超一流イベントになるか?
アメリカの〝ペブルビーチ〟、イタリアの〝ヴィラデステ〟と聞いて、クルマ好きが思い出すのは有名なゴルフ場でもリゾートホテルでもなく、世界的な名車コンクールである。
世界の2大コンクールに負けないイベントを自動車大国であるわが国でも開催したい。コンクールを舞台とした自動車好きの文化社交サロンを育て上げていきたい。と、そう願ったひとりのエンスージアストが日本発信の世界的コンクールを立ち上げた。彼の名は木村英智氏。世界的に有名なアクアリウムアーティストである。
京都での開催は今年で3度目。コンクールが世界的なイベントとなるためには3つの要素が肝心だと言われる。ひとつにはもちろんイベントに参集するクルマの質であり、ふたつ目がイベントの開催地だ。その点京都なら文句はない。東京や広島と並んで世界的に知名度の高い場所であり、クラシックやビンテージ、伝統や文化といったキーワードとの親和性が甚だ強い。
世界遺産の元離宮二条城という名高さはもちろん、名車が展示されたのは国宝二の丸御殿に面した非公開の庭園だった。黒々と美しい書院造の建物を背景に並ぶビンテージカーという構図と景色は、なるほど京都発信にふさわしい。
最後の要素が審査員だ。fiva国際クラシックカー連盟会長のパトリック・ロレ氏を筆頭に、ペブルビーチのサンドラ・バトン氏やヴィラデステのドミニク・フィシュリン氏、日本からは元日産チーフ・デザイナーでペブルビーチ名誉審査員の中村史郎氏といったビンテージカー界の重鎮たちが、この日のために審査員として来日あるいは来京した。彼らとの交流を通じても日本のビンテージカー文化がいっそう濃密に進化することが期待される。
超一流イベントとしての条件は既に揃っている。あとは参加するクルマ次第、というわけで、今年も素晴らしい名車が二条城にやってきた。
メインテーマは〝ザガートの100周年〟と、近頃めっきりクラシックカービジネスにも力を入れている〝ランボルギーニ・ポロストリコ〟。「ベスト・オブ・ショウ」に輝いたランボルギーニ350gtザガートをはじめ、素晴らしい名車たちの勇姿に世界中のクルマ好きが酔いしれた。