Review: JAPAN AIR LINES A350-900

JALの新機材A350-900のシートがすごい!──日本の空が大型エアバス機でもっと快適に

日本航空が、国内線に投入するエアバス社の新機材「A350-900型機」の詳細が発表された。日本の空旅がより快適になりそうだ! 文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
JALの新機材A350900のシートがすごい!──日本の空が大型エアバス機でもっと快適に
JALとして初のエアバス機導入

2019年6月20日、日本航空(以下、JAL)は、国内線に投入するエアバス社の新機材「A350-900型機」の詳細を発表した。なお、日本航空として、はじめて購入したエアバス機である(統合前の日本エアシステム使用機を除く)。

発表にあわせ、メディア向けのお披露目会がおこなわれた。会場になった日本航空羽田M2格納庫(東京都大田区)では、実機とともに新シートなども展示された。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 A350-900型機は、JALとしてはじめて投入するエアバス機だ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 搭載するエンジンは、ロールス・ロイス社製だ。巡航速度は916km/h、航続距離は1万5000km。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 電子計器を多用したコクピット。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 機材の前には、3つのクラスの新シートも展示された。

お披露目会ではJAL役員や来賓の挨拶のほか、就航に携わったJAL社員によるトークセッションもおこなわれた。

会の冒頭、JAL代表取締役社長執行役員の赤坂祐二氏は「エアバスA350-900型機は、ボーイング777型機の後継として、またJALのフラグシップとして日本の空で活躍する次世代機です。機材を作り上げるにあたり、若手社員がエアバス社と折衝を重ねてきました」と、述べた。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 「A350-900型機の就航によって、運航コストも大幅に軽減します」と、述べるJAL代表取締役社長執行役員の赤坂祐二氏。

また、新しい機内仕様については「機内に足を踏み入れた瞬間、“歓迎”と“安心感”を与えるようなインテリア・デザインにしています。とくにファーストクラスのシートは日本の技術と品質、そしておもてなしの心をふんだんに盛り込みました。また、クラスJおよび普通席は、よりゆったり過ごせるよう改良しました」とのこと。

最後、赤坂社長は「日本航空はA350-900の就航によって、日本の空を変えていきたい」と、述べた。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 JAL社員350人が、A350-900に対する思いを綴った紙飛行機を飛ばすイベントもおこなわれた。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 イベントには来賓として、エアバス日本担当セールス・シニア・バイス・プレジデントのジャン=ピエール・スタイナック氏(写真右からふたりめ)と、ロールス・ロイス・ジャパン日本法人で社長を務める露久保治彦氏(写真左からふたりめ)が招かれた。
より豪華に、そして快適になった国内線ファーストクラス

A350-900のシートは、全クラス新デザインだ。すべてのシートに個人用画面、電源が備わる。インテリア・デザインのテーマは“日本の伝統美”という。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 機内に乗り込むと、目前にはJALの大型ロゴが目に入る。

シートは3クラス制だ。12席のみのファーストクラス・シートは、黒を基調とした新デザイン。シートにあわせ、インテリアも黒を基調とする。

新しいファーストクラス・シートは、シートピッチ:約135cm(53インチ)、座席幅:約51cm、個人用画面サイズ:15.6インチと、国際線の近・中距離ビジネスクラス・シート並みに進化した。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 ブラックレザーのシート表皮が特徴のあたらしいファーストクラス・シート。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 大型シェルには、さりげなくファーストクラスを主張するロゴがあしらわれる。

なお、シート調整はすべて電動式となるほか、マッサージ機能(振動タイプ)も搭載する。また、シート表皮はレザー(ブラック)だ。

さらに、大型シェル&シェードの搭載によってプライバシーを高めたほか、PC電源およびUSB電源は使い勝手を高めたとのこと。細かな点では、カクテルトレイのクオリティなどを高めたという。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 シート調整は電動式。マッサージ機能も搭載する。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 手動式の大型シェード。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 テーブルも、シート表皮とおなじくブラックだ。また、カクテルトレイはクオリティを高めたという。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 シート横に配された、PC電源およびUSB電源。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 回転タイプの読書灯はLED。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 足もと付近には、ラップトップPCも収納可能な小物入れがある。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 個人用画面サイズは15.6インチ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 機外カメラの映像も楽しめる。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 個人用画面は、タッチ式スクリーンないしは専用コントーラーで操作する。
よりゆったりとくつろげるようになったクラスJ&普通席

94席あるクラスJ・シートは、レカロ社製(ドイツ)だ。サイズは、シートピッチ:約97cm(38インチ)、座席幅:約48cmと、これまでのクラスJ・シートと大きくは変わらない。

ただし、新シートは個人用画面を搭載するほか(11.6インチ)、レッグレストはより細かな設定が出来るようになった。さらに、大型のカクテルトレイや個別の読書灯も備わる。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 クラスJは、94席ある。シート調整は手動だ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 大型のレッグレストは、より細かな調整が出来るようになった。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 ヘッドレスト横にある専用の読書灯。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 個人用画面サイズは11.6インチ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 テーブルはシートに内蔵する。

263席ある普通席も、クラスJ・シートとおなじくレカロ社製だ。サイズは、シートピッチ:約79cm(31インチ)、座席幅:約41〜44cm。クラスJとおなじく、個人用画面を搭載する(10.0インチ)。

新しい普通席の大きな特徴は、可動式ヘッドレストを採用した点だ。上下・左右ともに細かく調整出来る。さらに、より使いやすい位置にPC電源およびUSB電源を設置。また、カップホルダーや小物入れネット、ジャケットフックなども備え、使い勝手を高めている。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 普通席のシートも、クラスJとおなじくレカロ社製だ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 ヘッドレストは可動タイプ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 座面下に配されたPC電源。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 すべての普通席に標準化された個人用画面(10.0インチ)。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 テーブル未使用時にも使用可能なカップホルダー。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 普通席は263席ある。
エンターテインメント機能も充実

全席標準の個人用画面(タッチパネル式)では、パナソニックアビオニクスコーポレーション(アメリカ)製の新しいエンターテインメントサービスを楽しめる。

これまで、国内線ビデオプログラム(70チャンネル)で放送されていたコンテンツにくわえ、毎月話題の映画(2019年9月は『アラジン』、『X-MEN: ダーク・フェニックス』を予定)も楽しめるという。さらに、これらの映画は途中再生も可能とのこと。

このほか、電子書籍(48タイトル)やオーディオ(28チャンネル)、リアルタイムで視聴できるテレビプログラム(2チャンネル)やテキストニュース、フライトマップや機外風景(2視点)も個人用画面で楽しめるという。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 窓側シート上にあるラゲッジ・ボックスには、機内持ち込み用サイズのスーツケースが計5個格納出来る。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 全シートの読書灯はLED。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 おむつ交換台も備えたトイレ。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 インテリア・デザインと調和のとれたギャレー。

なお、機内インターネットサービス「JAL Wi-Fiサービス」は、全クラス無料だ。また、使用可能時間はこれまでより長くなった(地上走行開始時からゲート到着時まで)。

新しいA350-900型機は2019年9月1日より、東京(羽田)〜福岡線で運航を開始する。当面、国内線のみの運航であるが、今後、国際線の777型機もA350-900に切り替えていく予定という。

JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 A350-900型機は、胴体・主翼など広範囲に複合材を使い、軽量化されている。
JAL Airbus A350-900|日本航空 エアバス A350-900 A350-900型機は当面、国内線のみの運航だ。