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2019.01.13

肉も魚も出ないフレンチのコース4万8000円! がそれでも“お得”な理由とは?

帝国ホテル 東京のメインダイニング「レ セゾン」が旬のメニューとしてオススメする「MENU TRUFFE(トリュフメニュー)」。最初から最後までトリュフ尽くしのコースとはどんなものか? 想像を超えた素晴らしいメニューの中身をご紹介します。

CREDIT :

文/森本 泉(LEON.JP)

こんにちは、LEON.JPのモリモトです。
皆さん、フランス料理はお好きでしょうか? 私はメインを肉にするか魚にするかで、いつも迷う男です。でも、メイン料理に肉も魚も出ない……となると、なんじゃそれは? と普通は思いますよね。
じゃあ、何が出るのか?といえば、こちら。
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はい、黒トリュフのパイ包み焼き。まるごとゴロっと1個入ってます。栗じゃないですよ。
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トリュフの強い香りがふわ~っと広がります。絶妙な火加減なんでしょう。口に入れてもそれほど固くないチョコレートくらいの感じでしょうか。
ナイフで簡単に切れて、割るとこんな感じです。パイ生地にはトリュフとともにフォアグラも包み込まれ、甘塩っぱいペリグーソースと絡めると、例えようのない未知の食感に衝撃を受けること必至です。

そう、こちらは帝国ホテル東京のメインダイニング「レ セゾン」の冬の名物、トリュフメニューと呼ばれるコース料理のお話なのです。

日本人にとって冬のご馳走というと、ふぐとかカニとなりますが、ヨーロッパの食通たちがこの時期楽しみにしているのが、黒トリュフなんですね。

キャビア、フォアグラと並んで世界の三大珍味とも言われるトリュフ。ちなみにトリュフには白と黒がありますが、白の方は秋が旬で、主に生でスライスして食されます。対する黒トリュフは11月から3月ぐらいの冬が旬で、生でも食べられますが、加熱するほど香りが強くなるのが特徴です。
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ガラスケースでお目見えの真っ黒なトリュフ様

こちら「レ セゾン」のコースでは、その「黒いダイヤモンド」とも呼ばれる黒トリュフの特性を生かして、時には生で、時には加熱して、前菜からデザートまで、ほとんどの料理に黒トリュフを使い、しかもメインに肉も魚もナシという、かなり思い切った内容となっています。けれど、そのエッジが効いた構成ゆえに、いまでは毎年のこのコースを楽しみにしている熱心なファンも多いのだとか。

これが「レ セゾン」で使われている黒トリュフ。香りを逃さないようにガラスのケースに入って顔見世です。
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ちなみに、トリュフが生えているのは地下15~20cmのところ。伝統的な方法ではメス豚にこれを探させるのですが、それはトリュフの香りがオスの豚が発情期に出すフェロモンと成分が似ているから。つまりメス豚を惹きつける香りなのですね。そんなことから古来トリュフには催淫効果があるとも言われています。

ヨーロッパの人々にとってもこの香りは淫靡とかセクシーと表現されることがあるようですが、確かにそれもわかります。個人的な感覚で申し上げますと、女性に例えれば、万人受けのかわいいアイドルではなく、ひとクセもふたクセもある妖艶な美女のイメージ。恐る恐る深呼吸してクラクラしたくなる香りです。
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「黒トリュフをあしらった“レ セゾン”スタイル」。根セロリ、アーティチョーク、インゲン、香草、カニ身、フォアグラなどに加えて黒トリュフが。いつまでもいくらでも食べたいサラダです。
さて。アミューズに続いてサラダがサーブされると、このガラスケースから給仕の方がトリュフを取り出して、サラダの上に削ってかけてくれます。

それ自体はお馴染みの演出ですが、とにかく量が多い(笑)。思わず笑っちゃうぐらい豪勢にかけてくれます。削りおろしのトリュフはさらに強い香りで、もうなんだか頭の周りがトリュフの香りの霧に包まれたような感じです。

その後も次々と黒トリュフを惜しげもなく使った料理が登場します。
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何物にも似ていない特別な食感と香りが混然となって

そしていよいよメインが、冒頭にご紹介した「ジェラール・ボワイエ氏 直伝の黒トリュフのパイ包み焼き」。これは、「レ セゾン」の料理長である、ティエリー・ヴォワザン氏がフランスの(当時)3ツ星レストラン「ボワイエ レ クレイエール」での修行時代に師事した名料理人ジェラール・ボワイエ氏のスペシャリテを受け継いだ一品。
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濃厚なペリグーソースにも大きめの黒トリュフがゴッソリ。ソースは後から追加していただけてパンに付けて食べても美味しい!
当時は、冬になるとこの料理を目当てに世界の各国から予約がひっきりなしに入るほどの人気メニューだったとか。ボワイエ氏が引退したいま、その味を堪能できるのは世界でもこの「レ セゾン」だけという貴重な一皿です。この料理を食べにわざわざ海外の某有名ミュージシャンがお忍びでいらっしゃるとか。

官能的な黒トリュフの香りと食感を十分に楽しんで、コースはデザートへ。まだまだトリュフの旅は続きます。
約2時間半にわたって最初から最後までトリュフ尽くし。それでも全然飽きないのは、個々の料理がそれぞれ工夫に満ちて、味わい、食感ともすべてバランス良く構成されているから。肉も魚もないことも、まったく気になりません。

シェフのティエリー・ヴォワザン氏は来日してすでに13年。円熟味を増したその料理は、非常に繊細にしてチャレンジャブル。ホテルのレストランという良くも悪くも冒険のしづらい環境の中で、実に柔軟に、トラディショナルなフレンチと「和」の融合をはかり、彼ならではの日本のフレンチを実現しています。

食事の最初と最後には彼がテーブルを回って挨拶に来てくれます。日本でも最高峰のフレンチレストランであるにもかかわらず、スタッフのサービスはフレンドリーで、初めてのお客様でもリラックスして食事を楽しめるような気遣いが非常に心地よい空間を作っています。

おそらく一度訪れればファンになり、ヘビーユースは難しくても、何かとっておきの時にはこちらが思い浮かぶ、と、そういった特別なレストランなのかと改めて思った次第です。
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◆レ セゾン

住所/東京都千代田区内幸町 1-1-1 帝国ホテル 東京 本館 中2階
営業時間/7:00~10:00(L.O) 11:30~14:30(L.O) 17:30~22:00(L.O)
定休日/無休
URL/https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/les_saisons/
予約・問い合わせ/☎03-3539-8087
※トリュフメニューは3万3000円と4万8000円。消費税込み、サービス料別

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