Review: BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019

なぜBMWは日本で愛されるのか?──希少なBMWも展示されたBMW モータースポーツ フェスティバル2019開催!

BMWファン向けのイベント「BMWモータースポーツ フェスティバル2019」が開催された。その内容とは? 文・吉田由美 写真・安井宏充(Weekend.)
なぜBMWは日本で愛されるのか?──希少なBMWも展示されたBMWモータースポーツ フェスティバル2019開催!
BMW モータースポーツ フェスティバル2019で展示された「M1」と「3.0CLS」。
“駆け抜ける歓び”を体感出来るイベント

2019年6月23日(日)、BMWの輸入元であるビー・エム・ダブリューは、静岡県・富士スピードウェイで「BMW モータースポーツ フェスティバル2019」を開催した。

BMW モータースポーツ フェスティバルは、2017年に初開催したイベントだ。今回で2回目、2年ぶりの開催である。「駆け抜ける歓び」をスローガンに掲げるBMWだけに、「走り」を堪能できるプログラムが充実しているのが特徴だ。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 富士スピードウェイでおこなわれたBMWモータースポーツ フェスティバル2019。オープニングセレモニーでは「M6 GT3」や「M4 GT4」などが、本コースを走った。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 展示されたM1と3.0CLSも走行した。運転するのはモータージャナリストの菰田潔氏(M 1)と萩原秀輝氏(3.0CSL)。ともにBMWが主催するドライビングレッスンのインストラクターを務めている。

オープニングセレモニーは、富士スピードウェイのメインストレートで行われた。セレモニーでは、ビー・エム・ダブリューの代表取締役社長ペーター・クロンシュナーブル氏が「M6 GT3」、ドイツから来日したBMW M社のセールス&マーケティング担当執行役員ピーター・クイントス氏が「M4 GT4」を自らハンドルを握って登場した。

クロンシュナーブル社長は挨拶のなかで「BMWの“駆け抜ける歓び”を体感出来るイベントにした」と述べた。また、ピーター・クイントス氏は「2年前に世界で初めて(BMWの)モーター・フェスティバルを日本で開催し、以降、世界各国で同様のイベントを開催してきました。今回のイベントでは、BMWのスポーツ・カー、レーシング・カー、ヒストリック・カー、そして新型車も揃えました。BMWの魅力を存分に味わってほしい」と話した。

両者の挨拶後、「M4 GTS」の先導で富士スピードウェイの本コースでパレード・ランがおこなわれ、「M1」や歴代の「M5」が走行した。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 歴代の「M5」も富士スピードウェイの本コースを走った。
体験プログラムが充実!

パレード・ランのあと、ピット内でメディア向けに新型モデルのお披露目もあった。BMW Mのフラッグシップ・モデル「M8」、続いてSUVの「X3 M」、「X4 M」の3モデルだ。

しかもこれらの3モデルは、一般の来場者にもお披露目された。とくにM8は、世界同時発表前に公開されたにもかかわらず、来場者にはSNSへの投稿が許されたのだ。BMW本社が、日本のカスタマーをいかに大切にしているか、よくわかるエピソードであると思う。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 8シリーズ・クーペのハイパフォーマンス・バージョン「M8」が、世界に先駆けて公開された。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 BMW Mモデル初のミドルクラス・SUV「X3 M」、「X4 M」もお披露目された。

イベントはクロンシュナーブル社長が冒頭で述べた通り、さまざまな同乗走行体験プログラム、試乗プログラムなど「走る」「乗る」ものが多い。同乗走行体験プログラムにはプロドライバーが運転する各種Mモデルや、オープニングセレモニーでも登場したレーシングカーのM6 GT3とM4 GT4が用意された。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 インスタグラムに投稿することで、写真を無料で印刷するサービスもあった。

また富士スピードウェイ内にあるショート・コースでは、最新のBMWを運転出来るプログラムもおこなわれた。しかも、ほかの同乗走行体験&試乗プログラムは有料だったが、本プログラムは参加料が無料だった。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 BMWグループに属するロールス・ロイス「ドーン」も展示された。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 BMW M社が開発した純正パーツを装着したモデルも展示された。

ほかにも、グランドスタンド裏の駐車場ではさまざまなプログラムがおこなわれた。「xDriveゾーン」では、Xシリーズが搭載する4WDシステムを体感出来るよう、障害物が設置されている。一部のタイヤが浮くようなときでも、地面に接地しているタイヤがしっかり駆動し、安定する様子が外からもよくわかった。

また、タイヤをはじめさまざまな用品メーカーのブースおよびプログラムも充実していた。横浜ゴムではスポンジ付きタイヤの体験走行や、スロット・カーレースができ、ブリヂストンではランフラットタイヤの走行体験会や、空気を使わないタイヤ「エアフリーコンセプト」の体験が出来た。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 ほかのメーカーに先駆けてランフラット・タイヤを開発したBMWらしく、ブリヂストンのブースでは最新ランフラット・タイヤを体感出来る試乗がおこなわれた。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 BMWのエンジンを、実機を使い解説するブースもあった。

さらに、7シリーズなどに搭載する「Bowers&Wilkins」のオーディオが試聴出来るコーナーも。筆者が行ったときは、ちょうどクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』が流れており、その圧倒的な臨場感に、つい聞き入ってしまったほど。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 「Bowers&Wilkins」のオーディオ・システムが試聴出来るコーナーもあった。なお、同ブランドのオーディオ・システムは7シリーズなど上級モデルに搭載されている。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 「Bowers&Wilkins」のオーディオ・システムは、試聴ブース以外にも、VIPラウンジなどにも設置されていた。
珠玉のBMW名車も展示!

ピット内の目玉は、歴代Mモデルが展示されていた「M ヒストリック コレクション」だ。なかでも現在、1億円以上の値が付いているという「M1」は必見ものだった。さらに、M社が手がけたレーシングカーが展示されているコーナーもあった。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 パドック内に展示されたM1と3.0CSL。両車ともナンバーを取得しており、いつでも公道走行可能な状態にしてあるという。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 M1が搭載するエンジンは、ヨーロッパツーリングカー選手権用に開発された3.5リッター直列6気筒だ。最高出力はロード・カー仕様で277psを誇る。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 デザインはイタルデザインだ。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 M1の総生産台数は477台と言われている。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 レーシーな雰囲気漂うメーターパネル。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 トランスミッションは5MT。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 M1は1978年〜1981年のわずか約3年しか生産されなかった。

意外にも、ゴルフ・シミュレーションが出来るコーナーまであった。BMWの広報担当者に訊くと、「BMWは、ライフスタイルのグッズとして、ゴルフ・ウェアも作っているからです」とのことであった。

会場内には、子供向けのプログラムも豊富だった。ペダルなし二輪車「STRIDER(ストライダー」の体験走行のほか、キッズルームも完備されていて、そこには玩具などもあった。インポーターが手がけたイベントは数多く見たが、これほど子供向けのプログラムやブースが充実しているのは珍しい。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 ゴルフ・シミュレーションも用意。なお、BMWは、ライフスタイルのグッズとして、ゴルフ・ウェアも作っている。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 ゴルフウェアをはじめ、さまざまなアパレル商品やカーケアグッズを販売していた物販コーナーは盛況だった。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 M6 GT3などのレーシング・マシンも展示され、エンジンなどを間近で見られた。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 子供向けのペダル・カーも用意された。
BMWの熱いファンが語るその魅力とは?

ちなみに、なぜ日本でBMW モータースポーツ フェスティバルが開催されているのか?

ビー・エム・ダブリュー広報部の製品広報マネージャーを務める前田雅彦氏に質問した。

BMW モータースポーツ フェスティバルは2017年、日本ではじめて開催され、その後、ドイツ本国でも開催されるようになりました。2017年以前はBMWサーキットデイというイベントでしたが、そのときより、BMWにフォーカスし、また家族でも楽しめるよう、プログラムなどをブラッシュアップしています。また、BMWとかかわりのある多くの企業が参加しているのも特徴です。BMWは2輪もありますが、本イベントは4輪メインです」と、述べた。

また、参加者のひとりである、BMWのオーナーズ・クラブである「BMWクラブ・ジャパン」の細淵雅邦会長にも話を訊いた。細淵氏が考えるBMWの魅力とは?

BMWは、“コミュニケーション”を取りやすいクルマであると思います。クルマが、コンディションや性能を、わかりやすくオーナーに伝えるのです。だから乗り手も、クルマのフィーリングを理解しやすいと思います」

BMWのオーナーズ・クラブである「BMWクラブ・ジャパン」の会長を務める細淵雅邦氏。細淵氏は国際ボート連盟(FISA)の理事も務めている。今回のイベントでは細淵氏が所有するヒストリック・カーも展示された。

ちなみに、細淵会長がBMWに魅了されるようになったきっかけは意外だ。

「私はBMWのエンジンや形から好きになったわけではありません。1981年にミュンヘンで行われたボート競技の世界選手権に行ったとき、ミュンヘンの街でたくさんのBMWが走っているのを見て驚いたのが興味を持ったきっかけでした。その後BMWの歴史、哲学などひとつひとつを知り、その素晴らしさに感銘し、今に至ります」

細淵会長をはじめ、多くのBMWファンを魅了したBMW モータースポーツ フェスティバルは、2020年も開催される予定とのこと。今からどんなイベントになるか楽しみだ。

BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 BMW初の量産ターボ・モデル「2002 ターボ」も展示された。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 2002ターボのほか歴代のM3も展示された。なかでも手前から2台目のM3(E30)は、希少なスポーツエヴォリューションだ。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019 ヨーロッパツーリングカー選手権で活躍したレーシング・カーも展示された。
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019
BMW MOTORSPORT FESTIVAL 2019|BMWモータースポーツ フェスティバル2019