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2018.12.29

2019年は日本ウイスキーが飲める? 飲めない?

このところ品薄状態が続く日本ウイスキー。年末年始はゆっくり日本ウイスキーで、と思っても、なかなかそうはいかないようで。この状態はいつまで続く? いま飲める(飲むべき)ウイスキーとは何か? 気になる日本ウイスキー事情を探ってみました。

CREDIT :

文/秋山 都 写真/野頭尚子

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先日、渋谷の某バーにて。ウイスキーでも飲もうかな、と何気なくメニューを見ていて目が点に。
「H(一応イニシャル)がワンショット2万円⁉」
一般的にウイスキーのショットといえば、1オンス、すなわち30ml。つまり大さじ2杯分。
そして2万円といえば、最高級のシャンパーニュを750mlのボトルで買える小売価格。日本ウイスキーが品不足だとは聞いていましたが、ここまで来ましたか。「白州」や「余市」、大好きなのに、次飲めるのはいつになるのやら……、どうしてこんな急激に人気沸騰したのか、メーカーさんに聞いてみました。

「ハイボールがお好きでしょ」なサントリー

「国内のウイスキー需要は長年減少傾向にありました。2000年代前半からハイボールブームが起きたこと、また国際的なコンペティションで日本のウイスキーが栄誉ある賞を受賞し、日本のウイスキーへの注目度が世界的に高まってきたことから、徐々に市場が拡大してきました。
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アッパーアイテムのブレンデッドウイスキー「響」とともに人気で品薄の「白州」と「山崎」。
それを受け、2013年以降、山崎蒸溜所や白州蒸溜所では蒸溜釜、貯蔵庫を増設し、トータルで290億円を投資しております。ウイスキーは、蒸溜後、何年も原酒を熟成させて育まれる商品のため、この商品不足は数年のうちに解消するものではありませんが、このように製造設備や貯蔵庫の増強をすすめることで、将来の需要に応えられるよう、努力してまいります」(サントリー広報)
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蒸溜釜、貯蔵庫を増設した「サントリー白州蒸溜所」(山梨県北杜市)。
旧知のサントリー社員によれば、社員は「響」「山崎」「白州」を飲んではいけない(お客様を優先するため)と通達されているという話もありました。悲壮感すら漂うエピソードです。この「サントリー白州蒸溜所」では有料で見学ツアーも行われており、そこには試飲も含まれるそうなので、少なくてもここまでいけばテイスティングはできるはず。真冬の蒸溜所デートもロマンティックですね!
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◆サントリー白州蒸溜所

住所/山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
予約/0551-35-2211 (9:30~16:30)
営業時間/9:30~16:30(最終入場 16:00)
休業日/年末年始・工場休業日(臨時休業あり)
*有料見学コースあり。要予約。

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「絶大すぎたマッサン効果」のニッカウヰスキー

「国内ウイスキーの需要は1983年をピークに減少し続けており、ハイボールブームや、NHKの朝ドラ『マッサン』(2014年)をきっかけにここ数年は拡大してきましたが、それでも国内全体の市場は83年当時の3分の1にとどまっているんですよ。ウイスキー人気と言いますが、市場自体は依然小さいままなんです」と教えてくれたのはニッカウヰスキーのマーケティングを担当する桐山修一さんです。
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アサヒビール、マーケティング本部の桐山修一氏。「ニッカブレンダーズ・バー」(東京・青山)にて。
「弊社で言えばとくに不足しているのはブレンデッドの『竹鶴』、シングルモルトの『余市』『宮城峡』の3種、それもエイジングした熟成タイプのものです。これらは、今は増産体制を取っているものの、すぐには現状の品薄状態を解消できません。というのも、ウイスキーのモルト原酒は熟成に少なくとも5年、10年はかかるからです。

また、弊社としてはお客様よりご支持いただき市場として大きい『ブラックニッカ』の原酒を確保することも重要視しており、この状況を脱せるのはおよそ2025年頃だと考えております」
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ニッカウヰスキーの商品でとくに人気の高い「竹鶴」「余市」「宮城峡」。「ニッカブレンダーズ・バー」では終売品も含め、1/2ショットから楽しめる。
ニッカウヰスキーの品ぞろえはおそらく都内イチ充実しており、巷ではお目にかかれないアイテムも飲める確率が高いのは「ニッカブレンダーズ・バー」。なにしろニッカウヰスキー本社ビルのおひざ元にあるだけに、レアなアイテムも1/2ショット、おひとりさま1杯のみ、などの制限付きでオンリストされています。
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◆ニッカブレンダーズ・バー

住所/東京都港区南青山5-4-31 ニッカウヰスキー本社ビルB1F
電話/03-3498-3338
営業時間/17:00~23:30(L.O.23:00)
定休/日曜・祝日

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クラフトウイスキーが続々誕生。

大手2社ともに、この品薄を解消するにはあと数年かかるという回答。であれば今すぐ飲める日本ウイスキー、どこかにないものか? と探していたら……ありました! 数年前から世界的ブームのクラフトビール、クラフトジン、そしてクラフトウイスキーの波が日本にも伝播していたようなのです。

すでに酒飲みの間で話題となっているイチローズモルトはもちろん、日本各地の酒蔵が蒸留器を設置したマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)がいま熱い! 今年~2020年にかけて熟成を終えてリリースされるウイスキーも多くあり、バリエーションが増えるようです。2020はオリンピックだけではなく、日本ウイスキーもホットなトピックになりますね。
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国際的なコンペティションでベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドモルトに選ばれた「Ichiro’s Malt Double distilleries」。700ml、参考価格6000円。
秩父の風土とハンドクラフトにこだわり、モルトウイスキーを生産している秩父蒸留所の主力商品がこの「イチローズモルト」。2011年に初リリースされ、早くもウイスキー愛好家から信頼されている一本。
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2019年3月発売予定の「厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 3」。価格:5800円(税別)/三陽物産株式会社(03-5821-1341)
こちらは「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造りたい」という思いのもと、スコットランド製のポットスチルを使用し、アイラ島を思わせる気候の北海道・厚岸で2016年に蒸溜を開始した厚岸蒸溜所。

バーボン樽で5~14カ月熟成したノンピートモルト原酒をバッティングした「厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 1」と、バーボン樽で8~17カ月熟成したピーテッドモルト原酒をバッティングした「厚岸NEW BORN FOUNDATIONS 2」はすでに完売しており、現在は3番めのアイテムとなる「厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 3」を3月にリリース予定。ノンピートモルト原酒を稀少なミズナラの樽で8~23カ月熟成させているとのことですが、どんな風味になるんでしょう。楽しみです!

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