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バイクでの熱中症!バイク走行中での熱中症体験から学んだ予防策

バイクは空調などもなく、走行中は気軽に水を飲むことが出来ないため、夏場は熱中症のリスクが高くなります。なんと二年連続熱中症になってしまったバイクガイドが、熱中症にならないための対策をお伝えします。

相京 雅行

執筆者:相京 雅行

バイクガイド

 

バイクは熱中症のリスクが高い

バイクでの熱中症 マグザム試乗中の出来事でした

バイクでの熱中症!マグザム試乗中の出来事でした


2015年の夏、初めて熱中症にかかりました。ヤマハからビッグスクーターのマグザムを借りてインプレッション記事のために走行していたところ、徐々に手がしびれはじめ、平衡感覚がおかしくなってきたのです。マグザムが足つき性に優れたバイクだったので転倒は免れましたが、バイクを路肩に停車してその場に座り込んでしまいました。

トンネル内だったこともあり港湾局の方が駆けつけてくださり、空調の効いた車の中で常温の経口保水液を頂き、そのまま会社のスタッフにバイクを引き上げてもらい病院に行きました。幸いにもすぐに港湾局の方が適切な処置をしてくださったおかげで大事には至りませんでしたが、バイクの運転中は熱中症のリスクが高いのも現実です。

空調を効かせて快適に走ることができないのはもちろんですが、日差しに直接さらされる事になりますし、走行中にはすぐに水分補給をすることもできません。また、ヘルメットを被っているので頭は蒸れますし、安全の事を考えれば熱くても服装は長袖、長ズボンが当たり前となります。

通勤で使っていることもあり毎日バイクに乗っていますが、2015年に一度と、実は2016年にも再び熱中症になってしまいました。


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熱中症がある程度進行するまで自覚症状がなく、転倒のリスクも    

2016年はツーリング中に熱中症になりました

2016年はツーリング中に熱中症になりました


私が二度の熱中症にかかって体験したのは、脱水や熱中症は事前に自覚症状がないということです。手先がしびれたり、平衡感覚がおかしくなったりするなどの自覚症状が発生する頃には、熱中症は進行してしまっているのです。

バイク走行中に突然症状があらわれたりすると、最悪の場合は転倒や事故に繋がるリスクがあります。夏場はライダーにこそ熱中症対策が必要になってくるのです。
 

本当に怖いのは熱中症の後遺症

この後ぐったりしました

この後ぐったりしました


二度もバイクに乗車中に熱中症になった私が一番知ってもらいたいのは、熱中症は後遺症も怖いということです。私の場合はふらつきと動悸が続きました。

ふらつきがある状態ではバイクに乗ることもできません。仕事柄バイクに乗れないと困るので大学病院に行き検査をしました。

首MRI、頭部MRI、24時間心電図、脳波、血液検査など一ヶ月にわたって検査しましたが、これらの検査結果では全て異常なし。検査費用も数万円単位でかかりましたが、コレだけ検査してようやく下された結果は「自立神経の乱れから来るものでしょう」というものでした。

実際にはセカンドオピニオンでかかった病院で、「熱中症によって一時的に血流が悪くなり内耳に異常が発生し機能が低下していることが原因」という診断をされ、投薬によって症状が落ち着きつつあります。
 

バイク運転中に熱中症にかからないようにするにはどうしたらいいか?

バイクは移動中に水分を補充するのが難しい乗り物です。フルフェイスのヘルメットを被っていれば脱がなければ水分を摂取することができませんので信号待ちのちょっとした時間に水分を摂取するのは現実的ではありません。

そのため、バイク乗車前にしっかり体に水分を蓄えておくことが大事です。特に注意して欲しいのが前日の飲酒。アルコールは強烈な利尿作用があるので飲酒すればどんどん体内の水分は失われていきます。

アルコールを摂取した翌日は時間をかけて充分にスポーツ飲料を摂取することと、朝ごはんをしっかりと食べることが大事になります。
 

バイクでの熱中症対策:気をつけて欲しい水分補給の仕方    

私が熱中症になった際、一度目は港湾局の方に常温の経口保水液を頂きましたが、二度目にかかってしまった際は自動販売機の冷たいスポーツ飲料を飲んでしまったので、下痢になってしまいました。下痢してしまうと水分を失ってしまうことになるので、水分を摂取する際は口の中で少し暖めてから飲み込むなど工夫が必要になります。

特にバイクの場合は頻繁に停車して水分補給するのが難しいので、少しでも体に異常を感じた場合は涼しいところでゆっくりと水分補給をすることが大事です。
 

バイクでの熱中症対策:服装で熱中症を予防する    

体に熱を溜めないように服装や熱中症対策用品を工夫することも大事です。
 
  • 最近用品に力を入れている「ホンダ」
  • 過酷な現場作業員に作業服を提供する「ワークマン」
  • 登山やアウトドアの総合ブランド「モンベル」

以上の3社の広報担当者に、この夏おすすめのアイテムをご紹介いただきました。
 

ホンダ広報おすすめの熱中症対策アイテム    

ホンダ広報担当者のおすすめは、以下の4点。
 
  • エアスルーライディングパンツ:16200円(以下、すべて税込)
  • ハードメッシュUVジャケット:14904円
  • クールマックスネッククーラー:1404円
  • クールライドアームカバー:2376円
 
ホンダはさすがに本格的なライディングギアです。

ホンダはさすがに本格的なライディングギアです。


早速ホンダセレクションに着替えてみると、上下しっかりとプロテクターが入った本格的なライディングギアといった印象です。暑さに対する効果というと、まずエアスルーライディングパンツは今回試着した3社のパンツの中でも走行中は抜群に涼しく感じます。
 
エアスルーライディングパンツ

エアスルーライディングパンツ


適度に配置されたメッシュ素材のおかげでパンツの中を風が通るので抜群に涼しく感じます。スタッフに見てもらったところ「下着は透けていない」とのことでしたが、心配であれば接触冷感タイプのタイツなどを履いても良いかもしれません。

膝下の内側には耐熱素材を採用しているため、マフラーがすぐに熱くなる愛車のハーレー・スポーツスターでも安心でした。ただこのパンツ、走行中は抜群に涼しいのですが、膝と腰の部分にしっかりとしたプロテクターが入っているので停車中は比較的暑く感じました。
 
露出する部分にはクールライドアームカバー

露出する部分にはクールライドアームカバー


ジャケットの下は半袖のTシャツでしたが露出する腕の部分にはクールライドアームカバーを装着しました。汗をかいても比較的サラサラとした状態を維持できたのでジャケットの下に使うにも最適です。

首に巻いていたネッククーラーは首筋の日焼けを防ぐと同時に、内側には給水ポリマーが内蔵されており濡らすと気化熱で首を冷やすことができます。首などの動脈が通っている部分は体を冷やすのにも最適な部位ですので熱中症対策にも優れています。
 

ワークマン広報おすすめの熱中症対策アイテム    

ワークマン広報担当者のおすすめは、以下の5点。
 
  • 肌サラシャツ:980円
  • レーシングパイルクールマックス5本指(4足セット):980円
  • クールキャップ・タープ付:580円
  • エアライトストレッチパンツ:1900円
  • クールスリーブ:680円
 
全身ワークマン

全身ワークマン


とにかく相変わらず価格が圧倒的に安いワークマンは我々庶民の味方です。まず断トツにおすすめしたいアイテムが5本指靴下。レーシングパイルクールマックスはクッション性に優れたモデルで、かつ靴の中で蒸れにくいのです。
 
レーシングパイルクールマックス5本指

レーシングパイルクールマックス5本指


バイクはよっぽど足つき性が良くない限りは停車時にかかとまでべったりと地面につくことがありません。5本指靴下は通常の靴下に比べて力が入りやすいような感覚があります。履く時に少し面倒なのがデメリットですが、私は最近毎日5本指靴下を履いています。
 
エアライトストレッチパンツ

エアライトストレッチパンツ。ちなみにエアライトストレッチパンツは既に本社には在庫がないとの事。今回は私が個人的に所有していたのでインプレッションしますが、興味がある方はお近くの店舗に急いだ方がよさそうです。


次にエアライトストレッチパンツですが、こちらもモンベルと一緒でストレッチ素材なのでバイクの乗り降りの際にストレスがありません。また素材自体のサラサラ感はモンベルに軍配が上がります。ただし価格差を考えれば間違いなくお値段以上の性能ではあります。

そして肌サラシャツですが、こちらは汗を表生地に素早く逃し、裏生地に戻さないという特性があり常に肌に触れる部分がサラッとしています。
 
冷感コンプレッション半袖ミドルネック

冷感コンプレッション半袖ミドルネック



ちなみに個人的にスポーツの際などにワークマンの冷感コンプレッション半袖ミドルネックという製品を使っていますが、着用するとひんやりとした感触があり、熱中症対策としては非常に良さそうです。ただし、体を締め付けるような感じでぴたっとしているので、私のようなメタボ体型の人が街着にするには勇気がいりそうです。

腕の部分に着用したクールスリーブはホンダのアームカバーと違いフリーサイズなのですが、比較的締め付けがきつい印象です。ひんやりとした着心地の接触冷感機能とUVカット機能がついて680円という値段を、どう考えるかで変わってくるでしょう。

最後に、本来はヘルメットの中で着用して蒸れを防ぐクールキャップ・タープ付です。真夏にヘルメットを被っていると頭からも汗をかいて蒸れますが、それを防ぐ為の製品です。タープ付なので首も日焼けすることがありません。
 

モンベル広報おすすめの熱中症対策アイテム    

モンベルの広報担当者のおすすめは、以下の5点。

機能性素材ウイックロンを採用したTシャツ:2592円
クールパーカMen's:6048円
アンチドートライトリザーバー2.5L:4320円
バーサライトパック20:6156円
ストレッチカーゴパンツMen's:8532円
 
全身モンベル

全身モンベル


早速モンベルセレクションに着替えてみると、Tシャツは通気性に優れとてもサラッとしています。プリント部分にも特殊プリントを施されており通気性を損なわないように配慮しています。
 
機能素材ウイックロンを採用したTシャツ

機能素材ウイックロンを採用したTシャツ


汗をかいてもあまりべたべたしないのでこの時期にはすごく使いやすいTシャツです。私はファッションのことはあまりわかりませんが、一緒に働いているパートさん曰くこのTシャツは「ラインが良い」のだそう。
 
ウイックロンクールを採用したパーカー

ウイックロンクールを採用したパーカー


その上に羽織るのがクールパーカMen'sです。転倒時のことを考えてもバイクには長袖、長ズボンで乗るのが一般的ですし、教習所でも習います。クールパーカMen'sの素材はウイックロンクールという素材を採用しており、表面がデコボコした特徴的な生地で肌触りが良く驚くほど軽量です。

またウイックロンクールは紫外線を90%も防ぎます。日焼けは疲労に繋がるのでUVカット機能はありがたいところ。
 
ストレッチカーゴパンツ

ストレッチカーゴパンツ


ストレッチカーゴパンツは非常にサラサラとしておりストレッチ性があるのでバイクの乗り降りの際にストレスになりません。またこのパンツを履いて屋外の作業に従事しましたが、汗をかいても比較的サラッとしており涼しく感じました。
 
アンチドートライトリザーバー2.5L

アンチドートライトリザーバー2.5L


そしてモンベルのギアで特筆すべきはアンチドートライトリザーバー2.5Lとそれを収納するバーサライトパック20です。
 
バーサライトパック20

バーサライトパック20


簡単に言ってしまえばアンチドートライトリザーバーは長いチューブが付いた水筒でパーサライトパック20はそれを収めるバックパックです。バックパックが動かないように胸の部分のバックルで体に固定しますがこの部分にチューブが固定できるようになっています。

バイクは喉が渇いたなと思っても車ほど自由に水分を補給できません。特に長距離を走るツーリングなどの際には脱水のリスクを考えてこの二つの装備は持っていたいところです。

二度の熱中症を味わった私としては今回紹介するギアの中でも特におすすめのアイテムです。
 

正しい知識を持って熱中症対策を行いましょう

今回は3社に協力してもらいそれぞれおすすめの熱中症対策用品をご紹介していただきましたが、機能素材を採用した様々な製品が色々なメーカーから販売されています。

お洒落も大事ですが、この時期は体に熱を溜めすぎないようにするための洋服を選ぶのも非常に大事なことだと思います。私はバイクが好きだからこそこの仕事をしていますが、そのバイクに熱中症の合併症や後遺症のせいで二ヶ月間も乗ることができなかったのは非常に苦痛でした。

これからが夏本番!少しでも私の体験があなたが熱中症になるリスクを減らしてくれたら幸いです。

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