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2018.11.11

まさに非日常! 銀山跡の湯治場に建つシュールな温泉旅館

江戸時代初期まで銀山として栄えた街が湯治場に姿を変えてすでに300年。現在も12の旅館が並ぶ銀山温泉は、すべての宿が、大正末期から昭和の初期の洋風の造り。なかでも、ひときわ異彩を放つのが「藤屋」。あの隈研吾氏が改造した独特の造りが魅力です。

CREDIT :

文/福田 豊

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そこはひなびた山間の道を抜けた終点に、突然、映画の場面のように現れます。旅とは非日常なものですが、これほど唐突で、鮮やかな、非日常の光景を体験できるところは、ほかにはついぞないのではないのでしょうか。

それが、山形の銀山温泉。その名が示すように、そもそもは銀山として拓かれ、その際に湧き出た温泉により、鉱脈の絶えた後に湯治場として栄えた地。そしてそのままの姿を残して今日にいたる。つまり大正から昭和にかけて、その日本の情緒を色濃く香らせる、まさに非日常の世界なのです。ちなみに、あのTVドラマ『おしん』の舞台。といっても、若い女子には、わからないか……。
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夕刻になるとガス灯が燈り、一際美しくなる銀山温泉。その中でも異彩を放っているのが、白壁に縦格子をふんだんに使った「藤屋」。

日常では到底味わえない異空間こそ醍醐味

なかでも、今回紹介する「藤屋」は、それはそれは素晴らしい非日常を味わえるのですよ。というのも、そうして残された木造三階建てをリニューアルした、独特な雰囲気の宿なのです。聞けば、かの名建築家である、隈研吾氏の作だとのことで、すべてが異形な感じです。

その外観は、陽光に照らされた時、眩しく輝く近代的な美術館のよう。実際、外行く人たちが物珍しそうに正面ガラスを覗き込み、入ってくる人も少なくないそう。そして夜の帳が下りれば、往時の行灯のように辺りを妖艶に照らし染める。
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広々とした1階のエントランスは、3階までの吹き抜けで、開放感抜群。細い竹のスクリーンを通した間接照明が幻想的な雰囲気を醸す。
内観が、また物凄い。隈氏の狙いは推察しかねるのですが、各部屋のドアにも収納にも取っ手がまったくないカラクリ屋敷のような造り。だから長い廊下には、ただただ越前の手漉き和紙が続き、さながらS.キューブリックの描き出す映画のような狂気が漂う。
温泉も独特。石風呂、竹風呂など全5種で、24時間使用可能。勝手に入って勝手に鍵をかけて独占できるのですが、どれもが淫靡な雰囲気がある。わけても地下風呂は出色。これまた映画でいえば、ポーランドのそれの一場面のような暗鬱とした色彩が美しい。まさに非日常的な空間なのです。つまりは、ほどよく広く彼女とウフフに愉しむことができるというわけです。特に、夜は仄暗くムード満点。かけ流しの温泉は源泉から近く熱く清冽でゆったりと浸かれば心底寛げますよ。
また全8室のすべてが銀山温泉の街並みに面しているため、その情緒ある佇まいを心ゆくまで堪能できる。窓を開ければ中央を流れる銀山川のせせらぎも心地よく聞こえてきます。
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中でも「No300」という部屋が極めつき。扉(もちろん隠し扉)を開くと、頭上には深淵の底を覗くような暗く高い天井。右脇に越前の手漉き和紙で囲ったトイレと、その先に素通しに木の浴槽と、ガラスの衝立のシャワーが並ぶ。そこに直角の、つまりドアの正面には、石の天板に白磁気のボウルと冷たく光るステンレスの蛇口の手洗い。
そしてそして、なんと、そのすぐ脇にダブルのベッドが据えられる。なんというか、ロートレアモンの『マルドロールの歌』の一説の「解剖台の上のミシンの蝙蝠傘」のような倒錯した空間。これまで見たことのない、シュールレアリスティックな部屋なのです。

海の幸、山の幸に囲まれて本当に満腹&満足

食の楽しみも、ある意味、最高の非日常。で、「藤屋」の夕食は、まさにそれ。地物の川魚や野菜をはじめ、たっぷりの新鮮な魚介類、米沢牛などなど美味三昧。そして山形は米も水もいい。だから本当に満腹&満足。また行きたい、を実感することうけあい、です。
日常に退屈したら、とびきり非日常的な「藤屋」へ。そうすれば、きっと男が磨けます。なお、同地がもっとも美麗なのは2月の雪景色だそう。その頃、行くのもいいなあ。もちろん深雪じゃあ、クルマでここまで走って来れませんけどね。ちなみに、銀山温泉の街にはクルマは進入不可。専用駐車場が近くに用意されているので、そちらのご利用を。
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◆ Ginzan Onsen Fuliya 銀山温泉 藤屋

住所/山形県尾花沢市銀山新畑443
アクセス/東北道、東根ICより 国道13号〜347号〜県道で約50km
URL/http://www.fujiya-ginzan.com
ご予約・お問い合わせ/☎0273-28-2141

●料金/3万2300円〜(1名)

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