文・鈴木裕之 写真・星 武志(estrellas)
“変わりダイヤル”という言葉がある。文字盤に趣向を凝らしたモデルを意味するのだが、細工モノを含むエナメルや、ムーブメントに彫金を施してダイヤルレスに仕上げるスケルトンが旧くからの代表例だ。しかし素材と加工方法が進化した現代では、さらなる変わりダイヤルも登場している。ハンドメイドエナメルのサプライヤー、ドンツェ・カドラン社を傘下に収めるユリス・ナルダンは、正攻法の高温焼成エナメルを高品質かつバリューな価格で展開する最右翼。ウブロの「マジック サファイア」はダイヤルレスのスケルトンウォッチだが、見せ場はそれだけではない。サファイアクリスタルで成形した複雑な構造の透明なケースを採用した点も見逃せない。光発電エコ・ドライブを搭載する「ザ・シチズン」は、太陽光を透過させるダイヤル素材が必須となるが、最新作が用いた手法はなんと手漉き和紙だ!
限られたあの狭いスペースで見せる、時計ブランドの高い技術力。目を凝らして見ていただきたい。