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2019.01.12

美しき女性たちをインテリアに。ピレリカレンダーの魅力

年末年始にはカレンダーが挨拶代わりに手渡されたりするでしょう。そんななかでも貰ってうれしいのは、きっとこんなカレンダーなのでは? 世界中で愛されるピレリカレンダーの最新版を見ながら、その魅力をお伝えします。

CREDIT :

文/小川フミオ

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ミスティ・コープランド(カレンダーより)
秋が深まると楽しみになるものがカレンダーだ。書店などでは大きなコーナーが出来る。一幅の絵を飾るのにも似て、どんなカレンダーを選ぶかは、部屋の住人の美意識を反映するものだ。

そんなカレンダー文化は西欧に端を発する。そこから生まれたのが、イタリアのピレリが発表するカレンダーである。毎年、女性の”美”をテーマに一流の写真家が手がけた作品で構成されているのだ。
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ジュリア・ガーナー(左)とアストリッド・エイカ(カレンダーより)
さる2018年12月5日にミラノで発表された「ピレリカレンダー」2019年版は、英国の写真家アルバート・ワトソン氏を起用した。モデルとしても知られるジジ・ハディッドや、世界的バレエダンサーのミスティ・コープランドらが被写体である。

ワトソン氏の名前は知らなくても、写真はおそらくどこかで必ず目にしているはずだ。海外のファッション誌の表紙や、ファッションブランドの広告、アーティストのポートレートなど、1970年にスタートしたキャリアを通じて数多くの名作品を残してきたからだ。

今回のカレンダーのタイトルは「Dreaming」という。ハディッドたちが”ここではないどこか”を夢見ているのが設定となっている。

「ただし逃避ではなく、あらまほしき明日を考えること。それをドリーミングという言葉で表現しました」。私が招かれたミラノでの記者会見の席上で、ワトソン氏はそう語った。
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ミラノでのガラディナーのレセプション
1964年に始まったピレリカレンダーは、当初は美しい女性の裸体を表現していた。どちらかというと書斎でなく、ピレリタイヤを扱う工場の壁にあって忙しい毎日にうるおいを与えてくれるもの、といった存在だった。

昨今ではそれも変わった。2016年版はアニー・リーボビッツがキャスリーン・ケネディやオノ・ヨーコら各界で活躍する女性を撮影。17年版はピーター・リンドバーグによるルーニー・マーラやニコル・キッドマンの表情を白黒でとらえたもの、そして18年度はティム・ウォーカーがオールブラックキャストで「不思議の国のアリス」の世界を作り上げた。
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ジジ・ハディッド(カレンダーより)
それに対してワトソン氏は、映画のように撮りたかった、と言う。ほかの写真家たちとは違う世界観を作ることを一所懸命考えたそうだ。ケイト・モスやデイビッド・ボウイ、それにスティーブ・ジョブスら著名人のポートレートで知られるワトソン氏は、独特の魅力的な世界観を特徴としている。それだけに、今回のカレンダーもまるでアートのような仕上がりなのだ。
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ミスティ・コープランド(カレンダーより)
入念な絵コンテを用意して撮影に臨んだ、とワトソン氏が教えてくれただけあって、カレンダーとはいえ、一人に数ページが割かれ、まさに映画のような物語性を感じさせる。

バレエダンサーのコープランドの設定は、「成功しようとがんばる女性」(ワトソン氏)だそうだ。カレンダーではやはり米国で成功している男性バレエダンサーのカルビン・ロイヤル三世が共演し、ふたりで彼女の夢をかなえるべく努力する姿が表現されている。

ちなみに、ジジ・ハディッドの場合はニューヨークの高層ビルで暮らす恋に破れた女というものだ。ファッションデザイナーのアレクサンダー・ワンが登場し、彼女が唯一心を許せる相手として孤独を分かち合う姿が描かれる。
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記者会見のとき(左から:セルゲイ・ポルーニン、ミスティ・コープランド、ピレリのバイスチェアマンであるマルコ・トロンケッティ・プロベラ、レティシア・カスタ、アルバート・ワトソン、ジュリア・ガーナ-、アストリッド・エイカ、カルビン・ロイヤル三世
女優のジュリア・ガーナーは成功を夢見る若き植物写真家という設定だ。撮影はマイアミで行われたそうで、「彼女の役作りといい舞台装置といい、私の期待にぴったりでした」とワトソン氏は教えてくれた。

最後のひとりはフランスの女優、レティシア・カスタだ。画家として成功のために研鑽を積んでいる様子が表現される。いっしょに登場するのはウクライナ出身の元バレエダンサーのセルゲイ・ポルーニンで、彼の役どころはやはり成功を求めるダンサーなのだ。

「自分にしか出来ない世界を表現しようと努力しました」。ワトソン氏はそう言うだけあって、舞台装置、小物、照明などに並々ならぬ注意を払ったそうだ。
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ガラディナーで注目を集めていた米国のファッションモデルであり、TVタレントでもあるジジ・ハディド
「あるものでガマンするのでなく、しっかり準備に手間にかけました。いい作品のためにはそれがなにより大事です。どんな写真を撮りたいか被写体を務めてくれるひとたちに理解してもらうために絵コンテを描き、たとえば小道具のクルマひとつとっても、選ぶのに自分のイメージを守ります。それを怠らなければ、いい作品が出来るのだと私は信じています」

世界的な成功を収める写真家の言葉には説得力がある。写真でなくても、どんな世界で働くひとにとっても、おおいに参考になるのではないだろうか。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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