SOLITARY RESTAURANT

③西荻窪「スパイス飯店」──ワンオペ店主のキャラクターが色濃く出る、孤独(な店主)のグルメ

店主がひとりで切り盛りをする小規模な店、「ワンオペ(ワンマンオペレーション)」のレストランが、最近おもしろい。手厚いサービスはできない分おのずとカジュアルになり、訪れる客も気張らなくていい。あっという間に店と親密になれる感じがクセになる、そんな個性派の飲食店を紹介する。第3回は西荻窪の「スパイス飯店」。 文・松浦達也 写真・吉澤健太
孤独(な店主)のグルメ──ワンオペ店主のキャラクターが色濃く出る
「ピータンウフマヨ」¥500は、芝麻醤や黒酢を加えたマヨネーズで。

SPICE飯店
西荻窪

看板メニューはスパイス料理。合わせる酒は燗酒とナチュラルワイン─。戸惑うような組み合わせがピタリとハマる。

「スパイス飯店」店主の岡本大佑さんは、和食居酒屋、イタリアン、台湾料理と各国の料理を作ってきた。

スパイス料理に燗酒を合わせる現在のスタイルを決定的にしたのは、最後の修業先でもある代々木八幡「酒坊主」での経験。

「生酛や山廃といった、燗に向いた純米酒は肉や発酵食品に力負けしないし、飲み疲れしません」

パンチの強い酸菜麻婆豆腐には杉錦の山廃純米原酒の十年古酒を燗酒で。スモークをかけた猪肉にはジョージアのアンバーワイン。「ワンオペは、お客さんが飲み物を自ら取りに行ってくれたりして、お客さんとの関わり合いが深くなる。何より、自由で楽しい」という店主のキャラクターの通り、料理と酒の組み合わせも自由闊達である。

「酸菜麻婆豆腐」¥700に使う豆板醤も現地産。燗酒は杉錦の十年古酒。
「ラムとドライトマトの皿ワンタン」¥780。クセモノ揃いだ。
「好きなスパイスはカルダモン」と岡本さん。天井の色もロゴマークもそれにちなんだ。

スパイス飯店
東京都杉並区
西荻南2-19-5 1F
TEL 03-4400-7785
営18:00〜23:00LO(土は15:00〜、日は15:00〜21:00LO)
㊡火曜カウンター5席、テーブル4席、スタンディング2名相当