員)第1期生。

なお当時、男性客室乗務員は“スチュワード”と呼ばれた(翌1954年8月にパーサーの名称に変更)。彼らは1954年2月に就航した東京~ホノルル~サンフランシスコ線などに搭乗した。

男性客室乗務員は、女性客室乗務員とほぼおなじカリキュラムの訓練を受け、同時に客室責任者としての教育を受けたという。

第1期生の男性客室乗務員だった秋山幸雄氏は、1994年に発行されたJAL機内誌『WINDS』で「当時はマニュアルなんてありませんから、“サービスとは何か”ということからすべて自分たちで考えざるをえなかったんです」と、述べている。

スチュワード(男性客室乗務員)第1期生の秋山幸雄氏が乗務したフライト(1954年8月23日)。
1954年10月5日、東京〜サンパウロ間の日伯親善特別飛行にも秋山氏は乗務した。

当時、右も左もわからないなか搭乗していたがゆえ、試行錯誤の連続だったという。また、初期の国際線はフライト時間が長時間だったため(東京〜ホノルル〜サンフランシスコ線は24時間!)、サービスも大変だったそうだ。

その後も、男性客室乗務員はコンスタントに採用され、現在も、多くの乗務員が空を飛んでいる。

1955年2月4日、東京〜沖縄線を香港にまで延長したフライトにも、スチュワード(男性客室乗務員)第1期生が2名乗務した。

なお、日本のエアラインは現在、男性客室乗務員を積極的に採用している。これまで、海外ベースの客室乗務員に限り、男性を採用していた全日本空輸(ANA)も2019年4月、4人の男性客室乗務員を採用した。

また、ピーチやバニラエアなどのLCC(格安航空会社)も積極的に男性客室乗務員を採用している。ピーチのコーポレートコミュニケーション部広報グループで課長代理を務める長谷川遥さんは「ピーチではダイバーシティの観点から、2012年の就航当初から、“国籍・年齢・性別・経験”を不問とし、客室乗務員を採用しています。ゆえに、男性客室乗務員も多数乗務しています」とのこと。ちなみに、“経験不問”での採用のため、前職はバラバラという。元教師や元アナウンサーの客室乗務員もいるそうだ。

ピーチの客室乗務員の採用条件は、「国籍・年齢・性別・経験」不問という。ちなみに、ピーチでは“採用”ではなく“オーディション”と呼ぶそうだ。

「2019年度末を目途に、バニラエアとの統合も控えており、さらに2020年以降は中距離路線への就航も計画しておりますので、今後、客室乗務員の採用はより強化していく予定です」と、長谷川さんは述べた。

では、男性客室乗務員の先駆者であるJALには、今後、どのような計画があるのか? 広報の担当者は「今後も性別に関係なく、JALの企業理念や求める人財像に共感してくださる人、そして謙虚で素直な心をお持ちの方々に(客室乗務員として)お越しいただきたいと考えております」と、述べる。

日本の空は今、エアバスA350-900型記などといった新機材とともに男性客室乗務員の活躍によっても変わろうとしているのだ。