SOLITARY RESTAURANT: Aubergine

⑧笹塚「オーベルジーヌ」──ワンオペ店主のキャラクターが色濃く出る、孤独(な店主)のグルメ

店主がひとりで切り盛りをする小規模な店、「ワンオペ(ワンマンオペレーション)」のレストランが、最近おもしろい。手厚いサービスはできない分おのずとカジュアルになり、訪れる客も気張らなくていい。あっという間に店と親密になれる感じがクセになる、そんな個性派の飲食店を紹介する。 Words 小石原はるか Haruka Koishihara Photos 岡本 寿 Hisashi Okamoto
⑧笹塚「オーベルジーヌ」──ワンオペ店主のキャラクターが色濃く出る、孤独(な店主)のグルメ
銀座「古拙」や日本橋「仁行」のほか、和食店でも研鑽を積んだ西田さん。

Aubergine
笹塚
今年3月、「芝公園にあった『オーベルジーヌ』が復活している」という情報を得た。個人的には、憧れたまま伺えぬうちにクローズしたレストランだった。

オーナーシェフの小滝晃さんは、1989年から営んでいた店を5年前にクローズ。

しばしのブランクを経て昨年開いた現在の店は、笹塚からほど近い住宅街にある。2日前までに予約が入らなければ、その日は休む。「この歳(ちなみに64歳)になったら、毎日しゃかりきになって開けないと立ち行かないような店なら、やらないほうがいい」と、あくまで無理のないペースを守る。ただし「料理人は厨房に立ち、料理を作ってナンボです」。

旧型のガス台とオーブン、30年間の料理人生活をともにしてきた銅鍋や分厚いフライパンをたやすく操る姿が、キャリアを物語る。そして、出来上がった料理の味わいは、さらに雄弁だ。食材への確かな火入れと、それを彩る端正なソース! 香り豊かで存在感たっぷりだが、決して重たくはない。これぞ、フランス料理。

5000円と1万円のコースは使用する食材のみ伝えられ、調理法はシェフに一任するスタイル。「まかせてもらう分、きっちり仕上げますから」という言葉に、胃袋を委ねよう。

あらかじめ塩で締めたヒラメで香草類を包み、上から生ハムを巻いてオーブン焼きに。クリームとポルト酒のソースで。
羊のロース肉は、フランボワーズヴィネガーのソースと。
「俺のソースをすべて知っている」という銅鍋は、手入れも万全。
フォトジェニックな甘エビのジュレ寄せは、爽やかなドレッシングで。

オーベルジーヌ
東京都世田谷区北沢
5-15-6
TEL 03-6416-8200
営11:30〜14:00LO、17:30〜21:00LO
不定休 カウンター3席、テーブル4席
※前々日までに要予約