News: All Nippon Airways 777-300ER Gets New Interior

隈研吾がANAの機内を変える! 新インテリア・デザインを導入へ──ファースト&ビジネスの新シートにも注目!

全日本空輸のボーイング「777-300ER」型機に、新しい機内仕様が導入される! 文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
隈研吾がANAの機内を変える! 新インテリア・デザインを導入へ──ファースト&ビジネスの新シートにも注目!
新しい機内仕様を導入したANAのボーイング「777-300ER」型機。
約10年ぶりに新シートを投入!

2019年7月11日、全日本空輸(以下ANA)は、ボーイング「777-300ER」型機の新しい機内仕様をお披露目した。

ANA Boeing 777-300ER ボーイング「777-300ER」型機は双発の大型旅客機。
ANA Boeing 777-300ER タイヤはミシュラン社製だ。
ANA Boeing 777-300ER 2基のエンジンはゼネラル・エレクトリッ社製。なお、航続距離は1万4900kmを誇る。
ANA Boeing 777-300ER 電子計器が並ぶコクピット。操縦するパイロットは2名だ。

注目は、約10年ぶりに新シートを導入したファーストクラスおよびビジネスクラスだ。

新しいファーストクラス・シート(全8席)は「THE Suite」と呼ぶ。広報資料には「5つ星ホテルのようなくつろぎ空間をご提供します」とある。実際座ると、広くて心地よい。

ANA Boeing 777-300ER 「THE Suite」と名付けられた新しいファーストクラス・シート。全8席ある。

新しいファーストクラス・シートは、“ANA最大級の広さを実現した”とされる。ドア付きの個室型タイプだ。シートは、これまでとおなじくフルフラットになる。調整は電動式だ。可動式パーティション(電動式)も備わる。

東京(羽田)〜ハワイ線に就航したエアバス「A380」型機のファーストクラス・シートと基本はおなじだ。ただし、シート表皮がレザーからファブリックになるほか、スペースも若干拡大されるなど細かい部分は異なる。

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実際に座ると、たしかにこれまでのファーストクラス・シートより広い。くわえて、目前のモニターサイズの大きさに圧倒される。なんと、現行モニターサイズ(23インチ)の2倍近い、43インチに拡大された。また、機内の個人用モニターとして世界で初めて4KおよびフルHD画質に対応したとのこと。

ANA Boeing 777-300ER ファーストクラス・シートの個人用モニターサイズは、43インチだ。
ANA Boeing 777-300ER 個人用モニターの操作は、画面を直接タッチする以外に、液晶画面付き専用コントローラでも可能だ。
ANA Boeing 777-300ER シートサイドの収納ボックス内に、USB端子やHDMI端子がある。
ANA Boeing 777-300ER トイレの快適性も向上。洗面台が拡大されたほか、フロア・デザインが新しくなった。
ビジネスクラス・シートはANA初のドア付き

ファーストクラスとともに、「THE Room」と呼ぶ、ビジネスクラスの新シート(64席)も魅力的だ。

ANA Boeing 777-300ER ビジネスクラス・シートは64席ある。

大きな特徴は、ANA初のドア付き個室タイプにした点だ。また、進行方向と逆向きにもシートを配列した結果、世界最大級の居住空間を実現したという。

ANA Boeing 777-300ER 進行方向と逆向きにもシートを配列した。ANAの広報担当者は、「離着陸時以外は、進行方向とおなじ向きのシートと快適性などは変わりません」と言う。
ANA Boeing 777-300ER ビジネスクラス・シートはドア付きになった。
ANA Boeing 777-300ER ドアを閉めるときのスウィッチは、シートサイドにある。なお、開くときは手動だ。

電動調整式のシートは、寝心地にこだわったクッション(ふとんの「西川」と共同開発)を使ったという。また、シート最大幅は現行シートの約2倍に拡大された。広報資料には「世界最大級のシート幅」と、うたう。

ANA Boeing 777-300ER シート最大幅は現行シートの約2倍に拡大された。
ANA Boeing 777-300ER シート調整は電動式だ。
ANA Boeing 777-300ER 格納式のテーブル。表面は木目調パネルで覆われている。
ANA Boeing 777-300ER 個人用モニターの横には扉付きの収納スペースがある。扉の内側には鏡も内蔵する。
ANA Boeing 777-300ER フルフラットにした状態。なお、クッションはふとんで有名な「西川」と共同開発したそうだ。

また、ファーストクラスとおなじく個人用モニター(24インチ)は、4KおよびフルHD画質に対応した。

なお、ファーストおよびビジネスクラスのシートは、ともに機内エンターテインメントもアップデートされた。携帯端末のアプリケーションとリンクする「MY SKY CHANNEL」を備えたほか、機外カメラで撮影した映像をパーソナルモニターで楽しめるようになった。

ANA Boeing 777-300ER ビジネスクラス・シートの個人用モニター・サイズは24インチ。
ANA Boeing 777-300ER 個人用モニターの操作リモコンは、ファーストクラス・シートとおなじく液晶付きだ。
ANA Boeing 777-300ER ビジネスクラス・シートにも、グローブ・トロッターがデザインしたポーチが配られる。ただし、ファーストクラスとデザインは異なる。
隈研吾が考えた“和”の要素を盛り込んだインテリア・デザイン

新シート導入とともに新しくなったインテリア・デザインは、建築家・隈研吾氏が総合監修を務めた。先進的で、同時に日本らしさを感じられる機内空間を実現したという。

たとえば、ファースト&ビジネスクラス・シートのドアは、引き戸形式の障子などをイメージしてデザインしたそうだ。また、バー・カウンターに設置された大型パネルを照らすライト・カバーは、和紙をモチーフにしている。「日本らしさを感じていただくとともに、やわらかい雰囲気を演出します」と、広報資料に記されていた。

ANA Boeing 777-300ER デザインを一新したバー・カウンター。
ANA Boeing 777-300ER バー・カウンターの照明は、和紙をモチーフとしたカバーが特徴的である。
ANA Boeing 777-300ER ギャレーのカーテンも、デザインを変更。水墨画を彷彿とさせるデザインだ。
ANA Boeing 777-300ER 機内食は、洋食器のデザインが新しくなった。

なお、照明もこだわったという。パナソニックも監修にくわわり、位置や色をこれまで以上に吟味したほか、睡眠時や起床時に適した明かりが点灯する「ウェイクアップモード」も内蔵し、快適な眠りや目覚めをサポートするという。

さらに、インテリア・デザインの変更にあわせ、機内食で使う洋食器のデザインも変更された。

ANA Boeing 777-300ER
ANA Boeing 777-300ER
隈研吾氏の思いとは?

お披露目にあわせ、東京都大田区にあるANAの機体工場で、プレス向け発表会および実機の内覧会がおこなわれた。

発表会に登壇した隈研吾氏は、「日本の伝統的空間を、近代的な旅客機の中でどう作り上げていくか? ANAとともに考えた」と、述べた。

ANA Boeing 777-300ER 発表会に登壇した建築家の隈研吾氏。

また、隈氏は“光”にも着目したという。「これまでとは異なる“光”の演出によって、(機内は)よりあたたかい雰囲気になった」と、続けて述べた。

さらに、「優しく、そしてぬくもりある新しい機内を、すこしでも早く世界中の人に体験してほしいと願っている」と、隈氏は話す。

ANA Boeing 777-300ER 隈研吾氏の隣は、ANAの平子裕志代表取締役社長。

隈氏とともに登壇したANAの平子裕志代表取締役社長は、新シートについて「プライバシーを今まで以上に確保したのが大きな特徴です。機上の過ごし方が大きく変わると思う」と、述べた。

新しい機内仕様の777-300ER型機は、2019年8月12日から、東京(羽田)〜ロンドン線(NH211便/NH212便)に就航する。そのほかの路線については、「ニューヨーク線などへの投入を考えています」と、平子社長は述べた。なお、現在保有する777-300ER型機も順次、改修していくそうだ。

ANA Boeing 777-300ER プレミアムエコノミークラス・シート(24席)およびエコノミークラス・シート(116席)は、既存の最新タイプだ。
ANA Boeing 777-300ER プレミアムエコノミークラス・シート(24席)およびエコノミークラス・シート(116席)は、既存の最新タイプだ。
ANA Boeing 777-300ER
ANA Boeing 777-300ER
ANA Boeing 777-300ER